説明

線虫類抽出抗凝血薬タンパク質(NAP)を製造するためのプロセス

本発明は、精製された線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)を製造するためのプロセスを提供する。ここで、請求されたプロセス方法により製造されるNAPは、NAP薬物製品として製剤化することができるNAP薬物物質である。本発明は、本明細書に開示されるプロセスによって製造されるNAP薬物物質およびNAP薬物製品を提供する。1つの態様において、本発明は、rNAPc2/プロリン薬物物質およびrNAPc2/プロリン薬物製品を製造するためのプロセスを提供し、本明細書に開示されるプロセスによって製造されるrNAPc2/プロリン薬物物質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒト血漿の抗凝血薬であるタンパク質を製造するためのプロセス、およびこのプロセスによって産生されたタンパク質に関する。具体的には、本発明は、精製された線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)を製造するためのプロセスに関し、このプロセスによって製造された精製NAPに関する。特に、本発明は、NAP薬物物質およびNAP薬物製品(drug product)、ならびにこれらを製造するためのプロセスに関する。なお、本願は、2003年5月6日に出願された同時係属中の出願「Method of Treatment of Hemorrhagic Disease Using a Factor VIIa/Tissue Factor Inhibitor」の優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医薬品として潜在的な価値を有する治療用タンパク質の発見および精製は、医薬品の大規模な商業産生に適さない材料と方法を用いて研究室で行われる。医薬品を商業規模で産生するために、バイオテクノロジー産生操業は、製品の品質を損なうことなく堅牢かつ拡張可能なものでなければならない(Gottschalk,2003,BioProcess Intl 1(4):54-61)。医薬品の製造プロセスは、経済的な方法、改善された製品収率、需要を満たす十分な能力をもたらすものでなければならず、理想的には、求められている変動に対応するプロセス拡張性をもたらすものでなければならない。治療用タンパク質の製造プロセスは、大量のタンパク質を機能する形で産生する経済的な方法、ならびにそのタンパク質を精製して目的の用途に適した純度の医薬品を得る方法を開発しなければならない。
【0003】
「研究規模」のタンパク質精製方法は、「実験規模」または「ベンチスケール」方法としても知られ、治療用タンパク質を発見および特徴付けるのに用いられた方法と密接に関係していることが多い。多くの場合、精製タンパク質の収量が数マイクログラムまたは数ミリグラムしかなくても、タンパク質を特徴付けおよび配列決定するには十分である。治療用タンパク質を組換えにより産生する発現系が開発された後でも、このような発現系は、商業規模でのタンパク質産生に必ずしも適しているとは限らない。さらに、研究規模の精製方法は、商業規模で望ましくないまたは実際的でない、時として、医薬品製造には許可されていない、有機溶媒、強酸、または他の試薬を使用することがある。さらに、これらの精製方法は、実験室では強力な精製方法であるが、商業的な産生段階に容易に拡張できない、分子ふるいまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分離方法を使用することがある。
【0004】
産生プロセスをさらに試験するために、または初期臨床試験用の十分な量の治療用タンパク質を産生するためには、試験規模プロセス(例えば、治療用タンパク質を発現する宿主細胞の発酵量が10L〜100L)が適しているが、試験規模プロセスでさえ、もっと後の段階の臨床試験に必要とされる量を製造するように常に拡張できるとは限らない。
【0005】
バイオテクノロジー製造能力を高める1つのアプローチは、微生物発現系の産生能力または産生効率の拡大を伴う。様々な十分に確立した生物「工場」が治療用タンパク質の産生に使用することができる。しかしながら、機能的タンパク質の産生は、そのタンパク質を産生する生物の細胞機構と密接に関係するので、それぞれの発現系には、タンパク質に応じて、医薬品の大規模産生に使用する際に利点と不利点がある。大腸菌は、扱いやすく、速く増殖し、安価な増殖培地を必要とし、タンパク質を、回収が容易な培地に分泌できるので、多くのタンパク質の発現にとってえり抜きの「工場」であった。しかしながら、大腸菌で産生される多くの真核生物タンパク質は、グリコシル化または他の翻訳後修飾が行われず、適切なジスルフィド結合および三次元フォールディングを有するタンパク質が形成されないので、未完成の機能しない形で産生される。さらに、大腸菌で産生される物質はエンドトキシンに汚染されていることがある。バチルス(Bacillus)種を発現系として使用する際にも、同様の制約に遭遇することが多い。哺乳動物細胞培養系を使用すると、適切なグリコシル化およびフォールディングが行われた少量の真核生物タンパク質が得られるが、哺乳動物細胞培養系は高価であり、商業産生段階にスケールアップすることが難しい場合があり、不安定な場合があり、動物の血清の使用を必要とすることがある。昆虫細胞発現系は迅速であり、比較的開発しやすく、良好な哺乳動物タンパク質発現レベルをもたらすが、高価な場合があり、中規模にしか拡張できず、不適切にグリコシル化することがある。酵母発現系は、増殖しやすく、迅速であり、拡張可能であるので普及している。しかしながら、酵母発現系の中には一貫性のない結果を出したことがあるものもあり、時として、酵母発現系は高収率を出すことが難しい。
【0006】
すばらしい可能性を示した酵母発現系の1つがメタン酸化菌であるピチア-パストリス(Pichia pastoris)である。他の真核生物発現系と比較して、ピチア属には、細菌に関連するエンドトキシン問題も、動物細胞培養物において産生されるタンパク質の汚染問題もないので、多くの利点がある(Cino,Am Biotech Lab,May 1999)。ピチア属は、メタノール誘導性アルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーター(通常、メタノール代謝の第一段階を触媒する酵素の発現を制御し、異種タンパク質を発現させるメタノール誘導性プロモーターである)を用いて、グルコース非存在下で炭素源としてメタノールを利用する。ピチア属の増殖速度は速いので大規模産生に容易に拡張することができるが、スケールアップの課題には、pHの管理、酸素の制限、栄養分の制限、温度の変動、およびメタノールを使用するための安全への配慮が含まれる(Gottschalk,2003,BioProcess Intl 1(4):54-61;CinoAm Biotech Lab,May1999)。cGMP(current Good Manufacturing Practice)条件下での産生が、1000L発酵規模でピチア-パストリスを用いて可能である(Gottschalk,2003,BioProcess Intl 1(4):54-61)。
【0007】
バイオテクノロジー製造能力を高める別のアプローチは、タンパク質の回収および発酵産物のダウンストリーム-プロセッシングを改善することである。ダウンストリーム-プロセッシングにおいて、プロセスは、既存の能力の産生性を最大限にしながら、発酵力価(fermentation titer)、培地組成物、および細胞生存率の変化および改善に対応するように調節できなければならない(Gottschalk,2003,BioProcess Intl 1(4):54-61)。クロマトグラフィーおよび濾過の最近の進歩によって、選択性、回収率が著しく増加し、多量かつ高発現レベルの現行の流加発酵プロセスと適合するように容量が大きくなり、サイクルタイムが短くなっている(Gottschalk,2003,BioProcess Intl 1(4):54-61)。
【0008】
バイオテクノロジー製造の改善が大きく進歩したにもかかわらず、全てのタンパク質に全体的な解決策があるとは限らない。ある特定の治療用タンパク質の製造プロセスには、そのタンパク質またはタンパク質ファミリーに特有であり得る新規のかつ革新的な解決策が必要とされる。同様に、商業応用の成功は、多くの場合、タンパク質またはタンパク質ファミリーの特有の特性と、医薬品としてのタンパク質またはタンパク質ファミリーの製造に用いられる産生プロセスの組み合わせに依存する。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、精製された線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)を製造するためのプロセス、ならびにこのプロセスによって製造された、精製されたNAP薬物物質およびNAP薬物製品を提供する。本発明は、大量の(商業規模量の)NAP薬物物質およびNAP薬物製品を製造するプロセスを提供する。特に、本発明は、(a)適切な宿主においてNAPを産生する工程を含む発酵プロセスであって、少なくとも1つのNAPコード配列が宿主のゲノムに組み込まれている、発酵プロセス;(b)NAPを細胞および細胞片から分離する回収プロセス;および(c)NAP薬物物質から汚染物質を取り除く精製プロセスの工程を含む、NAP薬物物質を製造するためのプロセスを提供する。適切な宿主はピチア-パストリスである。プロセスは、NAP薬物物質を最終薬物製剤(drug formulation)に導入する工程をさらに含んでもよい。プロセスは、最終薬物製剤中のNAP薬物物質のバルク濾過(bulk filtratoin)を含む充填プロセス、および剤形の状態にある最終薬物製剤中のNAP薬物物質を分配してNAP薬物製品を得る工程を含み得る充填工程をさらに含んでもよく、NAP薬物製品の凍結乾燥をさらに含んでもよい。本明細書で提供されるプロセスは、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46から、精製されたNAP薬物物質またはNAP薬物製品を製造するのに使用することができる。
【0010】
本発明は、本明細書で開示されるプロセスによって製造されたNAP薬物物質を提供する。本発明は、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46から選択されるが、これに限定されないNAPを用いて製造されたNAP薬物物質を提供する。1つの態様において、本発明のNAP薬物物質はrNAPc2/プロリンを用いて製造することができる。本発明は、本明細書で開示されるプロセスによって製造されたNAP薬物製品をさらに提供する。本発明は、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46から選択されるが、これに限定されないNAPを用いて製造されたNAP薬物製品を提供する。1つの態様において、本発明のNAP薬物物質は、rNAPc2/プロリンを用いて製造される。
【0011】
別の局面によれば、本発明は、rNAPc2/プロリン薬物物質およびrNAPc2/プロリン薬物製品を製造するためのプロセスを提供する。本発明は、本明細書で開示されるプロセスによって製造されたrNAPc2/プロリン薬物物質およびrNAPc2/プロリン薬物製品をさらに提供する。特に、本発明は、発酵プロセス、回収プロセス、および精製プロセスを含む、rNAPc2/プロリン薬物物質を製造するためのプロセスを提供する。本明細書で提供されるプロセスは、少なくとも1つのrNAPc2/プロリンコード配列がゲノムに組み込まれているピチア-パストリスにおいてrNAPc2/プロリンを産生する発酵プロセスであって、宿主細胞を望ましい細胞密度まで増殖させる種発酵(seed fermentation)、ならびにグリセロール回分発酵、グリセロール流加発酵、メタノール適応発酵、およびメタノール誘導発酵を含む約7日間までの産生発酵プロセスを含む、発酵プロセスを含む。本明細書で提供されるプロセスは、rNAPc2/プロリンを細胞および細胞片から分離するイオン交換流動床クロマトグラフィーを含む回収プロセスをさらに提供する。本明細書で提供されるプロセスは、疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー、rNAPc2/プロリン画分の収集、rNAPc2/プロリン画分の少なくとも1回の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、イオン交換クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーからのrNAPc2/プロリン画分の収集を含む、精製プロセスであって、イオン交換クロマトグラフィーからのrNAPc2/プロリン画分はrNAPc2/プロリン薬物物質を含む、精製プロセスをさらに提供する。1つの局面によれば、プロセスは、発酵の温度を制御する工程、特に、メタノール適応発酵の温度を、最初の約4時間、約28±2℃に維持し、メタノール適応発酵の残りの時間、約25±1℃に維持する工程を含む。別の局面によれば、メタノール適応発酵およびメタノール誘導発酵の間に、pHが約2.9±0.1に維持される。1つの態様において、回収プロセスは、pH約3.2±0.2でのStreamline SP XLイオン交換樹脂流動床クロマトグラフィーを含み、精製工程は、pH約3.0±0.1でのSource 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびSource 15Qイオンクロマトグラフィー、それに続くイオン交換クロマトグラフィーからのNAP画分のUF/DFを含む。
