説明

線条体の巻取り方法

【課題】線条体を巻き取るボビンの切り替え時における線条体の損傷を確実に防止することができる線条体の巻取り方法を提供する。
【解決手段】第1のボビン2aと第2のボビン2bとの間に配した駆動ローラ7と押さえローラ6aとによって第1のボビン2aで巻取る線条体1の巻取り終了部分を挟持して引取ることにより、第1のボビン2aで線条体1の巻取りを終了した後、線条体1の走行を中断することなく引き続き第2のボビン2bで線条体1を巻取る方法であって、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対して、駆動ローラ7の回転数のずれが、Y=25000×X−1.34(%)で求められるずれ量Y以下となってから線条体1の巻取り終了部分を駆動ローラ7と押さえローラ6aとによって挟持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ、電線等の線条体の巻取りに関し、特に線条体の巻取りを切り替える際の切断部分を処理する線条体の巻取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ、電線等の線条体の製造で、連続的に高速で送られてくるこれらの線条体を巻取りボビンで巻取る場合、所定量の巻取りを終えて満巻きされた巻取りボビン(第1のボビンとする)から新しく巻取りを開始する空の巻取りボビン(第2のボビンとする)に、線条体の走行を中断することなく切り替えることが行なわれている。
【0003】
このような巻取り装置としては、第1のボビンと第2のボビンとの間に配した引取り手段によって第1のボビンで巻取る線条体の終了部分を引取り、続いて、満巻きされた第1のボビン又はその近傍に設けられた係止爪に線条体を係止して切断することにより、第1のボビンの線条体の巻き終端が振れ回って第1のボビンに巻き取られた線条体を損傷させるような不具合を防止し、また、引取り手段によって引取られる線条体を吸引ノズルで吸引し、引取られる線条体が第1のボビンに巻き取られた線条体に接触して損傷させるような不具合を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の巻取り装置において、引取り手段は、第1のボビンと第2のボビンとの間に設けられた駆動ローラと押さえ部材とを有し、押さえ部材を駆動ローラ側に変位させ、駆動ローラの表面に線条体を押し付け、ローラ表面の摩擦力で線条体を引取っている。引取り手段によって線条体を引取る際に、引取り手段の駆動ローラの回転速度が線条体の線速に対して大きくずれていると、押さえ部材によって駆動ローラの表面に線条体を押し付けた際に、線条体に大きな張力が加わり、線条体が損傷して断線するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、線条体を巻き取るボビンの切り替え時における線条体の損傷を確実に防止することができる線条体の巻取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の線条体の巻取り方法は、第1のボビンと第2のボビンとの間に配した第1のローラと第2のローラとによって前記第1のボビンで巻取る線条体の巻取り終了部分を挟持して引取ることにより、第1のボビンで線条体の巻取りを終了した後、線条体の走行を中断することなく引き続き前記第2のボビンで線条体を巻取る方法であって、
前記線条体の線速Xから求めた目標回転数に対して、前記第1のローラの回転数のずれが、Y=25000×X−1.34(%)で求められるずれ量Y以下となってから前記線条体の巻取り終了部分を前記第1のローラと前記第2のローラとによって挟持させることを特徴とする。
【0008】
本発明の線条体の巻取り方法において、前記第1のローラの周速に対する前記第2のローラの周速のずれが±1.0%以内となってから前記線条体の巻取り終了部分を前記第1のローラと前記第2のローラとによって挟持させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、線条体の線速Xから求めた目標回転数に対して、第1のローラの回転数のずれをY=25000×X−1.34(%)で求められるずれ量Y以下とすることにより、第1のローラの周速と線条体の線速Xとがほぼ同速とされ、よって、第1のローラを線条体に接触させても、第1のローラの接触による線条体への張力の負荷がほぼなくされる。これにより、線条体の線速Xから求めた目標回転数に対する第1のローラの回転数のずれによる線条体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の例を示す図であって、第1のボビンでの巻取り中の状態を示す図である。
