説明

線材用ホルダー

【課題】結束バンドなどの線材を収納し易くすると共にこれらの線材を取り出し易くし、しかも収納したこれらの線材を取り出して行くにしたがい、これらの線材の本数が少なくなっても、保持力が変わらず、これらの線材が保持部からずれることなく、取り出し難くなることがなく、非常に早く取り出すことができる線材用ホルダーを提供する。
【解決手段】可撓性の帯状体1に圧縮可能な弾性部材2を付設し、この弾性部材2に複数本の線材Lを巻き込むことにより、これら複数本の線材Lを前記弾性部材2に保持するようにしたものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線やケーブル等の束に巻き付けて結束する結束バンドや、電線やケーブル等に通した保護管を固定するバインド線など、各種の線材を保持するための線材用ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の線材用ホルダーとしては、例えば図9に示したように、袋状収納具11と取付け具12とからなるものが存在する。袋状収納具11は、結束バンドなどの線材Lを収納するために上部が開閉する開閉口13を有した縦長形状の袋状構造をしている。そして、袋状収納具11の表側に線材Lを手の指で取り出すためのスリット状の線材取出口Sを有するものとしている(特許文献1)。
【0003】
このようにした従来の線材用ホルダーにおいて、線材Lを収納するには、複数本の線材Lを一度に、その線材Lを足側から袋状収納具1の開閉口13に差し込み、袋状収納具11内に収納した後、その開閉口13を閉じておくようにしている。そして、収納した線材Lを取り出すには、図10に示したように、袋状収納具11の表側の線材取出口Sに手の指を差し込み、線材Lの頭部と足部の中間に手の指を引っ掛け、袋状収納具11内に収納した線材Lを引き抜くようにしている。
【0004】
さらに、この種の線材用ホルダーとしては、例えば図11に示したように、筒体21と保持部材22と取付け部材23とを有したものが存在する。保持部材22は、基軸24とブラシ状部材25とを有している。基軸24は、筒体21の内部でその長さ方向に伸びるようにして、筒体21に取り付けられている。ブラシ状部材25は、基軸24から周囲に突出する複数の毛から成っており、基軸24に取り付けられており、筒体21の内面に接触している。そして、取付け部材23は、筒体21を携帯箇所に取り付け可能として筒体21に設けられているとしている(特許文献2)。
【0005】
このようにした従来の線材用ホルダーにおいて、結束バンドなどの線材Lを収納するには、線材Lを一本ずつ、足側fから筒体21内のブラシ状部材25に差し込んで、図12に示したように、その頭部hが筒体21の上端開口から突出した状態で、ブラシ状部材25に保持させるようにしている。そして、収納した線材Lを取り出すには、筒体21の上端開口から突出した頭部hを手の指で摘んで引き抜くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3135806号公報
【特許文献2】特開2000−103464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9、10に示した従来の線材用ホルダーでは、線材Lを収納するには、複数本の線材Lを一度に収納することができるので、非常に便利である。しかしながら、この線材用ホルダーでは、収納した線材Lを取り出すには、線材Lの頭部と足部の中間に手の指を引っ掛けて、線材Lを引き抜くようにしているため、線材Lが曲がった状態となって取り出し難くなることがあるという問題点を有していた。
【0008】
さらに、図11、12に示した従来の線材用ホルダーでは、線材Lを収納するには、線材Lを一本ずつ筒体21内に差し込まなければならないので、非常に面倒であるという問題点を有していた。また、収納した線材Lを取り出すには、筒体21の上端開口から突出した頭部hを手の指で摘んで引き抜くようにしているため、取り出し易いものとなっているが、収納した線材Lを取り出して行くにしたがい、線材Lの本数が少なくなると、ブラシ状部材25との摩擦抵抗が全体的に弱まり保持力が低下して、その頭部hがブラシ状部材25内に落ち込んで取り出し難くなることがあるという問題点を有していた。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、結束バンドやバインド線などの線材を収納し易くすると共にこれらの線材を取り出し易くし、しかも収納したこれらの線材を取り出して行くにしたがい、これらの線材の本数が少なくなっても、保持力が変わらず、これらの線材が保持部からずれることなく、取り出し難くなることがなく、非常に早く取り出すことができる線材用ホルダーを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、この発明の線材用ホルダーは、可撓性の帯状体1に圧縮可能な弾性部材2を付設し、この弾性部材2に複数本の線材Lを巻き込むことにより、これら複数本の線材Lを前記弾性部材2に保持するようにしたものとしている。