【0012】
rNAPc2/プロリン液体薬物製品を製造するためのプロセスがさらに提供される。このプロセスは、前記のプロセスによってrNAPc2/プロリン薬物物質を製造する工程の後に、rNAPc2/プロリン薬物物質を最終薬物製剤に導入する工程、バルク濾過を含む充填プロセスおよび最終剤形の状態にあるrNAPc2/プロリンを分配して(例えば、容器またはバイアルに分配して)rNAPc2/プロリン液体薬物製品を得る工程を含み、rNAPc2/プロリン薬物製品の凍結乾燥をさらに含んでもよい。本発明は、このプロセスによって製造されたrNAPc2/プロリン液体薬物製品およびこのプロセスによって製造されたrNAPc2/プロリン凍結乾燥薬物製品を提供する。
【0013】
本発明は、多量の(商業規模の)NAP薬物物質(特に、rNAPc2/プロリン薬物物質)を製造するためのプロセスを提供する。本明細書で提供されるプロセスによって製造されたNAP薬物物質は、NAP薬物製品(液体NAP薬物製品または凍結乾燥NAP薬物製品を含む)として製剤化および分配することができる。また、本明細書で提供されるプロセスによって製造されたrNAPc2/プロリン薬物物質は、液体rNAPc2/プロリン薬物製品または凍結乾燥rNAPc2/プロリン薬物製品を含むrNAPc2/プロリン薬物製品として製剤化および分配することができる。
【0014】
このプロセスは、望ましい活性レベルおよび純度レベルを有するNAP薬物物質およびNAP薬物製品の効率的な商業規模産生に適している。対照的に、以前に開示されたNAP精製方法は、大規模なNAP産生に拡張できない研究規模の方法であり、薬物物質および薬物製品の産生に望ましくない試薬および材料を使用した。例えば、以前に開示された回収プロセスは、細胞を除去するための遠心分離からなった。以前のプロセスでは、次に、上清は陽イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー(分子ふるいとしても知られる)、最後に、逆相クロマトグラフィーによって精製された。しかしながら、本明細書で提供されるように、NAP、特に、rNAPc2/プロリンの特性のために研究規模プロセスの改良が可能になって、遠心分離工程が拡張かつ洗浄可能な方法と取り替えられ、スケール変更しにくいゲル濾過クロマトグラフィー工程および逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程(可燃性有機溶媒および特殊な装置の使用と必要とする)が両方とも不要となり、最終生成物の純度が改善された。本明細書で提供されるプロセスでは、流動床イオン交換クロマトグラフィー工程(特に、Streamline SP XL流動床クロマトグラフィー工程)によって、商業プロセスの回収工程に通常用いられる複数の単位操作(例えば、精密濾過および限外濾過の組み合わせ)が不要となった。本明細書で提供されるように、rNAPc2/プロリンを細胞破片から分離し、生成物を、第1の精製工程に適した緩衝液に交換するために、Streamline SP XL工程が用いられた。以前に開示された方法ではゲル濾過および逆相クロマトグラフィーが用いられたが、これらのカラム工程は、本発明では疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)および陰イオン交換クロマトグラフィー(特に、Source 15PHEを使用したHICおよびSource 15Qを使用した陰イオン交換)と取り替えられた。これにより、タンパク質および非タンパク質性汚染物質が除去されることで、rNAPc2/プロリンが大幅に精製された。マトリックスへのより高い結合およびHIC工程からの生成物のより高い全回収はこのクロマトグラフィー工程を約3.2の低いpHで行うことに依存するという驚くべき結果を生み出したことに、rNAPc2/プロリン(pI=4.1)および他のNAPの比較的低いpIが関与していた可能性があるように思われる。さらに、プロセスの効率は、発酵工程後半からStreamlineクロマトグラフィーおよびHICまで約pH3で工程を行い、工程間の緩衝液交換を不要にすることに起因した。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、精製された線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)(例えば、米国特許(以下「US」)5,863,894;5,864,009;5,866,542;5,866,543;5,872,098;および5,945,275(これらの各々の全ての内容が参照として本明細書に組み入れられる)に開示されるNAP)を製造するためのプロセスを提供する。ここで、今日まで特徴付けられたNAPは、抗凝血活性および/またはセリンプロテアーゼ活性を有する。本発明は、請求されたプロセス方法によって製造された精製NAPを提供し、ここで、このような精製NAPは、NAP薬物製品として製剤化することができるNAP薬物物質である。本発明は、少なくとも1つのNAPドメインを含むポリペプチドの製造に特に適している可能性がある。本発明は、本明細書で開示されるプロセスによって製造されたNAP薬物物質およびNAP薬物製品を提供する。1つの態様において、本発明は、rNAPc2/プロリン薬物物質およびrNAPc2/プロリン薬物製品を製造するためのプロセスを提供し、本明細書で開示されるプロセスによって製造されたrNAPc2/プロリン薬物物質およびrNAPc2/プロリン薬物製品を提供する。
【0016】
線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)は、最初に単離された初めてのNAPが、線虫類であるイヌ鉤虫(Ancyclostoma caninum)から抽出されたので、このような名前が付けられた。用語「NAPドメイン」は、抗凝血性を有すると考えられている配列を意味する。一般的に、NAPドメインは、US5,863,894;5,864,009;5,866,542;5,866,543;5,872,098;および5,945,275に開示されるように、約120アミノ酸未満の残基を含み、10個のシステイン残基を含むアミノ酸配列である。「NAPドメイン」はまた、NAPドメインを有する1つまたはそれ以上のアミノ酸配列またはポリペプチをコードする核酸配列またはヌクレオチド配列を意味することもある。代表的なNAPドメイン、NAPアミノ酸配列、このタンパク質ファミリーを大まかに定義する特徴、およびこのようなタンパク質をコードする核酸分子は、US5,863,894;5,864,009;5,866,542;5,866,543;5,872,098;および5,945,275に開示される。
【0017】
本発明のNAP薬物物質は、血液凝固(血漿凝固を含む)の阻害を特徴とする抗凝血物質を含む。本発明のNAP薬物物質は、特に、US5,863,894;5,864,009;5,866,542;5,866,543;5,872,098;および5,945,275に開示される、プロトロンビン時間(PT)および/または活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイで測定されるようなヒト血漿の凝固時間を長くするものを含む。当業者であれば、NAP薬物物質の抗凝血活性を確かめるために、他のアッセイを使用することができる。同様に、当業者であれば、NAP薬物物質の他の生物学的活性を確かめるために他のアッセイを使用することができる。
【0018】
用語「AcaNAPc2」または「rNAPc2」は、NAPファミリーの組換えタンパク質を意味する。AcaNAPc2の調製および配列はUS5,866,542に記載されている。
【0019】
用語「AcaNAPc2/プロリン」、「AcaNAPc2P」、「rNAPc2/プロリン」、および「rNAPc2/Pro」は、AcaNAPc2配列のC末端にプロリン残基を付加するように改変された、AcaNAPc2のアミノ酸配列を有する組換えタンパク質を意味する。
【0020】
「薬物物質」または「原薬」(API)は、後で賦形剤と共に製剤化して薬物製品を産生することができる、薬学的に活性な物質を意味する。薬物物質はバルクの形でもよい。「薬物製品」は、最終製剤緩衝液中に薬物物質を含み、通常、活性成分を含む、完成剤形(例えば、カプセル、錠剤、バイアルに入った液体製品、バイアルに入った凍結乾燥粉末)を意味する。薬物製品は、製剤化された薬物物質でもよい。「賦形剤」は、薬物製品に故意に添加される不活性成分を意味する。この場合、賦形剤は、使用される量で薬理学的特性を有さないことが理解される。「不純物」は、望ましい薬物製品、製品に関連する物質、または賦形剤でない、薬物物質、API製剤、または薬物製品に存在する成分を意味する。この場合、不純物は、製品に関連してもよく、プロセスに関連してもよいことが理解される。「分解生成物」は、光、pH、温度、水、または賦形剤もしくは容器/包装/施栓系との反応による薬物物質または薬物製品の経時変化に起因する変異物(特に、分子変異物)を意味する。
【0021】
「USP」は、United States Pharmacopoeia(USP)およびNational Formulary(NF)(United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville Maryland(2002),「USP26-NF-21」(これらの全ての内容が参照として本明細書に組み入れられる)、ならびにUSP Reference Standardに記載の基準を意味する。さらなる情報については、http://www.usp.org、またはUSP-NFを調べることによって入手することができる。
【0022】
本発明は、高純度のNAP薬物物質を産生するプロセスを提供する。ここで、発酵工程にも精製工程にも動物由来の原材料は用いられない。このプロセスは、商業製品規模で操業するように拡張することができ、かつ適している。本発明は、NAP薬物物質およびNAP薬物製品を製造するためのプロセスを提供する。ここで、プロセスは、発酵、回収、精製、濾過、および充填プロセスを含む。NAPが適切な宿主において産生される発酵プロセスが提供され、ここで、NAPコード配列は宿主ゲノムに組み込まれている。発酵工程から回収されるタンパク質の収率および純度を改善する回収プロセスが提供される。この、回収プロセスを使用すると、精密濾過および限外濾過などの従来の方法と比較して効率的にNAPを捕捉することができる。NAP薬物物質から汚染物質が取り除かれる精製プロセスが提供される。ここで、限外濾過、ダイアフィルトレーション、疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーを含むが、これに限定されない方法の組み合わせを用いて、望ましい製剤化が行われる。任意の充填プロセスが提供される。ここで、NAP薬物製品が包装容器に導入され、凍結乾燥されてもよい。
【0023】
