説明

編組及びワイヤハーネス

【課題】電磁シールド機能の他に外装部材としての機能も有する編組を提供する。また、このような編組を構成に含むワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電磁シールド機能と外装部材の機能を有するために、編組40はこれを構成する素線として次の三種類を含むものとする。すなわち、導電性を有し且つ芯線となる金属素線44と、少なくとも耐摩耗性を有し且つ金属素線44の外側を囲うように配設される複数の樹脂素線45と、導電性を有し且つ樹脂素線45とともに配設されて金属素線44に接するドレン用金属素線46の三種類を含むものとする。編組40は、素線束43を多数用い、この素線束43同士におけるドレン用金属素線46同士を接触させるように編んで形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネス、及びこのワイヤハーネスを構成する編組に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたワイヤハーネスは、複数本の電線と、この複数本の電線を一括して覆う編組とを備えて構成されている。編組は、導電性を有する極細の金属素線を多数用い、これを編んで筒状となる形状に形成されている。編組は、複数本の電線に対し電磁シールド機能を発揮させるために備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−197037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
編組は上記の如く電磁シールド機能を発揮させるためのものであって、編組自体はもともと十分な耐摩耗性や耐衝撃性を有していない。従って、ワイヤハーネスの配索位置によっては編組の外側に外装部材を設ける必要がある。
【0005】
外装部材を設けることは、ワイヤハーネスを構成する部品点数が多くなってしまうことになる。また、部品点数増に伴って重量増及びコスト増にもなってしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、電磁シールド機能の他に外装部材としての機能も有する編組を提供することを課題とする。また、このような編組を構成に含むワイヤハーネスを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の編組は、自動車に配索されるワイヤハーネス用の編組であって、複数の極細の素線の束で形成される素線束を多数用いこれを編んでなる筒状の編組において、前記素線束は、導電性を有し且つ芯線となる金属素線と、少なくとも耐摩耗性を有し且つ前記金属素線の外側を囲うように配設される複数の樹脂素線と、導電性を有し且つ前記樹脂素線とともに配設されて前記金属素線に接するドレン用金属素線とを含み、前記素線束同士は、前記ドレン用金属素線同士が接触することを特徴とする。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、金属素線及びドレン用金属素線からなる部分にて電磁シールド機能を発揮させる一方、樹脂素線からなる部分にて少なくとも耐摩耗性を確保する。樹脂素線は、耐摩耗性を有するもの以外として、耐衝撃性を有するものであってもよいものとする。また、本発明によれば、金属素線の外側を囲うように樹脂素線を配設することから、擦れ(摩耗)や衝撃の影響は樹脂素線の方で受けようになる。つまり、金属素線へは、擦れ(摩耗)や衝撃の影響が及び難くなり、電磁シールド機能は良好に維持される。
【0009】
請求項2に記載の本発明の編組は、請求項1に記載の編組に係り、前記金属素線、前記樹脂素線、及び前記ドレン用金属素線を、単線からなるもの、又は複数の撚り線からなるものとすることを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、例えば樹脂素線を例に挙げると、単線からなるものにすれば、編組にコシを持たせることが可能になる。また、一本の断面積が大きくなり、耐摩耗性を高めることが可能になる。一方、樹脂素線を複数の撚り線からなるものにすれば、撚り線の一本一本が細くなり、編組に柔軟性を持たせることが可能になる。また、柔軟性があれば編組の追従性もよくなり、耐衝撃性を高めることが可能になる。
【0011】
請求項3に記載の本発明の編組は、請求項2に記載の編組に係り、前記金属素線を前記芯線として前記樹脂素線及び前記ドレン用金属素線を撚り合わせることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、撚り合わせをすることにより、各素線の配置に係りバラツキを抑えることが可能になる。また、編組形成時の素線束同士においては、ドレン用金属素線同士の接触をし易くすることが可能になる。
