説明

縮毛矯正

【課題】 縮れ毛のある人が自分で縮毛矯正作業を行い易く、毛髪に適正な張力を与え易くする。
【解決手段】 ピンセット型の柄3、4は、柄3にパーマ剤付着用ブラシ5と毛髪緊張用第1ブラシ6を、他の柄4に毛髪緊張用第2ブラシ7を設けた。柄3、4は、突状部41と溝状部42が柄の開放時に浅く、閉鎖時に深く嵌合している側方ずれ防止機構と、柄の閉鎖時に突状部41と溝状部42が当たって両ブラシ6、7の相対位置がほぼ一定になる定位置機構を設けた。両ブラシ6、7は、植毛の長さをほぼ同じにした。両ブラシ間に頭髪の毛髪群を挿入し、柄を閉鎖すると、毛髪群が両ブラシに挟まれ、両ブラシの植毛が噛み合う。突状部と溝状部を当てると、両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる。両ブラシの並列した植毛の間に毛髪が挟まれる。両ブラシを、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛先側に移動させると、毛髪群が緊張する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪の縮れ毛を真っ直ぐに矯正する縮毛矯正の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪の縮れ毛は、第1パーマ剤付着工程、毛髪緊張加熱工程と第2パーマ剤付着工程を順次経て、真っ直ぐに矯正される。第1パーマ剤付着工程と毛髪緊張加熱工程に使用する縮毛矯正用具が特許文献1に開示されている。これを使用すると、頭髪に縮れ毛のある人が自分で縮毛矯正作業を行い易い。
【0003】
この縮毛矯正用具は、合成樹脂成形品であり、片手で握る二本の柄をピンセット型に連結している。片側の柄には、パーマ剤付着用ブラシとブロー用ブラシを外向きと内向きの背中合わせに設けている。他の柄には、ブロー用ブラシと向い合う髪押え部を設けている。髪押え部の先端には、髪掬い部を設けている。
【0004】
パーマ剤付着用ブラシは、台座面の両側辺部にそれぞれ多数の髪梳き用歯を櫛形状に配列し、両側の髪梳き用歯を先広状態に配置している。両側の髪梳き用歯の内側位置には、パーマ剤保持用歯を配置している。
【0005】
ブロー用ブラシと髪押え部は、それらの間に頭髪の毛髪群を挟む構成にしている。ブロー用ブラシは、植毛ブラシであり、髪押え部と対面する内面に多数の毛を植え、植毛の毛先を密集している。髪押え部は、ブロー用ブラシと対面する内面に、これを横断する方向に貫通する多数の毛髪案内溝を並列している。髪掬い部は、先細形状にし、掬った頭髪の毛髪群が乗る内面を髪押え部の毛髪案内溝付き内面に接続している。
【0006】
第1パーマ剤付着工程では、縮毛矯正用具のパーマ剤付着用ブラシは、パーマ剤保持用歯付き台座面に第1パーマ剤を付着して保持する。そして、両側の髪梳き用歯は、先端を頭皮に接触し、その歯列と交差する方向に頭皮に沿って移動する。すると、髪梳き用歯は、先端が先行する傾斜状態で移動して頭髪が梳き上げられ、その頭髪に台座面の第1パーマ剤が塗布される。第1パーマ剤付きの頭髪は、髪梳き用歯で解いて、頭髪に第1パーマ剤を馴染ませる。第1パーマ剤が馴染んだ頭髪は、しばらく放置し、すすぎ洗いし、半乾きにする。頭髪には、第1パーマ剤が浸透する。
【0007】
毛髪緊張加熱工程では、縮毛矯正用具の両側の柄を片手で握る。そして、髪掬い部と髪押え部は、頭髪内に挿入し、頭髪の一部を髪掬い部で掬って髪押え部上に乗せ、頭髪の毛髪群を髪押え部と交差させる。その状態で両側の柄を強く握り、髪押え部上の毛髪群をブロー用ブラシとの間に挟む。次に、髪押え部とブロー用ブラシは、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばす。他の片手にはドライヤを持ち、ドライヤで熱風を、真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付ける。その後、頭髪は、他の一部を、前回と同様に、片手に持った縮毛矯正用具の髪掬い部で掬って髪押え部上に乗せる。髪押え部上の毛髪群は、ブロー用ブラシとの間に挟む。ブロー用ブラシと髪押え部は、毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばす。その毛髪群には、他の片手に持ったドライヤで熱風を吹き付ける。
