説明

編み装置のための部品

【課題】バットの磨耗を減少させる編み装置の装置部品を創出する。
【解決手段】編み装置の装置部品(1)は、ボディ(3)の細い側面(16)から外側に突出したバット(18)を有するボディからなる。第1の有利な実施例によれば、バットはボディに対して傾斜して位置決めされる。対応する曲がり線はボディの縦又は運動方向に延びる。従って、角度(α)は交差方向にボディに交差する架空の平面(E)内で画定される。この結果、ボディに沿う装置部品(1)がベッド(5)の対応するガイドスロット(4)内で幾らか傾いて配置されても、バットはカム運動に対して比較的正確に直角に調節される。角度αは傾きを補償する。磨耗を減少させるバットとガイドトラック(7)との線タイプの接触が実現される。補足的に又はそれに代えて、バットは、やはり磨耗を減少させる働きをするエッジ(19,20)に沿う肉厚領域(29,30)を具備してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば編機針、選択要素、連結部品、運搬部品、押え部分、シンカー又は同様なループ形成部品などの、編み装置のための部品に関する。特に、本発明は、カムアセンブリに対して制御された運動を実行する装置部品に関する。カムアセンブリはカムカーブを具備し、バットと呼ばれる装置部品から突出した延長部がカムカーブに沿って滑動し、それで装置部品はカムカーブの形状に対応するガイド内で移動する。特に、本発明はたいてい主に丸編機などの、装置部品を保持するベッドとカムアセンブリが主に又はもっぱら1方向に互いに反対に移動するための装置部品に関する。
【背景技術】
【0002】
丸編機の運転の間、バットはカムのカムカーブに沿って滑動し、摩擦、汚れ、運転時間、マシン速度、糸張力などの影響因子次第で徐々に磨耗する。これは特に、装置部品と交差する方向及びその運動方向に向いたバットの2つのエッジに当てはまる。これらはカムカーブに直接接触する。特に、フックに向かうエッジは磨耗により引き起こされる材料腐食を受けやすい。材料腐食は針の効果的な運転長さの変化をもたらし、それによりループ形成の問題を引き起こす。
【0003】
バットの磨耗を減らす試みにおいて過去に様々な手段が採られてきた。
【0004】
特許文献1は、2つの平坦側面と2つの細い側面を有する細長いボディを備えた編機針を開示する。運転の間、編機ボディのボディは針ベッドのガイドスロット内に位置決めされ、ボディの平坦側面の間で測定される幅はガイドスロットのスロット幅よりかなり小さい。編機針は細い側面から突出したバットを有し、縦方向に捩じれている。捩れの方向は、バットが運動方向に対して傾くように選択される。バットと編機針の作業部の間に位置するボディ又は柄の部部は捩りばねを形成する。捩りばねは、バットに弾力のある揺振運動を実行させることでバットへの衝撃を吸収する。
【0005】
この解決法は、針ベッドで画定されたガイドスロットと編機針の間の面に大きい遊びが必要であり、ガイドスロットの幅はプリセットするために決定されなければならない。結局、この提案は問題となっている磨耗の所望の減少をもたらす、極めて細い針、従って非常に細いバットをもたらす。
【0006】
特許文献2は、バットに溶接、接着又ははんだ付けされる外側部分を具備したバットを有する編機針を開示する。外側部分はカムアセンブリに接触する。ゆえに、磨耗はこの外側部分に限定され、その滑動面はバットのエッジをかなり越えて延びる。
【0007】
しかしながら、バットにフィットした部分がバットから離れるとき、これらは危険の源になる。さらに、これらは編み工具重量を増加させる。
【0008】
この文献は、角度のついた又は曲がった部分を具備した、図15〜17のバットをも開示する。この部分は露出した舌のようにバットから突出し、針の縦方向と交差して延びる線の周りに曲がる。
【0009】
このタイプの針は実用的な運転で成功していない。
【0010】
特許文献3は、形材に圧縮成形されたバットを備えた編機針を開示する。凹部が、針に交差して位置し針を駆動させる働きをする2つのエッジに平行なバットに型打ちされる。製造の間、これら凹部は材料の移動のために使用され、隣接するエッジは滑らかにされる。多数の用途において、バットのこれら凹部は損傷の位置にあることが判明し、総合的に、編機針の限られた改良をもたらすに過ぎない。
【0011】