【0011】
そして、この発明の線材用ホルダーは、前記帯状体1の表面の略全体に前記弾性部材2の表当部2aを付設したものとし、前記帯状体1の裏面の一側部に前記表当部2aの略1/3の横幅の弾性部材2の裏当部2bを付設したものとしている。
【0012】
さらに、この発明の線材用ホルダーは、前記帯状体1に面接着ファスナー4を取り付け、この面接着ファスナー4によって前記弾性部材2を巻き込んだ状態に維持しておくようにしている。
【0013】
また、この発明の線材用ホルダーは、前記帯状体1に、使用者の腰ベルトへ取り付けておくための取付け帯5を設けたものとしている。
【0014】
さらに、この発明の線材用ホルダーは、前記帯状体1に、使用者が装着している腰袋または工具バッグに吊り下げておくための吊下げ部6を設けたものとしている。
また、この発明の線材用ホルダーは、前記帯状体1に、屑入れ7を吊り下げておくため
【0015】
の吊下げ部8を設けたものとしている。
【発明の効果】
【0016】
この発明の線材用ホルダーは、以上に述べたように構成されているので、結束バンドやバインド線などの線材が収納し易くなると共にこれらの線材が取り出し易くなり、しかも収納したこれらの線材を取り出して行くにしたがい、これらの線材の本数が少なくなっても、保持力が変わらず、これらの線材が保持部からずれることなく、取り出し難くなることがなく、非常に早く取り出すことができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の線材用ホルダーの一実施形態を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示したこの発明の線材用ホルダーを背面側から見た斜視図である。
【図3】図1に示したこの発明の線材用ホルダーを展開した状態の正面側から見た斜視図である。
【図4】図1に示したこの発明の線材用ホルダーを展開した状態の背面側から見た斜視図である。
【図5】この発明の線材用ホルダーに結束バンドを保持させる手順を示す説明図である。
【図6】この発明の線材用ホルダーに結束バンドを保持させた状態を示す説明図である。
【図7】この発明の線材用ホルダーの屑入れの一例を示す背面側から見た斜視図である。
【図8】この発明の線材用ホルダーの屑入れの他の例を示す背面側から見た斜視図である。
【図9】従来の線材用ホルダーの一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示した従来の線材用ホルダーから結束バンドを取り出す状態を示す説明図である。
【図11】従来の線材用ホルダーの他の例を示す分解斜視図である。
【図12】図11に示した従来の線材用ホルダーの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の線材用ホルダーを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
この発明の線材用ホルダーは、可撓性の帯状体1に圧縮可能な弾性部材2を付設し、この弾性部材2に複数本の線材Lを巻き込むことにより、これら複数本の線材Lを前記弾性部材2に保持するようにしたものとしている。すなわち、この発明の線材用ホルダーは、図1〜4に示したように、可撓性の帯状体1に圧縮可能な弾性部材2を付設したものとしており、図5に示したように、前記弾性部材2の上に複数本の結束バンドなどの線材Lを置き、図6に示したように、この弾性部材2を巻き込むことにより、その巻き込んだ弾性部材2の間に前記線材Lを挟み込むようにして保持するようにしたものとしている。
【0020】