【0008】
【特許文献1】特開2003−310334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
縮毛矯正の原理は、第1パーマ剤付着工程で、毛髪の縮れ状態の形状保持能力を弱める。毛髪緊張加熱工程で、毛髪の真っ直ぐ緊張状態での加熱によって、毛髪の縮れ状態の形状保持能力を更に弱め、毛髪を真っ直ぐにする。第2パーマ剤付着工程で、毛髪の真っ直ぐ状態の形状保持能力を回復し、毛髪を真っ直ぐ状態に固定する。
【0010】
毛髪緊張加熱工程で、毛髪の張力が低いと、毛髪の縮れ状態の形状保持能力が十分に弱まらず、縮毛矯正の効果が低くなる。逆に、毛髪の張力が高いと、毛髪が切れ易くなる。形状保持能力が弱まった毛髪は、傷付き易く、切れ易い。損傷を受け易い。毛髪に与える張力は、縮毛矯正の効果と毛髪の損傷に大きな影響を与え、その適正範囲が狭い。毛髪に適正な張力を与えるには、経験を要し、容易ではない。毛髪に適正な張力を与え易いことが望まれる。
【0011】
上記の縮毛矯正用具は、髪押え部とブロー用ブラシで頭髪の毛髪群を挟んだ状態を維持して、毛髪群の毛先側に移動させる際、毛髪に適正な張力を与えるのに、経験を要する。
【0012】
髪押え部とブロー用ブラシで頭髪の毛髪群を挟んだ状態を詳細に観察すると、変形し難い髪押え部に当たっている毛髪は、強く引っ張られて張力が高くなる。変形し易いブロー用ブラシの植毛に当たっている毛髪は、弱く引っ張られて張力が低くなる。髪押え部にもブロー用ブラシにも当たっていない毛髪は、更に張力が低くなる。毛髪群は、毛髪の張力が均等になり難い。その上、硬い髪押え部に擦られる毛髪は、傷付いたり、切れたりすることがある。
【0013】
また、縮毛矯正用具は、ピンセット型の両側の柄を強く握り、髪押え部とブロー用ブラシで頭髪の毛髪群を挟む際、髪押え部とブロー用ブラシが正面衝突せず、一方が他方の正面から左側又は右側の側方にずれることがある。髪押え部とブロー用ブラシが頭髪の毛髪群を挟んで正面衝突しないと、毛髪群を確実に挟むことができない。毛髪群は、確実に挟まないと、適正な張力を与え難い。
【0014】
その上、ピンセット型の両側の柄を強く握ったとき、接近した両側の柄の間の距離が一定にならず、髪押え部とブロー用ブラシで毛髪群を挟む力がばらつく。毛髪群を挟む力が強すぎると、ブロー用ブラシの植毛が折れたり、毛髪が損傷を受けたりする。逆に、毛髪群を挟む力が弱すぎると、毛髪群は、緊張されない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1)縮毛矯正用具は、片手で握る二本の柄をピンセット型に連結し、片側の柄に、パーマ剤付着用ブラシと毛髪緊張用第1ブラシを外向きと内向きの背中合わせに設け、他の柄に、毛髪緊張用第1ブラシと向い合う毛髪緊張用第2ブラシを設けた。
パーマ剤付着用ブラシは、台座面の両側辺部にそれぞれ多数の髪梳き用歯を櫛形状に配列し、両側の髪梳き用歯を先広状態に配置し、両側の髪梳き用歯の内側位置にパーマ剤保持用歯を配置し、パーマ剤保持用歯が突出した台座面にパーマ剤を付着して保持する構成にした。
ピンセット型の両側の柄が開放しているときに、毛髪緊張用の第1ブラシと第2ブラシとの間に頭髪の毛髪群を挿入し、その挿入状態で両側の柄を閉鎖する構成にした。
