説明

繊維布地の抗微生物仕上げ

【課題】顕著な洗濯耐久性を有し、触感に大きく影響しない簡単な繊維布地の抗微生物仕上げ方法を提供する。
【解決手段】
a)少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤および/またはポリマー増粘剤と、そして
i)水難溶性銀塩、
ii)銀ゾル、および
iii)粉末状銀材料
から選ばれた少なくとも1種の粒子状銀成分を含んでいる第1の希薄水性液で繊維布地を処理するステップ;および
b)水性バインダー組成物で前記繊維布地を処理するステップ;
を含んでいる繊維布地の抗微生物仕上げ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状銀成分を含んでいる希薄水性液で処理することによる繊維布地、特に織布の抗微生物仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀および銀(I)塩の抗微生物性質は良く知られており、そして現在医療分野、例えばクレーデ予防法に使用されている。例えばA.B.G.Landsdown,Journal of Woundcare,11(2002),p.125−130およびその引用文献を見よ。
【0003】
織布の抗微生物仕上げのための銀および銀化合物の使用についての種々の報告が存在する。例えば、US2,689,809およびUS2,791,518は、織布を銀塩の水溶液で含浸し、次いで銀塩を繊維に沈澱させることよりなる織布の抗微生物仕上げ方法を記載している。この方法は銀化合物を適用するために二段階を必要とする点で不利である。さらに抗微生物仕上げの耐久性、特に洗濯に対する耐久性が不満足である。
【0004】
銀に基づく抗微生物仕上げの性質および耐久性を改善するため、WO00/49219は、織布を最初可溶化キトサンそして次に銀塩の溶液で含浸し、次に織布を還元剤で処理し、その後キトサンを架橋することを提案している。このプロセスは多数のステップのために比較的コストがかさみ、不便である。
【0005】
WO01/49115は、織布が最初銀塩の水溶液で含浸され、次に酸化銀(I,III)を沈澱させるように塩基の存在下酸化剤で、例えばアルカリ金属水酸化物の存在下過硫酸塩で処理することによる、織布の抗微生物仕上げ方法を記載する。しかしながら酸化剤の使用は織布の損傷へ導き得る。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、繊維布地の簡単な抗微生物仕上げ方法を提供することである。抗微生物仕上げは洗濯耐久性について顕著でなければならない。加えて織布の触感性に皆無でなくても大きく影響してはならない。我々はこれらおよび他の目的は以下に記載した方法によって達成されることを発見した。
【0007】
従って本発明は、
a)少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤および/またはポリマー増粘剤と、そして
i)水難溶性銀塩、
ii)銀ゾル、および
iii)粉末状銀材料
から選ばれた少なくとも1種の粒子状銀成分を含んでいる第1の希薄水性液で繊維布地の処理するステップ;および
b)水性バインダー組成物で前記繊維布地を処理するステップ;
を処理するステップ;
を含んでいる繊維布地の抗微生物仕上げ方法を提供する。
【0008】
本発明の方法は実施するのが簡単であり、そして例えばStaphylococcus aureusのようなブドウ球菌、Pseudomonas aeuginosaのようなシュードモナス属、Klebsiella pneumoniaeのようなKebsiella属のみならず、Candida albicansのような酵母カビに対して高い抗微生物効果を有する繊維布地を提供する。加えて、本発明に従って得ることができる抗微生物仕上げは良好な洗濯耐久性について顕著である。それ故本発明の方法によって得ることができる繊維布地は同様に本発明の主題の一部である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によれば、仕上げるべき繊維布地は第1のステップにおいて少なくとも1種の粒子状銀成分と少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤および/またはポリマー増粘剤を含んでいる第1の希薄水性液で処理される。
【0010】
有用な水溶性分散剤は、原理的に粒子状物質を安定化させるために水系において慣例的に使用される水溶性ポリマーのすべてを含む。これはエチレン性不飽和モノおよび/またはジカルボン酸から重合したポリマー、例えばポリアクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸および/またはマレイン酸との共重合体、特にそれのナトリウム塩またはアンモニウム塩;アクリルアミド、メタクリルアミドまたはN−ビニルピロリドンのようなアミド基を有するモノエチレン性不飽和モノマーのホモ−およびコポリマー、例えばポリアクリルアミドおよびポリビニルピロリドン;それにポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、およびAB櫛型ポリマーのようなポリエーテル、例えばポリメタクリル酸櫛型ポリエチレンオキサイド;および天然水溶性ポリマー、それらの分解生産物および変性天然ポリマー、例えばデンプン、デンプン分解産物、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル−およびヒドロキシプロピルセルロースを含む多糖類、キサンタンおよびアルギン酸塩、カゼイン、タイプAゼラチンおよびタイプBゼラチンを含むゼラチンのような水溶性タンパク質を含む。特にタンパク質、特にゼラチンが好ましい。同様に好適な水溶性ポリマーはアミド基含有モノエチレン性不飽和モノマーのホモ−およびコポリマーを含み、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン含有コポリマーが特に好ましい。液中の水溶性ポリマーの濃度は典型的には0.5ないし50g/Lの範囲、特に1ないし10g/Lの範囲内にある。
