説明

締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置

【課題】 利用者がカラオケ装置の利用時間に気を配ることなく締めの楽曲群を演奏させることにより、カラオケ演奏の楽しさを十分に味わうことを可能とする。
【解決手段】 選曲手段35、締めの楽曲群指定手段36、利用残時間計測手段29、楽曲演奏可能時間演算手段30、予約管理手段31、及び演奏管理手段32を備える。楽曲演奏可能時間演算手段30により、締めの楽曲群及び一般楽曲を演奏可能な残り時間を演算する。予約管理手段31により、締めの楽曲群を利用残時間の範囲内で演奏できるように、締めの楽曲群と一般楽曲とを予約待ち行列に登録する。演奏管理手段32により、楽曲演奏可能時間が尽きるまで締めの楽曲群の演奏を保留し、楽曲演奏可能時間が尽きた時点で締めの楽曲群を演奏させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置の利用時間内に、利用者が指定した締めの楽曲群を演奏可能としたカラオケ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラオケ演奏を楽しむ場合に、カラオケ演奏の締めとして特定の楽曲を歌唱することがある。例えば、同窓会のメンバーがカラオケ演奏を楽しむ場合に、締めとして校歌を歌唱したり、企業の仲間が集まってカラオケ演奏を楽しむ場合に、締めとして企業のテーマ曲を歌唱したりする場合である。この際、カラオケ装置の利用時間が終了する前に締めの楽曲を演奏しなければならないため、残りの利用時間に気を配る必要があり、カラオケ演奏に集中できないおそれがある。
【0003】
そこで、従来より、カラオケ装置の利用時間が残り少なくなった際に、その旨を表示するための技術が開示されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1に記載されているカラオケ装置は、管理装置から伝送されてくる退室時間接近信号を受信すると、利用者に向けて退室時間予告メッセージを表示出力するようにしたものである。
また、特許文献2に記載されているカラオケ装置は、利用時間が残り少なくなった場合に、その旨をCRT表示装置に表示すると共に、既に予約された楽曲の中から残りの利用時間内に歌唱可能な楽曲を指定して優先的に演奏を行うようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−10619号公報
【特許文献2】特開平10−149181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、締めの楽曲に指定される楽曲は利用者毎にほぼ決まっており、利用者の利便性を考慮すると、予め締めの楽曲を選曲しておくことが好ましい。しかし、従来の選曲システムでは、楽曲の演奏順序を指定することはできるが、カラオケ装置の利用時間内に必ず締めの楽曲を演奏するためには、各楽曲の演奏時間を考慮して締めの楽曲の選曲順序を決定しなければならず、選曲操作が面倒であった。
また、上記した従来の技術では、利用者に対してカラオケ装置の利用時間が残り少ないことを報知することはできる。しかし、利用者は残り時間が少なくなったことを認識した時点で締めの楽曲を選曲しなくてはならず、締めの楽曲の選曲操作に手間取っている間に利用時間が終了してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、カラオケ装置の利用時間に気を配ることなく締めの楽曲群を演奏させることにより、カラオケ演奏の楽しさを十分に味わうことが可能なカラオケ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明に係る締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置は、選曲手段と、締めの楽曲群指定手段と、利用残時間計測手段と、楽曲演奏可能時間演算手段と、予約管理手段と、演奏管理手段とを備え、利用残時間内に締めの楽曲群を演奏させるためのカラオケ装置である。
【0008】
選曲手段は、複数の楽曲の中から歌唱対象となる楽曲を選択可能とする。締めの楽曲群指定手段は、選曲手段で選曲を行う際に一般楽曲と区別して締めの楽曲群を指定可能とする。利用残時間計測手段は、カラオケ装置の利用残時間を計測する。楽曲演奏可能時間演算手段は、楽曲の演奏順序を管理する予約待ち行列において締めの楽曲群として登録された楽曲の演奏時間と、締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録された一般楽曲の演奏時間とを、利用残時間から減算することにより楽曲演奏可能時間を演算する。
【0009】
予約管理手段は、下記(1)乃至(4)の処理を行う。
(1)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲を締めの楽曲群として登録する。
(2)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲を超えている場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内となるように、利用残時間の範囲内に登録されている一般楽曲の中から演奏時間が当該締めの楽曲の演奏時間より楽曲演奏可能時間を減算した時間以上である一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に移動させて登録する。