両側の柄は、向い合う内面に突状部と溝状部を形成し、突状部と溝状部が両側の柄の開放時に浅く、閉鎖時に深く嵌合している側方ずれ防止機構を設け、両側の柄の閉鎖時に第1ブラシと第2ブラシが側方にずれるのを防止する構成にした。
第1ブラシと第2ブラシは、内面に多数の毛を植えて植毛ブラシにし、両ブラシの植毛の長さをほぼ同じにし、両側の柄の閉鎖時に、両ブラシの一方の植毛が他方の植毛の間に入り込んで両ブラシの植毛が噛み合う構成にした。
両側の柄の閉鎖時に突状部と溝状部が当たって第1ブラシと第2ブラシの相対位置がほぼ一定になる定位置機構を設け、両側の柄の閉鎖時に両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる構成にした。
両側の柄の開放時に第1ブラシと第2ブラシとの間に両ブラシを横断する方向に沿って頭髪の毛髪群を挿入し、両側の柄を側方ずれ防止機構の突状部と溝状部との嵌合を維持して閉鎖すると、毛髪群が両ブラシに挟まれ、両ブラシの植毛が噛み合う。定位置機構の突状部と溝状部を当てると、両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになり、両ブラシの並列した植毛の間に毛髪が挟まれる。両ブラシを、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させると、毛髪群が緊張して真っ直ぐに伸ばされる。
【0016】
2)上記の縮毛矯正用具において、第1ブラシと第2ブラシとの植毛には、動物の天然毛と合成樹脂の人工毛とを混ぜ合わせて使用した。
動物の天然毛は、柔らかくて、毛髪に損傷を与え難い。合成樹脂の人工毛は、硬くて、毛髪に張力を与え易い。天然毛と人工毛との混合割合を増減して、植毛の強さを調整する。
【0017】
3)上記の縮毛矯正用具において、第2ブラシの先端に、第1ブラシの先端位置から突き出る毛髪導入部を設けた。毛髪導入部は、毛髪群を導く内面を、第2ブラシに近づくに従って高くなる斜面にし、斜面の最高端を第2ブラシの植毛の先端位置から少し突き出した。
毛髪導入部は、頭髪の毛髪群を第1ブラシと第2ブラシとの間に挿入し易くする。
【0018】
4)縮毛矯正方法は、上記の縮毛矯正用具を使用する第1パーマ剤付着工程と毛髪緊張加熱工程とを有する。
第1パーマ剤付着工程では、縮毛矯正用具のパーマ剤付着用ブラシは、パーマ剤保持用歯付き台座面に第1パーマ剤を付着して保持する。両側の髪梳き用歯は、先端を頭皮に接触し、髪梳き用歯をその歯列と交差する方向に頭皮に沿って移動する。先端が先行する傾斜状態で移動する髪梳き用歯で頭髪を梳き上げ、その頭髪に台座面の第1パーマ剤を塗布する。第1パーマ剤付きの頭髪は、髪梳き用歯で解いて、頭髪に第1パーマ剤を馴染ませる。第1パーマ剤が馴染んだ頭髪は、しばらく放置し、すすぎ洗いし、半乾きにする。頭髪には、第1パーマ剤が浸透する。
毛髪緊張加熱工程では、縮毛矯正用具の両側の柄を片手で握り、両側の柄の開放時に第1ブラシと第2ブラシとの間に両ブラシを横断する方向に沿って頭髪の一部の毛髪群を挿入する。その状態で両側の柄を強く握り、両側の柄を側方ずれ防止機構の突状部と溝状部との嵌合を維持して閉鎖する。毛髪群は、両ブラシに挟む。両ブラシは、植毛を噛み合わせる。定位置機構の突状部と溝状部を当て、両ブラシの植毛噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにする。両ブラシの並列した植毛の間に毛髪を挟む。両ブラシは、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させる。毛髪群は、緊張して真っ直ぐに伸ばす。他の片手にドライヤを持ち、ドライヤで熱風を、真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付ける。毛髪群は、真っ直ぐに伸ばされた緊張状態で加熱して乾燥する。