【特許文献1】DE2157404A1
【特許文献2】DE2110916A1
【特許文献3】DE2911195B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これから出発して、本発明の目的は、バットの磨耗を減少させる編み装置のための装置部品を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1で定められる装置部品及び請求項17に記載の編機又は自動編機により達成される。
【0014】
本発明に従う装置部品はバットを具備し、当該バットはカムアセンブリによって駆動するよう設計され、このために少なくとも1つの、好ましくは2つのエッジを具備している。当該エッジは装置部品のボディから離れて延在し、少なくとも1つのサイド面と共に鈍角を囲む。「エッジ」は、ガイドスロットにおける装置部品の運動方向又はその反対方向に向いたバットの細い側面であると理解されたい。装置部品のサイド面で決定される平面に対するこのエッジの傾きの結果、バットのエッジはその長さのほとんど又は理想的にはカムアセンブリの面を有する全長にわたって線タイプ又はストリップ形状領域に沿って接触できる。特に、これは、従来技術による発明では生じうる点形状の接触を回避する。結局、点形状の接触により生じる過度の材料磨耗は避けられる。バットのエッジへの応力は平均化され、それによりバットとガイドトラックの間で有効な潤滑フィルムの断裂又は破損が避けられる。
【0015】
特に、典型的に丸編機の場合のように、編み工具がガイドスロット内で一方の側面から加えられる応力により生じる角度で曲がる場合でも、編み工具のサイド面に対するバットの傾きがバットの機能的アライメントを可能にし、このアライメントを維持することができる。つまり、サイド面がガイドスロットのフランクと正確に平行に指向していなくても良い。バットと装置部品のサイド面の間の鈍角は好ましく十分大きくなければならず、これにより鈍角はガイドスロット内の装置部品の傾斜した又は傾いた位置決めに対応し、好ましくはストレートにするために傾いた位置決めを補償する。結局、編機の運転の間、針バットは針スロットから垂直に突出し、所望の線形の接触がカムトラックと針バットの間で生じる。
【0016】
前記の目的はさらに請求項8に記載の装置部品により、つまり請求項1に開示された特徴に加えてそれ自体によって達成される。
【0017】
本発明に従う装置部品はバットを駆動させるためのカムアセンブリを具備している。バットは、その細い側面に沿って、装置部品ボディの細い側面から離れて延在する少なくとも1つのリブタイプの肉厚領域を具備する。この肉厚領域はバルジのように具体化される。肉厚領域はバットとカムアセンブリのガイドトラックとの接触領域を増加させる。ゆえに、このような肉厚領域を具備しないバットの場合よりかなり早く磨耗が停止する。カムトラックとバットのエッジの最初の接触が初めに点と局所的領域の間のみであっても、この領域で生じる材料侵食は接触領域の大きさを増加させるように設計され、それで線タイプ又はストリップタイプの接触が形成され、これにより磨耗が減少する。この効果は、直角に曲がらないバット(つまり、これがサイド面を有する単一の平面に沿って延びる)を有する針にも耐磨耗性を増加させる。他方では、バットがこの平面に対していくらか傾いている場合でも、装置部品の傾いた位置はさらにガイドスロット内で補償され、それでバットは相対運動の方向に対して直角に位置決めされ、カムトラックに嵌合して線に沿って移動する。
【0018】
肉厚領域は塑性変形プロセスによって形成されると有利であり、バットの一方の平坦側面又は両方の平坦側面から突出するバルジでもよい。このバルジは側面上で装置部品のサイド面の上に延在する。耐磨耗性の改良に加えて、これはバットの強化にもなる。
【0019】
凹部がこの肉厚領域の隣に形成されても良く、これは、凹部を形成する際移動する材料の結果として肉厚領域をより大きくする。
【0020】
装置部品のボディは好ましくは捩じれない。従って、そのサイド面はガイドスロットのフランクと完全にフィットする。好ましくはボディのトルク曲がり又は他の弾性的捩れは許容されるべきでなく、それによりバットの恒久の直角アライメントが保証される。
【0021】
