説明

編機

編針と、少なくとも1本のよこ糸(10)を編針に掛けるための少なくとも1つのよこ糸バー(8)と、よこ糸用の電動式給糸器(14、22)と、テキスタイル材(26)用の取出し装置(28)と、生産しようとするテキスタイル材用のパターンプログラムに基づいて編機を制御するための電子装置(36)とを備えた編機を開示する。生産工程およびテキスタイル材を改善するために、前記制御装置(36)は、パターンプログラムによって事前設定されるよこ糸バー(8)の行程に従って送り出されるよこ糸(10、24)の供給長を調整するための制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載する編機に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に示した型の公知の編機が多くある。そのような編機は、生産しようとするテキスタイル材用のパターンプログラムに基づいて編機を制御するための電子制御装置を備えている。パターンプログラムは制御装置自体で作成するか、あるいは外部電子パターン装置で作成して、そこからデータキャリアまたはデータラインによって編機内の電子制御装置に供給することができる。編機はさらに、パターンプログラムに従って、よこ糸を繋ぎとめる編針によこ糸を掛けるよこ糸バーによこ糸を供給するための電動給糸器をさらに含む。編機はさらに、生産されたテキスタイル材用の取出し装置を備える。しかし、不利点は、特にパターニングを変更する場合、単数または複数のよこ糸の送出し量の変更も必要であり、かつよこ糸バーはそれ自体不足している追加的糸長を引き出さなければならないので、給糸器が多くの場合充分ではない調整可能な一定速度でしか動作できないことである。これは、特に異なる太さを有する糸品質の処理中に、テキスタイル材および/または編機の障害をも導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、冒頭に示した型の編機をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1の特徴部分によって達成される。よこ糸バーの行程に従って供給されるよこ糸の送出し長を設定するために、制御装置は制御手段を有し、前記行程はパターンプログラムから事前設定されるので、これは、よこ糸の各糸掛けおよび各パターンに対し常に厳密に必要な糸長が得られることを確実にする。もはや、例えばコーンからよこ糸バーによってよこ糸を引き出す必要が無くなる。その結果、一般的にテキスタイル材、および特にパターン形成がかなり改善される。編製運転中の糸の破断および傷のような障害は概ね防止される。
【0005】
請求項2に記載する展開は、よこ糸の送出し長をさらに変化させる補正係数によって、例えば異なる糸品質および/または生産しようとするテキスタイル材のパターン特性に対するさらなる適応を達成することができるので、特に有利である。
【0006】
特に有利な補正装置は、請求項3に記載するようにスクリーン、好ましくはタッチスクリーンと、様々なインジケータおよび制御層の手動選択のため、特に補正係数を取り扱うための編集要素とを有する。
【0007】
本発明の例示的実施形態を以下で、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は編機の側面図を示す。編製ステーション2で、たて糸4は糸掛け装置6によって、詳細には図示しない編針に通常の方法で導入される。加えて、よこ糸バー8上に配設された糸ガイドによって、よこ糸10は、パターンプログラムに従って1つ以上の編針に掛けられ、これらによって編製される。たて糸4はたて糸リール12から取り出される。よこ糸10は、その都度、電動給糸器14によってリール16から糸制動器18を介して取り出され、糸ガイドに供給される。糸張器20は、供給される糸の均一な張力を確実にする。図示した実施例では、4本のよこ糸が編製ステーション2に供給される。さらなる給糸器22は、ゴム糸24を編製ステーション2に供給するように働く。
【0009】
編製ステーション2で生産されたテキスタイル材は例えば、電気駆動装置を備えた取出し装置28から取り出され、熱硬化装置30内を通過し、完成したテキスタイル材を例えばコンテナ34に排出する電動式追加取出し装置32に到達する。
【0010】
編機は、図示した実施例ではフロッピディスク38を介して電子パターン装置40から、生産しようとするテキスタイル材用のパターンプログラムを受け取る電子制御装置36を含む。制御装置36は、パターンプログラムから事前設定されるよこ糸バーの行程に従って供給される、少なくとも1本のよこ糸の送出し長を設定するために、制御手段を含む。さらに、制御装置36は、少なくとも1回のよこ糸の挿入のための少なくとも1本のよこ糸の送出しデータ上に調整補正係数Kを個別に重ね合わせるために、手動的に作動可能な補正装置44を有する。補正装置44について、図2を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0011】
補正装置44は、好ましくはタッチスクリーンとして設計され、一連のインジケータと手動で選択可能なインジケータおよび切り替え層のための切り替え要素とを有するスクリーン45を含む。
【0012】