本発明のプロセスは、NAP薬物物質およびNAP薬物製品の製造に適している。当業者であれば、ある特定のNAP薬物物質の発現、回収、精製、製剤化、または充填を改善するように、本明細書で開示されるプロセスを変更することができる。限定しない例において、当業者であれば、関心対象のある特定のNAPの等電点(pI)を求め、望ましいNAP薬物物質の精製を改善するために、クロマトグラフィー工程の結合能またはpHなどの条件に小さな変更を加えることができる。本発明は、AcaNAPc2、AcaNAPc2/プロリン、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP46、およびAcaNAP44を含むが、これに限定されないNAPから、本明細書で開示されるように精製されたNAP薬物物質を提供する。特に、本発明はrNAPc2/プロリンを提供する。当業者であれば、精製NAP薬物物質を製造するために、本明細書で開示されるプロセスで使用するのに適した他のNAPタンパク質を特定することができる。
【0024】
発酵
本発明は、NAPが適切な宿主において産生される発酵プロセスを提供する。提供されるように、1つまたはそれ以上のNAPコード配列が宿主ゲノムに組み込まれており、宿主は発酵プロセス間にNAPを産生する。1つの態様では、本明細書で提供されるように発酵プロセスにおいて、ピチア-パストリスによってrNAPc2/プロリンが分泌タンパク質として産生される。
【0025】
本明細書で提供されるように、発酵プロセスは、宿主細胞を望ましい細胞密度まで増殖させる種発酵プロセス、およびNAPを望ましい力価まで産生する産生発酵プロセスを含む。種発酵プロセスは、高濃度のNAPを産生する産生発酵プロセス用の適切な密度の接種材料を提供する。本明細書で提供される発酵プロセスは、高濃度のNAPを産生する産生発酵をさらに含む。産生発酵は、異なる段階:グリセロール回分、グリセロール流加、メタノール適応、およびメタノール誘導を含む。グリセロール回分期はバイオマスを増やす。グリセロール流加期では、バイオマスを増やし、発現を抑えるために、グリセロールに富む溶液が培養物に供給される。メタノール適応期では、グリセロール供給が停止し、NAPを産生するように宿主を誘導するメタノール供給に変えられる。メタノール誘導期では、NAP産生を維持するために、メタノール適応期の終わりの処理条件が維持される。
【0026】
1つの局面によれば、望ましいNAP高力価を実現するために、発酵のpH範囲が制御される。1つの態様において、メタノール適応発酵およびメタノール誘導発酵の間に、発酵のpH範囲は約2.9±0.1pH単位のpH範囲に制御される。別の局面によれば、発酵の温度が制御される。1つの態様において、発酵のメタノール適応期の温度は、最初の4時間、メタノール供給への首尾よい適応に好ましい約28±2℃に保持され、メタノール適応期の残りの時間の温度は、高力価のNAPに好ましい約25±1℃に保持される。1つの局面によれば、NAP力価は、約7日間、生成物に悪影響を及ぼすことなく増加し続け、これにより、高いNAP全収率が得られる。
【0027】
例示的な態様において、本明細書で提供される発酵プロセスは、15L、100L、150L、および1000Lファーメンターにおいて行われ、NAP薬物物質を得るために、15L、100L、および150L発酵から物質が精製された。1つの態様において、発酵プロセスはrNAPc2/プロリンを高力価で産生する。様々な態様において、rNAPc2/プロリンを産生する発酵が15L、100L、150L、および1000Lファーメンターにおいて行われ、rNAPc2/プロリン薬物物質が15L、100L、および150L発酵から精製された。
【0028】
回収
本発明は、発酵工程からのNAPタンパク質の収率および純度を改善する回収プロセスを提供する。本明細書で提供される回収プロセスを使用すると、NAPを捕捉し、細胞および細胞片を除去することができる。ここで、本明細書で提供される回収プロセスは、精密濾過/限外濾過などの従来の方法と比較して効率的である。この理論に制限されるつもりはないが、本明細書で提供される回収効率の向上は、ピチア系の側面の組み合わせに(すなわち、ピチア-パストリスは発酵間に高密度のバイオマスを生じることに)起因する可能性がある。さらに、NAPタンパク質は比較的小さなタンパク質であり、従って、小さな孔径の限外濾過膜を必要とする。このような限外濾過膜は流出速度(flux rate)が遅いために、処理時間が長くなる。1つの局面によれば、回収プロセスは、NAPを細胞および細胞片から分離し、生成物を、後の精製工程に使用するのに適した緩衝液に交換するために、イオン交換クロマトグラフィー(流動床イオン交換クロマトグラフィー装置の使用を含む)を使用する。1つの態様において、Streamline SP XLイオン交換樹脂(Amersham Biosciences)流動床クロマトグラフィー装置が、本明細書に記載のNAP薬物物質の回収に用いられる。別の態様において、流動床クロマトグラフィーを使用して、rNAPc2発現宿主細胞の細胞破片からrNAPc2/プロリンが分離される。特に好ましい態様において、Streamline XLイオン交換装置からrNAPc2/プロリンが回収される。
【0029】
または、発酵工程からNAPを効率的に捕捉する回収プロセスは、流動床イオン交換クロマトグラフィー以外の方法を用いて行うことができる。当業者であれば、NAPを捕捉し、細胞および細胞片を除去する代替方法を試験および評価することができる。代替方法として、アフィニティクロマトグラフィー、遠心分離、濾過、分画遠心、および確かめようとする他の方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0030】
精製
本発明は、NAP薬物物質から汚染物質が取り除かれる精製プロセスを提供する。本明細書で提供されるように、精製プロセスは、疎水性相互作用クロマトグラフィー、NAP画分の収集、NAP画分の少なくとも1回の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、イオン交換クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーからのNAP画分の収集、もう1回のUF/DF工程、および最終濾過を含む。精製プロセスにおいて提供される各工程はNAP薬物物質の純度を高めることが理解され、当業者であれば、特定の用途に必要とされる純度の程度を確かめ、NAP薬物物質の純度の望ましいレベルを得るのに必要な工程および条件を選択することができる。全プロセス効率は、発酵ブロスから回収工程および第1の精製工程(Source 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー)まで、溶液中の低pH(約3)を維持することによって向上した。これらの工程は、他のプロセスで必要とされるpH/緩衝液交換工程を無くすために同じpHで行われるように設計され、それによって必要とされる時間および労力が少なくなり、潜在的な生成物損失が小さくなった。これらの工程は、約5未満のpH、好ましくは約4未満のpH、より好ましくは約3のpHで行われる。1つの態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、pH約3.0±0.1でSource 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体を使用する。本明細書で提供されるように、精製プロセスは、汚染物質を除去するために疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する。疎水性相互作用クロマトグラフィーにおいて、低pHを使用すると多量のNAPを疎水性媒体に結合させることが可能になり、勾配溶出を使用すると、密接に関連する不純物を分離することが可能になる。本明細書で提供されるように、疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体から溶出されたNAP画分は、生成物を濃縮し、緩衝液交換を行うために限外濾過およびダイアフィルトレーション(UF/DF)にかけられる。この後に、適切な緩衝液中のNAPは、残存タンパク質および非タンパク質性汚染物質(密接に関連する汚染物質を含む)の大部分を除去するためにイオン交換媒体に適用される。最後に、本明細書で提供されるように、イオン交換クロマトグラフィーから収集されたNAP画分(高度に精製されたNAP薬物物質(API)を含有する)は、NAP薬物物質を濃縮し、最終的な製剤化緩衝液に交換するためにUF/DFにかけられる。
【0031】
1つの態様において、NAP回収に用いられたStreamline SP XLクロマトグラフィー工程からの、濾過され調整された溶出液は、低pH(約3.0±0.1)で、Source 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体(Amersham Biosciences)のカラムにアプライされ(ここで、多量のNAPがカラムに結合する)、その後に、Source 15PHEの勾配溶出が行われ、pHを約5以上に上げるために水酸化ナトリウムが添加され、次いで、溶出されたNAP画分のUF/DFが行われた後に、NAP溶液がSource 15Qイオンクロマトグラフィー媒体(Amersham Biosciences)のカラムにアプライされ、密接に関連する汚染物質からNAP薬物物質を分離するために勾配溶出が用いられる。1つの態様において、イオン交換(in-exchange)クロマトグラフィーからのNAP画分はNAP薬物物質を含む。別の態様において、高度に精製されたrNAPc2/プロリン薬物物質を得るために、精製プロセスが前記のように行われる。
【0032】
本明細書で提供されるように、NAPを含有する溶液は、望ましい濃度または望ましい製剤化でNAP薬物物質を得るために様々な濾過工程を経ることができる。所望に応じて、さらなる濾過工程を含めてもよい。従って、クロマトグラフィー工程から溶出されたNAP画分は、濾過、濃縮、脱塩が行われてもよく、限外濾過(UF)のみで、もしくはダイアフィルトレーション(DF)と組み合わせて、または限外濾過およびダイアフィルトレーションの組み合わせ(UF/DF)で緩衝液交換が行われてもよい。本明細書で提供されるように、UF/DFは、疎水性相互作用クロマトグラフィー溶出緩衝液をイオン交換クロマトグラフィーローディング緩衝液に交換するために、または交換イオンクロマトグラフィー溶出緩衝液を、NAP薬物製品に使用しようとする最終製剤緩衝液もしくはバルク薬物製剤に交換するために使用することができる。UF/DFは、一枚またはそれ以上のフィルターを使用して行うことができる。1つの局面によれば、選択された分子量孔径を有する1枚のフィルター(またはフィルター膜)がUF/DFに用いられる。または、スケールアップの必要に応じて、複数のフィルターを使用することができる。1つの態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程からの、pHが調節されたNAP画分は、望ましい濃度を得るために、3kDa MW孔径のフィルターを用いた限外濾過にかけられ、次いで、望ましい緩衝液条件が得られたことが確かめられるまで、NAP含有保持液(retentate)のプールは、同じ3kDa MW孔径フィルター膜を用いて5体積以上のイオン交換ローディング緩衝液に対してダイアフィルトレーションされる。1つの態様において、イオン交換クロマトグラフィーからのNAP画分は少なくとも1回の最終UF/DFにかけられる。別の態様において、イオン交換クロマトグラフィー工程からのNAP画分は、NAP薬物物質を最終薬物製剤緩衝液に交換するために、前記のようにUF/DFにかけられる。別の態様において、3kDa MW孔径を有する再生セルロース限外濾過フィルターが限外濾過またはダイアフィルトレーションに用いられる。当業者であれば、実験条件および所望の目的に適し、かつ適合するフィルターまたはフィルター膜を選択および評価することができる。
【0033】
バルク濾過
本明細書で提供されるように、最終製剤緩衝液中のNAP薬物物質は濾過および保存されてもよく、さらなる処理工程にかけられてもよい。1つの態様において、最終製剤中のNAP薬物物質は充填プロセスにかけられる。1つの態様において、バルクNAP薬物物質は、適切な無菌環境(例えば、製造施設の「クラス100エリア」)に移され、濾過されて滅菌容器に入れられる。1つの態様において、NAP薬物物質は、例えば、0.2μmフィルターを用いて濾過されて、適切な材料の加圧滅菌された容器(例えば、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(EFTE)、またはU.S. Federal Food Drug and CosmeticsのFood Additives Amendment およびUSP Class VI規格の規定を満たす他の材料で作られた容器)に入れられる。1つの態様において、バルクrNAPc2/プロリン薬物製品はクラス100エリアに移され、Millipak 0.2μmフィルターを用いて濾過されて、汚染をしない成型ライナーレスTefzel(登録商標)ETFEスクリューキャップ(screw closure)の付いた、加圧滅菌された1リットル成型Nalgene Tefzel(登録商標)FEP1600シリーズボトルに入れられ、この後に、ボトルは保存のために-20±10℃のフリーザーに移される。
