緩衝材用シート
【課題】簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供すること。
【解決手段】シート1を折り曲げることによって緩衝材3を組み立て可能な緩衝材用シート1。シート1は、第1底面部21と、緩衝面部22と、第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けると共に、第1底面部21には係止片210を形成し、かつ第2底面部には支持穴230を形成してある。シート1を各折り目線4を起点として一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【解決手段】シート1を折り曲げることによって緩衝材3を組み立て可能な緩衝材用シート1。シート1は、第1底面部21と、緩衝面部22と、第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けると共に、第1底面部21には係止片210を形成し、かつ第2底面部には支持穴230を形成してある。シート1を各折り目線4を起点として一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げることによって、緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、柱や梁、テーブル、家具等の種々のエッジ部あるいはコーナ部に、人が衝突した場合、特に乳幼児や子供等が頭部等を打ちつけた場合は怪我や傷を負う場合がある。これに対しては、衝突した際の衝撃を吸収するための緩衝材を上記エッジ部等に配置することが有効であると考えられる。
また、このような用途の緩衝材は半永久的に用いられるわけではないため、低コストで、簡易なものであることが求められる。
【0003】
従来においては、逆に柱や家具等を運搬等する際にこれら自体を保護する部材の提案はあるものの、ぶつかった人等を保護する部材はあまり提案されていない。
例えば、柱等を保護するものとしては、緩衝部材を含んだ保護材が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−51629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような、従来のエッジ部あるいはコーナ部に対し取り付ける保護材は、複数部材から構成されており、例えば、ゴムや合成樹脂等からなる緩衝部材に対し、別部材からなる端面カバーや係止具等を取り付けて、保護材を組み立てる必要がある。
そのため、保護材を構成する部品点数が多く、その取り付けに際しても、かかる構成から組み立て手間を要し、また、その生産性やコスト性についても課題が生じていた。
また、上述したような、ぶつかった人を保護する用途に適しているとは言いがたい。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成してあり、
上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シートにある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成した第1緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とが、各々に形成された上記折り目線の方向が互いに斜めになるように、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面の緩衝面部の間に隣接し、折り目線を介在させて両者を連結するコーナ面とを有しており、
上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、それぞれ、上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成し、ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シートにある(請求項2)。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明の緩衝材用シートを用いて、組み立ててなることを特徴とする緩衝材にある(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明の緩衝材用シートは、上記第1底面部と、少なくとも3面の上記緩衝面部と、上記第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための上記支持穴を形成してある。
【0011】
これによって、一枚のシートからなる最小限の材料によって、簡易な構造で緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートを得ることができる。
また、上記緩衝材用シートの製造においては、上記シート全体をプレス等により打ち抜き、その後に上記折り目線をスジ押し(あるいはその同時加工)するだけで上記緩衝材用シートを製造でき、製造コストを低減できる。そのため、安価に上記緩衝材用シートを製造でき、生産性も向上させることができる。
さらに、上記緩衝材用シートは平板状のため、出荷時、店頭販売時においては、嵩張らず、荷姿がよく、潰れやへこみが最小限に抑えられる。また、出荷時の荷姿が小さく軽量であるため、物流コストも抑えることができる。
【0012】
また、緩衝材を組み立てる際には、上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させるだけで、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【0013】
これによって、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をなした箇所を取付面とした緩衝材を得ることができる。そして、上記緩衝材の上記取付面を、エッジ部等の形状に適宜対応させて貼り付けることにより、上記緩衝材を取り付けることができる。
特に、第1の発明にかかる上記緩衝材用シートから得られる緩衝材は、その全体が長尺状に形成されるため、例えばテーブルのエッジ部等の比較的長い直線状のエッジ部に適したものとなる。
【0014】
また、上記第1の発明にかかる緩衝材用シートから得られる緩衝材は、上述の組み立て構造により、上記シートを上記各折り目線を起点として環状形状とし、その内方においては、上記他方側の端縁部及び上記第2底面部の支持穴から突出した上記係止片がそれぞれ上記緩衝面部側に対向した状態で交差する。すなわち、緩衝材における上記環状形状の内面には、上記緩衝面部側に長手方向に亘って、上記他方側の端縁部及び上記係止片よりなる梁部を形成できる。
【0015】
これによって、上記緩衝材の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、最小限の材料で衝撃荷重を受け止めることができる。そのため、上記緩衝材を取り付けたテーブルのエッジ部等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0016】
第2の発明の緩衝材用シートは、上記第1の発明の緩衝材用シートと同様の構成に形成した第1緩衝部形成面を有する。また、上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面を有する。また、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とを連結するコーナ面を有している。
【0017】
このシートを用い、まずは、上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、上記第1の発明の緩衝材用シートと同様に組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成する。
ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能である。
【0018】
これによって、上記第1の発明と同様、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部には上記取付面が形成され、特に、第2の発明にかかる上記緩衝材用シートから得られる緩衝材は、上記のごとく、その全体が略L字状に形成される。そのため、例えばテーブルのコーナ部に適したものとなる。また、上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部は、それぞれ上記他方側の端縁部及び上記係止片よりなる梁部を内蔵した状態となるので、優れた衝撃吸収性を発揮でき、耐久性も向上できる。
