説明

編物により補強された複合中空繊維膜

【課題】編物により補強された複合中空繊維膜を提供する。
【解決手段】補強材の管状編物と該管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜とで構成された、編物により補強された複合中空繊維膜は、前記管状編物を、クリンプ率2〜40%のモノフィラメントからなるマルチフィラメントで構成し、前記管状編物と該管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度を、1〜10MPaとする。この複合中空繊維膜は、補強材の管状編物を構成するモノフィラメントのクリンプ率が2〜40%なので、高分子樹脂薄膜と接触する管状編物の表面積が増加し、管状編物とその表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離強度、濾過信頼度及び水透過性能に優れた高分子分離膜、より具体的には、複合中空繊維膜に関する。
【0002】
高分子分離膜は、近年、その技術の進歩に伴い、既存の応用分野はもちろん、様々な分野へと適用範囲が拡大されてきており、特に、環境の重要性と共に、水処理分野においてその需要は増加しつつある。かかる分離膜は、全ての応用分野において、選択度及び水透過度が要求されることはもちろん、常に剥離強度などの機械的強度も要求されているが、特に、水処理分野では、高い水透過性能を示さなければないと同時に、分離膜システムの信頼度の側面から、優れた機械的強度が必須に要求されている。
【背景技術】
【0003】
中空糸形態の膜は、設置面積当たりの処理量が高いために水処理に適合している反面、多孔性という膜構造上、機械的強度は常に解決すべき問題として台頭してきた。そこで、機械的強度に優れた織物や管状編物を分離膜の支持体とし、この支持体で補強した複合膜を製造することで、強度の補完を図ってきた。このような複合膜の概念自体は公知の事実で、その技術は、米国特許第4,061,821号、第3,644,139号、第5,472,607号、第6,354,444号等に開示されている。
【0004】
このうち、管状編物を用いた中空糸型の複合膜に関するものが、ハヤノ(Hayano)等によって米国特許第4,061,821号で最初に提示された。しかし、この技術では、管状編物が、コーティングのための支持体概念として使用されているのではなく、アクリル系中空繊維膜が80℃以上で単独使用されるときに生じる収縮現象による水透過度の減少を補完するために膜中に完全に含浸されている。このような複合膜は、支持体上に薄膜がコーティングされた場合に比べて膜厚が増加し、含浸された編物が流体の流れの抵抗を増大させ、水透過度が顕著に減少するという欠点があった。
【0005】
一方、米国特許第5,472,607号では、上記の技術と違い、補強材が膜中に含浸されるのではなく、既存の平膜型複合膜のコーティング方式と同様に、補強材の表面に薄膜がコーティングされるようにした。管状編物の補強材または支持体の表面に薄膜層がコーティングされている複合中空繊維膜の製造において、コーティングに用いられるドープの組成によって熱力学的な安全性が異なり、これがコーティングされた薄膜層の構造を決定する。
【0006】
すなわち、熱力学的に安定したドープの場合、フィンガー状の構造となり、安全性が低い場合は、欠損部位のないスポンジ構造となる。例えば、有機溶媒のうち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)のように溶媒強度(Solvent power)の強い溶媒が使われたドープの場合、安全性が高いためフィンガー状の構造になり易い。
【0007】
また、薄膜層の構造及び特性は、複合中空繊維膜全体の水透過性能及び機械的性能を左右する。これは、相対的に大きい孔隙と高い強度を持つ管状編物補強材に比べて、薄膜層が微細な孔隙と低い機械的強度を持つためである。すなわち、薄膜層を通過した濾過液は、相対的に大きい孔隙を持つ編物支持層を大きな抵抗なしで通過するのに対し薄膜層では流れ抵抗が大きいので、微細孔構造及び多孔度によって全体膜の水透過度が決定されるわけである。
【0008】
強度の側面においても、機械的強度に格段と優れた編物補強材によって引張強度及び耐圧性等は補完されるが、薄膜自体の強度が低くなると、薄膜が剥離されたり破損されたりする現象につながる。
【0009】
米国特許第4,061,821号及び第5,472,607号では、相対的に、コーティングされた薄膜層構造に関する重要性を看過しているが、特に、これら2つの技術による薄膜層の構造は、スキン層内部の内層構造に5μm以上の欠損部位を持つこと、すなわち、内層に孔径5μm以上の微細孔が一部形成されていることを特徴としている。