(3)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する。
(4)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間を超えている場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録する。
【0010】
演奏管理手段は、予約待ち行列に登録された楽曲を順番に演奏させると共に、楽曲演奏可能時間が尽きるまで締めの楽曲群の演奏を保留し、楽曲演奏可能時間が尽きた時点で締めの楽曲群を演奏させる。
【0011】
また、上記構成に加えて、楽曲の登録キャンセルや楽曲の演奏中止により楽曲演奏可能時間が変化し、かつ予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に一般楽曲が登録されている場合に、予約管理手段は、予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録された楽曲の中から、演奏時間が新たな楽曲演奏可能時間の範囲内である楽曲を予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する、ことが可能である。
【0012】
なお、締めの楽曲群とは、締めに歌唱する楽曲群のことであり、複数の楽曲であってもよいし、1曲のみであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置によれば、予め締めの楽曲群を予約待ち行列に登録しておくことができる。そして、楽曲演奏可能時間の範囲内であれば、締めの楽曲群よりも先に一般楽曲が演奏され、楽曲演奏可能時間が尽きた時点で、締めの楽曲群が演奏される。
したがって、カラオケ装置の利用時間に気を配ることなく、利用時間内に必ず締めの楽曲群を演奏させることができるので、カラオケ演奏の楽しさを十分に味わうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係るカラオケ装置は、締めとして歌唱を希望する楽曲を少なくとも1曲指定可能とし、この締めの楽曲群をカラオケ装置の利用時間内に必ず演奏できるようにしたものである。このカラオケ装置は、選曲手段と、締めの楽曲群指定手段と、利用残時間計測手段と、楽曲演奏可能時間演算手段と、予約管理手段と、演奏管理手段とを主な構成要素としている。
【0015】
<カラオケ装置>
まず、カラオケ装置の概要について説明する。図1は、カラオケ装置の構成を示すブロック図である。
カラオケ装置10は、図1に示すように、カラオケ本体11、表示手段12、ミキシングアンプ13、スピーカ14、マイクロホン15、遠隔入出力端末16を備えている。また、カラオケ本体11と表示手段12とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【0016】
<遠隔入出力端末>
遠隔入出力端末16は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体11の送受信手段28に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっており、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、選曲手段35として機能させるためのプログラムと、締めの楽曲指定手段36として機能させるためのプログラムと、一時記憶領域であるフラッシュメモリ(図示せず)とを備えている。ここで利用される無線方式としては、例えば近接無線通信技術であるirDAやbluetooth(登録商標)等を挙げることができる。また、ユーザインタフェース機能として、例えば液晶ディスプレイとタッチセンサとを積層した入出力用表示部(図示せず)を備えており、入出力用表示部に表示されるアイコンや文字列にタッチすることにより、楽曲の選択やデータの入力を行うようになっている。
【0017】
<カラオケ本体>
カラオケ本体11は、バス21、中央制御手段22、ROM23、RAM24、HDD25、楽曲データベース(DB)26、映像データベース(DB)27、送受信手段28、利用残時間計測手段29、楽曲演奏可能時間演算手段30、予約管理手段31、演奏管理手段32、音楽曲出力手段33、再生制御手段34を備えている。なお、楽曲データベース26、映像データベース27は、HDD25に格納されている。
【0018】
<中央制御手段>
中央制御手段22は、カラオケ本体11を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM23等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0019】
<ROM/RAM>
ROM23は、カラオケ本体11を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM24は、アプリケーションプログラムや種々のデータを一時的に読み込む一時記憶領域として機能するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM24を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM24を構成してもよい。本実施形態では、RAM24に、予約待ち行列が格納されている。
【0020】
