説明

締結部材用滑り止めシート

【課題】 特に複数の被締結部材を締結・固定する際に、被締結部材の位置ずれやすべりを防止することの出来る、締結部材用滑り止めシートを提供すること。
【解決手段】 滑り止め微粒子を備えたことを特徴とする締結部材用滑り止めシートであり、それによって、これを被締結部材間に挟み込むことにより摩擦係数を増大させ、振動によるボルトの緩みや回転方向及び/又は平行方向の外力に起因する被締結部材間のズレ等を効果的に防止することができ、被締結部材を確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部材用滑り止めシートに係り、特に、被締結部材相互間又は締結金具と被締結部材との間に介挿され、被締結部材相互間又は締結金具と被締結部材との間の摩擦係数を大きくし、それによって、締結時に被締結部材相互又は締結金具と被締結部材相互が不用意に回転してしまう或いは位置がずれてしまう、といったことがないように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ボルトとナットを用いて被締結部材を締結する場合には、図6に示すような形態で行っていた。以下、詳細に説明する。
【0003】
まず、板状の被締結部材101、103、105がある。上記被締結部材101の長手方向に沿った一端側(図6中下端側)には貫通孔107が設けられている。上記被締結部材103にも、上記被締結部材101と同様に、長手方向に沿った一端側(図6中上端側)に貫通孔109が設けられている。上記被締結部材105にも、同様に、長手方向に沿った一端側(図6中上端側)に貫通孔111が設けられている。
【0004】
上記被締結部材101の一方の面に上記被締結部材103が当接・配置されると共に他方の面に上記被締結部材105が当接・配置される。その際、上記被締結部材101、103、105は、それぞれの貫通孔107、109、111が連通するように配置される。上記貫通孔107、109、111には、ボルト113が挿入・配置される。
【0005】
上記ボルト113は、頭部115と、雄螺子部が設けられた軸部117から構成されている。上記ボルト113の頭部115と上記被締結部材103の間には、貫通孔121を備えたワッシャ119が介挿されている。
【0006】
上記ボルト113の軸部117の先端側(反頭部115側)は被締結部材105の貫通孔111を通って外部に突出・配置され、そこにナット123が螺合される。上記ナット123と上記被締結部材105の間には、貫通孔127を備えたワッシャ125が介挿されている。
【0007】
上記ナット123を上記ボルト113の軸部117の先端部の雄螺子部に螺合させていくことにより、上記被締結部材101、103、105が締結・固定されることになる。
【0008】
尚、この種の締結構造を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−61302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
上記ボルト113及びナット123によって上記被締結部材101、103、105を締結・固定する際、上記被締結部材101、103、105には上記ボルト113の軸方向に対して直交する方向の力が作用する。一方、上記被締結部材101、103、105は、例えば、アルミニウム製であるため、その摩擦係数は0.15〜0.2程度である。この程度の摩擦係数では、上記ボルト113の軸方向に対して直交する方向の力には抗することができず、その結果、上記ボルト113の軸部117の直径と貫通孔107、109、111の直径の差の分だけ各被締結部材間101、103、105相互間に位置ずれが生じてしまうおそれがあった。
又、上記被締結部材101、103、105がお互いに滑ってボルト113の軸部117を中心に回転してしまい、それによっても、各被締結部材間101、103、105相互間に位置ずれが生じてしまうおそれがあった。
このような位置ずれが生じた場合には、結局、上記被締結部材101、103、105を正規な状態で固定することができないという問題があった。
【0011】
又、上記被締結部材101、103、105のそれぞれの締結面の摩擦係数を大きくするために、例えば、ショットブラスト処理や無機ジンクリッチペイント処理を施すことが推奨されている。
尚、ショットブラスト処理や無機ジンクリッチペイント処理を施すことについては、アルミニウム建築構造製作要領(アルミニウム建築構造協議会発行)等に記載されている。
しかしながら、これらの方法では処理に多大な時間がかかると共に作業者の熟練度によっては有効な摩擦係数が得られないおそれがあった。
【0012】
本願発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、締結・固定時における上記被締結部材同士の滑りを抑制又は防止して、被締結部材を正規な状態で確実に締結・固定させることのできる締結部材用滑り止めシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1記載の締結部材用滑り止めシートは、滑り止め微粒子を備えたことを特徴とするものである。
