説明

線状シクロデキストリン共重合体類

【課題】シクロデキストリン部分が主鎖の一部であり、主鎖からはずれたペンダント部分ではない線状シクロデキストリン重合体類とそれらの製造法の提供。
【解決手段】重合体骨格に組み込まれた非酸化および/または酸化シクロデキストリン部分を含む線状デキストリン共重合体類、並びに線状酸化シクロデキストリン共重合体類。このような共重合体を製造する方法。線状シクロデキストリン共重合体および線状酸化シクロデキストリン共重合体は、種々の治療剤の送達ビヒクルとして用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状シクロデキストリン共重合体類および線状酸化シクロデキストリン共重合体類に関する。これらの共重合体類は、それぞれその共重合体骨格に一体化された単量体単位として酸化されていない、或いは酸化シクロデキストリン部分を含む。本発明は、また線状シクロデキストリン共重合体類および線状酸化シクロデキストリン共重合体類を製造する方法にも関する。このようなシクロデキストリン共重合体類は、種々の治療剤の送達ビヒクルとして用いることができる。
【背景技術】
【0002】
シクロデキストリンは、α−(1,4)結合に天然由来のD(+)−グルコピラノース単位を含む環状多糖類である。最も一般的なシクロデキストリン類は、それぞれ6個、7個、または8個のグルコピラノース単位を含むアルファ(α)−シクロデキストリン類、ベータ(β)−シクロデキストリン類、およびガンマ(γ)−シクロデキストリン類である。構造的に、シクロデキストリンの環状性は内側に無極性または疎水性空洞を有するトーラスまたはドーナツ状の形状を形成し、そのシクロデキストリン・トーラスの一方の側には第2級水酸基、他方の側には第1級水酸基が配置されている。従って、例えば(β)−シクロデキストリンの場合で言えば、シクロデキストリンは以下のように模式的に図示されることが多い。
【0003】
【化1】

【0004】
第2級水酸基が存在している側は、第1級水酸基が配置されている側と比較してより大きな直径を有している。シクロデキストリン内側空洞の疎水性から種々の化合物の取り込みを可能にする。(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Volume 3, J.L. Atwood等編集、Pergamon Press (1996); T. Cserhabi, Analytical Biochemistry, 225:328-332 (1995); Husain等、Applied Spectroscopy,46:652-658 (1992); FR 2 665 169)。
【0005】
シクロデキストリン類は、シクロデキストリンの疎水性空洞内へ入り込むことができる種々の薬剤との包接複合体を形成し、或いは、オリグヌクレオチド類およびそれらの誘導体などの他の生物学的活性な分子との非共有結合性の複合体を形成することによって種々の治療用組成物の送達ビヒクルとして用いられてきている。例えば、米国特許4,727,064号は、かなり低い水溶性を有する薬剤とアモルファス状の水溶性シクロデキストリンを基材とする混合物で構成された医薬製剤について述べている。この薬剤はその混合物のシクロデキストリンとの包接複合体を形成している。米国特許5,691,316号には、オリゴヌクレオチド類のためのシクロデキストリン細胞送達システムが述べられている。このようなシステムにおいては、オリゴヌクレオチドがシクロデキストリンと非共有結合によって複合体を形成しており、或いはオリゴヌクレオチドが共有結合でアダマンチン(adamantine)と結合しており、それがさらに非共有結合でシクロデキストリンと会合している。
【0006】
種々のシクロデキストリン含有重合体およびその製造法が先行技術において公知である(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Volume 3, J. L. Atwood等編集、Pergamon Press(1996))。固定化シクロデキストリンを含有している重合体を製造するための方法は、米国特許5,608,015号に述べられている。このプロセスによれば、シクロデキストリン誘導体をα,β−不飽和酸の酸ハライド単量体かその誘導体のいずれか、或いは末端イソシアネート基またはその誘導体を有するα,β−不飽和酸、またはその誘導体と反応させる。シクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンをカルボニルハライドおよび酸無水物などの化合物と反応させて得られる。その結果得られる重合体は、シクロデキストリン単位を線状重合体主鎖からはずれた側鎖として含んでいる。
【0007】
米国特許5,276,088号は、ポリビニルアルコールまたはセルロース或いはそれらの誘導体をシクロデキストリン誘導体と反応させるか、或いはシクロデキストリン誘導体を酢酸ビニルまたはメタクリル酸メチルと共重合させることによるシクロデキストリン重合体を合成する方法について述べている。この場合も、結果として得られるシクロデキストリン重合体は、シクロデキストリン部分をその重合体の主鎖からはずれたペンダント(pendant)部分として含む。
【0008】
超分子構造を有する生物分解性医薬用の重合体集合物がWO96/09071 A1に述べられている。この集合物はα、β、γ−シクロデキストリンに薬剤を結合させて、そしてその重合体の両端に生物分解性部分を有する線状重合体にそってその薬剤/シクロデキストリン化合物を引っ掛けることによって製造される多数の薬剤担持環状化合物で構成されている。このような集合物は、1つの疾病で起きる特有の生物分解に応答して薬剤を放出することができるとされている。これらの集合物は、通常「ネックレス・タイプ」シクロデキストリン重合体と呼ばれている。
【0009】
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、シクロデキストリン部分が主鎖の一部であり、主鎖からはずれたペンダント部分ではない線状シクロデキストリン重合体類とそれらの製造法の必要性は、当該技術分野において未だ存在する。
【0010】
[課題を解決するための手段]
本発明は、線状シクロデキストリン共重合体を提供することによって前記必要性に応えるものである。このような線状シクロデキストリン共重合体は以下の式(Ia)、(Ib)で示される反復単位、またはその組み合わせを有する。
【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
また、本発明は線状シクロデキストリン共重合体を製造するための方法をも提供する。1つの方法は同一、または異なる脱離基で二置換されたシクロデキストリン単量体前駆体および上記脱離基を置換することができるコモノマーA前駆体を共重合させる。別の方法は、シクロデキストリン単量体前駆体をヨウ素化してジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体を形成することと、コモノマーA前駆体で上記ジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体を共重合させて、線状シクロデキストリン共重合体を生成することを含む。さらに、別の方法ではシクロデキストリン単量体前駆体をヨウ素化してジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体を形成することと、該ジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体をアミノ化してジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体を形成することと、それから、コモノマーA前駆体で前記ジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体を共重合させて線状シクロデキストリン共重合体を生成することを含む。さらに別の方法では、線状酸化シクロデキストリン共重合体を線状シクロデキストリン共重合体に還元することを含む。
【0014】
本発明はさらに、線状酸化シクロデキストリン共重合体を提供する。線状酸化シクロデキストリン共重合体とは、以下の式(VIa)、(VIb)で示される少なくとも1つの酸化シクロデキストリン部分を含む線状シクロデキストリン共重合体である。
【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
本発明の線状シクロデキストリン共重合体の各シクロデキストリン部分は、式VIa、VIbで示される反復単位、またはその組み合わせを有する線状酸化シクロデキストリン共重合体を形成するために酸化することができる。
【0018】
また、本発明は線状酸化シクロデキストリンを製造する方法をも提供する。1つの方法は、少なくとも1つのシクロデキストリン単量体が酸化されるように線状シクロデキストリン共重合体を酸化することを含む。他の方法は、コモノマーA前駆体で酸化シクロデキストリン単量体前駆体を共重合させることを含む。
【0019】
本発明は、さらに基質上にグラフト化された、線状シクロデキストリン共重合体、または線状酸化シクロデキストリン共重合体およびそれらの製造方法を提供する。また、本発明は別の重合体に架橋された、線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体、およびそれらの製造方法を提供する。架橋されたシクロデキストリン重合体を製造する方法は、線状または線状酸化シクロデキストリン共重合体を架橋剤の存在下で、重合体と反応させることことを含む。
【0020】
本発明は、シクロデキストリン重合体に結合された少なくとも1つのリガンドを有する線状シクロデキストリン共重合体、または線状酸化シクロデキストリン共重合体を提供する。このリガンドは、共重合体のシクロデキストリン部分または共重合体のコモノマーA部分のいずれに結合されていてもよい。
【0021】
また、本発明は少なくとも1つの本発明の線状シクロデキストリン共重合体と、少なくとも1つの本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体とを含むシクロデキストリン組成物をも提供する。また、本発明は治療剤と、本発明の線状シクロデキストリン共重合体および/または線状酸化シクロデキストリン共重合体を含む治療用組成物をも提供する。治療的に有効な量の本発明の治療用組成物を投与することによる治療法についても述べる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の1つの実施の形態は、線状シクロデキストリン共重合体である。線状シクロデキストリン共重合体とは、その重合体骨格に組み入れられた部分としてのシクロデキストリン部分を含む重合体である。以前、シクロデキストリン部分は重合体主鎖の一部ではなく、むしろ、ペンダント部分として重合体骨格からはずれて付加されたものであった。本発明によれば、線状シクロデキストリン共重合体は式(Ia)、(Ib)で示される反復単位、またはその組み合わせを有する。
【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
式IaおよびIbにおいて、Cは置換または非置換シクロデキストリン単量体であり、AはシクロデキストリンCに対して結合された共有結合コモノマーである。シクロデキストリン単量体C前駆体とコモノマーA前駆体とを重合すると、本発明の線状シクロデキストリン共重合体がもたらされる。本発明の1つの線状シクロデキストリン共重合体内で、シクロデキストリン単量体C単位は、同一であっても異なっていてもよく、同様にコモノマーAも同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
シクロデキストリン単量体前駆体は、先行技術で公知のいかなるシクロデキストリンまたはその誘導体であってもよい。上に述べたように、シクロデキストリンは、最も普通には6〜8個の天然由来D(+)−グルコピラノース単位をそのα−(1,4)結合に含む環状多糖として定義される。好ましくは、前記シクロデキストリン単量体前駆体は、6個、7個、および8個のグルコース単位を有するシクロデキストリン、つまりそれぞれアルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリン、およびガンマ(γ)−シクロデキストリンである。シクロデキストリン誘導体とは、その置換基が以下に述べるようなコモノマーA前駆体との共重合に干渉しない当該技術分野で公知のいかなる置換シクロデキストリンであってもよい。本発明によれば、シクロデキストリン誘導体は中性、陽イオン性、陰イオン性のいずれであってもよい。適当な置換基の例としては、例えばヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキル基;例えば、ジヒドロキシルエーテル、メチル−ヒドロキシルエチルエーテル、エチル−ヒドロキシルエチルエーテル、そしてエチル−ヒドロキシルプロピルエーテルなどのエーテル基;例えば、メチルなどのアルキル基;例えば、グルコシル基およびマルトシル基などの糖類;例えば、カルボキシル酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、燐酸、チオホスホン酸、そしてスルホン酸基などの酸基;イミダゾール基;そして硫酸基などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0027】
シクロデキストリン単量体前駆体はさらに、以下に述べるようにコモノマーA前駆体とシクロデキストリン単量体前駆体との共重合をより容易にするように、或いはそれを起こさせるように化学的修飾(ハロゲン化、アミノ化など)することもできる。シクロデキストリン単量体前駆体の化学的修飾は、各シクロデキストリン部分上の2つの位置のみでの重合、つまり、二官能基シクロデキストリン部分の創出を可能にする。各グルコピラノース環のC1−C6位置のナンバリング方式は、以下の通りである。
【0028】
【化8】