【0013】
請求項4に記載の本発明の編組は、請求項1、2、又は3に記載の編組に係り、前記樹脂素線を高圧系の識別色にて着色することを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、高圧系に用いられる編組であることが一目で分かり、ワイヤハーネスに用いると識別用の別部材を設けなくてもよくなる。
【0015】
また、上記課題を解決するためになされた請求項5に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1、2、3、又は4に記載の編組と、該編組に覆われる一又は複数の高圧導電路とを含むことを特徴とする。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、一又は複数の高圧導電路を覆う編組に電磁シールド機能と外装部材の機能とを持たせてなるワイヤハーネスであり、専用の外装部材は不要である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された本発明によれば、素線を金属素線と樹脂素線とドレン用金属素線の三種を含むようにすることから、電磁シールド機能の他に外装部材としての機能を有する編組を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、金属素線の外側を囲うように樹脂素線を配設することから、金属素線への擦れ(摩耗)や衝撃の影響を及び難くすることができるという効果を奏する。本発明によれば、編組に上記影響が及んでも電磁シールド機能を維持することができるという効果を奏する。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、単線、又は複数の撚り線からなるものとすることから、編組にコシを持たせたり柔軟性を持たせたりすることができるという効果を奏する。また、耐摩耗性を高めたり耐衝撃性を高めることができるという効果を奏する。本発明によれば、目的に応じた仕様の編組にすることができるという効果を奏する。
【0019】
請求項3に記載された本発明によれば、金属素線を芯線として樹脂素線及びドレン用金属素線を撚り合わせることから、各素線の配置に係りバラツキを抑えることができ、また、編組形成時の素線束同士においては、ドレン用金属素線同士の接点を確実にとって導通させることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、機能維持を図ることができるという効果を奏する。
【0020】
請求項4に記載された本発明によれば、樹脂素線を高圧系の識別色にて着色することから、識別用の別部材を設けなくても高圧系に用いられる編組であることを一目で分かるようにすることができるという効果を奏する。
【0021】
請求項5に記載された本発明によれば、一又は複数の高圧導電路を覆う編組に電磁シールド機能と外装部材の機能とを持たせることから、ワイヤハーネスの部品点数増を抑制することができるという効果を奏する。これにより、ワイヤハーネスの重量増及びコスト増も抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の編組及びワイヤハーネスを示す図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す自動車の模式図、(b)は編組及びワイヤハーネスの構成を示す図である。
【図2】編組及びワイヤハーネスの端末部を示す図であり、(a)は端末部の拡大斜視図、(b)は編組を構成する素線束の断面図である。
【図3】編組及びワイヤハーネスの端末部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一又は複数の高圧導電路を覆う編組は、電磁シールド機能の他に外装部材としての機能を有する。電磁シールド機能と外装部材の機能を有するために、編組はこれを構成する素線として次の三種類を含むものとする。すなわち、導電性を有し且つ芯線となる金属素線と、少なくとも耐摩耗性を有し且つ金属素線の外側を囲うように配設される複数の樹脂素線と、導電性を有し且つ樹脂素線とともに配設されて金属素線に接するドレン用金属素線の三種類を含むものとする。
【0024】
編組は、素線束を多数用いこの素線束におけるドレン用金属素線同士の接触が生じるように編んで形成される。
【実施例】
【0025】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の編組及びワイヤハーネスを示す図である。また、図2及び図3は編組及びワイヤハーネスの端末部を示す図である。
【0026】
本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車であってもよいものとする)に本発明のシールド構造及びワイヤハーネスを採用する例を挙げて説明するものとする。
