説明

繊維処理剤組成物

【課題】 大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への油剤成分の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができる繊維処理剤組成物の提供。
【解決手段】 (A)粒子及び(B)成分を特定割合で含有する繊維処理剤組成物。
(A)粒子:(a)ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、C2-20の構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及びC8-22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を特定割合で含有する高分子化合物、(b)成分:20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤及び(c)香料を、特定割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された水中油型の乳化粒子
(B)成分:エステル基又はアミド基で分断されているC12-24の炭化水素基を1〜3個有し、残りがC1-3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である4級アンモニウム塩、又は3級アミン塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型の乳化粒子を含有する繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン化合物等の油剤は洗浄剤、仕上げ剤、繊維処理剤、潤滑剤などの様々な分野に応用され、特に衣料などの繊維製品の仕上げ剤には対象物の風合いを改善するなどの効果を付与する目的から汎用されている。また、シリコーン化合物等の油剤と高分子化合物を併用した技術も多く開示されている。特許文献1〜13には、一般に糊基剤として知られている水溶性高分子化合物及びシリコーン化合物を含有する繊維処理剤組成物が開示されている。また、特許文献14には特定多糖誘導体が開示されており、該特許文献の多糖誘導体は疎水性化合物を安定化できることが記載されている。
【特許文献1】特開2000−129570号公報
【特許文献2】特開2000−129577号公報
【特許文献3】特開2000−129578号公報
【特許文献4】特開2000−239970号公報
【特許文献5】特開2003−89978号公報
【特許文献6】特開平5−239774号公報
【特許文献7】特開平8−260356号公報
【特許文献8】特開平9−13272号公報
【特許文献9】特開平9−111662号公報
【特許文献10】特開平11−229266号公報
【特許文献11】特表平10−508911号公報
【特許文献12】特表平10−508912号公報
【特許文献13】特開平5−44169号公報
【特許文献14】国際公開第00/73351号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
油剤や香料混合物(油剤成分)は水に不溶性の化合物であり、一般家庭において衣料の洗濯に用いられる仕上げ剤などの水性組成物に応用する場合には、界面活性剤などにより乳化させて配合することが行われている。例えば、シリコーン化合物と香料の併用が残香性を向上させることも知られているが、このような水性組成物は洗濯工程の濯ぎの段階で添加される場合、界面活性剤などで乳化された油剤成分は、大過剰の水に希釈されると界面活性剤の乳化力が極端に低下し乳化が壊れ、油剤成分が安定に存在できなくなる。このため、繊維に油剤成分を効率よく吸着することができず、水性組成物中の油剤の大部分は排水に流出するかもしくは洗濯槽に付着し、油剤成分の効果を十分に繊維製品に付与することが困難な状況にある。
【0004】
特許文献1〜13には水溶性高分子化合物とシリコーン化合物を併用した技術が開示されているが、これらは水溶性高分子化合物を糊基剤あるいは皮膜形成剤として用いており、シリコーン化合物等の油剤成分を乳化させる目的で水溶性高分子化合物を用いるものではなく、また、これら特許文献に記載のシリコーン化合物は界面活性剤で乳化させているため、大過剰の水に希釈した場合の問題を解決し得るものではない。
【0005】
特許文献14には長鎖アルキル基で変性された多糖誘導体が開示されており、該特許文献の実施例には多糖誘導体とシリコーン化合物を併用した技術が開示されている。しかしながら、該特許文献はシリコーン化合物の溶液安定化を目的としており、シリコーン化合物等の油剤を含有する水性組成物を大過剰に希釈した場合の問題を何ら示唆するものではなく、ましてや油剤成分の吸着性を向上させる点について何ら想起させるものではない。
【0006】
従って本発明の課題は、香料の保留性を高める油剤と香料混合物(油剤成分)を含有する水性組成物を大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への油剤成分の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができる繊維処理剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(A)粒子及び(B)成分を含有し、(A)粒子中の下記(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/5.5である繊維処理剤組成物を提供する。
【0008】
(A)粒子:
(a)成分:ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物と、
(b)成分:20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と、
(c)成分:香料とを、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された水中油型の乳化粒子。
【0009】
(B)成分:
エステル基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基で分断されている総炭素数12〜24の炭化水素基を1〜3個有し、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である4級アンモニウム塩、及び3級アミン塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の繊維処理剤組成物は、20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と香料(油剤成分)を高分子化合物で乳化することで大過剰の水に希釈しても乳化状態を保つことができ、しかも、繊維製品などの対象表面への油剤成分の吸着性を向上させて、高い残香性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物である。
【0012】
(a1)と(a2)のモル比は、(a)成分が下記(i)の化合物の場合、(a1−1)/(a2−1)のモル比は、100/30〜150/1が好ましく、100/20〜100/1がより好ましく、100/15〜100/3が特に好ましい。一方、(a)成分が下記(ii)の化合物の場合、(a1−2)/(a2−2)のモル比は、1000/100〜1000/1が好ましく、1000/80〜750/1がより好ましく、1000/50〜1000/4が特に好ましい。
【0013】
本発明の(a)成分としては、下記(i)又は(ii)から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物が挙げられる。
(i)一般式(1)で表されるモノマー単位(a1−1)及び一般式(2)で表されるモノマー単位(a2−1)を含有し、(a1−1)/(a2−1)がモル比で100/30〜150/1であり、分子中の全モノマー単位に対する(a1−1)と(a2−1)の合計モノマー単位の割合が50〜100モル%である高分子化合物。
【0014】
【化2】