これによって、上記緩衝材を取り付けたテーブルのコーナ部等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0019】
第3の発明は、上記第1の発明または上記第2の発明にかかる緩衝材用シートを用いて、組み立ててなる緩衝材である。これらの緩衝材は上述したごとく、例えばテーブルのエッジ部やコーナ部に対して取り付けることができる。
これによって、上述したごとく、上記緩衝材を取り付けたテーブルのエッジ部やコーナ部に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0020】
以上のごとく、本発明によれば、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1における、緩衝材用シートの平面図。
【図2】実施例1における、緩衝材用シートの組み立て前の展開状態の説明図。
【図3】実施例1における、組み立て時の端縁部の折り返し状態の説明図。
【図4】実施例1における、組み立て時の環状形状を企図した端縁部の折り返し状態の説明図。
【図5】実施例1における、組み立て時の係止片と支持穴の挿嵌状態の説明図。
【図6】実施例1における、組み立て後の緩衝材の説明図。
【図7】実施例1における、組み立て後の緩衝材の底面図。
【図8】実施例1における、組み立て後の緩衝材の取付面の表面角度Aを90度に配した状態の説明図。
【図9】実施例1における、組み立て後の緩衝材の取付面の表面角度Aを90度に配した状態の底面図。
【図10】実施例2における、緩衝材用シートの平面図。
【図11】実施例2における、(a)組み立て後の緩衝材の全体形状の説明図、(b)組み立て後の緩衝材の第1緩衝部の内部構造の説明図。
【図12】実施例3における、緩衝材用シートの平面図。
【図13】実施例3における、(a)組み立て後の緩衝材のコーナ面を正面とした内部構造の説明図、(b)組み立て後の緩衝材の第1緩衝部及び第2緩衝部の内部構造の説明図。
【図14】組み立て後の緩衝材のエッジ部に対する取付状態の説明図。
【図15】組み立て後の緩衝材のコーナ部に対する取付状態の説明図。
【図16】組み立て後の緩衝材のエッジ部及びコーナ部に対する取付状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第2の発明においては、上記コーナ面は、三角形状の第1コーナ面部を備え、該三角形状の2辺に設けられた折り目線を介して、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線を介して、略三角形状の第2コーナ面部が連結されており、該第2コーナ面部には、組み立てられた上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部の端部から内部に差し込む一対の支持片が設けられていることが好ましい(請求項3)。
【0023】
この場合は、第2の発明にかかる上記シートの組み立てにおいて、上記第2コーナ面部に設けられた上記支持片が、上記第1緩衝部及び第2緩衝部の端部から内部に差し込まれることで該第1緩衝部及び第2緩衝部の内面側と面接触し、組み立て後の緩衝材における上記コーナ面の耐久性を向上させることができ、また、略L字状をなす上記緩衝材の全体形状の安定性を向上させることができる。
【0024】
第2の発明においては、上記第1緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出した差込片を形成し、かつ上記第2緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出し、上記差込片を挿入支持するための差込穴を有した受け片を形成することが好ましい(請求項4)。
【0025】
この場合は、第2の発明にかかる上記シートの組み立てにおいて、全体を略L字状に組み立てる際に、上記第1緩衝部形成面の上記差込片を、上記第2緩衝部形成面の上記受け片に形成された上記差込穴からシート全体形状の内方に差し込むことで、上記コーナ面の内方においては、上記受け片及び上記差込穴から突出した上記差込片がそれぞれ上記コーナ面側に対向した状態で交差する。すなわち緩衝材における上記コーナ面の内面には、上記受け片及び上記差込片よりなる梁部を形成できる。
これによって、組み立て後の緩衝材における上記コーナ面の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、また、上記緩衝材の全体形状の安定性を向上させることもできる。
【0026】
第1の発明あるいは第2の発明においては、上記第1底面部と上記第2底面部の表面には、両面テープを配することが好ましい(請求項5)。
この場合は、組み立て後の上記緩衝材を、別途固定具を用いずに容易に取り付けることができ、また、上記緩衝材の取り外しも容易にできる。
【0027】
第1の発明あるいは第2の発明においては、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度が90度となるように配した際に、上記他方側の端縁部の先端と上記環状形状の内面との間及び上記一方側の上記係止片の先端と上記環状形状の内面との間に空間を有することが好ましい(請求項6)。
【0028】
この場合は、上記緩衝材の環状形状の内方には上記空間を有するため、上記緩衝面部に対し衝撃を受けた際、緩衝面部を潰れやすい構造にできる。そのため、上記他方側の端縁部と上記係止片からなる梁部に対しては、上記緩衝面部を介してある程度吸収された衝撃が伝わるため、上記緩衝材の衝撃吸収性を向上させることができる。
また、この場合には、上記空間の存在により、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部との上記角度を90度未満の鋭角状に配することが容易となり、鋭角状のエッジ部等への取り付けが容易となる。
【0029】
第1の発明あるいは第2の発明においては、上記シートはダンボールよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合は、上述した上記緩衝材の衝撃吸収性をより向上させることができ、また材質が安価であり、その加工性の高さから製造コストを低減することができる。そのため、より安価に上記緩衝材用シートを製造できる。
【0030】
また、材質が紙材であるため、はさみ、カッター等で容易に裁断でき、上記緩衝材の長さを容易に調整することができる。
さらに、緩衝材用シートの製造においてはCO2排出量を抑制でき、また、緩衝材用シートの廃棄時には容易に分解、リサイクルが可能である。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
本発明における緩衝材用シート1及び緩衝材3について、図1〜図9及び図14を用いて説明する。
本例の緩衝材用シート1は、図2〜図5に示すように、折り曲げることによって緩衝材3を組み立てることが可能である。
【0032】
緩衝材用シート(以下、単にシートという)1は、図1に示すごとく、一方側の端縁部24を含むように配置された第1底面部21と、第1底面部21から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部22と、緩衝面部22に隣接して他方側の端縁部25を含むように配置された第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けている。また、第1底面部21には一方側の端縁部24から外方に突出した係止片210を形成し、かつ第2底面部23には係止片210を挿入支持するための支持穴230を形成してある。
【0033】
緩衝材3を組み立てる際には、図2〜図5に示すごとく、シート1を各折り目線4を起点として一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、第1底面部21の係止片210を第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【0034】
以下、さらに詳説する。
シート1は、図1に示すごとく、全体が略長方形状をなして形成される。また、同図に示すごとく、シート1の一方面に対して、複数の折り目線4がシート1の長手方向に向かい所定間隔をおいて、かつ平行をなして形成される。また、同図に示すごとく、各折り目線4の間隔は、第1底面部21及び第2底面部23が略同等の幅寸法を有し、かつ緩衝面部22よりも大きい幅寸法を有するように設定され、さらに、緩衝面部22のうち、シート1の幅方向中央に位置する1面の緩衝面部が他面の緩衝面部22より幅寸法が小さくなるよう設定されている。
なお、本例では、図1に示すごとく、緩衝面部22が第1底面部21から連続して3面配置されているが、折り目線4を増やし、緩衝面部22の配置数を3面以上配置しても構わない。