その後、片手に持った縮毛矯正用具の両側の柄を開放し、頭髪の他の一部を、前回と同様に、第1ブラシと第2ブラシとの間に挿入する。両側の柄は閉鎖し、毛髪群を両ブラシに挟み、両ブラシの植毛を噛み合わせる。定位置機構の突状部と溝状部を当て、両ブラシの植毛噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにし、両ブラシの並列した植毛の間に毛髪を挟む。両ブラシは、毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばす。他の片手に持ったドライヤで熱風を、真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付ける。
【発明の効果】
【0019】
縮毛矯正用具は、両側の柄の開放時に毛髪緊張用の第1ブラシと第2ブラシとの間に頭髪の毛髪群を挿入し、両側の柄を側方ずれ防止機構の突状部と溝状部との嵌合を維持して閉鎖すると、毛髪群が両ブラシに挟まれ、両ブラシの植毛が噛み合う。定位置機構の突状部と溝状部を当てると、両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる。両ブラシの並列した植毛の間に毛髪が挟まれる。
【0020】
両側の柄は、閉鎖時に、側方へのずれが防止され、第1ブラシと第2ブラシが頭髪の毛髪群を挟んで正面衝突する。毛髪群は、確実に挟まれる。その上、閉鎖時に、両側の柄の間の距離が一定になり、両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる。毛髪群は、多くの毛髪が両ブラシの並列した植毛の間に挟まれる。両ブラシは、植毛が折れ難い。
【0021】
毛髪は、均等な張力が掛かり易い。その上、損傷を受け難い。即ち、頭髪に縮れ毛のある人が自分で縮毛矯正作業を行い易い上、毛髪緊張加熱工程で毛髪に適正な張力を与え易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
縮毛矯正用具は、図1と図2に示すように、合成樹脂成形品の第1部材1と第2部材2とを、それらの軸部と穴部の嵌め込みによって結合している。二本の柄3、4は、それらの基端を連結してピンセット型に形成している。ピンセット型の両側の柄3、4は、片手で握って開閉する。第1部材1のある片側の柄3は、先端に、パーマ剤付着用ブラシ5と毛髪緊張用第1ブラシ6を外向きと内向きの背中合わせに設けている。他の片側の柄4は、先端に、毛髪緊張用第1ブラシ6と向い合う毛髪緊張用第2ブラシ7を設けている。毛髪緊張用第2ブラシ7の先端には、毛髪緊張用第1ブラシ6の先端位置から突き出る毛髪導入部8を設けている。
【0023】
両側の柄3、4が開放しているときに、図12に示すように、毛髪緊張用の第1ブラシ6と第2ブラシ7との間に頭髪hの毛髪群を挿入する。その挿入状態で両側の柄3、4を閉鎖する。図13に示すように、第1ブラシ6と第2ブラシ7との間には、頭髪hの毛髪群を挟む。
【0024】
パーマ剤付着用ブラシ5は、成形ブラシであり、図4に示すように、柄3のほぼ延長方向に長い台座面11を形成している。台座面11は、図3、図4と図5に示すように、両側辺部に、それぞれ、多数の髪梳き用歯12を櫛形状に配列している。両側の髪梳き用歯12は、それらの先端間が基端間より広い先広状態に配置している。台座面11は、図4と図5に示すように、両側の髪梳き用歯12の内側位置に、それぞれ、台座面11の先端の歯12と基端の歯12の内側位置を除き、パーマ剤保持用歯13を配置している。パーマ剤保持用歯13は、髪梳き用歯12より短い。台座面11の先端の両髪梳き用歯12間と基端の両髪梳き用歯12間には、図3、図4と図5に示すように、それぞれ、複数のパーマ剤漏れ止め用歯14を配置している。パーマ剤漏れ止め用歯14は、髪梳き用歯12より短く、パーマ剤保持用歯13より長い。両側の髪梳き用歯12と両端のパーマ剤漏れ止め用歯14で囲まれた台座面11、即ち、多数のパーマ剤保持用歯13が突出した台座面11に第1パーマ剤を付着して保持する。