それに代えて又はそれに補足して、従来技術による運転から生じる、装置のためのバットの斜め位置決めの本発明による補償は編機に講じられる手段によって行われてもよい。この補償は装置部品設計により請求項1に従って実現される。このために、針ベッドのガイドスロットは傾いて配置され、それでそこに傾いて位置決めされる装置部品は運転の間カムアセンブリのガイドスロットの交差方向(つまり、前回り方向)と平行なバットと再び整列し、従ってカムトラックと線で接触する。加えて又はそれに代えて、カムトラックは傾斜したサイド位置(交差方向の傾斜)を具備してもよい。ガイドトラックのための前述の手段を前述のトラックの幾つかの領域に制限することで、従来技術以上の改良が既に実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は請求項、図面及び/又は明細書の主題事項である。
【0023】
本発明の実施例を図面に示す。
【0024】
図1は、編機の編み装置のための機械編針2の形状の装置部品1(ここではより詳細に図示せず)を示す。ここで、機械編針2は単に本発明の本質的要素を示す働きをする。これら要素は、例えばシンカー、連結部品、選択要素、運搬要素又は編み装置の同様な部品などの、編み装置の他の移動可能部分に実現されてもよい。装置部品1は、平坦で細長いボディとして具体化されたボディ3を有する。このボディは、図2に示されるように使用の際ベッド5の針スロットと呼ばれるガイドスロット4内に配置される。針ベッド5は、例えばダイアル又は丸編機の編みシリンダである。どちらの場合でも、それは非常に多数の並んで配置されたガイドスロット4を有する。ガイドスロットは編みシリンダの場合、周囲に沿って互いに平行に軸方向に配置される。ベッド5及び/又は編みシリンダに割り当てられるのは、装置部品1及び/又は編機針2を移動させるためのガイドトラック7を具備したカム6である。これらはそれぞれのガイドスロット4内で図2に従う図面に垂直に向いた縦スロット方向に移動する。ガイドスロット4は長方形断面を有し、互いに平行に位置した平坦フランク8,9でそれぞれ境界付けられ、それらの間でボトム10を囲むと好ましい。それぞれのガイドスロット4は、ベッド5とカム6の相対的な運動で実現されるループ形成に寄与する装置部品を具備する。この相対運動は図2に矢印のペア11で示され、例えばアイドル位置のカム6に対する、編みシリンダとして具体化されたベッド5の回転により生じる。ガイドトラック7の方向はボトム10に垂直に寸法決めされる直線である。丸編機のために、この方向は半径方向である。矢印ペア11の矢印の1つで図2において示された周囲方向に、ガイドトラック7は装置部品1及び/又は機械編針2の運動を決定する外形、つまり曲率を有する。
【0025】
図1に示されるように、機械編針2のボディ3は針の運動方向又は針の縦方向に延在する柄12を有する。柄は、その端、すなわちループ形成領域にフック13を具備している。ラッチ、閉じ要素などの図示されてない閉じ手段がこのフックに割り当てられる。ボディ3は前記のように平坦であり、2つの平坦側面14,15を具備している。両方の側面の間の距離はボディ3の幅Dを表す。この場合の幅Dはフランク8,9の間の距離より小さいと好ましく、それでボディ3はガイドスロット4内で遊びが多すぎず移動できるように位置決めされる。ボディ3はさらに細い側面16,17を具備し、これらはサイド面14,15と連結し、針上部及び/又は針裏面を形成する。細い側面16,17の幅は幅Dと一致し、それに直角に測定されるサイド面14,15の高さよりかなり小さい。ボディ3の高さは、図2に示されるようにそれがガイドスロット4内に完全に嵌合するように寸法決めされると好ましい。従って、細い側面16はカム6の外側に位置する。
【0026】
バット18は細い側面16から離れて延在し、これはカム6に突出し、ガイドトラック7に嵌合する。側面から見ると、バット18はほぼ長方形の形状をしている。フック13に向かうフロントエッジとフック13から離れた方のバックエッジはカム6のガイドトラックに係合する。図3では、これがガイドトラック7とエッジ20のために示されている。反対側に配置されたエッジ19もガイドトラックに割り当てられる。このガイドトラックは図3に示されていない。
【0027】
エッジ19,20は細い側面16と直角に指向し、例えば図4に示されるように、平坦な又は湾曲した接触面21,22で形成される。
【0028】