【0010】
図2は、米国特許第4,061,821号に開示された複合中空繊維膜の拡大断面図であり、図3は、米国特許第5,472,607号に開示された複合中空繊維膜の拡大断面図である。これらの中空繊維膜は、図2及び図3に示すように、フィンガー状(Finger like)の構造で、薄膜層の内部には欠陥(defect)として作用できる欠損部位Dが存在する。
【0011】
この欠損部位は、公知の事実の如く、薄膜の機械的性質を発現するに際して欠陥(Defect)として作用することができ、特に、緻密なスキン層に損傷が加えられた時、内層によって二次的に遮断可能な物質が透過してしまうため、相対的に膜の濾過信頼度が減少する。
【0012】
複合中空繊維膜は、優れた機械的強度から、水処理分野で特に浸漬型モジュールに適合しているが、このような浸漬型モジュールでは、曝気によって膜間に発生する摩擦及び物理的衝撃によって膜表面が損傷する恐れがあるので、特に、高い濾過信頼度が保障されるためには、内層による濾過が要求される。
【0013】
一方、米国特許第6,354,444号では、繊度0.5〜7デニールのモノフィラメントで構成された編物(braid)上に高分子樹脂薄膜がコーティングされた複合中空繊維膜を提案している。しかし、この複合中空繊維膜は、編物がクリンプの形成されていない0.5デニール以上のモノフィラメントで構成されるため、高分子樹脂薄膜と接触する編物の表面積が小さく、編物とその表面にコーティングされた高分子樹脂間の剥離強度が低いという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、編物の支持体上に高分子樹脂薄膜をコーティングすることによって、剥離強度、濾過信頼度及び水透過性能に優れた複合中空繊維膜を提供することにある。
【0015】
本発明は、管状編物を構成するモノフィラメントに一定範囲のクリンプ率を与え、繊度を極細化することによって、高分子樹脂薄膜と接触する管状編物の表面積を増大させ、管状編物とその表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度に優れた複合中空繊維膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の複合中空繊維膜は、補強材の管状編物と、該管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜とで構成された、編物により補強された複合中空繊維膜であって、前記管状編物が、クリンプ率2〜40%のモノフィラメントからなるマルチフィラメントで構成され、前記管状編物とその表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度が1〜10MPaである。
【0017】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の複合中空繊維膜は、図1に示すように、補強材の管状編物Bの表面に高分子樹脂薄膜Aがコーティングされた構造を持つ。図1は、本発明による複合中空繊維膜の概略断面図である。
【0019】
本発明は、管状編物がクリンプ率2〜40%のモノフィラメントからなるマルチフィラメントで構成され、前記管状編物とその表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度が1〜10MPaと非常に優れている。
【0020】
クリンプ率が2%未満である場合、高分子樹脂薄膜Aと接触する管状編物Bの表面積が減少し、剥離強度が1MPa未満と低下し、クリンプ率が300%を超過する場合には、管状編物の製造時に、工程安全性が低下することができる。
【0021】
前記管状編物Bは、繊度0.01〜0.4デニールのモノフィラメントからなるマルチフィラメントで構成されることが好ましい。
【0022】
モノフィラメントの繊度が0.4デニールを超過する場合には、高分子樹脂薄膜Aと接触する管状編物Bの表面積が減少し、管状編物Bとその表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜A間の剥離強度が1MPa未満と低くなることができる。
【0023】
また、モノフィラメントの繊度が0.01デニール未満である場合には、管状編物Bと高分子樹脂薄膜A間の剥離強度は向上するが、製造工程が複雑となり、製造コストの上昇につながり得る。
【0024】
管状編物Bを構成するマルチフィラメントは、150〜7,000本のモノフィラメントからなり、総繊度30〜140デニールとすることが好ましい。
【0025】
