縦型ブラインド
【課題】ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、ボトムコードをバランスウェイトから離脱させて、スラットハンガー取付装置やボトムコード取付装置の破損を防止し、かつボトムコードの復元作業を容易に行い得る縦型ブラインドを提供する。
【解決手段】ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、ボトムコードをバランスウェイトに支持したボトムコード取付装置とを備えた縦型ブラインドにおいて、ボトムコード5aをバランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、スラットハンガーを吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくした。
【解決手段】ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、ボトムコードをバランスウェイトに支持したボトムコード取付装置とを備えた縦型ブラインドにおいて、ボトムコード5aをバランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、スラットハンガーを吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦型ブラインドのバランスウェイトにボトムコードを接続するボトムコード取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦型ブラインドは、ハンガーレール内に多数のランナーが移動可能に支持され、各ランナーにはそれぞれスラットハンガーを介してスラットが吊下支持される。各スラットの下端部にはバランスウェイトが取着されるとともに、隣り合うスラットのバランスウェイトがボトムコードで連結されて、スラット下端部の風等による無用なバタつきを防止するようになっている。
【0003】
特許文献1には、バランスウェイトのケースの両端部に下方へ開口するフックが形成され、そのフックに連結環を介してボトムコードを取着するボトムコード取付装置を備えた縦型ブラインドが開示されている。
【0004】
また、この縦型ブラインドでは、ランナーのスラット吊下軸の下端部に、上方へ開口するフックが形成され、そのフックにスラットハンガーを介してスラットを吊下支持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐249783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された縦型ブラインドでは、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、連結環がフックから速やかに外れるようにすることが望ましい。
しかし、バランスウェイトが傾かないと連結環がフックから外れ難いため、過大な引張り力によりスラットやスラットハンガー、あるいはランナー等が破損することがあるという問題点がある。
【0007】
ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用すると、バランスウェイトからのボトムコードの離脱に先だってスラットハンガーがスラット吊下軸から外れる可能性もある。
すると、スラットハンガーを天井面近傍等の高い位置にあるスラット吊下軸にあらためて取付ける必要があるため、その作業が煩雑である。
【0008】
この発明の目的は、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、ボトムコードをバランスウェイトから離脱させて、スラットハンガー取付装置やボトムコード取付装置の破損を防止し、かつボトムコードの復元作業を容易に行い得る縦型ブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、
前記各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、前記ボトムコードを前記バランスウェイトに支持したボトムコード取付装置とを備えた縦型ブラインドにおいて、前記ボトムコード取付装置において、前記ボトムコードを前記バランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、前記スラットハンガー取付装置において前記スラットハンガーを前記吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくした。
【0010】
請求項2では、前記ボトムコード取付装置は、前記バランスウェイトのケース側縁に弾性を有する合成樹脂で形成したフックと、前記ボトムコードに取着され、前記フックに弾性的に係合可能とした連結リングとを備えた。
【0011】
請求項3では、前記フックを前記ケースから下方に向かって突出し、前記フックの先端には前記ケースの側縁に向かって突出する突部を設け、前記連結リングを金属の線材で形成し、前記突部と前記ケースの側縁との間隔を前記連結リングの線材の直径より小さくした。
【0012】
請求項4では、前記フックを前記スラットで覆った。
請求項5では、前記フックの上面を水平面とし、前記スラットハンガーの支軸を支持する吊下軸の掛止部の上面には、前記支軸に係合する保持突部を備えた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、ボトムコードをバランスウェイトから離脱させて、スラットハンガー取付装置やボトムコード取付装置の破損を防止し、かつボトムコードの復元作業を容易に行い得る縦型ブラインドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】縦型ブラインドを示す正面図である。
【図2】スラットハンガー取付装置を示す断面図である。
【図3】スラットハンガーを示す斜視図である。
【図4】スラットハンガーと吊下軸を示す分解斜視図である。
【図5】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図6】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図7】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図8】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図9】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図10】バランスウェイトを示す正面図である。