【0029】
好ましい1つの実施の形態では、シクロデキストリン部分のC2、C3、C6のいずれかの2つ、またはその組み合わせで重合が起きる。例えば、1つのシクロデキストリン単量体前駆体は、2つのC6位置で重合され、一方、別のシクロデキストリン単量体前駆体はそのシクロデキストリン部分の1つのC2および1つのC6位置で重合される場合もある。β−シクロデキストリンを例に取った場合、シクロデキストリン中の各グルコピラノース環の相対的位置の文字による表示方式は、以下の通りである。
【0030】
【化9】

【0031】
本発明の線状シクロデキストリン共重合体の1つの好ましい実施の形態において、シクロデキストリン単量体Cは、以下の一般式(II)を有する。
【0032】
【化10】

【0033】
式(II)において、nとmは整数を表し、他の2つのグルコピラノース環と共に、そのシクロデキストリン単量体内のグルコピラノース単位の総数を示す。式(II)は、そのシクロデキストリン単位上の2つのC6位置で重合され得るシクロデキストリン単量体を示す。式(II)のシクロデキストリン単量体の実例としては、6A,6B−デオキシ−α−シクロデキストリン(n=0、m=4)、6A,6C−デオキシ−α−シクロデキストリン(n=1,m=3)、6A,6D−デオキシ−α−シクロデキストリン(n=2、m=2)、6A,6B−デオキシ−β−シクロデキストリン(n=0、m=5)、6A,6C−デオキシ−β−シクロデキストリン(n=1、m=4)、6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン(n=2、m=3)、6A,6B−デオキシ−γ−シクロデキストリン(n=0、m=6)、6A,6C−デオキシ−γ−シクロデキストリン(n=1、m=5)、6A,6D−デオキシ−γ−シクロデキストリン(n=2、m=4)、および6A,6E−デオキシ−γ−シクロデキストリン(n=3、m=3)などが挙げられるが、これらには限定されない。本発明の線状シクロデキストリン共重合体の別の好ましい実施の形態においては、シクロデキストリン単量体C単位は、以下の一般式(III)を有しており、式中p=5〜7である。
【0034】
【化11】

【0035】
式(III)で、シクロデキストリン単量体の1つのD(+)−グルコピラノースは、開環が行われ、シクロデキストリン単位のC2およびC3位置での重合を可能にしている。式(III)のシクロデキストリン単量体は、Westborough、MAのCarbomer社から市販されている。式(III)のシクロデキストリン単量体の例としては、2A,3A−デオキシ−2A,3A−ジヒドロ−α−シクロデキストリン、2A,3A−デオキシ−2A,3A−ジヒドロ−β−シクロデキストリン、2A,3A−デオキシ−2A,3A−ジヒドロ−γ−シクロデキストリンなどが挙げられ、これらは通常、それぞれ2,3−デオキシ−α−シクロデキストリン、2,3−デオキシ−β−シクロデキストリン、2,3−デオキシ−γ−シクロデキストリンと呼ばれているが、これらには限定されない。
【0036】
コモノマーA前駆体は直鎖、分岐のいずれの、左右対称または不斉の化合物であってもよく、上に述べたようにシクロデキストリン単量体前駆体との反応によって2つのシクロデキストリン単量体を互いに結合する。好ましくは、コモノマーA前駆体は少なくとも2つの官能基を含む化合物であり、それらによって反応さらにシクロデキストリン単量体間の結合が達成される。各コモノマーA前駆体においてあり得る官能基の例としては、アミノ基、酸基、エステル基、イミダゾール基およびアシルハライド基、およびそれらの誘導体などが挙げられる。これらの官能基は、同一あっても異なってもよく、また末端にあっても内部にあってもよい。1つの好ましい実施の形態においては、これら2つの官能基は同一であり、かつ末端に存在している。シクロデキストリン単量体前駆体とコモノマーA前駆体との共重合の際に、1つのシクロデキストリン単量体の第1級水酸基側を別のシクロデキストリン単量体の第1級水酸基側と結合することによって、1つのシクロデキストリン単量体の第2級水酸基側を別のシクロデキストリン単量体の第2級水酸基側と結合することによって、或いは1つのシクロデキストリン単量体の第1級水酸基側を別のシクロデキストリン単量体の第2級水酸基側と結合することによって、2つのシクロデキストリン単量体を相互に結合することができる。従って、このような結合の組み合わせが最終的な共重合体に存在している。コモノマーA前駆体と最終の共重合体におけるコモノマーAの両方とも中性、陽イオン性(例えば、第4級アンモニウム基などのプロトン化された基を含んでいることによる)、或いは陰イオン性(例えば、硫酸、燐酸、またはカルボン酸などの脱プロトン化された基を含んでいることによる)のいずれであってもよい。共重合体のコモノマーAの電荷は、pH条件を調節することによって調整することができる。適当なコモノマーA前駆体の例としては、シスタミン、1,6−ジアミノヘキサン、ジイミダゾール、ジチオイミダゾール、スペルミン、ジチオスペルミン、ジヒスチジン、ジチオジヒスチジン、スクシミド(例えばジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)およびジスクシンイミジルスベレート(DSS))およびイミデート(例えば、ジメチル−3,3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)などが挙げられるが、これらに限定されない。シクロデキストリン単量体前駆体とコモノマーA前駆体との共重合は、以下の一般式を有するコモノマーA結合を含む本発明の線状シクロデキストリン共重合体の形成をもたらす。
【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
上の式で、x=1〜50、y+z=xである。好ましくは、x=1〜30である。より好ましくは、x=1〜20である。1つの好ましい実施の形態では、コモノマーAは生物分解性、或いは酸不安定性である。また好ましい実施の形態では、コモノマーA前駆体、従ってコモノマーAは望ましい応用目的を達成するために選択可能である。例えば、小型分子治療剤を送達するためには、荷電重合体は必要ではなく、コモノマーAがポリエチレングリコール基であってもよい。
【0041】
本発明の線状シクロデキストリン共重合体は、そのシクロデキストリン共重合体に結合された(取りつけられた)少なくとも1つのリガンドで修飾することができる。このリガンドはシクロデキストリン単量体CまたはコモノマーAを介してシクロデキストリン共重合体に結合されることができる。好ましくは、前記リガンドは上記線状シクロデキストリン共重合体の少なくとも1つのシクロデキストリン部分に結合される。好ましくは、リガンドは線状シクロデキストリン共重合体が、細胞を標的として、それに結合することを可能にする。同一であるか、異なるかを問わず、複数のリガンドが本発明の線状シクロデキストリン共重合体に結合される場合は、追加的なリガンド、またはリガンド類はその共重合体の同一、または異なるシクロデキストリン部分、或いは同一、または異なるコモノマーAに結合される。適当なリガンドの例としては、ビタミン類(例えば葉酸など)、蛋白質(例えば、トランスフェリン、およびモノクローナル抗体など)、そして多糖類が挙げられるが、これらには限定されない。リガンドは、望ましい送達のタイプによって変わる。例えば、受容体が媒介する送達は、限定はされないが葉酸などを用いることによって達成できる。一方、アンチセンスオリゴ送達は、限定はされないがトランスフェリンリガンドなどの使用で達成することができる。前記リガンドは、公知の手段によって本発明の共重合体へ結合させることができる。
【0042】
本発明の別の実施の形態は、線状シクロデキストリン共重合体を製造する方法である。本発明によれば、本発明の線状シクロデキストリン共重合体は、適当な脱離基で二置換されたシクロデキストリン単量体前駆体と、脱離基を置換することができるコモノマーA前駆体とを共重合させることによって製造することができる。この脱離基は、同一であるかまたは異なっていてもよく、コモノマーA前駆体との共重合の際に置換されうる公知のいかなる脱離基であってもよい。1つの好ましい実施の形態では、線状シクロデキストリン共重合体が、シクロデキストリン単量体前駆体をヨウ素化してジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体を形成し、そして該ジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体をコモノマーA前駆体で共重合させて、それぞれ上に示したような式Ia、Ibで示される反復単位、またはその組み合わせを有する線状シクロデキストリン共重合体を形成することによって製造することができる。1つの好ましい実施の形態では、本発明の線状シクロデキストリンを製造する方法は、上に述べたように、シクロデキストリン単量体前駆体をヨウ素化して、以下の式IVa、IVb、IVcで示されるジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物を形成する。
【0043】
【化15】