【0035】
また、図1に示すごとく、第1底面部21の係止片210は、その幅寸法が第2底面部23における支持穴230のシート中心側の支持穴端縁部231から他方側の端縁部25までの寸法幅と略同一の幅寸法により形成される。
さらに、係止片210は、支持穴230への挿嵌時に係止片210が係止できる程度に突出した係止部211を有し、係止片210の長手寸法が支持穴230の長手寸法よりも若干大きく形成される。
また、本例では、同図に示すごとく、係止片210及び支持穴230が、シート1の長手方向にそれぞれ2個形成されているが、両者の構成数を対応させて、さらに数を増して形成し、あるいは数を減らして形成しても構わない。
【0036】
さらに、本例では、図1及び図5に示すとおり、第1底面部21と第2底面部23の表面には、両面テープ8が配される。
また、シート1は、ダンボールにより形成される。なお、シート1の材質はなんら限定されるものではなく、例えば、紙材、プラスチック板、プラスチックダンボール、金属板等により構成しても構わない。また、シート1の厚みもなんら限定されるものではなく、厚みが大きいほど緩衝材3の衝撃吸収性を向上させることができるため、用途に応じて、シート1を種々の厚みにより形成しても構わない。
【0037】
以下、緩衝材3の組み立てについて、図2〜図5に従って順番に説明する。
まず、図2に示すごとく、展開状態のシート1を折り目線4の形成面が手前側となるように用意する。次いで、図3に示すごとく、例えば、他方側の端縁部25を有する第2底面部23を、第2底面部23に隣接する折り目線4を起点として折り返して、組み立てを開始する。次いで、図4に示すごとく、一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返しながら、緩衝面部22と隣接する折り目線4をそれぞれ起点として、シート1全体が環状形状となるように、かつ他方側の端縁部25が上記環状形状の内方に向かうように折り返す。
【0038】
次いで、図5に示すごとく、係止片210を有する第1底面部21を、第1底面部21と隣接する折り目線4を起点として折り返し、係止片210を上記折り返した第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させる。これにより、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように緩衝材3を組み立てことができる。
【0039】
なお、本例では、上記の図2〜図5に示すような組み立て順序になんら限定されるものではなく、組み立て開始時において、第1底面部21から折り返し始めても構わない。あるいは、第1底面部21と第2底面部23をシート1両側から、一方側の端縁部24と、他方側の端縁部25とが近づく方向に同時に折り返して組み立て始めても構わない。
つまり、シート1が環状形状に折り返され、係止片210を第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させて、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であればよい。
【0040】
また、図9に示すごとく、組み立て後の第1底面部21と第2底面部23とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度Aが90度となるように配した際に、他方側の端縁部25の先端と環状形状の内面31との間及び一方側の係止片230の先端と環状形状の内面31との間に空間30を有する。
【0041】
次に、本例の作用効果について、説明する。
本例のシート1は、第1底面部21と、少なくとも3面の緩衝面部22と、第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けてなると共に、第1底面部21には係止片210を形成し、かつ第2底面部23には係止片210を挿入支持するための支持穴230を形成してある(図1参照)。
【0042】
これによって、一枚のシートからなる最小限の材料によって、簡易な構造で緩衝材3を組み立て可能なシート1を得ることができる。
また、シート1の製造においては、シート1全体をプレス等により打ち抜き、その後に折り目線4をスジ押し(あるいはその同時加工)するだけでシート1を製造でき、製造コストを低減できる。そのため、安価にシート1を製造でき、生産性も向上させることができる。
さらに、シート1は平板状のため、出荷時、店頭販売時においては、嵩張らず、荷姿がよく、潰れやへこみが最小限に抑えられる。また、出荷時の荷姿が小さく軽量であるため、物流コストも抑えることができる。
【0043】
また、上述したシート1の組み立て構成により、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をなした箇所を取付面32とした緩衝材3を得ることができる(図6〜図9参照)。そして、緩衝材3の取付面32を、エッジ部等の形状に適宜対応させて、緩衝材3を取り付けることができる。
【0044】
また、第1底面部21と第2底面部23の表面には、両面テープ8を配している(図1参照)。これによって、組み立て後の緩衝材3を、別途固定具を用いずに容易に取り付けることができ、又は緩衝材3の取り外しも容易にできる(図6〜図9及び図14参照)。
また、図14に示すごとく、本例のシート1から得られる緩衝材3は、その全体が長尺状に形成されるため、例えばテーブル80のエッジ部81等の比較的長い直線状のエッジ部に適したものとなる。
【0045】
また、本例のシート1から得られる緩衝材3は、上述の組み立て構造により、シート1を各折り目線4を起点として環状形状とし、その内方においては、他方側の端縁部25及び第2底面部23の支持穴230から突出した係止片210がそれぞれ緩衝面部22側に対向した状態で交差する(図7及び図9参照)。
【0046】
すなわち、緩衝材3における環状形状の内面31には、緩衝面部22側に長手方向に亘って他方側の端縁部25及び係止片210よりなる梁部33を形成できる。これによって、緩衝材3の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、最小限の材料で衝撃荷重を受け止めることができる。そのため、図14に示すごとく、緩衝材3を取り付けたテーブル80のエッジ部81等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0047】
また、シート1の幅方向中央に位置する1面の緩衝面部22の幅寸法を、他面の緩衝面部22の幅寸法よりも小さく形成することで、組み立て後の緩衝材3の長手方向に直交する断面形状を略台形状に形成できる。そのため、緩衝面部22の角部を鈍角にすることができ、衝撃の緩衝効果をさらに高めることができる。また、組み立て後の第1底面部21と第2底面部23とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度Aが90度となるように配した際に、他方側の端縁部25の先端と環状形状の内面31との間及び一方側の係止片230の先端と環状形状の内面31との間に空間30を有する(図9参照)。
【0048】
これによって、緩衝材3の環状形状の内方に空間30を有するため、緩衝面部22に対し衝撃を受けた際、緩衝面部22が潰れやすい構造にでき、緩衝材3の衝撃吸収性を向上させることができる。
シート1はダンボールよりなる。これによって、上述した緩衝材3の衝撃吸収性をより向上させることができ、また材質が安価であり、その加工性の高さから製造コストを低減することができる。そのため、より安価に緩衝材用シート1を製造できる。
【0049】
また、材質が紙材であるため、はさみ、カッター等で容易に裁断でき、緩衝材3の長さを容易に調整することができる。
さらに、緩衝材用シート1の製造においてはCO2排出量を抑制でき、また、緩衝材用シート1の廃棄時には簡単に分解し、リサイクルすることができる。
【0050】
以上のごとく、本例によれば、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供できる。
【0051】
(実施例2)
本発明における緩衝材用シート102及び緩衝材302について、図2〜図5、図10、図11、図15及び図16を用いて説明する。
本例のシート102は図11(a)及び(b)に示すように、折り曲げることによって緩衝材302を組み立てることが可能である。
【0052】