【図11】ボトムコード取付装置を示す断面図である。
【図12】ボトムコード取付装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す縦型ブラインドは、ハンガーレール1内に多数のランナー2が移動可能に支持され、各ランナー2からそれぞれスラット3が吊下支持されている。
【0016】
前記多数のランナー2の一側において、前記ハンガーレール1から操作棒4が垂下され、その操作棒4はハンガーレール1に沿って移動可能に支持されている。そして、操作棒4をハンガーレール1に沿って移動させると、先頭ランナー2aが同方向に移動され、先頭ランナー2aの移動にともなって後続のランナー2が同方向に移送される。
【0017】
従って、図1において操作棒4をハンガーレール1の左端側に移動させると、先頭ランナー2aが同方向に移動され、後続のランナー2が等間隔を隔ててハンガーレール1の左端側に順次移送される。この結果、スラット3が等間隔を隔てて順次引き出される。
【0018】
また、操作棒4をハンガーレール1の右端側に移動させると、先頭ランナー2aにより後続のランナー2が順次押し戻され、スラット3がハンガーレール1の右端側に畳み込まれる。
【0019】
また、前記操作棒4を回動操作すると前記ハンガーレール1内に回転可能に支持される後記角度調節軸10が回転され、その角度調節軸10の回転にともなって各スラット3が同位相で回動されるにようになっている。
【0020】
前記各スラット3の下端部にはバランスウェイト5が吊下支持され、各バランスウェイト5はボトムコード5aで連結されて、風等によりスラット3のバタつきを防止するようになっている。
【0021】
次に、前記各スラット3をランナー2,2aに吊下支持するためのスラットハンガー取付装置について説明する。前記ランナー2及び先頭ランナー2aについて、スラットハンガー取付装置は同一構成であるので、ランナー2について説明する。
【0022】
前記ランナー2は、図2において、その中央部から一側にかけて上方に開口した中空状の直方体部53として形成され、その直方体部53の側壁54に形成された軸受孔(図示しない)にウォーム9が回転可能に支持されている。前記ウォーム9は、軸受孔に対しウォーム9の径方向及び回転軸方向に若干のクリアランスを設けて支持されている。
【0023】
前記ケース6の中央部において、前記直方体部53には弾性を有する合成樹脂で形成された吊下軸7がその軸心を上下方向として軸受部に11回転可能に支持され、その吊下軸7の上部に前記ウォーム9に噛み合うウォームホィール8が常には相対回転不能に嵌合されている。
【0024】
前記直方体部53の側壁54の間隔は、前記ウォームホィール8の直径より若干狭く形成されている。そして、側壁54にはウォームホィール8の外周面に沿って抉られた保持部55が形成され、その保持部55間でウォームホィール8が回転可能に支持されている。
【0025】
前記ウォーム9の中心部には、角度調節軸10が軸方向に相対移動可能に、かつ相対回転不能に挿通されている。従って、角度調節軸10が回転されると、ウォーム9及びウォームホィール8を介して吊下軸7が回転される。
【0026】
前記吊下軸7の上端部は二股状に形成されるとともに、その二股部分の先端には吊下軸7の径方向両側に楔状に突出するストッパー部41が形成されている。前記ウォームホィール8は中心部に貫通孔42を備えた筒状に形成されている。
【0027】
そして、前記貫通孔42に前記ストッパー部41を縮径方向に撓ませながら挿入し、貫通孔42の一端側(図2において上端側)にストッパー部41を露出させると、ストッパー部41がウォームホィール8の一方の端縁に係合する。すると、吊下軸7の長手方向中間部に設けられたフランジ部43とストッパー部41との間で、ウォームホィール8が吊下軸7に対し軸方向に相対移動不能に支持される。
【0028】
前記ウォームホィール8は、上部外周面にウォーム9と噛み合う歯が形成され、下部はその歯先と同一の外形を備えた円筒状に形成されて、その境界部に段差44が形成されている。そして、吊下軸7がケース6に対し上方へ移動しようとすると、段差44がウォーム9の歯に係合するため、吊下軸7が容易には上方へ抜けないようになっている。
【0029】
前記吊下軸7のフランジ部43の下面には、中心に対し90度の範囲でフランジ部43を肉厚とする被回転規制部45が形成されている。また、前記軸受部11には前記被回転規制部45に当接する回転規制部46が形成されている。
【0030】
そして、被回転規制部45及び回転規制部46の作用により、スラット3が全閉状態から逆全閉状態まで回動されるときの吊下軸7の回動範囲が設定されている。
前記吊下軸7のフランジ部43の上部には、径方向に突出して前記ウォームホィール8の内周面との間の摩擦を確保する摩擦生成部47が形成されている。そして、摩擦生成部47とウォームホィール8の内周面との間に生成される摩擦により、常には吊下軸7とウォームホィール8とが一体に回転される。
【0031】
また、スラット3が全閉状態あるいは逆全閉状態まで回動された後、ウォーム9が同方向にさらに回転されると、ウォームホィール8が吊下軸7に対し空回りするようになっている。従って、スラット3の角度が不揃いであるときは、角度調節軸10を回動操作し続ければ、全てのスラット3が全閉方向あるいは逆全閉状態まで回動される。
【0032】
前記ランナー2は、ケース6の両側において水平方向に延びるローラー軸48にローラー49が回転可能に支持され、そのローラー49が前記ハンガーレール1の内側面に突出されるリブ50を案内レールとしてハンガーレール1内を移動するようになっている。
【0033】
図2において、前記ランナー2のケース6の左右両側には、操作コード51を挿通可能とした透孔52が形成されている。ハンガーレール1内で周回可能に引き回される操作コードでランナー2の移送操作を行うコード操作仕様の縦型ブラインドでは、この透孔52に操作コード51が挿通される。
【0034】
前記吊下軸7は、前記ウォームホィール8を嵌合した状態でケース6の軸受部11に上方から挿入される。ウォーム9は径方向及び軸方向に若干のクリアランスを設けてケース6に支持されているので、ウォームホィール8はウォーム9を押しのけながらウォーム9に嵌合する。
【0035】
また、ウォーム9はその外周面に螺旋状に連なる歯が形成され、その歯にウォームホィール8の歯が噛み合っているので、その噛み合いにより常にはウォームホィール8の上方への抜けが防止されている。
【0036】