【0025】
第1ブラシ6は、植毛ブラシであり、第2ブラシ7と対面する内面を、柄3のほぼ延長方向に長い台座面21に形成している。台座面21は、図6に示すように、多数の植毛用穴22を3列に千鳥状に配置している。各植毛用穴22には、それぞれ、図5に示すように、多数の毛を束ねた毛束23を植えている。
【0026】
第2ブラシ7も、植毛ブラシであり、第1ブラシ6と対面する内面を、柄4のほぼ延長方向に長い台座面31に形成している。台座面31は、図7に示すように、多数の植毛用穴32を3列に配置している。植毛用穴32は、両側の列が中央の列より間隔が広い。各植毛用穴32には、それぞれ、図8に示すように、多数の毛を束ねた毛束33を植えている。
【0027】
第1ブラシ6の毛束23と第2ブラシ7の毛束33は、それぞれ、動物の天然毛と合成樹脂の人工毛とを混ぜ合わせて構成している。動物の天然毛は、柔らかくて、毛髪に損傷を与え難い。豚や猪の毛が例示される。合成樹脂の人工毛は、硬くて、毛髪に張力を与え易い。ナイロンの毛が例示される。毛束23、33は、天然毛と人工毛との混合割合を増減して、植毛の強さを調整する。
【0028】
第1ブラシ6の毛束23が台座面21から突出する長さ、即ち、第1ブラシ6の植毛の長さと、第2ブラシ7の毛束33が台座面31から突出する長さ、即ち、第2ブラシ7の植毛の長さは、ほぼ同じである。両側の柄3、4の閉鎖時には、図9と図10に示すように、第1ブラシ6と第2ブラシ7の一方の植毛が他方の植毛の間に入り込んで両ブラシ6、7の植毛が噛み合う。
【0029】
毛髪導入部8は、第1ブラシ6と第2ブラシ7との間に挿入する毛髪群を導く内面を、図2に示すように、第2ブラシ7に近づくに従って高くなる斜面にしている。この斜面は、最高端の基端を第2ブラシ7の植毛の先端位置から少し上に突き出している。毛髪導入部8は、上下の厚さ方向と左右の幅方向を先細形状にし、先端を丸めている。
【0030】
両側の柄3、4は、図1に示すように、向い合う内面に突状部41と溝状部42を柄3、4に沿って形成している。突状部41と溝状部42は、図2に示すように、柄3、4の開放時には浅く嵌合し、また、図9に示すように、柄3、4の閉鎖時には深く嵌合している。即ち、側方ずれ防止機構を構成している。柄3、4の閉鎖時に、第1ブラシ6と第2ブラシ7が左右の側方にずれるのを防止し、両ブラシ6、7を正面衝突させる。
【0031】
柄3、4の閉鎖時には、図9と図11に示すように、突状部41の頂部と溝状部42の底部が当たる。即ち、柄3、4の閉鎖時に第1ブラシ6と第2ブラシ7の相対位置がほぼ一定になる定位置機構を構成している。柄3、4の閉鎖時には、図9と図10に示すように、両ブラシ6、7の植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる。両ブラシ6、7の植毛が全長にわたって噛み合う。
【0032】
この縮毛矯正用具を使用して、頭髪に縮毛のある人が自分で縮毛矯正作業を行う場合、先ず、縮毛矯正用具のパーマ剤付着用ブラシ5を使用する。第1パーマ剤を縮毛のある頭髪に付着する工程である。
【0033】
縮毛のある矯正作業者は、パーマ剤保持用歯13付き台座面11にクリーム状ないしペースト状の第1パーマ剤を付着して保持する。そして、両側の柄3、4を片手で握り、両側の髪梳き用歯12の先端を自分の頭皮に接触し、髪梳き用歯12をその歯列と交差する方向に頭皮に沿って移動し、先端が先行する傾斜状態で移動する移動前側の髪梳き用歯12で自分の頭髪hを梳き上げ、その頭髪hに台座面11の第1パーマ剤を塗布する。第1パーマ剤が塗布された頭髪hは、片側又は両側の髪梳き用歯12で解いて、縮毛のある頭髪hに第1パーマ剤を馴染ませる。
【0034】