【0027】
図1(a)において、引用符号21はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車21は、エンジン22、フロントモーターユニット23、及びリアモーターユニット24を併用して駆動する車両であって、フロントモーターユニット23はフロントインバータユニット25を介して、また、リアモーターユニット24はリアインバータユニット26を介してバッテリー27(電池パック、組電池)からの電力が供給されるようになっている。エンジン22、フロントモーターユニット23、及びフロントインバータユニット25は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム28に搭載されている。また、リアモーターユニット24、リアインバータユニット26、及びバッテリー27は、後輪等がある自動車後部29に搭載されている(搭載位置は一例であるものとする。尚、バッテリー27に関しては、ハイブリッド自動車21や電気自動車等に使用可能であれば特に限定されないものとする)。
【0028】
フロントモーターユニット23とフロントインバータユニット25は、高圧のワイヤハーネス30により接続されている。また、フロントインバータユニット25とバッテリー27も高圧のワイヤハーネス31により接続されている。さらに、リアモーターユニット24とリアインバータユニット26も高圧のワイヤハーネス32により接続されている。さらにまた、リアインバータユニット26とバッテリー27も高圧のワイヤハーネス33により接続されている。
【0029】
ワイヤハーネス31は、この中間部34が車体床下35の地面側に配索されている。ワイヤハーネス31は、車体床下35に沿って略平行に配索されている。車体床下35は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔(符号省略)が形成されている。この貫通孔は、ワイヤハーネス31の挿通部分となっている。
【0030】
ワイヤハーネス32は、この中間部36が自動車後部29における車体床下37を貫通するように配索されている。ワイヤハーネス32が挿通される貫通孔は、上記ワイヤハーネス31の貫通孔と同様に形成されている。引用符号38は室内を示している。
【0031】
尚、ワイヤハーネス30は、フロントモーターユニット23に接続されることから、また、ワイヤハーネス32は、リアモーターユニット24に接続されることから、モーターケーブルやモーターケーブル装置と呼ばれることもある。
【0032】
以下、本発明に関し、ワイヤハーネス32を例に挙げて説明をするものとする。本発明は、ワイヤハーネス32に限らず、ワイヤハーネス30、31、33にも適用可能であるものとする。
【0033】
図1(b)において、ワイヤハーネス32は、三本の高圧電線39(導電路)と、この三本の高圧電線39を一括して覆いシールドする編組40と、三本の高圧電線39の一端側に設けられるモーター側接続部41と、他端側に設けられるインバータ側接続部42とを備えて構成されている。ワイヤハーネス32は、従来のものと異なり外装部材レスの構成になっている。この理由としては、編組40に耐摩耗性や耐衝撃性を持たせ外装部材としても機能させているからである(詳細については後述する)。
【0034】
図1(b)及び図2において、高圧電線39は、導体及び絶縁体(被覆)を含む高圧の導電路であって、電気的な接続に必要な長さを有するように形成されている。導体は、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は丸形となる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。
【0035】
尚、本実施例においては高圧電線39を用いているが、この限りでないものとする。すなわち、公知のバスバーに絶縁体を設けて高圧の導電路としたもの等を用いてもよいものとする。
【0036】
編組40は、電磁シールド用の筒状部材(電磁波対策用の編組シールド部材)であって、本実施例においては三本の高圧電線39をこの全長にわたって覆うことのできる形状に形成されている。編組40は、三本の高圧電線39に対し電磁シールド機能を発揮させるために備えられている。編組40は、これを構成する素線の一部が耐摩耗性や耐衝撃性を有している。そして、この特性により外装部材としての機能も有するようになっている。以下、編組40について、もう少し詳しく説明をする。
【0037】
編組40は、複数の極細の素線の束で形成される素線束43を多数用いてこれを筒状に編んで形成されている。編組40は、素線束43を周方向に複数並べるように編んで、また、交差し合うように編んで形成されている。本実施例においては、交差し合う素線束43により形成される編み目(図示省略)が小さくなるように編んで形成されている。