吊下軸7をケース6から取り外すには、吊下軸7を上方へ押し上げる。すると、ウォームホィール8がウォーム9を押しのけながら上方へ移動してウォーム9から外れ、吊下軸7を上方へ抜き取り可能となる。
【0037】
前記吊下軸7の下端部には前記スラット3を吊下支持するためのフック12が形成されている。前記フック12は下方に向かって開口する二股状に形成されて、支持片13と案内片14が形成されている。
【0038】
前記支持片13は、前記案内片14より長く形成され、図2及び図4に示すように、その下端部には案内片14に向かって突出する突部15が形成されている。
前記突部15の上方には、同じく案内片14に向かって突出する掛止部16が形成されている。従って、前記突部15と掛止部16との間が溝状となっている。また、前記掛止部16の上面は、前記ランナー2がハンガーレール1に支持されている状態でほぼ水平方向となるように形成されるとともに、その先端側には上方に山形に突出する保持突部34が形成されている。
【0039】
前記案内片14の下端部には、前記掛止部16のやや上方から下方に位置する部分の肉厚を薄くする段差部17が形成されている。そして、段差部17の上方には垂直面18に続いて、前記支持片13との間隔を徐々に狭くする斜面19が形成されている。
【0040】
従って、掛止部16の上方において、支持片13と案内片14との間に形成される空間の幅は、中間部から上部に向かって徐々に狭くなっている。
前記スラット3を前記フック12に吊下支持するためのスラットハンガー20は、図3に示すように、合成樹脂で長板状に形成され、その両端には鍔状の抜け止め21が形成されている。
【0041】
前記スラットハンガー20の中央部には、上方に開口する取付溝22が形成され、その取付溝22の上部には取付溝22の対向する側面を連結する断面円形の支軸23が形成されている。前記支軸23の直径は、前記支持片13の掛止部16と案内片14との間隙より大きい径となっている。また、取付溝22の周縁部は、前記抜け止め21と同様に、スラットハンガー20の厚さ方向に鍔状に突出する位置ずれ防止部24が形成されている。
【0042】
前記取付溝22の底面には、上方に突出する突条25が形成され、その突条25の上端部にはスラットハンガー20の厚さ方向に突出して、前記吊下軸7の突部15に係合可能とした突部26が2箇所形成されている。
【0043】
前記スラット3の上端部には、折り返して縫製することにより袋状部27が形成され、その袋状部27に前記スラットハンガー20が挿通される。前記袋状部27の中央部には、スラットハンガー20の取付溝22を露出させるためのくり抜き孔28が形成されている。
【0044】
図10に示すように、前記バランスウェイト5のケース29の上部両側には下方に延びるフック30が形成され、そのフック30の先端部はケース29の側縁に向かって楔状に突出する突部31が形成されている。
【0045】
前記ボトムコード5aには金属の線材を折り曲げて形成した多数の連結リング32が等間隔に取着され、各連結リング32が各スラット3のバランスウェイト5のフック30に支持されている。
【0046】
前記突部31とケース29の側縁との間隔は、前記連結リング32の線材の直径より若干狭く形成されている。そして、連結リング32をフック30に取り付けるには、連結リング32を突部31とケース29の側縁との間に下方から挿入して、図11に示すように、連結リング32を突部31の上面33に保持させる。すると、ボトムコード5aが連結リング32を介してフック30に吊下支持される。
【0047】
前記突部31の上面33は、スラット3が垂直方向に吊下支持されている状態では、水平面若しくはケース29の側縁に向かって僅かに下がる斜面となるように形成されている。また、突部31の先端部は曲面状となるように形成されている。
【0048】
前記バランスウェイト5のケース29にはスラット3の下端部が巻回されて保持され、スラット3の下端部にバランスウェイト5が保持される。前記フック30は、ケース29に巻回されるスラット3で覆われるように位置し、外光による劣化が防止されるようになっている。
【0049】
このように構成されたボトムコード取付装置では、ボトムコード5aに下方(図11に示す矢印A方向)への過大な引張り力が作用すると、図12に示すように、連結リング32が突部31の先端側に移動し、突部31とケース29の側縁との間に侵入する。そして、フック30を矢印Bに撓ませながら突部31から離脱する。
【0050】
このとき、連結リング32がフック30から離脱する引張り力が、前記スラットハンガー取付装置の支軸23が吊下軸7から離脱する引張り力より小さくなるように、突部31とケース29の側縁との間隔や、フック30の撓み易さが設定されている。
【0051】
次に、上記のように構成されたスラットハンガー取付装置と、ボトムコード取付装置の作用を説明する。
スラット3をランナー2,2aに吊下支持するには、図5に示すように、まず支軸23を掛止部16と案内片14との間にあてがって上方へ押し上げる。
【0052】
すると、図5に鎖線で示すように、案内片14が撓んで支持片13との間隔が拡大され、図2に示すように、支軸23が掛止部16を乗り越えて、掛止部16の上面に支持される状態となる。
【0053】
この状態では、スラット3がスラットハンガー20を介して吊下軸7に吊下支持され、吊下軸7の回転に基づいて回動される。
スラット3をランナー2,2aから取り外すには、図6に示すように、スラットハンガー20を上方へ押し上げて支軸23を支持片13と案内片14との間に形成される空間の上部に移動させる。
【0054】
次いで、図7に示すように、スラットハンガー20を矢印方向に傾けると、スラットハンガー20の突部26が支持片13の突部26に係合して、スラットハンガー20の回動支点となる。そして、スラットハンガー20を傾けると案内片14が支軸23により押圧されて撓み、その反作用により支持片13も撓んで支軸23が下方へ移動する。
【0055】
次いで、支軸23が段差部17より下方に達すると、支軸23が同方向へ回動し易くなり、支軸23と案内片14との係合が外れて、図8に示すように、スラットハンガー20が吊下軸7から外れる。
【0056】
また、ランナー2,2aに吊下支持されたスラット3に対し下方へ過大な引張り力が作用すると、支持片13及び案内片14の弾性により、掛止部16と案内片14との間隔が拡大され、支軸23が下方へ外れる。従って、スラット3やスラットハンガー20あるいはランナー2,2aを破損することなくスラット3がランナー2,2aから外れる。
【0057】
ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、フック30から連結リング32が外れる。この時、ボトムコード5aに作用する引張り力が、ボトムコード5aからスラット3を介して支軸23に作用しても、支軸23の吊下軸7からの離脱に先立って連結リング32がフック30から外れる。