【0015】
[式中;R1a及びR2aはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1b及びR2bはそれぞれ独立に、水素原子又は−COOM1(M1は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1c及びR2cはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R2dは炭素数8〜22の炭化水素基であり、Aは−COOM2、−OH、−CON(R1d)(R1e)、−COO−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−COO−R1f−N(R1g)(R1h)、−CON(R1d)−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−CON(R1d)−R1f−N(R1g)(R1h)、もしくは環内にアミノ基又はアミド基を少なくとも1つ有する5又は6員環構造の複素環基である。ここで、M2は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R1d、R1e、R1g、R1h及びR1iはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、R1fは炭素数1〜5のアルキレン基、X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。Bは−O−、−COO−、−OCO−又は−CONR2e−(R2eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、陽イオン基又はアミド基から選ばれる基を介してR2dと結合し、B及びR2dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基及びグリセリル基の平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基から選ばれる少なくとも1種の基である。aは0又は1の数を示す。]
【0016】
(ii)単糖単位、又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位(a1−2)、及び単糖単位又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、一般式(3)で表される基で置換されている単糖単位(a2−2)を有し、(a1−2)/(a2−2)がモル比で1000/100〜1000/1である多糖誘導体。
【0017】
−R3a−(OR3b)b−E−R3c (3)
[式中、R3aはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、R3bはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、bは1〜300の数を示し、b個のR3bは同一又は異なっていてもよい。Eは−O−、−COO−又は−OCO−から選ばれる基を示し、R3cはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。]
【0018】
<(i)の高分子化合物>
(i)の高分子化合物は、重合可能な不飽和化合物をラジカル重合などの通常の方法で合成した合成高分子化合物である。
【0019】
本発明の(i)の高分子化合物では、一般式(2)においてaが1の構成単位が本発明の効果を得る目的から好ましく、高分子化合物の主鎖とシリコーン化合物と親和性のある疎水基R2dの間にスペーサーを設けることで乳化粒子の安定性が向上するものと推定される。本発明では、一般式(2)において、Dが−(C24O)d−で、dが5〜40であるモノマー単位が最も好ましい。
【0020】
(i)の高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは2000〜20万、より好ましくは3000〜15万、特に好ましくは4000〜12万である。
【0021】
<(ii)の高分子化合物>
(ii)の高分子化合物において、単糖単位(a1−2)及び(a2−2)を構成する単糖単位としては、グルコース、マンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース等を挙げることができ、グルコースが最も好ましい。また、高分子化合物に水溶性を付与する目的からヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、好ましくはヒドロキシエチル化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、好ましくはカルボキシメチル化、もしくはカチオン化された単糖単位が好適である。
【0022】
単糖単位(a2−2)は、単糖単位(a1−2)のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、前記一般式(3)で表される基で置換されたものである。
【0023】
一般式(3)において、R3aは、好ましくはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数2又は3のアルキレン基を示し、R3bは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基、より好ましくはエチレン基を示し、bは好ましくは3〜120、より好ましくは5〜60、特に好ましくは8〜60であり、b個のR3bは同一でも異なってもよい。Eはエーテル結合(−O−)又はエステル結合(−COO−又は−OCO−)を示すが、エーテル結合が好ましい。R3cは、好ましくは炭素数8〜20、より好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは12〜18の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基で、直鎖アルキル基が更に好ましい。具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基、ヘキシルデシル基、オクチルデシル基等が好ましい。
【0024】
本発明において(ii)の高分子化合物は(a1−2)/(a2−2)がモル比で1000/100〜1000/1、好ましくは1000/80〜750/1、特に好ましくは1000/50〜1000/4の多糖誘導体である。
【0025】
(ii)の高分子化合物に用いられる多糖類としては、セルロース、グァーガム、スターチ、ブルラン、デキストラン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸等の多糖:これらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。
【0026】
また、上記多糖誘導体の置換基は、ヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシ基に更に置換して、例えばポリオキシエチレン鎖等を形成することで、構成単糖残基当たり3.0を超える置換度も可能であり、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10.0、特に0.5〜5.0が好ましい。また、これら多糖類の重量平均分子量は、1万〜1000万、更に10万〜500万、特に10万〜75万の範囲が好ましい。
【0027】
なお、本発明の(ii)の高分子化合物は、国際公開第00/73351号パンフレットに記載の方法で製造することができる。
【0028】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤であり、(c)成分である香料の保留性を高める油剤である。このような油剤としては、シリコーン化合物、グリセリルエーテル、グリセリンの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アルキル又はアルケニルエステル、脂肪族アルコール、炭化水素類、セラミド類、ステロール類等が挙げられる。
【0029】
シリコーン化合物としては、具体的にはジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
【0030】
本発明では特に分子量千〜100万、好ましくは3千〜100万、特に好ましくは5千〜100万、25℃における粘度が2〜100万mm2/s、好ましくは500〜100万mm2/s、特に好ましくは1千〜100万mm2/sのジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好ましい。アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)は、1,500〜40,000g/mol、好ましくは2,500〜20,000g/mol、更に好ましくは、3,000〜10,000g/molである。ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、界面活性剤便覧(産業図書(株)発行 昭和35年7月5日発行)、324頁〜325頁に記載の曇数Aが、0〜18、好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5のものである。シリコーン化合物としては、アミノ基またはアミド基を有する化合物が好ましい。
【0031】
グリセリルエーテルとしては、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化3】

