説明

線材格子フェンス

【課題】線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスの提供。
【解決手段】3本以上の柱縦線材7にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材8を接合してなる筒状支柱6と、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材2を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいて横線材部分を備えたリング状横線材3が複数上下方向に配置されて湾曲縦線材2に接合されていると共に、最上段のリング状横線材3は、同じ形状のリング状横線材3が各湾曲縦線材2の前後両側に同じ高さ位置に配置されて湾曲縦線材2に接合された線材格子フェンスパネル1とを備え、隣り合う各線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材13の側端の縦部分4bは、それぞれ筒状支柱6の前面側で隣り合うように配置され、その筒状支柱6の前面側で隣り合う最上段のリング状横線材3の側端の縦部分4bと、筒状支柱6とは、継手金物13により接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の庭や公園等に設置されるフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
フェンスとしては、フェンスパネルと支柱とが、それぞれ別体とされて、フェンスパネルを支柱に固定する形態の支柱別体型のフェンスが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、フェンスパネルの少なくとも一端側に支柱を一体に備えた支柱一体型フェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
本発明は、前者の支柱別体型のフェンスに属する。
【0003】
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて、線材格子フェンスパネルの上端部に、長手方向に連続した胴縁を形成するようにして線材格子フェンスパネルの剛性を高めるようにした形態のフェンス又はフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて胴縁を形成することなく、線材格子フェンスパネル自体の剛性を高めるために、横線材を縦線材の前後から挟みつけるようにした形態のフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献6〜8参照)。
本発明は、後者の線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて胴縁を形成しない形態の線材格子フェンスに属する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−36877号公報
【特許文献2】実公平6−38893号公報
【特許文献3】特開平1−2232275号公報
【特許文献4】特公平5−39390号公報
【特許文献5】実公昭62−43093号公報
【特許文献6】実開昭58−19062号公報
【特許文献7】特公平2−58015号公報
【特許文献8】特公平1−37546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて胴縁を形成する形態、或は縦線材の表裏に横線材を挟み込む形態の前記従来の線材格子フェンスパネルでは、上端部に直線状の部分が形成されるため、小動物(例えば、猫、ハクビシン等)にとって歩行又は走行しやすい通路が形成されるため、小動物にとって歩行しやすい線材格子フェンスパネルとなっている。
【0006】
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲して形成した胴縁を備えていると、運搬時において、線材格子フェンスパネルが嵩張るため、運搬効率が低下すると共に、線材格子フェンスパネルが高価になり、その結果、線材格子フェンスは経済的でなくなる。
【0007】
さらに、線材格子フェンスパネルにおける縦線材の上端が突出していると、怪我をする恐れがあるから、怪我をする恐れのない、より安全な線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスが望まれる。
【0008】
したがって、小動物にとって歩行しにくい線材格子フェンスパネルで、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネルで、怪我をする恐れのない、より安全な線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスが望まれる。
【0009】
さらに、線材格子フェンスパネルを、複数の縦線材と間隔をおいた横線材とを組み合わせた筒状支柱に、組み込む場合に、継手金物を用いて固定でき、筒状支柱に対し、その前面に取り付ける形態を選択できる線材格子フェンスパネルであると、敷地境界に確実に線材格子フェンスパネルを配置することができるようになるため、そのような、筒状支柱と線材格子フェンスパネルとを組み合わせた線材格子フェンスが望まれる。
【0010】
また、支柱自体も複数の縦線材と間隔をおいた横線材とを組み合わせた筒状支柱とすると、線材格子フェンスパネルと筒状支柱とが、いずれも線材により形成されていることから、フェンスを安価にでき、しかも景観もよい線材格子フェンスとなる。
【0011】