【0058】
従って、ボトムコード5aに作用する引張り力では、スラットハンガー20が吊下軸7から脱落することはない。
また、フック30から外れた連結リング32を、再度フック30に掛装すれば、スラット3の下端部をボトムコード5aで連結する状態に復帰させることができる。
【0059】
上記のように構成された縦型ブラインドでは、次に示す効果を得ることができる。
(1)スラットハンガー20をランナー2,2aの吊下軸7に対し下方から挿入して取り付けることができる。
(2)スラット3に下方への過大な引張り力が作用すると、ランナー2,2a、スラットハンガー20及びスラット3を破損することなく、スラット3をランナー2,2aから外すことができる。
(3)ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、バランスウェイト5のフック30から連結リング32が弾性的に離脱する。従って、ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用しても、スラット3やスラットハンガー取付装置が破損されることはない。
(4)ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、スラットハンガー20の吊下軸7からの脱落に先だって、ボトムコード5aをバランスウェイト5のフック30から離脱させることができる。従って、ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用したときには、連結リング32だけがフック30から離脱するので、復帰作業が容易となる。
(5)スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すとき、スラットハンガー20の突部26を支持片13下端の突部15に係合させて、スラットハンガー20の回動支点を確保することができる。従って、スラットハンガー20を回動させて支軸23で案内片14を容易に撓ませて、スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すことができる。
(6)スラットハンガー20の突部26は、表裏両面方向に対称状に形成されているので、スラットハンガー20をフック12に取り付ける際、スラットハンガー20の取付方向は表裏いずれの方向でも同様に行うことができる。
(7)支持片13の下端を案内片14の下端より下方に位置させたので、スラットハンガー20を上方へ押し上げてスラットハンガー20の突部26を支持片13の突部15に係合させるとき、スラットハンガー20を突部15の反対側に傾けても、突部26に当接するものはない。従って、スラットハンガー20を傾ける方向は、突部26に当接する支持片側13に一義的に容易に判断可能であるので、スラット3の取り外し操作を容易に行うことができる。
(8)支持片13の下端部は段差部17を介して肉薄となっているので、支軸23が段差部17より下方に達すると、支軸23の回動操作をさらに軽微な操作力で行うことができる。従って、スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すための支軸23の回動操作を容易に行うことができる。
(9)支持片13及び案内片14を、スラットハンガー20を吊り下げた状態での回動時に、スラットハンガー20の突条25に当接しない長さとしたので、図9に示すように、風等によりスラット3が揺動してスラットハンガー20が回動されても、案内片14がスラットハンガー20で撓まされることはない。従って、風等によるスラット3が揺動した場合、あるいはスラット3が斜め下方に引っ張られても、スラットハンガー20及びスラット3の脱落を防止することができる。
(10)支持片13及び案内片14を、スラットハンガー20を吊り下げた状態での回動時に、スラットハンガー20の取付溝22の下面(突条25の上面)に当接しない長さとしたので、スラットハンガー20を、吊下軸7に対し180度以上回動させることができるとともに、180度以上回動しても吊下軸7から外れない。
(11)掛止部16の上面に設けた保持突部34により、支軸23が掛止部16から脱落するスラット3への引っ張り力を大きくして、支軸23を掛止部16から外れ難くすることができる。
(12)フック30がスラット3で覆われているので、太陽光の照射による樹脂の劣化を抑制して、フック30の機械的な強度低下を抑制することができる。
【0060】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・突部15,26はいずれか一方を突部とし、他方を凹部とすればよい。
・ボトムコードをバランスウェイトに取着する構成は、連結リングをフックに掛装する構成以外に、ボトムコードとバランスウェイトとを互いに弾性的に嵌合する嵌合部材で連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…ハンガーレール、2,2a…ランナー、3…スラット、5…バランスウェイト、5a…ボトムコード、7…吊下軸、20…スラットハンガー、29…ケース、30…フック、31…嵌合部材(突部)、32…嵌合部材(連結リング)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦型ブラインドのバランスウェイトにボトムコードを接続するボトムコード取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦型ブラインドは、ハンガーレール内に多数のランナーが移動可能に支持され、各ランナーにはそれぞれスラットハンガーを介してスラットが吊下支持される。各スラットの下端部にはバランスウェイトが取着されるとともに、隣り合うスラットのバランスウェイトがボトムコードで連結されて、スラット下端部の風等による無用なバタつきを防止するようになっている。
【0003】
特許文献1には、バランスウェイトのケースの両端部に下方へ開口するフックが形成され、そのフックに連結環を介してボトムコードを取着するボトムコード取付装置を備えた縦型ブラインドが開示されている。
【0004】
また、この縦型ブラインドでは、ランナーのスラット吊下軸の下端部に、上方へ開口するフックが形成され、そのフックにスラットハンガーを介してスラットを吊下支持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐249783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された縦型ブラインドでは、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、連結環がフックから速やかに外れるようにすることが望ましい。