【図2】第1のボビンから第2のボビン側に巻取りを切り替えるべく、ガイドローラを第2のボビン側に移動させた状態を示す図である。
【図3】線条体の引取り状態を示す図である。
【図4】第1のボビン側の線条体を切断し、第2のボビン側の巻取りを準備する状態を示す図である。
【図5】第2のボビンによる巻取りが開始される状態を示す図である。
【図6】線条体の線速から求めた目標回転数に対する駆動ローラのずれ量を変化させて線条体を引取らせた際の失敗率を示したグラフである。
【図7】各線速と各線速に対する許容ずれ量との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る線条体の巻取り方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
なお、本発明の説明に際して、図の左側に示す巻取りユニットに配されたボビンを第1のボビン2aとし、右側に示す巻取りユニットに配されたボビンを第2のボビン2bと仮定して説明するが、第1,第2の称呼は、構成を明確にするために付するものであり、左右の巻取りユニットを入れ替えて使用してもよいものである。また、第1のボビン2a側のユニットに関連する構成には(a)の符号を付け、第2のボビン2b側のユニットに関連する構成には(b)の符号を付けて説明する。
【0012】
本実施形態の線条体の巻取り方法は、光ファイバ、細径の電線またはケーブル等の線条体1を、第1のボビン2aと第2のボビン2bとを交互に切り替えて、線条体1を途中で切断せずに、連続的に高速で巻取ることができるものである。本実施形態の巻取り装置は、引取り手段、係止手段、切断手段、吸引手段を備えている。
【0013】
引取り手段としては、例えば、図1に示すように、第1のボビン2aと第2のボビン2bとの間に、駆動ローラ7(第1のローラ)と、押さえローラ(第2のローラ)6a,6bとからなる構成のものを用いることができる。この引取り手段は、ローラ表面の摩擦力により線条体1を引取るものであり、押さえローラ6a又は6bを駆動ローラ7側に変位させ、駆動ローラ7の表面に線条体1を押し付け、ローラ表面の摩擦力で線条体1を何れかの方向に引取る。
【0014】
駆動ローラ7は、駆動モータ(図示省略)によって回転される駆動軸に固定されており、駆動モータによって回転される駆動軸とともに回転される。押さえローラ6a又は6bは、それぞれベアリングを介して押さえローラ自身の軸と固定されており、押さえローラ自身の軸と駆動モータ(図示省略)によって回転される駆動軸とはベルトを介して固定され、駆動モータによって回転される駆動軸の回転に伴い、ベルトとベアリングの摩擦力によって押さえローラ6a又は6bは回転される。なお、この押さえローラ6a又は6bは、ベアリングを介して固定されていることより、押さえローラ自身の軸に対して回転可能である。
【0015】
これらの駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bの回転数は、それぞれの駆動モータからフィードバックされる信号に基づいて検出可能である。なお、これらの駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bに、それぞれエンコーダを設け、このエンコーダからの信号に基づいて駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bの回転数を検出しても良い。また、それぞれの円周と回転数とによって駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bの周速も検出が可能である。
【0016】
係止手段としては、第1及び第2のボビン2a,2bに対して、線条体1の巻始端又は巻終端を係止して、巻取りの開始及び終了が実行できる構成であればよい。例えば、この係止手段は、第1及び第2のボビン2a,2bの少なくとも一方の側に取り外し可能に爪ホイール5a,5bを取り付け、ボビンと一緒に回転する構成を用いることができる。爪ホイール5a,5bには、線条体1を掴んで係止することが可能な係止爪10a,10bを設け、ボビンの回転で線条体1を引っ掛けて止めるようにする。
【0017】