シート102は、図10に示すごとく、第1緩衝部形成50と第2緩衝部形成60とがコーナ面7を介して連結され、両者がコーナ面7の中心基点において線対称となる位置に配置されている。また、同図に示すごとく、本例の第1緩衝部形成50及び第2緩衝部形成60のうち、各々の第1底面部21の端縁部26、及び第1底面部21とコーナ面7にと隣接した緩衝面部22との間に形成される各々の緩衝面部22の端縁部26が、第1緩衝部5と第2緩衝部6とを互いに近付く方向に折り返えした際、緩衝材302の全体が略L字状に形成できる程度にテーパカットされている。
【0053】
また、図10に示すごとく、コーナ面7は、三角形状の第1コーナ面部71を備え、三角形状の2辺に設けられた折り目線41を介して、第1緩衝部形成面50と第2緩衝部形成面60とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線42を介して、略三角形状の第2コーナ面部72が連結されている。
【0054】
さらに、同図に示すごとく、第2コーナ面部72には、組み立てられた第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込む一対の支持片720が設けられている。
その他の第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60の構成等は、実施例1と同様である。
【0055】
このシート102を用い、まずは、第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60を、上記実施例1のシート1と同様に組み立て、第1緩衝部5及び第2緩衝部6を各々形成する。ついで、コーナ面7と第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60との間の折り目線41を起点として、第1緩衝部5と第2緩衝部6とが互いに近付く方向に折り返すことにより、図11(a)、(b)に示すごとく、全体を略L字状に形成して組み立て可能である。
【0056】
また、コーナ面7は、三角形状の第1コーナ面部71を備え、三角形状の2辺に設けられた折り目線41を介して、第1緩衝部形成面50と第2緩衝部形成面60とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線42を介して、略三角形状の第2コーナ面部72が連結されており、第2コーナ面部72には、組み立てられた第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込む一対の支持片720が設けられている(図10参照)。
【0057】
これによって、本例のシート102の組み立てにおいて、第2コーナ面部72に形成した支持片720が、第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込まれることで第1緩衝部5及び第2緩衝部6の内面側と面接触し、組み立て後の緩衝材302におけるコーナ面7の耐久性を向上させることができ、また、緩衝材302の全体形状の安定性を向上させることができる。
【0058】
以上のように、第1の発明と同様、第1緩衝部5と第2緩衝部6には取付面32が形成され、特に、本例のシート102から得られる緩衝材302は、上記のごとく、その全体が略L字状に形成される。そのため、図15に示すごとく、例えばテーブル80のコーナ部82に対して取り付けることができる。
また、第1緩衝部5及び第2緩衝部6は、それぞれ他方側の端縁部25及び係止片210よりなる梁部33を内蔵した状態となるので、優れた衝撃吸収性を発揮する。
これによって、緩衝材302を取り付けたテーブル80のコーナ部82等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる(図15参照)。
【0059】
さらに、図16には、実施例1の緩衝材3をテーブル80のエッジ部81に取り付け、さらに本例の発明の緩衝材302をコーナ部82に対して取り付けた組み合わせ例を示す。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0060】
(実施例3)
本例は、図12に示すごとく、第2の発明にかかるシート102について、第1緩衝部形成面50の第2底面部23には端縁部27から外方に突出した差込片232を形成し、かつ第2緩衝部形成面60の第2底面部23には端縁部27から外方に突出し、差込片232を挿入支持するための差込穴234を有した受け片233を形成した例である。
【0061】
本例の場合には、図13(a)、(b)に示すごとく、シート102の組み立てにおいて、全体を略L字状に組み立てる際に、差込片232を受け片233に形成された差込穴234からシート全体形状の内方に差し込むことで、コーナ面7の内方においては、受け片233及び差込穴234から突出した差込片232がそれぞれコーナ面7側に対向した状態で交差する。すなわち、緩衝材302におけるコーナ面7の内面には、受け片233及び差込片232よりなる梁部34を形成できる。
これによって、組み立て後の緩衝材302におけるコーナ面7の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、また、緩衝材302の全体形状の安定性を向上させることもできる。
その他の構成は、実施例2と同様であり、実施例2と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0062】
1 緩衝材用シート
21 第1底面部
210 係止片
22 緩衝面部
23 第2底面部
230 支持穴
24 端縁部
25 端縁部
4 折り目線
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げることによって、緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、柱や梁、テーブル、家具等の種々のエッジ部あるいはコーナ部に、人が衝突した場合、特に乳幼児や子供等が頭部等を打ちつけた場合は怪我や傷を負う場合がある。これに対しては、衝突した際の衝撃を吸収するための緩衝材を上記エッジ部等に配置することが有効であると考えられる。
また、このような用途の緩衝材は半永久的に用いられるわけではないため、低コストで、簡易なものであることが求められる。
【0003】
従来においては、逆に柱や家具等を運搬等する際にこれら自体を保護する部材の提案はあるものの、ぶつかった人等を保護する部材はあまり提案されていない。
例えば、柱等を保護するものとしては、緩衝部材を含んだ保護材が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−51629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような、従来のエッジ部あるいはコーナ部に対し取り付ける保護材は、複数部材から構成されており、例えば、ゴムや合成樹脂等からなる緩衝部材に対し、別部材からなる端面カバーや係止具等を取り付けて、保護材を組み立てる必要がある。
そのため、保護材を構成する部品点数が多く、その取り付けに際しても、かかる構成から組み立て手間を要し、また、その生産性やコスト性についても課題が生じていた。
また、上述したような、ぶつかった人を保護する用途に適しているとは言いがたい。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成してあり、
上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シートにある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成した第1緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とが、各々に形成された上記折り目線の方向が互いに斜めになるように、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面の緩衝面部の間に隣接し、折り目線を介在させて両者を連結するコーナ面とを有しており、
上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、それぞれ、上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成し、ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シートにある(請求項2)。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明の緩衝材用シートを用いて、組み立ててなることを特徴とする緩衝材にある(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明の緩衝材用シートは、上記第1底面部と、少なくとも3面の上記緩衝面部と、上記第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための上記支持穴を形成してある。