<HDD/楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース26及び映像データベース27は、大容量記憶装置であるHDD25に格納されている。大容量記憶装置としては、HDD25の他に、データを書き替え可能なDVD等を用いることができる。
【0021】
楽曲データベース26は、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。
また、演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。映像データベース27は、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0022】
<音楽曲出力手段>
音楽曲出力手段33は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース26から抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ13に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ13は、マイクロホン15から入力された歌唱者の歌唱音声と、音楽曲出力手段33から送出される演奏データとをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ14より出力させるための手段である。なお、マイクロホンの数は1本に限られず、2本以上であってもよい。
【0023】
<再生制御手段>
再生制御手段34は、カラオケ演奏中に、楽曲データベース26から抽出された楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示手段12に出力するための電子回路である。さらに、再生制御手段34は、遠隔入出力端末16を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等を表示手段12に表示させる機能も有している。
【0024】
<表示手段>
表示手段12は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ及び表示識別情報等を表示するための装置で、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0025】
<送受信手段>
送受信手段28は、カラオケ本体11と遠隔入出力端末16との間でデータの送受信を行うための手段である。
【0026】
<利用残時間計測手段>
利用残時間計測手段29は、カラオケ装置10の利用残時間を計測するための機能を有するタイマ等から構成される。減算タイマの機能を用いた場合には、利用者がカラオケボックスに入店して利用手続を完了した時点で、例えばカラオケ店員がカラオケ装置10に対して減算タイマの始動信号を入力する。カラオケ装置10では、始動信号が入力されると減算タイマが始動し、利用残時間が計測される。
【0027】
また、利用残時間計測手段29を減算タイマにより構成するのではなく、利用終了時刻設定機能と現在時刻取得機能とを有するプログラムにより構成してもよい。具体的には、利用者がカラオケボックスに入店して利用手続を完了した時点で、例えばカラオケ店員がカラオケ装置10に対して利用終了時刻を入力する。カラオケ装置10では、利用終了時刻が入力されると、利用終了時刻設定機能により利用終了時刻を設定すると共に、現在時刻取得機能により現在時刻を取得し、利用終了時刻と現在時刻とを比較することにより利用残時間が計測される。
【0028】
<楽曲演奏可能時間演算手段>
楽曲演奏可能時間演算手段30は、楽曲の演奏順序を管理する予約待ち行列において締めの楽曲群として登録された楽曲の演奏時間と、締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録された一般楽曲の演奏時間とを、利用残時間から減算することにより楽曲演奏可能時間を演算するためのプログラムから構成される。
【0029】
すなわち、カラオケ装置10の利用残時間は時間の経過と共に減少してゆき、予め設定した利用終了時刻に至ると利用残時間がゼロとなる。利用者は、この利用残時間の範囲内においてカラオケ演奏を楽しむことができる。そして、カラオケ装置10における演奏順序を登録した予約待ち行列には、締めの楽曲群と一般楽曲とが登録されている。これらの楽曲のうち、締めの楽曲群は必ず利用残時間の範囲内で演奏することが本発明の目的である。
【0030】
そこで、利用残時間から、予約待ち行列において締めの楽曲群として登録された楽曲の演奏時間を差し引くことにより一般楽曲を演奏可能な基本時間を求める。さらに、この基本時間から、予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録された一般楽曲の演奏時間を差し引くことにより、現時点で選曲可能な一般楽曲の総演奏時間を求めることができる。
【0031】
なお、利用残時間が時間の経過と共に減少してゆくことから、楽曲演奏可能時間も、時間の経過と共に減少してゆくことになる。また、予約待ち行列において利用残時間の範囲内に登録された楽曲の演奏が中止され、あるいは選曲がキャンセルされた場合には、現に登録されている楽曲の演奏時間に基づいて楽曲演奏可能時間が再演算されることになる。
【0032】
<予約管理手段>