【0033】
〔式中、R4は炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖の飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はコレステリル基を示す。〕
一般式(4)で表される化合物におけるR4は炭素数8〜30、好ましくは8〜20の直鎖若しくは分岐鎖の飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はコレステリル基である。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、イソセチル基、イソステアリル基、ヘキシルデシル基、ヘプチルウンデシル基、オクチルドデシル基、オレイル基、コレステリル基が挙げられる。
【0034】
グリセリンの脂肪酸エステルとしては、一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
5aCOOCH2CH(OR5b)CH2OR5c (5)
【0036】
〔式中、R5aは炭素数7〜21、好ましくは11〜17、より好ましくは13〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R5b及びR5cはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数6〜22の飽和又は不飽和アシル基である。〕
【0037】
一般式(5)で表される化合物の具体例としては、1−モノミリスチン、1−モノパルミチン、1−モノステアリン、2−モノラウリン、2−モノミリスチン、2−モノステアリン、1,3−ジラウリン、1,3−ジステアリン、1,2−ジパルミチン、1,2−ジステアリン、トリパルミチン、トリステアリン、2−ステアロイル−1,3−ジパルミチン、2−ミリストイル−1,3−ジステアリン等が挙げられる。
【0038】
脂肪酸としては、一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0039】
6aCOOH (6)
【0040】
〔式中、R6aは炭素数13〜35、好ましくは15〜27、より好ましくは17〜23のアルキル基又はアルケニル基である。〕
【0041】
脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、エライジン酸、バセニン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシン酸、リグノセリン酸、セラコレイン酸、セロチン酸又はそれらの混合物等が挙げられる。
【0042】
脂肪酸アルキル又はアルケニルエステルとしては、一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0043】
7aCOOR7b (7)
【0044】
〔式中、R7aは炭素数7〜21、好ましくは11〜17、より好ましくは13〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R7bは炭素数1〜22のアルキル基又はアルケニル基である。〕
【0045】
脂肪族アルコールとしては、一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
8aOH (8)
【0047】
〔式中、R8aは炭素数14〜32、好ましくは16〜28、より好ましくは18〜24のアルキル基又はアルケニル基である。〕
【0048】
炭化水素類としては、炭素数10〜30の炭化水素が挙げられる。
【0049】
これら(b)成分の中では、シリコーン化合物、グリセリルエーテル、グリセリンの脂肪酸エステルが好ましく、シリコーン化合物が更に好ましい。
【0050】
[(c)成分]
本発明の(c)成分の香料としては、logPowが2.0以上の香料成分(以下香料成分(c1)という)を含有する香料が好ましい。より好ましくはlogPowが2.0以上、7.0以下、更に好ましくは3.0以上、7.0以下の香料成分を含有する香料である。(c)成分中の香料成分(c1)の含有量は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。一方で、よりlogPowの高い香料成分、即ち、より疎水性の香料成分を含有していることが好ましい。logPowが3.0以上の香料成分を(c)成分中に20質量%以上含有していることが好ましく、30質量%以上含有していることが更に好ましく、40質量%以上含有していることが特に好ましい。ここでlogPowとは化学物質の1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。
【0051】
香料成分(c1)としては、(i)炭化水素系香料、(ii)アルコール系香料、(iii)アルデヒド、ケトン系香料、(iv)エステル系香料、(v)フェノール系香料、(vi)エーテル系香料から選ばれる化合物を選択することができる。
【0052】
(i)炭化水素系香料としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ジテルペン、テルピノーレン、ミルセン、p−サイメン、β−カリオフィレンを挙げることができ、特にリモネンが好適である。
【0053】
(ii)アルコール系香料としては、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、リナロール、サンダルマイソールコア等が挙げられる。
【0054】
(iii)アルデヒド、ケトン系香料としては、アルデヒドC−111、シトラール、シトロネラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、メチルイオノンG、リリアール等が挙げられる。
【0055】
(iv)エステル系香料としては、フェニルエチルアセテート、アリルアミルグリコレート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキサノン、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、アセチルオイゲノール、シンナミルアセテート等が挙げられる。
【0056】
(v)フェノール系香料としては、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、チモール、バニトロープ等が挙げられる。
【0057】
(vi)エーテル系香料としては、アンブロキサン、アネトール、ネロリンヤラヤラ等が挙げられる。
【0058】
本発明の(c)成分は、特に上記(i)〜(iv)から選ばれる香料成分を30質量%以上含有する香料が好適であり、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上含有する香料である。
【0059】
また、組成物中の安定性の点から、(ii)の香料成分+(iii)の香料成分+(iv)の香料成分の合計含有量が、(c)成分中20〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。また、(c)成分中の(ii)の香料成分/(iii)の香料成分の質量比が、2/8〜8/2であることが好ましく、7/3〜3/7であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の(c)成分には上記香料成分(c1)以外に、logPowが−0.5以上2.0未満の香料成分、希釈剤、保留剤を含有することが出来る。logPowが−0.5以上2.0未満の香料成分の好適な例としては、フェニルエチルアルコール、シス−3−ヘキセノール、ヘリオナール、ベンズアルデヒド、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、マルトール、クマリン、アニスアルデヒド等を挙げることができる。又、希釈剤、保留剤の好適な例としては、ジプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピルエステル、ジエチルフタレート、ペンジルベンゾエート、流動パラフィン,イソパラフィン、油脂等を挙げることができる。香料成分と保留剤の質量比は1/0〜2/8が好ましい。
【0061】
[(d)成分]
本発明の(d)成分は水であり、微量に存在する重金属などを取り除いたイオン交換水や蒸留水を用いることができる。また、塩素などで滅菌した滅菌水を用いることも可能である。
【0062】
[(A)粒子]
本発明の(A)粒子は、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された水中油型の乳化粒子である。
又、この(A)粒子は(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して得ることが出来る。
【0063】
本発明の(A)粒子中の、(a)成分の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8.0質量%がより好ましく、0.1〜5.0質量%が特に好ましい。(b)成分の含有量は、3〜50質量%が好ましく、4〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%が特に好ましい。また(a)成分と(b)成分の配合比率は、(a)成分1質量部に対し(b)成分1〜100質量部であるが、(a)成分が(i)の化合物の場合、(a)成分1質量部に対し(b)成分2〜80質量部が好ましく、3〜60質量部がより好ましい。一方(a)成分が(ii)の化合物の場合、(a)成分1質量部に対し(b)成分2〜80質量部が好ましく、3〜70質量部がより好ましい。本発明の(A)粒子中の(c)成分の含有量は、0.0001〜15質量%が好ましく、0.001〜12質量%がより好ましく、0.01〜10質量%が特に好ましい。また、また(a)成分と(c)成分の配合比率は、(a)成分1質量部に対し(c)成分0.005〜30質量部であるが、0.01〜15質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましい。本発明の(A)粒子中の(d)成分である水の含有量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜90質量%が特に好ましい。
【0064】
本発明の(A)粒子はO/W型の乳化形態が対象表面への(b)成分の吸着を促進できる点で好ましい。又(a)成分を外殻として(b)成分及び(c)成分を内包するカプセル状の粒子が分散したO/W型乳化物がより好適である。これは(a)成分中のヒドロキシル基が被処理対象物と相互作用する為であるか、(a)成分中のアルキル基が(b)成分と相互作用し効率良く乳化する為であると考えられる。
【0065】
[(B)成分]
本発明の(B)成分としては、一般式(13)で表される第4級アンモニウム塩、一般式(14)で表される3級アミン塩が挙げられる。
【0066】
【化4】

