説明

編物システムのためのシステム構成要素とその取り扱い方法

【課題】編物システムのためのシステム構成要素の取り扱いを改良する。
【解決手段】例えば、ループ編機用に意図される編機針(2)のようなシステム構成要素(1)は、その脚部(8)に少なくとも一つの切欠き(14)を有し、当該切欠きは保持具(17)部分を収容するために設定される。いくつものこの種のシステム構成要素を、予め特定された配列で、横方向にある距離をおいて、且つ、互いに対して整列させて、保持するために、この保持具を切欠きに挟むことが可能である。かくして一時的に互いに接続されるシステム構成要素を、ユニットとして取扱うことが可能となり、このようにして、ベッド(5)から取り外し、例えば洗浄などで処理し、ベッド(5)に同一の配列で且つ整列させて再配置することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、編機針、選択要素、シンカー、クラッチ要素等のような編物システムのためのシステム構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】DE 199 20 673 C2
【特許文献2】DE 102 27 532 A1
【特許文献3】DE 198 54 191 A1
【特許文献4】US 6 925 841 B2
【特許文献5】DE-AS 1 103 233
【特許文献6】DE 102 44 315
【0003】
この種のシステムは、編機、例えば、平床編機(flat-bed knitting machine)又は丸編み機で数多く用いられている。これらの機械はベッドを有し、当該ベッドで、案内チャネルがシステム構成要素の収容のために互いに隣接して配置される。平床編機を参照すると、案内チャネルは、平床において互いに平行に配置される。これは、丸編み機の編物シリンダーに関しても真実である。ベッドは、編機のダイアルとして、又は、丸編み機のシンカーリングとしても構成されえる。この場合、案内チャネルは、放射状に配置されるので、隣接する案内チャネルは共に鋭角を成す。
【0004】
編機針及び/又はシンカーの洗浄のために、システム構成要素を機械から、すなわち、それらそれぞれのベッドから取り外し、洗浄プロセスを実施し、その後、それらのベッドへ元どおりに戻すことが必要である。また、編機の編物ツールのピッチ又は間隔を修正することが、システム構成要素の取り外しに伴ってたびたび生じ、その場合、手順は同様である。他のシステム構成要素に隣接する他の案内チャネル又は針は、それらが配置されるベッドによって互いに対して整列させられる。加えて、システム構成要素は、特定の配列(順序)で配置される。これは、異なるシステム構成要素が連続する案内チャネルに配置される際に、特に重要である。例えば、これらの構成要素は、異なる位置に配置される脚部を備えた編機針である。システム構成要素がそれらのベッドから取り外され、且つ、そこに再挿入された後で、それらは、所望の位置あわせで且つ所望の順序に再び持ってこられなければならない。システム構成要素がそれらのベッドから取り外され、混合させられた場合、これは、時間のかかる困難な手順となる。加えて、順序よく配置されていないシステム構成要素は、困難性を伴ってのみ洗浄することができる。
【0005】
多くのシステム構成要素が、例えば、バーに取り付けられるので、互いに対して完全に同期化されて動かされる特に編機又はループ成形機を参照すると、システム構成要素を互いに強固に接続することが知られている。これは、特許文献1、特許文献2又は特許文献3によって開示されている。これらの参照文献にしたがい、プラスチックボディが、開口針又はシンカーを互いに対して固定された位置あわせで保持するために用いられ、前記ボディは、シンカーの開口を通って延在する棒又はブロックとして構成される。同様に、特許文献4は、いくつものシンカーから作られるモジュールを開示し、その場合、個々のシンカーは、介在させたプレートによって互いに対して固定整列で保持される。
【0006】
これらのモジュールを参照すると、互いに対する個々のシンカーの永久固定が重要である。互いに対する個々のシンカーの独立した動作又はピッチの変更は、ここでは提供されない。
【0007】
特許文献5は、ラッシェル編機(Raschel machine)の針のためのパッケージを開示する。本パッケージは、針を押圧することのできる軟質材料を含む。
【0008】