【0034】
バルクNAP薬物物質は、最終濾過のために同じ方法を用いて再濾過および充填されてもよい。例えば、前記のように充填された小さなボトルの内容物が大きな容器に移されてもよい。1つの態様において、前記のようにrNAPc2/プロリン薬物物質を含むTeflon FEPボトルの内容物は、クラス100エリアにおいて、加圧滅菌されたカーボイ(carboy)に移され、再濾過され、充填される。
【0035】
充填工程
1つの局面によれば、本発明は、NAP薬物物質を含む最終薬物製剤が、無菌のバイアル、容器、または他の包装容器に充填される充填工程をさらに提供する。充填工程は、さらなる濾過工程を含んでもよく、個々のバイアル、容器、または他の包装容器を充填する前に充填スイート(filling suite)を使用することを含んでもよい。充填工程によってNAP薬物製品のバイアルが得られてもよく、ここで、NAP薬物製品は最終剤形の状態にある。液体充填工程によって、液体の形をしたNAP薬物製品のバイアルを得ることができる。NAP薬物製品は、充填工程の間に導入された形(例えば、NAP薬物製品を含む溶液の単位用量)で使用することができる。または、NAP薬物製品の製剤は充填工程後にさらに操作されてもよい(例えば、液体充填工程後にバイアル中のNAP薬物製品が凍結乾燥されてもよい)。本明細書で提供されるように、望ましい最終濃度のNAP薬物物質を濾過して無菌の充填スイートに入れ、次いで、個々の予め滅菌されたバイアルに充填することができる。
【0036】
1つの態様において、rNAPc2/プロリンバルク薬物物質(12±1.2mg/mL濃度)を、0.2Mアラニンおよび25mMリン酸二水素ナトリウム(pH7.0)の溶液で3mg/mLまで希釈する。次いで、希釈したrNAPc2/プロリンを5体積以上のアラニン/リン酸溶液でダイアフィルトレーションする。rNAPc2/プロリン溶液を取り出し、フィルターをアラニン/リン酸溶液で洗浄する。次いで、ダイアフィルトレーションされたrNAPc2/プロリン溶液を、フィルター洗浄液およびアラニン/リン酸溶液で、(下記の実施例のUVアッセイで測定されるように)2mg/mLまで希釈する。次いで、濃度が1.0±0.1mg/mL rNAPc2となるように、2mg/mL rNAPc2/プロリン溶液を等量の25mMリン酸ナトリウム,8%スクロース(pH7.0)で希釈する。最後に、1mg/mL rNAPc2/プロリン製剤化溶液を、充填工程前にMillipak 0.2μmフィルター(Millipore Corp.)を用いて濾過する。1mg/mL rNAPc2/プロリン薬物製品を2列の0.2μm Millipakフィルターに通して濾過し、無菌の充填スイートに入れる。次いで、rNAPc2/プロリンを個々の予め滅菌された3ccガラスバイアルに充填し、不完全に栓をする。
【0037】
別の態様として、液体薬物製品用にrNAPc2/プロリンバルク薬物物質を製剤化することができる。これは実施例5.1で述べる。
【0038】
凍結乾燥
本発明は、凍結乾燥NAP薬物製品を産生するための任意の凍結乾燥工程を提供する。充填工程の後に、バイアルまたは他の容器に入っているNAP薬物製品を凍結乾燥し、次いで、密封する(例えば、バイアルの栓を押し下げ、バイアルに蓋をする)。NAP薬物製品が過酷な温度ストレス(例えば、50℃で28日)にかけられた時に、凍結乾燥製剤は高い純度および持続的な安定性を維持する。
【0039】
本発明は、rNAPc2/プロリンを製造するプロセスの特徴およびこれらのプロセスによって産生されたrNAPc2/プロリンの特徴(精製された生成物を特徴付けるデータおよび方法を含む)を示すために以下で提示される特定の実施例によってさらに説明される。以下の実施例において、薬学的組成物において使用するための薬物製品としての製剤として適したrNAPc2/プロリン薬物物質を製造するためのプロセスを開示することによって、前記の効果が明らかにされる。しかしながら、これらの態様は、本発明を例示するために示され、本発明を限定するものとして解釈されてはならず、本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0040】
実施例
実施例1. NAP薬物物質発現系用の細胞バンクの調製
実施例1.1. rNAPc2/プロリン発現系
rNAPc2遺伝子を、PCRレスキューを用いて、ピチア-パストリス発現ベクターpYAM7sp8(Laroche et al.,1994,Biotechnology 12:1119-1124)にクローニングした。pYAM7sp8ベクター(図1)は、pHIL-D2(Despreaux and Manning,1993,Gene 106:35-41)の誘導体である。これは、ピチア-パストリスAOX1遺伝子のプロモーターおよび転写終結シグナル、分泌シグナルペプチド(ピチア-パストリス酸性ホスファターゼシグナル配列と、ハイブリッドS.セレビシエ(S.cerevisiae)α-接合因子のプロ配列の融合)、ならびにトランスフェクタント選択用のHIS4マーカーを含む。
【0041】
ファージクローン(Jespers et al.,1995,Biotechnology 13:387-382)からrNAPc2/プロリン遺伝子をレスキューするために使用したPCRプライマーは、以下の通りであった。

【0042】
これらのプライマーは、レスキューされたDNA断片の5'末端および3'末端それぞれにDraIおよびXbaIを付加する。下線は、テンプレートにハイブリダイズするヌクレオチドを示す。プライマーA9(SEQ ID NO:2)は終結コドンの直前にプロリンコドンも挿入する。これにより、コード配列は、AcaNAPc2をコードする配列(SEQ ID NO:3)からAcaNAPc2/プロリンをコードする配列(SEQ ID NO:4)に変わる。結果として得られたPCR断片をDraIおよびXbaIで消化し、StuIおよびSpeIで消化されたpYAM7sp8にクローニングした。pYAM7sp8(StuI)およびPCR断片(DraI)の平滑末端を連結することによって、P.パストリス分泌シグナルペプチドと、rNAPc2/プロリンの成熟部分とのインフレーム融合が得られた。PCR断片のXbaI末端とおよびpYAM7sp8のSpeI末端を連結することによって、pYAM7sp8のSpeI部位が破壊された。
【0043】
P.パストリス発現株は、相同組換えによって発現カセットをP.パストリスゲノムに組み込むことによって構築された。pYAM7sp8/NAPc2構築物をNotIで消化した。消化されたプラスミドを、P.パストリスGS115(his4-)細胞にエレクトロポレーションした。トランスフェクタントを、メタノール利用表現型(mut+)およびrNAPc2高レベル発現についてスクリーニングした。マスター細胞バンク(MCB)を作成するために、1個の分離菌(GS115/AcaNAPc2P-55と名付けた)を選択した。放射標識されたrNAPc2またはHIS4遺伝子でプローブしたサザンブロットによって産生株を分析した。これらのブロットから、発現カセットの複数のコピーがAOX1遺伝子の3'部位に組み込まれたことが分かった。
【0044】
実施例1.2. マスター細胞バンク(MCB)
マスター細胞バンク(MCB)を、シングルコロニー分離菌(GS115/AcaNAPc2P-55)のプレバンクを用いて調製した。2%グルコース含有YEPDフラスコ培地(バクトペプトン、酵母エキス、およびデキストロース)を含むフラスコに、0.5mLのプレバンクを接種し、0.5〜1.0の光学密度(A550nm)まで増殖させた。培養物を採取し、グリセロール(冷凍保存剤)で最終濃度15%まで希釈し、-60℃未満の温度で保管されたクライオバイアル(cryovial)に入れて冷凍した。
【0045】
実施例1.3. 製造者作業用細胞バンク(Manufacturer's Working Cell Bank:MWCB)
新たな製造者作業用細胞バンク(MWCB)をMCBのバイアルから製造した。MCBバイアルを用いて、酵母ペプトン培地(ペプトンおよび酵母エキス)ならびに2%デキストロースを含むフラスコに接種した。光学密度(A600nm)が17.0±5.0になるまで、フラスコを28±2℃および250rpmでインキュベートした。培養物を採取し、冷凍保存剤としてグリセロールを最終濃度9%まで添加した。1.1±0.1mLのアリコートを2.0mLクライオバイアルに充填し、凍結し、-70±10℃で保存した。
【0046】
実施例1.4. マスター細胞バンクの分析に使用した試験方法
宿主同定
rNAPc2/プロリン細胞バンク培養物をトリプチケースソイ寒天(TSA)プレートに画線し、増殖のためにプレートをインキュベートした。Vitek(登録商標)同定システムを用いた同定のために、分離菌を準備した。Vitek(登録商標)同定システムでは、温度制御チャンバーと、26種類の従来の生化学試験用の基質を含むVitek(登録商標)酵母試験カードに接種された分離菌懸濁液の濁度の変化をモニタリングする測光センサー装置を使用する。rNAPc2/プロリン細胞バンク宿主同定のために、結果として得られた反応バイオパターンを、正の対照の生物(ピチア-パストリス,ATCC No.76273)反応バイオパターンと比較した。
【0047】
生細胞濃度
rNAPc2/プロリン細胞バンクの生細胞濃度は、3種類の細胞バンクバイアル(それぞれ、初め、中間、および終わりからの細胞バンクバイアル)からの連続希釈液を調製することによって、生コロニー形成単位(CFU)を数えることによって測定した。希釈液をTSAプレートに3回繰り返してプレートし、インキュベートされたCFUを計数し、CFU/mLとして細胞濃度を求めるために計算を行った。
【0048】
構造遺伝子配列分析
宿主ゲノムに組み込まれたrNAPc2/プロリン遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて増幅することによって遺伝子配列決定を行うために、細胞バンク培養物を調製した。PCR産物を精製し、濃度を求めた。次いで、PCR産物を、ジデオキシチェーンターミネーション(Sanger)法を用いて配列決定した。結果として得られた細胞バンクの遺伝子配列を、既知のrNAPc2 DNA配列と比較した。100%マッチによって同一性を確認した。
【0049】
非宿主汚染アッセイ
rNAPc2/プロリン発酵ブロスの非宿主汚染を、9枚のTSAプレートのそれぞれに100mLを接種することによって試験した。3枚のプレートを3種類の温度(20〜25℃、30〜34℃、および35〜39℃)でインキュベートした。7日間のインキュベーション期間の間、特徴的な宿主とは異なる(特に、コロニー形態、色、および/またはコロニーサイズにおいて違いを示す)微生物コロニーがあるかどうか、プレートを詳細に調べた。最終的なリードプレートにおいてグラム染色も行った。適切な負の対照もアッセイに含めた。
【0050】
実施例1.5. 製造者作業用細胞バンクの分析に使用した試験方法
宿主同定
rNAPc2/プロリン細胞バンク培養物をサブローデキストロース寒天(SDA)プレートに画線し、プレートを20〜25℃で7日間増殖のためにインキュベートした。同時に、正の対照(K.パストリス(P.パストリスの別名)のATCC株)を同様にSDAプレートに画線した。次いで、増殖した選択コロニーをグラム染色で試験した。
【0051】
インキュベーションの後、それぞれのSDAプレートの少なくとも2個の形態学的に似たコロニーを、試験試料SDAプレートおよび正の対照SDAプレートから選択した。これらのコロニーを別のSDAプレートで継代培養し、20〜25℃で7日間インキュベートした。次いで、それぞれの継代培養プレートからの増殖物に対して、API 20C AUX試験およびグラム染色を行った。API試験システム(bioMerieux SA;Marcy l'Etoile,France)は、20種類の小型生化学試験を含む、手作業による微生物同定試験である。20C AUX試験片は、酵母同定に特有の20種類の生化学試験を含む。同定を確認するために、rNAPc2/プロリン細胞バンク試験試料のAPI試験結果を正の対照で得られた結果と比較した。
【0052】
生細胞濃度