【0067】
[式中;R13a、R13b及びR13cはこれらのうち少なくとも一つがエステル基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基で分断されている総炭素数12〜24の炭化水素基、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R13dは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基、もしくは水素原子である。T-は、有機又は無機の陰イオンである。]
【0068】
【化5】

【0069】
[式中;R14a、R14b及びR14cはこれらのうち少なくとも一つがエステル基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基で分断されている総炭素数12〜24の炭化水素基、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。]
一般式(13)で表される化合物において、R13aはエステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜24、更に14〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。R13bはエステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜24、更に14〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。R13cは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。R13dは水素原子又はメチル基が好適である。T-はハロゲンイオン(好ましくはクロルイオン)、炭素数1から3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適である。
一般式(14)で表される化合物において、R14aはエステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜24、更に14〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。R14bはエステル基又はアミド基で分断されている総炭素数12〜24、更に14〜18のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。R14cは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0070】
[その他成分]
本発明の繊維処理剤組成物は、上記(A)粒子及び(B)成分を必須成分とするが、乳化物のレオロジーを制御する目的、及び乳化物の安定性の点から水溶性溶剤(e)を併用することが好ましい。(e)成分は、特に(A)粒子を調製する際に用いることが好ましい。
【0071】
(e)成分の好ましい例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオールが好適であり、特にグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールが好ましい。
本発明の組成物中の(e)成分の含有量は、貯蔵安定性の点から0.5〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、4〜20質量%が特に好ましい。
【0072】
本発明の組成物は、乳化物の安定性を向上させる目的、及び油剤の対象表面への吸着を促進させる目的から(f)成分として非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤を用いることができ、乳化物の安定性の点から非イオン界面活性剤が好適である。
【0073】
非イオン界面活性剤としては一般式(15)で表される化合物が乳化物の安定性の点から好適である。
【0074】
15a−J−[(R15b−O)f−R15c]g (15)
[式中、R15aは炭素数8〜32、好ましくは10〜28、より好ましくは10〜24、特に好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基、R15bは炭素数2又は3のアルキレン基である。R15cは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Jは−O−、−COO− 、−CON<又は−N<から選ばれる連結基であり、Jが−O−又は−COO−の場合にはgは1であり、Jが−CON<又は−N<の場合にはgは2である。fは数平均で1〜150、好ましくは2〜80、特に好ましくは4〜50の値である。ここで、複数個のR15b及びR15cは同一でも異なっていても良い。]
一般式(15)において、R15aは炭素数10〜18のアルキル基が最も好ましく、R15bはエチレン基が最も好ましく、R15cは水素原子が最も好ましい。また、Jは−O−又は−COO−、特に−O−が好ましい。
【0075】
非イオン界面活性剤としては特に一般式(15−1)で表される化合物が最も好ましい。
【0076】
15a−O−(C24O)f−H (15−1)
[式中、R15a及びfは前記の意味を示す。]
【0077】
(f)成分は(A)粒子を調製する際に用いても、(A)粒子と(B)成分を混合する際に用いても良い。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
【0078】
また、本発明の繊維処理剤組成物中には、繊維処理剤に用いられる通常の添加剤、例えば防腐剤、染料、顔料、粘度調節剤、無機塩、ハイドロトロープ剤などの成分を必要に応じて用いることができる。また、(A)粒子である水中油型の乳化粒子中、(b)成分、(e)成分として、添加したものであっても、必要に応じて、乳化物外の繊維処理剤組成物に添加する事ができる。
【0079】
[(A)粒子の製造法]
本発明の(A)粒子の製造法としては、特に限定されないが、下記製造方法で製造することが出来る。
【0080】
常温にて(a)成分、必要に応じて(e)成分、(f)成分を、必要量の15%相当量の(d)成分に添加し、次に昇温後80℃にて攪拌した後、25℃まで冷却する(この溶液を(F)とする)。次に、必要に応じて(f)成分を攪拌しながら添加し、攪拌放置する。その後、(b)成分及び(c)成分をゆっくり添加する。(b)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して添加することが望ましい。また、その場合には溶液(F)も(b)成分の融点、又は流動点以上の温度に加温することが望ましい。添加後さらに攪拌した後、配合物の温度を60℃、若しくは(b)成分の融点、若しくは流動点以上に上昇させ、さらに攪拌し、混合物を得る。そのままの温度か必要に応じて40℃程度まで冷却し、上記の方法で得られた混合物に残りの(d)成分をゆっくり添加し、攪拌する。また、必要に応じてpHを調整した後、ゆっくり常温まで配合物の温度を下げて、本発明の(A)粒子を得る。上記製造方法において(b)成分の一部を(a)成分と一緒に添加してもよい。