【0011】
これによって、一枚のシートからなる最小限の材料によって、簡易な構造で緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートを得ることができる。
また、上記緩衝材用シートの製造においては、上記シート全体をプレス等により打ち抜き、その後に上記折り目線をスジ押し(あるいはその同時加工)するだけで上記緩衝材用シートを製造でき、製造コストを低減できる。そのため、安価に上記緩衝材用シートを製造でき、生産性も向上させることができる。
さらに、上記緩衝材用シートは平板状のため、出荷時、店頭販売時においては、嵩張らず、荷姿がよく、潰れやへこみが最小限に抑えられる。また、出荷時の荷姿が小さく軽量であるため、物流コストも抑えることができる。
【0012】
また、緩衝材を組み立てる際には、上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させるだけで、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【0013】
これによって、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をなした箇所を取付面とした緩衝材を得ることができる。そして、上記緩衝材の上記取付面を、エッジ部等の形状に適宜対応させて貼り付けることにより、上記緩衝材を取り付けることができる。
特に、第1の発明にかかる上記緩衝材用シートから得られる緩衝材は、その全体が長尺状に形成されるため、例えばテーブルのエッジ部等の比較的長い直線状のエッジ部に適したものとなる。
【0014】
また、上記第1の発明にかかる緩衝材用シートから得られる緩衝材は、上述の組み立て構造により、上記シートを上記各折り目線を起点として環状形状とし、その内方においては、上記他方側の端縁部及び上記第2底面部の支持穴から突出した上記係止片がそれぞれ上記緩衝面部側に対向した状態で交差する。すなわち、緩衝材における上記環状形状の内面には、上記緩衝面部側に長手方向に亘って、上記他方側の端縁部及び上記係止片よりなる梁部を形成できる。
【0015】
これによって、上記緩衝材の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、最小限の材料で衝撃荷重を受け止めることができる。そのため、上記緩衝材を取り付けたテーブルのエッジ部等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0016】
第2の発明の緩衝材用シートは、上記第1の発明の緩衝材用シートと同様の構成に形成した第1緩衝部形成面を有する。また、上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面を有する。また、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とを連結するコーナ面を有している。
【0017】
このシートを用い、まずは、上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、上記第1の発明の緩衝材用シートと同様に組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成する。
ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能である。
【0018】
これによって、上記第1の発明と同様、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部には上記取付面が形成され、特に、第2の発明にかかる上記緩衝材用シートから得られる緩衝材は、上記のごとく、その全体が略L字状に形成される。そのため、例えばテーブルのコーナ部に適したものとなる。また、上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部は、それぞれ上記他方側の端縁部及び上記係止片よりなる梁部を内蔵した状態となるので、優れた衝撃吸収性を発揮でき、耐久性も向上できる。
これによって、上記緩衝材を取り付けたテーブルのコーナ部等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0019】
第3の発明は、上記第1の発明または上記第2の発明にかかる緩衝材用シートを用いて、組み立ててなる緩衝材である。これらの緩衝材は上述したごとく、例えばテーブルのエッジ部やコーナ部に対して取り付けることができる。
これによって、上述したごとく、上記緩衝材を取り付けたテーブルのエッジ部やコーナ部に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0020】
以上のごとく、本発明によれば、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1における、緩衝材用シートの平面図。
【図2】実施例1における、緩衝材用シートの組み立て前の展開状態の説明図。
【図3】実施例1における、組み立て時の端縁部の折り返し状態の説明図。
【図4】実施例1における、組み立て時の環状形状を企図した端縁部の折り返し状態の説明図。
【図5】実施例1における、組み立て時の係止片と支持穴の挿嵌状態の説明図。
【図6】実施例1における、組み立て後の緩衝材の説明図。
【図7】実施例1における、組み立て後の緩衝材の底面図。
【図8】実施例1における、組み立て後の緩衝材の取付面の表面角度Aを90度に配した状態の説明図。
【図9】実施例1における、組み立て後の緩衝材の取付面の表面角度Aを90度に配した状態の底面図。
【図10】実施例2における、緩衝材用シートの平面図。
【図11】実施例2における、(a)組み立て後の緩衝材の全体形状の説明図、(b)組み立て後の緩衝材の第1緩衝部の内部構造の説明図。
【図12】実施例3における、緩衝材用シートの平面図。
【図13】実施例3における、(a)組み立て後の緩衝材のコーナ面を正面とした内部構造の説明図、(b)組み立て後の緩衝材の第1緩衝部及び第2緩衝部の内部構造の説明図。
【図14】組み立て後の緩衝材のエッジ部に対する取付状態の説明図。
【図15】組み立て後の緩衝材のコーナ部に対する取付状態の説明図。
【図16】組み立て後の緩衝材のエッジ部及びコーナ部に対する取付状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第2の発明においては、上記コーナ面は、三角形状の第1コーナ面部を備え、該三角形状の2辺に設けられた折り目線を介して、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線を介して、略三角形状の第2コーナ面部が連結されており、該第2コーナ面部には、組み立てられた上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部の端部から内部に差し込む一対の支持片が設けられていることが好ましい(請求項3)。
【0023】
この場合は、第2の発明にかかる上記シートの組み立てにおいて、上記第2コーナ面部に設けられた上記支持片が、上記第1緩衝部及び第2緩衝部の端部から内部に差し込まれることで該第1緩衝部及び第2緩衝部の内面側と面接触し、組み立て後の緩衝材における上記コーナ面の耐久性を向上させることができ、また、略L字状をなす上記緩衝材の全体形状の安定性を向上させることができる。
【0024】
第2の発明においては、上記第1緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出した差込片を形成し、かつ上記第2緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出し、上記差込片を挿入支持するための差込穴を有した受け片を形成することが好ましい(請求項4)。
【0025】
この場合は、第2の発明にかかる上記シートの組み立てにおいて、全体を略L字状に組み立てる際に、上記第1緩衝部形成面の上記差込片を、上記第2緩衝部形成面の上記受け片に形成された上記差込穴からシート全体形状の内方に差し込むことで、上記コーナ面の内方においては、上記受け片及び上記差込穴から突出した上記差込片がそれぞれ上記コーナ面側に対向した状態で交差する。すなわち緩衝材における上記コーナ面の内面には、上記受け片及び上記差込片よりなる梁部を形成できる。
これによって、組み立て後の緩衝材における上記コーナ面の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、また、上記緩衝材の全体形状の安定性を向上させることもできる。