パーマ剤付着用ブラシ5は、第1パーマ剤を塗布するのにも、馴染ませるのにも使用される。第1パーマ剤を頭髪hに付着するのが簡単である。
【0035】
第1パーマ剤を付着した頭髪hは、しばらく放置し、すすぎ洗いし、半乾きにする。頭髪hには、第1パーマ剤が浸透している。第1パーマ剤付着工程で、毛髪の縮れ状態の形状保持能力が弱くなる。
【0036】
その後、縮毛矯正用具の毛髪導入部8、毛髪緊張用の第1ブラシ6と第2ブラシ7を使用する。第1パーマ剤が浸透している頭髪hの毛髪を緊張して加熱する工程である。
【0037】
矯正作業者は、縮毛矯正用具の両側の柄3、4を片手で握る。縮毛矯正用具は、図12に略示するように、毛髪導入部8と第2ブラシ7を自分の頭髪h内にその毛髪と交差する方向から挿入し、頭髪hの一部を毛髪導入部8で掬って毛髪導入部8上から第2ブラシ7上に乗せる。又は、他の片手で頭髪hの一部を掴んで毛髪導入部8上から第2ブラシ7上に乗せる。第2ブラシ7上の頭髪hの毛髪群は、第2ブラシ7に沿う方向に広く展開し、第2ブラシ7を横断する方向に沿って配列する。
【0038】
第1ブラシ6と第2ブラシ7との間に両ブラシ6、7を横断する方向に沿って頭髪hの毛髪群を挿入した状態で、両側の柄3、4を強く握る。両側の柄3、4は、図13に略示するように、側方ずれ防止機構の突状部41と溝状部42との嵌合を維持して閉鎖する。頭髪hの毛髪群は、両ブラシ6、7に挟み、両ブラシ6、7の植毛を噛み合わせる。更に、柄3、4の閉鎖時に、定位置機構の突状部41の頂部と溝状部42の底部を当て、両ブラシ6、7の植毛噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにする。両ブラシ6、7は、植毛のほぼ全長にわたって噛み合う。頭髪hの毛髪群は、多くの毛髪が両ブラシ6、7の並列した植毛の間に挟まれる。
【0039】
次に、両ブラシ6、7は、毛髪群を広く展開して挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばす。毛髪群は、毛髪に均等な張力が掛かり易い。その上、毛髪に損傷を受け難い。
【0040】
縮毛矯正用具を片手に持った矯正作業者は、他の片手にドライヤを持ち、ドライヤで熱風を、縮毛矯正用具で真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付ける。毛髪群は、広く展開して真っ直ぐに伸ばされた緊張状態で加熱されて乾燥する。
【0041】
頭髪hの一部を緊張して加熱した後、両側の柄3、4を開放する。そして、頭髪hの他の一部を、前回と同様に、第1ブラシ6と第2ブラシ7との間に挿入する。その状態で、両側の柄3、4は、突状部41と溝状部42との嵌合を維持して閉鎖する。頭髪hの毛髪群は、両ブラシ6、7に挟み、両ブラシ6、7を噛み合わせる。更に、突状部41の頂部と溝状部42の底部を当て、両ブラシ6、7の噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにする。頭髪hの毛髪群は、多くの毛髪が両ブラシ6、7の並列した植毛の間に挟まれる。次に、両ブラシ6、7は、毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばす。真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に、他の片手に持ったドライヤで熱風を吹き付ける。
【0042】
縮毛矯正用具とドライヤを使用して、頭髪hの一部の毛髪群を緊張して加熱する操作は、繰り返す。縮毛のある頭髪hは、全部を緊張して加熱する。毛髪緊張加熱工程で、毛髪の縮れ状態の形状保持能力は、更に弱くなる。毛髪は、真っ直ぐになる。
【0043】
その後、頭髪hに第2パーマ剤をその容器から振り掛けて塗布する。第2パーマ剤を付着した頭髪hは、しばらく放置し、すすぎ洗いし、乾燥する。頭髪hの毛髪は、真っ直ぐ状態の形状保持能力を回復する。第2パーマ剤付着工程で、毛髪は、真っ直ぐ状態に固定される。