管状編物Bは、マルチフィラメント4〜10本を合糸して用意した製編用原糸16〜60本を使って製編することが好ましい。
【0026】
前記高分子樹脂薄膜は、緻密な構造のスキン層と、スポンジ構造の内層とで構成される。このスキン層には、0.01〜1μm孔径の微細孔が形成されており、内層には、孔径10μm以下、より好ましくは、孔径5μm以下の微細孔が形成されている。
【0027】
本発明では、高分子樹脂薄膜の内層に10μmを超過する欠損部位、すなわち、孔径10μmを超過する微細孔が存在しない。
【0028】
内層に10μmを超過する欠損部位が存在する場合には、濾過信頼度が大きく減少することができる。スポンジ構造の内層に形成された微細孔の孔径は、複合中空繊維膜の中心方向に行くほど漸次増大することが好ましい。
【0029】
高分子樹脂薄膜の厚さは、0.2mm以下で、高分子樹脂薄膜が補強材内に浸透する距離は補強材厚の30%未満とすることが、機械的強度及び水透過性能を同時に向上できるので好ましい。
【0030】
高分子樹脂薄膜は、高分子樹脂、有機溶媒、添加剤のポリビニルピロリドン及び親水性化合物からなる紡糸ドープで製造される。
【0031】
本発明の複合中空繊維膜は、2重管状ノズルの中央部に管状編物(補強材)を通過させると同時に、このノズルを通して高分子樹脂薄膜用紡糸ドープを編物の表面に流入させてそれを編物上に被服(コーティング)し、これらをノズル外部の空気中に押し出したのち外部凝固液で凝固させることで、複合中空繊維膜の構造を形成し、水洗い及び乾燥して完成する。
【0032】
ここで、高分子樹脂薄膜用紡糸ドープは、高分子樹脂、添加剤のポリビニルピロリドン及び親水性化合物を有機溶媒に溶解して製造する。より好ましくは、この紡糸ドープは、高分子樹脂10〜50重量%、添加剤のポリビニルピロリドン及び親水性化合物9〜30重量%、及び有機溶媒20〜89重量%で構成されるが、この紡糸ドープの構成比に本発明が限定されるわけではない。
【0033】
高分子樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリエステルイミド樹脂などを使用でき、有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合液を使用することができる。
【0034】
親水性化合物としては、水またはグリコール類化合物、より好ましくは、分子量2,000以下のポリエチレングリコールを使用することができる。
【0035】
親水性化合物である水またはグリコール類化合物は、紡糸ドープの安全性を低下させる役割をするので、相対的にスポンジ状の構造を発現する可能性が高くなる。
【0036】
すなわち、紡糸ドープの安全性が高いほど膜内部に欠損部位(孔径10μmを超過する微細孔)が形成され、フィンガー状構造となりやすいので、本発明は、添加剤である水またはグリコール類化合物を添加し、紡糸ドープ安全性を低下させると同時に、膜を親水化させて水透過度を増加させる。
【0037】
一方、複合中空繊維膜の製造工程において、管状編物の補強材の表面に高分子樹脂薄膜を一定の厚さで均一にコーティングするには、管状編物の進行速度とノズル内に流入する紡糸ドープ量とがバランスしなければならない。これを、紡糸ドープ供給速度(Q)と管状編物の速度(υ)で表現した関係式は、次の通りになる。
【0038】
【数1】

(式中、Qは、時間当りに供給されるドープ量、ρはドープの密度、υは編物の進行速度、Dは編物の外径、Tはコーティングされるドープの厚さを表す。)
【0039】
上の式からわかるように、編物の進行速度が速い場合には、薄いコーティング層が形成され、紡糸ドープの供給量に比べて編物の進行速度が速すぎる場合には、部分的にコーティング層が形成されない不均一な膜が製造される。その逆の場合には、コーティング厚が部分的に厚くなる不均一な膜が製造される。すなわち、均一な厚さの膜が安定的に製造されるための最適の速度比が存在することがわかる。
【0040】
また、本発明による複合中空繊維膜の高分子樹脂薄膜は、緻密なスキン層と、中空繊維膜の中心に向くほど孔径が漸次大きくなるスポンジ構造の内層とからなる。
【0041】
したがって、本発明による複合中空繊維膜は、剥離強度、濾過信頼度及び水透過度の全てに優れている。
【0042】
本発明では、複合中空繊維膜の各種物性を下記の方法で評価した。
【0043】
・クリンプ率
まず、試料である複合中空繊維膜をデニールクリールに10回巻き取って束にする。この時、巻取り張力は、表示繊度×1/10gである。
【0044】
この束に初荷重(表示繊度×1/20g)と静荷重(表示繊度×2g)をつり下げて水(20℃±2℃)中に入れ2分間放置した後、水中の状態で試料の長さ(L0)を測定する。
