説明

編レースおよび編レースの製造方法

【課題】 起毛形成作業が不必要であって、裏面の肌触りがよく、柄模様がはっきりとした編レースを提供する。
【解決手段】 鎖編部分26にモール糸23とジャカード糸22とを編込み、ジャカード糸22よりもモール糸23を編レース20の表方向Z1に配置する。これによってモール糸23に形成される毛羽28が、モール糸本体27から表方向Z1に突出しやすくなり、編レース20の下地部と柄部との糸の疎密差を大きくすることができ、柄模様をより明確にすることができる。また毛羽28を有するモール糸23を鎖編部分26に編込むことによって、編成後に毛羽形成作業を行うことなく、起毛を有する編レース20を製造することができる。さらにモール糸23がジャカード糸22に接触することで、モール糸23の毛羽28が編レース20の裏側に突出することを抑えることができ、編レース20の裏側に肌が触れたとしても、毛羽28の毛先と肌が接触することを防ぎ、編レース裏面の肌触りをよくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起毛が形成される編レースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の編レース1が特許文献1に開示される。この編レースは、鎖編地を編成するための鎖編糸となる経糸と、レース模様を形成するための挿入糸となる緯糸および柄糸を有する。緯糸および柄糸によって透孔が形成される編レースが編成される。また緯糸が鎖編地に編込まれる位置が適宜選択されることによって、各透孔が所望の形状および配置となり、編レースにレース模様が形成される。また透孔を埋める糸が密な柄部と、透孔を埋める糸が疎な下地部とが形成されることによって、編レースに柄模様が形成される。
【0003】
従来技術の編レースは、編地編成後に起毛形成作業が行われる。起毛形成作業では、針布ローラまたはエメリペーパなどで、編地の表面側にある柄糸の繊維を部分的に切断することで、表面側の柄糸に毛羽を形成する。したがって毛羽を形成するための柄糸は、糸自体が起毛形成作業時に切断されることがない太さのものが必要となる。このようにして鎖編地に対して表面側の柄糸に毛羽が形成され、編レースの表面に起毛を形成することができる。
【0004】
【特許文献1】特願平5−306153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
起毛形成作業は、表面側の柄糸の繊維を分線または切断して毛羽を形成しており、表面側の柄糸以外の柄糸、経糸および緯糸などを切断するおそれがある。このことは、経糸および緯糸の糸切れの原因となるとともに、編レースにほつれが生じやすくなり、編レースの品質が低下するおそれがある。また起毛を形成するために、編地編成工程とは別に、起毛形成作業を経なければならず、作業工数が増えてしまい、製造コストが増大してしまうという問題がある。
【0006】
したがって本発明の目的は、起毛形成作業が不必要であって、裏面の肌触りがよく、柄模様がはっきりとした編レースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鎖編糸によって形成され、第1ループ状部分と第2ループ状部分とが交互に連なって予め定めるコース方向に複数段並び、注目する第2ループ状部分が、その第2ループ状部分のコース方向前段の第1ループ状部分を挿通してコース方向後段に向かって延び、かつ前記第2ループ状部分のコース方向同段の第1ループ状部分を挿通して、コース方向後段の第1ループ状部分に連なることによって連鎖状に形成されてコース方向に延びる鎖編部分と、
第1挿入糸によって形成され、所定の第1ループ状部分と第2ループ状部分との間を挿通して鎖編部分に編込まれる第1挿入糸編込部分と、
毛羽を有する第2挿入糸によって形成され、所定の第1ループ状部分と第2ループ状部分との間を挿通して鎖編部分に編込まれる第2挿入糸編込部分であって、第1挿入糸編込部分と接触する位置では、第1挿入糸編込部分を挟んで第1ループ状部分に対して反対側に配置される第2挿入糸編込部分とを有し、複数の鎖編部分がウエール方向に相互に連結されることによって、鎖編地が形成されることを特徴とする編レースである。
【0008】
また本発明は、毛羽を有する第2挿入糸は、モール糸によって実現されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記編レースが用いられ、第2挿入糸編込部分よりも第1ループ状部分側の面が肌に触れる位置に配置されることを特徴とする肌着である。
【0010】
また本発明は、鎖編部分を形成するための編み針を用いて前記編レースの鎖編部分を形成する編成工程において、編み針近傍の編成位置に鎖編糸を導糸する鎖編糸導糸手段、前記編成位置に第1挿入糸を導糸する第1挿入糸導糸手段、前記編成位置に第2挿入糸を導糸する第2挿入糸導糸手段を用い、編み針の背面からフック部へ向かう方向に進むにつれて、鎖編糸導糸手段、第2挿入糸導糸手段、第1挿入糸導糸手段の順に配置して編成工程を行うことを特徴とする編レースの編成方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明によれば、鎖編糸によって形成される鎖編部分がウエール方向に相互に連結されることによって、基となる鎖編地を形成することができる。第1挿入糸および第2挿入糸は、第1ループ状部分と第2ループ状部分との間を挿通することで、鎖編部分にそれぞれ編込まれる。編レースは、鎖編地に編込まれる各挿入糸に対して、第1ループ状部分が配置される側の面が裏の面となり、その反対側の面が表の面となる。編レースを表の面から見ると、各挿入糸によって、第1ループ状部分が隠れる。これによって編レースに形成される模様を明確にすることができる。
【0012】
また第2挿入糸編込部分は、第1挿入糸編込部分と接触する位置では、第1挿入糸編込部分を挟んで第1ループ状部分に対して反対側に配置される。言い換えると、第2挿入糸編込部分は、第1挿入糸編込部分よりも編レースの表の面寄りに配置される。このように第1挿入糸よりも第2挿入糸のほうが表寄りに配置されるので、第2挿入糸に形成される毛羽が、第2挿入糸本体から編レースの表方向に突出しやすくなり、編レースの柄模様における下地部と柄部との糸の疎密差を大きくすることができ、柄模様をより明確にすることができる。
【0013】