丸編機の運転の間、ベッド5を形成する編みシリンダは、例えば図2において矢印ペア11の下側矢印で示されるように、所定の1方向に主に又はもっぱら移動する。ゆえに、ガイドトラック7に対して、バット18は矢印23の方向に移動する。プロセスにおけるバット18はガイドトラック7に沿って滑動する。その結果、摩擦力Fは相対運動の方向と逆にバット18に作用し、図示されるように、ボディ3をガイドトラック4に斜めに位置決めできる。斜めの位置決めは、相対運動に対して前に位置決めされたサイド面14が細い側面17に隣接する下側エッジ24でフランク8に嵌合することを意味する。対照的に、運動方向に対して後ろに位置するサイド面15は細い側面16に隣接する上側エッジ25でフランク9に嵌合する。編みシリンダの半径方向に対するボディ3の斜めの位置決めは数十分の1度から数度の範囲である。
【0029】
ボディ3のガイドスロット4内での斜め位置決めを補償するために、装置部品1のバット18はボディ3と反対に角度αで傾いている。角度αはサイド面15とバット18のサイド面26の間で測定されなければならない。その頂点は、図3に破線で示された、図2の図面に垂直に位置した曲がり線27上にある。この曲がり線27は、ガイドスロット4の縦方向及び/又は装置部品1の縦方向と実質的に平行に向き、ガイドスロット4内の運動方向に一致する。曲がり線27はさらに細い側面16に平行に向いている。
【0030】
同様にして、サイド面26の反対に位置するバット18のサイド面28は、隣接したサイド面14に対して同じ角度で傾いている。この角度αは、サイド面26及び/又は28が矢印23で規定される相対運動の方向に対して直角に向くように寸法決めされる。この手法の結果、エッジ20及び/又は接触面22は線タイプ又はストリップタイプの領域に沿ってガイドトラック7と接触し、それにより、図2又は3に示されるようにボディ3がガイドスロット4内でいくらか傾く場合に起こる特に点タイプの接触を回避し、バット18がボディ3のサイド面と並ぶ。ガイドトラック7と接触面22の点タイプの接触を避けることで、負荷を分散し、ガイドトラック7と特にバット18の磨耗を減少させることになる。
【0031】
サイド面26,28は図に示されるように平坦面として具体化され、両方のサイド面26,28の間で矢印23の方向に測定されるべきバット18の幅DFはどの位置でもボディ3の幅Dを超えない。しかしながら、図4及び5に示されるように、特にエッジ19,20の領域のバット18に肉厚領域29,30を設けることも可能である。肉厚領域29,30はエッジ19,20に沿って延在し、バット18がボディ3の幅Dを超える肉厚領域29,30の幅DVを有することで区別される。幅DVはバット18の幅DFをも超えると有利であり、よって両方のサイド面26,28は平らに位置決めされ、肉厚領域29,30の外側で互いに平行に向いている。肉厚領域29,30は対称にも非対称にも具体化でき、これらは非対称の場合サイド面14,15の1つの上にのみ突出する。好ましくは、例えば図5に示されるように、これらは両方のサイド面14,15の上に突出する。
【0032】
図5によれば、前記のバット18を具備した装置部品1は平らなデザインを有し、それでサイド面28はサイド面14を有する結合面内に配置され、サイド面26はサイド面15を有する結合平面内に配置される。それに代えて、バット18の幅DFはボディ3の幅より大きくても良い。その場合、サイド面26,28はサイド面14,15と平行に向く。
【0033】
ここまで説明してきたケースでは、ボディ3がガイドスロット4内でいくらか傾くと、バット18は傾いた位置を占める。これは初めに、ガイドトラック7とバット18及び/又は対応する接触面22との部分的な、むしろ点タイプの接触になる。これはバットの局所的な磨耗をもたらし、接触面22はいくらか変形し、接触領域はすぐに細い側面16に直角に延在するバット18の長さ全体にわたって延びる。その場合、磨耗は基本的に停止し、装置部品1の機能が保証される。
【0034】