【0026】
第1の発明あるいは第2の発明においては、上記第1底面部と上記第2底面部の表面には、両面テープを配することが好ましい(請求項5)。
この場合は、組み立て後の上記緩衝材を、別途固定具を用いずに容易に取り付けることができ、また、上記緩衝材の取り外しも容易にできる。
【0027】
第1の発明あるいは第2の発明においては、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度が90度となるように配した際に、上記他方側の端縁部の先端と上記環状形状の内面との間及び上記一方側の上記係止片の先端と上記環状形状の内面との間に空間を有することが好ましい(請求項6)。
【0028】
この場合は、上記緩衝材の環状形状の内方には上記空間を有するため、上記緩衝面部に対し衝撃を受けた際、緩衝面部を潰れやすい構造にできる。そのため、上記他方側の端縁部と上記係止片からなる梁部に対しては、上記緩衝面部を介してある程度吸収された衝撃が伝わるため、上記緩衝材の衝撃吸収性を向上させることができる。
また、この場合には、上記空間の存在により、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部との上記角度を90度未満の鋭角状に配することが容易となり、鋭角状のエッジ部等への取り付けが容易となる。
【0029】
第1の発明あるいは第2の発明においては、上記シートはダンボールよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合は、上述した上記緩衝材の衝撃吸収性をより向上させることができ、また材質が安価であり、その加工性の高さから製造コストを低減することができる。そのため、より安価に上記緩衝材用シートを製造できる。
【0030】
また、材質が紙材であるため、はさみ、カッター等で容易に裁断でき、上記緩衝材の長さを容易に調整することができる。
さらに、緩衝材用シートの製造においてはCO2排出量を抑制でき、また、緩衝材用シートの廃棄時には容易に分解、リサイクルが可能である。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
本発明における緩衝材用シート1及び緩衝材3について、図1〜図9及び図14を用いて説明する。
本例の緩衝材用シート1は、図2〜図5に示すように、折り曲げることによって緩衝材3を組み立てることが可能である。
【0032】
緩衝材用シート(以下、単にシートという)1は、図1に示すごとく、一方側の端縁部24を含むように配置された第1底面部21と、第1底面部21から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部22と、緩衝面部22に隣接して他方側の端縁部25を含むように配置された第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けている。また、第1底面部21には一方側の端縁部24から外方に突出した係止片210を形成し、かつ第2底面部23には係止片210を挿入支持するための支持穴230を形成してある。
【0033】
緩衝材3を組み立てる際には、図2〜図5に示すごとく、シート1を各折り目線4を起点として一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、第1底面部21の係止片210を第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能である。
【0034】
以下、さらに詳説する。
シート1は、図1に示すごとく、全体が略長方形状をなして形成される。また、同図に示すごとく、シート1の一方面に対して、複数の折り目線4がシート1の長手方向に向かい所定間隔をおいて、かつ平行をなして形成される。また、同図に示すごとく、各折り目線4の間隔は、第1底面部21及び第2底面部23が略同等の幅寸法を有し、かつ緩衝面部22よりも大きい幅寸法を有するように設定され、さらに、緩衝面部22のうち、シート1の幅方向中央に位置する1面の緩衝面部が他面の緩衝面部22より幅寸法が小さくなるよう設定されている。
なお、本例では、図1に示すごとく、緩衝面部22が第1底面部21から連続して3面配置されているが、折り目線4を増やし、緩衝面部22の配置数を3面以上配置しても構わない。
【0035】
また、図1に示すごとく、第1底面部21の係止片210は、その幅寸法が第2底面部23における支持穴230のシート中心側の支持穴端縁部231から他方側の端縁部25までの寸法幅と略同一の幅寸法により形成される。
さらに、係止片210は、支持穴230への挿嵌時に係止片210が係止できる程度に突出した係止部211を有し、係止片210の長手寸法が支持穴230の長手寸法よりも若干大きく形成される。
また、本例では、同図に示すごとく、係止片210及び支持穴230が、シート1の長手方向にそれぞれ2個形成されているが、両者の構成数を対応させて、さらに数を増して形成し、あるいは数を減らして形成しても構わない。
【0036】
さらに、本例では、図1及び図5に示すとおり、第1底面部21と第2底面部23の表面には、両面テープ8が配される。
また、シート1は、ダンボールにより形成される。なお、シート1の材質はなんら限定されるものではなく、例えば、紙材、プラスチック板、プラスチックダンボール、金属板等により構成しても構わない。また、シート1の厚みもなんら限定されるものではなく、厚みが大きいほど緩衝材3の衝撃吸収性を向上させることができるため、用途に応じて、シート1を種々の厚みにより形成しても構わない。
【0037】
以下、緩衝材3の組み立てについて、図2〜図5に従って順番に説明する。
まず、図2に示すごとく、展開状態のシート1を折り目線4の形成面が手前側となるように用意する。次いで、図3に示すごとく、例えば、他方側の端縁部25を有する第2底面部23を、第2底面部23に隣接する折り目線4を起点として折り返して、組み立てを開始する。次いで、図4に示すごとく、一方側の端縁部24と他方側の端縁部25が近づく方向に折り返しながら、緩衝面部22と隣接する折り目線4をそれぞれ起点として、シート1全体が環状形状となるように、かつ他方側の端縁部25が上記環状形状の内方に向かうように折り返す。
【0038】
次いで、図5に示すごとく、係止片210を有する第1底面部21を、第1底面部21と隣接する折り目線4を起点として折り返し、係止片210を上記折り返した第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させる。これにより、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように緩衝材3を組み立てことができる。
【0039】
なお、本例では、上記の図2〜図5に示すような組み立て順序になんら限定されるものではなく、組み立て開始時において、第1底面部21から折り返し始めても構わない。あるいは、第1底面部21と第2底面部23をシート1両側から、一方側の端縁部24と、他方側の端縁部25とが近づく方向に同時に折り返して組み立て始めても構わない。
つまり、シート1が環状形状に折り返され、係止片210を第2底面部23の支持穴230から環状形状の内方に差し込むように挿嵌させて、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であればよい。
【0040】
また、図9に示すごとく、組み立て後の第1底面部21と第2底面部23とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度Aが90度となるように配した際に、他方側の端縁部25の先端と環状形状の内面31との間及び一方側の係止片230の先端と環状形状の内面31との間に空間30を有する。
【0041】
次に、本例の作用効果について、説明する。
本例のシート1は、第1底面部21と、少なくとも3面の緩衝面部22と、第2底面部23とを、隣り合う各面部の間に折り目線4を介在させて設けてなると共に、第1底面部21には係止片210を形成し、かつ第2底面部23には係止片210を挿入支持するための支持穴230を形成してある(図1参照)。
【0042】
これによって、一枚のシートからなる最小限の材料によって、簡易な構造で緩衝材3を組み立て可能なシート1を得ることができる。
また、シート1の製造においては、シート1全体をプレス等により打ち抜き、その後に折り目線4をスジ押し(あるいはその同時加工)するだけでシート1を製造でき、製造コストを低減できる。そのため、安価にシート1を製造でき、生産性も向上させることができる。
さらに、シート1は平板状のため、出荷時、店頭販売時においては、嵩張らず、荷姿がよく、潰れやへこみが最小限に抑えられる。また、出荷時の荷姿が小さく軽量であるため、物流コストも抑えることができる。