本発明は、前記の課題を解消することができる小動物にとって歩行しにくい線材格子フェンスパネルで、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスで、敷地境界に線材格子フェンスパネルを配置してこれを確実に支柱に取り付けることができる線材格子フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明の線材格子フェンスにおいては、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいた横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、隣り合う各線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の縦部分は、それぞれ前記筒状支柱の前面側で隣り合うように配置され、その筒状支柱の前面側で隣り合う最上段のリング状横線材の側端の縦部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする。
【0013】
第2発明の線材格子フェンスにおいては、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいた横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、その線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の縦部分は、前記筒状支柱の前面側に配置され、最上段のリング状横線材の側端の縦部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする。
【0014】
第3発明の線材格子フェンスでは、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいた横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、その線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の横線材部分は、前記筒状支柱の前面側に配置され、最上段のリング状横線材の側端の横線材部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする。
【0015】
第4発明では、第1発明又は第2発明の線材格子フェンスにおいて、線材格子フェンスパネルにおける最上段の後部のリング状横線材の継手部が、前記筒状支柱の上部の上下一対の環状柱横線材間における下側の環状柱横線材上に載置されて、前記継手部と、上下の環状柱横線材とを囲むように、係止溝を有すると共にボルト挿通孔を有する上下一対の係止片を備えた継手金物における前記係止片が前記環状柱横線材及び継手部に嵌合され、上下一対の係止片のボルト挿通孔に渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、線材格子フェンスパネルは筒状支柱に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
第5発明では、第4発明の線材格子フェンスにおいて、前記継手金物は、ボルト挿通孔を有する断面コ字状の断面コ字状の係止金具を備え、その係止金具における各係止脚部間に、隣り合う線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材における側端の各縦部分が位置し、上下一対の係止片のボルト挿通孔と、前記係止金具のボルト挿通孔とに渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネルにおける継手部は筒状支柱に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の線材格子フェンスにおいて、短尺横線材が、湾曲縦線材の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネルとされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明及び第2発明の線材格子フェンスによると、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる多数の湾曲縦線材を用いているため、小動物にとって歩行しにくい線材格子フェンスであり、しかも、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスとすることができ、敷地境界に継手金物の端部を位置させるようにして敷地境界に近接して線材格子フェンスパネルを配置することができるため、敷地内におけるデッドスペースを少なくすることができる。また、簡単な継手金物を用いて、線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材の側端の縦部分を容易に確実に筒状支柱に取り付けることができる等の効果が得られる。
また、筒状支柱の前面側においても、フェンスパネルの網目を形成することができる。
【0019】
第3発明によると、上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる複数の湾曲縦線材を用いているため、小動物にとって歩行しにくい線材格子フェンスであり、しかも、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネルを用いた線材格子フェンスとすることができ、敷地境界に継手金物を位置させるようにして敷地境界に近接して線材格子フェンスパネルを配置することができるため、敷地内におけるデッドスペースを少なくすることができる。また、簡単な継手金物を用いて、線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材の横線材部分を容易に確実に筒状支柱に取り付けることができる等の効果が得られる。
【0020】