しかし、ある好ましい実施形態によれば、肉厚領域29,30を具備したバット18は特に図4に示されるようにボディ3に対して傾く。曲がり線27は、上で説明したように縦方向に向き、細い側面16とほぼ平行になる。バット18の領域、特にエッジ19又は20の領域でボディ3を横断して交差する架空の交差平面Eが、前記の角度αを共に囲む交差線31,32に沿ってサイド面15と接触面21と交差する。その面の垂線はボディ3の縦方向、従ってガイドスロット4内の装置部品1の運動方向と一致する。角度αは鈍角であり、180°に近いと好ましい。正確に言えば、この角度は180°−βであると好ましく、ここでβはサイド面15とフランク9及び/又はサイド面14とフランク8で囲まれた鋭角である。角度βはガイドスロット4の幅、ボディ3の幅D、及びスロットの高さに依存する。潤滑剤の粘度、編機の運転速度などのさらなる影響因子も重要であり、αを計算するための考慮事項である。
【0035】
原則として、本発明の背後にあるアイデアは、傾斜角度αを編み工具1ではなく、ガイドスロット4の少なくとも1つのフランク8,9の領域に与えることでも実現される。例えば、丸編機の針2は、針シリンダ及び/又はダイヤルの回転運動の結果ガイドスロット4のフランク8,9に対して押し付けられるそれらのボディ3によって保持されるので、一般にこれらフランク8,9の1つだけを角度αで配置すれば十分である。しかしながら、使用される編機のタイプ及び/又はガイドスロット4が構成される仕方次第で、ガイドスロット4の両方のフランク8,9が傾いて配置されても良い。
【0036】
本発明に従う編み工具のキャリアを具体化する1つの例は図7に図式で詳細に示される。このキャリアは、ループ形成に関して、図2の針ベッド5に対応する編み工具キャリアと同じ機能を満たす。フランク8,9により側面の境界を定められたガイドスロットは機械編針1を収容する。この編み針は図1に示される針と同様に具体化され、ここでは概略的に示されているだけである。針は、細い側面16,17で高さを定められ、サイド面14,15で幅を定められた針ボディ3からなる。バット18は細い側面16から離れて延在し、カム6に突出するので、バットはガイドトラック7とフィットする。先の説明とは反対に、この機械編針2は、バット18及び/又はそのエッジ19,20がサイド面14,15に対して角度αで配置されない(α=180°)伝統的な針2である。機械編針2のサイド面14,15は、バット18のサイド面26,28を有する単一の平面内に配置される。エッジ19,20とカム6のガイドトラック7との線タイプ又は領域タイプの接触は、ガイドスロット4、特にそのフランク8,9がガイドトラック7に対して角度αで配置されることで実現される。運転の間、装置部品1は編み機カムのガイドトラック7で掴まれ、従って針2のエッジ19,20とカムカーブ7との線タイプ及び/又は領域タイプの接触が生じる。これは、図7に示されるようにガイドスロット4の傾いた配置のため、特にベッド5の運動方向に傾いたフランク9のために可能になる。プロセスでは、フランク9は運動方向に角度αだけ傾く。従って、フランク9の側面におけるボトム10の反対側に配置されたエッジ37はボディ3とバット18との移行部の領域において針2を保持し、それをガイドトラック7に対して垂直に位置決めして維持する。針2のバット18のエッジ19,20は、カム6のガイドトラック7の架空の平面(図示せず)と平行に位置決めされる。針2のこのガイドトラック7に対するこのアライメントは図7における位置38で示される。フランク8,9の傾いた配置により、機械編針2とガイドスロット4の間の遊びを補償することができる。結局、編機における傾いたガイドスロットの配置によってバット18とカム6のガイドトラック7との線タイプ及び/又は領域タイプの接触を実現するという本発明のアイデアが実現される。
【0037】
編機カム6のガイドトラック7を傾けて位置決めすることも可能であり(図示せず)、これにより、ガイドスロット4及び/又はフランク8,9が傾いて位置決めされなくても、また従来技術に従う装置部品1が本発明で定められるように曲がり線27で傾くことなくガイドスロット4に配置されたとしても、装置部品1のバット18のエッジ19,20はガイドトラック7と平行に配置される。傾いたガイドトラック7と装置部品1のエッジ19,20との平行関係を保証するために、カムカーブ内の上り勾配とカム角度に対して、カム6のためのガイドトラック7の傾き角度を変更・適合させる必要がある。ガイドトラック7の幾つかの部分を傾けることによっても、装置部品1及び/又は駆動手段、つまり装置部品1のバット18の磨耗を減少させることになる。
【0038】