【0011】
有用なポリマー増粘剤は、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、デンプン、アルギン酸塩、ポリエーテル、メチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル−およびヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸のナトリウムおよびアンモニウム塩のようなポリアクリル酸のような上述の分散剤のみならず、疎水性変性ポリウレタン(会合増粘剤)およびアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸のようなエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と疎水性コモノマーとの水性コポリマー分散液を含み、疎水性コモノマーの例はC−C10アルキルアクリレートもしくはメタクリレート、C−C14オレフィンまたはスチレンであり、ポリマー分散液中の重合したエチレン性不飽和カルボン酸の分率は典型的にはコポリマーを構成するモノマーに基づいて少なくとも5重量%、そして典型的には5ないし50重量%の範囲内にある。液中のポリマー増粘剤の濃度は典型的には0.5ないし50g/Lの範囲内、特に1ないし20g/Lの範囲内である。
【0012】
水性液中の銀または銀成分の濃度は銀として典型的には10ないし1000mg/Lの範囲、好ましくは20ないし800mg/Lの範囲、特に50ないし500mg/Lの範囲内にある。マイクロメーター範囲のサイズを有する銀粒子の場合、水性液は銀のより高い濃度、例えば5000mg/Lまでを含むこともできる。
【0013】
第1の具体例i)において、銀成分はリン酸銀のような水難溶性銀塩、特に塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、またはその混合物、特に塩化銀とヨウ化銀の混合物である。特に少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤を含んでいる硝酸銀のような水溶性銀塩の水溶液から沈澱させた難溶性銀塩が有用であろう。沈澱は沈澱剤を添加し、水溶性銀塩を不溶性銀塩へ変換することによって実施される。従って有用な沈澱剤はアルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、水素リン酸塩およびアンモニウム水素リン酸塩のみならず、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライドおよびアンモニウムハライドを含み、ハライド、特にクロライドおよびブロマイドが特に好ましい。有利には、沈澱は水溶性ポリマー分散剤を含んでいる沈澱剤の水溶液へ、銀塩水溶液、例えば硝酸銀溶液を添加することによって実施される。沈澱が実施される温度は10ないし100℃の範囲、好ましくは20ないし80℃の範囲である。分散剤の濃度は典型的には1ないし100g/Lの範囲内にある。有利には沈澱のための濃度は、この懸濁液/分散液が所望の液濃度へ希釈される前に、最初に銀として0.1ないし10重量%の範囲の含量を有する水不溶性銀塩の分散液を得るように選ばれる。このように製造した分散液は一般に500nm以下、特に1ないし300nmの範囲の粒子サイズを有する非常に小さい銀塩粒子を含んでいる。
【0014】
第2の具体例ii)においては、第1の希釈水性液は銀ゾルの形の粒子状銀成分、すなわち典型的には500nm以下、特に1ないし300nmの範囲内またはそれ以下の非常に小さい粒子サイズを有する元素銀の形のゾルを含む。銀ゾルは銀塩の水溶液、例えば硝酸銀水溶液へ少なくとも1種の還元剤を添加することにより慣用の方法で製造される。有用な還元剤は、例えばホルムアルデヒド、アスコルビン酸、糖アルデヒド等の公知の有機還元剤のみならず、非貴金属例えば亜鉛、亜硫酸、それらの塩、例えばホウ酸ナトリウムのような無機還元剤を含む。還元剤の量は典型的には銀塩1モルあたり0.5ないし10モルの範囲内である。ゾルは典型的には5ないし80℃の範囲内温度において製造され、そして製造はもし可能であれば日光により、またはUV照射によって促進される。有利にはゾルは水溶性ポリマー分散剤の上に述べた量の存在下において製造される。このようにして製造された銀ゾルはその後所望の液濃度へ希釈することができる。
【0015】