前記帯状体1は、横長の略四角形状の布地、合成樹脂地、皮革地等からなり、その表面の略全体に弾性部材2の表当部2aを添わせて、その両側部を縫着し、帯状体1を略三等分する位置の上下に掛け渡した紐状の止体3で、その表当部2aの中間部を帯状体1側から浮かないようにして、弾性部材2の表当部2aを付設したものとしている。さらに、前記帯状体1は、その裏面の一側部に前記表当部2aの略1/3の横幅の弾性部材2の裏当部2bを添わせて、その両側部を縫着し、弾性部材2の裏当部2bを付設したものとしている。このようにした帯状体1は、前記弾性部材2を巻き込んだとき、表当部2aどうしの間、または表当部2aと裏当部2bの間に、前記線材Lが挟み込まれて保持されることになる。なお、前記帯状体1は、横長形状に限定されることなく、場合によっては縦長形状にしてもよい。また、前記弾性部材2は、帯状体1の裏面に裏当部2bを付設したものとせず、表面の略全体に表当部2aのみを付設したものとしてもよい。さらに、前記弾性部材2の付設方法も縫着に限定されることなく、リベット止めしたり、接着剤を使用するなどして付設することもできる。
【0021】
前記弾性部材2は、連続発泡のポリウレタン、ポリエチレン等のスポンジ体をすることができ、表当部2a、裏当部2bともに圧縮されていない状態で5〜20mm程度の厚さを有するものとするのが、巻き込み易いものとなり好ましい。なお、前記弾性部材2の巻き込み加減によって、線材Lの保持具合を調節することができる。すなわち、前記弾性部材2を強く巻き込むことによって、線材Lの保持力を強くすることができ、前記弾性部材2を弱く巻き込むことによって、線材Lの保持力を弱くすることができる。この線材Lの保持具合は、各使用者に応じて取り出し易い程度に調節すればよい。
【0022】
さらに、前記帯状体1には、面接着ファスナー4を取り付けたものとしており、この面接着ファスナー4によって、前記弾性部材2を巻き込んだ状態に維持しておくようにしている。例えば図示したように、前記帯状体1の一側端に面接着ファスナー4の一方4aを取り付けており、帯状体1の裏面の略中央に前記面接着ファスナー4の他方4bを取り付けており、前記弾性部材2を巻き込んだとき、これら面接着ファスナー4の一方4aと他方4bを互いに接着させて、弾性部材2をその巻き込んだ状態に維持しておくようにしている。
【0023】
また、前記帯状体1には、使用者の腰ベルトへ直接、取り付けておくための取付け帯5を裏面の一側端寄りに設けたり、使用者が装着している腰袋(図示せず)または工具バッグ(図示せず)に吊り下げておくための吊下げ部6を上端に設けたり、屑入れ7を吊り下げておくための吊下げ部8を一端に設けたものとしている。図示したものでは、吊下げ部6および吊下げ部8は、金属製や硬質合成樹脂製のフック環としているが、布製や軟質合成樹脂製の環状体(図示せず)とするなど、任意なものとすることができる。
【0024】
前記取付け帯5は、裏面に面接着ファスナー4の一方4aを取り付け、これに接着する面接着ファスナー4の他方4bを帯状体1の裏面に取り付けたものとしており、その帯状体1と取付け帯5の間に使用者の腰ベルトを通して、これら面接着ファスナー4の一方4aと他方4bを互いに接着させて、使用者の腰ベルトに取り付けておくようにしている。
【0025】
前記屑入れ7は、縦長の袋状としており、布地、合成樹脂地、皮革地等からなり、図7に示したように、その口端部に吊下げ部6を設けたり、図8に示したように、その口端部にホック付き吊下げ帯9を設け、これら吊下げ部6や吊下げ帯9を前記帯状体1の吊下げ部8に吊り下げておくようにしている。この屑入れ7は、電線やケーブル等の束を保持した後の線材Lの切り屑や、電線やケーブル等に通した保護管を固定した後の線材Lの切り屑を入れておくためのものである。
【0026】
前記線材Lは、図示したものでは、可撓性の合成樹脂材等からなる10〜25cm程度の細長い板状体とした結束バンドとしており、胴部mの片面の幅方向に複数の止溝(図示せず)を形成し、頭部hに止孔10を形成し、足部fを胴部mよりさらに細くして折り曲げている。この線材Lで電線やケーブル等の束を保持するには、これらに巻き付けて、足部fを頭部hの止孔10に通し締め付けて、頭部hの止孔10に胴部mの止溝を止着しておけばよい。そして、前記止孔10から食み出た胴部mや足部fの余計な部分は、必要に応じてニッパ等で切断し、その切り屑を前記したように屑入れ7に入れておけば、切り屑が散らかることはない。なお、前記線材Lをバインド線とした場合にも、電線やケーブル等に通した保護管を固定した後のバインド線の切り屑も同様にして屑入れ7に入れておけば、切り屑が散らかることはないのはいうまでもない。