【0038】
素線束43は、これを構成する素線として、導電性を有する金属製の金属素線44と、少なくとも耐摩耗性を有する合成樹脂製の樹脂素線45と、導電性を有する金属製のドレン用金属素線46の三種類が用いられている。これら金属素線44、樹脂素線45、及びドレン用金属素線46の三種類は、所定の本数で素線束43内に混在するように用いられている。
【0039】
金属素線44は、素線束43の芯線となる位置に配設されている。また、複数の樹脂素線45は、金属素線44の外側を囲うように配設されている。また、ドレン用金属素線46は、複数の樹脂素線45と一緒に配設され、且つ金属素線44に接するように配設されている。
【0040】
金属素線44としては、軟銅線である金属繊維が一例として挙げられるものとする。金属繊維は、単線44a、又は複数の撚り線44bであるものとする。樹脂素線45としては、PET樹脂からなる樹脂繊維が一例として挙げられるものとする。樹脂繊維は、単線45a、又は複数の撚り線45bであるものとする。ドレン用金属素線46としては、金属素線44と同様に、軟銅線である金属繊維が一例として挙げられるものとする。金属繊維は、単線46a、又は複数の撚り線46bであるものとする。
【0041】
以上のような素線の束である素線束43は、金属素線44が芯線となり、この芯線に対し複数の樹脂素線45及びドレン用金属素線46が撚り合わせられることにより形成されている。本実施例の素線束43は、ロープ撚りにて撚り合わせられて形成されている(一例であるものとする)。
【0042】
尚、素線束43は、金属素線44とドレン用金属素線46とが接触し、且つドレン用金属素線46が外側に露出すれば、撚り合わせの有無は限定されないものとする。また、複数の樹脂素線45にて金属素線44が保護されれば、上記同様に限定されないものとする。
【0043】
樹脂素線45は、高圧系の識別色に着色されている(一例であるものとする)。具体的にはペレットを用いてオレンジ色に着色されている。これは、ワイヤハーネス32が高圧のものであるからである。尚、識別に関しては、編組40の外周を部分的にオレンジ色のテープ巻きをする方法もある。テープ巻きは安価である。
【0044】
以上のような編組40は、この一端及び他端である各端末部47がモーター側接続部41及びインバータ側接続部42の金属シェル48に対し適宜方法で固定されている。本実施例においては、溶接により固定されている(一例であるものとする)。具体的には、図3に示す如く金属シェル48の本体筒部49に対し、この外側に編組40の端部50を挿入し、そして、この挿入後に端部50の周囲を本体筒部49の外面に溶接することにより固定されている。図1(b)及び図2の引用符号51は溶接部を示している。溶接部51は、本体筒部49の外面を一周するように形成されている。
【0045】
尚、上記一周に限らず、周方向に部分的に溶接をするようにしてもよいものとする。また、溶接箇所は、本体筒部49の外面に限らず、固定部52(図3参照)の平面部53であってもよいものとする。平面部53は、本体筒部49の基端部と、固定部52の貫通孔54との間に配置される平面状の部分が該当するものとする。
【0046】
上記の溶接以外としては、公知のシールドリングを用いての加締めによる固定方法や、インサート成型による固定方法等が挙げられるものとする。
【0047】
金属シェル48は、導電性を有する金属製の部品として設けられている。金属シェル48は、これをシールドケース55及び56に固定(ボルト止め)すると、編組40を電気的に接続させることができるようになっている。
【0048】
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、本発明に係る編組40は、ハイブリッド自動車1に配索されるワイヤハーネス32用のものである。また、多数の素線束43を筒状に編んでなるものである。編組40は、導電性を有する金属製の金属素線44と、耐摩耗性等を有する合成樹脂製の複数の樹脂素線45と、導電性を有する金属製のドレン用金属素線46の三種類を含んでおり、金属素線44及びドレン用金属素線46からなる部分で電磁シールド機能を発揮させる一方、樹脂素線45からなる部分で耐摩耗性及び耐衝撃性を確保している。従って、本発明に係る編組40は、従来例と異なり、電磁シールド機能の他に外装部材としての機能を有するという効果を奏する。
【0049】