第4発明によると、第1発明又は第2発明の線材格子フェンスにおいて、線材格子フェンスパネルにおける最上段の後部のリング状横線材の継手部が、前記筒状支柱の上部の上下一対の環状柱横線材間における下側の環状柱横線材上に載置されて、前記継手部と、上下の環状柱横線材とを囲むように、係止溝を有すると共にボルト挿通孔を有する上下一対の係止片を備えた継手金物における前記係止片が前記環状柱横線材及び継手部に嵌合され、上下一対の係止片のボルト挿通孔に渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、線材格子フェンスパネルは筒状支柱に取り付けられているので、さらに、簡単な構造の係止片とすることができ、またそのような簡単な構造の係止片及びボルト・ナットを用いて、線材格子フェンスパネルの前後方向の移動を拘束することができる等の効果が得られる果が得られる。
【0021】
第5発明によると、第4発明の線材格子フェンスにおいて、前記継手金物は、ボルト挿通孔を有する断面コ字状の断面コ字状の係止金具を備え、その係止金具における各係止脚部間に、隣り合う線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材における側端の各縦部分が位置し、上下一対の係止片のボルト挿通孔と、前記係止金具のボルト挿通孔とに渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネルにおける継手部は筒状支柱に取り付けられているので、さらに、簡単な構造の係止片及び係止金具並びにボルト・ナットを備えた継手金物を用いて、隣り合う線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材の端部の継手部相互を、筒状支柱に対して、前後方向及び左右方向の移動を拘束して取り付けることができる等の効果が得られる。
【0022】
第6発明によると、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の線材格子フェンスにおいて、短尺横線材が、湾曲縦線材の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネルとされているので、線材格子フェンスパネルの網目を小さくして、小動物の侵入を防止することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は本発明におけるフェンスに用いられる線材格子フェンスを示す正面図、(b)は平面図である。
【図2】(a)は図1に示す線材格子フェンスの側面図、(b)は本発明におけるフェンスに用いられる線材からなる筒状支柱を示す正面図、(c)は(b)の平面図である。
【図3】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す図(図6のA部を拡大して示す図)で、右側における手前側のリング状横線材の継手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は(a)の一部切欠き平面図、(c)は(a)のa−a線断面図である。
【図4】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す図(図6のB部を拡大して示す図)で、右側における手前側のリング状横線材の継手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は(a)の一部切欠き横断平面図、(c)は(a)のb−b線断面図である。
【図5】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す正面図で、図6のA部を拡大して示す図であり、(b)は(a)の一部切欠き横断平面図、(c)は(a)のc−c線断面図である。
【図6】(a)は本発明の一実施形態のフェンスを示す一部切欠き正面図、(b)は平面図である。
【図7】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの他の取り付け形態を示す正面図であり、(b)は(a)の一部切欠き横断平面図、(c)は(a)のd―d線断面図である。
【図8】本発明のフェンスの他の形態を示す平面図である。
【図9】(a)は本発明のフェンスにおいて用いる係止片の一方を示す斜視図、(b)は係止脚部を有する係止金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
まず、図1及び図2(a)を参照して、本発明において用いる線材格子フェンスパネル1の一実施形態について説明すると、上端が半円状(図示の場合)又は弧状或はコ字状等に湾曲した湾曲接続部2aを介して、下方に平行に2本の縦線材2bが伸びる複数(図示の場合は多数)の湾曲縦線材2が横方向に間隔をおいて同じ高さで配置され、前記各湾曲縦線材2の片面側(前面側)に渡って、上下に間隔をおいた横線材部分を備えたリング状横線材3が上下方向に間隔をおいて複数配置されて前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されている。
【0026】
また、少なくとも最上段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められている。
【0027】
最上段の前後の前記各リング状横線材3は、湾曲縦線材2における上端から下方に離れた位置に設置されていることで、線材格子フェンスパネル1における上端が連続した水平部分を形成することなく、湾曲接続部2aが間隔をおいて形成された不連続状態としていることから、小動物(猫等)が乗る場所をなくし、小動物の歩行及び走行を困難にしている。湾曲縦線材2の上端は、コ字状よりも弧状或は半円状、半円状よりも逆V字状とする方が、小動物(猫等)が乗る場所がなくなる分、好ましいが、図示のように半円状とする方が人にやさしい形状である。