【0043】
また、上述したシート1の組み立て構成により、第1底面部21と第2底面部23とが環状形状の内方に向けて窪む形態をなした箇所を取付面32とした緩衝材3を得ることができる(図6〜図9参照)。そして、緩衝材3の取付面32を、エッジ部等の形状に適宜対応させて、緩衝材3を取り付けることができる。
【0044】
また、第1底面部21と第2底面部23の表面には、両面テープ8を配している(図1参照)。これによって、組み立て後の緩衝材3を、別途固定具を用いずに容易に取り付けることができ、又は緩衝材3の取り外しも容易にできる(図6〜図9及び図14参照)。
また、図14に示すごとく、本例のシート1から得られる緩衝材3は、その全体が長尺状に形成されるため、例えばテーブル80のエッジ部81等の比較的長い直線状のエッジ部に適したものとなる。
【0045】
また、本例のシート1から得られる緩衝材3は、上述の組み立て構造により、シート1を各折り目線4を起点として環状形状とし、その内方においては、他方側の端縁部25及び第2底面部23の支持穴230から突出した係止片210がそれぞれ緩衝面部22側に対向した状態で交差する(図7及び図9参照)。
【0046】
すなわち、緩衝材3における環状形状の内面31には、緩衝面部22側に長手方向に亘って他方側の端縁部25及び係止片210よりなる梁部33を形成できる。これによって、緩衝材3の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、最小限の材料で衝撃荷重を受け止めることができる。そのため、図14に示すごとく、緩衝材3を取り付けたテーブル80のエッジ部81等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる。
【0047】
また、シート1の幅方向中央に位置する1面の緩衝面部22の幅寸法を、他面の緩衝面部22の幅寸法よりも小さく形成することで、組み立て後の緩衝材3の長手方向に直交する断面形状を略台形状に形成できる。そのため、緩衝面部22の角部を鈍角にすることができ、衝撃の緩衝効果をさらに高めることができる。また、組み立て後の第1底面部21と第2底面部23とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度Aが90度となるように配した際に、他方側の端縁部25の先端と環状形状の内面31との間及び一方側の係止片230の先端と環状形状の内面31との間に空間30を有する(図9参照)。
【0048】
これによって、緩衝材3の環状形状の内方に空間30を有するため、緩衝面部22に対し衝撃を受けた際、緩衝面部22が潰れやすい構造にでき、緩衝材3の衝撃吸収性を向上させることができる。
シート1はダンボールよりなる。これによって、上述した緩衝材3の衝撃吸収性をより向上させることができ、また材質が安価であり、その加工性の高さから製造コストを低減することができる。そのため、より安価に緩衝材用シート1を製造できる。
【0049】
また、材質が紙材であるため、はさみ、カッター等で容易に裁断でき、緩衝材3の長さを容易に調整することができる。
さらに、緩衝材用シート1の製造においてはCO2排出量を抑制でき、また、緩衝材用シート1の廃棄時には簡単に分解し、リサイクルすることができる。
【0050】
以上のごとく、本例によれば、簡易な構造かつ生産性の高い安価な緩衝材及びこれを組み立て可能な緩衝材用シートを提供できる。
【0051】
(実施例2)
本発明における緩衝材用シート102及び緩衝材302について、図2〜図5、図10、図11、図15及び図16を用いて説明する。
本例のシート102は図11(a)及び(b)に示すように、折り曲げることによって緩衝材302を組み立てることが可能である。
【0052】
シート102は、図10に示すごとく、第1緩衝部形成50と第2緩衝部形成60とがコーナ面7を介して連結され、両者がコーナ面7の中心基点において線対称となる位置に配置されている。また、同図に示すごとく、本例の第1緩衝部形成50及び第2緩衝部形成60のうち、各々の第1底面部21の端縁部26、及び第1底面部21とコーナ面7にと隣接した緩衝面部22との間に形成される各々の緩衝面部22の端縁部26が、第1緩衝部5と第2緩衝部6とを互いに近付く方向に折り返えした際、緩衝材302の全体が略L字状に形成できる程度にテーパカットされている。
【0053】
また、図10に示すごとく、コーナ面7は、三角形状の第1コーナ面部71を備え、三角形状の2辺に設けられた折り目線41を介して、第1緩衝部形成面50と第2緩衝部形成面60とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線42を介して、略三角形状の第2コーナ面部72が連結されている。
【0054】
さらに、同図に示すごとく、第2コーナ面部72には、組み立てられた第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込む一対の支持片720が設けられている。
その他の第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60の構成等は、実施例1と同様である。
【0055】
このシート102を用い、まずは、第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60を、上記実施例1のシート1と同様に組み立て、第1緩衝部5及び第2緩衝部6を各々形成する。ついで、コーナ面7と第1緩衝部形成面50及び第2緩衝部形成面60との間の折り目線41を起点として、第1緩衝部5と第2緩衝部6とが互いに近付く方向に折り返すことにより、図11(a)、(b)に示すごとく、全体を略L字状に形成して組み立て可能である。
【0056】
また、コーナ面7は、三角形状の第1コーナ面部71を備え、三角形状の2辺に設けられた折り目線41を介して、第1緩衝部形成面50と第2緩衝部形成面60とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線42を介して、略三角形状の第2コーナ面部72が連結されており、第2コーナ面部72には、組み立てられた第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込む一対の支持片720が設けられている(図10参照)。
【0057】
これによって、本例のシート102の組み立てにおいて、第2コーナ面部72に形成した支持片720が、第1緩衝部5及び第2緩衝部6の端部から内部に差し込まれることで第1緩衝部5及び第2緩衝部6の内面側と面接触し、組み立て後の緩衝材302におけるコーナ面7の耐久性を向上させることができ、また、緩衝材302の全体形状の安定性を向上させることができる。
【0058】
以上のように、第1の発明と同様、第1緩衝部5と第2緩衝部6には取付面32が形成され、特に、本例のシート102から得られる緩衝材302は、上記のごとく、その全体が略L字状に形成される。そのため、図15に示すごとく、例えばテーブル80のコーナ部82に対して取り付けることができる。
また、第1緩衝部5及び第2緩衝部6は、それぞれ他方側の端縁部25及び係止片210よりなる梁部33を内蔵した状態となるので、優れた衝撃吸収性を発揮する。
これによって、緩衝材302を取り付けたテーブル80のコーナ部82等に、たとえ乳幼児や子供がぶつかったとしても、衝撃を吸収し、怪我や傷を負うことを防止することができる(図15参照)。
【0059】
さらに、図16には、実施例1の緩衝材3をテーブル80のエッジ部81に取り付け、さらに本例の発明の緩衝材302をコーナ部82に対して取り付けた組み合わせ例を示す。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0060】
(実施例3)
本例は、図12に示すごとく、第2の発明にかかるシート102について、第1緩衝部形成面50の第2底面部23には端縁部27から外方に突出した差込片232を形成し、かつ第2緩衝部形成面60の第2底面部23には端縁部27から外方に突出し、差込片232を挿入支持するための差込穴234を有した受け片233を形成した例である。
【0061】
本例の場合には、図13(a)、(b)に示すごとく、シート102の組み立てにおいて、全体を略L字状に組み立てる際に、差込片232を受け片233に形成された差込穴234からシート全体形状の内方に差し込むことで、コーナ面7の内方においては、受け片233及び差込穴234から突出した差込片232がそれぞれコーナ面7側に対向した状態で交差する。すなわち、緩衝材302におけるコーナ面7の内面には、受け片233及び差込片232よりなる梁部34を形成できる。