本発明の第3の具体例においては、第1の水性液は粒子状銀成分として粉末状銀成分を含む。粉末状銀成分とは、典型的には100μm以下、例えば0.5ないし100μmの範囲、特に1ないし50μmの範囲、そして特に2ないし20μmの範囲(報告した粒子サイズは質量メディアン、すなわちd50値に基づく)の粒子サイズを持っている銀または銀材料を意味する。もっと詳しくは、粉末状銀成分は、d10値が0.5ないし20μm、特に1ないし10μmの範囲にあり、d50値が1ないし50μm、特に2ないし20μmの範囲にあり、そしてd90値が5ないし100μm、特に10ないし50μmの範囲にある粒子サイズ分布を持っている。粉末状銀成分の例は、銀フレーク、針状銀、または有利には銀コートセラミックまたはガラス粉末である。コートしたセラミックまたはガラス粉中の銀の重量分率は一般に少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%であり、そして一般に粉末の全重量を基準にして70重量%、特に50重量%を超えないであろう。さらに特にコートしたセラミックまたはガラス粉中の銀の重量分率は10ないし40重量%の範囲、もっと好ましくは15重量%ないし35重量%の範囲にある。そのような粉末は既知であり、そして商業的に入手可能である。例えばPotters Industries Inc.Valley Forge,PA,USAまたはPotters−Ballotini,Kirchheim−Bolanden,GermanyからのConduct−0−Fil銀コート中空ガラス球(ホウケイ酸塩ガラス、銀20〜33±2%)、例えばグレードSH230S33,SH400S33、Conduct−0−Fil銀コート中空ガラス球(銀16〜30±2%)、例えばグレートS−2429−S,S−3000−S,S−3000−S2E,S−3000−S2M,S−3000−S3E,S−3000−S3M,S−3000−S3N,S−3000−S4M,S−4000−S3,S−5000−S2,S−5000−S3,およびConduct−0−Fil銀コート中空セラミック添加剤(銀16〜30±2%)、例えばグレードAG−SL 150−16−TRDおよびAG−SL 150−30−TRD、およびNanotechnologie bv,Hollandiastraat5,6006 TT Weert,NetherlandからのSil Shield,例えばSil Shield Ag/hs 10/33である。
【0016】
銀粒子の安定化のため、そのような液は少なくとも1種の前述した分散および/または増粘剤を典型的には含んでいる。好ましい増粘剤はエチレン性不飽和モノおよびジカルボン酸と疎水性コモノマーとの増粘剤として知られた水性コポリマー増粘剤と、そしてポリウレタン系のいわゆる会合増粘剤である。増粘剤ポリマーの量は、液の粘度が1ないし5000mPaの範囲、特に10ないし1000mPaの範囲(25℃)であるように選択される。ポリマー分散剤の量は典型的には0.5ないし50g/L、特に1ないし20g/Lの範囲内である。
【0017】
本発明の第4の具体例においては、第1の水性液は粒子状銀成分として第3の具体例のために上に記載した粉末状銀成分と、そして平均粒子サイズ500nm以下、特に1ないし300nmを有する微粉砕した銀成分、例えば第1および第2の具体例のために上に記載した難溶性銀塩および/または銀ゾルを含んでいる。その時微粉砕した銀成分に対する粉末状銀成分の重量比は好ましくは1000:1ないし1:100,特に100:1ないし1:10の範囲内である。
【0018】
繊維布地の第1の希薄水性液による処理は、例えばパツダーにより、または洗濯機中またはスプレーによって希薄水性液で織布を浸すことによって慣用の態様で実施される。有利には処理は、ウェットピックアップ量が少なくとも50%、特に少なくとも70%、例えば70ないし90%であるように実施される。対応してこのように処理した繊維布地は処理後銀として典型的には10ないし100μg/g、有利には20ないし800μg/g、特に50ないし500μg/gの銀含有を持つが、しかし第3および第4の具体例の場合は特に、例えば10000μg/g、特に5000μg/gまでのさらに大きい銀の量を適用することができる。
【0019】
ステップa)において処理した繊維布地は第2の水性液b)で処理する前に乾燥することができる。しかしながらしばしば乾燥ステップは使用されない。同様にステップa)における繊維布地の処理をステップb)における繊維布地の処理と単一作業に、すなわち第1の希薄水性液a)は少なくとも1種の粒子状銀成分のほかにバインダーを含むように統合することも可能である。
【0020】
本発明によれば、繊維布地は架橋し得るポリマーバインダーを水性組成物を含んでいる第2の水性液b)でも処理される。このバインダーは、好ましくは処理した布地を乾燥する時水不溶性ポリマーフィルムを形成する水不溶性ポリマーもしくはプレポリマーである。詳しくは、このバインダーは、もし適切であれば高温において処理した布を乾燥する時、相互にもしくは低分子量架橋剤と反応し、結合を形成しそのためフィルム、特に水不溶性ポリマーフィルムを形成する反応基の多数を持っているポリマーもしくはプレポリマーを含む。
【0021】
本発明方法のために有用な水性ポリマーバインダー組成物は、特に繊維のハード仕上げに使用されるものである。例えば、J.Hemmrich,Int.Text.Bull.39,1993,No.2,p.53−56;“Wassrige Polyurethan−Beschichtungssysteme”Chemiefasern/Textilind.3991(1989)T149,T150;W.Schroder,Textilverendelung 22,1987,p.459−467を参照。このタイプの水性分散液は、例えばAlberdingk,D−KrefeldからAlberdeinkとして、Bayer AGからImpranilとして、Stahl,Waalwijk,NetherlandsからPermutexとして、Thor GmbH,Landwehrstr.1,D−67346 SpeyerからQuecodurおよびRhenapretとして、Mitsubish Internatial GmbH,Kennedydamm 19,D−40476 DusseldorfからMeikanatesとして市販されており、または、例えば、“Herste11verfahren fur Polyurethane”in Houben−Weyl,“Methoden der organischen Chemie”,volume E20/Makro−molekulare Stoffe,p.1587;D.Dietrich et al.,Angew.Chem.82(1970),p.53ff.;Angew.Makrom.Chem.76(1972),85ff.;Angew.Makrom.Chem.98(1981),133−166;Progress in Organic Coatings,9(1961),p.281−240;またはRompp Chemie1exikon,9th edition,vol.5,p.3575に記載されている公知の方法によって製造することができる。