【0081】
本発明では(F)の溶液を20〜75℃、好ましくは30〜60℃に調整し、(d)の水を20〜90℃、好ましくは30〜70℃で混合することが好適である。(f)成分は溶液(F)に予め添加していてもよく、(e)成分に予め溶解していてもよく、さらに溶液(F)と(d)成分を混合した後に添加しても差し支えない。
【0082】
このような方法によると、(a)成分を外殻とし(b)成分及び(c)成分を内包した粒径0.1〜50μmのカプセル状粒子を含む水中油型の乳化粒子である(A)粒子が得られる。
【0083】
[繊維処理剤組成物及びその製造方法]
本発明の繊維処理剤組成物は、上記(A)粒子及び(B)成分を、(A)粒子中の(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/5.5、好ましくは1/50〜1/7、更に好ましくは1/20〜1/10の割合で含有する。
【0084】
本発明の繊維処理剤組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である水中油型の乳化粒子を得る工程(工程1)、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程(工程2)を有する製造方法により調製することができる。
【0085】
工程1は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である水中油型の乳化粒子を得る工程である。
上記混合溶液を得る方法としては、一括して混合しても良く、順次添加しても良いが、好ましくは(b)成分と(c)成分を混合した後、(a)成分を添加することで、より均一な混合溶液を得ることができる。上記混合溶液を調製した後、撹拌下で昇温する。温度は好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃である。撹拌は好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.1〜2時間、特に好ましくは0.2〜1時間続け、その後、室温付近、好ましくは20〜40℃、特に好ましい20〜30℃まで冷却する。冷却後、撹拌下で(d)成分をゆっくり添加することで、(A)粒子を得ることができる。
【0086】
工程2は、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程である。工程1で得られた(A)粒子は、水中油型の乳化粒子として存在しているため、(A)粒子が存在する水中油型の乳化物と(B)成分を混合することで本発明の繊維処理剤組成物を得ることができる。また、(B)成分は、(A)粒子と均一に混合するため、(B)成分が水に分散された組成物を調製した後、工程1で得られた(A)粒子と混合するのが好ましく、(A)粒子が存在する水中油型の乳化物と混合するのが特に好ましい。
【0087】
本発明の繊維処理剤組成物の使用方法は、対象の繊維衣料に対して処理する量としては、(b)成分の油剤が衣料に対して、0.01〜5.0質量%となる量が好ましく、0.03〜4.0質量%となる量が更に好ましく、0.05〜3.0質量%となる量が特に好ましい。具体的には、本発明の繊維処理剤組成物を、繊維製品を含む洗濯水や濯ぎ水に上記の質量%の範囲になるように添加、処理することで、効率的に(b)成分を繊維に吸着させることができる。また、処理する繊維製品と水の質量比率(浴比=水の質量/繊維製品の質量)が5〜30、好ましくは8〜20の条件下で、上記記載の質量%になるように、本発明の繊維処理剤組成物を添加することが好ましい。
【0088】
本発明の繊維処理剤組成物は20℃におけるpHを2〜8、好ましくは4〜7.5に調整することが安定性の点から好適である。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0089】
本発明の繊維処理剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いやすさ、および乳化物の安定性の観点から、2〜300mPa・sが好ましく、5〜200mPa・sがより好ましく、10〜150mPa・sが特に好ましい。このような粘度調整には(e)成分や通常の粘度調整剤等を用いて行う。
【0090】
本発明では、(b)成分の油剤及び香料を内包した水中油型の乳化粒子を含む繊維処理剤組成物を提供することができ、本発明によれば希釈により乳化が壊れず、かつ対象表面に(b)成分の油剤及び香料を効率的に吸着させることができ、繊維に対し効率的に柔軟性と残香性を付与することができる。
【実施例】
【0091】
実施例に用いる配合成分を以下にまとめて示す。また、例中の「%」は、特記しない限り「質量%」である。
【0092】
<(A)粒子>
・(a)成分
(a−1):ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びジメチルアミノプロピルメタクリレートのラウリルクロライドによる4級アンモニウム塩の共重合体(スタイリーゼW−20、アイエスピー・ジャパン(株)製、(a1−1)/(a2−1)=90/10(モル比))
(a−2):合成例1で製造した高分子化合物(a−2)
(a−3):合成例2で製造した多糖誘導体(a−3)
(a−4):合成例3で製造した多糖誘導体(a−4)
(a−5):合成例4で製造した多糖誘導体(a−5)
(a−6):合成例5で製造した多糖誘導体(a−6)
・比較の化合物
(a’−1):ラウリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均12モル付加させた非イオン界面活性剤
・(b)成分
(b−1):花王(株)製 ペネトールGE−IS(イソステアリルグリセリルエーテル)
(b−2):花王(株)製 ココナードMT(トリグリセライド(脂肪酸の炭素数8、10)
(b−3):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 BY16−891(ジアミノアミド変性シリコーン)
(b−4):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 BY16−906(アミドポリエーテル変性シリコーン)
(b−5):信越化学工業(株)製 KF−864(アミノ変性シリコーン、粘度1700mm2/s、アミノ当量3800)
(b−6):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 DC2−8630(アミノ変性シリコーン、粘度1500mm2/s、アミノ当量4300)
上記(b−1)〜(b−6)は全て20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下である。
・(c)成分
香料として表1記載の本発明の(c)成分である(c−1)〜(c−4)を使用した。
【0093】
【表1】