予約管理手段31は、利用残時間及び楽曲演奏可能時間に応じて、予約待ち行列における楽曲の登録順序を管理するためのプログラムから構成される。すなわち、予約管理手段31は、利用者により遠隔入出力端末16における選曲手段35の機能を用いて選曲された楽曲、及び締めの楽曲指定手段36の機能を用いて指定された締めの楽曲に関して、楽曲IDに基づき予約待ち行列としてRAM24に格納して管理する。なお、選曲された楽曲の歌唱者を特定するため、楽曲IDに利用者IDを付帯させて予約待ち行列に登録してもよい。
【0033】
この際、予約管理手段31は、下記(1)乃至(4)の処理を行う。
(1)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲を締めの楽曲群として登録する(図6に示す処理例1参照)。
(2)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲を超えている場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内となるように、利用残時間の範囲内に登録されている一般楽曲の中から演奏時間が当該締めの楽曲の演奏時間より楽曲演奏可能時間を減算した時間以上である一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に移動させて登録する(図7に示す処理例2参照)。この際、楽曲の移動は、予約順序に従って自動的に行ってもよいし、利用者の指定に基づいて行ってもよい。
(3)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する(図6に示す処理例1及び図8に示す処理例3参照)。
(4)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間を超えている場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録する(図8に示す処理例3及び図9に示す処理例4参照)。
【0034】
また、楽曲の登録キャンセルや楽曲の演奏中止により楽曲演奏可能時間が変化し、かつ予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に一般楽曲が登録されている場合に、予約管理手段は、予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録された楽曲の中から、演奏時間が新たな楽曲演奏可能時間の範囲内である楽曲を予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録することが可能である(図10に示す処理例5参照)。この際、楽曲の移動は、予約順序に従って自動的に行ってもよいし、利用者の指定に基づいて行ってもよい。
【0035】
このような処理を行うことにより、常に、締めの楽曲群が利用残時間の範囲内となるように予約待ち行列が管理される。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列の表示は、遠隔入出力端末16の入出力用表示部及び表示手段12のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【0036】
<演奏管理手段>
演奏管理手段32は、予約待ち行列に登録された楽曲を順番に演奏させると共に、楽曲演奏可能時間が尽きるまで締めの楽曲群の演奏を保留し、楽曲演奏可能時間が尽きた時点で締めの楽曲群を演奏させるためのプログラムから構成される。
すなわち、演奏管理手段32では、楽曲演奏可能時間がゼロとなるまでは予約待ち行列に登録された楽曲を順番に演奏させる。そして、楽曲演奏可能時間がゼロとなった時点で、締めの楽曲群として指定された楽曲を演奏させる。
【0037】
<締めの楽曲群における演奏管理手順>
次に、上述した実施形態に係るカラオケ装置10を用いて締めの楽曲群の予約及び演奏を管理する手順を説明する。図2〜図5は本発明の実施形態に係るカラオケ装置10を用いて締めの楽曲群の予約及び演奏を管理する手順を示すもので、図2及び図3は予約管理手順を示すフローチャート、図4は予約キャンセル手順を示すフローチャート、図5は演奏管理手順を示すフローチャートである。また、図6〜図10は、予約管理手順の具体的処理例を説明するための説明図であり、図11は、遠隔入出力端末16における選曲画面の一例を示す模式図である。
【0038】
<予約管理手順>
まず、図2及び図3を参照して、予約管理手順を説明する。上述したように、本発明の実施形態に係るカラオケ装置10における予約管理は、予約管理手段31の機能として実現される。
【0039】
図2及び図3に示すように、カラオケ装置10の利用が開始されると(S1)、利用残時間計測手段29の機能により利用残時間の計測を開始する(S2)。そして、利用残時間を確認して(S3)、利用残時間が尽きた時点で予約管理の処理を終了する。一方、利用時間が残っている場合には、楽曲演奏可能時間演算手段30の機能により楽曲演奏可能時間を演算する。楽曲演奏可能時間は、予約待ち行列において締めの楽曲群として登録された楽曲の演奏時間と、締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録された一般楽曲の演奏時間とを、利用残時間から減算することにより求められる。選曲が行われるまでの間、利用残時間の確認処理(S3)と、楽曲演奏可能時間の演算処理(S4)が継続される。
【0040】