【0028】
図示の形態では、最下段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められ、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネル1としている。
前記の各リング状横線材3は、その両側端は、端部側の湾曲縦線材2よりも、横方向に突出するように設けられて継手部4を形成している。
【0029】
図示の実施形態では、前記の継手部4は、上下に間隔をおいた横線材部分4aを備えたリング状横線材3における上下の横線材4a端部による水平な横部分4aと、横部分4aを接続する垂直な縦部分4bとを備えている。
【0030】
突出した継手部4の形態としては、図示のように、コ字状でも、弧状又は半円状でもよいが、縦部分4bを備え、上下の横線材4a相互を接続してリング状としていればよい。前記の縦部分4bは垂直である方が、隣り合う線材格子フェンスパネル1の縦部分4b間の間隙が小さくなり、網目が小さくなるから望ましい。
【0031】
各リング状横線材3内には、リング状横線材3の横長さ寸法よりも短い短尺横線材5が、両側端の湾曲縦線材2に渡って配置されて、各湾曲縦線材2に溶接により固定されて、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
【0032】
上下に間隔をおいたリング状横線材3間には、各湾曲縦線材2の後面側において、前記短尺横線材5と同様な、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
【0033】
前記のリング状横線材3における横線材部分と短尺横線材5とが、上下方向に等間隔をおいて密に配置されていることで、網目を小さくして、小動物の侵入を防止可能にされている。短尺横線材5は、湾曲縦線材2の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネル1とされていると、網目を小さくして、小動物の侵入を確実に防止することができる。
【0034】
前記各短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられていることで、短尺横線材5の端部により怪我をしないようにされている。特に、リング状横線材3に同面状に配置された短尺横線材5に接触する前に、リング状横線材3に接触するようになるため、怪我をする恐れが少なく安全性が向上している線材格子フェンスパネル1とされている。
【0035】
なお、前記の湾曲縦線材2又はリング状横線材3或は短尺横線材5としては、例えば、丸鋼棒が用いられる。
【0036】
次に、図2(b)(c)を参照して、本発明の線材格子フェンスに用いる筒状支柱6について説明する。
【0037】
左右方向及び前後方向に間隔をおいて同じ高さ位置に配置された3本以上(図示の場合は、4本)の柱縦線材7に対して、各柱縦線材7を囲むように、前記各柱縦線材7の上下方向に間隔をおいて、長方形又は矩形環状等の環状柱横線材8を配置し、各柱縦線材7に環状柱横線材8を接合して、筒状鉄筋籠状の筒状支柱6が形成されている。
【0038】
下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8及び柱縦線材7の下端部は、基礎9に埋め込み固定され、下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8は抜け出し防止用アンカー材として機能する。前記の環状柱横線材8及び柱縦線材7としては、丸鋼棒が用いられる。
【0039】
上下間の各環状柱横線材8は、線材格子フェンスパネル1側におけるリング状横線材3及び短尺横線材5と高さ位置が異なるように設けられている。
【0040】
最上段の環状柱横線材8とこれに間隔をおいて下側で隣接する下位の環状柱横線材8間の間隔を、リング状横線材3における端部の継手部4又は中間部の上下横線材間の高さ寸法よりも若干大きい寸法とされて、筒状支柱6の前面側における上下の環状柱横線材8間にリング状横線材3の端部の継手部4又は中間部を配置可能にされている。このようにすることで、筒状支柱6の前面側において横方向に隣り合う、線材格子フェンスパネル1の側端の継手部4相互を配置したり、リング状横線材3の中間部を配置できるようにされている。
【0041】
線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に取り付ける場合には、例えば、線材格子フェンスパネル1の上下部又は中間部におけるリング状横線材3の端部を固定することで、確実に筒状支柱6に線材格子フェンスパネル1を固定することができる。
【0042】
(線材格子フェンスについて)
次に、前記の線材格子フェンスパネル1を線材筒状支柱6に継手金物を用いて取り付けて、フェンスを構築した形態について説明する。
【0043】
図6に示すように、筒状支柱6は、横方向に間隔をおいて配置されて、各筒状支柱6の下端部が、地盤に構築されたコンクリート基礎又は中空部を有するコンクリートブロック積み基礎に充填されるモルタルにより埋め込み固定されて、基礎9に立設固定される。
【0044】
図6における左右方向の中間で、上端部及び下端部をそれぞれ拡大して示す図3及び図4に示すように、線材格子フェンスパネル1は、上端部及び下端部又は必要に応じ、中間部に位置するリング状横線材3における継手部4が筒状支柱6に継手金物を用いて取り付けられる。
【0045】
図示の形態では、線材格子フェンスパネル1は、上端部及び下端部が継手金物を用いて取り付けられている。
【0046】
各筒状支柱6の前面側における縦中心軸線に対して、左右対称に、各線材格子フェンスパネル1の継手部4が配置される。