また、本発明に係る編組40は、素線束43を構成する各素線を単線(44a、45a、46a)、又は複数の撚り線(44b、45b、46b)からなるものとすることから、次のような効果を奏する。すなわち、樹脂素線45を例に挙げてこれを単線45bとすると、編組40にコシを持たせることができるという効果や、一本の断面積が大きくなることから、耐摩耗性を高めることができるという効果を奏する。一方、樹脂素線45を複数の撚り線45bとすると、撚り線45bの一本一本が細くなり、結果、編組40に柔軟性を持たせることができるという効果や、この柔軟性により編組40の追従性をよくして耐衝撃性を高めることができるという効果を奏する。この他、樹脂素線45を単線45a、又は複数の撚り線45bとすることにより、目的に応じた仕様にすることができるという効果を奏する。
【0050】
また、本発明に係る編組40は、素線束43の芯線となる金属素線44の外側を囲うように複数の樹脂素線45を配設することから、擦れ(摩耗)や衝撃の影響を樹脂素線45の方で受けようにすることができるという効果を奏する。つまり、金属素線44へは、擦れ(摩耗)や衝撃の影響を及び難くし、結果、電磁シールド機能を良好に維持することができるという効果を奏する。
【0051】
また、本発明に係る編組40は、金属素線44を芯線として、この芯線に対し複数の樹脂素線45及びドレン用金属素線46を撚り合わせることから、各素線の配置に係りバラツキを素線束43内で抑えることができるという効果を奏する。また、芯線に対し複数の樹脂素線45及びドレン用金属素線46を撚り合わせることから、編組40の形成時における素線束43同士において、ドレン用金属素線46同士の接触を確実にとって導通させることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、機能維持を図ることができるという効果を奏する。
【0052】
また、発明に係る編組40は、素線束43を構成する樹脂素線45を高圧系の識別色(オレンジ色)にて着色することから、識別用の別部材を設けなくても高圧系に用いる編組40やワイヤハーネス32であることを一目で分かるようにすることができるという効果を奏する。
【0053】
この他、本発明に係るワイヤハーネス32に関しては、複数の高圧電線39を覆う編組40に電磁シールド機能と外装部材の機能とを持たせることから、ワイヤハーネス32として部品点数増を抑制することができるという効果や、重量増及びコスト増も抑制することができるという効果を奏する。
【0054】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
21…ハイブリッド自動車(自動車)、 22…エンジン、 23…フロントモーターユニット、 24…リアモーターユニット、 25…フロントインバータユニット、 26…リアインバータユニット、 27…バッテリー、 28…エンジンルーム、 29…自動車後部、 30〜33…ワイヤハーネス、 34、36…中間部、 35、37…車体床下、 38…室内、 39…高圧電線(導電路)、 40…編組、 41…モーター側接続部、 42…インバータ側接続部、 43…素線束、 44…金属素線(素線)、 45…樹脂素線(素線)、 46…ドレン用金属素線(素線)、 47…端末部、 48…金属シェル、 49…本体筒部、 50…端部、 51…溶接部、 52…固定部、 53…平面部、 54…貫通孔、 55、56…シールドケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に配索されるワイヤハーネス用の編組であって、
複数の極細の素線の束で形成される素線束を多数用いこれを編んでなる筒状の編組において、
前記素線束は、導電性を有し且つ芯線となる金属素線と、少なくとも耐摩耗性を有し且つ前記金属素線の外側を囲うように配設される複数の樹脂素線と、導電性を有し且つ前記樹脂素線とともに配設されて前記金属素線に接するドレン用金属素線とを含み、
前記素線束同士は、前記ドレン用金属素線同士が接触する
ことを特徴とする編組。
【請求項2】
請求項1に記載の編組において、
前記金属素線、前記樹脂素線、及び前記ドレン用金属素線を、単線からなるもの、又は複数の撚り線からなるものとする
ことを特徴とする編組。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の編組において、
前記金属素線を前記芯線として前記樹脂素線及び前記ドレン用金属素線を撚り合わせる
ことを特徴とする編組。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の編組において、
前記樹脂素線を高圧系の識別色にて着色する
ことを特徴とする編組。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の編組と、該編組に覆われる一又は複数の高圧導電路とを含む
ことを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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