【0044】
頭髪hの縮毛は、第1パーマ剤付着工程、毛髪緊張加熱工程と第2パーマ剤付着工程を順次経て、真っ直ぐに矯正される。
【0045】
[変形例]
1)上記の実施形態においては、毛髪導入部8は、毛髪緊張用第2ブラシ7の先端にのみ設けているが、毛髪緊張用第1ブラシ6の先端にも設ける。
【0046】
2)上記の実施形態においては、パーマ剤付着用ブラシ5は、第1パーマ剤の付着にのみ使用するが、第2パーマ剤の付着にも使用する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態における縮毛矯正用具の斜視図。
【図2】同縮毛矯正用具の側面図。
【図3】同縮毛矯正用具の正面図。
【図4】同縮毛矯正用具の第1部材の平面図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】同第1部材の植毛なし状態の底面図。
【図7】同縮毛矯正用具の第2部材の植毛なし状態の平面図。
【図8】図7のB−B線断面図で、植毛あり状態の図。
【図9】同縮毛矯正用具の閉鎖状態の側面図。
【図10】図9のC−C線断面図。
【図11】図9のD−D線断面図。
【図12】同縮毛矯正用具の毛髪緊張用ブラシ間に頭髪の毛髪群を挿入した状態の概略図。
【図13】同縮毛矯正用具の毛髪緊張用ブラシ間に頭髪の毛髪群を挟んだ状態の概略図。
【符号の説明】
【0048】
1 合成樹脂成形品の第1部材
2 合成樹脂成形品の第2部材
3、4 柄
5 パーマ剤付着用ブラシ
6 毛髪緊張用の第1ブラシ
7 毛髪緊張用の第2ブラシ
8 毛髪導入部
11 パーマ剤付着用ブラシの台座面
12 パーマ剤付着用ブラシの髪梳き用歯
13 パーマ剤付着用ブラシのパーマ剤保持用歯
14 パーマ剤付着用ブラシのパーマ剤漏れ止め用歯
21 第1ブラシの台座面
22 第1ブラシの植毛用穴
23 第1ブラシの毛束
31 第2ブラシの台座面
32 第2ブラシの植毛用穴
33 第2ブラシの毛束
41 側方ずれ防止機構、定位置機構の突状部
42 側方ずれ防止機構、定位置機構の溝状部
h 頭髪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で握る二本の柄は、ピンセット型に連結し、片側の柄に、パーマ剤付着用ブラシと毛髪緊張用第1ブラシを外向きと内向きの背中合わせに設け、他の柄に、毛髪緊張用第1ブラシと向い合う毛髪緊張用第2ブラシを設け、
パーマ剤付着用ブラシは、台座面の両側辺部にそれぞれ多数の髪梳き用歯を櫛形状に配列し、両側の髪梳き用歯を先広状態に配置し、両側の髪梳き用歯の内側位置にパーマ剤保持用歯を配置し、パーマ剤保持用歯が突出した台座面にパーマ剤を付着して保持する構成にし、
ピンセット型の両側の柄が開放しているときに、毛髪緊張用の第1ブラシと第2ブラシとの間に頭髪の毛髪群を挿入し、その挿入状態で両側の柄を閉鎖する構成にし、
両側の柄は、向い合う内面に突状部と溝状部を形成し、突状部と溝状部が両側の柄の開放時に浅く、閉鎖時に深く嵌合している側方ずれ防止機構を設け、両側の柄の閉鎖時に第1ブラシと第2ブラシが側方にずれるのを防止する構成にし、
第1ブラシと第2ブラシは、内面に多数の毛を植えて植毛ブラシにし、両ブラシの植毛の長さをほぼ同じにし、両側の柄の閉鎖時に、両ブラシの一方の植毛が他方の植毛の間に入り込んで両ブラシの植毛が噛み合う構成にし、
両側の柄の閉鎖時に突状部と溝状部が当たって第1ブラシと第2ブラシの相対位置がほぼ一定になる定位置機構を設け、両側の柄の閉鎖時に両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになる構成にし、