【0044】
【化16】

【0045】
【化17】

【0046】
前記ジヨウ素化シクロデキストリンは、公知のいかなる手段で製造してもよい。(Tabushi等、J. Am. Chem. 106: 5276-5270 (1984);Tabushi等、J. Am. Chem. 106: 4580-4584 (1984))。例えば、β−シクロデキストリンを無水ピリジンの存在下で、ビフェニル−4,4'−ジスフホニルクロライドと反応させて、ビフェニル−4,4'−ジスフホニルクロライドでキャプされたβ−シクロデキストリンを形成し、それをヨウ化カリウムと反応させてジヨウ素化β−シクロデキストリンを製造する。シクロデキストリン単量体前駆体は、2つの位置のみでヨウ素化される。上に述べたように、コモノマーA前駆体と前記ジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体を共重合させることにより、式Ia、Ibで示される反復単位、またはその組み合わせを有する線状シクロデキストリン重合体を製造することができる。適切ならば、ヨード、またはヨード基を他の公知の脱離基と置き換えることもできる。
【0047】
また本発明によれば、ヨード基または他の適当な脱離基を上に述べたようにコモノマーA前駆体との反応を可能にする基で置換することができる。例えば、式Va、Vb、Vcで示されるジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物をアミノ化して、式Va、Vb、Vcで示されるジアミノシクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物を形成する。
【0048】
【化18】

【0049】
【化19】

【0050】
【化20】

【0051】
前記ジアミノ化されたシクロデキストリン単量体前駆体は、公知のいかなるの手段によってでも製造することができる。(Tasushi等, Tetrahedron Lett. 18:1527-1530(1977);Mungall等, J. Org. Chem. 1659-1662 (1975))。例えば、ジヨード−β−シクロデキストリンをナトリウムアジドと反応させて、その後還元して、ジアミノ−β−シクロデキストリンを形成する。シクロデキストリン単量体前駆体は、2つの位置のみでアミノ化される。その後、ジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体を上に述べたようにコモノマーA前駆体と共重合させて、これも上に述べたように式Ia、Ibで示される反復単位、またはその組み合わせを有する線状シクロデキストリン共重合体を生成することができる。しかしながら、ジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体のアミノ官能基は、そのシクロデキストリン部分に直接結合されている必要はない。代替的に、アミノ官能基は、例えば−SCH2CH2NH2などの部分を含むアミノ基でシクロデキストリン単量体前駆体のヨードまたは他の適当な脱離基を置換することによって導入して、以下の式Vd、Ve、Vfで示されるジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物を形成できる。
【0052】
【化21】

【0053】
【化22】

【0054】
【化23】

【0055】
本発明の線状シクロデキストリン共重合体は、以下に述べるように本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体を還元することによっても製造することができる。この方法は、コモノマーAが例えば、ジスルフィド結合などの還元可能な部分または基を含んでいない場合に限って行うことができる。
【0056】
本発明によれば、酸化シクロデキストリン共重合体は、該重合体骨格の一体化された部分となるように、本発明の線状シクロデキストリン共重合体を酸化して、少なくとも1つの酸化シクロデキストリン単量体をその重合体に導入することができる。少なくとも1つの酸化シクロデキストリン単量体を含む線状シクロデキストリン共重合体は、「線状酸化シクロデキストリン共重合体」と定義される。シクロデキストリン単量体は、そのシクロデキストリン部分の第2級または第1級水酸基側のいずれでも酸化することができる。本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体に複数の酸化シクロデキストリン単量体が存在する場合は、第1級水酸基側か第2級水酸基側のいずれか、或いはその両方で酸化された同一、または異なるシクロデキストリン単量体が存在していてもよい。例示の目的のために、酸化された第2級水酸基を有する線状酸化シクロデキストリン共重合体が、例えば、式VIa、またはVIbで示される少なくとも1つの単位を有していることとする。
【0057】
【化24】

【0058】
【化25】

【0059】
式VIa、VIb中で、Cは置換、または非置換酸化シクロデキストリン単量体であり、そしてAはその酸化シクロデキストリンCに結合された(すなわち、共有結合で)コモノマーである。また、式VIa、VIb中、第2級水酸基の酸化は、シクロデキストリン部分の開環およびアルデヒド基の形成に導く。
【0060】
線状酸化シクロデキストリン共重合体は、上に述べたように線状シクロデキストリン共重合体の酸化によって製造することができる。本発明の線状シクロデキストリン共重合体の酸化は、公知の酸化手法によって達成されうる。(Hisamatsu等、Starch 44:188−191(1992))。好ましくは、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤が用いられる。標準的な酸化条件の下で、酸化の程度が1つの共重合体当たり変わったり、変られたりすることは当業者であれば理解できるであろう。従って、本発明の1つの実施の形態では、本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体が1つの酸化シクロデキストリン単量体を含む。別の実施の形態では、共重合体の実質的にすべて、或いはすべてのシクロデキストリン単量体が酸化されるだろう。
【0061】
本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体を製造する別の方法は、上に述べたように、ジヨウ素化またはジアミノ化されたシクロデキストリン単量体前駆体を酸化して、酸化されたジヨウ素化或またはジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体を形成することと、その酸化されたジヨウ素化またはジアミノ化単量体前駆体をコモノマーA前駆体で共重合させることを含む。1つの好ましい実施の形態では、式VIIa、VIIb、VIIcで示される酸化されたジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物が、上に述べたように、式IVa、IVb、IVcで示されるジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物を酸化することによって製造される。
【0062】
【化26】

【0063】
【化27】

【0064】
【化28】

【0065】
別の好ましい実施の形態では、式VIIIa、VIIIb、VIIIcで示される酸化されたジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体、またはその混合物が、上に述べたように、式VIIa、VIIb、VIIcで示される酸化されたジヨウ素化シクロデキストリン単量体前駆体のアミノ化によって製造される。
【0066】
【化29】

【0067】
【化30】

【0068】
【化31】

【0069】
さらに別の実施の形態では、式IXa、IXb、IXcで示される酸化ジアミノ化単量体前駆体、またはその混合物がヨードまたはその他の適当な脱離基で二置換された酸化シクロデキストリン単量体前駆体の該ヨードまたはその他の適当な脱離基を、−SCH2CH2NH2部分を含有するアミノ基で置換することによって製造される。
【0070】
【化32】