また毛羽を有する第2挿入糸を鎖編部分に編込むことによって、編成後に毛羽形成作業を行うことなく、起毛を有する編レースを製造することができる。したがって毛羽形成作業に起因する編レースのほつれを防ぎ、品質を向上することができる。また第1挿入糸が、編レースの裏側から第2挿入糸に当接するので、第2挿入糸に形成される毛羽が編レースの裏側に突出することを抑えることができる。これによって編レースの裏側に肌が触れたとしても、毛羽の毛先と肌が接触することを防ぎ、編レース裏面の肌触りをよくすることができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、第2挿入糸がモール糸によって実現されることで、編レースの表面に形成される毛羽の長さおよび数を十分に形成することができる。また従来技術に示すような起毛形成作業を経て起毛が形成される柄糸に比べて、第2挿入糸を細くすることができ、柄模様のコントラスト低下を抑えることができる。また上述したように第1挿入糸が、編レースの裏側からモール糸に当接するので、モール糸の毛先が肌に接触するということを防ぎ、編レース裏面の肌触りをよくすることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、上述する編レースが用いられ、第2挿入糸編込部分よりも第1ループ状部分の面が肌に触れる位置に配置される。すなわち編レースの裏の面が肌に触れる位置に配置される。上述したように本発明の編レースは、裏の面に突出する毛羽の量が抑えられるので、肌着として用いた場合に、毛羽と肌とが直接接触することを防ぎ、肌着のうち肌に触れる面の肌触りをよくすることができる。また肌着の表面に編レースの表の面が配置されることで、柄模様を明確に形成することができ、快適性とデザイン性とが両立した肌着を製造することができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、鎖編糸導糸手段と編み針とが編成動作を行うことによって、鎖編部分を形成することができる。また各挿入糸導糸手段によって編成位置に各挿入糸を導糸することによって、鎖編糸によって形成される第1ループ状部分と第2ループ状部分との間に、各挿入糸を編込むことができる。また本発明では、第2挿入糸導糸手段よりも第1挿入糸導糸手段を、編み針の背面からフック部へ向かう方向、すなわち編機後方に配置する。これによって第1挿入糸編込部分と第2挿入糸編込部分とが接触する位置では、第2挿入糸編込部分を、第1挿入糸部分を挟んで第1ループ状部分に対して反対側に配置することができる。
【0017】
編レースのうち、第1ループ状部分が配置される側を裏の面とし、その反対側を表の面とする。この場合、上述する順番で各挿入糸を鎖編部分に編込むと、編レースを表の面から見ると、各挿入糸によって、第1ループ状部分が隠れる。これによって編レースに形成される模様を明確にすることができる。さらに第1挿入糸よりも第2挿入糸のほうが表寄りに配置されるので、第2挿入糸に形成される毛羽が、編レースの表面側に突出しやすくなり、編レースの柄模様における下地部と柄部との糸の疎密差を大きくすることができ、柄模様をより明確にすることができる。また第1ループ状部分と第2挿入糸編込部分との間に第1挿入糸挿入部分が配置されることで、第2挿入糸編込部分は第1ループ状部分から離反する方向に盛り上がる。したがって第2挿入糸が編レースの表側に盛り上がることになり、編レースに立体感を生じさせることができる。
【0018】
また毛羽を有する第2挿入糸を鎖編部分に編込むことによって、編成後に毛羽形成作業を行うことなく、毛羽を有する編レースを製造することができる。したがって毛羽形成作業に起因する編レースのほつれを防ぎ、品質を向上することができる。また第1挿入糸が、編レースの裏側から第2挿入糸に当接するので、毛羽が編レースの裏側に突出することを抑えることができる。これによって編レースの裏側に肌が触れたとしても、毛羽の毛先と肌が接触することを防ぎ、編レース裏面の肌触りをよくすることができる。たとえば本発明の編レースは、第1挿入糸をジャカード糸とすることで、バックジャカードラッシェル編機によって編成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態である編レース20の一部を示す編成組織図であり、図2は、図1のS1領域を拡大して示す編成組織図である。本発明の実施の一形態である編レース20は、複数の透孔が形成され、それらの透孔の形状および配置によってレース模様が形成される。また編レース20は、単位面積あたりに配置される糸の量が密な柄部と、単位面積あたりに配置される糸の量が疎な下地部とが形成され、これらの柄部と下地部との形状および配置によって柄模様が形成される。このような模様入りの編レースは、たとえば肌着、さらに詳しくは女性用下着に用いられる。
【0020】
図1に示すように、編レース20は、鎖編糸21と、第1挿入糸であるジャカード糸22と、第2挿入糸であるモール糸23とを含んで構成される。鎖編糸21は、経糸または地編編成糸と称される場合もある。またジャカード糸22は、緯糸と称される場合もある。モール糸23は、柄糸の1つとして用いられる。
【0021】
鎖編糸21は、鎖編みされることによって、第1ループ状部分24と第2ループ状部分25とが形成される。第1ループ状部分24と第2ループ状部分25とは、交互に連なってコース方向Cに複数段並んで形成される。ここで、第1ループ状部分24は、ニードルループと称され、第2ループ状部分25は、シンカーループと称される場合がある。第1ループ状部分24と第2ループ状部分25とが交互に連なってコース方向Cに延びることで、鎖編部分26が形成される。鎖編部分26は、ウエール方向Wに並んで複数形成され、それらが互いに連結されることで、鎖編地を形成する。本実施の形態では、鎖編地は、チェーンステッチ組織となる。また鎖編糸21が適宜横振りして、ウエール方向Wに隣接する鎖編部分26を連結することで、ほつれ防止機能を有する鎖編地を形成する。
【0022】
各第1ループ状部分24は、大略的にU字状に形成されて、予め定めるコース方向Cおよびコース方向Cに直交するウエール方向Wに大略的に並んで配置される。また各第1ループ状部分24は、コース方向一方となるコース方向前段C1に開く。第1ループ状部分24がウエール方向Wに一列に並んでコースを形成し、第1ループ状部分24がコース方向Cに一列に並んでウエールを形成する。
【0023】
第2ループ状部分25は、コース方向Cに並ぶ第1ループ状部分24を連結する。たとえば1つの第2ループ状部分25aに注目する。注目する第2ループ状部分25aは、その一端部が、注目する第2ループ状部分25aと同一段の第1ループ状部分24aの端部に連なる。注目する第2ループ状部分25aは、一端部から他端部に向かうにつれて、注目する第2ループ状部分25aのコース方向前段C1の第1ループ状部分24bを一方側から他方側に挿通してコース方向後段C2に延びて、注目する第2ループ状部分25aと同一段の第1ループ状部分24aを他方側から一方側に挿通してコース方向後段C2に延びて、注目する第2ループ状部分25aのコース方向後段C2の第1ループ状部分24cの端部に連なる。このようにして各ループ状部分24,25が連鎖状に連結されて、コース方向Cに延びる鎖編部分26が形成される。ジャカード糸22およびモール糸23などの各挿入糸は、第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との間に挟まれることによって、鎖編部分26に編込まれる。
【0024】
本発明において、コース方向Cは、編地のたて方向であり、レース編み立て方向を意味する。またウエール方向Wは、編地の横方向であり、レース編み立て方向に対して、交差する方向を意味する。第1ループ状部分24は、コース方向Cおよびウエール方向Wに複数並んで配置される。またコース方向Cおよびウエール方向Wに並ぶ複数の第1ループ状部分24は、予め定める仮想平面に大略的に接して並ぶ。この場合、ジャカード糸22およびモール糸23などの鎖編地に編込まれる各挿入糸は、その仮想平面に対して一方に配置される。本発明では、前記仮想平面に対して各挿入糸22,23が配置される方向を表方向Z1と称し、各挿入糸22,23に対して前記仮想平面が配置される方向を裏方向Z2と称する。編レース20の表方向Z1の面は、ジャカード糸22およびモール糸23などの挿入糸によって、第1ループ状部分24が隠れる。したがって編レース20の表方向Z1の面は、裏方向Z1の面に比べて、編レース20に形成される柄模様およびレース模様が明確となる。