特許文献6は、異なるアプローチに基づいている。この文献は、複合針及び対応して構成される積み込みユニットのための移送容器を開示する。この移送容器は、例えば、U形状断面を有するバーを含む。U形状断面の二つの脚部は、互いに平行に配置されたスリットを有し、前記スリットは、摩擦係合によってそこに配置される編物ツールを保持する。バーのスリット部分を、編物シリンダーで、案内チャネル部分と調整することができるので、編物ツールを移送バーから編物シリンダーへ容易に移送することができる。しかしながら、編物シリンダーから移送容器への針の移送のための特定の補助は設けられない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これを考慮して、本発明の目的は、編物システムのためのシステム構成要素の取り扱いを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1にしたがうシステム構成要素に加えて、請求項15にしたがう方法で達成される。
【0011】
発明のシステム構成要素は、例えば編機のようなループ成形機の案内チャネルへの収容のために設けられるボディを備えて成り、さらに、保持具への一時的な接続のための手段を備えて成る。この手段は、システム構成要素の一部位に設けられ、前記部位には、システム構成要素を案内チャネルに設置したときにアクセス可能である。この部位を案内チャネルの外側に配置しても良いし、前記案内チャネルの中断部に配置しても良い。
【0012】
例えば、この手段には、保持具の一時的な収容に役立つ切欠きを有する突出部が設けられる。保持具をこの切欠きに挿入することが可能であり、かくして、保持具は、システム構成要素を保持する。例えば、突出部はシステム構成要素の脚部であり、そのような脚部を、カムボックスを用いて前記システム構成要素を駆動するために設けることができる。概して、この脚部は、ループ成形機のベッドの案内チャネルから突出し、一方で、システム構成要素の残りのボディは、実質的に案内チャネルによって収容される。したがって、脚部にアクセス可能なので、システム構成要素が案内チャネルに依然として配置されている間に、保持具を単純に突出部に接続することが可能である。
【0013】
しかしながら、脚部の代わりに、上述した目的のための何か別の突出部を用いることもできる。その場合、突出部を編機針のボディと一体に継目なく接続することが可能である。編機針の一部に突出部を付設することも可能であり、前記部分は、ボディに接続されるか又は連結されるが、別個の部分とみなされる。
【0014】
発明の枠内で、一時的な接続のための保持具を収容する切欠きを、突出部が全く設けられていないシステム構成要素の領域に配置することも可能である。システム構成要素における切欠きの配置を参照すると、編機でシステム構成要素の設置の後に、切欠きがアクセス可能であることが重要である。切欠きが案内チャネルから突出する突出部に配置されない場合、前記案内チャネルに切欠きが設けられ、先の切欠きはアクセス可能であり、且つ、保持具を挿入するか又は取り外すことができる。
【0015】
異なる幾何形状を有するシステム構成要素が編機で用いられる場合、保持具の収容のための切欠きは、好ましくはシステム構成要素上の同一部位に配置される。これは、システム構成要素の基準エッジから、すなわち、フック又は針端部から切欠きまでの距離が全てのシステム構成要素と同一であることを意味するので、切欠きは、共通面に、又は、共通の直線あるいはわずかに曲がった線上に配置される。好ましくは、隣接するシステム構成要素の切欠きは、隣り合う互いに対して整列して配置される。
【0016】
切欠きが、例えば、脚部の使用面(face side)に開口する開口エッジ切欠き(open-edge cutout)になる場合、多かれ少なかれ弾性のある保持具を前記切欠きに挿入することができる。その際、切欠きは、好ましくは、切欠き自身よりもわずかに狭い開口を設けられる。この結果として、保持具を締付け係合でシステム構成要素に取り付けることができる。特に、これは、開口の幅が切欠きの幅の70%〜90%の時に当てはまる。好ましくは、切欠きには、曲線又は多角形をたどるエッジが設けられる。また、多角形エッジは、弓形のコーナを有しうる。多角形エッジ構成は、保持具に対するシステム構成要素のねじれをより困難にさせるという長所を有する。
【0017】
好ましくは、保持具は、弾性材料から成るか、又は、この種の材料を設けられる。例えば、保持具をゴムコードとして構成しうる。このコードは、弾性材料、例えばエチレン-プロピレン-ジエン-メチレン(EPDM)、又は、別の適当な弾性変形可能材料から成る。有利には、ゴムコードは、円形断面を有し、かくして切欠きへの挿入が容易になる。その際、保持具、特にゴムコードの断面は、切欠きの断面よりも大きくなる。この結果として、システム構成要素が軸方向に移動することができなくなるように、又は、ねじれることができなくなるように、システム構成要素を保持具に支持することが確実にされる。保持具がしっかりと固定して取り付けられることを確実にするために、前記保持具がチューブ又はホースの形態を有する場合が有利である。その際、保持具は、弾性ジャケットによって囲まれる内部中空空間を有する。この結果として、切欠き間の直径、保持具受け口、及び、保持具の外側直径における差異を、確実に克服することができる。その際、保持具を切欠きに適切に取り付ける必要があり、且つ、当該保持具は、システム構成要素を安全に保持するために、必要な弾性を提示しなければならない。