【0094】
・(d)成分:水
【0095】
<(B)成分>
(B−1):以下の方法で製造したエステルアミド
N−(3−アミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンと
硬化牛脂脂肪酸を1/1.9のモル比で公知の方法に従って脱水縮合させ、反応物中の脂肪酸含量が5%になった時点で反応を終了させた。主成分の構造は下記の通りである。(B)成分としての含有量は95%であった。
【0096】
【化6】

(式中、R20aは硬化牛脂脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
【0097】
(B−2):以下の方法で製造したテトラニル
トリエタノールアミンと硬化牛脂脂肪酸を1/1.8のモル比で公知の方法に従って脱水縮合させ、反応物中の脂肪酸含有量が3%になった時点で反応を終了させた。次に脱水縮合物に対して10%相当量のエタノールを加えた。次にアミンに対して0.98当量のジメチル硫酸を用いて公知の方法に従って4級化させた。その後、固形分含有量が90%になるように、エタノールを加えた。主成分の構造は以下の通りである。(B)成分としての含有量は88%であった。
【0098】
【化7】

【0099】
(式中、R20aは硬化牛脂脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
(B−3):以下の方法で製造したエステルアミド4級塩
(B−1)に対して10%のエタノールを加え、アミンに対して0.98当量のメチルクロリドを用いて公知の方法で4級化させた。その後、固形分含有量が90%になるように、エタノールを加えた。主成分の構造式は以下の通りである。(B)成分としての含有量は84%であった。
【0100】
【化8】

【0101】
(式中、R20aは硬化牛脂脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
(B−4):以下の方法で製造したオレイルテトラニル
脂肪酸としてオレイン酸を用いた以外は(B−2)の製造方法に従って製造した。主成分の構造は以下の通りである。(B)成分としての含有量は87%であった。
【0102】
【化9】

【0103】
(式中、R20bはオレイン酸からカルボキシル基を除いた残基を示す。)
上記(B−1)〜(B−4)の化合物は、公知の方法、又は特開平11−229273号公報記載の方法により製造した。
【0104】
<その他成分>
・(e)成分
(e−1):グリセリン
・(f)成分
(f−1):C12の飽和アルコールにEOを平均20モル付加させたもの
(f−2):イソトリデシルアルコールにEOを平均30モル付加させたもの
・(g)成分
(g−1):ステアリン酸
(g−2):オレイン酸
(g−3):塩化カルシウム
(g−4):硬化牛脂脂肪酸とグリセリンとの脱水縮合物、硬化牛脂脂肪酸/グリセリンのモル比は1.8/1である
(g−5):エタノール
(g−6):食用青色1号
(g−7):エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩
(g−1)、(g−2)及び(g−4)は、水中油型の乳化粒子((A)粒子)とは別に存在する。
【0105】
合成例1:高分子化合物(a−2)の合成例
N,N−ジメチルアクリルアミド94.2g,ALE−900(日本油脂(株)製 ラウロキシポリエチレングリコール(EO=18)モノアクリレート)51.7g、エタノール200gを混合した。この溶液中に窒素ガスを吹き込み(20ml/min,1時間)、系内を脱気した後、60℃に昇温した。その後V−65(和光純薬工業(株)製、重合開始剤)エタノール溶液(3%)82.8gを60℃に保ちながら滴下した。滴下終了後60℃で12時間熟成を行った。反応終了後、得られた反応終了物をジイソプロピルエーテル2kg中に滴下した。得られた白色固体を濾別し、更にジイソプロピルエーテルで洗浄した(500g×2回)。減圧乾燥の後、式(15)で表される高分子化合物(a−2)を115g得た。得られた(a−2)のラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレートの導入率[m2/(m1+m2)]をNMRより測定した結果、0.054であった。また、重量平均分子量は65000であった。
【0106】
【化10】