そして、選曲手段35の機能により選曲が行われると(S5)、選曲された楽曲が締めの楽曲として指定されたか否かを判断する(S6)。具体的な選曲操作では、図11に示すように、選曲を行う際に、選曲画面に表示された「締めの楽曲指定ボタン」を操作(タッチ入力)することにより、当該楽曲が締めの楽曲として指定され、その旨のフラグが付帯されて予約待ち行列に登録される。
【0041】
締めの楽曲か否かの判断処理(S6)において、締めの楽曲として指定された場合には、当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内か否かを判断する(S7)。ここで、当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内である場合には、当該締めの楽曲を締めの楽曲群として待ち行列に登録する(S8)。
【0042】
具体的な処理を、図6に示す処理例1を用いて説明する。処理例1では、利用残時間が1時間32分15秒、締めの楽曲演奏時間が3分58秒、一般楽曲演奏時間が19分38秒となっている。したがって、楽曲演奏可能時間は、利用残時間(1時間32分15秒)から、締めの楽曲演奏時間(3分58秒)と一般楽曲演奏時間(19分38秒)とを減算した1時間8分39秒となる。
【0043】
ここで、締めの楽曲として「**L2(3分40秒)」が選曲され、一般楽曲として「**18(3分42秒)」が選曲されたとする。「**L2(3分40秒)」及び「**18(3分42秒)」は楽曲演奏可能時間(1時間8分39秒)の範囲内に収まるため、利用残時間(1時間32分15秒)の範囲内の楽曲として予約待ち行列に登録される。この際、「**18(3分42秒)」は締めの楽曲群(**L1及び**L2)の演奏順序よりも前に登録される。
【0044】
一方、当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間を超えている場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲となるように、利用残時間の範囲内に登録されている一般楽曲の中から演奏時間が当該締めの楽曲の演奏時間以上である一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に移動させて登録する(S9)。この際、楽曲の移動は、予約順序に従って自動的に行ってもよいし、利用者の指定に基づいて行ってもよい。
【0045】
具体的な処理を、図7に示す処理例2を用いて説明する。処理例2では、利用残時間が25分20秒、締めの楽曲演奏時間が3分58秒、一般楽曲演奏時間が19分32秒となっている。したがって、楽曲演奏可能時間は、利用残時間(25分20秒)から、締めの楽曲演奏時間(3分58秒)と一般楽曲演奏時間(19分32秒)とを減算した1分50秒となる。
【0046】
ここで、締めの楽曲として「**L2(3分40秒)」が選曲されたとする。「**L2(3分40秒)は楽曲演奏可能時間(1分50秒)の範囲を超えるため、利用残時間(25分20秒)の範囲内に登録されている一般楽曲の中から演奏時間が当該締めの楽曲の演奏時間以上である一般楽曲「**46(3分41秒)」を締めの楽曲群(**L1及び**L2)の演奏順序よりも後に移動させて登録する。この際、締めの楽曲「**L2(3分40秒)」は、締めの楽曲「**L1(3分58秒)」よりも後の演奏順序として登録される。
処理例2では、締めの楽曲群(**L1及び**L2)の演奏順序よりも後に移動させた一般楽曲「**46(3分41秒)」は、利用残時間の範囲外の楽曲として補欠状態となる。
【0047】
また、締めの楽曲か否かの判断処理(S6)において、締めの楽曲として指定されない場合、すなわち一般楽曲として選曲された場合には、図3に示すように、当該楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内であるか否かを判断する(S10)。ここで、当該楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内である場合には、予約待ち行列において当該楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する(S11)。
【0048】
具体的な処理を、図8に示す処理例3を用いて説明する。処理例3では、利用残時間が1時間32分15秒、締めの楽曲演奏時間が3分58秒、一般楽曲演奏時間が19分38秒となっている。したがって、楽曲演奏可能時間は、利用残時間(1時間32分15秒)から、締めの楽曲演奏時間(3分58秒)と一般楽曲演奏時間(19分38秒)とを減算した1時間8分39秒となる。
【0049】
ここで、「***1(3分18秒)」と「***2(3分45秒)」とが選曲されたとする。「***1(3分18秒)」及び「***2(3分45秒)」は楽曲演奏可能時間(1時間8分39秒)の範囲内に収まるため、利用残時間(1時間32分15秒)の範囲内の楽曲として予約待ち行列に登録される。この際、「***1(3分18秒)」及び「***2(3分45秒)」は締めの楽曲群(**L1)の演奏順序よりも前に登録される。
【0050】
一方、当該楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲を超えている場合には、予約待ち行列において当該楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録する(S12)。