肉厚領域29,30はバット18の塑性変形プロセスによって実現されると好ましい。これは、これら領域がボディ3及びバット18と同じ材料で構成されることから明らかである。さらに、ボディ3、バット18と肉厚領域29,30の間に、どのタイプの継目、特にはんだ付け継目も溶接継目もないと有利である。材料(好ましくはスチール)の継目のない繊維の列が磨かれた部分に見える。塑性変形により、幅DFが幅Dに一致する。それに代えて、材料移動を引き起こして対応する変形カットの肉厚領域29,30を塞ぐために、幅DFは幅Dより小さくても良い。図6に示されるように、1つ又は複数の凹部33,34,35,36がサイド面26,28に、好ましくはエッジ19,20と平行に延びる溝の形状で設けられてもよい。これらの溝は、バルジタイプの肉厚領域29,30を形成する材料移動を可能にする。他の点は、前記の説明が当てはまる。図6に従って、この実施形態のバット18もボディ3のストレート延長部として延びるか、又は図4に示されるようにそれに対して傾いて延びてもよい。
【0039】
編み装置のための装置部品1は、ボディ3の細い側面16から外側に突出するバット18を有するボディ3を具備している。本発明の第1の有利な実施形態のバット18はボディ3に対して傾き又は角度がついている。対応する曲がり線がボディ3の縦方向又は運動方向に延在する。ゆえに、角度αは交差方向にボディ3と交差する想像上の平面E内で画定される。この手法の結果、たとえ装置部品1とそれに沿うボディ3が対応するガイドスロット4内にいくらか傾いて位置決めされても、バット18はカム運動に対して比較的正確に直角に調節できる。角度αはこの傾いた位置決めを補償し、それにより磨耗を減少させるバット18とガイドトラック7との線タイプの接触が生じる。これを補うため又はそれに代えて、バット18は、やはり磨耗の減少を助ける、エッジ19,20に沿う肉厚領域29,30を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】概略斜視図で示された、編み装置に属する機械編針である。
【図2】概略斜視図で示された、カムに連結した、針ベッド内に位置した、図1に従う機械編針である。
【図3】概略斜視図で示された、図2に従う針、ベッド及びカムである。
【図4】概略斜視図で示された、図1及び2に従う機械編針の変形例である。
【図5】上から見たバットを示す、機械編針の異なる変形例である。
【図6】上からのバットの概略図をしめす、機械編針の異なる変形例である。
【図7】概略断面斜視図における、針、ベッド及びカム2を示す、本発明の変形例である。
【符号の説明】
【0041】
1 装置部品
2 機械編針
3 ボディ
4 ガイドスロット
5 ベッド
6 カム
7 ガイドトラック
8,9 フランク
10 ボトム
11 矢印ペア
12 柄
13 フック
14,15 サイド面
16,17 細い側面
18 バット
19,20 エッジ
21,22 接触面
23 矢印
24,25 エッジ
26 サイド面
27 曲がり線
28 サイド面
29,30 肉厚領域
31,32 交差線
33,34,35,36 凹部
37 エッジ
38 位置
D,DV,DF 幅
E 平面
F 摩擦滑り力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドスロット(4)内に位置決めされるべきボディ(3)と、カム(6)によって装置部品(1)を駆動させるための少なくとも1つのバット(18)とを有する編み装置のための装置部品(1)であって、
ボディ(3)は平坦なデザイン、及び2つのサイド面(14,15)と少なくとも1つの細い側面(16,17)を有し、
バット(18)は少なくとも1つのエッジ(19,20)を有し、
エッジはボディ(3)の細い側面(16)から離れて延在し、少なくとも1つのサイド面(14,15)と共に鈍角(α)を囲む
装置部品。
【請求項2】
鈍角(α)が170°より大きく、180°より小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置部品。
【請求項3】
バット(18)のエッジ(19,20)が運転の間カム(6)と針ベッド(5)との相対運動の方向(23)に対して直角に指向するように、鈍角(α)が寸法決めされることを特徴とする請求項1に記載の装置部品。
【請求項4】
バット(18)が、基本的に細い側面(16)の高さで延在する曲がり線(27)においてボディ(3)に対して傾くことを特徴とする請求項1に記載の装置部品。