【0071】
【化33】

【0072】
【化34】

【0073】
代替的に、上に述べたように、酸化されたジヨウ素化またはジアミノ化単量体前駆体が、シクロデキストリン単量体前駆体を酸化して酸化シクロデキストリン単量体前駆体を形成し、それからその酸化シクロデキストリン単量体を上に述べたようにジヨウ素化および/またはジアミノ化することによって製造される。上に述べたように、シクロデキストリン部分は官能基を有するヨード基およびアミノ基以外の脱離基で修飾することもできる。酸化されたジヨウ素化またはジアミノ化シクロデキストリン単量体前駆体は、その後上に述べたようにコモノマーA前駆体で共重合され、本発明の線状酸化シクロデキストリン共重合体を形成する。
【0074】
線状酸化シクロデキストリン共重合体は、また少なくとも1つのリガンドをその共重合体に結合する(取り付ける)ことによっても修飾することができる。前記リガンドは上に述べた通りである。
【0075】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体がそれぞれ上に述べた、少なくとも1つのコモノマーA前駆体またはコモノマーAの加水分解生成物で終端している。シクロデキストリン共重合体が少なくとも1つのコモノマーA前駆体で終端していることの結果として、上に述べたように、1つの線状シクロデキストリン共重合体、或いは1つの線状酸化シクロデキストリン共重合体あたり少なくとも1つの遊離(自由)の官能基が存在している。例えば、その官能基は、酸基または酸基へ加水分解され得る官能基である。本発明によれば、前記官能基を希望通りにさらに化学的に修飾して、コロイド安定性およびトランスフェクション効率などそのシクロデキストリン共重合体の性質を増強することもできる。例えば、この官能基をPEGとの反応によって修飾し、PEGで終端するシクロデキストリン共重合体を形成して、コロイド安定性を増強したり、ヒスチジンと反応させてイミダゾリル終端シクロデキストリン共重合体を形成して、細胞内トランスフェクション効率を増強することができる。
【0076】
上記修飾官能基を介してシクロデキストリン共重合体上でさらに化学的処理を行うこともできる。例えば、修飾された官能基を用いて、ここで述べられているような線状シクロデキストリン共重合体、または線状酸化シクロデキストリン共重合体を同一または異なるシクロデキストリン共重合体に、或いは非シクロデキストリン重合体に結合させることによって重合体鎖を延長することができる。本発明の1つの好ましい実施の形態では、付加される重合体が、それぞれ上に述べてあるように、さらに修飾を行うために、これも少なくとも1つのコモノマーA前駆体で終端している場合もある、同一または異なる線状シクロデキストリン共重合体、或いは線状酸化シクロデキストリン共重合体である。
【0077】
代替的に、末端官能基、または末端修飾官能基を含む同一または異なる線状シクロデキストリン共重合体、或いは線状酸化シクロデキストリン共重合体の少なくとも2つは、上に述べたように、上記官能基または修飾官能基を介して相互に反応させたり、結合させたりすることができる。好ましくは、その官能基或いは修飾官能基が反応すると、例えば、ジスルフィド結合などの生物分解性部分が形成される。例えば、システインによるその末端官能基の修飾を使用して、少なくとも1つの遊離チオール基を有する線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体を製造することができる。少なくとも1つの遊離チオール基も含んでいる同一、または異なるシクロデキストリン共重合体との反応は、これら2つの共重合体間にジスルフィド結合を形成する。本発明の好ましい1つの実施の形態では、官能基または修飾官能基が異なる分解率(例えば、酵素分解など)を示す結合を与えるように選択されうる、そしてそれによって、所望ならば、治療剤のための経時放出システムが提供される。その結果得られる重合体は、ここに述べるように架橋されていてもよい。ここで述べるように治療剤は、その重合体の架橋の前、或いはその後で加えることができる。ここで述べようにリガンドは、上記修飾官能基を介しても結合することができる。
【0078】
本発明によれば、線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体を基質上に結合したり、グラフトすることができる。この基質は当業者に認識されているようないかなる基質であってもよい。本発明の別の実施の形態では、線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体を重合体に架橋して、それぞれ、架橋シクロデキストリン共重合体または架橋酸化シクロデキストリン共重合体を形成することができる。この重合体は(例えばポリエチレングリコール(PEG)重合体、ポリエチレンポリマーなど)、本発明の線状または線状酸化シクロデキストリン共重合体と架橋できるいかなる重合体であってもよい。また、前記重合体は線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体と同一、または異なってもよい。従って、例えば、線状シクロデキストリン共重合体を、限定はされないがそれ自体、別の線状シクロデキストリン共重合体、および線状酸化シクロデキストリン共重合体などを含むいかなる重合体に架橋してもよい。本発明の架橋された線状シクロデキストリン共重合体は、適当な架橋剤の存在下で、線状シクロデキストリン共重合体を重合体と反応させることで製造される。本発明の架橋された線状酸化シクロデキストリン共重合体は、適当な架橋剤の存在下で、線状酸化シクロデキストリン共重合体を重合体と反応させることで製造される。その架橋剤は、公知のいかなる架橋剤であってもよい。架橋剤の例は、ジヒドラジドおよびジスルフィドを含む。好ましい1つの実施の形態では、前記架橋剤が架橋された共重合体を必要とあれば脱架橋させることができるような不安定な基である。
【0079】
本発明の線状シクロデキストリン共重合体および線状酸化シクロデキストリン共重合体は、公知のいかなる手段によって特徴づけされてもよい。このような特徴づけ方法または手法としては、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)、マトリックス支援レーザー脱着イオン化時間飛行質量分析(MALDI−TOF質量分析)、1Hおよび13CNMR、光散乱および滴定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明はまた、上に述べたような本発明の少なくとも1つの線状シクロデキストリン共重合体と、少なくとも1つの線状酸化シクロデキストリン共重合体とを含むシクロデキストリン組成物を提供する。従って、線状シクロデキストリン共重合体と線状酸化シクロデキストリン共重合体のいずれか一方、或いはその両方を上に述べたように別の重合体に架橋させたり、および/または1つのリガンドに結合させたりすることができる。本発明に係る治療用組成物は、治療剤と、架橋された共重合体を含めて、本発明の線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体とを含む。線状シクロデキストリン共重合体、線状酸化シクロデキストリン共重合体、およびそれらの架橋された誘導体は、上に述べた通りである。前記治療剤は、公知のものを含めて、いかなる合成、または天然の生物学的に活性な治療剤であってもよい。適当な治療剤の例としては、抗生物質、ステロイド類、ポリヌクレオチド類(例えば、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド類)、プラスミド、ペプチド、ペプチドフラグメント、小型分子(例えば、ドクソルビシン)、および、例えば蛋白質および酵素などその他の生物学的に活性な巨大分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の治療用組成物は、公知の手段によって調製できる。1つの好ましい実施の形態では、本発明の共重合体を上に述べたような治療剤と混合し、自然に集合するように放置する。本発明によれば、該治療剤と、本発明の線状シクロデキストリン共重合体または線状酸化シクロデキストリン共重合体は、相互に会合して、その共重合体が該治療剤の送達ビヒクルとしての役割を果たせるようになる。前記治療剤とシクロデキストリン共重合体は、例えば、静電作用および疎水性作用など当業者に認識されている手段によって会合できる。会合の程度は、例えば、蛍光分析、DNA移動度分析、光散乱、電子顕微鏡などの公知の手法で決定することができ、これは治療剤によって変わることになる。送達モードとしては、例えば、本発明の共重合体とDNAを含む本発明の治療組成物をトランスフェクション、すなわち(ヒトなど)動物の細胞へのDNAの取り込みを援助するために用いることができる。(Boussif, O. Proceeding of the National Academy of Sciences, 92:7297-7301 (1995);Zanta等, Bioconjugate Chemistry,8:839-844(1997))。
【0082】
本発明の治療用組成物は、例えば、固体、液体、懸濁液、または乳剤であってもよい。好ましくは、本発明の治療用組成物が静脈注射できる形態である。本発明の治療用組成物を投与するための他の様式は、その治療用組成物の状態によるが、経口投与、局所投与、非経口、静脈内、鼻腔内、眼球内、頭蓋内、または腹膜内注射などの公知の方法を含むが、これらには限定されない。
【0083】
用いられる治療剤のタイプに応じて、本発明の治療用組成物は、例えば、嚢胞性線維症、ゴーシェ病、筋ジストロフィー、AIDS、癌(例えば、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、および卵巣癌)、心臓血管系症状(例えば、進行性心臓障害、再狭窄、および血友病)、そして神経性症状(例えば、脳障害など)の遺伝性、或いは獲得性疾患を治療するために種々の治療法(例えばDNAワクチン、抗生物質、抗ウィルス剤)において用いることができる。本発明によれば、治療法は、治療的に有効な量の本発明の治療用組成物を投与することである。治療的に有効な量とは、当業者が認識するようにケース・バイ・ケースで決定される。考慮されるべきファクターとしては、治療すべき疾患とその疾患を煩うヒトの身体的特徴が挙げられるが、これらには限定されない。
【0084】
本発明の別の実施の形態は、農芸用途を有する、少なくとも1つの生物学的に活性な化合物と、本発明の線状シクロデキストリン共重合体、または線状酸化シクロデキストリン共重合体と含む組成物である。前記農業面で生物学的に活性な化合物は、公知のものを含む。例えば、適当な農業面、生物学的に活性な化合物としては、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、そしてうどん粉病用農薬が挙げられるが、これらには限定されない。
【0085】