【0027】
このように構成したこの発明の線材用ホルダーは、図5に示したように、弾性部材2の上に結束バンドやバインド線などとした複数本の線材Lを置き、図6に示したように、この弾性部材2を巻き込むだけで、その巻き込んだ弾性部材2の間にこれら線材Lを挟み込むようにして保持することができるので、複数本の線材Lを一度に、しかも簡単に保持することができるものとなる。
【0028】
そして、この発明の線材用ホルダーは、図5に示したように、弾性部材2の上に複数本の線材Lを置くときに、線材Lをバインド線とした場合には、その線材Lの頭部hを各使用者に応じて取り出し易い程度に突出させておけば、弾性部材2を巻き込んだときにも線材Lの頭部hをその突出した状態で保持しておけるので、その使用者にとって線材Lが非常に早く取り出せるものとなる。さらに、この発明の線材用ホルダーは、線材Lの寸法が長い場合でも、その線材Lの足部f側を弾性部材2の下側に食み出させておけるので、前記線材Lの頭部hを突出させておく程度が多くても少なくても差し支えることがないものとなる。なお、この発明の線材用ホルダーは、前記線材Lをバインド線とした場合には、そのバインド線を二つ折りにして保持しておくこともできる。
【0029】
さらに、この発明の線材用ホルダーは、図6に示したように、複数本の線材Lを保持した状態から、これらの線材Lを取り出して行くにしたがい、これらの線材Lの本数が少なくなっても、保持力が変わらず、これらの線材Lが弾性部材2からずれることなく、取り出し難くなることがなく、しかも早く取り出せるものとなる。なお、前記線材Lを取り出し過ぎた場合など、その一度取り出した線材Lを、もう一度巻き込んだ弾性部材2の間に差し込むこともでき、使用し易いものとなる。
【0030】
また、この発明の線材用ホルダーは、線材Lをすべて取り出した後も、そのまま巻き込んだ弾性部材2の間に、もう一度線材Lを差し込んで使用することもでき、この場合には弾性部材2を巻き戻す作業が不要となるので、線材Lを保持するための素早い対応ができる。
【符号の説明】
【0031】
1 帯状体
2 弾性部材
2a 表当部
2b 裏当部
4 面接着ファスナー
5 取付け帯
6 吊下げ部
7 屑入れ
8 吊下げ部
L 線材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の帯状体(1)に圧縮可能な弾性部材(2)を付設し、この弾性部材(2)に複数本の線材(L)を巻き込むことにより、これら複数本の線材(L)を前記弾性部材(2)に保持するようにしたことを特徴とする線材用ホルダー。
【請求項2】
前記帯状体(1)の表面の略全体に前記弾性部材(2)の表当部(2a)を付設したものとし、前記帯状体(1)の裏面の一側部に前記表当部(2a)の略1/3の横幅の弾性部材(2)の裏当部(2b)を付設したことを特徴とする請求項1記載の線材用ホルダー。
【請求項3】
前記帯状体(1)に面接着ファスナー(4)を取り付け、この面接着ファスナー(4)によって前記弾性部材(2)を巻き込んだ状態に維持しておくようにしていることを特徴とする請求項1または2記載の線材用ホルダー。
【請求項4】
前記帯状体(1)に、使用者の腰ベルトへ取り付けておくための取付け帯(5)を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の線材用ホルダー。
【請求項5】
前記帯状体(1)に、使用者が装着している腰袋または工具バッグに吊り下げておくための吊下げ部(6)を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の線材用ホルダー。
【請求項6】
前記帯状体(1)に、屑入れ(7)を吊り下げておくための吊下げ部(8)を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の線材用ホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−171654(P2012−171654A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35545(P2011−35545)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(397016448)ジェフコム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】