しかし、バランスウェイトが傾かないと連結環がフックから外れ難いため、過大な引張り力によりスラットやスラットハンガー、あるいはランナー等が破損することがあるという問題点がある。
【0007】
ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用すると、バランスウェイトからのボトムコードの離脱に先だってスラットハンガーがスラット吊下軸から外れる可能性もある。
すると、スラットハンガーを天井面近傍等の高い位置にあるスラット吊下軸にあらためて取付ける必要があるため、その作業が煩雑である。
【0008】
この発明の目的は、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、ボトムコードをバランスウェイトから離脱させて、スラットハンガー取付装置やボトムコード取付装置の破損を防止し、かつボトムコードの復元作業を容易に行い得る縦型ブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、
前記各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、前記ボトムコードを前記バランスウェイトに支持したボトムコード取付装置とを備えた縦型ブラインドにおいて、前記ボトムコード取付装置において、前記ボトムコードを前記バランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、前記スラットハンガー取付装置において前記スラットハンガーを前記吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくした。
【0010】
請求項2では、前記ボトムコード取付装置は、前記バランスウェイトのケース側縁に弾性を有する合成樹脂で形成したフックと、前記ボトムコードに取着され、前記フックに弾性的に係合可能とした連結リングとを備えた。
【0011】
請求項3では、前記フックを前記ケースから下方に向かって突出し、前記フックの先端には前記ケースの側縁に向かって突出する突部を設け、前記連結リングを金属の線材で形成し、前記突部と前記ケースの側縁との間隔を前記連結リングの線材の直径より小さくした。
【0012】
請求項4では、前記フックを前記スラットで覆った。
請求項5では、前記フックの上面を水平面とし、前記スラットハンガーの支軸を支持する吊下軸の掛止部の上面には、前記支軸に係合する保持突部を備えた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボトムコードに下方への過大な引張り力が作用したとき、ボトムコードをバランスウェイトから離脱させて、スラットハンガー取付装置やボトムコード取付装置の破損を防止し、かつボトムコードの復元作業を容易に行い得る縦型ブラインドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】縦型ブラインドを示す正面図である。
【図2】スラットハンガー取付装置を示す断面図である。
【図3】スラットハンガーを示す斜視図である。
【図4】スラットハンガーと吊下軸を示す分解斜視図である。
【図5】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図6】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図7】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図8】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図9】スラットハンガーの取付操作を示す断面図である。
【図10】バランスウェイトを示す正面図である。
【図11】ボトムコード取付装置を示す断面図である。
【図12】ボトムコード取付装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す縦型ブラインドは、ハンガーレール1内に多数のランナー2が移動可能に支持され、各ランナー2からそれぞれスラット3が吊下支持されている。
【0016】
前記多数のランナー2の一側において、前記ハンガーレール1から操作棒4が垂下され、その操作棒4はハンガーレール1に沿って移動可能に支持されている。そして、操作棒4をハンガーレール1に沿って移動させると、先頭ランナー2aが同方向に移動され、先頭ランナー2aの移動にともなって後続のランナー2が同方向に移送される。
【0017】
従って、図1において操作棒4をハンガーレール1の左端側に移動させると、先頭ランナー2aが同方向に移動され、後続のランナー2が等間隔を隔ててハンガーレール1の左端側に順次移送される。この結果、スラット3が等間隔を隔てて順次引き出される。
【0018】
また、操作棒4をハンガーレール1の右端側に移動させると、先頭ランナー2aにより後続のランナー2が順次押し戻され、スラット3がハンガーレール1の右端側に畳み込まれる。
【0019】
また、前記操作棒4を回動操作すると前記ハンガーレール1内に回転可能に支持される後記角度調節軸10が回転され、その角度調節軸10の回転にともなって各スラット3が同位相で回動されるにようになっている。
【0020】
前記各スラット3の下端部にはバランスウェイト5が吊下支持され、各バランスウェイト5はボトムコード5aで連結されて、風等によりスラット3のバタつきを防止するようになっている。
【0021】
次に、前記各スラット3をランナー2,2aに吊下支持するためのスラットハンガー取付装置について説明する。前記ランナー2及び先頭ランナー2aについて、スラットハンガー取付装置は同一構成であるので、ランナー2について説明する。
【0022】
前記ランナー2は、図2において、その中央部から一側にかけて上方に開口した中空状の直方体部53として形成され、その直方体部53の側壁54に形成された軸受孔(図示しない)にウォーム9が回転可能に支持されている。前記ウォーム9は、軸受孔に対しウォーム9の径方向及び回転軸方向に若干のクリアランスを設けて支持されている。
【0023】
前記ケース6の中央部において、前記直方体部53には弾性を有する合成樹脂で形成された吊下軸7がその軸心を上下方向として軸受部に11回転可能に支持され、その吊下軸7の上部に前記ウォーム9に噛み合うウォームホィール8が常には相対回転不能に嵌合されている。