【請求項5】
曲がり線(27)が細い側面(16)と平行に指向することを特徴とする請求項4に記載の装置部品。
【請求項6】
バット(18)のエッジ(19,20)が細い側面(16)に対して直角に指向することを特徴とする請求項1に記載の装置部品。
【請求項7】
エッジ(19)が細い側面(16)に隣接することを特徴とする請求項1に記載の装置部品。
【請求項8】
ガイドスロット(4)内に位置決めされるべきボディ(3)と、カム(6)によって装置部品(1)を駆動させるための少なくとも1つのバット(18)とを有する編み装置の装置部品(1)であって、
ボディ(3)は2つのサイド面(14,15)と少なくとも1つの細い側面(16)を有し、サイド面の間隔が幅(D)を決定し、
バット(18)は継目なくボディ(3)と隣接し、それと一体に形成され、ボディ(3)の細い側面(16)から離れて延在する少なくとも1つのリブタイプの肉厚領域(29)を具備する
装置部品。
【請求項9】
肉厚領域(29,30)が、幅(D)と同じ方向に寸法決めされるべき、幅(D)より大きい幅(DV)を有することを特徴とする請求項8に記載の装置部品。
【請求項10】
肉厚領域(29,30)が、塑性変形によってバット(18)に形成されたバルジであることを特徴とする請求項8に記載の装置部品。
【請求項11】
バット(18)が、互いに本質的に平行に位置決めされた2つのサイド面(26,28)を具備し、肉厚領域(29)が少なくとも1つのサイド面(26,28)の側面の上に突出することを特徴とする請求項8に記載の装置部品。
【請求項12】
少なくとも1つの凹部(33,34,35,36)が肉厚領域(29,30)の隣に形成されることを特徴とする請求項8に記載の装置部品。
【請求項13】
装置部品(1)を縦方向に駆動させるために、バット(18)が、カム(6)のガイドトラック(7)と接触するように設計されたエッジ(19,20)に沿う接触面(21,22)を具備することを特徴とする請求項1又は8に記載の装置部品。
【請求項14】
接触面(21,22)がサイド面(14,15)と共に鈍角(α)を形成することを特徴とする請求項13に記載の装置部品。
【請求項15】
ボディ(3)が捩れていないことを特徴とする請求項1又は8に記載の装置部品。
【請求項16】
サイド面(14,15)が平坦面であることを特徴とする請求項1又は8に記載の装置部品。
【請求項17】
ガイドスロット(4)を具備した少なくとも1つのベッド(5)と、装置部品(1)を移動させるためのガイドトラック(7)を具備したカム(6)とを備えた編機又は自動編機であって、
ガイドスロット(4)内に位置決めされる装置部品(1)が、エッジ(19,20)で境界を定められる少なくとも1つのバット(18)を担持する柄(12)をそれぞれ有し、
ガイドトラックが移動の間装置部品(1)のバット(18)と接触し、
エッジ(19,20)が編みカム(6)のガイドトラック(7)と平行に配置され、それでバット(18)が、ベッド(5)とカム(6)との相対的な運転運動の間ガイドトラック(7)と線タイプの接触をする
編機又は自動編機。
【請求項18】
ボトム(10)と共にガイドスロット(4)を形成する少なくとも1つのフランク(8,9)がベッド(5)の運動方向に傾いていることを特徴とする請求項17に記載の編機又は自動編機。
【請求項19】
フランク(8,9)の傾きが、装置部品(1)とガイドスロット(4)の間の遊びから生じる角度(α)に対応することを特徴とする請求項17に記載の編機又は自動編機。
【請求項20】
カム(6)のガイドトラック(7)がエッジ(19,20)に対して傾いて装置部品(1)のバット(18)に配置され、それでガイドトラック(7)とエッジ(19,20)が互いに平行に配置され、それにより線タイプの接触が生じることを特徴とする請求項17に記載の編機又は自動編機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−169872(P2007−169872A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−345933(P2006−345933)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】