【0107】
合成例2:多糖誘導体(a−3)の合成例
重量平均分子量20万、ヒドロキシエチル基の置換度2.5のヒドロキシエチルセルロース(NATROZOL250G,ハーキュレス社製)160g、含水80%イソプロピルアルコール1280g、48%水酸化ナトリウム水溶液9.8gを混合して、スラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分撹拌した。この溶液に次式(16)
【0108】
【化11】

【0109】
で表される化合物31.8gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール700gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体(a−3))152gを得た。
【0110】
得られた多糖誘導体(a−3)のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.014であった。
【0111】
合成例3:多糖誘導体(a−4)の合成例
重量平均分子量50万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP4400H,ユニオンカーバイド社製)80g、含水80%イソプロピルアルコール640g、48%水酸化ナトリウム水溶液5.34gを混合して、スラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分撹拌した。この溶液に前記式(16)で表される化合物12.78gを加え80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体(a−4))73gを得た。
【0112】
得られた多糖誘導体(a−4)のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.004であった。
【0113】
合成例4:多糖誘導体(a−5)の合成例
重量平均分子量150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100MH,ユニオンカーバイド社製)80g、含水80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.34gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液に前記式(16)で表される化合物12.78gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで2回、減圧下60℃で1昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体(a−5))72.0gを得た。
【0114】
得られた多糖誘導体(a−5)のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.004であった。
【0115】
合成例5:多糖誘導体(a−6)の合成例
重量平均分子量20万、ヒドロキシエチル基の置換度2.5のヒドロキシエチルセルロース(NATROZOL250G,ハーキュレス社製)160g、含水80%イソプロピルアルコール1280g、48%水酸化ナトリウム水溶液9.8gを混合して、スラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分撹拌した。この溶液に次式(17)
【0116】
【化12】

【0117】
で表される化合物31.8gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール700gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体(a−6))152gを得た。
【0118】
得られた多糖誘導体(a−6)のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.015であった。
【0119】
実施例1
表2に示す配合成分を用い、下記に記す方法で水中油型の乳化粒子((A)粒子)を調製し、更に下記方法で繊維処理剤組成物を調製した。得られた繊維処理剤組成物について、下記方法で香料の残香性を評価した。これらの結果を表2に示す。
【0120】
<水中油型の乳化粒子の調製方法>
(a)成分、1/5(質量比)の(b)成分及び(e)成分を、表2の組成にするのに必要な(d)成分の15%(25℃)に添加し、25℃にて1時間攪拌した後、残りの(b)成分及び(c)成分を添加する。次に、25℃で1時間攪拌した後、配合物の温度を60℃に上昇させ、1時間攪拌し、混合物を得る。上記の方法で得られた混合物を1時間かけて40℃まで冷却した後、残りの(d)成分(40℃)を添加し、30分攪拌し、pHを調整した後、1時間かけて25℃にまで配合物の温度を下げて、水中油型の乳化粒子を得た。
<繊維処理剤組成物の調製方法>
最終の繊維処理剤組成物が300gになるように下記の各成分を使用し、繊維処理剤組成物を製造した。一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根をビーカー底面より1cm上部に設置した、500mLのガラスビーカーに必要量の95%イオン交換水と、必要に応じて(f−1)、(f−2)、(g−5)(g−6)、(g−7)成分を入れ、ウォーターバスで62℃まで昇温した。500rpmで攪拌しながら、予め70℃で溶融させた(B)成分、(必要であれば(g−1)、(g−2)、(g−4)成分を含む)を添加した。
次に所定のpHにするのに必要な量の35%塩酸水溶液、及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。更に攪拌しながら(g−3)成分を添加し、10分間攪拌した。
その後、5℃のウォーターバスで30℃まで冷却し、(A)粒子(水中油型の乳化粒子)を添加し更に5分間混合した。最後に再度pHを確認し、必要に応じて35%塩酸水溶液、及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。表2に記載のpH範囲では(B−1)はほぼすべて塩酸塩の状態で組成物に存在する。また、残香性を評価する為の対照繊維処理剤組成物として、(A)粒子成分のかわりに、香料成分として同量の(c)成分を添加した組成物を調製した。
尚、攪拌速度は全ての工程で400rpmである。
【0121】
<残香性の評価法>
(1)処理タオルの調整方法
市販の木綿タオル(白色、34cm×86cm、68g/1枚、綿100%)24枚を市販の衣料用洗剤(花王(株)アタック)を用いて洗濯機で洗浄した(東芝製2槽式洗濯機VH−360S1、洗剤濃度0.0677質量%、水道水30L(水温20℃)使用、水温20℃、10分間)。その後、洗浄液を排出し、3分間脱水後、30Lの水道水(水温20℃)を注水した。5分間攪拌後、濯ぎ水を排出し、3分間脱水した。次に30Lの水道水(水温20℃)を注水し、5分間攪拌後、濯ぎ水を排出し、3分間脱水した。このサイクルを5回繰り返した後、室温で風乾した。この風乾した木綿タオルの質量を測定した。
【0122】
次に、この木綿タオルを衣料用洗剤(花王(株)アタック)を用いて洗濯機で洗浄した〔東芝製2槽式洗濯機VH−360S1、洗剤濃度0.0677%、風乾した木綿タオルの質量の17倍の質量の水(水温20℃)使用、水温20℃、5分間〕。その後、洗浄液を排出し、3分間脱水後、風乾した木綿タオルの質量の17倍の質量の水道水(水温20℃)を注水した。5分間攪拌後、濯ぎ液を排水し、3分間脱水した。次に、風乾した木綿タオルの質量の17倍の質量の水道水(水温20℃)を注水した。次に、風乾した木綿タオルの質量の1.34%に相当する繊維処理剤組成物を添加し、3分間攪拌した。その後、水を排出し、3分間脱水し自然乾燥した。
得られた繊維処理剤組成物、及びそれぞれに対応する対照繊維処理剤組成物を用いて、以下の方法で香りの強さを評価した。
(2)香りの強さの評価
香りの強さを以下の基準で評価した。
5:非常に強い香り
4:強い香り
3:やや強い香り
2:やや弱い香り
1:弱い香り
0:無臭
【0123】
【表2】