【0025】
たとえば注目する第2ループ状部分25aは、その第2ループ状部分25aのコース方向前段C1の第1ループ状部分24bを表方向Z1に挿通して、その第2ループ状部分25aのコース方向同段の第1ループ状部分24aを裏方向Z2に挿通して、コース方向後段C2の第1ループ状部分24cに連なる。図1および図2では、紙面に垂直な厚み方向Zのうち紙面から手前に遠ざかる方向を表方向Z1とし、紙面に垂直な方向のうち紙面から奥に遠ざかる方向を裏方向Z2とする。
【0026】
ジャカード糸22は、鎖編地にレース模様を形成するための糸である。ジャカード糸22は、ウエール方向Wに隣接する鎖編部分26にそれぞれ編込まれることで、ウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26を連結する。ジャカード糸22は、ウエール方向Wに隣接する一方の鎖編部分26から他方の鎖編部分26にわたって延びる横振り部分31,32と、鎖編部分26に編込まれるジャカード糸編込部分33とを有する。
【0027】
コース方向Cに並ぶ2つの横振り部分31,32と、横振り部分31,32が連結する鎖編部分26とによって囲まれる空間には、編地の厚み方向に挿通する透孔37が形成される。ジャカード糸22の横振り部分31,32が選択的に配置されることで、透孔37の形状および配置が調整される。これによって編レース20には、透孔37の配置および形状によって表わされるレース模様を形成することができる。ここで横振り部分31,32と鎖編部分26とによって囲まれる透孔37は、後述するモール糸23などの柄糸によって埋められて、柄模様を形成する場合もある。
【0028】
ジャカード糸22は、毛羽が形成されておらず、第1ループ状部分24よりも表方向Z1の領域を延びる。ジャカード糸22は、予め設定される第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との間を挿通して、ウエール方向Wに延びる。本実施の形態では、ジャカード糸22は、コース方向Cに進むにつれて横振りせずに1つの鎖編部分26に編込まれる領域と、コース方向Cに進むにつれて横振りしてウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26に交互に編込まれる領域とを形成する。どちらの領域も、ジャカード糸22は、コースごとに鎖編部分26に編込まれる。また本実施形態では、鎖編地には、複数のジャカード糸22が編込まれ、各ジャカード糸22は、ウエール方向Wに並んで編込まれる。各ジャカード糸22が編込まれる位置は、編レースに形成されるレース模様によって適宜選択される。
【0029】
図3は、拡大したモール糸23を模式的に示す図面である。モール糸23は、毛羽28を有する特殊糸の1つである。モール糸23は、線状に延びるモール糸本体27と、複数の毛羽28とを含んで構成される。複数の毛羽28は、モール糸本体27の伸延方向に間隔をあけてそれぞれ並び、モール糸本体27の伸延方向に交差する方向に突出する。また各毛羽28は、モール糸本体27に比べて、短い糸状に形成され、それぞれ任意の方向に延びる。モール糸23における毛羽28は、先端となる毛先が鋭利となる場合がある。
【0030】
図1および図2に示すように、モール糸23は、鎖編地に柄模様を形成するための柄糸の1つとして用いられるとともに、編レース20の表面に起毛を形成するための糸として用いられる。モール糸23は、ウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26を連結する。モール糸23は、ウエール方向Wに隣接する一方の鎖編部分26から他方の鎖編部分26にわたって延びる横振り部分34,35と、鎖編部分26に編込まれるモール糸編込部分36とを有する。
【0031】
モール糸23は、注目するコースにおいて、ウエール方向一方W1に横振りしてウエール方向Wに並ぶ複数の鎖編部分26に編込まれ、次にU字状に折り返して注目するコースの後段のコースにおいて、ウエール方向他方W2に横振りしてウエール方向Wに並ぶ複数の鎖編部分26に編込まれる領域が形成される。これによって鎖編地のうちの一部の領域について、モール糸23の横振り部分34,35をウエール方向Wに並ぶ複数の鎖編部分26にわたってコース方向Cに並べることができる。このようにして、モール糸23によって鎖編地に形成される透孔を選択的に埋めることができ、単位面積あたりの糸の疎密差によって形成される柄模様を形成することができる。
【0032】
モール糸23は、第1ループ状部分24よりも表方向Z1の領域を延びる。また編成直後には、モール糸23の各毛羽28は、モール糸本体27に対してそれぞれ任意の方向に向いた状態で編込まれる。本実施の形態では、モール糸23は、コース方向Cに進むにつれて横振りせずに1つの鎖編部分26に編込まれる領域と、コース方向Cに進むにつれて横振りしてウエール方向Wに隣接する複数の鎖編部分26に交互に編込まれる領域とを形成する。どちらの領域も、モール糸23は、コースごとに鎖編部分26に編込まれる。また本実施形態では、鎖編地には、1つのモール糸23が編込まれ、モール糸23が編込まれる位置は、編レースに形成される柄模様によって適宜選択される。
【0033】
モール糸23は、少なくとも編成直後には、ジャカード糸22よりも編レース20の表側の領域を延びる。すなわち図1および図2において、モール糸23は、ジャカード糸22に対して、紙面に垂直な方向のうち紙面から手前に遠ざかる表方向Z1の領域に位置する。したがってモール糸編込部分36は、ジャカード糸編込部分33と接触する部分42では、ジャカード糸編込部分33を挟んで第1ループ状部分25に対して反対側に配置される。
【0034】
たとえば鎖編糸21がコース方向Cに張られることによって、第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との曲率半径が小さくなる。この場合、モール糸23とジャカード糸22とが同じ第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との間を挿通する領域では、ジャカード糸22は、第1ループ状部分24とモール糸23との間を挿通する。またモール糸23は、ジャカード糸22と第2ループ状部分25との間を挿通する。
【0035】
言い換えると、モール糸編込部分36は、ジャカード糸編込部分33と対向する位置では、ジャカード糸編込部分33と第2ループ状部分25とによって厚み方向Z両側から挟まれる。またジャカード糸編込部分33は、モール糸編込部分36と対向する位置では、モール糸編込部分33と第1ループ状部分24とによって厚み方向Z両側から挟まれる。
【0036】
またジャカード糸編込部分33がモール糸編込部分36に当接する位置と、第2ループ状部分25がモール糸編込部分36に当接する位置とが、ウエール方向Wおよびコース方向Cに少々ずれていてもよい。同様にモール糸編込部分36がジャカード糸編込部分33に当接する位置と、第1ループ状部分24がジャカード糸編込部分33に当接する位置とが、ウエール方向Wおよびコース方向Cに少々ずれていてもよい。
【0037】