図2は、補正係数K用のインジケータおよび切り替え層を示す。インジケータおよび切り替え層は、第一に、設定要素48、48によって選択することのできる選択された給糸器を示すインジケータ要素46を含む。本実施例では、給糸器1が選択される。インジケータ要素50は、設定された給糸器が適用されるよこ糸バー、ここではよこ糸バー4を示し、この場合、対応する選択は設定要素52、52によって行なうことができる。しかし、どの給糸器が実際にどのよこ糸バーに割り当てられたかを調整する必要がある。インジケータ要素54は、設定要素56、56によって選択されたよこ糸、ここではよこ糸番号1を示し、それに対し、インジケータ要素58に明示されここでは102%になる補正係数Kが適用される。補正係数K=102%は、パターンプログラムに基づいて制御手段によって事前設定され100%になる既定の個別通常送出し長さが、2%増加されることを示す。補正係数Kは、設定要素60、60によって増加または減少することができる。インジケータおよび設定層は、キーXによって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】編機のセットアップを図式的に示した側面図である。
【図2】給糸器の補正係数を設定するためのインジケータおよび切り替え層を示した図である。
【符号の説明】
【0014】
K 補正係数
X キー
2 編製ステーション
4 たて糸
6 糸張り装置
8 よこ糸バー
10 よこ糸
12 たて糸リール
14 給糸器
16 リール
18 糸制動器
20 糸張器
22 給糸器
24 ゴム糸
26 テキスタイル材
28 取出し装置
30 熱硬化装置
32 追加取出し装置
34 コンテナ
36 制御装置
38 フロッピディスク
40 パターン装置
42 読取り装置
44 補正装置
45 スクリーン
46 インジケータ要素−給糸器
48 設定要素
48 設定要素
50 インジケータ要素−よこ糸バー
52 設定要素
52 設定要素
54 インジケータ−よこ糸挿入
56 設定要素
56 設定要素
58 インジケータ要素−補正係数
60 設定要素
60 設定要素
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載する編機に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に示した型の公知の編機が多くある。そのような編機は、生産しようとするテキスタイル材用のパターンプログラムに基づいて編機を制御するための電子制御装置を備えている。パターンプログラムは制御装置自体で作成するか、あるいは外部電子パターン装置で作成して、そこからデータキャリアまたはデータラインによって編機内の電子制御装置に供給することができる。編機はさらに、パターンプログラムに従って、よこ糸を繋ぎとめる編針によこ糸を掛けるよこ糸バーによこ糸を供給するための電動給糸器をさらに含む。編機はさらに、生産されたテキスタイル材用の取出し装置を備える。しかし、不利点は、特にパターニングを変更する場合、単数または複数のよこ糸の送出し量の変更も必要であり、かつよこ糸バーはそれ自体不足している追加糸長を引き出さなければならないので、給糸器が多くの場合充分ではない調整可能な一定速度でしか動作できないことである。これは、特に異なる太さを有する糸品質の処理中に、テキスタイル材および/または編機の障害をも導く。
【0003】
米国特許第4,487,039号は、相互に距離を置いて配設された2つの搬送装置によこ糸が供給されるたて編機を開示している。この目的のために、搬送装置の間で往復移動可能なキャリッジがあり、よこ糸はそこに駆動送出し機構によって供給される。送出し機構の駆動装置は、よこ糸の張力をキャリッジの変化する速度および位置に適応させ、かつ前記張力をできるだけ一定に維持するために、瞬間キャリッジ速度およびキャリッジ位置を考慮に入れて、連続的に変動する。駆動装置は、主軸の回転に依存するパルス発生器を介して制御される。一方でその都度供給されるよこ糸の長さ、および他方でパターンプログラムに基づいて必要とされる長さの個別制御を、この公報から思いつくことはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、冒頭に示した型の編機をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、請求項1の特徴部分によって達成される。よこ糸バーの行程に従って供給されるよこ糸の送出し長を設定するために、制御装置は制御手段を有し、前記行程はパターンプログラムから事前設定されるので、これは、よこ糸の各糸掛けおよび各パターンに対し常に厳密に必要な糸長が得られることを確実にする。もはや、例えばコーンからよこ糸バーによってよこ糸を引き出す必要が無くなる。その結果、一般的にテキスタイル材、および特にパターン形成がかなり改善される。編製運転中の糸の破断および傷のような障害は概ね防止される。
【0006】
請求項2に記載する展開は、よこ糸の送出し長をさらに変化させる補正係数によって、例えば異なる糸品質および/または生産しようとするテキスタイル材のパターン特性に対するさらなる適応を達成することができるので、特に有利である。
【0007】
特に有利な補正装置は、請求項3に記載するようにスクリーン、好ましくはタッチスクリーンと、様々なインジケータおよび制御層の手動選択のため、特に補正係数を取り扱うための編集要素とを有する。
【0008】
本発明の例示的実施形態を以下で、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は編機の側面図を示す。編製ステーション2で、たて糸4は糸掛け装置6によって、詳細には図示しない編針に通常の方法で導入される。加えて、よこ糸バー8上に配設された糸ガイドによって、よこ糸10は、パターンプログラムに従って1つ以上の編針に掛けられ、これらによって編製される。たて糸4はたて糸リール12から取り出される。よこ糸10は、その都度、電動給糸器14によってリール16から糸制動器18を介して取り出され、糸ガイドに供給される。糸張器20は、供給される糸の均一な張力を確実にする。図示した実施例では、4本のよこ糸が編製ステーション2に供給される。さらなる給糸器22は、ゴム糸24を編製ステーション2に供給するように働く。