【0045】
試料を取り出して静荷重のみを除去した後、再び水中に入れ3分間放置した後、水中の状態で試料の長さ(L1)を測定する。
このようにして測定した試料の長さL0及びL1を、下の式に代入して(Cr,%)を計算する。
【0046】
【数2】

【0047】
・剥離強度
引張試験機を用いて、コーティングされた高分子樹脂薄膜が管状編物から剥離される瞬間の荷重を測定し、これをせん断力が加えられる面積(m)で除算して剥離強度を計算する。
【0048】
その具体的な測定条件は、下の通りである。
−測定機器:インストロン4303
−ロードセル(Load Cell):1KN
−把持距離(Crosshead Speed):25mm/分
−試験片:6mm直径のポリプロフィレンチューブに複合中空繊維膜1本を、接着部の長さが10mmとなるようにしてポリウレタン樹脂で接着・固定して製造
【0049】
【数3】

【0050】
剥離強度は、試験片の引張時に、コーティングされた高分子樹脂薄膜に加えられる単位面積当りのせん断力(Shear Strength)と定義される。
【0051】
せん断力が加えられる面積(m)は、π×複合中空繊維膜の外径(m)×複合中空繊維膜の接着部の長さによって計算される。
【0052】
・水透過度
中空繊維膜の有効長さが10cmである小型モジュール(Module)を製作し、25℃、1kgの加圧条件で外圧方式(Out−inflow)で純水を一定時間透過させ、透過された純水の量を測定することで、下記のように水透過度を求める。
【0053】
【数4】

【0054】
・微細孔形態
走査電子顕微鏡を用いて支持体(補強材)の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜層の破断面を観察した。
【0055】
以上の方法によって製造された本発明の複合中空繊維膜は、管状編物Bとこの管状編物Bの表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜A間の剥離強度が、1〜10MPaと優れており、初期濡れ性も良好である。
【発明の効果】
【0056】
本発明は、管状編物とこの管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度に優れており、初期濡れ性にも優れている。
【0057】
また、本発明の複合中空繊維膜は、編物の支持体で補強され、高分子樹脂薄膜の内層(スポンジ構造)に10μmを超過する欠損部位が存在しない(内層中に孔径10μmを超過する微細孔が形成されない)ので、水透過性能、機械的強度及び濾過信頼度のいずれにも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明についてより具体的に説明する。ただし、これらの実施例に本発明が限定されることはない。
【0059】
実施例1
ポリスルホン17重量%、ポリビニルピロリドン9重量%及びポリエチレングリコール10重量%を、64重量%のジメチルホルムアミド(有機溶媒)に撹拌・溶解し、透明な紡糸ドープを製造する。次いで、この紡糸ドープを2.38mmφ径の2重管状ノズルに供給すると同時に、クリンプ率10%、繊度0.4デニールのモノフィラメント200本からなる80デニールのマルチフィラメント6本を合糸して用意した製編用原糸12本を使って外径が2mmとなるように製編した管状編物を、前記ノズルの中央部に通過させ、この管状編物の表面に紡糸ドープを被服(コーティング)した後、これを空気中に押し出す。この時、紡糸ドープの供給速度と編物の進行速度との割合(k)は、750g/mとしたし、紡糸ドープの被服(コーティング)厚は、0.2mmとした。続いて、上記のように紡糸ドープの被覆された管状編物を、10cmのエアーギャップ中に通過させたのち35℃の外部凝固槽を通過させ、凝固処理した。続いて、これを洗浄槽で洗浄したのち巻き取り、複合中空繊維膜を製造する。製造された複合中空繊維膜の構造及び各種の物性を評価した結果を、表1に示す。
【0060】
実施例2
クリンプ率20%、繊度0.1デニールのモノフィラメント650本からなる65デニールのマルチフィラメント6本を合糸して用意した製編用原糸12本を使って外径が2mmとなるように製編された管状編物を使用する以外は、実施例1と同一の工程及び条件にして複合中空繊維膜を製造した。製造された複合中空繊維膜の構造及び各種の物性を評価した結果は、表1に示す。
【0061】
比較例1