両側の柄の開放時に第1ブラシと第2ブラシとの間に両ブラシを横断する方向に沿って頭髪の毛髪群を挿入し、両側の柄を側方ずれ防止機構の突状部と溝状部との嵌合を維持して閉鎖すると、毛髪群が両ブラシに挟まれ、両ブラシの植毛が噛み合い、定位置機構の突状部と溝状部を当てると、両ブラシの植毛噛み合い深さが植毛の長さとほぼ同じになり、両ブラシの並列した植毛の間に毛髪が挟まれ、両ブラシを、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させると、毛髪群が緊張して真っ直ぐに伸ばされる構成にしたことを特徴とする縮毛矯正用具。
【請求項2】
第1ブラシと第2ブラシとの植毛には、動物の天然毛と合成樹脂の人工毛とを混ぜ合わせて使用したことを特徴とする請求項1に記載の縮毛矯正用具。
【請求項3】
第2ブラシの先端には、第1ブラシの先端位置から突き出る毛髪導入部を設け、
毛髪導入部は、毛髪群を導く内面を、第2ブラシに近づくに従って高くなる斜面にし、斜面の最高端を第2ブラシの植毛の先端位置から少し突き出したことを特徴とする請求項1又は2に記載の縮毛矯正用具。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の縮毛矯正用具を使用する第1パーマ剤付着工程と毛髪緊張加熱工程とを有する縮毛矯正方法であって、
第1パーマ剤付着工程では、縮毛矯正用具のパーマ剤付着用ブラシは、パーマ剤保持用歯付き台座面に第1パーマ剤を付着して保持し、両側の髪梳き用歯の先端を頭皮に接触し、髪梳き用歯をその歯列と交差する方向に頭皮に沿って移動し、先端が先行する傾斜状態で移動する髪梳き用歯で頭髪を梳き上げ、その頭髪に台座面の第1パーマ剤を塗布し、第1パーマ剤付きの頭髪を髪梳き用歯で解いて、頭髪に第1パーマ剤を馴染ませ、頭髪を、しばらく放置し、すすぎ洗いし、半乾きにし、頭髪に第1パーマ剤を浸透させる、
毛髪緊張加熱工程では、縮毛矯正用具の両側の柄を片手で握り、両側の柄の開放時に第1ブラシと第2ブラシとの間に両ブラシを横断する方向に沿って頭髪の一部の毛髪群を挿入し、その状態で両側の柄を強く握り、両側の柄を側方ずれ防止機構の突状部と溝状部との嵌合を維持して閉鎖し、毛髪群を両ブラシに挟み、両ブラシの植毛を噛み合わせ、定位置機構の突状部と溝状部を当て、両ブラシの植毛噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにし、両ブラシの並列した植毛の間に毛髪を挟み、両ブラシを、毛髪群を挟んだ状態を維持して毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばし、他の片手にドライヤを持ち、ドライヤで熱風を、真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付け、毛髪群を、真っ直ぐに伸ばされた緊張状態で加熱して乾燥し、その後、片手に持った縮毛矯正用具の両側の柄を開放し、頭髪の他の一部を、前回と同様に、第1ブラシと第2ブラシとの間に挿入し、両側の柄を閉鎖し、毛髪群を両ブラシに挟み、両ブラシの植毛を噛み合わせ、定位置機構の突状部と溝状部を当て、両ブラシの植毛噛み合い深さを植毛の長さとほぼ同じにし、両ブラシの並列した植毛の間に毛髪を挟み、両ブラシを毛髪群の毛先側に移動させ、毛髪群を緊張して真っ直ぐに伸ばし、他の片手に持ったドライヤで熱風を、真っ直ぐに伸ばされた毛髪群に吹き付ける、ことを特徴とする縮毛矯正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−102363(P2006−102363A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296230(P2004−296230)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(502439647)株式会社ダリヤ (10)
【Fターム(参考)】