またジャカード糸22とモール糸23とが、同じ経路を通過して、ウエール方向Wに隣接する鎖編部分26にわたって延びる場合、モール糸23の横振り部分34,35と、ジャカード糸22の横振り部分31,32とが接触する部分43が生じる場合がある。この場合もまた、モール糸23は、ジャカード糸22に対して編レースの表方向Z1に位置する。
【0038】
また鎖編地に編込まれるジャカード糸22およびモール糸23は、鎖編地に完全に拘束されている状態でないので、ジャカード糸22とモール糸23とが接触する複数部分のうちのいくらかは、モール糸23がジャカード糸22よりも表方向に配置されない部分が存在する場合がある。この場合であっても、ジャカード糸22とモール糸23とが接触する複数部分のうちのほとんどは、モール糸23がジャカード糸22よりも表方向に配置されることになる。
【0039】
図4は、ウエール方向Wに横振りするジャカード糸22とモール糸23とがウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26に編込まれる状態を模式的に示す編成図である。また図5は、図4において、モール糸23の軸線を通過して編レース20の厚み方向Zに切断した状態を模式的に示す断面図である。
【0040】
ウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26にわたって、ジャカード糸22とモール糸23とが横振りする場合、ジャカード糸22とモール糸23は、一方の第1ループ状部分24gと第2ループ状部分25gとの間を挿通してから、他方の第1ループ状部分24hと第2ループ状部分25hとの間を挿通するまでの間に、ほぼ同様の経路に沿って横振りして延びる。この状態では、モール糸23は、ジャカード糸22に対して編レースの表方向Z1の領域を延びる。
【0041】
この場合、図5に示すように、モール糸23は、横振りする区間について、モール糸23に対して編レース20の裏方向Z2にジャカード糸22が対向する。ジャカード糸22がモール糸23に対向する部分43では、モール糸23に形成される毛羽28は、ジャカード糸22によって遮られる。これによってモール糸23の毛羽28が編レースの裏方向Z2に突出することが抑えられる。またモール糸23は、横振りする区間について、編レースの表方向Z1に露出する。これによってモール糸23の毛羽28は、ジャカード糸22に遮られることなく、編レースの表方向Z1に突出することが許容される。
【0042】
このように本実施の形態では、編レース20の裏方向Z2に突出する毛羽28を抑えることで、編レース20の裏面の肌触りをよくすることができる。また編レース20の表方向Z1に突出する毛羽28を増やすことができ、編レースの表面に起毛を形成して、起毛の形成に起因して、はっきりとした柄模様を形成することができる。
【0043】
図6は、モール糸23がジャカード糸22よりも裏方向Z2に配置される比較例の編レースを示す断面図である。本発明では、モール糸23をジャカード糸22よりも表方向Z1に配置される。これに対して図6に示す比較例では、モール糸23がジャカード糸22よりも裏方向Z2に配置される場合を示す。図6において、図5と対応する構成については、図5の構成の参照符号に100を加算した参照符号を付する。
【0044】
比較例では、モール糸123に形成される毛羽128は、ジャカード糸122によって編レースの表方向Z1に突出することが妨げられる。したがって比較例の編レースは、表側から見た場合に、ジャカード糸22によってモール糸23が隠れてしまい、表の面に十分な起毛を形成することができない。またモール糸23よりも編レースの裏方向Z2に当接する糸は、第1ループ状部分124g〜124iに当接する以外は、編レースの裏方向Z2に露出する。したがってレースの裏側に突出する毛羽28が多く、肌触りが悪い。
【0045】
これに対して本実施の形態では、モール糸23のうち横振り部分34,35において編レースの表の面に毛羽28を突出させることができ、編レースの表面に起毛を形成して、柄模様をはっきりと形成することができる。また編レースの裏の面に突出する毛羽28を抑えることによって、毛羽の先端が肌に接触することを防いで、編レースの裏面の肌触りをよくすることができる。
【0046】
ウエール方向Wに隣接する鎖編部分26の間隔が小さい場合、言い換えると複数の鎖編部分26がウエール方向Wに密に配置される場合には、モール糸23の横振り部分のうちジャカード糸22に対向する部分43の割合が増える。この場合には、比較例の編レースに対する本実施の形態の編レースの効果が顕著になる。たとえば1インチあたり18本以上の鎖編部分26を配置することによって、モール糸23の毛羽28が編レースの裏方向に突出することを十分に抑えることができる。本実施の形態では、1インチあたり24本以上の鎖編部分26が配置される。
【0047】
図7は、コース方向Cに延びるジャカード糸22とモール糸23とが同じ部分で鎖編部分26に編込まれる状態を模式的に示す斜視図である。また図8は、モール糸23の軸線を通過して編レースの厚み方向Zに切断した状態を模式的に示す断面図である。
【0048】
ジャカード糸22およびモール糸23がコース方向Cに延びる場合、ジャカード糸22およびモール糸23は、第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との間をウエール方向Wに挿通しながら、コース方向CにS字状に延びる。この場合も、モール糸23がジャカード糸22に比べて、編レース20の表方向Z1に配置される。
【0049】
図8に示すように、モール糸23に形成される毛羽28は、ジャカード糸22、第1ループ状部分24d,24e,24fによって編レース20の裏方向Z2に突出することが妨げられる。また毛羽28は、第2ループ状部分25d,25e,25fに当接する部分以外は、編レース20の表方向Z1に露出し、モール糸本体27から表方向Z1に十分に突出する。
【0050】
図9は、モール糸23がジャカード糸22よりも裏方向Z2に配置される比較例の編レースを示す断面図である。図9において、図8と対応する構成については、図8の構成の参照符号に100を加算した参照符号を付する。比較例では、図6と同様に、モール糸123に形成される毛羽128は、ジャカード糸122によって編レースの表方向Z1に突出することが妨げられ、編レースの表の面に十分な起毛を形成することができない。また編レースの裏側に突出する毛羽28が多くなり、編レース20の裏側面の肌触りが悪い。
【0051】
これに対して本実施の形態では、モール糸23のうちモール糸編込部分36において、編レース20の表の面に毛羽28を突出させることができ、編レース20の表面に起毛を形成して、柄模様をはっきりと形成することができる。また編レース20の裏の面に突出する毛羽28を抑えることによって、毛羽の先端が肌に接触することを防いで、編レース20の裏面の肌触りをよくすることができる。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、モール糸編込部分36は、ジャカード糸編込部分33と接触する位置では、ジャカード糸編込部分33を挟んで第1ループ状部分24に対して反対側に配置される。言い換えると、モール糸23は、ジャカード糸22よりも大略的に編レース20の表の面寄りに配置される。これによってモール糸23に形成される毛羽28が、モール糸本体27から編レース20の表方向Z1に突出しやすくなり、編レース20の柄模様における下地部と柄部との糸の疎密差を大きくすることができ、柄模様をより明確にすることができる。また第1ループ状部分24とモール糸編込部分36との間にジャカード糸挿入部分33が配置されることで、モール糸編込部分36は第1ループ状部分24から離反する方向に盛り上がる。したがってモール糸23が編レース20の表側に盛り上がることになり、編レース20に立体感を生じさせることができる。