又、請求項2記載の締結部材用滑り止めシートは、請求項1記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、ベースと、上記ベースに保持された滑り止め微粒子と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項3記載の締結部材用滑り止めシートは、請求項2記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、上記滑り止め微粒子は、その粒径が5μm〜500μmであることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の締結部材用滑り止めシートは、請求項3記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、上記滑り止め微粒子は、ダイヤモンド、又は炭化ホウ素、又は炭化珪素、又はアルミナであることを特徴とするものである。
又、請求項5記載の締結部材用滑り止めシートは、請求項2〜請求項4の何れかに記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、上記ベースは粘着性を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1による締結部材用滑り止めシートは、滑り止め微粒子を備えているため、これを被締結部材間に挟み込むことにより摩擦係数を増大させ、振動によるボルトの緩みや回転方向及び/又は平行方向の外力に起因する被締結部材間のズレ等を効果的に防止することができ、被締結部材を確実に締結・固定することができる。
又、請求項2による締結部材用滑り止めシートは、滑り止め微粒子がベースに保持されているため、より効果的に被締結部材の滑りを防止することができる。
又、請求項3による締結部材用滑り止めシートは、滑り止め微粒子の粒径が5μm〜500μmであるため、さらに効果的に被締結部材の滑りを防止することができる。
又、請求項4による締結部材用滑り止めシートは、滑り止め微粒子は、ダイヤモンド又は炭化ホウ素又は炭化珪素又はアルミナであるため、さらに効果的に被締結部材の滑りを防止することができる。
又、請求項5による締結部材用滑り止めシートは、ベースが粘着性であるため、さらに効果的に被締結部材の滑りを防止することができ、上記締結部材用滑り止めシートを使用した被締結部材の固定作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図1(a)は本実施の形態で用いられる締結部材用滑り止めシートを示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)のb−b拡大断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、締結部材用滑り止めシートを使用してボルトとナットにより被締結部材が締結・固定される様子を示す分解斜視図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、締結部材用滑り止めシートを使用してボルトとナットにより被締結部材が締結・固定される様子を示す斜視図である。
【図4】本願発明の第2の実施の形態を示す図で、締結部材用滑り止めシートを使用して2本のフレームがブラケットを介してボルトとナットにより締結・固定される様子を示す分解斜視図である。
【図5】本願発明の第2の実施の形態を示す図で、締結部材用滑り止めシートを使用して、2本のフレームがブラケットを介してボルトとナットにより締結・固定された様子を示す斜視図である。
【図6】従来の技術を示す図で、ボルトとナットにより被締結部材が締結・固定される様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1乃至図3を参照して、本願発明の第1の実施の形態を説明する。まず、本実施の形態による締結部材用滑り止めシート29(33)の構造について説明する。本実施の形態においては、締結部材用滑り止めシート29(33)は、図1(a)に示すように、リング状をなしている。
尚、図1(a)は上記締結部材用滑り止めシート29(33)の構成を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のb−b拡大断面図であって、その構成を模式的に示した図である。
【0017】
まず、図1の(b)に示すように、薄い膜状のベース3がある。このベース3には、多数の滑り止め微粒子5が、その一部を露出させた状態で埋設されている。この滑り止め微粒子5の材質としては、例えば、ダイヤモンド、炭化ホウ素、炭化珪素、アルミナ等が考えられる。又、この滑り止め微粒子5の粒径は、例えば、5μm〜500μm程度である。上記滑り止め微粒子5の材質及び粒径は、例えば、後述するボルト19のサイズによって異なり、このボルト19のサイズに合わせた最適な条件のものが使用される。上記ベース3の厚さは5μm〜50μmである。上記滑り止め微粒子5の密度(単位面積あたりの滑り止め微粒子の量)も、例えば、後述するボルト19のサイズや被締結部材7、9、11同士の接触面積等に応じて決定される。
【0018】