【0124】
*:表2中pHは20℃におけるpHであり、1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)粒子及び(B)成分を含有し、(A)粒子中の下記(a)〜(c)成分の合計量と、(B)成分の質量比が1/100〜1/5.5である繊維処理剤組成物。
(A)粒子:
(a)成分:ヒドロキシ基、カルボン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基及びアミド基から選ばれる基を1つ以上有し、総炭素数が2〜20である構成単位(a1)(但し(a2)の構成単位は除く)、及び炭素数8〜22の炭化水素基を有する構成単位(a2)を、(a1)/(a2)=100/30〜1000/1のモル比で含有する高分子化合物と、
(b)成分:20℃の水に対する溶解性が1g/100g以下の油剤と、
(c)成分:香料とを、(a)成分1質量部に対し、(b)成分1〜100質量部、(c)成分0.005〜30質量部の割合で含有し、(b)成分及び(c)成分が(a)成分で乳化された水中油型の乳化粒子。
(B)成分:
エステル基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基で分断されている総炭素数12〜24の炭化水素基を1〜3個有し、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である4級アンモニウム塩、及び3級アミン塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
【請求項2】
(A)粒子が、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して得られた水中油型の乳化粒子である請求項1記載の繊維処理剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、下記(i)又は(ii)から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物である請求項1又は2記載の繊維処理剤組成物。
(i)一般式(1)で表されるモノマー単位(a1−1)及び一般式(2)で表されるモノマー単位(a2−1)を含有し、(a1−1)/(a2−1)がモル比で100/30〜150/1であり、分子中の全モノマー単位に対する(a1−1)と(a2−1)の合計モノマー単位の割合が50〜100モル%である高分子化合物。
【化1】

[式中;R1a及びR2aはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1b及びR2bはそれぞれ独立に、水素原子又は−COOM1(M1は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1c及びR2cはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R2dは炭素数8〜22の炭化水素基であり、Aは−COOM2、−OH、−CON(R1d)(R1e)、−COO−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−COO−R1f−N(R1g)(R1h)、−CON(R1d)−R1f−N+(R1g)(R1h)(R1i)・X-、−CON(R1d)−R1f−N(R1g)(R1h)、もしくは環内にアミノ基又はアミド基を少なくとも1つ有する5又は6員環構造の複素環基である。ここで、M2は水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R1d、R1e、R1g、R1h及びR1iはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、R1fは炭素数1〜5のアルキレン基、X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。Bは−O−、−COO−、−OCO−又は−CONR2e−(R2eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、陽イオン基又はアミド基から選ばれる基を介してR2dと結合し、B及びR2dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基及びグリセリル基の平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基から選ばれる少なくとも1種の基である。aは0又は1の数を示す。]
(ii)単糖単位、又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位(a1−2)、及び単糖単位又はヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)化、カルボキシアルキル(炭素数1〜3)化、もしくはカチオン化された単糖単位のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、一般式(3)で表される基で置換されている単糖単位(a2−2)を有し、(a1−2)/(a2−2)がモル比で1000/100〜1000/1である多糖誘導体。
−R3a−(OR3b)b−E−R3c (3)
[式中、R3aはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、R3bはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、bは1〜300の数を示し、b個のR3bは同一又は異なっていてもよい。Eは−O−、−COO−又は−OCO−から選ばれる基を示し、R3cはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。]
【請求項4】
(A)粒子中の(a)成分の含有量が0.01〜10質量%、(b)成分の含有量が3〜50質量%、(c)成分の含有量が0.0001〜15質量%、(d)成分の含有量が40〜95質量%である、請求項1から3のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
【請求項5】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する混合溶液に、攪拌下、水((d)成分)を添加して(A)粒子である水中油型の乳化粒子を得る工程(工程1)、工程1で得られた(A)粒子と(B)成分を混合する工程(工程2)を有する請求項1から4のいずれかに記載の繊維処理剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−284816(P2007−284816A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112873(P2006−112873)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】