【0053】
また毛羽28を有するモール糸23を鎖編部分26に編込むことによって、編成後に毛羽形成作業を行うことなく、起毛を有する編レース20を製造することができる。したがって毛羽形成作業に起因する編レースのほつれを防ぎ、品質を向上することができる。またジャカード糸22が、編レース20の裏側からモール糸23に接触するので、モール糸23に形成される毛羽28が編レース20の裏側に突出することを抑えることができる。これによって編レース20の裏側に肌が触れたとしても、毛羽28の毛先と肌が接触することを防ぎ、編レース裏面の肌触りをよくすることができる。
【0054】
また本実施形態によれば、編レース20の表面に起毛を形成するための柄糸の1つとしてモール糸23によって実現されることで、編レース20の表面に形成される毛羽の長さおよび数を十分に形成することができる。また起毛形成作業を行わせるための浮かし糸に比べて、モール糸23を細くすることができ、レース模様および柄模様をはっきりとさせることができる。またモール糸23は、毛羽28の剛性が高かったり、毛先が鋭かったりする場合がある。このようなモール糸23が用いられる場合であっても、本実施形態のようにモール糸23およびジャカード糸22を配置することで、編レースの肌触りが低下することを防ぐことができる。またモール糸23を用いることで、非常に細かい起毛状態、いわゆるピーチスキン状に編レース20の表面の一部を形成することができる。
【0055】
モール糸23の繊度は、たとえば100デニール以上、500デニール以下に選択される。またモール糸本体27の繊度は、25デニール以上、150デニール以下に選択され、毛羽28の繊度は、30デニール以上、280デニール以下に選択される。これによって肌触りがよくかつ編レースの表面に起毛を形成することができる。
【0056】
また鎖編糸21およびジャカード糸22の繊度は、たとえば50デニール以下、特に40デニール以下のマルチフィラメントが用いられる。鎖編糸21の繊度は、編レース製品として用いられるときに切断しない太さで、可及的に細いものが用いられる。たとえばナイロン(ポリアミド系合成繊維)、レーヨン、ポリエステルおよびポリプロピレン等の各種の繊維によって実現可能である。鎖編糸21およびジャカード糸22は、肌に直接触れたとしても肌触りが低下しないように、毛羽が形成されないか、または毛羽が形成されたとしても肌触りに影響しない程度に形成されることが好ましい。また、このような本実施形態で用いた各種糸は例示に過ぎず、他の種類の糸を用いてもよい。
【0057】
また本実施形態では、モール糸23が鎖編地に編込まれる部分のすべてについて、複数のうちのいずれかのジャカード糸22が編込まれる。この場合、いずれかのジャカード糸22は、モール糸23と同様の方向から第1ループ状部分24と第2ループ状部分25との間を挿通する。またモール糸23が横振りする全ての区間において、複数のうちのいずれかのジャカード糸22の横振り部分が対向する。これによってモール糸23の毛羽28が裏面に突出することをさらに抑えることができる。
【0058】
またモール糸23が横振りせずにコース方向Cに延びて鎖編部分26に編込まれる場合であっても、モール糸23と同様の鎖編部分26について、ジャカード糸22が横振りせずに鎖編部分26に編込まれることで、毛羽28が裏面に突出することをさらに確実に抑えることができる。
【0059】
またモール糸23は、横振りする場合、1つのコースにおいて、ウエール方向Wに並ぶ複数の鎖編部分26に編込まれる。言い換えるとモール糸23は、ウエール方向Wに2つ以上並ぶ鎖編部分26にわたって延びる。これによって糸が密な柄部分と、糸が疎な下地部分と糸の疎密差を大きくすることができ、柄模様のコントラストをより明確にすることができる。
【0060】
また本実施形態では、鎖編糸26が横振りして、鎖編糸26の横振り部分によってウエール方向Wに隣接する鎖編部分26が連結される。ウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26がウエール方向に離反することを防ぐことができ、編レースがほつれることを防ぐことができる。
【0061】
また本実施の形態の編レース20が用いられて肌着が製造される場合、編レース20の裏面が肌に触れる位置に配置され、編レース20の表面が肌着の表面に配置されることが好ましい。このようにして形成される肌着は、編レース20の表面に形成される毛羽28と肌とが直接接触することを防ぎ、肌着の肌触りをよくすることができる。また肌着の表面には、編レース20の表の面が配置されることで、柄模様を明確に形成することができ、快適性とデザイン性とが両立した肌着を製造することができる。たとえば本実施形態の編レース20は、女性用の下着などに好適に用いることができる。
【0062】
上述した編レース20は、たとえばバックジャカードラッシェル編機によって編成することができる。図10は、本実施形態の編レース20を編成するためのバックジャカードラッシェル編機60の編成部を示す側面図である。バックジャカードラッシェル編機60(以下単に編機60と称する)は、鎖編糸21、ジャカード糸22、モール糸23を編み針72近傍に設けられる編成位置73に向けて導糸する導糸手段を有する。本実施形態では、ジャカード糸22を編成位置73に向けて導糸する導糸手段が、モール糸23を編み針72に向けて導糸する導糸手段よりも、編機後方に配置される。ここで編機後方とは、編み針72の背面からフック部へ向かう方向である。
【0063】
具体的には、編機が有する導糸手段は、エラスティック筬61、ジャカードバー62,63、複数の柄筬64、ほつれ防止糸用の特殊筬65および地筬66によって実現される。鎖編糸21は地筬66に通糸され、ジャカード糸22はジャカードバー62,63に通糸され、モール糸23は複数の柄筬64のうちのいずれかに通糸される。
【0064】
また伸縮性を有する伸縮糸が伸張状態で鎖編部分26に編込まれる場合には、伸縮糸はエラスティック筬61に通糸される。また柄模様を形成するための糸であってモール糸23以外の柄糸が鎖編部分26に編込まれる場合には、それらのモール糸以外の柄糸は、複数の柄筬64のうちで、モール糸23を通糸するモール糸用柄筬とは異なる柄筬に通糸される。またほつれ防止糸は、編機60によって編成される編地がウエール方向にカットされて、複数の編レース製品として製造される場合において、編地がカットされたカット部分からほつれることを防止するための糸であって、ほつれ防止糸用の特殊筬65に通糸される。以下、モール糸23およびジャカード糸22のほかに、モール糸以外の柄糸、ほつれ防止糸および伸縮糸が鎖編部分26に編込まれる場合について説明する。
【0065】
このような各導糸手段61〜66は、編み針72が鎖編糸21を捕捉する編成位置73に向かって、放射状に並び、編み針72が鎖編糸21を捕捉する方向となる編機後方に向かうにつれて、地筬66、ほつれ防止糸用の特殊筬65、複数の柄筬64、ジャカードバー62,63、エラスティック筬61の順に配置される。したがって各糸は、鎖編糸21、ほつれ防止用糸、モール糸23を含む複数の柄糸、ジャカード糸22および伸縮糸の順で、予め定める編成位置から編機後方に並ぶ。