これによって、組み立て後の緩衝材302におけるコーナ面7の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができ、また、緩衝材302の全体形状の安定性を向上させることもできる。
その他の構成は、実施例2と同様であり、実施例2と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0062】
1 緩衝材用シート
21 第1底面部
210 係止片
22 緩衝面部
23 第2底面部
230 支持穴
24 端縁部
25 端縁部
4 折り目線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成してあり、
上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項2】
折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成した第1緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とが、各々に形成された上記折り目線の方向が互いに斜めになるように、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面の緩衝面部の間に隣接し、折り目線を介在させて両者を連結するコーナ面とを有しており、
上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、それぞれ、上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成し、ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の緩衝材用シートにおいて、上記コーナ面は、三角形状の第1コーナ面部を備え、該三角形状の2辺に設けられた折り目線を介して、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線を介して、略三角形状の第2コーナ面部が連結されており、該第2コーナ面部には、組み立てられた上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部の端部から内部に差し込む一対の支持片が設けられていることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の緩衝材用シートにおいて、上記第1緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出した差込片を形成し、かつ上記第2緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出し、上記差込片を挿入支持するための差込穴を有した受け片を形成したことを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、上記第1底面部と上記第2底面部の表面には、両面テープを配したことを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度が90度となるように配した際に、上記他方側の端縁部の先端と上記環状形状の内面との間及び上記一方側の上記係止片の先端と上記環状形状の内面との間に空間を有することを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、上記シートはダンボールよりなることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の緩衝材用シートを用いて、組み立ててなることを特徴とする緩衝材。
【請求項1】
折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成してあり、
上記シートを上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項2】
折り曲げることによって緩衝材を組み立て可能な緩衝材用シートであって、
該シートは、一方側の端縁部を含むように配置された第1底面部と、該第1底面部から連続して配置された少なくとも3面の緩衝面部と、該緩衝面部に隣接して他方側の端縁部を含むように配置された第2底面部とを、隣り合う各面部の間に折り目線を介在させて設けてなると共に、上記第1底面部には上記一方側の端縁部から外方に突出した係止片を形成し、かつ上記第2底面部には上記係止片を挿入支持するための支持穴を形成した第1緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と反転形状をなして同一構成を有する第2緩衝部形成面と、
上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とが、各々に形成された上記折り目線の方向が互いに斜めになるように、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面の緩衝面部の間に隣接し、折り目線を介在させて両者を連結するコーナ面とを有しており、
上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面を、それぞれ、上記各折り目線を起点として上記一方側の端縁部と上記他方側の端縁部が近づく方向に折り返して環状形状とし、さらに、上記第1底面部の上記係止片を上記第2底面部の上記支持穴から上記環状形状の内方に差し込むように挿嵌させることにより、上記第1底面部と上記第2底面部とが上記環状形状の内方に向けて窪む形態をとるように組み立て、上記第1緩衝部形成面からなる第1緩衝部及び上記第2緩衝部形成面からなる第2緩衝部を各々形成し、ついで、上記コーナ面と上記第1緩衝部形成面及び上記第2緩衝部形成面との間の上記折り目線を起点として、上記第1緩衝部と上記第2緩衝部とが互いに近付く方向に折り返すことにより、全体を略L字状に形成して組み立て可能であることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の緩衝材用シートにおいて、上記コーナ面は、三角形状の第1コーナ面部を備え、該三角形状の2辺に設けられた折り目線を介して、上記第1緩衝部形成面と上記第2緩衝部形成面とに連結されていると共に、残りの1辺に設けられる折り目線を介して、略三角形状の第2コーナ面部が連結されており、該第2コーナ面部には、組み立てられた上記第1緩衝部及び上記第2緩衝部の端部から内部に差し込む一対の支持片が設けられていることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の緩衝材用シートにおいて、上記第1緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出した差込片を形成し、かつ上記第2緩衝部形成面の第2底面部には端縁部から外方に突出し、上記差込片を挿入支持するための差込穴を有した受け片を形成したことを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、上記第1底面部と上記第2底面部の表面には、両面テープを配したことを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、組み立て後の上記第1底面部と上記第2底面部とを、これらの表面における長手方向に直交する断面の角度が90度となるように配した際に、上記他方側の端縁部の先端と上記環状形状の内面との間及び上記一方側の上記係止片の先端と上記環状形状の内面との間に空間を有することを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の緩衝材用シートにおいて、上記シートはダンボールよりなることを特徴とする緩衝材用シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の緩衝材用シートを用いて、組み立ててなることを特徴とする緩衝材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−12096(P2012−12096A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151849(P2010−151849)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(510185170)株式会社ユニデザイン (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(510185170)株式会社ユニデザイン (1)
【Fターム(参考)】
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