かつ、線材格子フェンスパネル1における最上段の後部(背面側)のリング状横線材3の継手部4と、最下段の後部のリング状横線材3の継手部4とが、それぞれ、上部の上下一対の環状柱横線材8間、及び下部の上下一対の環状柱横線材8間における下側の環状柱横線材8上に載置されるように配置される。そして、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝10を有すると共にボルト挿通孔11を有する上下一対の係止片12(図9参照)を備えた継手金物13における前記係止片12が前記環状柱横線材8及び継手部4に嵌合される。
【0047】
また、前部側のリング状横線材3の継手部4における縦部分4bを利用して、隣り合うリング状横線材3の縦部分4b相互が離反しないように、ボルト挿通孔14を有する断面コ字状の係止金具15(図9参照)における各係止脚部16間に各縦部分4bが位置し、各係止脚部16が係止片12側に向くように配置して、上下一対の係止片12のボルト挿通孔11と、係止金具15のボルト挿通孔14とに渡って、継手金物13におけるボルト17の軸部が挿通されると共にナット18がねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネル1における継手部4は筒状支柱6に取り付けられている。また、隣り合う線材格子フェンスパネル1の継手部4を利用して、筒状支柱6の前面側においても、フェンスパネルの網目を形成するようにことができる。
【0048】
前記の係止金具15は、鋼板が折り曲げ形成されて、本体部の両側に各係止脚部16が形成されると共に本体部にボルト挿通孔14が形成されて、断面コ字状の係止金具とされ、係止脚部16の突出長さ寸法は、リング状横線材3の線径と同じか、僅かに小さい寸法とされ、リング状横線材3を係止片15に向かって押圧可能にされていることが望ましい。
【0049】
ここで、図9を参照して、前記の上下一対の係止片12についてさらに説明すると、各係止片12は、長方形の鋼板がその中間部で円弧状に折り曲げられて、円弧状接続部19を介して短尺脚部20と長尺脚部21が形成されていると共に各脚部の円弧状接続部19に係止溝10が形成され、また、長尺脚部21の先端側には、ボルト挿通孔を備えている。
【0050】
前記のような係止片12を、図に示すように、上下点対称になるように配置し、かつ上部の係止片12が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上側の環状柱横線材8とを囲むように配置される。
【0051】
また、下部の係止片12が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、下側の環状柱横線材8とを囲むように配置され、各係止片12の長尺脚部21に渡って、継手部4間においてボルト17を挿通して連結することで、隣り合う線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6との前後方向の一体化を図るようにしている。
【0052】
しかも前記実施形態では、筒状支柱6の前面側において、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1における前部のリング状横線材3の側部の継手部4の縦部分4bを、その前部側に配置された係止金具15の係止脚部16間に配置することで、さらに係止金具15を前記のボルト17を利用して前後一対の係止片12に取り付けることで、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1が左右方向に離反するのを防止し、しかも筒状支柱6との左右方向の一体化を図っている。
【0053】
前記の係止片12の左右方向の巾寸法L1(図3参照)が、筒状支柱6における前面側の左右方向に隣り合う柱縦線材7間の寸法L2よりも若干小さい寸法とされていることで、また、ボルトにより締め付け固定することで、左右の線材格子フェンスパネル1の左右方向のずれをなくしている。
【0054】
前記実施形態の変形形態として、図示を省略するが、各係止片12の前面側に左右方向に間隔をおいて前方に突出する係止脚部を一体に設け、各係止脚部を、左右の線材格子フェンスパネル1の縦部分4bを拘束するように係合させることで、係止金具を省略することも可能である。この場合には、係止脚部を有する各係止片12を、前後の線材格子フェンスパネル1における継手部4間に挿入するようにすればよい。
【0055】
図6及び図5には、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の側端の継手部4と、筒状支柱6との取り付け構造が示されている。ボルト挿通孔11を有する上下一対の係止片12及びボルト・ナットにより固定する構造とされている。
【0056】
端部側では、線材格子フェンスパネル1の一端部の各後部のリング状横線材3の継手部4を筒状支柱6に固定すればよいことから、継手部4の縦部分をボルト17よりも左右方向の外側に位置するように筒状支柱6の前面側に配置し、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝10を有すると共にボルト挿通孔11を有する上下一対の係止片12が環状柱横線材8及び継手部4に嵌合され、各係止片12をボルト17及びこれにねじ込まれるナット18からなる継手金物13により連結一体化することで、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の前面側に固定している。
【0057】
図7に示すように、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の左右方向の他端側を筒状支柱6の前面に配置できない場合には、湾曲縦線材2における縦線材間のリング状横線材3を、上下一対の係止片12及びボルト17及びナット18による継手金物13により、筒状支柱6に取り付けるようにしてもよい。
【0058】