【0010】
編製ステーション2で生産されたテキスタイル材は例えば、電気駆動装置を備えた取出し装置28から取り出され、熱硬化装置30内を通過し、完成したテキスタイル材を例えばコンテナ34に排出する電動式追加取出し装置32に到達する。
【0011】
編機は、図示した実施例ではフロッピディスク38を介して電子パターン装置40から、生産しようとするテキスタイル材用のパターンプログラムを受け取る電子制御装置36を含む。制御装置36は、パターンプログラムから事前設定されるよこ糸バーの行程に従って供給される、少なくとも1本のよこ糸の送出し長を設定するために、制御手段を含む。さらに、制御装置36は、少なくとも1回のよこ糸の挿入のための少なくとも1本のよこ糸の送出しデータ上に調整補正係数Kを個別に重ね合わせるために、手動的に作動可能な補正装置44を有する。補正装置44について、図2を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0012】
補正装置44は、好ましくはタッチスクリーンとして設計され、一連のインジケータと手動で選択可能なインジケータおよび切り替え層のための切り替え要素とを有するスクリーン45を含む。
【0013】
図2は、補正係数K用のインジケータおよび切り替え層を示す。インジケータおよび切り替え層は、第一に、設定要素48、48によって選択することのできる選択された給糸器を示すインジケータ要素46を含む。本実施例では、給糸器1が選択される。インジケータ要素50は、設定された給糸器が適用されるよこ糸バー、ここではよこ糸バー4を示し、この場合、対応する選択は設定要素52、52によって行なうことができる。しかし、どの給糸器が実際にどのよこ糸バーに割り当てられたかを調整する必要がある。インジケータ要素54は、設定要素56、56によって選択されたよこ糸、ここではよこ糸番号1を示し、それに対し、インジケータ要素58に明示されここでは102%になる補正係数Kが適用される。補正係数K=102%は、パターンプログラムに基づいて制御手段によって事前設定され100%になる既定の個別通常送出し長さが、2%増加されることを示す。補正係数Kは、設定要素60、60によって増加または減少することができる。インジケータおよび設定層は、キーXによって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】編機のセットアップを図式的に示した側面図である。
【図2】給糸器の補正係数を設定するためのインジケータおよび切り替え層を示した図である。
【符号の説明】
【0015】
K 補正係数
X キー
2 編製ステーション
4 たて糸
6 糸張り装置
8 よこ糸バー
10 よこ糸
12 たて糸リール
14 給糸器
16 リール
18 糸制動器
20 糸張器
22 給糸器
24 ゴム糸
26 テキスタイル材
28 取出し装置
30 熱硬化装置
32 追加取出し装置
34 コンテナ
36 制御装置
38 フロッピディスク
40 パターン装置
42 読取り装置
44 補正装置
45 スクリーン
46 インジケータ要素−給糸器
48 設定要素
48 設定要素
50 インジケータ要素−よこ糸バー
52 設定要素
52 設定要素
54 インジケータ−よこ糸挿入
56 設定要素
56 設定要素
58 インジケータ要素−補正係数
60 設定要素
60 設定要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編針と、少なくとも1本のよこ糸(10)を少なくとも1つの編針に掛けるための少なくとも1つのよこ糸バー(8)と、さらによこ糸用の電動式給糸器(14、22)と、テキスタイル材(26)用の取出し装置(28)と、製造しようとするテキスタイル材(26)用のパターンプログラムに基づいて編機を制御するための電子制御装置(36)とを備えた編機であって、前記制御装置(36)が、パターンプログラムから事前設定されるよこ糸バー(8)の行程に従って供給されるよこ糸(10、24)の送出し長を設定するために、制御手段を有することを特徴とする編機。
【請求項2】
前記制御装置(36)が、少なくとも1回のよこ糸の挿入のための少なくとも1本のよこ糸(10、24)の送出しデータ上に調整可能な補正係数(K)を個別に重ね合わせるために、手動的に作動可能な補正装置(44)を有することを特徴とする、請求項1に記載の編機。
【請求項3】
前記補正装置(44)が、スクリーン(45)、好ましくはタッチスクリーンと、インジケータと、前記補正係数(K)の手動設定のための制御層とを有することを特徴とする、請求項2に記載の編機。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−527795(P2006−527795A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515620(P2006−515620)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000336
【国際公開番号】WO2004/111322
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】