クリンプ率0%、繊度0.5デニールのモノフィラメント300本からなる150デニールのマルチフィラメント3本を合糸して用意した製編用原糸16本を使って外径が2mmとなるように製編された管状編物を使用する以外は、実施例1と同一の工程及び条件にして複合中空繊維膜を製造した。製造された複合中空繊維膜の構造及び各種の物性を評価した結果を、表1に示す。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、管状編物とこの管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度及び初期濡れ性に優れている。
【0064】
また、本発明の複合中空繊維膜は、編物の支持体で補強され、高分子樹脂薄膜の内層(スポンジ構造)に10μmを超過する欠損部位がない(内層中に孔径10μmを超過する微細孔が形成されない)ので、水透過性能、機械的強度及び濾過信頼度の全てに優れている。その結果、本発明の複合中空繊維膜は、大規模の水処理用浸漬型モジュールに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による複合中空繊維膜を示す概略断面図である。
【図2】従来の複合中空繊維膜を示す拡大断面図である。
【図3】従来の複合中空繊維膜を示す拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材の管状編物と、前記管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜とで構成された、編物により補強された複合中空繊維膜において、
前記管状編物が、クリンプ率2〜40%のモノフィラメントからなるマルチフィラメントで構成され、前記管状編物と該管状編物の表面にコーティングされた高分子樹脂薄膜間の剥離強度が1〜10MPaである複合中空繊維膜。
【請求項2】
モノフィラメントの単糸繊度が、0.01〜0.4デニールである請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項3】
管状編物を構成するマルチフィラメントが、150〜7,000本のモノフィラメントからなる請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項4】
マルチフィラメントの繊度が、30〜140デニールである請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項5】
管状編物は、4〜10本のマルチフィラメントが合糸されてなる製編用原糸16〜60本で製編されたものである請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項6】
高分子樹脂薄膜の厚さが、0.2mm以下である請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項7】
高分子樹脂薄膜が補強材内に浸透する距離が、補強材厚の30%未満である請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項8】
高分子樹脂薄膜が、高分子樹脂、有機溶媒、ポリビニルピロリドン及び親水性化合物からなる紡糸ドープで製造されたものである請求項1に記載の複合中空繊維膜。
【請求項9】
高分子樹脂が、ポリスルホン樹脂、ポリエテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオリド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、または、ポリエテルイミド樹脂である請求項1または7に記載の複合中空繊維膜。
【請求項10】
親水性化合物が、水またはグリコール類化合物である請求項7に記載の複合中空繊維膜。
【請求項11】
グリコール類化合物が、分子量2,000以下のポリエチレングリコールである請求項10に記載の複合中空繊維膜。
【請求項12】
有機溶媒が、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合液である請求項7に記載の複合中空繊維膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−517200(P2009−517200A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542248(P2008−542248)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005033
【国際公開番号】WO2007/064124
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】