【0066】
編み針72は、編機前後方向に直交する方向に複数並んで形成され、各編み針72を保持する保持手段となるニードルバー69に固定される。ニードルバー69は、各編み針72を昇降運動する。またニードルバー69が動作して、各導糸手段61〜66に導糸される各糸が予め定める編成位置に導かれる。
【0067】
図11は、導糸手段61〜66の動作を説明するための図である。それぞれの導糸手段61〜66は、対応する各糸を、編み針72の昇降運動に同期して、編み針72に対して編機後方の空間で対応する各糸を、編み針72が並ぶ方向に移動させるオーバーラップ(編目編成運動)と、編み針72に対して編機前方の空間で対応する各糸を、編み針72が並ぶ方向に移動させるアンダーラップ(挿入運動)とを行う。またこれらのラップ運動に加えて編み針72が並ぶ方向に直交する方向に移動するいわゆるスイング(揺動運動)がなされる。具体的には、2つのスイング動作がある。
【0068】
第1のスイング動作であるスイングイン(バックスイング)動作では、編み針72の側方を通過して、編み針72に対して編機後方の空間から編機前方の空間に対応する各糸を移動させる。また第2スイング動作であるスイングアウト(フロントスイング)動作では、編み針72の側方を通過して、編み針72に対して編機前方の空間から編機後方の空間に対応する各糸を移動させる。各導糸手段61〜66に取付けられたガイドが動作することによって、対応する各糸が編み針72のまわりを予め定められる経路に従って通過し、対応する各糸を含む編地が形成される。
【0069】
また編成部は、ステッチコームバー71、トリックプレートバー68およびトングバー70を備える。トングバー70は、先端部に各編み針に対応した複数のトングが形成される。編機60は、導糸手段61〜66およびニードルバー69の動作によって、上述した編レース20を編成する。そしてステッチコームバー71の編成補助作用によって編成された編レース20を補助編成し、トリックプレートバー68を通過させて、編成部の近傍に設けられる巻き取り部によって、編レース20を巻き取る。
【0070】
図12〜図16は、鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図であり、図12〜図16の順に鎖編糸21の鎖編部分26の編成作業が進む。編み針72は、先端部に鎖編糸21を係止するフック部50が形成され、基端部に編み針幹51が形成される。またトングバー70の先端部には、フック部50によって形成される開口を開閉するためのトング52が形成される。編み針72およびトング52は、地筬66に対して個別に昇降可能に形成される。図12〜図16を用いて、まず鎖編部分26の編成についてのみ説明し、鎖編部分26に編込まれるジャカード糸22およびモール糸23については後述する。
【0071】
図12に示すように、地筬66が編み針72の前方に配置された状態で、フック部50が、鎖編糸21によって形成される新たな第1ループ状部分24jを引っ掛け、トング52がフック部50の開口を塞ぐ。次に図13に示すように、編み針72がトング52に対して地筬66に向かって上昇する。これによってフック部50の開口が開放されて、フック部50が引っ掛けた鎖編糸21の第1ループ状部分24jがフック部50から抜け出て、編み針幹51に移動する。
【0072】
次に図14に示すように、地筬66が編み針72に対してバックスイングする。次に、地筬66がオーバーラップし、さらにフロントスイングする。これによって地筬66に導糸される鎖編糸21が、編み針72を巻き込むように移動して、新しい第1ループ状部分24kを形成する。この新しい第1ループ状部分24kは、フック部50によって引っ掛けられる。次に図15に示すように、トング52がフック部50に向かって上昇し、フック部50の開口を塞ぐ。このとき編み針72には、編み針幹51に形成される古い第1ループ状部分24jとフック部50が係止する新しい第1ループ状部分24kとが形成される。
【0073】
次に図16に示すように、編み針72とトング52とがともに降下することによって、古い第1ループ状部分24jが編み針72を抜出て、トリックプレート53側に移動する。そして地筬66が編み針72の前方に配置された状態で、フック部50が鎖編糸21によって形成される新たな第1ループ状部分24kを引っ掛け、図12とほぼ同じ状態となる。そして図12〜図16を用いて示した動作サイクルを繰返すことによって、第1ループ状部分24が順次形成されるとともに、各第1ループ状部分24j,24kを連結する第2ループ状部分25jが順次形成される鎖編部分26が形成される。本実施例では、地筬66が適宜アンダーラップすることによって、複数の鎖編部分26がウエール方向Wに連結される。このような鎖編部分26の編成作業を行いながら、ジャカード糸22およびモール糸23などの挿入糸を鎖編部分26に編込むことによって、本実施の形態の編レース20を編成することができる。
【0074】
図17〜図19は、モール糸用柄筬およびジャカードバー62の動きを説明するために模式的に示す断面図であり、図17〜図19の順に動作が進む。図17は図14に、図18は図15に、図19は図16にそれぞれ対応し、それぞれモール糸用柄筬およびジャカードバー62を加えて示す図である。上述したように編機60は、鎖編糸を導糸する地筬66よりも、モール糸用柄筬のほうが編機後方に配置される。またモール糸用柄筬よりも、ジャカード糸22を導糸するジャカードバー62のほうが編機後方に配置される。
【0075】
図17および図19に示すように、地筬66が編み針72に対して編機後方に配置される状態では、モール糸用柄筬およびジャカードバー62もまた編み針72に対して編機後方に配置される。また図18に示すように、地筬66が編み針72に対して編機前方に配置される状態では、モール糸用柄筬およびジャカードバー62もまた編み針72の前方に配置される。またモール糸用柄筬およびジャカードバー62は、図18に示すように、地筬66がバックスイングした状態で、アンダラッピングすることで、導糸されるジャカード糸22およびモール糸23が鎖編糸21を跨ぐ。この状態で、鎖編糸21によって新たにループを形成すると、そのループにジャカード糸22およびモール糸23が編込まれることになる。このようにモール糸用柄筬およびジャカードバー62は、地筬66のスイング動作に同期して動作する。
【0076】
各柄筬64がジャカードバー62よりも編機前方に配置されるので、各柄筬64のいずれかとなるモール糸用柄筬は、ジャカードバー62よりも編機前方に配置される。これによって、地筬66によって形成される鎖編部分26にモール糸23およびジャカード糸22が編込まれる場合、編成位置に導糸されるモール糸23のほうが、編成位置に導糸されるジャカード糸22よりも編機前方に配置され、モール糸23のほうがジャカード糸22よりも編レース20の表面側に位置することになる。
【0077】
図20は、図1におけるS2領域を模式的に示す組織図であり、図20(1)に鎖編糸21の組織図を示し、図20(2)にモール糸23の組織図を示し、図20(3)にジャカード糸22の組織図を示す。
【0078】