以下の実施例は本発明を例示するためのものである。しかしながら、本発明はこれらの実施例に述べられている具体的な条件や詳細に限定されるものではない。
【実施例】
【0086】
原料 β−シクロデキストリン(Cerester USA、Inc.,Hammond,IN)を、使用する前に12時間、120℃で真空(<0.1mTorr)下、乾燥した。ビフェニル−4、4’−ジスルホニルクロリド(AldrichChemical Company,Inc.,Milwaukee,WI)をクロロホルム/ヘキサンから再結晶した。ヨウ化カリウムを乳鉢と乳棒を用いて粉末化して、オーブン内で200℃で乾燥させた。他のすべての試薬は、一般業者から入手し、受け取ったままの状態でさらに精製を行うことなく使用した。重合体サンプルは、Anspec RI検出器とProgel−TSKG3000PWXLカラムを備えたHitachi HPLCシステム上で、水を溶離剤として1.0mL/分の流量で用いることにより分析した。
【0087】
(実施例1)ビフェニル−4,4’−ジスルホニル−A,Dキャプβ−シクロデキストリン1(Tabushi等、J.Am.Chem.Soc.106,5267−5270(1984))
磁性攪拌棒、Schlenkアダプタおよび隔壁を備えた500mL丸底フラスコに7.92g(6.98mmol)の乾燥β−シクロデキストリンと200mLの無水ピリジン(Aldrich Chemical Company,Inc.)を入れた。その結果得られる溶液を窒素下で50℃で2時間攪拌し、2.204g(6.28mmol)のビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドを15分間間隔で等量づつ4回に分けて加えた。さらに3時間50℃で攪拌した後、その溶媒を真空下で留去して、残滓を水中、0〜40%アセトニトリルの勾配溶離を用いて逆相カラムクロマトグラフィーにかけた。画分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析して、適当な画分を一緒にした。回転蒸発装置でアセトニトリルの大部分を取り除いた後、得られた水性懸濁液を乾燥するまで凍結乾燥した。これによって、3.39g(38%)の1が無色の固体物質として得られた。
【0088】
(実施例2)6A,6D−ジヨード−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン,2(Tabushi等、J.Am.Chem.106:4580−4584(1984)
磁性攪拌棒、Schlenkアダプタおよび隔壁を備えた40mL遠心チューブに1.02g(7.2mmol)の1、3.54g(21.3mmol)の乾燥、粉末ヨウ化カリウム(Aldrich)および15mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Aldrich)を入れた。得られた懸濁液を窒素下で80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、固形物を遠心分離で分離して、上澄液をデカントした。固体沈殿物を第2の分量の無水DMFで洗浄して、上澄液を一緒にし、真空中で濃縮した。残滓を14mLの水に溶解して、氷槽で冷却してから、0.75mL(7.3mmol)のテトラクロロエチレン(Aldrich)を急速にかき混ぜながら加えた。沈殿した包接複合体を中程度のガラスフリットでろ過して、小量のアセトンで洗浄してから、真空下でP2O5上14時間乾燥した。これによって0.90g(92%)の2が白い固体として得られた。
【0089】
(実施例3)6A,6D−ジアジド−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン,3(Tabushi等、Tetrahedron Lett.18,1527−1530(1977))
磁性攪拌棒、Schlenkアダプタおよび隔壁を備えた100mL丸底フラスコに1.704g(1.25mmol)のジヨウ素化β−シクロデキストリンと0.49g(7.53mmol)のナトリウムアジド(EM Science、Gibbstown、NJ)、そして10mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れた。その結果得られる懸濁液を窒素下で60℃で14時間攪拌した。その後、溶媒を真空下で除去した。その結果得られる残滓を十分な水に溶解し、0.2M塩溶液をつくり、それを11.3gのBiorad AG501−X8(D)樹脂を通過させて、残留塩類を取り除いた。その後、溶出液を乾燥するまで凍結乾燥して、1.232g(83%)の3を白いアモルファス状固体として得た、これをさらに精製することなく次ぎの工程に送った。
【0090】
(実施例4)6A,6D−ジアミノ−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン,4(Mungal等、J.Org.Chem.1659−1662(1975))
磁性攪拌棒、および隔壁を備えた250mL丸底フラスコに1.232g(1.04mmol)のβ−シクロデキストリンビスアジドと50mLの無水ピリジン(Aldrich)を入れた。この懸濁液を攪拌しながら、それに0.898g(3.42mmol)のトリフェニルホスフィンを加えた。得られた懸濁液を周辺温度で1時間攪拌してから、10mLの濃縮アンモニア水溶液を加えた。アンモニアの添加が行われると急激なガスの放出が起こり、そして、溶液が均一化された。14時間後、溶液を真空下で留去し、残滓を50mLの水で処理した。固形物をろ過で取り除いて、ろ過液を10%HClで酸性にし(pH<4)、その後、Toyopearl SP−650M(NH4+形)樹脂を含むイオン交換カラムにかけた。0〜0.5M重炭酸アンモニウム勾配で生成物4を溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥したところ、0.832g(71%)の生成物4をビス(炭酸水素)塩として得た。
【0091】
(実施例5)b−シクロデキストリン−DSP共重合体,5
20mLシンチレーションバイアルに、1mL水中ビス(炭酸水素)塩4を溶かした溶液92.6mg(7.65x10-5mol)を入れた。この溶液のpHを1M NaOHで10に調節してから、1mLクロロホルムに30.9mg(7.65x10-5mol)のジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP,Pierce Chemical Co.,Rockford、IL)を加えた。得られた二相混合物をVortexミキサーで0.5時間攪拌した。そして水層をデカントして、新鮮なクロロホルム3x1mLで抽出を行った。この重合体水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上で水を溶離剤として用いて、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCで分析して、適当な画分を凍結乾燥して無色のアモルファス粉末85mg(85%)を得た。
【0092】
(実施例6)β−シクロデキストリン−DSS共重合体、6
DSP試薬に代えてジスクシンイミジルスベレート(DSS,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)を用いたことを除けば、DPS重合体5の場合と同様の方法で、β−シクロデキストリン−DSS共重合体6を合成した。化合物6を67%の収率で得た。
【0093】
(実施例7)β−シクロデキストリン−DTBP共重合体、7
20mLシンチレーションバイアルに1mL水中、ビス(炭酸水素)塩4を溶かした溶液91.2mg(7.26x10-5mol)を入れた。この溶液のpHを1M NaOHで10に調節してから、22.4mg(7.26x10-5mol)のジメチル3,3'−ジチオビス(プロピオンイミデート)2HCl(DTBP,PierceChemical Co.,Rockford,IL)を加えた。得られた均一な溶液をVortexミキサーで0.5時間攪拌した。この重合体水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCで分析して、適当な画分を凍結乾燥して、67mg(67%)の無色アモルファス粉末を得た。
【0094】
(実施例8)b−シクロデキストリン−シスタミン共重合体、8
15mLの0.1N NaOHに166.2mg(7.38x10-5mol)のシスタミンジヒドロクロライドを溶かした溶液に100mg(7.38x10-5mol)の2と5mLのアセトニトリルを加えた。得られた均一な溶液を80℃で2時間加熱してから、Toyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCで分析して、適当な画分を凍結乾燥して、17.2mg(19%)の無色のアモルファス粉末を得た。
【0095】
(実施例9)ポリエチレングリコール600ジヒドラジド、9
磁性攪拌棒と還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに1.82g(3.0mmol)のポリエチレングリコール600(Fluka Chemical Corp,Milwaukee,WI)、40mLの無水エタノール(QuantumChemicals Pty Ltd,Tuscola,IL)、および数滴の硫酸を入れた。得られた溶液を14時間加熱して還流させた。固体炭酸ナトリウムを加えて、この反応を停止し、PEGジエステルの溶液を窒素下で添加漏斗に移した。この溶液を10mL無水エタノールに0.6mL(9.0mmol)のヒドラジン水和物(Aldrich)を溶かした溶液に滴下した。少量の濁った沈殿物が形成された。得られた溶液を1時間加熱、還流してから、ろ過、濃縮した。GPC分析を行ったところ、その生成物を高分子量の不純物が汚染していることが判明した。Toyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけたところ、この物質を約85%程度の純度に部分的に精製することができた。
【0096】
(実施例10)β−シクロデキストリン−DSS共重合体の酸化、10(Hisamatasu等、Starch 44,188−191(1992))
β−シクロデキストリン−DSS共重合体6(92.8mg、7.3x10-5mol)を1.0mLの水に溶解して、氷槽で冷却してから、14.8mg(7.3x10-5mol)の過ヨウ素酸ナトリウムを加えた。この溶液はすぐに明るい黄色を発色し、暗所、0℃で14時間攪拌させた。この溶液を、水を溶離剤として用いて、Toyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCで分析した。適当な画分を一緒にして、凍結乾燥したところ、84.2mg(91%)の明るい褐色のアモルファス状固体が得られた。
【0097】
(実施例11)ポリエチレングリコール(PEG)600二塩基酸クロリド、11
【0098】
【化35】