【0022】
バインダーポリマーは、−40ないし100℃、好ましくは−30ないし+60℃、特に−20ないし+40℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を持つことが好ましい。ポリマーバインダーが複数のポリマー成分を含む時は、少なくとも主成分がこの範囲のガラス転移温度を持たなければならない。特に主成分のガラス転移温度は−20℃ないし+60℃の範囲、特に−10℃ないし+40℃の範囲内である。ガラス転移温度が低過ぎると表面が粘着性になり得る。報告したガラス転移温度はASTM−D3418−82に従ったDSCによって決定した中間点温度に基づいている。架橋可能なバインダーの場合、ガラス転移温度は未架橋状態に関する。
【0023】
ポリマーバインダーはポリマーの以下のクラスに基づく。
(1)ポリウレタン樹脂
(2)アクリレート樹脂(ストレートアクリレート、アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルのコポリマー)
(3)スチレンアクリレート(スチレンとアクリル酸アルキルのコポリマー)
(4)スチレン−ブタジエンコポリマー
(5)ポリビニルエステル、特にポリ酢酸ビニルおよび酢酸ビニルとプロピオン酸ビニルとのコポリマー
(6)ビニルエステル−オレフィンコポリマー、例えば酢酸ビニル−エチレンコポリマー
(7)ビニルエステル−アクリレートコポリマー、例えば酢酸ビニル−アルキルアクリレートコポリマーおよび酢酸ビニル−アルキルアクリレート−エチレンコポリマー
(8)シリコーンゴム(ポリシロキサン)
【0024】
ポリマークラス(1)のバインダー、すなわちポリウレタンが特に好ましい。
【0025】
バインダーは好ましくは架橋可能であり、すなわちポリマーは加熱ありまたはなしの乾燥の途中の結合手生成によって相互にもしくは低分子量の架橋剤と反応する官能基(架橋基)を持っている。
【0026】
架橋可能官能基の例は、脂肪族性OH基、NHCHOH基、酸無水物基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、およびアミノ基を含む。反応性官能基の割合は一般に0.1ないし3モル/kgポリマーの範囲内である。架橋は相補的に反応性の官能基間の反応を通じてポリマー内で実施することができる。ポリマーの架橋は好ましくは架橋剤の官能基に対してその反応性が相補的である反応基を持っている架橋剤を加えることによって実施される。相補的反応性を持っている官能基の好ましいペアはこの分野において良く知られている。そのようなペアの例はOH/COOH,OH/NCO,NH/COOH,NH/NCOおよびM2+/COOHであり、ここでM2+はZn2+、Ca2+またはMg2+のような二価金属イオンを表す。好ましくはバインダーポリマーは反応基としてブロックイソシアネート基を含む。
【0027】
有用な低分子量架橋剤の例は、ポリウレタンに対して後で特定するジ−またはポリオール;1級または2級ジアミン、好ましくは1級ジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンのようなアルキレンジアミン、N,N−ビス〔(アミノプロピル)アミノ〕エタン、3,6−ジオキサオクタンジアミン、3,7−ジオキサノナンジアミン、3,6,9−トリオキサウンデカンジアミン、ジェファミン、(4,4−ジアミノジシクロヘキシル)メタン、(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメルジシクロヘキシル)メタン;エタノールアミン、ヒドロキシプロピルアミン、エトキシ化ジ−およびオリゴアミンのようなアミノアルコール;アジピン酸ジヒドラジドのような脂肪族または芳香族ジカルボン酸のジヒドラジド;グリオキザルのようなジアルデヒド;部分的もしくは完全O−メチル化メラミン;および平均して2以上、好ましくは3以上のイソシアネート基または可逆的にブロックしたイソシアネート基を有する化合物もしくはオリゴマーである。この場合ポリマーバインダーに対する架橋剤の量比は、架橋剤の反応基に対するポリマーバインダー中の反応基(ポリマー中の反応基の総量)のモル比が一般に1:10ないし10:1、好ましくは3:1ないし1:3の範囲であるように決定される。慣例的に架橋剤に対するポリマーバインダーの重量比(固形分として)は100:1ないし1:1、特に50:1ないし5:1の範囲内である。
【0028】
本発明によれば、好ましいバインダーは、組成物中のバインダーポリマーの総重量を基準にして、少なくとも50重量%のポリウレタンを含んでいる。ポリウレタン分はソフトな手触りと高い洗濯耐久性を提供する。
【0029】