【0018】
保持具は、好ましくは切欠きに挿入されるべき要素、すなわち、ゴムコードとして構成される一方で、代わりに、それがシステム構成要素の作用突出部の周りに延在するように、前記要素を構成してもよい。この場合、突出部(例えばシステム構成要素の脚部)は、好ましくは、保持具の一部を収容する(動作方向でみて)前部切欠き及び後部切欠きに配置される突出部エッジに、例えば相応するキャッチ突出部(catch projection)を有する。また、この場合、前記構成要素が、受け口、すなわち針ベッドでこの状態に配置され、且つ、ブロックとして前記受け口から取り外され、再び戻される間は、システム構成要素を保持具の助けを借りて互いに対して適切な位置に固定することができる。システム構成要素を洗浄するときに、保持具は、それぞれのシステム構成要素を互いからある距離をおいて保持するので、洗浄液は、システム構成要素の間を妨害されずに流れることができる。洗浄の完了後、針が受け口に再挿入される場合、それらは、互いに対して所要の位置あわせと順序を自動で提供される。保持具が弾性力を有する場合、区分変更も実行することができる。これを達成するために、好ましくは、保持具は横断方向だけでなく、長手方向(ゴムコードを参照すると、これは、前記コード方向である)にも弾性である。その際、保持具が長手方向に伸ばされると、断面の直径は減少し、規定の減少を生じると、再びシステム構成要素を放すことに注意すべきである。
【0019】
本発明の有利な実施形態の更なる詳細は、図面、明細書、又は、従属請求項から生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面は、本発明の例示的な実施形態を図解する。
【0021】
図1は、一例として、編機針2を用いるループ成形機のシステム構成要素1を図解する。編機針2は、図解のためだけに用いられる。本発明を、例えば、シンカー、選択構成要素(selecting components)等の他のシステム構成要素を用いて実施することもできる。
【0022】
編機針2は、ボディ3を有し、当該ボディは、図5に示されるように、ベッド5の案内チャネル4に配置される。ベッド5は、例えば、平床編機の平床、丸編機の編物シリンダー、又は、そのダイヤルである。前記ベッドは、いくつもの隣接する案内チャネル4、4a、4b、4c等を有し、当該案内チャネルで、編機針2、2a、2b、2c等のボディ3、3a、3b、3c等は、それらを長手方向に動かすことができるように保持される。
【0023】
編機針2のボディ3は、シャフト6を有し、前記シャフト端部に、フック7又は別の機能部が設けられる。操作の間、編機針2は、シャフトの長手方向に往復揺動動作を実施する。さらに、ボディ3は、脚部8として構成される突出部を有し、当該突出部は、前記突出部がカムボックスの針案内溝乃至針レース(needle race)と係合して、この長手方向の動作を実施するように機能する。この針レースとベッド5は、互いに関連して動作するので、脚部8は、針レースに沿って滑動する。
【0024】
図5によって示されるように、脚部8(8a、8b、8c)は、それぞれ案内チャネル4、4a、4b、4cから突出する一方で、残りのボディ3は、ベッド5によって、少なくとも大部分を収容される。図1と、特に図3とによって図解されるように、システム構成要素又は編機針2は、例えばスチールから作られる平らな金属シート部である。脚部8は、その幅の細い側面9から離れて延在する。その厚さは、残りのボディ3の厚さにほぼ相応し、当該ボディは、連続して、且つ、間隙無しに、脚部8の平坦な側面部となる二つの平坦側面を有する。
【0025】
好ましくは、脚部8は、それぞれ細い前部エッジと細い後部エッジ10、11とを備えた実質的に長方形の外観を有し、前記エッジは、カムボックスの針レースに接触する。これら針レースは、細い側面9に対して基本的に直角に延在する。さらに、脚部8は、細いエッジ13を備えた使用面12を有する。脚部8は、例えば環状の開口の形態で切欠き14をその中に成形し、当該切欠きは、その使用面12に開口15を有し、その平坦側面に開口する。切欠き14は、エッジ16を有し、当該エッジは、好ましくは丸められ、且つ、エッジ13になるΩ形状に連続して続いていく。したがって、エッジ16は、少なくとも部分において弓形である。さらに、前記エッジ16は、直線に制限される部分を有してもよく、これは、望ましい。