上記ベース3の図1(b)中下側には、粘着材4が設けられている。上記締結部材用滑り止めシート29(33)は、上記粘着材4によって被締結部材に貼り付け・固定されることになる。又、上記粘着材4の図1(b)中下側には、保護材(剥離紙)6が貼り付けられている。上記保護材6は、非使用時において上記粘着材4を保護し、上記締結部材用滑り止めシート29(33)が不用意に貼り付かないようにしており、上記締結部材用滑り止めシート29(33)を使用する際には剥がされるものである。
尚、図1(b)では、滑り止め微粒子5を模式的に表現している関係で、その形状、大きさ、ピッチ等については、実際のものとは異なっている。
【0019】
上記締結部材用滑り止めシート29(33)の内、ベース3及び滑り止め微粒子5の部分については、例えば、型内に樹脂を流し込み、そこに上記滑り止め微粒子5を散りばめることにより製造される。
尚、本実施の形態によるリング状の上記締結部材用滑り止めシート29(33)は、例えば、平板状の大きなものを作り、それを、打ち抜き加工等により所定の大きさのリング形状にしたものである。
【0020】
次に、本実施の形態による締結部材用滑り止めシート29(33)を使用した被締結部材の締結・固定について、図2及び図3を用いて説明する。
【0021】
まず、板状の被締結部材7、9、11がある。上記被締結部材7の長手方向に沿った一端側(図2中下端側)には貫通孔13が設けられている。上記被締結部材9にも、上記被締結部材7と同様に、長手方向に沿った一端側(図2中上端側)に貫通孔15が設けられている。上記被締結部材11にも、同様に、長手方向に沿った一端側(図2中上端側)に貫通孔17が設けられている。
【0022】
上記被締結部材7の一方の面に上記被締結部材9が当接・配置され、他方の面に上記被締結部材11が当接・配置される。その際、上記被締結部材7、9,11は、それぞれの貫通孔13、15、17が連通するように当接・配置される。上記貫通孔13、15、17には、ボルト19が挿入・配置される。
【0023】
上記ボルト19は、頭部21と、雄螺子部が設けられた軸部23から構成されている。上記ボルト19の頭部21と上記被締結部材9の間には、貫通孔27を備えたワッシャ25が介挿されている。
【0024】
又、図2に示すように、上記被締結部材7と上記被締結部材9の間には、締結部材用滑り止めシート29が介挿されている。上記締結部材用滑り止めシート29には、図1の(a)に示すように、中央に貫通孔31が設けられている。又、上記締結部材用滑り止めシート29は、上記貫通孔31が上記被締結部材7の貫通孔13及び上記被締結部材9の貫通孔15と連通するように配置されている。
尚、上記締結部材用滑り止めシート29は、上記保護材6を剥がされ、上記粘着材4の作用によって、上記被締結部材7又は上記被締結部材9の何れか一方に貼り付けられることになる。
【0025】
又、図2に示すように、上記被締結部材7と上記被締結部材11の間にも、締結部材用滑り止めシート33が介挿されている。上記締結部材用滑り止めシート33も、図1の(a)に示すように、中央に貫通孔35が設けられている。又、上記締結部材用滑り止めシート33は、上記貫通孔35が上記被締結部材7の貫通孔13及び上記被締結部材11の貫通孔17と連通するように配置されている。
尚、上記締結部材用滑り止めシート33も、上記締結部材用滑り止めシート29同様、上記保護材6を剥がされ、上記粘着材4の作用によって、上記被締結部材7もしくは上記被締結部材11の何れか一方に貼り付けられることになる。
【0026】
上記ボルト19の軸部23の先端側(反頭部21側)は被締結部材11の貫通孔17から外部に突出・配置され、そこにはナット37が螺合される。上記ナット37と上記被締結部材11の間には、貫通孔41を備えたワッシャ39が介挿されている。
【0027】
上記ナット37を回転させ、上記ボルト19の軸部23の先端部に螺合させていくことにより、図3に示すように上記被締結部材7、9、11を締結・固定するものである。
【0028】
本実施の形態では、上記締結部材用滑り止めシート29、33は、以下のように作用する。上記ボルト19及び上記ナット37によって、前述のように被締結部材7、9、11を締結すると、上記締結部材用滑り止めシート29は、被締結部材7及び被締結部材9によって強く挟み込まれる。これにより、上記締結部材用滑り止めシート29の滑り止め微粒子5は、上記被締結部材7及び被締結部材9に食い込む。上記締結部材用滑り止めシート33も同様に、滑り止め微粒子5が上記被締結部材7及び上記被締結部材11に食い込む。
【0029】
その結果、締結・固定時における上記被締結部材7、9、11相互間における滑りひいては位置ずれが効果的に防止されることになる。
【0030】
以上本実施の形態では以下のような効果を奏する。
上記のように、締結部材用滑り止めシート29、33の滑り止め微粒子5が上記被締結部材7、9、11に食い込むため、上記被締結部材7、9間の摩擦係数及び上記被締結部材7、11間の摩擦係数が増加する。そのため、上記被締結部材7、9、11の位置ずれや回転を防止し、正規な状態で確実に締結・固定することができる。