知られているように、ポリウレタンは少なくとも1種のポリイソシアネート成分と少なくとも1種のポリオール成分の付加物である。ポリイソシアネート成分は一般に少なくとも2個のイソシアネート基を含む。イソシアネート成分はもっと大きい官能基数、例えばトリイソシアネート、または平均して3以上、好ましくは3およびそれより多いイソシアネート基を有するオリゴマーイソシアネートを含むことができる。ポリオール成分は一般に少なくともジオールを含む。ポリオール成分はもっと大きい官能基数のポリオール、または平均して3以上のOH基、好ましくは3,4またはそれより多いOH基を有するオリゴマーポリオールを含むことができる。
【0030】
有用なジイソシアネートは、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートおよびその異性体混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)のような芳香族ジイソシアネート、およびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12MDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびそれらの混合物のような脂肪族または脂環族ジイソシアネートである。好ましいジイソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)を含む。高い官能基数のイソシアネートの例は、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートのようなトリイソシアネート、前記ジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビウレットのような上記ジイソシアネートの部分縮合生成物、およびジイソシアネートもしくは半ブロックジイソシアネートと、平均して3以上、好ましくは分子あたり少なくとも3のOH基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるオリゴマーである。
【0031】
好ましくいポリイソシアネートは性格上脂肪族または脂環族である。特に一般式
OCN−(CH−NCO
のジイソシアネートが好ましく、ここでnは2〜8、特に4〜6である。ポリウレタンの生成する成分に帰すことができるポリイソシアネート成分の割合は一般に50ないし60重量%,特に10ないし40重量%の範囲である。
【0032】
ポリオール成分は原則として2以上、例えば3または4のOH基を持つ低分子量アルコールか、または平均して少なくとも2、好ましくは2ないし4、特に2または3のOH基を特にそれらの末端に持っているオリゴマーポリオールであることができる。
【0033】
有用な低分子量アルコールは、特に2〜25の炭素原子を有するグリコールである。これは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,6−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールC)を含む。
【0034】
ポリオール成分のためのさらなる可能性ある成分は三価(トリオール)およびそれ以上の多価低分子量アルコールである。これらは一般に3ないし25、好ましくは3ないし18の炭素原子を有する。これはグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびそのアルコキシレートを含む。
【0035】
オリゴマーポリオールの例はポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリエーテルポリオールである。この成分の数平均分子量は好ましくは500ないし20,000ダルトン、特に1000ないし10,000ダルトンの範囲である。オリゴマー成分は好ましくは脂肪族構築ブロックで構成される。
【0036】
ポリウレタン形成成分に寄与できるオリゴマーポリオールの割合はポリウレタン形成成分の総重量を基準にして一般に10ないし95重量%、好ましくは20ないし95重量%、特に25ないし85重量%である。低分子量アルコールの割合は一般に60重量%をこえず、例えば1ないし60重量%、しばしば30重量%まで、または20重量%までである。
【0037】
ポリウレタンは水性分散液の形で使用される本発明のため、それらは一般に極性官能基、特にイオン源および/またはイオン性基、例えばカルボキシル酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基のようなアニオン性またはアニオン源基を持ち、これらの基はそれらの塩の形、例えばアルカリ金属およびアンモニウム塩として存在することもでき、およびアミノ基、4級アンモニウム基のようなカチオン性またはカチオン源基、および/またはポリエーテル基、好ましくはポリエチレンオキシド基のような中性水溶性基を持っている。
【0038】
好ましくはポリウレタンは脂肪族ポリエーテル鎖(好ましくは線状または単一分岐)、特にポリC−Cアルキレンオキシド鎖を有するポリウレタンである。これらはポリウレタンを製造するため脂肪族ポリエーテルポリオールを用いて得ることができる。ポリエーテル鎖へ帰すことのできるポリエーテルウレタンの割合はポリウレタンの総質量を基準にして好ましくは5ないし80重量%、特に10ないし50重量%の範囲である。好ましくはポリウレタンはさらに脂肪族ポリエステルウレタン、すなわち脂肪族ポリエステル鎖(好ましくは線状または単一分岐)を有し、そしてポリウレタンを製造するための上で述べた脂肪族ポリエステルポリオールを使用して製造することができるポリウレタンである。ポリエステル鎖の割合はポリウレタンの総質量を基準にして好ましくは5ないし80重量%、特に10ないし70重量%の範囲である。好ましいポリウレタンはさらにポリカーボネートウレタン、すなわち脂肪族ポリカーボネート鎖(好ましくは線状または単一分岐)を有し、そしてポリウレタンを製造するための上で述べた脂肪族ポリカーボネートポリオールを使用して得ることのできるポリウレタンである。ポリカーボネート鎖の割合はポリウレタンの総質量を基準にして好ましくは5ないし80重量%、特に10ないし70重量%の範囲である。