【0026】
好ましくは、開口15は、切欠き14の幅よりも明らかにより狭い。前記切欠きの幅は、エッジ13と平行に測定される。同一方向に測定されるべき開口15の幅は、好ましくは、切欠き14の幅又は直径の70%〜90%の範囲にある。さらに、切欠き14の大きさは、前記切欠きがボディ3の領域にまで及ばないようになっている。したがって、脚部8は、二つの延長部8−1、8−2を有し、当該延長部は、切欠き14の境界になり、且つ、それらが互いに接続されるボディ3を介してボディ3から離れて延在する。
【0027】
切欠き14は、要求どおりに配置されうる。必要性と接近容易性とに基づいて、前記切欠きを突出部8の別の地点に設けえる。例えば、前記切欠きをエッジ10、11に設けえる。
【0028】
図4は、一つ以上のシステム構成要素を一時的に保持する保持具17を示す。図解された例示的な実施形態を参照すると、保持具17は、ゴムコード18、すなわち、例えばEPDMのようなゴム弾性を有する材料からなる(非常に)細い円柱体から成る。円柱体、すなわちフレキシブルな非歪円柱体の長手方向は、コードの長手方向を意味する。ゴムコード18は、好ましくは、円形の断面を有し、その場合、コードの直径は、好ましくは、切欠き14の直径よりも大きい。
【0029】
ゴムコード18とシステム構成要素2、2a、2b、2cとは、共にセット19を形成し、当該セットは、図6においてそれだけで図解されている。示されるように、このセットは、実際にフレキシブルな、しかしながら全体で取扱えるユニットを形成し、それによって、ゴムコード18を必要に応じて編機針2、2a〜2fから分離することもできるし、それと共に接続することもできる。本実施例(図3)において、システム構成要素2、2a〜2fの延長部8−1、8−2は、ゴムコード18のディスク形状断面18aを囲み、前記断面は、切欠き14のより小さな直径に押込まれる。図6によって示されるように、断面18aから変位させられたゴムコード18の材料は、システム構成要素2、2a〜2fの間に余地乃至スペースを見出す。システム構成要素2、2a〜2fは、摩擦係合、及び、確実係合(positive engagement)によってゴムコード上に保持される。
【0030】
保持具17と連動して、システム構成要素は以下のように取扱われる。
【0031】
使用中に、編機針2、2a、2b、2c等は、図5によって示されるように、ベッド5の案内チャネル4、4a、4b、4cに配置される。例えば、システム構成要素2、2a、2b、2cが取り外され、洗浄される場合、ゴムコード18は、そうするために、脚部8、8a、8b、8c等の切込みに挿入される。これを達成するために、前記コードは、開口15を通って押圧され、その場合、前記コードは、弾性様式に押込まれ、且つ、切欠き14で再び部分的に緩まる。このコードの直径(この直径は切欠き14の直径を超過する)のために、前記コードは、切欠き14で予荷重されて取り付けられる。エッジ16は、ゴムコード18と摩擦係合している。ゴムコード18に接続されるシステム構成要素2、2a、2b、2cなどを、(ゴムコード18と共に)ベッド5から直ちに取り外すことが可能であり、その場合、前記構成要素は、互いからある距離をおいて(前記距離は、ベッド5の区分と一致する)、ゴムコード18によって(又は、別の保持具17によって)保持され、所与の配列(順序)で保持される。図6は、ベッド5から取り外されたセット19を示す。当然のことながら、洗浄液は、個々の編機針2、2a、2b、2cなど〜2fの間に浸透することができる。
【0032】
洗浄が完了するとすぐに、編機針2〜2fを再びベッド5に挿入することができる。その後、ゴムコード18を取り外すことができる。その際、編機針2〜2fは、再び有効になる。当初の配列は変化しないままである。すなわち、単一型のシステム構成要素1、2a、2b、2cであろうと、異なったシステム構成要素であろうと、完全な編み機に設備される。
【0033】
互いの間で、編機針2〜2fは、完全に同一デザインを有しうる。しかしながら、これは、絶対に必要というわけではない。記述されるように、例えば、異なった脚部位置を有する異なった編機針を設けることも可能である。完全に装填されて操作される編機を参照すると、異なって構成される編機針は、その際、特定の予め指定された配列に必ず設置される。この配列又は「順序」は、編機針がベッド5から取り外されるとき、及び、再挿入されるときに、維持されなければならない。保持具17は、編機針が前記保持具の助けを借りてベッド5から取り外され、且つ、再挿入される場合に、編機針の配列又は「順序」が維持されることを確実にする。