又、前記第1の実施の形態では、上記締結部材用滑り止めシート29、33には上記ベース3の下に粘着材4が設けられているため、予め上記締結部材用滑り止めシート29、33を被締結部材の所定の位置(上記締結部材用滑り止めシート29、33の貫通孔31、35が上記被締結部材の貫通孔と連通するような位置)に貼り付けておくことで、上記締結部材用滑り止めシート29、33の脱落を防ぐことができ、締結作業が行い易くなる。
【0031】
次に、図4及び図5を参照して、本願発明の第2の実施の形態を説明する。
【0032】
まず、図4に示すように、被締結部材であるフレーム43a、43bがある。上記フレーム43aは、略四角柱状をなしていて、中央部には軸方向に向かって貫通孔45aが設けられており、側面には軸方向に向かって溝47aが設けられている。又、上記フレーム43aの四隅にも軸方向に向かって貫通孔49aが設けられている。上記フレーム43bも、上記フレーム43aと同様に、略四角柱状をなしていて、中央部には軸方向に向かって貫通孔45bが設けられており、側面には軸方向に向かって溝47bが設けられている。又、上記フレーム43bの四隅にも長軸方向に向かって貫通孔49bが設けられている。
【0033】
上記溝47a及び溝47bは、次のような形状をなしている。すなわち、横断面形状で見た場合、外側から中心部に向かってその幅が徐々に小さくなるようなテーパ形状をなしている。又、外側の開口部はその幅を絞られた形状になっている。又、上記溝47a及び溝47b内には図示しないナットが配置されることになり、このナットは溝47a及び溝47b内を移動して任意の位置に配置される。又、このナットには雌ねじ部が設けられている。
【0034】
上記フレーム43a、43bは互いに直交するように当接・配置されている。又、上記フレーム43a、43bの両方に当接するように、ブラケット51が設けられている。このブラケット51は、上記フレーム43a、43bにそれぞれ当接・配置され相互に直交する当接面53、55を有している。又、上記ブラケット51には、上記当接面53に直交する貫通孔57が形成されていると共に、上記当接面55にも直交する貫通孔59が形成されている。
【0035】
上記ブラケット51の当接面53と上記フレーム43aとの間には、締結部材用滑り止めシート61が介挿されている。この締結部材用滑り止めシート61は、前記第1の実施の形態において説明した締結部材用滑り止めシート29(33)と略同様の構造であるが、形状は略長方形をなしており、中央に貫通孔63が穿孔されている。
【0036】
又、上記ブラケット51の当接面55と上記フレーム43bとの間にも、締結部材用滑り止めシート65が介挿されている。この締結部材用滑り止めシート65も、前記第1の実施の形態において説明した締結部材用滑り止めシート29(33)と略同様の構造であるが、形状は略長方形をなしており、中央に貫通孔67が穿孔されている。
尚、本実施の形態による略長方形の上記締結部材用滑り止めシート61、65は、例えば、平板上の大きなものを作り、それを、例えば、打ち抜き加工により所定の大きさの略長方形で貫通孔を有する形状にしたものである。
【0037】
又、上記締結部材用滑り止めシート61は、前記第1の実施の形態における締結部材用滑り止めシート29、33と同様、保護材を剥がし、上記ブラケット51の所定の位置(上記締結部材用滑り止めシート61の貫通孔63と上記ブラケット51の貫通孔57が連通するような位置)に貼り付けて使用するものである。
又、上記締結部材用滑り止めシート65も、前記第1の実施の形態における締結部材用滑り止めシート29、33と同様、保護材を剥がし、上記ブラケット51の所定の位置(上記締結部材用滑り止めシート65の貫通孔67と上記ブラケット51の貫通孔59が連通するような位置)に貼り付けて使用するものである。
【0038】
上記ブラケット51の貫通孔57内にはボルト69が挿入される。該ボルト69は、頭部と雄ねじ部を有する軸部からなる。上記ボルト69は、その軸部が上記ブラケット51の貫通孔57及び上記締結部材用滑り止めシート61の貫通孔63を貫通し、上記溝47a内の図示しないナットに螺合される。
【0039】
又、上記ブラケット51の貫通孔59内にはボルト71が挿入される。該ボルト71は上記ボルト69と同様の構造で、その軸部が上記ブラケット51の貫通孔59及び上記締結部材用滑り止めシート65の貫通孔67を貫通し、上記溝47b内のナットに螺合されている。
【0040】
上記ボルト69を回転させ上記フレーム43a側に前進させていくと、上記ボルト69の頭部が上記ブラケット51を上記フレーム43a側に付勢するのと同時に、上記ボルト69の軸部に螺合した溝47a内のナットが上記ブラケット51側に引き寄せられる。このようにして、上記フレーム43aと上記ブラケット51が締結・固定される。
【0041】
又、上記ボルト71を回転させ上記フレーム43b側に前進させていくと、上記ボルト71の頭部が上記ブラケット51を上記フレーム43b側に付勢するのと同時に、上記ボルト71の軸部に螺合した溝47b内のナットが上記ブラケット51側に引き寄せられる。このようにして、上記フレーム43bと上記ブラケット51が締結・固定される。
【0042】
以上のような、上記ブラケット51と上記フレーム43aの締結・固定、及び上記ブラケット51と上記フレーム43bの締結・固定により、図5に示すように上記フレーム43aと上記フレーム43bが上記ブラケット51を介して締結・固定されることとなる。