rNAPc2/プロリン細胞バンクの生細胞濃度は、2つの細胞バンクバイアル(1つは細胞バンクを冷凍する前に引き抜かれたバイアル、1つは細胞バンクを冷凍した後に引き抜かれたバイアル)からの連続希釈液を調製することによって、生コロニー形成単位(CFU)を数えることによって測定した。それぞれの希釈液の100μLアリコートを2回繰り返してTSAにプレートし、5〜7日間インキュベートした。数えられるコロニー(30〜300CFU)のある全てのプレートを計数した。同じ試験試料希釈液のプレートから得られた数を平均し、希釈を掛け、CFU/mLとして結果を報告するために100μLアリコートサイズで割った。
【0053】
DNA配列決定
総DNAを、新たに作成された細胞バンク(試験物)から単離した。NAPc2/プロリン遺伝子を、クローニングされたNAPc2/プロリン遺伝子の5'配列および3'配列に相同なプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した。結果として得られたDNA断片(約500bp)を標準的な方法を用いて精製し、Thermo Sequenase放射性標識ターミネーターサイクルシークエンシングキット(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)を使用して行うプライマーウォーキング法を用いるDNA配列決定用のテンプレートとして使用した。配列決定用フィルムをデジタル化によって読み取り、配列データを集め、Sequencher(商標)ソフトウェア,バージョン3.0(Gene Codes Corp.,Ann Arbor,MI)を用いて分析した。次いで、試験物から得られたコンセンサス配列を、NAPc2/プロリン遺伝子の理論配列と比較した。
【0054】
非宿主汚染
新たに作成された細胞バンク(試験物)を凍結する前に、バイアルを非宿主試験にかけた。ブロスの試料を食塩水で1000倍に希釈した。9種類の培地タイプのデュプリケートプレートに、100μLの希釈試験試料を接種した。さらに、正の対照(K.パストリス(P.パストリスの別名)のATCC株)を希釈し、同様にプレートに接種した。別のプレートセットには接種せず、負の対照プレートと名付けた。SDAを除く全てのプレートを30〜35℃で48〜72時間インキュベートした。SDAプレートは20〜25℃で7日間インキュベートした。1日後、2日後、または3日後に、プレートの増殖を調べた。さらに、7日後にSDAプレートの増殖を調べた。API試験およびグラム染色によって、全ての異常なコロニーを同定した。
【0055】
2日目または3日目の後に、それぞれのTSAプレートの少なくとも2個の形態学的に似たコロニーを、試験試料TSAプレートおよび正の対照TSAプレートから選択した。これらのコロニーを別のTSAプレートで継代培養し、30〜35℃で48〜72時間インキュベートした。次いで、それぞれの継代培養プレートからの増殖物に対して、API 20C AUX試験およびグラム染色を行った。API試験システム(bioMerieux SA;Marcy l'Etoile,France)は、20種類の小型生化学試験を含む、手作業による微生物同定試験であった。20C AUX試験片は、酵母の同定に特有の20種類の生化学試験を含む。同定を確認するために、試験物のAPI試験結果を正の対照で得られた結果と比較した。
【0056】
実施例2. rNAPc2/プロリン薬物物質の製造
rNAPc2/プロリン薬物物質を産生するための製造プロセスは、発酵、回収、精製、ならびにバルク濾過および充填からなった。以下のセクションでは、プロセスの各段階の単位操作それぞれについて説明する。各単位操作の流れ図を図2〜図4に示す。図2〜図4には、流れ図によって、装置、緩衝液、成分、ならびに入力および出力パラメータがまとめられている。International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH) Active Pharmaceutical Ingredient (API) Good Manufacturing Protocol (GMP)の規定に遵守しながら、必要に応じて、等価な供給業者および材料が代わりに用いられてもよい。
【0057】
実施例2.1 発酵
本セクションでは、rNAPc2/プロリンを産生するための発酵手順について説明する。rNAPc2/プロリンタンパク質をピチア-パストリスによって分泌タンパク質として産生した。rNAPc2/プロリンの発酵プロセスは、種フラスコ(seed flask)、種発酵、および産生発酵からなった(図2、発酵流れ図)。全ての培地成分には純水,USPが用いられている。
【0058】
種発酵用の種フラスコ
種フラスコ単位操作の目的は、種発酵用の適切な密度のある接種材料を供給することであった。3個のMWCBバイアルを解凍し、1ミリリットルを、加圧滅菌培地(pH6.0±0.1)(表1)250mLを含む、バッフル付き2リットル振盪フラスコ(baffled shake flask)3個のそれぞれに無菌的に接種するのに使用した。フラスコに覆いをし、250±5rpmおよび28±2℃でインキュベーターシェーカーに移した。細胞湿重量(WCW)で測定される細胞密度が30g/L以上になるまで、フラスコを27.5±2.0時間インキュベートした。これらの2つのパラメータが得られたら、フラスコのうちの2個の内容物を、加圧滅菌した接種用ボトルに無菌的に移した。
【0059】
(表1)種フラスコ培地

【0060】
種発酵
種発酵の目的は、産生発酵用の適切な密度の接種材料を供給することであった。PTM4微量塩(Trace salt)(表3)を含む種発酵用培地(表2)を種ファーメンターに移した。培地を蒸気滅菌し、冷却させ、濾過滅菌した28〜30%水酸化アンモニウムを用いてpHを5.0±0.2に調節した。次いで、50%メタノールに溶解した5%(v/v)KF0880からなる濾過滅菌した消泡液を、セプタムに通して0.5mL/Lの濃度まで添加した。温度が28.0±1.0℃で安定したら、培地に、種フラスコ接種用ボトルの内容物を2.5%の比で接種した。ファーメンターの培養pHを、28〜30%水酸化アンモニウムで5.0±0.2に維持した。発酵の増殖を、細胞湿重量(WCW)を測定することによってモニタリングした。
【0061】
最終細胞湿重量が20g/L以上となるまで、15±2時間発酵を行った。種発酵培養物の一部を、蒸気滅菌したトランスファーラインに通して、加圧滅菌した接種材料用缶(inoculum can)に移した。非宿主汚染があるかどうか、最終種発酵の試料を試験した。
【0062】
(表2)種発酵培地

【0063】
(表3)PTM4微量塩

【0064】
産生発酵
産生発酵の目的は、高濃度のrNAPc2/プロリンタンパク質を産生することであった。これを実現するために、rNAPc2/プロリン遺伝子を誘導する前に、培養物を高細胞密度まで増殖させた。産生発酵用培地(表4)を産生用ファーメンター内で調製した。これらの培地成分を溶解し、純水USPと混合し、次いで、蒸気滅菌した。タンクを、28.0±1.0℃の初期動作温度まで冷却した。次いで、50%メタノールに溶解した5%(v/v)KF0880からなる濾過滅菌した消泡液を添加した。pHを、濾過滅菌した28〜30%水酸化アンモニウムで5.0±0.3の初期動作範囲まで調節した。初期動作条件が得られたら、培地に種発酵接種材料用缶の内容物を、初回回分培地(接種前重量)10kgあたり1kg接種材料の比で接種した。
【0065】
(表4)産生発酵培地

【0066】
産生発酵は、4つの異なる段階:グリセロール回分、グリセロール流加、メタノール適応、およびメタノール誘導からなった。発酵全体を通じて、溶存酸素濃度は、空気を一定速度で添加し、背圧および可変攪拌を使用することによって約35%に維持した。最大攪拌に達した時に、さらなる酸素が必要となったら、空気の流れに酸素ガスを添加した。ファーメンター内の培養物のpHを28〜30%水酸化アンモニウムで維持した。発泡を制御するために、消泡液を定期的に添加した。
【0067】
発酵の第1の段階であるグリセロール回分期によってバイオマスを増やした。培地中のグリセロールが枯渇するまでファーメンターを28±2℃で動かした。グリセロールの枯渇は、グリセロールの代謝停止によって引き起こされる酸素スパイク(oxygen spike)によって検出した。
【0068】
この後に、バイオマスを増やし、発現を抑制するために、グリセロール流加期が続いた。グリセロール流加期では、50%w/wグリセロール溶液を、18.0±1.0mL/kg接種前重量/時間で合計8.5時間、培養物に供給した。このグリセロール供給期の最初の4.5時間、培養物のpH設定点を、毎時0.5pH単位の速度で、5.0±0.3から2.9±0.1に下げ、発酵の残りの時間(すなわち、メタノール誘導性遺伝子誘導期の間)このpHに維持した。この期間全体を通して、温度は28±2℃に維持した。グリセロール回分期が終わる前には、WCWは225g/L以上であった。
【0069】
メタノール適応期では、グリセロール供給を停止し、rNAPc2を産生するように生物を誘導するメタノール供給に変えた。メタノール供給(6.0mL/L KF0880消泡剤を含む)は3.0mL/kg接種前重量/時間で開始した。メタノール添加開始の2時間後から、培養物のメタノール適応を試験した。メタノール適応の試験は、供給を短時間停止すること、および溶存酸素のスパイクを確認することからなった。メタノール添加の最初の4時間の後、2時間にわたって温度を25±1℃に下げた。メタノール添加の最初の4時間の後、および培養物がメタノールを利用していることを確認した後、メタノール供給速度を1.0mL/kg接種前重量/時間だけ上げた。メタノールが完全に枯渇していることを確実にするために、メタノール消費を1時間ごとに測定した。この時点で、メタノール供給速度を1.0mL/kg接種前重量/時間だけ上げ、6.0mL/kg接種前重量/時間の最終供給速度まで上げた。
【0070】
メタノール誘導期の間、メタノール適応期の終わりの処理条件を、残りの発酵全体を通じて維持した。約48時間の発酵総時間から、C8逆相アッセイによって測定されるブロス上清濃度を求めることによって、rNAPc2/プロリン産生をモニタリングした。産生用ファーメンターにおいて144〜168時間後に、かつC8逆相アッセイによって測定されるrNAPc2/プロリン濃度が0.55g/L以上になった後に、産生用ファーメンターを採取した。非宿主汚染があるかどうか、最終発酵の試料を試験した。
【0071】
メタノール適応期およびメタノール誘導期の間、pHを2.9±0.1に維持した。発酵ブロスのpHは2.9±0.1である。
【0072】
実施例2.2 回収
本セクションでは、rNAPc2/プロリンを産生するための回収手順について説明する。rNAPc2/プロリンの回収プロセスは、図3の流れ図に示すように、流動床クロマトグラフィー単位操作からなった。
【0073】
Streamline SP XLイオン交換クロマトグラフィー
Streamline SP XLイオン交換クロマトグラフィー工程の目的は、rNAPc2/プロリンを細胞破片から分離し、生成物を第1の精製クロマトグラフィー工程に適した緩衝液に交換することであった。分離を行うために使用した媒体は、Streamline SP XL樹脂(Amersham Biosciences)の流動床イオン交換クロマトグラフィーカラムであった。
【0074】
発酵ブロス(pH2.9±0.1)を、伝導率が9mS/cm以上になるまで純水で希釈した。この溶液を150mM酢酸の濃度まで調節し、pHを、17.4M酢酸を用いてpH3.1±0.2まで調節した。ロード溶液を、500mM酢酸ナトリウム(pH3.2)で平衡化され、その後に50mM酢酸ナトリウム(pH3.2)で平衡化された流動樹脂床にアプライした。カラムをアップフローモードで50mM酢酸ナトリウム(pH3.2)で、次いで、50mM酢酸ナトリウム/150mM NaCl(pH3.2)で洗浄した。樹脂床を静置し、さらなる洗浄を、ダウンフローモードで50mM酢酸ナトリウム/150mM NaCl(pH3.2)を用いて行った。rNAPc2/プロリンを、50mM酢酸ナトリウム/350mM NaCl(pH3.2)をアプライすることによって溶出させ、rNAPc2/プロリン濃度をC8逆相アッセイによって測定した。
【0075】
Source 15PHE精製クロマトグラフィー工程用の調製において、固体の硫酸ナトリウムを、0.85Mの最終濃度までStreamline溶出液に添加した。pHを2.4Mクエン酸で3.1±0.2まで調節し、伝導率が100±10mS/cmであることを確かめた。調整されたStreamline溶出液を、0.45μmフィルターに通して濾過した。
【0076】
実施例2.3. 精製