【0024】
前記直方体部53の側壁54の間隔は、前記ウォームホィール8の直径より若干狭く形成されている。そして、側壁54にはウォームホィール8の外周面に沿って抉られた保持部55が形成され、その保持部55間でウォームホィール8が回転可能に支持されている。
【0025】
前記ウォーム9の中心部には、角度調節軸10が軸方向に相対移動可能に、かつ相対回転不能に挿通されている。従って、角度調節軸10が回転されると、ウォーム9及びウォームホィール8を介して吊下軸7が回転される。
【0026】
前記吊下軸7の上端部は二股状に形成されるとともに、その二股部分の先端には吊下軸7の径方向両側に楔状に突出するストッパー部41が形成されている。前記ウォームホィール8は中心部に貫通孔42を備えた筒状に形成されている。
【0027】
そして、前記貫通孔42に前記ストッパー部41を縮径方向に撓ませながら挿入し、貫通孔42の一端側(図2において上端側)にストッパー部41を露出させると、ストッパー部41がウォームホィール8の一方の端縁に係合する。すると、吊下軸7の長手方向中間部に設けられたフランジ部43とストッパー部41との間で、ウォームホィール8が吊下軸7に対し軸方向に相対移動不能に支持される。
【0028】
前記ウォームホィール8は、上部外周面にウォーム9と噛み合う歯が形成され、下部はその歯先と同一の外形を備えた円筒状に形成されて、その境界部に段差44が形成されている。そして、吊下軸7がケース6に対し上方へ移動しようとすると、段差44がウォーム9の歯に係合するため、吊下軸7が容易には上方へ抜けないようになっている。
【0029】
前記吊下軸7のフランジ部43の下面には、中心に対し90度の範囲でフランジ部43を肉厚とする被回転規制部45が形成されている。また、前記軸受部11には前記被回転規制部45に当接する回転規制部46が形成されている。
【0030】
そして、被回転規制部45及び回転規制部46の作用により、スラット3が全閉状態から逆全閉状態まで回動されるときの吊下軸7の回動範囲が設定されている。
前記吊下軸7のフランジ部43の上部には、径方向に突出して前記ウォームホィール8の内周面との間の摩擦を確保する摩擦生成部47が形成されている。そして、摩擦生成部47とウォームホィール8の内周面との間に生成される摩擦により、常には吊下軸7とウォームホィール8とが一体に回転される。
【0031】
また、スラット3が全閉状態あるいは逆全閉状態まで回動された後、ウォーム9が同方向にさらに回転されると、ウォームホィール8が吊下軸7に対し空回りするようになっている。従って、スラット3の角度が不揃いであるときは、角度調節軸10を回動操作し続ければ、全てのスラット3が全閉方向あるいは逆全閉状態まで回動される。
【0032】
前記ランナー2は、ケース6の両側において水平方向に延びるローラー軸48にローラー49が回転可能に支持され、そのローラー49が前記ハンガーレール1の内側面に突出されるリブ50を案内レールとしてハンガーレール1内を移動するようになっている。
【0033】
図2において、前記ランナー2のケース6の左右両側には、操作コード51を挿通可能とした透孔52が形成されている。ハンガーレール1内で周回可能に引き回される操作コードでランナー2の移送操作を行うコード操作仕様の縦型ブラインドでは、この透孔52に操作コード51が挿通される。
【0034】
前記吊下軸7は、前記ウォームホィール8を嵌合した状態でケース6の軸受部11に上方から挿入される。ウォーム9は径方向及び軸方向に若干のクリアランスを設けてケース6に支持されているので、ウォームホィール8はウォーム9を押しのけながらウォーム9に嵌合する。
【0035】
また、ウォーム9はその外周面に螺旋状に連なる歯が形成され、その歯にウォームホィール8の歯が噛み合っているので、その噛み合いにより常にはウォームホィール8の上方への抜けが防止されている。
【0036】
吊下軸7をケース6から取り外すには、吊下軸7を上方へ押し上げる。すると、ウォームホィール8がウォーム9を押しのけながら上方へ移動してウォーム9から外れ、吊下軸7を上方へ抜き取り可能となる。
【0037】
前記吊下軸7の下端部には前記スラット3を吊下支持するためのフック12が形成されている。前記フック12は下方に向かって開口する二股状に形成されて、支持片13と案内片14が形成されている。
【0038】
前記支持片13は、前記案内片14より長く形成され、図2及び図4に示すように、その下端部には案内片14に向かって突出する突部15が形成されている。
前記突部15の上方には、同じく案内片14に向かって突出する掛止部16が形成されている。従って、前記突部15と掛止部16との間が溝状となっている。また、前記掛止部16の上面は、前記ランナー2がハンガーレール1に支持されている状態でほぼ水平方向となるように形成されるとともに、その先端側には上方に山形に突出する保持突部34が形成されている。
【0039】
前記案内片14の下端部には、前記掛止部16のやや上方から下方に位置する部分の肉厚を薄くする段差部17が形成されている。そして、段差部17の上方には垂直面18に続いて、前記支持片13との間隔を徐々に狭くする斜面19が形成されている。
【0040】
従って、掛止部16の上方において、支持片13と案内片14との間に形成される空間の幅は、中間部から上部に向かって徐々に狭くなっている。
前記スラット3を前記フック12に吊下支持するためのスラットハンガー20は、図3に示すように、合成樹脂で長板状に形成され、その両端には鍔状の抜け止め21が形成されている。
【0041】
前記スラットハンガー20の中央部には、上方に開口する取付溝22が形成され、その取付溝22の上部には取付溝22の対向する側面を連結する断面円形の支軸23が形成されている。前記支軸23の直径は、前記支持片13の掛止部16と案内片14との間隙より大きい径となっている。また、取付溝22の周縁部は、前記抜け止め21と同様に、スラットハンガー20の厚さ方向に鍔状に突出する位置ずれ防止部24が形成されている。
【0042】
前記取付溝22の底面には、上方に突出する突条25が形成され、その突条25の上端部にはスラットハンガー20の厚さ方向に突出して、前記吊下軸7の突部15に係合可能とした突部26が2箇所形成されている。
【0043】
前記スラット3の上端部には、折り返して縫製することにより袋状部27が形成され、その袋状部27に前記スラットハンガー20が挿通される。前記袋状部27の中央部には、スラットハンガー20の取付溝22を露出させるためのくり抜き孔28が形成されている。
【0044】