【0099】
磁性攪拌棒と還流冷却器を備えた50mL丸底フラスコに5.07g(約8.4mmol)のポリエチレン・グリコール600二塩基酸(Fluka Chemical Corp,Milwaukee,WI)と10mLの無水クロロホルム(Aldrich)を加えた。この溶液を攪拌しながら、3.9mL(53.4mmol)の塩化チオニル(Aldrich)を添加して、そして得られた溶液を1時間、加熱還流させ、その間にガス放出が見られた。得られた溶液を室温まで冷却してから、溶媒と過剰な塩化チオニルを真空で取り除いた。得られたオイルを乾燥した箱内に保存して、さらに精製を行うことなく使用した。
【0100】
(実施例12)β−シクロデキストリン−PEG600共重合体、12
【0101】
【化36】

【0102】
20mLシンチレーションバイアルに112.5mg(8.95x10-5mol)の6A,6D−ジアミノ−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリンのビス(炭酸水素)塩、50μL(3.6x10-4mol)のトリエチルアミン(Aldrich)、および5mLの無水−ジメチルアセトアミド(DMAc、Aldrich)を入れた。得られた懸濁液を58mg(9.1x10-5mol)のポリエチレングリーコル600二塩基酸塩化物、11で処理した。得られた溶液をVortexミキサーで5分間攪拌してから、25℃に1時間保持したところ、その溶液は均一になった。溶媒を真空下で除去して、残滓を水を溶離剤として用いて、Toyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCで分析して、適当な画分を乾燥するまで凍結乾燥したところ、115mg(75%)の無色のアモルファス粉末が得られた。
【0103】
(実施例13)β−シクロデキストリン−DSP共重合体、13
【0104】
【化37】

【0105】
8mL小びんに102.3mg(8.80x10-5mol)の2A,3A−ジアミノ−2A,3A−デオキシ−β−シクロデキストリンを1mLの水に溶かした溶液を入れた。この溶液のpHを1M NaOHで10に調整してから、36.4mg(8.80x10-5mol)のジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP,Pierce Chemical Co.,Rockford、IL)を1mLのクロロホルムに溶かした溶液を加えた。得られた二相混合物をVortexミキサーで0.5時間攪拌した。その水層をデカントして、3x1mLの新鮮なクロロホルムで抽出を行った。この重合体水溶液をその後ゲル透過クロマトグラフィーにかけた。
【0106】
(実施例14)6A,6D−ビス(2−アミノエチルチオ)−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン、14(Tasushi,I:Shimokawa,K;Fugita,K.Tetrahedron Lett.1977,1527−1530)
【0107】
【化38】

【0108】
磁性攪拌棒と隔壁を備えた25mL Schlenkフラスコにエタノールにナトリウム2−アミノエチルチオレートを溶かした0.81M溶液を0.91mL (7.37mmol)入れた。(Fieser, L.F.; Fieser, M.Reagents for Organic Synthesis; Wiley:New York, 1967; Vol. 3, printingpress.265-266)。この溶液を蒸発乾燥して、固形物を5mLの無水DMF(Aldrich)に再溶解した。6A,6D−ジヨード−6A,6D−デオキシ−β−シクロデキストリン(100mg、7.38x10-5mol)を加えて、得られた懸濁液を60℃、窒素下で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、その溶液を真空下で濃縮して、残滓を水に再溶解した。0.1N HClで酸性化した後、溶液をToyopearl SP−650Mイオン交換カラム(NH4+形)にかけて、生成物を0〜0.4重炭酸アンモニウム勾配で溶離した。適当な画分を一緒にして、乾燥するまで凍結乾燥した。これによって80mg(79%)の14が白い粉末として得られた。
【0109】
(実施例15)β−シクロデキストリン(シスタミン)−DTBP共重合体、15
【0110】
【化39】

【0111】
4mLびんに0.5mLの0.1M NaHCO3に14のビス(炭酸水素)塩を19.6mg(1.42x10-5mol)溶かした溶液を入れた。この溶液を氷槽で冷やしてから、4.4mg(1.4x10-5mol)のジメチル−3,3'−ジチオビスプロピオンイミデート−2HCl(DTBP、Pierce)を加えた。得られた溶液をVortexミキサーで攪拌して、0℃で1時間放置した。1Mトリス塩酸で反応を停止してから、0.1N塩酸でpH4に酸性化した。それから、この重合体水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上でゲル透過クロマトグラフィーにかけた。画分をGPCで分析して、適当な画分を乾燥するまで凍結乾燥した。これによって、21.3mg(100%)の15を白い粉末として得た。
【0112】
(実施例16)β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMS共重合体、16
【0113】
【化40】

【0114】
磁性攪拌棒と隔壁を備えた10mL Schlenkフラスコに、200mg(1.60x10-4mol)の14、44μL(3.2x10-4mol)のトリエチルアミン(AldrichChemicalCo.,Milwaukee,WI)、43.6mg(1.60x10-4mol)のジメチルスベルイミデート(DMS、Pierce)、そして3mLの無水DMF(AldrichChemical Co.,Milwaukee、WI)を入れた。得られたスラリーを80℃に加熱して窒素をゆっくり流しながら、18時間加熱したところ、その過程でほとんどの溶媒は蒸発した。残った残滓を10mLの水に再溶解して、得られた溶液を10%塩酸でpH4に酸性化した。この溶液をAmicon Centricon Plus−20 5,000NMWL遠心分離フィルターに通過させた。2x10mL量の水で洗浄した後、この重合体溶液を乾燥するまで凍結乾燥させ、41.4mg(18%)のやや白いアモルファス固体を得た。
【0115】
(実施例17)シクロデキストリン重合体へのフォレートリガンドの結合
1.樹脂カップリング
50mgのFMOC−PEG3400−NHS(Shearwater Polymers, Huntsville,AL)を1mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して、DMF中で膨潤させた10当量のヒドラジド2−クロロトリチル樹脂(Novabiochem USA,La Jolla、CA)に加える。UV検出器を備えたGPSシステムで判定して、すべての重合体がこの樹脂に結合するまでこの混合物を60℃で攪拌する。そして、樹脂−共重合体をさらに反応に用いるために焼成ガラスカラムに移す。
【0116】
2.樹脂キャッピング
樹脂上の未反応ヒドラジド基を無水酢酸でキャップして、酢酸生成物をジイソプロピルエチルアミンで中和する。
【0117】
3.保護基の除去
FMOC保護基をDMF(1mL総量)中、20%ピペリジンで2度洗浄して取り除く。次に、この樹脂を1mL DMFで10回、そして1mL H2Oで5回洗浄する。
【0118】
4.葉酸カップリング
10当量の葉酸と1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)を1.5mLの水と共に前記樹脂に加える。1N NaOHをその葉酸が溶解するまで(約pH10)反応混合物に加える。次に、回転装置上にガラスカラムを置いて、一夜混合する。その樹脂を次に1mL NaOH(1N)で10回、1mLの50mM重炭酸ナトリウムで10回、そして水、THF、そしてジクロロメタンで各5回洗浄する。
【0119】
5.樹脂からの開裂
1mLDCM中の1%トリフルオロ酢酸(TFA)を1分間毎に2度前記樹脂に加える。上澄液を回収して、DCMを蒸発させる。得られた油性薄膜をH2Oに再水和させ、凍結乾燥すると、やや黄色い粉末が得られる。PEG重合体の存在を確認するためにNMRを測定する。
【0120】
6.重合体へのカップリング
葉酸リンカーを50mmol硼酸塩(pH8.5)に混合することで6当量のシクロデキストリン共重合体(実施例10の場合と同様に酸化されている)と反応させる。この反応混合物を分析して、285nmでUV検出を行ってGPCシステムで共役重合体が確認される。
【0121】
【化41】

【0122】
【化42】

【0123】
(実施例18)シクロデキストリン重合体に対するフォレートリガンドの結合
1.カップリング
240μLのDCM/酢酸エチルにt−ブチルカルバゼートを溶かしたもの(1:1)36mgを260mgのFMOC−PEG3400−NHS(Shearwater Polymers)に加えて、室温で2時間混合した。生成物を酢酸エチル/エーテル(1:1)から2度析出させた。
【0124】
2.保護基の除去
FMOC保護基をDMF中20%ピペリジンで除去した。溶媒を真空下で除去して、生成物を1.3mLのDMSOに再溶解した。
【0125】
3.葉酸カップリング
次に1.2当量の葉酸とDCCおよび1滴のピリジンを加えて、得られた溶液を暗所で室温下、6時間攪拌した。DMSOを真空で除去して、葉酸の共役化を285nmでUVモニタリングを行ってGPCで確認した。
【0126】
4.ヒドラジド保護基の除去
最後に、ジオキサンに4M塩酸を混ぜたものの中で1時間攪拌することでヒドラジド保護基を外し、その後、溶媒を真空下で除去した。最終的な生成物をToyopearl HW−40Fカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0127】
5.重合体に対するカップリング
葉酸リンカーを6当量のシクロデキストリン共重合体(実施例10と同様酸化されたもの)を用いて50mmol硼酸塩(pH8.5)中に混合することによって反応させる。反応混合物を分析して、285nmでUVモニタリングを行ってGPCで共役重合体を確認する。
【0128】
【化43】