【0034】
いくつもの脚部又は異なる脚部位置を有する針を図解するために、図2が参照される。図2では、互いの間で完全に同一の構成を有する二つの脚部8、20を備えた編機針が示される。しかしながら、当該脚部を、様々な軸方向位置に配置しえる。例えば、脚部8、20は、基準破断線を介してボディ3に接合してもよく、脚部のどちらか一方の取り外しによって、それぞれのシステム構成要素をカスタマイズすることができる。このようにしてカスタマイズされたシステム構成要素(いくつかの脚部8及び他方の脚部20が、取り外されることを意味する)は、ゴムコード18が挿入されると、かくして様々な軸方向位置で保持され、それによって、隣接する脚部は、やはり互いに整列させられる。ラバーコード18は、セット19がベッド5の外側で操作される場合でさえ、この整列を維持することを確実にする。
【0035】
図7は、システム構成要素1と関連する保持具17との改良された実施形態を示す。上記に説明されるように、システム構成要素1は、ボディ3から離れて延在する脚部8を有する。脚部8は、少なくとも一つの、好ましくは二つの切欠き14a、14bを有し、当該切欠きは、前記脚部の前部エッジ10に又はその後部エッジ11に設けられる。これらの切欠きは、保持具17の収容部分21、22のための係合切欠きとして作用し、当該収容部分は、他方で、例えばプラスチック材料又は薄い鋼から成るU形状係合断面の構成を有する。前記保持具は、脚部8の外形に適合する断面を有し、その場合、前記脚部の延長部23、24(前記延長部は、背面部分25を介して互いに接続される)は、ばねバイアスされて、互いの方へ、又は、互いから離れて動かすことができる。部分21、22は、突出部を形成し、当該突出部は、延長部23、24及び背面部分25によって囲まれる内部空間を幾分締め付け、且つ、切欠き14a、14bに収まる。切欠き14a、14bが針ベッド5の薄片26のエッジ30の下に配置される場合(図9)、保持具17は、薄片26の領域において切欠きを有する。その際、前記保持具は、コームのように構成され(図解せず)、その歯は、切欠き14a、14bに及ぶ。
【0036】
図7にしたがう保持具17を参照すると、同じ外形を有し、互いに隣接して配置されるいくつものシステム構成要素1は、互いからある距離をおいて整列して維持される。さらにまた、ユニットとして取扱うことのできるセット19が形成される。
【0037】
図8は、別の例示的な実施形態を示す。その際、編機針2の構成を有するシステム構成要素1は、針脚部として構成される二つの突出部8及び20を有する。切欠き28は、実質的に、切欠き14に相応し、したがって、切欠き14のだけでなく切欠き28の上記記述が、適用できる。切欠き28は、編機針2の領域に配置され、この領域は、前記針のシャフトに関連付けられる。この領域において、シャフトは、針ベッド5の案内チャネル4の薄片26のエッジ30を越えて突出しないので、薄片26は、切欠き28の領域に露出する。そのようにするために、薄片26は、切欠き27を有する。したがって、切欠き28にゴムコード18を挿入することが可能であり、編機の針ベッド5から順序付けられて、システム構成要素1を取り外すことが可能である。
【0038】
例えば、ループ形成機用の編機針2のようなシステム構成要素は、切欠き14を有し、当該切欠きは、保持具17の部分を収容するために構成される。いくつものこの種のシステム構成要素を、予め規定された配列で、横方向にある距離をおいて、且つ、互いに対して整列して、保持するために、この保持具を切欠きに挟むことが可能である。かくして、互いに一時的に接続されるシステム構成要素を、ユニットとして取扱うことが可能となる。このようにして、当該構成要素を、ベッド5から取り外し、例えば、清掃するために取扱い、同一の配列で、且つ、ベッド5に整列して再配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】編機針として構成されるシステム構成要素の概略側面図である。
【図2】二重脚部編機針として構成されるシステム構成要素の改良された実施形態の概略側面図の詳細である。
【図3】異なった尺度を用いた、図1による編機針の斜視図の詳細である。
【図4】ゴムコードの形態での保持具を備えた、図3による編機である。
【図5】システム構成要素とそこに収容される保持具とを備えたループ成形機のベッドである。
【図6】図5によるベッドから取り外された後のシステム構成要素と保持具とで形成されるユニットである。
【図7】保持具を備えたシステム構成要素の別の実施形態の詳細の概略的な側面図である。