線条体1の切断手段としては、図ではカッター9a,9bとして簡略に示したが各種形状のものを用いることができる。この切断手段は、線条体1の巻始端又は巻終端を係止手段に係止させることに連動して、切断操作が実行される。また、切断された端末線の長さができるだけ短くなるように、線条体1の巻始端又は巻終端の近傍を切断するように配置されるのが望ましい。
【0018】
吸引手段は、引取り手段によって引取られた線条体1を収納する吸引ノズル8a,8bからなるものである。吸引手段により、例えば、引取られた線条体1が設備の周辺に散らかったり絡み付いたりすることがなく、廃棄処理のための手間が少なくて済む。
【0019】
さらに、本発明では、引取り手段及び吸引手段を制御する制御部11を備えている。この制御部11には、駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bを回転させる駆動モータからのフィードバックの信号からなる回転数の信号、あるいは駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bに設けられたエンコーダからの信号からなる回転数の信号が送信される。そして、制御部11は、送信される回転数の信号から駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bの周速を求め、この周速に基づいて、巻取り動作の制御を行う。
【0020】
次に、本発明の制御部11による線条体1の巻取り方法について、巻取りを終了した第1のボビン2aから、空の第2のボビン2bに巻取りを切り替える例を説明する。図1は、第1のボビン2aでの巻取り中の状態を示す図であり、第1のボビン2aは時計方向に回転し、線条体1を案内するガイドローラ3は、第1のボビン2aと第2のボビン2bの間にある。線条体1は、第1のボビン2aとガイドローラ3とを相対的にトラバースさせて巻取られるが、図では、ガイドローラ3側をトラバースさせずに、第1のボビン2a側を軸方向にトラバースさせる例で示してある。この例は、線条体1の振れが少なく高速で巻取る場合に適するとされている。なお、第1のボビン2a側を移動させずに、ガイドローラ3側をトラバースさせる構成であってもよい。
【0021】
図2は、第1のボビン2a上の線条体1が満巻され、又は巻取りが終了とされ、第2のボビン2b側に巻取りを切り替えるべく、ガイドローラ3を空の第2のボビン2b側に移動させた状態を示している。ガイドローラ3を第2のボビン2b側に移動することにより、線条体1のパスラインは、駆動ローラ7の表面付近を通り、第2のボビン2bの胴部に近接又は接する位置に変わる。
【0022】
この段階で駆動ローラ7を反時計方向に回転させるとともに、押さえローラ6aを時計方向に回転させ、また、第2のボビン2bを反時計方向に回転させる。このとき、駆動ローラ7及び押さえローラ6aは、線条体1の線速Xから求めた目標回転数となるように回転させる。しかし、未だ、押さえローラ6a,6bは駆動ローラ7から離れた位置にあり、線条体1の引取り動作は開始されていない。したがって、線条体1のパスラインが変化しただけで、第1のボビン2aによる巻取りが依然として続いている。
【0023】
ところで、駆動ローラ7及び押さえローラ6a又は6bによって線条体1を挟持して引取る際に、駆動ローラ7の周速が線条体1の線速Xに対して大きくずれていると、押さえローラ6a又は6bによって駆動ローラ7の表面に線条体1を押し付けた際に、線条体1に大きな張力が加わり、線条体1が損傷して断線するおそれがある。
【0024】
そのため、駆動ローラ7に左側の押さえローラ6aを押し付けて線条体1を挟持させる前に、駆動ローラ7の回転数を監視し、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対して、駆動ローラ7の回転数のずれが、次式(1)で求められるずれ量Y以下となっているかを判定する。
【0025】
Y=25000×X−1.34(%) …(1)
【0026】
図6は、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対する駆動ローラ7のずれ量を変化させて線条体1を引取らせた際に、線条体1が損傷して断線する割合である失敗率を求めてグラフ化したものである。なお、線条体1の線速Xは、1000m/分、1500m/分、2000m/分、2500m/分、3000m/分とした。
【0027】