【0129】
(実施例19)シクロデキストリン共重合体に対するトランスフェリンリガンドの結合
1.トランスフェリンの酸化
500mgの鉄分を含まないヒトトランスフェリン(Sigma,St.Louis,MO)を30mMの酢酸ナトリウム緩衝液に溶かして、0℃に冷却する。この溶液に20mgの過ヨウ素酸ナトリウム20mgを4μLの30mM酢酸ナトリウムに溶かしたものを加える。この混合物を0℃で一夜攪拌する。次に、1gのAG501−X8樹脂(Biorad)を加えて塩を除去してから、その溶液を凍結乾燥する。
【0130】
2.樹脂カップリング
20mgのFMOC−PEG3400−NHS(Shearwater Polymers Inc.,Huntsville、AL)を0.5mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して、DMF中で膨潤させた10当量のヒドラジド2−クロロトリチル樹脂(Novabiochem USA,La Jolla,CA)に加えた。この混合物を、紫外線検出器を備えたGPCシステムで判定してすべての重合体がその樹脂に結合するまで60℃で攪拌した。次に、この樹脂−重合体をさらに反応に使うために焼成したガラスカラムに移した。
【0131】
3.樹脂キャッピング
樹脂上の未反応ヒドラジドを無水酢酸でキャップして、酢酸生成物をジイソプロピルエチルアミンで中和した。
【0132】
4.保護基の除去
FMOC保護基をDMF(1mL総量)中の20%ピペリジンで2度洗浄して取り除いた。次に、この樹脂を1mL DMFで10回、そして1mL H2Oで5回洗浄した。
【0133】
5.トランスフェリンカップリング
前記樹脂に0.05M炭酸ナトリウムに溶かした1.2当量トランスフェリンと0.1M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)を加える。そして1N NaOHに5Mシアノボラハイドライドを溶かしたものを前記溶液に加える。このガラスカラムを回転装置上に置いて、2時間混合する。そしてその樹脂を水で15回、テトラヒドロフラン(THF)とDCMでそれぞれ5回づつ洗浄する。
【0134】
6.樹脂からの開裂
1mLDCM中1%トリフルオロ酢酸(TFA)を1分間毎に2度前記樹脂に加える。上澄液を回収して、DCMを蒸発させる。得られた油性薄膜をH2Oに再水和させて、凍結乾燥する。
【0135】
7.重合体へのカップリング
トランスフェリン・リンカーを6当量のシクロデキストリン共重合体と、シアノボロハイドライド・ナトリウムを用いる還元的アミノ化によって反応させる。最初に、共重合体を0.05M炭酸ナトリウムと0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液にトランスフェリンを溶かした溶液に加える。1N NaOHに5Mシアノボロハイドライドを溶かした溶液を加えて、その反応物を室温で2時間攪拌する。エタノールアミンを加えて、室温で15分間反応させて未反応アルデヒドをブロックする。得られた接合体を透析によって精製する。
【0136】
【化44】

【0137】
【化45】

【0138】
(実施例20)小型分子とのシクロデキストリン共重合体複合化のための一般的な手順
シクロデキストリンに基づく共重合体(CD−重合体)を水、緩衝液、または有機溶媒に適当な濃度で溶かす。小型分子をそのCD−重合体溶液の溶媒と混合可能な溶媒に溶かして、CD−重合体溶液に加える。そしてその混合物を半時間攪拌して、一夜で平衡状態に達するようにする。
【0139】
(実施例21)シクロデキストリン共重合体とドキソルビシンとの複合体化
ドキソルビシンとCD−重合体を種々の濃度でPBS(燐酸緩衝食塩水、pH7.2)に溶解した。CDとドキソルビシンとの間の会合定数をCDと複合体化した際のドキソルビシンの蛍光増加の程度を測定することで決定した。(前記CDとドキソルビシンとの間の疎水性反応が蛍光強度を増大させる)。会合定数は、pH7.1でほぼ200M-1であった。β-シクロデキストリンを加えることで、ドキソルビシンの蛍光が一貫して増強されたが、これはCD−重合体とドキソルビシンとの間の複合体化を示す。Husain等は、Applied Spectrography Vol.46,No.4,652−658(1992)で、β-シクロデキストリンとドキソルビシンとの間の会合定数をpH7.1で210M-1としている。
【0140】
(実施例22)培養細胞への小型分子の送達
種々の濃度でドキソルビシンとドキソルビシン/CD−共重合体複合体を含む培地を培養された細胞株に対して加えた。5時間後に、培地を取り除き、新鮮な培地と交換した。細胞の生残に及ぼすドキソルビシンの影響をMTT([3−(4,5−ジメシルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム]毒性アッセイで判定した。(R.Ian Feshney,"Culture of AnimalCells",第3版、Wiley-Liss: New York (1994))。これらの結果を以下の表に示す。共重合体15または16(138μM相当のCD単量体)はドキソルビシンが存在していない場合、KBまたはKB−VI(KBの多重薬剤耐性誘導株)細胞株に対して毒性を示さなかった。受容体が媒介する送達に関しては、フォレートなどのリガンドがドキソルビシン複合体化に用いるCD−重合体に共有結合で結合されている。
【0141】
【表1】

【0142】
(実施例23)プラスミドと固定永続的荷電共重合体との複合体化
一般的に、等量の固定荷電CD−重合体水溶液とDNAプラスミド水溶液とを適当な重合体/プラスミド荷電比で混合する。この混合物を平衡化させて、室温で一夜かけて自集させる。複合体化が成功したかどうかは、混合物の少量アリコートを、0.6%アガロースゲルを加えて、DNA移動度をチェックすることでモニターする。自由なDNAは一定の電圧をかけると動き回るのに対して、複合体化したDNAはウェルに留まる。
【0143】
1μgのDNAを0.2μg/μLの濃度で蒸留水に溶かしたものを10μLの共重合体15と、重合体アミンとDNAリン酸エステルの荷電比を2.4、6、12、24、36、60および120で混合した。この溶液を、マイクロピペットを用いて手作業で混合し、その後、回転装置上で一夜穏やかに混合した。1μg/μLの緩衝液(40%スクロース、0.25%ブロモフェノール・ブルー、および5mM EDTAを含む200mMトリス−アセテート緩衝液(Cao等、Biochemistry 35:1027−1036(1996))を翌朝各溶液に加えた。各DNA/重合体サンプルを、6μgEtBr/100mLを1xTAE緩衝液(40mMトリス−アセテート/1mMEDTA)に溶かしたものを含む0.6%アガロース電気泳動ゲル上にかけて、そのゲルに40Vの電圧を1時間に印加した。DNA/重合体複合体化の程度は、ゲル移動パターンにおけるDNAの遅れによって示された。重合体(15)は荷電比が6以上の場合にDNAを遅らせた、これは前記条件下で複合体化が行われることを示した。
【0144】
(実施例24)共重合体とプラスミドとの架橋
共重合体15または共重合体16を実施例10に示すように酸化する。酸化された共重合体15または16を実施例23および26の場合と同様に、DNAプラスミドと複合体化する。次に架橋剤(例えば、PEG600−ジヒドラジド)を加えてDNAをカプセル化する。カプセル化が成功したかどうかは、光散乱で判定され、そして電子顕微鏡で視覚化される。
【0145】
(実施例25)種々の電荷を有する(pH感受性)共重合体のプラスミドとの複合体化
等量のCD−重合体水溶液とDNAプラスミド水溶液とを適当な重合体/プラスミド荷電比で混合する。この混合物のpHを調節して、荷電CD−重合体を形成する。この混合物を室温で30分間平衡化させ、そして自集させる。次ぎに、架橋剤(例えば、PEG600−ジヒドラジド)を加えて、DNAをカプセル化する。さらに濃縮された緩衝液を加えてpHを、それでCD−重合体を中性にする。カプセル化が成功したかどうかは、光散乱で判定され、そして電子顕微鏡で視覚化される。
【0146】
(実施例26)ルシフェラーゼ・レポータ遺伝子をコードするプラスミドを用いるトランスフェクション研究
トランスフェクション24時間前に、BHK−21細胞を24−ウェル・プレートに60,000細胞/ウェルの細胞密度でプレーテングした。ルシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドを実施例23または25の場合と同様にCD−重合体でカプセル化して、DNA/重合体複合体が、実施例23のDNA結合研究で述べてあるように重合体アミン:DNAリン酸エステル荷電比が6、12、36、および60で会合するようにした。DNA/重合体複合体を含む培地を培養された細胞に加えて、37℃で5時間インキュベートしてから新鮮な培地と交換した。これらの細胞をトランスフェクションから48時間後に細胞溶解した。ルシフェラーゼ光アッセイのための適当な基質をその細胞溶解物に加えた。発生する光単位で測定されるルシフェラーゼ活性をルミノメータで定量化した。DNA/重合体複合体は、6、12および24の荷電比でBHK−21細胞をうまくトランスフェクションした。細胞溶解物は、ローリー蛋白質アッセイによって細胞生存率を決定するためにも用いられた。(Lowry等、Journal of Biological Chemistry,Vol.193、265−275(1951))。最大の毒性は、重合体アミン:DNAリン酸エステル比率が36および60の時に観察され、細胞生存率は91%であった。
【0147】
(実施例27)ルシフェラーゼ・レポータ遺伝子をコードするプラスミドを用いるトランスフェクション研究
トランスフェクション24時間前に、BHK−21細胞を24−ウェル・プレートに60,000細胞/ウェルの細胞密度でプレーテングした。ルシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドを、共重合体15が共重合体16で置き換えられ以外、実施例23と同様にCD−重合体でカプセル化したところ、荷電比が10、20、30および40でBHK−21細胞をうまくトランスフェクションし、最大のトランスフェクションは重合体アミン:DNAリン酸エステル比率が20の場合に示された。DNA/重合体複合体を含む培地を培養された細胞に加えて、37℃で24時間インキュベートしてから新鮮な培地と交換した。これらの細胞をトランスフェクションから48時間後に細胞溶解した。ルシフェラーゼ光アッセイのための適当な基質をその細胞溶解物に加えた。発生する光単位で測定されるルシフェラーゼ活性をルミノメータで定量化した。これらの結果を下記に示す。DNA/重合体複合体は、6、12および24の荷電比でBHK−21細胞をうまくトランスフェクションした。細胞溶解物は、ローリー蛋白質アッセイによって細胞生存率を決定するためにも用いられた。(Lowry等、Journal of Biological Chemistry,Vol.193、265−275(1951))。これらの結果を下記に示す。最大の毒性は、重合体アミン:DNAリン酸エステル比率が40および50の時に観察され、細胞生存率は33%であった。
【0148】