たとえば任意の位置にある編み針72を第1編み針72aとし、第1編み針72aに対してウエール方向一方W1に隣接する編み針72を第2編み針72bとし、第2編み針72bに対してウエール方向一方W1に隣接する編み針72を第3編み針72cとする。第1編み針72aと第1編み針72aに対してウエール方向他方W2に配置される編み針72との間の間隔を第1編み針間L1とし、第1編み針72aと第2編み針72bとの間の間隔を第2編み針間L2とし、第2編み針72bと第3編み針72cとの間の間隔を第3編み針間L3とし、第3編み針72cと第3編み針72cに対してウエール方向一方W1に配置される編み針72との間の間隔を第4編み針間L4とする。
【0079】
S2領域の編レース部分を形成する場合、各鎖編糸21を導糸する地筬66は、各鎖編糸21について動作の編成を行う。したがって第1コースC1において、第2編み針72bに鎖編糸21を引っ掛ける鎖編糸ガイドに注目して説明し、残余の鎖編糸ガイドについての説明を省略する。
【0080】
図20(1)に示すように、第1コースC1では、注目する鎖編糸ガイドは、第2編み針間L2をバックスイングし、オーバーラップして第3編み針間L3を通ってフロントスイングする。第2のコースC2では、注目する鎖編糸ガイドは、第3編み針間L3をバックスイングし、オーバーラップして第2編み針間L2を通ってフロントスイングする。
【0081】
第3のコースC3では、注目する鎖編糸ガイドは、第1編み針間L1にアンダーラップし、第1編み針間L1をバックスイングし、オーバーラップして第2編み針間L2を通ってフロントスイングする。第4のコースC4では、注目する鎖編糸ガイドは、第2編み針間L2をバックスイングし、オーバーラップして第1編み針間L1を通ってフロントスイングする。第5のコースC5では、注目する鎖編糸21Aは、第1編み針間L1をバックスイングし、オーバーラップして第2編み針間L2を通ってフロントスイングする。
【0082】
第6のコースC6では、第4のコースC4と同様の動作を行い、第7のコースC7では、第5のコースC5と同様の動作を行う。第8のコースC8では、第4のコースC4と同様の動作を行う。第9のコースC9では、注目する鎖編糸ガイドは、第2編み針間L2にアンダーラップし、第2編み針間L2をバックスイングし、オーバーラップして第3編み針間L3を通ってフロントスイングする。
【0083】
このように地筬66は、鎖編糸21ごとに設けられるガイドを用いて、各コースで各編み針72に、所定の鎖編糸21を引っ掛ける動作を繰返し行う。これによって、連鎖状に延びる鎖部分26を形成することができる。また本実施の形態では、編機60は、各コースで編み針72に鎖編糸21を引っ掛ける過程で、適宜アンダーラップさせる。これによって第2ループ状部分25をウエール方向一方W1およびウエール方向他方W2に横振りさせることができ、ウエール方向Wに隣接する鎖編部分26を連結して、ほつれ防止機能を有する鎖編地を形成することができる。
【0084】
図20(2)に示すように、モール糸用柄筬によってモール糸23は、第1のコースC1および第2のコースでは、地筬66に同期してスイング動作を行い、第3のコースC3では、ウエール方向他方W2にアンダーラップして、ウエール方向Wに並ぶ複数の編み針72を超えて第1編み針間L1に達して、地筬66に同期してスイング動作を行う。また第4コースC4では、ウエール方向一方W1にアンダーラップして、ウエール方向Wに並ぶ複数の編み針72を超えて任意の編み針間に達する。このようにモール糸23は、柄筬によって、地筬66のスイング動作と同期するとともに、予め定める位置で予め定める距離と方向とについてアンダーラップを繰返す。
【0085】
S2領域の編レース部分を形成する場合、各ジャカード糸22を導糸するジャカードバー62,63は、たとえば各ジャカード糸22について編成動作を行う。したがって第1コースC1において、第2編み針72bに鎖編糸21を引っ掛けるジャカード糸ガイドに注目して説明し、残余のジャカード糸ガイドについての説明を省略する。
【0086】
図20(3)に示すように、注目するジャカード糸ガイドは、第1のコースC1および第2のコースでは、地筬66に同期してスイング動作を行い、第3のコースC3では、ウエール方向他方W2の編み針間にアンダーラップして、地筬66に同期してスイング動作を行う。また第4コースC4では、ウエール方向一方W1の編み針間にアンダーラップして、地筬66に同期してスイング動作を行う。このようにジャカード糸ガイドは、地筬66のスイング動作と同期するとともに、予め定める位置で、アンダーラップを繰返す。
【0087】
このようにジャカードバー62、複数の柄筬64のうちいずれかのモール糸用柄筬、地筬66および編み針72が編成動作を行うことで、S2領域に形成する編レース部分を形成することができる。編機60は、編機後方に向かうにつれて、地筬66、モール糸用筬およびジャカード糸用筬62の順に配置されることによって、モール糸23をジャカード糸22よりも、編レース20の表側に配置することができ、図1および図2に示す本実施の形態の編レース20を形成することができる。
【0088】
本実施の形態の編機60で編成された編レース20は、さらに伸縮性を有する伸縮糸が編込まれる。伸縮糸が伸張状態で編込まれることで、編成後の編レース20が収縮する。これによって編レース20に伸縮性を与えることができる。また編成後の編レース20について、コース方向Cに隣接するモール糸23の横振り部分を近接させることができ、柄模様における柄部分と下地部分とのコントラストをさらにはっきりさせることができる。たとえば伸縮糸は、ポリウレタン弾性糸、いわゆるスパンデックスが用いられる。
【0089】
また本実施の形態では、モール糸23以外の柄糸がさらに鎖編部分に編込まれる。モール糸23以外の柄糸について、毛羽が形成されない柄糸を用いることで、起毛が形成される柄部分と、起毛が形成されない柄部分とを形成することができ、多様な柄模様を形成することができる。また柄糸の本数については、限定されない。またほつれ防止用糸が編込まれることで、編レース20のカット部分におけるほつれを防ぐことができる。
【0090】
このような伸縮糸、モール糸23以外の柄糸などが第1挿入糸として鎖編糸21に編込まれる場合、モール糸を導糸するモール糸用筬は、前記第1挿入糸を導糸する導糸手段よりも編機前方に配置されることが好ましい。これによって編レースとして編成した場合に、第1挿入糸よりも表側にモール糸23が配置されることになる。したがって編レースの表面に起毛効果を得るとともに、編レースの裏面に突出する毛羽を十分に抑えることができる。ここでモール糸は、前記第1挿入糸とは別に鎖編糸21に編込まれる第2挿入糸となる。
【0091】
またジャカード糸22よりも表側にモール糸23が配置されればよく、形成すべき模様の都合上、モール糸23よりも表側に他の糸が配置される場合も、当然本発明に含まれる。たとえば花柄における花部分などの残余の部分に対して際立たせたいモチーフ部分の周囲を囲む輪郭糸、モール糸23の突出を部分的に抑えるための隠し糸などの柄糸が、モール糸23よりも表側に配置される場合も本発明に含まれる。
【0092】