【図8】システム構成要素のシャフト領域で、保持具の収容のための切欠きを有するシステム構成要素の詳細の概略側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 システム構成部品
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f 編機針
3、3a、3b、3c ボディ
4、4a、4b、4c 案内チャネル
5 ベッド
6 シャフト
7 フック
8、8a、8b、8c 脚部
9 幅の細い側面
10、11 エッジ
12 使用面
13 エッジ
14 切欠き
15 開口
16 エッジ
8−1、8−2 延長部
18 ゴムコード
18a 部分
17 保持具
19 セット
20 脚部
21、22 部分
23、24 延長部
25 背面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編物システムのためのシステム構成要素(1)であって、
ループ成形機の案内チャネル(4)への収容のために意図されるボディ(3)を備えて成り、且つ、保持具(17)の少なくとも一部分(18、18a)と一時的に接続するために設けられる少なくとも一つの手段(14)を備えて成る、システム構成要素。
【請求項2】
ボディ(3)が突出部(8)を有し、当該突出部に手段(14)が配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項3】
突出部(8)が脚部であることを特徴とする請求項2に記載のシステム構成要素。
【請求項4】
脚部(8)は、カムボックスを用いてシステム構成要素(1)を駆動するために設けられることを特徴とする請求項2に記載のシステム構成要素。
【請求項5】
手段(14)は、保持具(17)の直径よりも小さな幅を有する開口(15)を備えた開口エッジ切欠き(14)を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項6】
手段(14)は、切欠き(14)の幅よりも小さな幅を有する開口(15)を備えた開口エッジ切欠き(14)を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項7】
開口(15)の幅が、切欠き(14)の幅の70%〜90%であることを特徴とする請求項6に記載のシステム構成要素。
【請求項8】
手段(14)が、円弧をたどるエッジ(16)を有する切欠き(14)であることを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項9】
手段(14)が、多角形をたどるエッジ(16)を有する切欠き(14)であることを特徴とする請求項5に記載のシステム構成要素。
【請求項10】
保持具(17)が、弾性材料から作られる要素であることを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項11】
保持具(17)が、ラバーコード(18)であることを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項12】
保持具(17)が、円形断面を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム構成要素。
【請求項13】
保持具(17)が、切欠き(14)よりも大きな断面を有することを特徴とする請求項4に記載のシステム構成要素。
【請求項14】
少なくとも一つの請求項1に記載のシステム構成要素と、前記システム構成要素に割当てられる保持具(17)とから成るセット。
【請求項15】
請求項1に記載のシステム構成要素を取扱うための方法であって、前記構成要素は編物システムのであり、
システム構成要素(1)は、それらがベッド(5)にいる間は、保持具(17)を用いて取扱うために互いに一時的に接続され、
システム構成要素(1)は、この構成でベッド(5)から取り外され、且つ、ベッド(5)に再挿入され、
保持具(17)は、システム構成要素(1)がそれらのベッド(5)に再挿入されると取り外される、方法。
【請求項16】
保持具(17)が、システム構成要素(1)の切欠き(14)への挿入のために、弾性的に変形させられる、編物システムのシステム構成要素を取扱うための請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−204913(P2007−204913A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−22959(P2007−22959)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】