図10に示すように、前記バランスウェイト5のケース29の上部両側には下方に延びるフック30が形成され、そのフック30の先端部はケース29の側縁に向かって楔状に突出する突部31が形成されている。
【0045】
前記ボトムコード5aには金属の線材を折り曲げて形成した多数の連結リング32が等間隔に取着され、各連結リング32が各スラット3のバランスウェイト5のフック30に支持されている。
【0046】
前記突部31とケース29の側縁との間隔は、前記連結リング32の線材の直径より若干狭く形成されている。そして、連結リング32をフック30に取り付けるには、連結リング32を突部31とケース29の側縁との間に下方から挿入して、図11に示すように、連結リング32を突部31の上面33に保持させる。すると、ボトムコード5aが連結リング32を介してフック30に吊下支持される。
【0047】
前記突部31の上面33は、スラット3が垂直方向に吊下支持されている状態では、水平面若しくはケース29の側縁に向かって僅かに下がる斜面となるように形成されている。また、突部31の先端部は曲面状となるように形成されている。
【0048】
前記バランスウェイト5のケース29にはスラット3の下端部が巻回されて保持され、スラット3の下端部にバランスウェイト5が保持される。前記フック30は、ケース29に巻回されるスラット3で覆われるように位置し、外光による劣化が防止されるようになっている。
【0049】
このように構成されたボトムコード取付装置では、ボトムコード5aに下方(図11に示す矢印A方向)への過大な引張り力が作用すると、図12に示すように、連結リング32が突部31の先端側に移動し、突部31とケース29の側縁との間に侵入する。そして、フック30を矢印Bに撓ませながら突部31から離脱する。
【0050】
このとき、連結リング32がフック30から離脱する引張り力が、前記スラットハンガー取付装置の支軸23が吊下軸7から離脱する引張り力より小さくなるように、突部31とケース29の側縁との間隔や、フック30の撓み易さが設定されている。
【0051】
次に、上記のように構成されたスラットハンガー取付装置と、ボトムコード取付装置の作用を説明する。
スラット3をランナー2,2aに吊下支持するには、図5に示すように、まず支軸23を掛止部16と案内片14との間にあてがって上方へ押し上げる。
【0052】
すると、図5に鎖線で示すように、案内片14が撓んで支持片13との間隔が拡大され、図2に示すように、支軸23が掛止部16を乗り越えて、掛止部16の上面に支持される状態となる。
【0053】
この状態では、スラット3がスラットハンガー20を介して吊下軸7に吊下支持され、吊下軸7の回転に基づいて回動される。
スラット3をランナー2,2aから取り外すには、図6に示すように、スラットハンガー20を上方へ押し上げて支軸23を支持片13と案内片14との間に形成される空間の上部に移動させる。
【0054】
次いで、図7に示すように、スラットハンガー20を矢印方向に傾けると、スラットハンガー20の突部26が支持片13の突部26に係合して、スラットハンガー20の回動支点となる。そして、スラットハンガー20を傾けると案内片14が支軸23により押圧されて撓み、その反作用により支持片13も撓んで支軸23が下方へ移動する。
【0055】
次いで、支軸23が段差部17より下方に達すると、支軸23が同方向へ回動し易くなり、支軸23と案内片14との係合が外れて、図8に示すように、スラットハンガー20が吊下軸7から外れる。
【0056】
また、ランナー2,2aに吊下支持されたスラット3に対し下方へ過大な引張り力が作用すると、支持片13及び案内片14の弾性により、掛止部16と案内片14との間隔が拡大され、支軸23が下方へ外れる。従って、スラット3やスラットハンガー20あるいはランナー2,2aを破損することなくスラット3がランナー2,2aから外れる。
【0057】
ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、フック30から連結リング32が外れる。この時、ボトムコード5aに作用する引張り力が、ボトムコード5aからスラット3を介して支軸23に作用しても、支軸23の吊下軸7からの離脱に先立って連結リング32がフック30から外れる。
【0058】
従って、ボトムコード5aに作用する引張り力では、スラットハンガー20が吊下軸7から脱落することはない。
また、フック30から外れた連結リング32を、再度フック30に掛装すれば、スラット3の下端部をボトムコード5aで連結する状態に復帰させることができる。
【0059】
上記のように構成された縦型ブラインドでは、次に示す効果を得ることができる。
(1)スラットハンガー20をランナー2,2aの吊下軸7に対し下方から挿入して取り付けることができる。
(2)スラット3に下方への過大な引張り力が作用すると、ランナー2,2a、スラットハンガー20及びスラット3を破損することなく、スラット3をランナー2,2aから外すことができる。
(3)ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、バランスウェイト5のフック30から連結リング32が弾性的に離脱する。従って、ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用しても、スラット3やスラットハンガー取付装置が破損されることはない。
(4)ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用すると、スラットハンガー20の吊下軸7からの脱落に先だって、ボトムコード5aをバランスウェイト5のフック30から離脱させることができる。従って、ボトムコード5aに下方への過大な引張り力が作用したときには、連結リング32だけがフック30から離脱するので、復帰作業が容易となる。
(5)スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すとき、スラットハンガー20の突部26を支持片13下端の突部15に係合させて、スラットハンガー20の回動支点を確保することができる。従って、スラットハンガー20を回動させて支軸23で案内片14を容易に撓ませて、スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すことができる。
(6)スラットハンガー20の突部26は、表裏両面方向に対称状に形成されているので、スラットハンガー20をフック12に取り付ける際、スラットハンガー20の取付方向は表裏いずれの方向でも同様に行うことができる。