上述する本発明の実施の一形態は、発明の例示に過ぎず、発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、ほつれ防止機能を有する鎖編地に、モール糸23およびジャカード糸22が編込まれたが、基となる編地は、鎖編に形成されていればよく、上述する鎖編地に限定されない。たとえば鎖編糸21の第2ループ状部分が横振りしない鎖編地、すなわちほつれ止め効果を有しない鎖編地であっても同様の効果を得ることができる。また基礎となる編地は、基本的なチェーンステッチ組織のほか、チュール編地であってもよく、パワーネット組織に形成されていてもよい。パワーネット組織に形成されることで、多方向に伸縮性を有して、はっきりとした柄模様を形成することができる。また基礎となる編地は、広巾レース(オールオーバレース)および細巾レースであってもよい。
【0093】
また本実施の形態の編機で編成された編レースは、スパンデックスが鎖編組織に編込まれることで伸縮性を有する。本発明はこれに限らない。すなわち、本発明の他の実施の形態の編機として、スパンデックスを編込まない編機で編成された編レースも含む。この場合、編レースは、伸縮性をほとんど持たず、いわゆるリジットな編レースとなる。このようなリジットな編レースであっても、モール糸が編込まれることで、起毛形成作業を省いて編レースの表面側に起毛を形成することができる。
【0094】
また本実施の形態では、第1挿入糸をジャカード糸とし、第2挿入糸をモール糸としたがこれに限定されない。たとえば第1挿入糸をモール糸以外の柄糸とし、第2挿入糸をモール糸としてもよい。またジャカード糸22は、すべての鎖編部分に編込まれる必要はなく、ウエール方向Wに間隔をあけて鎖編部分に編込まれてもよい。
【0095】
また本実施の形態では、第2挿入糸として毛羽が形成されるモール糸が用いられた。本発明において、毛羽とは、糸本体に対して突出する凸部を意味し、凸部が形成される特殊糸を第2挿入糸として用いてもよい。たとえば紡績工程、撚糸加工工程、意匠糸精紡機、その他の加工で作られるものなどを第2挿入糸として用いることができる。たとえば第2挿入糸は、スラブヤーン、ストラクチャードヤーン、ネップヤーン、ループヤーン、リングヤーン、ラメ糸、金糸、銀糸、カバーリング糸などであってもよい。凸部の先端部が鋭く形成されている場合、本実施の形態によれば編レース20の裏面の肌触りの低下が抑えられるという効果が顕著となる。これらの凸部を有する特殊糸を用いることで、編レースの表面状態を多様にすることができ、編レース裏面の肌触りの低下を抑えることができる。このように上述する実施形態に示す編レース組織は、一例示に過ぎず、基礎となる編地の組織、各挿入糸の編込みかた、鎖編糸および各挿入糸の種類について、適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の一形態である編レース20の一部を示す編成組織図である。
【図2】図1のS1領域を拡大して示す編成組織図である。
【図3】拡大したモール糸23を模式的に示す図面である。
【図4】ウエール方向Wに横振りするジャカード糸22とモール糸23とがウエール方向Wに隣接する2つの鎖編部分26にともに編込まれる状態を模式的に示す編成図である。
【図5】図4において、モール糸23の軸線を通過して編レース20の厚み方向Zに切断した状態を模式的に示す断面図である。
【図6】モール糸23がジャカード糸22よりも裏方向Z2に配置される比較例の編レース20を示す断面図である。
【図7】コース方向Cに延びるジャカード糸22とモール糸23とが、同じ部分で鎖編部分に編込まれる状態を模式的に示す斜視図である。
【図8】モール糸23の軸線を通過して編レースの厚み方向Zに切断した状態を模式的に示す断面図である。
【図9】モール糸23がジャカード糸22よりも裏方向Z2に配置される比較例の編レース20を示す断面図である。
【図10】本実施の形態の編レース20を編成するためのバックジャカードラッシェル編機60の編成部を示す側面図である。
【図11】導糸手段61〜66の動作を説明するための図である。
【図12】鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図13】鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図14】鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図15】鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図16】鎖編部分26の編み針72と地筬66との動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図17】モール糸用柄筬およびジャカードバー62の動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図18】モール糸用柄筬およびジャカードバー62の動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図19】モール糸用柄筬およびジャカードバー62の動きを説明するために模式的に示す断面図である。
【図20】図1におけるS2領域を模式的に示す組織図である。
【符号の説明】
【0097】
20 編レース
21 鎖編糸
22 ジャカード糸
23 モール糸
24 第1ループ状部分
25 第2ループ状部分
26 鎖編部分
27 モール糸本体
28 毛羽
33 ジャカード糸編込部分
36 モール糸編込部分
43 接触部分
C コース方向
W ウエール方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎖編糸によって形成され、第1ループ状部分と第2ループ状部分とが交互に連なって予め定めるコース方向に複数段並び、注目する第2ループ状部分が、その第2ループ状部分のコース方向前段の第1ループ状部分を挿通してコース方向後段に向かって延び、かつ前記第2ループ状部分のコース方向同段の第1ループ状部分を挿通して、コース方向後段の第1ループ状部分に連なることによって連鎖状に形成されてコース方向に延びる鎖編部分と、
第1挿入糸によって形成され、所定の第1ループ状部分と第2ループ状部分との間を挿通して鎖編部分に編込まれる第1挿入糸編込部分と、
毛羽を有する第2挿入糸によって形成され、所定の第1ループ状部分と第2ループ状部分との間を挿通して鎖編部分に編込まれる第2挿入糸編込部分であって、第1挿入糸編込部分と接触する位置では、第1挿入糸編込部分を挟んで第1ループ状部分に対して反対側に配置される第2挿入糸編込部分とを有し、複数の鎖編部分がウエール方向に相互に連結されることによって、鎖編地が形成されることを特徴とする編レース。
【請求項2】
毛羽を有する第2挿入糸は、モール糸によって実現されることを特徴とする請求項1記載の編レース。
【請求項3】
請求項1または2記載の編レースが用いられ、第2挿入糸編込部分よりも第1ループ状部分側の面が肌に触れる位置に配置されることを特徴とする肌着。
【請求項4】
鎖編部分を形成するための編み針を用いて請求項1記載の編レースの鎖編部分を形成する編成工程において、編み針近傍の編成位置に鎖編糸を導糸する鎖編糸導糸手段、前記編成位置に第1挿入糸を導糸する第1挿入糸導糸手段、前記編成位置に第2挿入糸を導糸する第2挿入糸導糸手段を用い、編み針の背面からフック部へ向かう方向に進むにつれて、鎖編糸導糸手段、第2挿入糸導糸手段、第1挿入糸導糸手段の順に配置して編成工程を行うことを特徴とする編レースの編成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate