説明

繊維のウエブを乾燥成形する装置

繊維のウエブを乾燥成形する装置に関連するもので、装置が繊維分配ヘッド(1)と;前記ヘッドの下で移動可能なフォーミングワイヤー(3)と;前記ヘッドから前記ワイヤーとは逆側に配置された吸引手段(5)と;前記ヘッド内に、前記繊維が浮遊するガスの流れを中に向けられたチャンバ(9)とを備え、前記チャンバが、前記フォーミングワイヤー(3)と本質的に平行で、且つ前記フォーミングワイヤーに面したスクリーンメッシュ(17)によって覆われる底開口部(9A)を有し;更に前記チャンバの内部で前記スクリーンメッシュ(17)の上に、繊維を攪拌し且つ分配する攪拌部材(45)とを備えている。特徴として、前記スクリーンメッシュ(17)を前記チャンバの周囲の閉じた経路に沿って連続して移動可能にさせ、フォーミングワイヤーに対して平行で且つそれに対面する前記メッシュの一部分が、本質的に前記フォーミングワイヤーに平行な経路に沿って移動する。
加えて前記攪拌部材が、互いに平行で且つ前記フォーミングワイヤーの進行方向(f3)に対して垂直な複数の回転シャフト(47)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥方法、言換すると水性繊維ストックを使用しないで、繊維状の材料のウエブまたはシートを製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維材料のウエブまたはシート、特に紙、吸収紙または“ティッシュペーパー”として知られているものは、通常セルロース繊維の水性ストックを薄いウエブを成形するためにフォーミングスクリーンに分配するプロセスと機械によって製造される。そしてこのウエブが水を除去するための吸引と、加熱ローラーまたは別の乾燥装置を連続通過することによって乾燥させられる。
【0003】
比較的最近、新しいプロセスが紙、特に非常に厚い紙を製造するため、幼児用のダイヤパーまたは衛生パッドのような衛生物品の製造のために導入されている。このプロセスは空気の流れによって供給される繊維のウエブを、フォーミングスクリーンまたはワイヤーに分配されている。これは“エアライド(airlaid)”プロセスとして知られている。
【0004】
繊維の分配をできるだけ均一の行うため、そしてこの最新の方法の多くの欠点と問題を克服するため、様々なタイプの装置が、乾燥成形プロセスを実行するために設計されています。
【0005】
一般的に、エアライドウエブは、空気の流れで繊維を浮遊させ、フォーミングメッシュまたはスクリーン上にそれらを蓄積させることによって製造されるもので、その際に上方に位置するフォーミングヘッドにより供給された繊維を案内するため、吸引が行われる。
【0006】
装置の第一部門は、フォーミングヘッドを使用しており、その下にメッシュスクリーンが配置され、それを介して繊維が空気の流れによって引っ張られる。フォーミングワイヤーがフォーミングヘッドの下側を覆う(closes)メッシュスクリーンの下を走り、繊維をフォーミングワイヤー上に蓄積させ、ウエブを成形する。フォーミングヘッドの下側を覆うスクリーンの上に、ほぼ垂直軸、換言するとワイヤーとスクリーンに対して垂直な軸の周囲を回転するプロペラがある。繊維がヘッドを覆うスクリーンを介する空気の流れによって引っ張られて、フォーミングワイヤーに蓄積される。この方法の装置の例は、英国特許明細書GB-1499687;GB-1559274;米国特許明細書US-A-3581706;US-A-4014635;US-A-4157724;US-A-4276284;US-A-4285647;US-A-4335066;US-A-4351793;US-A-4482308;US-A-4494278;US-A-4627953;US-A-5527171;US-A-5471712;国際特許出願公開明細書WO-A-9105100;WO-A-9522656;WO-A-9610663;WO-A-9954537;欧州特許明細書EP-B-616056に記載されている。
【0007】
フォーミングワイヤーを介して吸引される空気の流れに繊維を分配する装置の第二タイプは、フォーミングワイヤーに平行な一つかそれ以上の穴あきパイプを使用している。空気によって引かれる繊維は、パイプにある穴から出て、供給方向に進むように下に置かれているフォーミングワイヤーに蓄積される。一対のチューブが軸と平行でフォーミングワイヤーの上に配置されている。チューブが穴あき壁を有し、穴あき壁を介して繊維が出て行き、繊維が前記チューブ内部の空気の流れによって運ばれる。繊維の流出を促進させ、チューブ内部におけるそれらの集積を防ぐため、チューブに平行な軸を有し且つ放射状ポイントを有した回転シャフトが、チューブに取り付けられる。ポイントは、繊維を運ぶ空気の流れで成形する繊維のどんな塊も分解する付加的な能力を有する。本質的に同じ原理を基にした装置は、米国特許明細書US-A-4352649、国際特許出願公開明細書WO-A-8701403及び欧州特許明細書EP-B-188454に記載されている。それらの装置において、フォーミングヘッドはその下側を閉じるスクリーンを有しておらず、空気と浮遊繊維の流れが穴あき壁を具備したパイプの内部に閉じ込められ、そこでは穴あき壁が上記の第一タイプのヘッドを覆うスクリーンと同じ能力を有している。
【0008】
米国特許明細書US-A-6233787が、繊維のウエブを乾燥成形する装置を示しており、そこでは浮遊繊維と共に空気の流れを受容するヘッドが、フォーミングワイヤーの上に配置されている。ヘッドはその下部分に一組の回転シャフト又はローラーを有しており、それらの回転シャフト又はローラーが相互にそしてフォーミングワイヤーと平行で、フォーミングワイヤーの進行方向に関して横方向に延びる軸を有している。シャフトまたはローラーが、放射状ポイントまたはロッドを有しており、それら放射状ポイントまたはロッドが、フォーミングヘッドの下から吸い込まれる空気の流れによって引っ張られる繊維を通す一種の浸透壁を形成する、ヘッドの下孔を実質的に覆うように延びている。
【0009】
欧州特許出願公開明細書EP-A-159618が、フォーミングスクリーンの上に配置されたフォーミングヘッドを備え、フォーミングヘッドを介して繊維を引っ張る空気の流れを吸い込んでいる。フォーミングヘッドの底部が、繊維を通すことができるように穴の開いた固定スクリーンによって覆われている。固定スクリーンの上に、フォーミングスクリーンに平行で、且つその進行方向に対して垂直な軸を有する複数のローラーがある。ローラーが放射状ポイントを備え、フォーミングスクリーンの進行方向と平行にローラーを移動させる連続コンベアーによって支持されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に効果的で高品質な材料を製造できる乾燥成形プロセスによって、繊維材料のシートまたはウエブを製造するため、新しいタイプの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特定或いは別の目的及び利点は、以下の記載で当該業者にとって明らかな、繊維のウエブを乾燥成形する装置を提供することで、繊維分配ヘッドと;前記ヘッドの下で可動なフォーミングワイヤーと;前記ヘッドから前記フォーミングワイヤーの逆側に配置された吸引手段と;前記ヘッド内には中に前記繊維を浮遊させたガス流(特に空気)が向けられるチャンバとを備え、チャンバが前記フォーミングワイヤーに本質的に平行で且つ、フォーミングワイヤーに対面したスクリーンメッシュによって覆われる底開口部を有し;更に前記チャンバ内部で前記スクリーンメッシュの上に繊維を攪拌し且つ繊維を分配するための攪拌部材を備える。特徴として、スクリーンメッシュが前記チャンバの周囲で閉じた経路に沿って連続して移動でき、フォーミングワイヤーに平行で且つ対面した前記メッシュの一部分が、前記フォーミングワイヤーと実質的に平行な経路に沿って移動する。加えて、攪拌部材が互いに平行で且つ、フォーミングワイヤーの進行方向に対して垂直な複数の回転シャフトを備え、前記シャフトがチャンバ内で繊維を攪拌する成形異形材(shaped profiles)を備えている。
【0012】
チャンバは、底開口部を除いて本質的に外の環境から隔離されており、底開口部を通り過ぎてスクリーンメッシュが走る。それに従って良好に制御された空気の流れと浮遊繊維が発生し、この流れは繊維のウエブが成形されるフォーミングワイヤーによって遮断される。このウエブが次に様々なやり方、すなわち既知の方法で強化される。可動スクリーンメッシュと、互いに平行で且つスクリーンメッシュの平面に対して平行で、それによりフォーミングワイヤーに対しても平行な軸の周囲を回転する攪拌部材があることによって、装置が均一なウエブの成形に関して特に効果的且つ適切なものになる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、空気の流れと浮遊繊維の流れをフォーミングヘッドのチャンバの中に供給するため、有利には複数のディフューザーが攪拌部材の上に備えられ、ディフューザーが前記攪拌部材に対面し、前記空気と繊維の流れの流入のためにアウトレット(outlet)を備えている。流入アウトレットは、例えば攪拌部材の回転軸に平行な方向に延びた形状で作ることができる。ディフューザーは攪拌部材の回転軸と平行に並び得る。ディフューザーはインレット孔(inlet apertures)とインレット孔との間の間隔、それらのサイズ及びスクリーンメッシュからの間隔は、整列した幾多の孔によって生じる流れが、スクリーンメッシュの上で互いに交差するように選択されるパラメータである。これによってフォーミングワイヤーに形成されたウエブの厚さを、かなり均等にする。
【0014】
フォーミングヘッドのチャンバにおいて形成し得る塊を除去するため、装置の有利な実施形態では吸引部材が塊を吸引して再利用するチャンバに関連している。そこで塊が、塊を分解しフォーミングヘッドに供給される空気の流れの中に再誘導された繊維を回収する既知の手段へ送られる。
【0015】
本発明の特別有利な実施例において、吸引部材が前記フォーミングワイヤーの進行方向に対して横切る整列方向に沿って、互いに隣接した少なくとも一組の吸引インレットを備える。好ましくは二組の吸引インレットが、スクリーンメッシュの進行方向に関してチャンバの上流と下流に近接して(in the proximity)備えられる。塊の集積を収容するために最適な領域があり、それによって塊が迅速に取り除かれ、再利用される。
【0016】
攪拌部材は、単独モーターユニットによって回転させることができる。しかし本発明の好ましい実施形態では、複数の独立モーターを例えば攪拌部材のグループに備えることができる。好ましくは、各攪拌部材がそれ独自の独立モーターを備える。モーターが双方向型(bidirectional)で、攪拌部材の回転方向を逆転できる。独立モーターが各攪拌部材に関して備えられていると、各攪拌部材の回転方向と速度を、その他とは無関係に制御できる。
【0017】
個別の攪拌部材のシャフトの成形異形材が、有利には尖った形態を有することができる。例えば、シャフトの異形材が二等辺三角形に近い形状をして、三角形の頂点に向かって収束する側面が、直線ではなく曲線状であり、三角形の外側に向かって窪んでいる。加えて形成部品が好ましくは円筒表面に配置し、その軸が対応する攪拌部材のシャフトの回転軸と同一である。幾多の成形異形材が、攪拌部材のシャフトに取り付けられたディスクに支持されて、一体型にできる。各ディスクは、好ましくは一つか好ましくは二つの異形材を有する。
【0018】
スクリーンメッシュに向かう空気と繊維の特別に均等な流れを得るため、ガス(特に空気)の補足的な流れを導入するコンパートメントがチャンバの上に備えることができ、その中に空気の流れの中で浮遊する繊維を運ぶディフューザーが開口して、穴がコンパートメントチャンバから分割する分離パーテーションに作ることができ、前記補足的な流れをコンパートメントからチャンバへ通せるようになる。空気の補足的な流れは、温度及び/または湿度に関して適切に制御して、ウエブの成形を確実に好適な状態にできる。補足的な流れの速度と、それによりチャンバに入ってスクリーンを通過して出る空気の総量を、補足的な流れ、もし必要なら前記ディフューザーを介してチャンバに入る繊維を運ぶ空気の流れを調節することによって、制御できる。
【0019】
装置の有利な実施形態において、攪拌部材からスクリーンメッシュの間隔が調節可能であり、それによってウエブ成形状態を変えて、その結果製品の特徴を変化させることができる。この目的に関して、チャンバの底閉鎖部を形成する前記スクリーンメッシュの一部分が、有利にはガイド部材によって誘導され、それの攪拌部材からの距離が調節可能である。それらガイド部材が、例えば上部フレーム及び下部フレームを備え得、上部フレームと下部フレームは本質的に互いに平行で間隔をあけて配置されており、それを介して前記スクリーンが通る。フレームは、攪拌部材に関して調節可能な位置に支持される。フレームは有利には、スクリーンメッシュに関するガイド部材を有しており、外部からフォーミングワイヤーへの空気の吸引を防止するか、少なくとも減らすため、伸縮可能なシーリング手段がガイド部材とフォーミングヘッドのチャンバとの間に備えることができ、それらのシーリング手段が、それら自体を攪拌部材に関するスクリーンメッシュによって取られる位置へ合わせる。調節可能なシーリング手段は、案内手段とフォーミングワイヤーとの間にも備えることができる。
【0020】
本発明の更なる有利な特徴及び実施形態を、従属の請求項と独立の請求項に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、以下の記載と本発明を限定しない実用的な実施例を示す添付図面を参照することにより、明確に理解されよう。図面において、同一の参照符号は同一または対応の部分を示している。
【実施例1】
【0022】
装置は通常の方法であり、全体を参照番号1で示したフォーミングヘッドと、特に図6及び図7に示され、別の図面では簡略化のために省略されているフォーミングワイヤー3を備えている。吸引ボックス5がフォーミングワイヤー3の下に配置され、言い換えるとフォーミングヘッド1が位置している側と逆側のワイヤーに、配置されている。以下でより記載されているように、空気の流れがフォーミングヘッドの中に供給され、それと共にセルロースまたは別の適切な材料の繊維を引っ張る。その流れが吸引ボックス5によって吸い込まれ、繊維がフォーミングワイヤー1によって遮断され、それによりスクリーン上で繊維のウエブV(図7)を形成し、続いて繊維のウエブが既知の方法で強化される。フォーミングワイヤー3が矢印f3の方向に進行する。
【0023】
ヘッド1が支持構造部7を有しており、その内部にチャンバ9が配置され、チャンバの中に空気と浮遊繊維の流れが供給される。チャンバ9は本質的に平行六面体の形状をしており、四個の垂直壁と頂部壁11とによって画定されている。壁11はチャンバ9をその上に配置されたコンパートメント13から分離されている。穴11Aが壁11に作られており、それによってコンパートメント13をチャンバ9に連通させている。空気供給パイプ14がコンパートメント13に中に開口している。パイプ14によって誘導される空気が、制御された温度及び湿度になっていて、壁または分離パーテーション11における穴11Aを介して、下に位置するチャンバ9を介して通る。
【0024】
壁11からチャンバ9の内部に向かって延びるディフューザー15があり、ディフューザーはフォーミングワイヤー3の進行方向f3に対して垂直方向に延びるテーパー形状をしたアウトレットまたはノズル15Aで終端している。ディフューザー15は、フォーミングワイヤー3の進行方向f3に対して垂直に四列で配置されている。それらは空気と繊維の流れを誘導するため、18A及び18Bによって示された二つの多岐管に接続されており、多岐管は図示されていない既知の手段で供給を受ける。実用的に、二つの多岐管18A及び18Bの各々が、二列のディフューザー15に供給する。
【0025】
チャンバ9はその底が開口しており、スクリーンメッシュ17が開口部9A(図7)を通って走り、前記チャンバ9の周囲の閉じた経路に沿って延びる。経路はローラー19、21、23、25、27及び29によって画定されている。ローラー25がモーター31によって駆動され、動作をメッシュスクリーン17に伝達し、メッシュスクリーンが矢印f17の方向に移動する。図示の例において、チャンバ9の底部を覆い且つフォーミングワイヤー3に対して平行なメッシュの一部分が、前記ワイヤーの進行方向に対して逆の方向に進行するが、同じ方向に進行させることも可能である。ローラー19が一対の可動な揺動アーム33によって支持されており、揺動アームは、スクリーンメッシュ17を引っ張った状態で保持するシリンダーピストンアクチュエータ35によって作動できる。ローラー27が、前記ローラーの軸の位置を変えて、スクリーンメッシュを正確に案内する既知の手段に関連している。
【0026】
下部ローラー21及び23は、その間にチャンバ9の底開口部を閉じるスクリーンメッシュ17の下方分岐部を延ばしており、可動軸を有し、チャンバ9の底開口部に関連するそれらの位置が、チャンバ9内に配置され、以下に記載するような攪拌部材に関連してスクリーンメッシュの位置を変えるために調整できる。
【0027】
フォーミングヘッド1の構造部7は、一組の支持部41及び43を支えており、支持部は全体を45で示した攪拌機を支持している。前記攪拌部材の一つが、図2に単独の斜視図で示されている。各攪拌部材が、フォーミングワイヤー3とスクリーンワイヤーの進行方向に関して横に延びており、一対の支持部41及び43に支持されている。各支持部43が、独立した速度可変な双方向型のモーター46に関連しており、モーターが対応するシャフト47を回転させている。
【0028】
複数のディスク49が、各シャフト47に取り付けられている。二つの成形異形材51が、各ディスク49の円形縁上に固定されている。各成形部品が尖端ポイントの形態をしており、本質的に二等辺三角形の形を構成する三つの辺から成っており、その頂点が前記ポイントを形成している。頂点で収束している辺は曲がって、三角形の外側に面した窪みを有している。三角形が、対応するシャフト47に同軸な理論上の円筒表面上に位置している。二つの成形異形材51によって形成されたポイントが、同じ方向に向けられている。図示されていない別の実施例では、各成形部品が二重で対称型であり、二つの向かい合うポイントを有し、回転方向を逆転した時でも同じ効果を繊維にもたらす。
【0029】
図6の断面で特に見られるように、チャンバ9の端壁9Pが、フォーミングワイヤー3の進行方向f3に対して垂直で、すなわち端壁の基部が外側の二つの攪拌部材45を部分的に取り囲むケーシング9Bで終端している。二つのデフレクター9Dが、外側の攪拌部材の上をチャンバ9の中に延びている。端壁9Pの下部分9B及び9Cとデフレクター9Dが、二組の吸引インレット53の入口領域を画定している。吸引インレット53が、フォーミングワイヤー3の進行方向に関して横向きで、外側の二つの攪拌部材45に近接して、二列で配置されている。図示の例において、六個の吸引インレット53が各組に対して備えられている。各組の吸引インレットが、対応するマニホルド55に接続されており、二つのマニホルド55が吸引パイプ57に接続されている。再利用する空気の流れがこのパイプを介して吸引され、それと共にスクリーンメッシュ17を介して通り抜けない繊維の塊を引く。再利用する空気の流れが、塊を破壊し繊維を回収する手段へ送られるが、それらの手段は既に知られているので図示しない。
【0030】
リターンローラー23と対応するチャンバ9の端壁9P、9B、9Cとの間に、吸引部材61があって、吸引部材はスクリーンメッシュ17の全幅に渡って延び、且つスクリーンメッシュの内側表面、言い換えると前記メッシュの閉じた経路の内部に面した表面に隣接して配置している。吸引部材61はメッシュから、それに未だ付着している繊維の残留物のいずれも取り除く機能を有しており、それは吸引パイプ63に接続されている。
【0031】
吸引パイプ76に接続された吸引部材65が、スクリーンメッシュ17の経路の外側に配置されている。吸引部材65が、スクリーンメッシュ17の幅を横切って延び、前記メッシュに付着した繊維または残留物のいずれも吸い込んで取り去る。
【0032】
リターンローラー23が、ドクターブレード71に関連しており、ドクターブレードがスクリーンメッシュからローラーへ運ばれて、前記ローラーに接着したままになり得る繊維のいかなるデトリタスまたは残留物も取り外す。
【0033】
特に図3、図6及び図9に示されているように、リターンローラー21及び23が、二組のプレート77及び79に固定された二組の支持部73及び75によって支持されている。各対のプレート77及び79が、フォーミングワイヤー3の進行方向に平行に延びる交差部材81と一体型になっている。プレート77と79の各々が、クランピングネジ83(図9)によって固定構造部7に固定されており、クランピングネジは前記プレートにおける溝付き穴85の中に挿入され、支持構造部7の一部分を形成するプレート7Aに形成されたネジ穴(図示せず)にはめ込まれる。ネジ83を緩めると、対応するプレート77と一体型のナット89にはめ込まれ、且つ構造部7と一体型のブロック91によって支持される調節ネジ87によって、プレート77の各々を垂直方向に摺動できる。従って対のローラー21及び23の位置、すなわち構造部7に関連し、故に攪拌部材45に関連するスクリーンメッシュ17の位置を調節することが可能である。
【0034】
チャンバ9の開口部9Aの下に延びるスクリーンメッシュ17の一部分が、二つのフレーム93と95との間に案内され、それらはそれぞれ上部フレームと下部フレーム(特に図7参照)。二つのフレーム93及び95が、交差部材81と一体型になっており、それらの垂直位置がそれにより調節可能である。各フレームが矩形で構成された四角形金属によるセクションから形成されており、上部フレーム93を形成するセクションが下部フレーム95を形成するセクションよりも、断面が小さい。上部フレーム93の下表面上に、スクリーンメッシュ17に平行で、実際の案内用に下部フランジ97Aと、スクリーンメッシュ17に対して垂直なフランジ97Bとを有する適合案内セクション97があり、適合案内セクションがチャンバ9の開口部9Aを画定する終端壁9Eと平行に延びている。互いに平行な二つのセクション97Bと9Eは、必然的に交差部材81と二つのフレーム93及び95が上昇、下降をする時、入れ子式に伸縮できる種類の壁を形成する。伸縮壁が、外部からフォーミングワイヤー3の下に配置された吸引ボックス5に向かう空気の吸引を防止するか、少なくともかなり減らすシーリングシステムを形成する。
【0035】
フランジ97Aに平行な水平フランジ99Aと垂直フランジ99Bを具備した案内セクションが、下部フレーム95の上表面に取り付けられている。フレーム95の四個の側部に沿って溶接された金属セクション99の四個の長さが、それに関連するフランジ99Bと共に、上方に配置されたチャンバ9の開口部に実質的に対応するアウトレットを形成している。ボックス101がセクション99によって形成されたアウトレットの周囲に取り付けられている。フレーム95及びセクション99に関連する位置が、締め付けネジと溝のシステムによって調節できる。ボックス101が、その頂部ではスクリーンメッシュ17に向かって、その底部ではフォーミングワイヤー3に向かって開口して空間を画定し、その空間を介してスクリーンメッシュ17を出た空気と繊維の流れが、吸引ボックス5によって行われる吸引の効力によりフォーミングワイヤー3に到達する。ボックス101の位置がフレーム95に関連して調節できるので、前記ボックスの下縁部をフォーミングワイヤー3のできる限り近くに(as closely as possible)配置でき、それにより外部からフォーミングワイヤー3を介して吸い込まれる空気の通路断面を減らせる。
【0036】
特別な構成により、攪拌部材45からスクリーンメッシュ17の間隔を調節でき、チャンバ9の開口部9Aの下の空間、前記チャンバとフォーミングワイヤーとの間は、スクリーンメッシュの位置に関係なく、実質的に密封されて保たれている。
【0037】
このポイントまで説明した装置の動作は、以下の通りである。図示せず、既知のタイプの動力供給手段とリターンローラーによって、フォーミングワイヤー3を移動させ、そのようにしてフォーミングワイヤーにフォーミングヘッドの下を実質的に均一な速度で通過させる。吸引ボックス5内の圧力を減らす。浮遊繊維と含む空気の流れが、マニホルド18A及び18Bとディフューザー15を介してフォーミングヘッド1のチャンバ9の中に供給される。中に繊維が浮遊しているディフューザー15からの主要な流れに加えて、第二の空気の流れがパイプ14を介してチャンバ9の中に吹き入れられる。成形異形材51のポイントがスクリーンメッシュ17及びフォーミングワイヤー3の進行方向と実質的に一致した接線速度になるように、回転する方向に、通常全て同じ速度で攪拌部材45を回転させる。それゆえスクリーンメッシュの最も近くに配置された(located nearest to)繊維が、チャンバの両側を向いた異形材51の窪んだ部分によって押され、繊維に面したメッシュの表面にわたって均一に分配される。加えて経路の上部における異形材51の動きが、空気と繊維の流れの中に乱れを生じさせ、それによってチャンバ9の空間において良好且つより均一な分配を行い、また塊の成形を防止する。
【0038】
フォーミングヘッドの制御ユニットを適切にプログラムすることによって、個々の攪拌部材45の回転速度を変えることができ、また必要に応じて攪拌部材の一つかそれ以上の回転方向を逆転することもできる。
【0039】
吸引インレット53が少し下げた圧力で保持され、(フォーミングワイヤー3の進行方向に関して)チャンバ9の前端部及び後端部に達する繊維の塊を吸い込み、それらの塊を形成する繊維を回収して、前記塊を分解した後に再利用できる。
【0040】
図面は本発明の一実施例を単に示したもので、その形式と構成は本発明の実質的な概念の範囲内で変えることができることは理解されよう。付記されている請求項における参照番号は、前の記載と添付図面を参照して請求項を容易に読みとれるようにすることを単に目的としており、請求項の保護範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】フォーミングヘッドの斜視図。
【図2】攪拌部材の一つの斜視図。
【図3】図5のIII-III線を介して見た側面図。
【図4】図3及び図5におけるIV-IVを介して見た正面図。
【図5】図3及び図4におけるV-Vを介して見た平面図。
【図6】図4におけるIV-IVによって示された垂直平面に関する断面図。
【図7】図6の詳細部VIIの拡大図。
【図8】図6の詳細部VIII-VIIIの拡大図。
【図9】図8の詳細部の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維分配ヘッド(1)と;前記ヘッドの下で移動可能なフォーミングワイヤー(3)と;前記ヘッドから前記ワイヤーとは逆側に配置された吸引手段(5)と;前記ヘッド内に、前記繊維が浮遊するガスの流れを中に向けられたチャンバ(9)とを備え、前記チャンバが、前記フォーミングワイヤー(3)と本質的に平行で且つ、前記フォーミングワイヤーに面したスクリーンメッシュ(17)によって覆われる底開口部(9A)を有し;更に前記チャンバの内部で前記スクリーンメッシュ(17)の上に、繊維を攪拌し且つ分配する攪拌部材(45)とを備えた;繊維のウエブを乾燥成形する装置において:
前記スクリーンメッシュ(17)を前記チャンバの周囲の閉じた経路に沿って連続して移動可能にさせ、フォーミングワイヤーに対して平行で且つそれに対面する前記メッシュの一部分が、本質的に前記フォーミングワイヤーに平行な経路に沿って移動すること;
前記攪拌部材が、互いに平行で且つ前記フォーミングワイヤーの進行方向(f3)に対して垂直な複数の回転シャフト(47)を備え、前記シャフトが前記チャンバ内で繊維を攪拌するために成形異形材(51)を備えること;
を特徴とする装置。
【請求項2】
複数のディフューザー(15)が前記チャンバ(9)の中に開口し、それらのディフューザーが攪拌部材(45)の上に配置され、前記攪拌部材に対面し、ガスと繊維の前記流れを入れるためのアウトレット(15A)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバが、前記スクリーンメッシュを通過しない繊維の塊を吸い込んで再利用する吸引部材に関連していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記吸引部材が、前記フォーミングワイヤーの進行方向に関して横向きの整列方向に沿って、互いに隣接した少なくとも一組の吸引インレット(53)を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一組の吸引インレットが、前記攪拌部材の回転軸と平行に整列されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
スクリーンメッシュの進行方向に沿って、チャンバの二つの向かい合った端部に配置された、二組の吸引インレット(53)を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記攪拌部材が、独立モーター(46)を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記独立モーターが、双方向型であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シャフトによって支持された前記成形異形材(51)が、少なくとも一つのポイントを具備した形態を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記攪拌部材の各々が、複数のディスク(49)を取り付けたシャフト(47)を備え、ディスクの各々が前記成形異形材(51)のうち少なくとも一つを支持することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記成形異形材の各々が、本質的に二等辺三角形の形で円筒状の表面に置いた少なくとも一つの形態をし、頂点に収束する辺が湾曲して、ポイントを形成する三角形の外側に面した窪みを有した辺を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ディスクの各々が、前記成形異形材(51)の少なくとも二つに関連しており、その各々が少なくとも一つのポイントを有することを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
ガスの補足的な流れを誘導するコンパートメント(13)が、チャンバの上に備えられており、前記コンパートメント(13)を前記チャンバ(9)から分離する分離パーテーション(11)に穴(11A)が作られ、それによってガスの前記補足的な流れをコンパートメント(13)からチャンバ(9)へ通すことができることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ディフューザー(15)が、前記パーテーション(13)からチャンバ(9)の内部に向かって延びていることを特徴とする請求項2または13に記載の装置。
【請求項15】
前記ディフューザー(15)が、前記攪拌部材(45)の軸と本質的に平行に整列して配置されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記ディフューザー(15)が、前記フォーミングワイヤーの進行方向に関して横方向に延長したアウトレット(15A)で終端していること、前記アウトレットの孔のスクリーンメッシュからの距離が、隣接するアウトレットからガスと浮遊する繊維の噴射が、スクリーンメッシュの上で交差するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記スクリーンメッシュ(17)の攪拌部材(45)からの距離が、調節可能であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記チャンバ(9)の底閉鎖部を形成する前記スクリーンメッシュ(17)の一部分が、ガイド部材(93,95,97,99)によって案内され、その攪拌部材(45)からの距離が調節可能であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ガイド部材が、実質的に平行で互いに離れた上部フレーム(93)と下部フレーム(95)を備え、上部フレームと下部フレームを介してスクリーンメッシュ(17)が通過することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記上部と下部フレーム(93,95)が、攪拌部材(45)の位置に関して調節可能な位置で支持されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記上部と下部フレーム(93,95)が、調節可能で且つ前記ヘッド81)の支持構造部にクランプ留めできる摺動ブロック(81)によって支持されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記摺動ブロック(81)が、前記スクリーンメッシュ(17)の少なくとも二つのリターンローラー(21,23)支持し、リターンローラーの間に前記チャンバの底部を閉じるスクリーンメッシュの前記一部分が延びることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記上部フレーム(93)が、前記スクリーンメッシュ(17)用のガイドセクション(97)と一体型になっていることを特徴とする請求項9〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記下部フレーム(95)が、前記スクリーンメッシュ(17)用のガイドセクション(99)と一体型であることを特徴とする装置。
【請求項25】
伸縮可能なシーリング手段(9E,97B)が、前記ガイド部材(93,95,97,99)とフォーミングチャンバ(1)との間に配置されることを特徴とする請求項8〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記伸張可能なシーリング手段が、前記上部フレーム(93)と一体型で、前記チャンバの底開口部(9A)を囲む周縁部(9E)と相互作用するセクション(97,97B)を備えることを特徴とする請求項19または25に記載の装置。
【請求項27】
調節可能なシーリング手段(101)が、前記ガイド部材と前記フォーミングワイヤー(3)との間に備えられることを特徴とする請求項18〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記調節可能なシーリング手段が、上下を前記スクリーンメッシュ(17)と前記フォーミングワイヤー(3)に向かって開き、前記下部フレーム(95)によって支持されたボックス(101)を備えることを特徴とする請求項19または27に記載の装置。
【請求項29】
前記チャンバ(9)に面したスクリーンメッシュの表面を清掃するため、内部清掃手段(61)を備えることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記内部清掃手段(61)が、吸引手段であることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記フォーミングワイヤー(3)に面したスクリーンメッシュの表面を清掃するため、外部清掃手段(65)を備えることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記外部清掃手段(65)が、吸引手段であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記スクリーンメッシュが、前記チャンバ(9)の周囲でチャンバの外側に配置された複数のリターンローラー(19,21,23,25,27,29)の周囲を走行し、それらリターンローラーのの少なくとも一つ(25)に動力が供給されることを特徴とする請求項1〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
チャンバ(9)の底開口部から前記スクリーンメッシュ(17)の進行方向(f17)に関して、直ぐ下流に配置されたリターンローラー(23)の少なくとも一つが、前記ローラーに付着したどのデトリタスも取り除けるドクターブレード手段(71)に関連することを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記リターンローラー(19)の少なくとも一つが、前記スクリーンメッシュを引っ張る移動可能な方法で支持されることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記リターンローラーの少なくとも一つが、スクリーンメッシュを整列させる手段に関連することを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項37】
前記チャンバ(9)と前記コンパートメント(13)によって形成された組立体が、前記スクリーンメッシュ(17)の近くでのみ開いているボックスによって外向きに画定されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項38】
前記成形異形材の各々が対称的で、前記ディスクの接線方向において二つの逆方向を向いた二つのポイントを有することを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−503193(P2006−503193A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544681(P2004−544681)
【出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【国際出願番号】PCT/IT2002/000657
【国際公開番号】WO2004/035919
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(503463911)ア.チエルリ ノンヴオヴエンス ソチエタ ペル アチオーニ (5)
【Fターム(参考)】