【0039】
ステップb)をバインダーとして反応性にキャップしたポリイソシアネートを含む水性組成物を使用して実施することが特に好ましい。反応性にキャップしたポリイソシアネートは可逆的にブロックしたイソシアネート基を有するポリマーおよびプレポリマーである。可逆的ブロッキングは、例えばイソシアネート基を有するポリマーまたはプレポリマーを炭素酸、好ましくはブタノンオキシムのような脂肪族ケトンオキシムとの反応により、または亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムとの反応によって達成することができる。
【0040】
他の具体例においては、バインダー組成物は分子中に少なくとも2個のN−メチロール基(ヒドロキシメチル)基を有する低分子量化合物の水性組成物か、またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、ジエチレングリコール等のようなC−Cアルカノールとのそれらの反応生成するからなる。少なくとも2個のメチロール基を有する化合物の例は、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリン−2−オン、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリン−2−オン、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)プロピレン尿素、テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素のような尿素誘導体、および低分子量メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、例えばトリス(ヒドロキシメチル)メラミンである。この種の製品はFixapretとしてBayer AGから、そしてQuecodurとしてThor GmbH,Landwehrstr.D−67346 Speyerから市販されている。
【0041】
今や本発明に使用される第2液へ転ずると、そのバインダー含量は典型的には10ないし400g/L、特に10ないし200g/L、そして特に10ないし50g/Lの範囲内にある。
【0042】
バインダー成分と同様に、第2の水性液は繊維およびレザーのための慣用のハンド修飾仕上げ組成物に使用されている慣用の補助剤を含むことができる。これら補助剤の種類および量は繊維についておよび含浸方法について良く知られている態様による。補助剤はUV安定剤、分散補助剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤または起泡剤、泡安定剤、pH調節剤、抗酸化剤、後架橋触媒、慣用の疎水化剤および保存剤を含むが、これら補助剤の分類は必ずしも厳密に区別できるものではなく、例えば界面活性剤と起泡剤/泡安定剤の場合である。一般に慣用の補助剤の総量は液中に存在するバインダーの総重量を基準にして20重量%を超えず、または第2の液を基準に20g/Lであろう。
【0043】
pH調節剤は慣用の無機または有機塩基、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムのようなアルカリ金属塩基、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウネ、炭酸マグネシウムのようなアルカリ土類塩基、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンのようなアルキルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタンのようなモノ、ジ、およびトリアルカノールアミン、およびそれらの混合物である。
【0044】
有用な界面活性剤は乳化剤、ポリマー界面活性剤、および水性ポリマー分散液に慣例的に使用される保護コロイドである。乳化剤は性質が両性、中性、アニオン性またはカチオン性であり得る。当業者は先行技術、例えばR.Heusch,“Emulsiones”in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th edition CD−Rom,chapter 7から有用な乳化剤を知るであろう。非イオン乳化剤の例は、アルコキシ化油脂、例えばコーンオイルエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、牛脂エトキシレート;グリセリルエステル、例えばグリセリルモノステアレート;脂肪アルコールアルコキシレートおよびオキソ法アルコールアルコキシレート;アルキルフェノールアルコキシレート、例えばイソノニルフェノールエトキシレート;および糖界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。脂肪アルコールエトキシレートは特に使用される。有用なアニオン乳化剤の例は石鹸、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、スルホサクシネート、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルメチルエステルスルホネートおよびそれらの混合物であり、好ましくはそれらはナトリウム塩にある。ポリマー界面活性剤の例は第1液に関連して述べた分散剤である。界面活性剤の割合は、コーティング液中のポリマー成分の総重量を基準にして、一般に0ないし20重量%、好ましくは液のバインダーの総重量を基準にして0.1ないし10重量%の範囲である。