本セクションでは、rNAPc2/プロリンを産生するための精製手順について説明する。rNAPc2/プロリンの精製製造プロセスは、図4に示すように、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程、限外濾過およびダイアフィルトレーション工程、イオン交換クロマトグラフィー工程、それに続く、限外濾過/ダイアフィルトレーション工程、ならびにrNAPc2/プロリン薬物物質(原薬(API)とも呼ばれる)の最終濾過および充填からなった。
【0077】
Source 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー
初回精製工程では、Source 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体(Amersham Biosciences)カラムを用いて一部のタンパク質および非タンパク質性汚染物質をrNAPc2/プロリンから除去することによって、生成物を部分的に精製した。
【0078】
濾過され調整されたStreamline溶出液を、50mMクエン酸ナトリウム/1.1M硫酸ナトリウム(pH3.0)で予め平衡化されたSource 15PHEカラムにアプライした。ローディングの後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄した。rNAPc2/プロリンタンパク質を、50mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)に溶解した1.1M〜0.3M硫酸ナトリウムの15カラム体積勾配を使用し、その後に、UV吸光度がベースラインに戻るまで0.3M硫酸ナトリウムの勾配を保持することによってカラムから溶出させた。rNAPc2/プロリン溶出ピークの端から端までの画分を回収し、次いで、C18逆相アッセイで分析した。高純度のrNAPc2/プロリン純度を含む画分をプールし、UVアッセイによる濃度によって試験した。5N NaOHを添加することによって、Source 15PHEプールのpHをpH5.3±0.1に調節した。
【0079】
限外濾過/ダイアフィルトレーション工程#1(UF/DF#1)
UF/DF#1の目的は、生成物を濃縮し、rNAPc2/プロリンを、Source 15Qクロマトグラフィーに用いられる緩衝液に交換することであった。3kD分子量孔径の再生セルロース限外濾過フィルターを使用した。
【0080】
pHが調節されたSource 15PHEプールを、50mM酢酸ナトリウム(pH5.3)で予め平衡化されたUF/DF#1膜で、2.0±0.5g/L(UVによる濃度によって測定)まで濃縮した。次いで、プールを、5体積以上の50mM酢酸ナトリウム(pH5.3)を用いて、pHが5.3±0.1、伝導率が<6.0mS/cmになるまでダイアフィルトレーションした。Source 15Qカラムにローディングするための調製において、ダイアフィルトレーションされたUF/DF#1プールを0.2μmフィルターに通して濾過した。
【0081】
Source 15Qイオン交換クロマトグラフィー
最終クロマトグラフィー単位操作では、Source 15Qイオン交換クロマトグラフィー媒体(Amersham Biosciences)のカラムを用いて、rNAPc2/プロリンから、残存するタンパク質および非タンパク質性汚染物質の大部分を除去した。
【0082】
濾過されたUF/DF#1プールを、500mM酢酸ナトリウム(pH5.3)で、その後に50mM酢酸ナトリウム(pH5.3)で予め平衡化されたSource 15Qクロマトグラフィーカラムにアプライした。ローディングの後、カラムを、50mM酢酸ナトリウム(pH5.3)平衡化緩衝液で洗浄した。50mM酢酸ナトリウム(pH5.3)に溶解した0〜400mM NaClの20カラム体積直線勾配をカラムにアプライした。溶出ピークの端から端までの画分を回収し、次いで、C18逆相アッセイで分析した。高純度のrNAPc2/プロリン純度を含む画分をプールし、UVアッセイによる濃度によって試験した。
【0083】
最終限外濾過/ダイアフィルトレーション工程(最終UF/DF)
最終UF/DFの目的は、生成物を濃縮し、rNAPc2/プロリンを最終製剤緩衝液に交換することであった。3kD分子量孔径の再生セルロース限外濾過フィルターを使用した。
【0084】
Source 15Qプールを、最終製剤緩衝液(65mMリン酸ナトリウム/80mM塩化ナトリウム(pH7.0))で予め平衡化された最終UF/DF膜で、12.0±0.5g/L(UVによる濃度によって測定)まで濃縮した。次いで、プールを、6体積以上の製剤緩衝液を用いて、pHが7.0±0.1になるまでダイアフィルトレーションした。
【0085】
実施例2.4. バルク濾過および充填
精製rNAPc2/プロリンAPIをクラス100エリアに移し、Millipak 0.2μmフィルターを用いて濾過して、汚染をしない成型ライナーレスTefzel(登録商標)ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー)スクリューキャップの付いた、加圧滅菌した1リットル成型Nalgene Tefzel(登録商標)FEP(フッ化エチレンプロピレン)1600シリーズボトルに入れた。ボトルを、保管のために-20±10℃のフリーザーに移した。
【0086】
バルクAPIは、最終濾過のために同じ方法を用いて再濾過および充填されてもよい。Teflon FEPボトルの内容物を、クラス100エリアの加圧滅菌されたカーボイに移し、再濾過し、充填した。保管容器およびキャップに関して、FEPおよびETFEは両方とも、U.S.Federal Food Drug and Cosmetics ActのFood Additives Amendmentの規定を満たしている。この材料は、USP Class VI規格の規定を満たしている。
【0087】
実施例3. プロセス間の管理;rNAPc2/プロリンプロセス間試験方法
プロセス間合格基準を含む、モニタリングされた条件をプロセスの流れ図(図2〜図4)に列挙した。プロセス間試験方法の簡単な説明を以下に列挙した。
【0088】
rNAPc2プロセス間試験方法
pH.試験の直前にNISTトレーサブルpHスタンダードで較正されたpHメーターを用いて、試料を測定した。試料のpHを25±2℃で測定した。
【0089】
伝導率
溶液の電解質成分は、測定しようとする範囲をひとまとめにしている伝導率標準で標準化された伝導率計を用いて測定した。試料の伝導率は約25℃で測定した。
【0090】
細胞湿重量
約1.5mLの発酵試料を、風袋をはかった微量遠心管に添加し、10,000rpmで約5分間遠心分離した。それぞれの管からの上清をデカンテーションし、固形物を含む管を秤量した。細胞湿重量は、正味重量を、元の試料体積で割ったものに等しかった。
【0091】
非宿主汚染アッセイ
種発酵試料および産生発酵試料の最終ブロスに非宿主汚染があるかどうかを、100μLを、9枚のTSAプレートのそれぞれに接種することによって試験した。3枚のプレートを、3種類の温度(20〜25℃、30〜34℃、および35〜39℃)でインキュベートした。7日間のインキュベーション期間の間、特徴的な宿主とは異なる(特に、コロニー形態、色、および/またはコロニーサイズにおいて違いを示す)微生物コロニーがあるかどうか、プレートを詳細に調べた。最後の測定日にはグラム染色も行った。適切な負の対照もアッセイに含めた。
【0092】
C8逆相アッセイ(濃度および純度)
産生発酵試料の上清、およびStreamline SP XL試料を0.22μmのフィルターで濾過し、次いで、Kromasil C8,4.6×250mm逆相カラムに注入した。試料注入前に、カラムを22%アセトニトリル,0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化した。次いで、rNAPc2/プロリン物質を溶出させるために、0.1%TFAに溶解した22〜28%アセトニトリルの直線勾配を、1mL/minで20分間にわたって行った。rNAPc2/プロリンmg/mL対ピーク面積の線形回帰に基づいて検量線を作成するために、既知濃度のrNAPc2/プロリン標準希釈液を使用した。試料中のrNAPc2/プロリン量を検量線から外挿し、試料中のrNAPc2/プロリン濃度を求めるために、注入された試料の体積で割った。rNAPc2/プロリン純度は総ピーク面積のパーセントとして計算した。
【0093】
UVによる濃度
Source 15PHEから最終UF/DF工程までの各精製プールの濃度は、適切に較正された分光光度計における280nmでの吸光度を用いて求めた。この計器は、試験試料を測定する前に、適切な緩衝溶液を用いてゼロにされた。試験試料は、直線範囲内(0.13〜1.62AU)で希釈することによって調製した。濃度(mg/mL)を得るために、280nmでの平均吸光度を吸光率[0.59AU/cm-1(mg/mL)-1]で割り、希釈率を掛けた。
【0094】
C18逆相アッセイ(純度)
15PHE画分およびプール、UF/DF#1プール、Source 15Q画分およびプール、ならびに最終UFDFプールの純度をそれぞれC 18逆相アッセイで分析した。直線勾配逆相クロマトグラフィーによって、rNAPc2/プロリンを試料の他の成分から分離した。必要に応じて、試料をcPBSで約1mg/mLまで希釈し、30μLを、78%移動段階A(水に溶解した0.1%TFA)および22%移動段階B(アセトニトリルに溶解した0.1%TFA)で平衡化されたWaters Symmetry C18逆相カラム(5μm粒子,4.6mm内径×250mm長さ,Waters Corp.,Bedford MA)に注入した。次いで、移動段階Bのパーセンテージを、1mL/min流速を用いて、20分にわたって26%まで直線的に上げた。ピークを、210nmでUV検出器でモニタリングした。rNAPc2/プロリンの純度は、クロマトグラムのrNAPc2/プロリンピーク面積を総ピーク面積で割り、その比をパーセンテージとして表すことによって計算した。
【0095】
実施例4. rNAPc2/プロリンAPI試験方法
外観、pH、および濃度:
試験物のアリコートを、色、透明度、および目に見える異物の存在について目視検査した。試験の直前にNISTトレーサブルpHスタンダードで較正されたpHメーターを用いて、試料を測定した。試料のpHは25±2℃で測定した。試料の濃度は、適切に較正された分光光度計における280nmでの吸光度を用いて求めた。この計器は、試験試料を測定する前に、試料希釈剤を用いてブランクにされた。3つの同じ試験試料は、方法バリデーションの間に確かめられた直線範囲内(0.13〜1.62AU)で希釈することによって調製した。濃度(mg/mL)を得るために、280nmでの平均吸光度を0.59AU/cm-1(mg/mL)-1(吸光率)で割り、希釈率を掛けた。
【0096】
ペプチド地図:
rNAPc2/プロリン試験物およびrNAPc2/プロリン参照標準を、酵素消化の前に還元およびアルカリ化した。rNAPc2/プロリンを、高濃度の塩酸グアニジンで処理することによって変性させ、次いで、ジチオスレイトールで還元した。次いで、還元型システインをヨードアセトアミドでアルキル化した。還元およびアルキル化されたrNAPc2/プロリン調製物を、2%w/wトリプシンで約16時間、37±2℃で消化した。次いで、クロマトグラムの形をした断片パターンすなわち「フィンガープリント」を得るために、それぞれの消化rNAPc2/プロリンタンパク質試料からのトリプシンペプチドを逆相クロマトグラフィーで分離した。ピーク保持時間を用いて、試料溶出プロファイルを標準溶出プロファイルと視覚的に比較した。これらのプロファイルは、新たなピークも失われるピークもなく、同等のものでなければならない。
【0097】
SDS-PAGEクーマシー(同一性/純度):