図6に示すように、各線速Xにおいて、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対する駆動ローラ7のずれ量を大きくすると、線条体1の失敗率が増加した。また、この失敗率は、線条体1の線速Xが速いほど小さなずれ量にて増加した。その結果、各線速Xにおいて、線条体1が損傷して断線することのない(失敗率が1%以内である)最大のずれ量である許容ずれ量を求めると、1000m/分では2.25%、1500m/分では1.5%、2000m/分では1%、2500m/分では0.75%、3000m/分では0.5%となる。
【0028】
図7は、各線速Xと各線速Xに対する許容ずれ量との関係をグラフ化したものである。そして、この図7の各線速Xに対する許容ずれ量を通る関数曲線を求めたところ上式(1)が得られた。
【0029】
さらに、駆動ローラ7に左側の押さえローラ6aを押し付けて線条体1を挟持させる前に、押さえローラ6aの回転数に基づく押さえローラ6aの周速を監視し、駆動ローラ7の周速に対する押さえローラ6aの周速のずれが、±1.0%以内となっているかを判定する。
【0030】
ここで、駆動ローラ7の回転数に対する押さえローラ6aの周速のずれによって線条体1が損傷して断線する割合である失敗率を調べた結果、ずれが±0.5%であると失敗率0%、ずれが±1.0%であると失敗率1%、ずれが±1.5%であると失敗率10%であった。
この結果より、本実施形態では、失敗率を1%に抑えるように、駆動ローラ7の周速に対する押さえローラ6aの周速のずれを±1.0%以内としている。
【0031】
目標回転数に対して駆動ローラ7の回転数のずれがずれ量Y以下となり、駆動ローラ7の周速に対する押さえローラ6aの周速のずれが±1.0%以内となったら、図3に示すように、左側の押さえローラ6aを駆動ローラ7側に変位させ、駆動ローラ7の表面に線条体1を押し付ける。この段階で引取り手段が動作し、ローラ表面の摩擦力で線条体1を左側方向に引取る。第1のボビン2aが回転している場合、引取られた線条体1は、そのまま第1のボビン2aで巻取られる。
【0032】
このとき、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対して、駆動ローラ7の回転数のずれをY=25000×X−1.34(%)で求められるずれ量Y以下としているので、駆動ローラ7の周速と線条体1の線速とがほぼ同速となる。よって、駆動ローラ7を線条体1に接触させても、駆動ローラ7の接触による線条体1への張力の負荷がほぼなくされる。これにより、線条体1の線速Xから求めた目標回転数に対する駆動ローラ7の回転数のずれによる線条体1の損傷を防止することができる。
【0033】
また、駆動ローラ7の周速に対する押さえローラ6aの周速のずれを±1.0%以内としているので、駆動ローラ7と押さえローラ6aとの周速が大きく違うことによる線条体1へのせん断応力や圧縮応力の付加をなくし、線条体1の損傷を極力抑えることができる。これにより、駆動ローラ7及び押さえローラ6aによって、線条体1を損傷させることなく良好に引取ることができる。
【0034】
なお、上記の駆動ローラ7及び押さえローラ6aによって線条体1を引取る際に、引取られる線条体1の引取り速度が巻取り速度と一致していれば、図3の状態で、第1のボビン2aの巻取りが継続される。しかし、引取り速度が線条体1の巻取り速度より速ければ、吸引ノズル8aによる吸引手段により蓄線される。
【0035】
図4は、第1のボビン2a側で線条体1を切断する状態を示している。線条体1が駆動ローラ7と押さえ部材6aにより引取られると共に、第1のボビン2aでの巻取りが継続されている状態で、駆動ローラ7と押さえ部材6aは、線条体1の引取りを行ないながら矢印E方向に移動される。この駆動ローラ7と押さえ部材6aの移動により、ガイドローラ3との間のパスラインが変化し、線条体1を第1のボビン2aの爪ホイール5aに接するようにすることができる。爪ホイール5aを線条体1に接する状態とすることにより、爪ホイール5a上の係止爪10aで線条体1を掴むことが可能となる。なお、爪ホイール5a上の係止爪10aには、既に線条体1の巻始端を係止しているが、更に巻終端も係止可能に形成されていることが望ましい。係止爪を巻始端用と巻終端用で別々に設ける構成としてもよい。
【0036】