【0045】
有用な消泡剤は例えば高級アルコール、非イオン源性アセチレン化合物、非イオン源性成分を有する脂肪族炭化水素およびオリゴシロキサンである。
【0046】
起泡剤の例は、塩特にアルキルサルフェート、スルホコハク酸ジアルキルエステルのアルカリ金属およびアンモニウム塩である。
【0047】
有用な増粘剤は第1液に関して述べたポリマー増粘剤と、シリカのような無機増粘剤およびそれらの混合物である。増粘剤の量は当然第2液の所望のレオロジール依存し、それ故広範囲に変化し得る。
【0048】
本発明によれば、第1および第2の液は水系であり、すなわち前述の成分と共にそれらは水、または水と水溶性もしくは水混和性有機溶媒との混合物を含んでいる。第1および第2の液中の水の分量は容積で典型的には少なくとも95%、特に少なくとも99%である。有用な溶媒はアセトンおよびメチルケトンのようなケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−プロパンジオール−1−n−プロピルエーテル、1,2−ブタンジオール−1−メチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレンジグリコールジメチルエーテルのような水混和性エーテル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、グリコール、グリセロール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなモノ−またはポリアルコール、およびそれらの混合物を含む。
【0049】
第2の液による繊維布地の処理は慣用の態様で実施することができ、その場合繊維布地は最初第2液と接触させられ、次に好ましくは上昇温度において乾燥および/または硬化される。このプロセスにおいてバインダーポリマーはもし適切でなければ架橋によって水不溶性ポリマーフィルムを形成し、そして銀材料は織布に固定とされる。
【0050】
第2液との接触は第1液で処理に関して記載した方法によって実施することができる。一般に第2液での処理は少なくとも50%、特に60%ないし95%のウエットピックアップ率へ実施される。接触には典型的にはパッダーが使用される。このように適用されるバインダーの量は典型的には1ないし20g/m、好ましくは1ないし10g/mの範囲を変動する。
【0051】
次のステップは第2液から水性媒体を除くこと、すなわち湿った布地を乾燥することである。乾燥は一般に大気圧下そして50℃以上、好ましくは約70ないし150℃の範囲の温度で実施される。乾燥プロセスは一般に数秒ないし数分、例えば20秒ないし5分かかるが、しかし長い乾燥時間も可能である。漸進的な乾燥が好ましく、すなわち乾燥作業の途中で温度が上げられ、例えば50〜80℃の初期値から120〜150℃の最終値へ上げられる。特に良好な品質はこの方法で得られる。一般にこの後でバインダーを架橋するための硬化(キュアリング)作業が続く。硬化作業はポリマーバインダーの架橋温度以上で自然に生起する。架橋のための温度は一般に140℃以上、特に150℃以上、しばしば150℃ないし200℃、特に150℃ないし180℃の範囲であろう。硬化時間は典型的には1分ないし5分である。乾燥と硬化は同時に、または好ましくは次々に実施することができる。
【0052】
本発明によって仕上げされる繊維布地は織布、ニットおよび不織布を含み得る。特に織布および不織布が意図される。繊維布地は既製材料または他にロールもしくは梱包材料であり得る。繊維布地は天然繊維糸、合成繊維糸および/または混紡糸から構成されることができ、その場合織布は典型的には10〜500g/m、好ましくは20〜250g/mの範囲の目付量を有する。原則として繊維布地を製造するために慣習的に使われるすべての繊維原料が意図される。それらは綿、ウール、大麻繊維、サイザル麻繊維、亜麻、ラミー、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、シルク、アセテート繊維、トリアセテート繊維、アラミド繊維等およびそれらの混合物を含む。ガラス繊維および上記繊維とガラス繊維との混合物、例えばガラス繊維/ケブラー混合物も有用である。
【0053】
本発明方法は高い耐久性、特に耐洗濯性を有する抗微生物性仕上げを有する繊維布地を提供する。本発明に従って製造される繊維布地の手触りは全くではなくても僅かに影響されるに過ぎない。
【実施例】
【0054】
含浸実施例
実施例1ないし22(ハロゲン化銀で仕上げした織布)および実施例1aないし22a(アスコルビン酸で還元後に得られた織布)
a)ハロゲン化銀懸濁液の製造
水400mlに塩化ナトリウム5gと、臭化アンモニウム1.6gと、クエン酸1.4gを次々に溶かした。この溶液400gへゼラチン(Carl Roth GmbH & Co.,Shoemperlenstra.1−5,D−76185 KarlsruheからのGelatine reinst Article No.4582)50gを加え、50℃へ加熱することによって溶解した。この溶液を50℃において攪拌下水15g中の硝酸銀(Mallinckrodt Baker B.V.,POBox 1 7400AA Deventer Netherlandからの硝酸銀)10gの新たに調製した溶液へ徐々に加えた。これは硝酸銀として2.1%重量%(銀として1.33重量%に相当)の銀含量を有するハロゲン化銀水性懸濁液を与えた。
【0055】
b)ハロゲン化銀液の製造