具体的な処理を、図9に示す処理例4を用いて説明する。処理例4では、利用残時間が21分20秒、締めの楽曲演奏時間が3分58秒、一般楽曲演奏時間が13分3秒となっている。したがって、楽曲演奏可能時間は、利用残時間(21分20秒)から、締めの楽曲演奏時間(3分58秒)と一般楽曲演奏時間(13分3秒)とを減算した4分19秒となる。
【0051】
ここで、「**34(3分46秒)」と「***3(3分23秒)」とが選曲されたとする。「**34(3分46秒)」は楽曲演奏可能時間(4分19秒)の範囲内に収まるが、「***3(3分23秒)」は残余の楽曲演奏可能時間(33秒)の範囲内に収まらない。このため、「**34(3分46秒)」は締めの楽曲群(**L1)の演奏順序よりも前に登録され、「***3(3分23秒)」は締めの楽曲群(**L1)の演奏順序よりも後に登録される。
処理例4では、締めの楽曲群(**L1)の演奏順序よりも後に登録された一般楽曲「***3(3分23秒)」は、利用残時間の範囲外の楽曲として補欠状態となる。
【0052】
次に、楽曲の登録がキャンセルされたり、楽曲の演奏が中止されたりした場合について説明する。図4に示すように、楽曲の登録がキャンセルされたり、楽曲の演奏が中止されたりして、楽曲演奏時間が変化し、かつ予約待ち行列において締めの楽曲群よりも後に一般楽曲が登録されている場合(S21)には、予約管理手段の機能により、予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録された楽曲の中から、演奏時間が新たな楽曲演奏可能時間の範囲内である楽曲を予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する(S22)。この際、楽曲の移動は、予約順序に従って自動的に行ってもよいし、利用者の指定に基づいて行ってもよい。
【0053】
具体的な処理を、図10に示す処理例5を用いて説明する。処理例5では、利用残時間が25分20秒、締めの楽曲演奏時間が3分58秒、一般楽曲演奏時間が19分32秒となっている。したがって、楽曲演奏可能時間は、利用残時間(25分20秒)から、締めの楽曲演奏時間(3分58秒)と一般楽曲演奏時間(19分32秒)とを減算した1分50秒となる。また、利用残時間の範囲外で補欠状態の楽曲として「**22(3分15秒)」が登録されていたとする。
【0054】
ここで、「**12(5分2秒)」の登録がキャンセルされ、あるいはその演奏が中止されると楽曲演奏可能時間が6分52秒に変化する。そして、この楽曲演奏可能時間(6分52秒)の範囲内であれば、新たな楽曲を利用残時間内の演奏曲として登録することができる。したがって、補欠状態にあった「**22(3分15秒)」が、締めの楽曲群「**L1(3分58秒)」の演奏順序よりも前に移動し、楽曲演奏可能時間が3分37秒に変化する。そして、この楽曲演奏可能時間(3分37秒)の範囲内であれば、新たな楽曲を利用残時間内の演奏曲として登録することができる。
上述した各処理(S3〜S12、S21、S22)は、利用残時間が尽きるまで繰り返して行われる。
【0055】
<演奏管理手順>
次に、図5を参照して、演奏管理手順を説明する。上述したように、本発明の実施形態に係るカラオケ装置10における演奏管理は、演奏管理手段32の機能として実現される。
【0056】
本発明の実施形態に係るカラオケ装置10で演奏管理を行うには、図5に示すように、利用残時間を確認して(S31)、利用残時間が尽きるまでの間は、締めの楽曲群の演奏を保留して、予約待ち行列に従って楽曲を演奏する(S33)。そして、利用残時間が尽きた時点で、締めの楽曲を演奏する(S32)。
このように、本発明に係るカラオケ装置10では、当該カラオケ装置10の利用終了時間までに、締めの楽曲群として指定された楽曲のすべてを演奏することができる。また、締めの楽曲群の演奏時間に応じて、未だ利用時間が残っている場合には締めの楽曲群の演奏を保留するので、締めの楽曲群として指定された楽曲群の後には他の楽曲が演奏されることがない。したがって、締めの楽曲群の演奏が終了したタイミングでカラオケ装置10の利用時間も終了することになり、締めの楽曲群を指定した意義を損なうことなく、カラオケ演奏の楽しさを十分に楽しむことができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明のカラオケ装置10を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、カラオケ装置10の利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0058】
例えば、VPNを利用したインターネット等の通信ネットワークを介して、ホスト装置と複数のカラオケ演奏端末(カラオケ装置)とを相互に接続し、ホスト装置により各カラオケ演奏端末を総合的に制御するようにしてもよい。このような構成では、ホスト装置に顧客データベースを備えると共に、各カラオケ演奏端末に利用者ID取得手段を備えることにより、利用者がシステムログインした際に各利用者の利用者IDを取得して、この利用者IDを利用した各種のサービスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケ装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約キャンセル手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における演奏管理手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順の処理例1を説明するための説明図。