その状態で、爪ホイール5a上の係止爪10aで線条体1を掴むと、第1のボビン2aの回転により、線条体1は係止爪10aと共に移動して引っ張られ、カッター9aに当たって切断される。切断された線条体1の端末線1aは、係止爪10aで掴まれた部分からの長さが極めて短く、第1のボビン2aの回りを振れ回るには至らず、また、これにより巻線体上を叩くこともない。したがって、回転状態で線条体1を切断しても、これによる線叩きは発生しない。そして、線条体1を切断した後に、第1のボビン2aの回転を停止すべく電源をオフとすればよい。しかし、第1のボビン2aの回転は、慣性によって電源オフから完全停止まで多少回転が継続されるので、線条体1が切断される少し前の状態で、電源オフとしてもよい。
【0037】
線条体1が第1のボビン2a側で切断された後においても、線条体1は駆動ローラ7と押さえローラ6aにより、継続して引取られる。なお、引取られた線条体1は、吸引ノズル8aを用いた吸引手段により吸引させる。これにより、線条体1の走行は中断されることなく所定の線速を維持して継続させることができる。なお、吸引された線条体1は、吸引ボックス等に収納されるようにして、周囲に飛び散ったりしないようにするのが好ましい。
【0038】
図4の状態から、駆動ローラ7と押さえ部材6aは、線条体1の引取りを行いながらさらに矢印E方向に移動される。この状態で、第2のボビン2bの回転により爪ホイール5b上の係止爪10bで線条体1を掴むと、第2のボビン2bの回転で線条体1が係止爪10bと共に移動して引っ張られ、カッター9bにより切断される。これにより、線条体1の始端はフリー状態となって第2のボビン2bによる新たな巻取りが開始される。図5は、線条体1がカッター9bにより切断された後、第2のボビン2bによる巻取りが開始される状態を示している。一方、カッター9bによって切断され、引取り手段により引取られた線条体1は吸引手段に吸引収納され、不要品として廃棄される。
【0039】
以上、左側ユニットの第1のボビン2aから右側ユニットの第2のボビン2bに巻取りを切り替える例を説明したが、右側ユニットの第2のボビン2bから左側ユニットの第1のボビン2aに巻取りを切り替える場合も、逆の動きをして実施することができる。この場合、駆動ローラ7は時計方向に回転され、押さえローラ6bは反時計方向に回転され、駆動ローラ7と押さえローラ6bとの間で線条体1を挟んで引取ることとなる。また、吸引手段も右側の吸引ノズル8bが動作することとなる。
【0040】
本発明は、線条体が光ファイバ母材から線引きされた光ファイバである場合に、特に効果が大きい。光ファイバの線引き中に光ファイバを巻取るボビンを替えるために光ファイバの線引きを中断すると、再度線速を定常状態に戻すのに数十分以上を要し、しかもその間に線引きされた光ファイバは不良品として処分される。本発明によれば、線条体の巻取りを中断したり、線速を遅くすることがなく、また、引取る際に線条体を損傷し断線させることもないので、光ファイバの製造効率と歩留まりを向上させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1:線条体、2a:第1のボビン、2b:第2のボビン、6a,6b:押さえローラ(第2のローラ)、7:駆動ローラ(第1のローラ)、11:制御部、X:線速、Y:ずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のボビンと第2のボビンとの間に配した第1のローラと第2のローラとによって前記第1のボビンで巻取る線条体の巻取り終了部分を挟持して引取ることにより、第1のボビンで線条体の巻取りを終了した後、線条体の走行を中断することなく引き続き前記第2のボビンで線条体を巻取る方法であって、
前記線条体の線速Xから求めた目標回転数に対して、前記第1のローラの回転数のずれが、Y=25000×X−1.34(%)で求められるずれ量Y以下となってから前記線条体の巻取り終了部分を前記第1のローラと前記第2のローラとによって挟持させることを特徴とする線条体の巻取り方法。
【請求項2】
請求項1に記載の線条体の巻取り方法であって、
前記第1のローラの周速に対する前記第2のローラの周速のずれが±1.0%以内となってから前記線条体の巻取り終了部分を前記第1のローラと前記第2のローラとによって挟持させることを特徴とする線条体の巻取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255998(P2011−255998A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131021(P2010−131021)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】