【0043】
本実施の形態では、上記締結部材用滑り止めシート61、65は、以下のように作用する。前述したように、フレーム43aとフレーム43bを締結・固定すると、上記締結部材用滑り止めシート61は上記ブラケット51と上記フレーム43aによって強く挟み込まれ、上記締結部材用滑り止めシート65は上記ブラケット51と上記フレーム43bによって強く挟み込まれる。これにより、上記締結部材用滑り止めシート61の滑り止め微粒子5は、上記ブラケット51及び上記フレーム43aに食い込む。上記締結部材用滑り止めシート65も同様に、滑り止め微粒子5が上記ブラケット51及び上記フレーム43bに食い込む。
【0044】
その結果、締結・固定時における上記ブラケット51と上記フレーム43a間の滑りと、上記ブラケット51と上記フレーム43b間の滑りが、効果的に防止されることになる。
【0045】
以上この第2の実施の形態では以下のような効果を奏する。
上記のように、締結部材用滑り止めシート61、65の滑り止め微粒子5がブラケット51やフレーム43a、43bに食い込むため、上記ブラケット51とフレーム43a間の摩擦係数及び上記ブラケット51とフレーム43b間の摩擦係数が増加する。そのため、上記ブラケット51、フレーム43a、43bの滑りに起因した位置ずれを防止し、フレーム43aとフレーム43bを確実に締結・固定することができる。
【0046】
又、この第2の実施の形態においても、上記締結部材用滑り止めシート61、65は上記ベース3の下に粘着材が設けられている。そのため、上記締結部材用滑り止めシート61を、上記ブラケット51の当接面53上の所定の位置(上記締結部材用滑り止めシート61の貫通孔63と上記ブラケット51の貫通孔57が連通するような位置)に予め貼り付けておいて締結作業を行うことができる。又、上記締結部材用滑り止めシート65も、上記ブラケット51の当接面55上の所定の位置(上記締結部材用滑り止めシート65の貫通孔67と上記ブラケット51の貫通孔59が連通するような位置)に予め貼り付けておいて締結作業を行うことができる。これにより、上記締結部材用滑り止めシート61、65の脱落を防ぐことができ、締結作業が行い易くなる。
【0047】
尚、本願発明は上記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、締結部材用滑り止めシートの形状は、リング状や長方形に限らず、用途に応じて様々な形状が考えられる。
又、前記第1、第2の実施の形態においては、締結部材用滑り止めシートのベースとして粘着性のある材料を用いたが、粘着性のないベースを用いる場合もある。
又、ベースの厚さや滑り止め微粒子の大きさ・材質・密度・分布も、用途に応じて様々なものが考えられる。
又、締結部材用滑り止めシートの製造方法も、予め型内に樹脂を流し込んでそこに滑り止め微粒子をちりばめる方法以外にも様々な方法が考えられる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、締結部材用滑り止めシートに係り、特に、被締結部材相互間又は締結金具と被締結部材との間に介挿され、被締結部材相互間又は締結金具と被締結部材との間の摩擦係数を大きくし、それによって、締結時に被締結部材相互又は締結金具と被締結部材相互が不用意に回転してしまう或いは位置がすれてしまう、といったことがないように工夫したものに関し、例えば、板状の被締結部材をボルトとナットによって締結・固定する際に用いる滑り止めシートに好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 締結部材用滑り止めシート
3 ベース
5 滑り止め微粒子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り止め微粒子を備えたことを特徴とする締結部材用滑り止めシート。
【請求項2】
請求項1記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、
ベースと、上記ベースに保持された滑り止め微粒子と、を具備したことを特徴とする締結部材用滑り止めシート。
【請求項3】
請求項2記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、
上記滑り止め微粒子は、その粒径が5μm〜500μmであることを特徴とする締結部材用滑り止めシート。
【請求項4】
請求項3記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、
上記滑り止め微粒子は、ダイヤモンド又は炭化ホウ素又は炭化珪素又はアルミナであることを特徴とする締結部材用滑り止めシート。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れかに記載の締結部材用滑り止めシートにおいて、
上記ベースは粘着性を有することを特徴とする締結部材用滑り止めシート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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