【図7】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順の処理例2を説明するための説明図。
【図8】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順の処理例3を説明するための説明図。
【図9】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順の処理例4を説明するための説明図。
【図10】本発明の実施形態に係るカラオケ装置における予約管理手順の処理例5を説明するための説明図。
【図11】遠隔入出力端末における選曲画面の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0060】
10 カラオケ装置
11 カラオケ本体
12 表示手段
13 ミキシングアンプ
14 スピーカ
15 マイクロホン
16 遠隔入出力端末
21 バス
22 中央制御手段
23 ROM
24 RAM
25 HDD
26 楽曲データベース
27 映像データベース
28 送受信手段
29 利用残時間計測手段
30 楽曲演奏可能時間演算手段
31 予約管理手段
32 演奏管理手段
33 音楽曲出力手段
34 再生制御手段
35 選曲手段
36 締めの楽曲指定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選曲手段と、締めの楽曲群指定手段と、利用残時間計測手段と、楽曲演奏可能時間演算手段と、予約管理手段と、演奏管理手段とを備え、利用残時間内に締めの楽曲群を演奏させるためのカラオケ装置であって、
前記選曲手段は、複数の楽曲の中から歌唱対象となる楽曲を選択可能とし、
前記締めの楽曲群指定手段は、選曲手段で選曲を行う際に一般楽曲と区別して締めの楽曲群を指定可能とし、
前記利用残時間計測手段は、カラオケ装置の利用残時間を計測し、
前記楽曲演奏可能時間演算手段は、楽曲の演奏順序を管理する予約待ち行列において締めの楽曲群として登録された楽曲の演奏時間と、締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録された一般楽曲の演奏時間とを、利用残時間から減算することにより楽曲演奏可能時間を演算し、
前記予約管理手段は、下記(1)乃至(4)の処理を行い、
(1)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲を締めの楽曲群として登録する。
(2)選曲された楽曲が締めの楽曲として指定され、かつ当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲を超えている場合には、予約待ち行列において当該締めの楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内となるように、利用残時間の範囲内に登録されている一般楽曲の中から演奏時間が当該締めの楽曲の演奏時間より楽曲演奏可能時間を減算した時間以上である一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に移動させて登録する。
(3)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間の範囲内の場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する。
(4)選曲された楽曲が一般楽曲であり、かつ当該一般楽曲の演奏時間が楽曲演奏可能時間を超えている場合には、予約待ち行列において当該一般楽曲を締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録する。
前記演奏管理手段は、予約待ち行列に登録された楽曲を順番に演奏させると共に、楽曲演奏可能時間が尽きるまで締めの楽曲群の演奏を保留し、楽曲演奏可能時間が尽きた時点で締めの楽曲群を演奏させる、
ことを特徴とする締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置。
【請求項2】
楽曲の登録キャンセルや楽曲の演奏中止により楽曲演奏可能時間が変化し、かつ予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に一般楽曲が登録されている場合に、
前記予約管理手段は、予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも後に登録された楽曲の中から、演奏時間が新たな楽曲演奏可能時間の範囲内である楽曲を予約待ち行列において締めの楽曲群の演奏順序よりも前に登録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の締めの楽曲群演奏管理システムを備えたカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−86313(P2009−86313A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256216(P2007−256216)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】