前記実施形態では、筒状支柱6の前面側に、線材格子フェンスパネル1を継手金物13により固定する形態を示したが、本発明において用いる筒状支柱6は、柱縦線材7が、前後方向及び左右方向に間隔をおいて配置されていることから、図8に示すように、筒状筒状支柱6の側面にも、前面側の線材格子フェンスパネル1と同じ高さ位置に、同様な側面の線材格子フェンスパネル1を配置して、継手金物13により、前記と同様に筒状支柱6に取り付けることができる。この場合、敷地境界線上又はその近傍に線材格子フェンス又は筒状支柱6を配置すると、フェンス設置により、敷地にデッドスペースが生じることはない。
【0059】
前記実施形態においては、筒状支柱6を、前後左右に間隔をおいた4本の柱縦線材7により形成した形態を示したが、3本又は5本以上の柱縦線材7を、前後左右方向に間隔をおいて配置して、三角形状の環状柱横線材又は5角形以上の多角形の環状柱横線材を上下方向に間隔をおいて溶接により固着して一体化した筒状支柱を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 線材格子フェンスパネル
2 湾曲縦線材
2a 湾曲接続部
2b 縦線材
3 リング状横線材
4 継手部
4a 横部分、横線材部分
4b 縦部分
5 短尺横線材
6 筒状支柱
7 柱縦線材
8 環状柱横線材
9 基礎
10 係止溝
11 ボルト挿通孔
12 係止片
13 継手金物
14 ボルト挿通孔
15 係止金具
16 係止脚部
17 ボルト
18 ナット
19 円弧状接続部
20 短尺脚部
21 長尺脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、
上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいて横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、
隣り合う各線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の縦部分は、それぞれ前記筒状支柱の前面側で隣り合うように配置され、その筒状支柱の前面側で隣り合う最上段のリング状横線材の側端の縦部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする線材格子フェンス。
【請求項2】
3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、
上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいて横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、
その線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の縦部分は、前記筒状支柱の前面側に配置され、最上段のリング状横線材の側端の縦部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする線材格子フェンス。
【請求項3】
3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合してなる筒状支柱と、
上端が湾曲して下方に2本の縦線材が伸びる湾曲縦線材を間隔をおいて複数配置し、上下に間隔をおいて横線材部分を備えたリング状横線材が複数上下方向に間隔をおいて配置されて前記湾曲縦線材に接合されていると共に、最上段のリング状横線材は、同じ形状のリング状横線材が各湾曲縦線材の前後両側に同じ高さ位置に配置されて前記湾曲縦線材に接合された線材格子フェンスパネルとを備え、
その線材格子フェンスパネルにおけるリング状横線材の側端の横線材部分は、前記筒状支柱の前面側に配置され、最上段のリング状横線材の側端の横線材部分と、筒状支柱とは、継手金物により接合されていることを特徴とする線材格子フェンス。
【請求項4】
線材格子フェンスパネルにおける最上段の後部のリング状横線材の継手部が、前記筒状支柱の上部の上下一対の環状柱横線材間における下側の環状柱横線材上に載置されて、前記継手部と、上下の環状柱横線材とを囲むように、係止溝を有すると共にボルト挿通孔を有する上下一対の係止片を備えた継手金物における前記係止片が前記環状柱横線材及び継手部に嵌合され、上下一対の係止片のボルト挿通孔に渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、線材格子フェンスパネルは筒状支柱に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の線材格子フェンス。
【請求項5】
前記継手金物は、ボルト挿通孔を有する断面コ字状の断面コ字状の係止金具を備え、その係止金具における各係止脚部間に、隣り合う線材格子フェンスパネルにおける最上段のリング状横線材における側端の各縦部分が位置し、上下一対の係止片のボルト挿通孔と、前記係止金具のボルト挿通孔とに渡って、継手金物におけるボルトの軸部が挿通されると共にナットがねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネルにおける継手部は筒状支柱に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の線材格子フェンス。
【請求項6】
短尺横線材が、湾曲縦線材の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネルとされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線材格子フェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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