還元剤と共に、または還元剤を伴わずに、Novex NuPAGE(登録商標)LDS試料調製緩衝液(pH8.4)を用いて、試験試料、rNAPc2/プロリン参照標準、およびrNAPc2/プロリン強度マーカーを、それぞれ、0.5mg/mL、0.5mg/mL、および0.005mg/mLの最終濃度まで希釈した。タンパク質標準(Novex Mark 12(登録商標))の混合物を製造業者の説明書に従って希釈した。還元された試料は95±2℃で5分間加熱した。還元試料および非還元試料を別々のゲルで測定した。10μg試料ロードの参照標準および試験試料、0.1μg試料ロードの強度マーカー(1%の試料ロード)、ならびに適切な質量のMark 12標準を、Novex NuPAGE(登録商標)プレキャスト4〜12%アクリルアミドBis-Trisゲルに(pH6.4)での電気泳動によって分析した。ゲルを、Novexコロイドクマシーブルー染色液で染色した。同一性を確認するために、主要なバンドを、参照標準およびタンパク質標準の混合物と視覚的に比較した。不純物バンドの強度を、1%強度マーカーバンドと視覚的に比較した。マーカーより大きな全ての不純物バンドを報告した。マーカーより大きな不純物バンドが存在しなければ、純度は参照と同等のものであると報告した。rNAPc2/プロリンバンドは、予想される分子サイズで現れなかったことに留意のこと。rNAPc2/プロリンは非球形であるために、より大きな見かけの分子サイズで移動した。非還元ゲルでは、rNAPc2/プロリンバンドは21.5〜31kDa標準の間に移動したのに対して、還元ゲルでは、rNAPc2/プロリンバンドは21.5kDa標準と共に移動した(Novex製品はInvitrogen Corp.,Carlsbad CAから入手できる)。
【0098】
C18逆相:
rNAPc2/プロリンを、直線勾配逆相HPLCによって試料の他の成分から分離した。rNAPc2/プロリンの純度は、クロマトグラムのrNAPc2/プロリンピーク面積を総ピーク面積で割り、パーセンテージとして表した比として報告した。cPBSで希釈した約1mg/mLの試料希釈液30μL体積を、78%移動段階A(水に溶解した0.1%TFA)および22%移動段階B(アセトニトリルに溶解した0.1%TFA)で平衡化されたWaters Symmetry C18逆相カラム(5μm粒子,4.6mm内径×250mm長さ, Bedford MA)に注入した。次いで、移動段階Bのパーセンテージを、1mL/min流速を用いて、20分にわたって26%まで直線的に上げた。ピークを、210nmでUV検出器でモニタリングした。
【0099】
エンドトキシン:
エンドトキシンの測定はUSP方法に従って行った。
【0100】
生物活性:
rNAPc2/プロリンは、トロンボプラスチン添加によって開始するヒト血漿の凝固時間を濃度依存的に延長した。ヒト血漿凝固に及ぼすrNAPc2/プロリンの抗凝血作用は、凝固を開始するのにウサギ脳トロンボプラスチン(組織因子,Simplastin-Excel)を使用する自動化プロトロンビン時間(PT)凝固アッセイで直接測定した。rNAPc2/プロリン参照標準およびrNAPc2/プロリン試料を両方ともアッセイ緩衝液で1035nMまで希釈した。次いで、試験装置(Coag-A-Mate(登録商標)MAX,Organon Teknika,現在、bioMerieux,Durham NCが所有)は、ヒト血漿に溶解して出発調製物から一組の希釈液を作成し、結果として生じる凝固時間(CT)(秒)を測定した。曲線は、rNAPc2/プロリンの対数CT対希釈濃度の線形回帰フィットによって定義した。次いで、試験物の生物活性を、試験物の曲線の傾きと参照標準の曲線の傾きの比×参照標準の活性として計算した。
【0101】
生物汚染度:
試料の総好気性菌数(Total Aerobic Count:TAC)および総酵母/カビ数(Total Yeast/Mold Count:TYMC)は、2つの10mLアリコートを別々の0.45μmセルロース-エステル膜フィルターに通して濾過することによって求めた。フィルター膜を調製し、一方を、TSA寒天プレート上で30〜35℃で48〜72時間インキュベートし、他方を、SDA寒天プレート上で20〜25時間で5〜7日間インキュベートした。インキュベーション期間の後、両方の種類の寒天上のコロニー形成単位(CFU)の数を数えた。10mL試料あたりの合計CFU数を報告した。
【0102】
残存DNA:
Threshold Total DNAアッセイ(Molecular Devices Corp.Sunnyvale CA)は一本鎖DNAに特異的であった。このアッセイには3つの段階があった。反応段階において、一本鎖DNAは標識試薬中で2種類の結合タンパク質と反応した。一方の結合タンパク質は、ビオチンに結合した、大腸菌由来の高親和性一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)であった。ストレプトアビジンも存在すれば、SSB結合体のビオチンに密接に結合した。他方の結合タンパク質は、酵素ウレアーゼに結合した、一本鎖DNAに対するモノクローナル抗DNA抗体であった。これらの結合タンパク質は37℃の溶液中でDNAと複合体を形成した。
【0103】
分離段階はThreshold Workstationにおいて行われた。DNA複合体を、ビオチンでコーティングされたニトロセルロース膜に通して濾過した。膜上のビオチンはDNA複合体のストレプトアビジンと反応し、複合体を捕捉した。迅速な洗浄工程によって、膜から非特異的酵素を除去した。検出段階のために、スティック(ビオチンでコーティングされたニトロセルロース膜を含む)を、基質尿素を含むThreshold Readerに入れた。酵素反応によって基質溶液の局所pHが変化した。シリコンセンサーによって、pH変化に比例した表面電位の変化が記録された。Threshold Workstation、コンピュータ、およびThresholdソフトウェアによって、それぞれの測定部位での表面電位変化がモニタリングされた。コンピュータによって、これらの動力学的測定値が解析され、予め作成された検量線を用いて結果が定量された。Thresholdソフトウェアによって各DNA試料の濃度(ピコグラム)が計算された。
【0104】
サイズ排除:
rNAPc2/プロリンを、分子サイズの違いに基づいてサイズ排除クロマトグラフィーによって試料の他の成分から分離した。rNAPc2/プロリンの同一性は、3つの試料複製の平均保持時間(RT)と、5つのシステム適性標準(system suitability standard)を比較することによって確認した。%RTは97.0〜103.0%でなければならない。rNAPc2/プロリンの純度は、クロマトグラムのrNAPc2/プロリンピーク面積を総ピーク面積で割り、これをパーセンテージとして表すことによって計算した。試料希釈液を約1mg/mlの基準濃度までcPBSで調製し、サイズ排除カラム(Superdex 75 10/30,Amersham Biosciences)に注入した。流速は0.5mL/minに維持した。ピークを210nmでのUV検出によってモニタリングした。
【0105】
質量分析による分子量:
分子量は、VG Bio-Q(Quattro II Upgrade)四重極質量分析計(Micromass,Danvers,MAによって製造され、現在、Waters Corp.,Bedford,MAが所有している)を用いたエレクトロスプレー質量分析によって求めた。試料は、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液で約1mg/mLまで希釈し、予め洗浄したTrap Cartridgeに注入して、脱塩した。次いで、カートリッジを、質量分析計の注入口に入れて溶出させた。
【0106】
N末端配列決定:
Procise N-Terminal Sequencing System(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、試験物のN末端から15残基までを配列決定した。試験物の前後に、βラクトグロブリン較正標準の15残基までを配列決定した。Cys(システイン)残基はProciseシステムでは観察されなかった。得られた配列を、試験物の理論配列と比較した。
【0107】
実施例5. rNAPc2/プロリン薬物製品の製造
実施例5.1. 液体薬物製品の製造
rNAPc2/プロリン液体薬物製品製造プロセスを図5の薬物製品の流れ図に描いた。冷凍したrNAPc2/プロリンAPIを-20℃の保管場所から取り出し、2〜8℃で解凍した。解凍したら、プールおよび混合のために、APIを調合区域に移した。薬物製品を作成するために、APIを、65mMリン酸ナトリウム/80mM NaCl(pH7.0)で、UVアッセイによる濃度(前記)によって測定されるように1.0±0.1mg/mLの最終濃度まで希釈した。この希釈は、指定の濃度が確実に得られるようにプロセス間濃度測定を伴う工程において行った。次いで、希釈したAPIを、0.2μm Millipore Millipakフィルターに通してろ過し、2〜8℃の短期間保管場所に置いた。
【0108】
充填工程のために、希釈したAPIを、2個のインライン0.2μm Millipore Millipakフィルターに通して濾過して、無菌の充填スイートに入れた。バルク無菌性試験のために試料を採取した。次いで、希釈したAPIを、予め滅菌した2ccバイアルに入れ、直ぐに栓をし、蓋をした。バイアルの標的体積は0.6mLであった。
【0109】
保管の前に、欠陥のあるバイアルまたは目に見える粒子を含むバイアルを容易に検出し、ロットから除去できるように、バイアルおよび生成物に光を照らすように設計された照明および背景を使用する管理された条件下で、バイアルを全数目視検査した。次いで、バイアルを、ラベルを貼った保管用トレーに入れ、2〜8℃の短期間保管場所および-20±10℃の長期間保管場所に置いた。表5には、rNAPc2/プロリン液体薬物製品バイアル1個あたりの組成を列挙している。
【0110】
(表5)rNAPc2/プロリン液体薬物の組成

【0111】
実施例5.2. 凍結乾燥薬物製品の製造
rNAPc2/プロリンバルク薬物物質の溶液(12±1.2mg/mL濃度,65mMリン酸ナトリウム/80mM塩化ナトリウム(pH7.0±0.1)に溶解)を、0.2Mアラニンおよび25mMリン酸二水素ナトリウム(pH7.0)の溶液に3mg/mLまで希釈した。次いで、希釈したrNAPc2/プロリンをアラニン/リン酸溶液で緩衝液交換した。次いで、rNAPc2/プロリン溶液を、アラニン/リン酸溶液で2mg/mL(UVアッセイによる濃度によって測定)まで希釈した。次いで、濃度が1.0±0.1mg/mL rNAPc2となるように、2mg/mL rNAPc2/プロリン溶液を等量の25mMリン酸ナトリウム,4%スクロース(pH7.0)で希釈した。最後に、1mg/mLの製剤化されたrNAPc2/プロリン溶液を、0.2μmフィルターを用いて濾過した。
【0112】
充填のために、1mg/mL rNAPc2/プロリン溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。次いで、rNAPc2/プロリンを、予め滅菌した3ccガラスバイアルにそれぞれ充填し、不完全に栓をした。次いで、バイアルを凍結乾燥器において凍結乾燥した。凍結乾燥後、栓を押し下げ、バイアルに蓋をした。NAP薬物製品が過酷な温度ストレス(例えば、50℃で28日)にかけられた時に、この凍結乾燥製剤は高い純度および持続的な安定性を維持する。表6には、rNAPc2/プロリン凍結乾燥薬物製品バイアル1個あたりの組成を列挙している。
【0113】
(表6)rNAPc2/プロリン凍結乾燥薬物の組成

【0114】
実施例6. NAPタンパク質等電点の予測
本明細書で開示されるプロセスが他のNAP薬物物質およびNAP薬物物質の製造に適していることを確かめるために、様々なNAPの等電点(pI)を求めた。5,866,542に開示されるNAPタンパク質の配列をpI予測プログラムで計算した。表7は、ProtParamおよびAtalier BioInformatiqueによって計算された、USに開示されたNAPタンパク質のpIを示す。ProtParamは、Swiss Institute of Bioinformatics(SIB)によって開発されたExPASy(Expert Protein Analysis System)を使用し、North Carolina Supercomputing Center(NCSS)が主催しているhttp://us.expasy.ort/tools/protparam.htmlで見られる。Atalier BioInformatique(aBi)は、Universite Aix-Marseille Iが主催しているhttp://www.up.univ-mrs.fr/〜wabim/d abim/compo-p.htmlで見られる。
【0115】
(表7)NAPタンパク質の推定pI

【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】rNAPc2/pro産生に用いられた、rNAPc2/プロリンピチア-パストリス発現ベクターpYAM7sp8/rNAPc2/プロリンのベクター地図を示す。基準点を示す。