【0149】
(実施例28)GFPレポータ遺伝子をコードするプラスミドを用いるトランスフェクション研究
緑色蛍光蛋白質(GFR)をコードするプラスミドを実施例23または実施例25の場合と同様にCD−重合体でカプセル化する。DNA/重合体複合体を含む培地を培養された細胞に加えて、37℃で5時間インキュベーションしてから新鮮な培地と交換する。これらの細胞をトリプシンで表面から切り離し、洗浄して、ヨウ化プロピジウムを含むハンクス均衡化塩溶液(Hanks Balanced Salt Solution)中に再懸濁させる。これらの細胞を蛍光標示式細胞分取器(FACS)で分析する。細胞の生存率を細胞サイズおよびヨウ化プロピジウム排除で、そしてトランスフェクションがうまく行えたかどうかはGFP蛋白質蛍光で判定する。
【0150】
(実施例29)オリゴ類との重合体複合体化
アンチセンスオリゴ類との複合体化は、実施例23または25のプラスミド複合体化の手順に従って達成される。
【0151】
(実施例30)オリゴ類を用いるトランスフェクション研究
ルシフェラーゼ遺伝子に対するアンチセンスオリゴ類を実施例29に記載したようにCD−重合体によってカプセル化する。オリゴ/重合体複合体を含む培地をHeLa X1/5細胞(ルシフェラーコード構成的に発現するHeLa細胞でありCLONTECH社より寄贈)に加え、そして37℃で5時間インキュベーションの後、新鮮な培地と交換する。トランスフェクションから48時間後に細胞を溶解して、ルシフェラーゼ・アッセイのために適した基質をその細胞溶解物に加える。発生する光単位で測定されるルシフェラーゼ活性をルミノメータで定量化する。ルシフェラーゼ活性がなくなればトランスフェクションがうまく行われたと判定する。
【0152】
(実施例31)β−シクロデキストリン(シスタミン)−DTBP共重合体、15の毒性
共重合体15の急性毒性をSwiss−Webster「ホワイト・マウス」を用いて調べた。全部で48匹のマウスを以下の表に示すように使用した。殺菌食塩水、または共重合体15の静脈(i.v.)または腹膜内(i.p.)注射をマウスに1回行った。5日後に致死させて、全体的な剖検を行った。致死性も毒性も観察されなかった。
【0153】
【表2】

【0154】
(実施例32)ルシフェラーゼ・レポータ遺伝子をコードするプラスミドを用いるトランスフェクション研究
ルシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドを、共重合体15を共重合体16で置換したこと以外は実施例23の場合と同様に、CD−重合体でカプセル化した。DNA/重合体複合体を用いて、実施例27に概説した手順に従い、トランスフェクション24時間前に24−ウェル・プレート内に60,000細胞/ウェルの細胞密度で、10%血清と共に、または血清を含まない条件、様々な荷電比で各々プレーテングして、BHK−21或いはCHO−K1細胞をうまくトランスフェクションした。これらの細胞を48時間後に細胞溶解した。ルシフェラーゼ光アッセイを行うために適当な基質をそれら細胞溶解物に加えた。発生する光単位(つまり相対光単位(RLU))で測定したルシフェラーゼ活性をルミノメータで定量化した。細胞溶解物は、またローリー蛋白質アッセイで細胞生存率を決定するのに用いられた。(Lowry等、Journal of Biological Chemistry,Vol.193、265−275(1951))。毒性はトランスフェクションを行ってから48時間後に、ウェル中の総細胞蛋白質を決定することで測定された。10%血清を含む培地と、血清を含まない培地でのトランスフェクションおよび細胞生存率の結果を以下に示す。
【0155】
血清を含まない条件でトランスフェクションされたBHK−21細胞でのルシフェラーゼ蛋白質活性は、〜5x107RLU、30+/−で安定した最大状態に到達した。トランスフェクション培養液に10%血清が存在していると、70+/−の場合を除いて、すべての荷電比でルシフェラーゼ活性を減少させた。CHO−K1細胞の場合、荷電比を増大させると試験したすべての条件でトランスフェクションが増大した。さらに、血清中でのトランスフェクションでは光単位が大幅に減少した。
【0156】
共重合体16は血清が存在しない場合に、トランスフェクションに際してBHK−21細胞に対してのみ毒性を示した。トランスフェクション間に10%血清が存在すると、毒性が最小になった。CHO−K1細胞に対するトランスフェクションでは検出可能な毒性は観察されなかった。
【0157】

【0158】
BHK−21細胞におけるトランスフェクション効率(●と■)および細胞生存率(▼と▲)に対する共重合体16/DNA荷電比および血清条件の影響。10%血清を含む培地と血清を含まない培地でのトランスフェクションの結果をそれぞれ点線と実線で示す。データは3つのサンプルの平均+/−S.D.で報告されている。毒性データは、最良適合線で示されている。
【0159】

【0160】
CHO-K1細胞におけるトランスフェクション効率(●と■)および細胞生存率(▼と▲)に対する共重合体16/DNA荷電比および血清条件の影響。10%血清を含む培地と血清を含まない培地でのトランスフェクションの結果をそれぞれ点線と実線で示す。データは3つのサンプルの平均+/−S.D.で報告されている。毒性データは、最良適合線で示されている。
【0161】
(比較例1)ルシフェラーゼ・レポータ遺伝子をコードするプラスミドを用いるトランスフェクション研究
実施例32の手順に従って、BHK−21およびCHO−K1細胞を用いて種々の非ウィルス性ベクターのトランスフェクション効率および毒性について調べ、DNA/共重合体16複合体群で達成された結果と比較した。BHK−21およびCHO−K1細胞を様々な荷電比と出発細胞密度で、血清を含まない培地中でトランスフェクションさせた。その結果を以下に示し、各ベクターに対して見出された最適トランスフェクション条件を示す。
【0162】

【0163】

【0164】
上記の説明と実施例は、単にいくつかの好ましい実施の形態を示すものであると理解すべきである。当業者であれば、種々の改変や等価物が本発明の精神および範囲を逸脱することなく可能であることは自明であろう。上記で議論した、或いは引用したすべての特許、論文、その他の資料は参考文献として本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状重合体骨格中に複数のシクロデキストリン単量体部分とリンカー部分とを含む線状重合体骨格を有する水溶性線状シクロデキストリン共重合体であって、
前記シクロデキストリン単量体部分又は前記リンカー部分が重合体鎖の末端に存在しない場合には、それぞれの前記シクロデキストリン単量体部分が、2つの前記リンカー部分に結合し、それぞれの前記リンカー部分が2つのシクロデキストリン単量体部分に共有結合しており、
前記シクロデキストリン単量体部分が、置換されていない、あるいは前記リンカー部分との共重合を妨げない基によって置換されていることを特徴とする共重合体。


【公開番号】特開2011−6695(P2011−6695A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195783(P2010−195783)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【分割の表示】特願2000−558134(P2000−558134)の分割
【原出願日】平成11年6月25日(1999.6.25)
【出願人】(301038689)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (4)
【Fターム(参考)】