(7)支持片13の下端を案内片14の下端より下方に位置させたので、スラットハンガー20を上方へ押し上げてスラットハンガー20の突部26を支持片13の突部15に係合させるとき、スラットハンガー20を突部15の反対側に傾けても、突部26に当接するものはない。従って、スラットハンガー20を傾ける方向は、突部26に当接する支持片側13に一義的に容易に判断可能であるので、スラット3の取り外し操作を容易に行うことができる。
(8)支持片13の下端部は段差部17を介して肉薄となっているので、支軸23が段差部17より下方に達すると、支軸23の回動操作をさらに軽微な操作力で行うことができる。従って、スラットハンガー20を吊下軸7から取り外すための支軸23の回動操作を容易に行うことができる。
(9)支持片13及び案内片14を、スラットハンガー20を吊り下げた状態での回動時に、スラットハンガー20の突条25に当接しない長さとしたので、図9に示すように、風等によりスラット3が揺動してスラットハンガー20が回動されても、案内片14がスラットハンガー20で撓まされることはない。従って、風等によるスラット3が揺動した場合、あるいはスラット3が斜め下方に引っ張られても、スラットハンガー20及びスラット3の脱落を防止することができる。
(10)支持片13及び案内片14を、スラットハンガー20を吊り下げた状態での回動時に、スラットハンガー20の取付溝22の下面(突条25の上面)に当接しない長さとしたので、スラットハンガー20を、吊下軸7に対し180度以上回動させることができるとともに、180度以上回動しても吊下軸7から外れない。
(11)掛止部16の上面に設けた保持突部34により、支軸23が掛止部16から脱落するスラット3への引っ張り力を大きくして、支軸23を掛止部16から外れ難くすることができる。
(12)フック30がスラット3で覆われているので、太陽光の照射による樹脂の劣化を抑制して、フック30の機械的な強度低下を抑制することができる。
【0060】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・突部15,26はいずれか一方を突部とし、他方を凹部とすればよい。
・ボトムコードをバランスウェイトに取着する構成は、連結リングをフックに掛装する構成以外に、ボトムコードとバランスウェイトとを互いに弾性的に嵌合する嵌合部材で連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…ハンガーレール、2,2a…ランナー、3…スラット、5…バランスウェイト、5a…ボトムコード、7…吊下軸、20…スラットハンガー、29…ケース、30…フック、31…嵌合部材(突部)、32…嵌合部材(連結リング)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、
前記各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、前記ボトムコードを前記バランスウェイトに支持したボトムコード取付装置と
を備えた縦型ブラインドにおいて、
前記ボトムコード取付装置において、前記ボトムコードを前記バランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、前記スラットハンガー取付装置において前記スラットハンガーを前記吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくしたことを特徴とする縦型ブラインド。
【請求項2】
前記ボトムコード取付装置は、
前記バランスウェイトのケース側縁に弾性を有する合成樹脂で形成したフックと、
前記ボトムコードに取着され、前記フックに弾性的に係合可能とした連結リングと
を備えたことを特徴とする請求項1記載の縦型ブラインド。
【請求項3】
前記フックを前記ケースから下方に向かって突出し、前記フックの先端には前記ケースの側縁に向かって突出する突部を設け、前記連結リングを金属の線材で形成し、前記突部と前記ケースの側縁との間隔を前記連結リングの線材の直径より小さくしたことを特徴とする請求項2記載の縦型ブラインド。
【請求項4】
前記フックを前記スラットで覆ったことを特徴とする請求項2又は3記載の縦型ブラインド。
【請求項5】
前記フックの上面を水平面とし、前記スラットハンガーの支軸を支持する吊下軸の掛止部の上面には、前記支軸に係合する保持突部を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の縦型ブラインド。
【請求項1】
ハンガーレールに支持された多数のランナーの吊下軸に、スラットを吊下支持したスラットハンガーをそれぞれ弾性的に支持するスラットハンガー取付装置と、
前記各スラットの下端部に取着したバランスウェイトをボトムコードで連結し、前記ボトムコードを前記バランスウェイトに支持したボトムコード取付装置と
を備えた縦型ブラインドにおいて、
前記ボトムコード取付装置において、前記ボトムコードを前記バランスウェイトから離脱させるために要する引張り力を、前記スラットハンガー取付装置において前記スラットハンガーを前記吊下軸から離脱させるために要する引張り力より小さくしたことを特徴とする縦型ブラインド。
【請求項2】
前記ボトムコード取付装置は、
前記バランスウェイトのケース側縁に弾性を有する合成樹脂で形成したフックと、
前記ボトムコードに取着され、前記フックに弾性的に係合可能とした連結リングと
を備えたことを特徴とする請求項1記載の縦型ブラインド。
【請求項3】
前記フックを前記ケースから下方に向かって突出し、前記フックの先端には前記ケースの側縁に向かって突出する突部を設け、前記連結リングを金属の線材で形成し、前記突部と前記ケースの側縁との間隔を前記連結リングの線材の直径より小さくしたことを特徴とする請求項2記載の縦型ブラインド。
【請求項4】
前記フックを前記スラットで覆ったことを特徴とする請求項2又は3記載の縦型ブラインド。
【請求項5】
前記フックの上面を水平面とし、前記スラットハンガーの支軸を支持する吊下軸の掛止部の上面には、前記支軸に係合する保持突部を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の縦型ブラインド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−246613(P2012−246613A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116749(P2011−116749)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
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