【図2】図2Aおよび図2Bは、使用した材料および試薬、使用したプロセスおよび装置、ならびに発酵プロセスの各工程のために制御およびモニタリングされた条件を示す、発酵の流れ図を示す。発酵は種フラスコの調製から始まり、種発酵から産生発酵まで続く。
【図3】使用した材料および試薬、使用したプロセスおよび装置、ならびに回収プロセス間に制御およびモニタリングされた条件を示す、回収の流れ図を示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、使用した材料および試薬、使用したプロセスおよび装置、ならびに精製プロセス間に制御およびモニタリングされた条件を示す、精製の流れ図を示す。精製は、Source 15PHEによる疎水性相互作用交換クロマトグラフィー工程、限外濾過/ダイアフィルトレーション工程#1(UF/DF#1)、Source 15Qによるイオン交換クロマトグラフィー、最終UF/DF工程、バルク濾過、充填、および精製生成物の保存の工程を含む。
【図5】使用した材料および試薬、使用したプロセスおよび装置、ならびに液体薬物製品の製造プロセス間に制御およびモニタリングされた条件を示す、液体薬物製品流れ図を示す。このプロセスは、調合工程、濾過および充填工程、ならびに液体薬物製品を含むバイアルの保管場所への移動を含む。
【図6】使用した材料および試薬、使用したプロセスおよび装置、ならびに凍結乾燥薬物製品を製剤化するプロセス間に制御およびモニタリングされた条件を示す、凍結乾燥薬物製品製剤化の流れ図を示す。このプロセスは、UF/DF工程、調合工程、バルク濾過および充填工程、ならびに凍結乾燥装置への移動を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、線虫類抽出抗凝血タンパク質(NAP)薬物物質を製造するためのプロセス:
(a)適切な宿主においてNAPを産生する工程を含む発酵プロセスであって、少なくとも1つのNAPコード配列が宿主のゲノムに組み込まれている、発酵プロセス;
(b)NAPを細胞および細胞片から分離する工程を含む回収プロセス;および
(c)NAP薬物物質から汚染物質を取り除く工程を含む精製プロセス。
【請求項2】
精製プロセスが、NAP物質を最終薬物製剤(drug formulation)に導入する工程をさらに含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
NAP薬物製品(drug product)を産生するための充填プロセスをさらに含む、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
NAPが、rNAPc2、rNAPc2/プロリン、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46からなる群より選択される、請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
NAPがrNAPc2/プロリンである、請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
NAPが、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46からなる群より選択される、請求項2記載のプロセス。
【請求項7】
NAPがrNAPc2/プロリンである、請求項2記載のプロセス。
【請求項8】
宿主がピチア-パストリス(Pichia pastoris)である、請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
発酵プロセスが、宿主細胞を望ましい細胞密度まで増殖させる種発酵プロセスおよびNAPを望ましい力価まで産生する産生発酵プロセスを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
産生発酵プロセスが、グリセロール回分発酵、グリセロール流加発酵、メタノール適応発酵、およびメタノール誘導発酵を含む、請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
メタノール適応発酵およびメタノール誘導発酵の間に、発酵のpH範囲を約2.9±0.1pH単位に制御する工程をさらに含む、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
発酵の温度を制御する工程をさらに含む、請求項10記載のプロセス。
【請求項13】
発酵のメタノール適応期の温度を、最初の約4時間、約28±2℃に維持し、メタノール適応期の残りの時間、約25±1℃に維持する工程を含む、請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
産生発酵が約7日間まで行われ、この間、NAP力価が増加し続ける、請求項10記載のプロセス。
【請求項15】
回収プロセスが流動床イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
Streamline SP XLイオン交換樹脂流動床クロマトグラフィーを含む、請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
精製プロセスが、疎水性相互作用クロマトグラフィー、NAP画分の収集、NAP画分の少なくとも1回の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、イオン交換クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーからのNAP画分の収集を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項18】
イオン交換クロマトグラフィーからのNAP画分がNAP薬物物質を含む、請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
疎水性相互作用クロマトグラフィーが、pH約3.0±0.1でSource 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体を使用する工程を含む、請求項17記載のプロセス。
【請求項20】
イオン交換クロマトグラフィーが、Source 15Qイオンクロマトグラフィー媒体を使用する工程を含む、請求項17記載のプロセス。
【請求項21】
イオン交換クロマトグラフィーからの画分の少なくとも1回の最終UF/DFをさらに含む、請求項17記載のプロセス。
【請求項22】
UF/DFが、NAP薬物物質を、NAP薬物製品を生成するための最終薬物製剤緩衝液に交換する、請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
充填プロセスが最終薬物製剤中のNAP薬物物質のバルク濾過を含む、請求項3記載のプロセス。
【請求項24】
剤形の状態にあるNAP薬物物質を分配してNAP薬物製品を得る充填工程をさらに含む、請求項23記載のプロセス。
【請求項25】
充填プロセスがNAP薬物製品の凍結乾燥をさらに含む、請求項24記載のプロセス。
【請求項26】
以下を含む、rNAPc2/プロリン薬物物質を製造するためのプロセス:
(a)少なくとも1つのrNAPc2/プロリンコード配列がゲノムに組み込まれているピチア-パストリスにおいてrNAPc2/プロリンを産生する発酵プロセスであって、宿主細胞を望ましい細胞密度まで増殖させる種発酵プロセス、ならびにグリセロール回分発酵、グリセロール流加発酵、メタノール適応発酵、およびメタノール誘導発酵を含む約7日間までの産生発酵プロセスを含む、発酵プロセス;
(b)rNAPc2/プロリンを細胞および細胞片から分離する、イオン交換流動床クロマトグラフィーを含む回収プロセス;および
(c)疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー、rNAPc2/プロリン画分の収集、rNAPc2/プロリン画分の少なくとも1回の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、イオン交換クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーからのrNAPc2/プロリン画分の収集を含む、精製プロセスであって、イオン交換クロマトグラフィーからのrNAPc2/プロリン画分はrNAPc2/プロリン薬物物質を含む、精製プロセス。
【請求項27】
発酵の温度を制御する工程をさらに含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項28】
メタノール適応発酵の温度を、最初の約4時間、約28±2℃に維持し、メタノール適応発酵の残りの時間、約25±1℃に維持する工程を含む、請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
メタノール適応発酵およびメタノール誘導発酵の間に、pHを約2.9±0.1に維持する工程を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項30】
pH約3.2±0.2でのStreamline SP XLイオン交換樹脂流動床クロマトグラフィーを含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項31】
pH約3.0±0.1でのSource 15PHE疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項32】
Source 15Qイオンクロマトグラフィーを含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項33】
イオン交換クロマトグラフィーからの画分の少なくとも1回の最終UF/DFをさらに含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項34】
rNAPc2/プロリン液体薬物製品を製造するためのプロセスであって、請求項26記載のプロセスを含み、rNAPc2/プロリン薬物物質を最終薬物製剤に導入する工程、最終薬物製剤中のrNAPc2/プロリン薬物物質のバルク濾過を含む充填プロセス、および剤形の状態にあるrNAPc2/プロリンを容器に分配してrNAPc2/プロリン液体薬物製品を生成する充填工程をさらに含む、プロセス。
【請求項35】
請求項34記載のプロセスを含み、容器中のrNAPc2/プロリン液体薬物製品を凍結乾燥する工程をさらに含む、rNAPc2/プロリン凍結乾燥薬物製品を製造するためのプロセス。
【請求項36】
請求項1のプロセスによって製造された、NAP薬物物質。
【請求項37】
NAPが、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46より選択される、請求項36記載のNAP薬物物質。
【請求項38】
NAPがrNAPc2/プロリンである、請求項37記載のNAP薬物物質。
【請求項39】
請求項2記載のプロセスによって製造された、NAP薬物製品。
【請求項40】
NAPが、rNAPc2(AcaNAPc2)、rNAPc2/プロリン(AcaNAPc2/プロリン)、AcaNAP5、AcaNAP6、AcaNAP23、AcaNAP31、AcaNAP42、AcaNAP48、AceNAP5、AceNAP7、AduNAP4、AcaNAP24、AcaNAP25、AcaNAP44、またはAcaNAP46より選択される、請求項39記載のNAP薬物製品。
【請求項41】
NAPがrNAPc2/プロリンである、請求項40記載のNAP薬物製品。
【請求項42】
請求項26記載のrNAPc2/プロリン薬物物質。
【請求項43】
請求項34記載のrNAPc2/プロリン液体薬物製品。
【請求項44】
請求項35記載のrNAPc2/プロリン凍結乾燥薬物製品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−503216(P2007−503216A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533059(P2006−533059)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015100
【国際公開番号】WO2004/103292
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505423357)デンドレオン コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】