液F1:a)からのハロゲン化銀懸濁液100gと水3450gとを23℃において混合し、硝酸銀として0.0591重量%の銀含量を有する水性液を得た。
液F2:a)からのハロゲン化銀懸濁液10gと水1779gとを23℃において混合し、硝酸銀として0.0118%の銀含量を有する水性液を得た。
【0056】
c)繊維布地の含浸、一般的処方
142g/mの目付量を有する綿織布(Textilvertrieb−Beratung GmbH,WinterlingenからのArticle 7121005)を室温において、b)において調製した液の一つでパッドした。湿潤ピックアップ率85%
【0057】
布地はその後湿潤ピックアップ率85%へ架橋可能バインダーの水性分散液でパッドされた。その後布地は120℃で3分乾燥され、160℃で2分硬化された。使用量は表Aに報告されている。
【0058】
液F1で処理された布は500ppmの銀含量を有し、液F2で処理された布は100ppmの銀含量を有していた。
【0059】
以下のバインダーが使用された。
A.N,N−ジメチロール−4.5−ジヒドロキシイミダゾリン−2−オンの濃厚水溶液(Thor GmbH,Landwehstr.1,D−67346 SpeyerからのQuecodur)
B.自己架橋性アクリルポリマーの水分散液(上記Thor GmbHからのRhenapret CFA)
C.水性脂肪族ポリウレタン分散液(上記Thor GmbHからのRhenapret TL 897)
D.キャップした反応性ポリウレタンの水性分散液(Mitsubishi International GmbH,Kennedydamm 19,D−40476 DusseldorfからのMeikanate TP 10)
E.水性自己架橋性ポリウレタン分散液(Bayer AG,LeverkusenからのImpanil DLP 10)
【0060】
d)ハロゲン化銀の還元
c)において得た布地をUV光下少なくとも3時間アスコルビン酸水溶液(5g/L)中に貯えた。
【0061】
洗濯に対する耐久性
c)およびd)において得た布の乾燥サンプルはDatacolor SF 600 Plus CTを用いて灰色度について測定された。結果は表Aに報告されている(照明源ADN deg 10)。
d)において得た各布のA4サイズサンプルは、乾燥後灰色度測定の前に濃度3g/Lの慣用の洗剤(Persil)を用いて60℃において慣用の洗濯機中で洗濯された。結果は表Aに報告されている。
【0062】
【表1】

【0063】
値は、特にバインダーC,DおよびEを使用する時洗濯後ハロゲン化銀または銀が布に残っていることを示す。
【0064】
実施例23ないし32(コロイド状銀で仕上げた織布)
a)水溶性分散剤としてゼラチンを有する液の製造
表Bに報告した銀の量を5.5g/Lのゼラチン濃度を有するゼラチン水溶液(Carl Roth GmbHからのGelatine reinst Article No.4582)900mlに溶かし、そして室温で水99ml中のアスコルビン酸1gの溶液と徐々に混合し、少なくとも20時間安定な銀ゾルを得た。
【0065】
b)水溶性分散剤としてポリビニルピロリドンを有する液の製造
表Bに報告した銀の量を5.5g/Lの濃度を有するポリビニルピロリドン水溶液900mlに溶かし、そして室温で水99ml中のアスコルビン酸1gの溶液と徐々に混合し、少なくとも20時間安定な銀ゾルを得た。
【0066】
c)布の含浸、一般的処方
142g/mの目付量を有する綿織布(Textilver−Beratung GmbH,WinterlingenからのArticle 7121005)を室温においてa)またはb)において調製した液の一つでパッドした。湿潤ピックアップ率85%
【0067】
布はその後架橋可能バインダーの水性分散液(Bayer AG,LeverkusenからのImpranil DLP)でピックアップ率85%へパッドされた。その後布は120℃で5分乾燥され、160℃で2分硬化された。
【0068】
c)で得た乾燥した布はDatacolor SF 600 Plus CTを用いて灰色度について測定された。結果は表Bに報告されている(照明源ADN dag 10)。
【0069】
【表2】

【0070】
実施例33ないし38(銀スフェアで仕上げた織布)
使用した銀成分は以下のサイズ分布を有する銀コート中球ガラススフェアであった。8.1μm(D10);14.8μm(D50)、25.8μm(D90);比表面積4325m/kgおよび銀分33.2量%(Nanotechnology bv,Hollandiastraat 5,6006TT,WelrtからのSil Shield Ag/hs 10/33)
【0071】
使用したバインダーは水性ポリウレタン分散液(Bayer AG,LeverkusenからのImpranil DLP 10)であった。
【0072】
使用した増粘剤は約30重量%の固形分および20℃およびpH5において5ないし30mP・sの範囲の粘度を有するメタクリル酸とアクリル酸エチル系の共重合体の水性分散液(Polymer Latex GmbH & Co.KGからのRohagit SD 15)であった。
【0073】
a)液調製のための一般的処方
Xg/Lのバインダー濃度を有するバインダー希薄分散液960gへ増粘剤水分散液20gを加え、5分かきまぜた。その後アンモニア水(2.5重量%)20mlを攪拌下に加え、次にさらに5分攪拌後pHを測定した。すべての場合はpHは9.1ないし9.8の範囲内であった。次に液の粘度をブルックフィールドで測定する前に銀コート中空ガラススフェアを攪拌下に加えた。使用した量および粘度、そしてその容積へ2倍に希釈したサンプルの粘度および沈降安定性が表Cに報告されている。
【0074】
b)布の含浸、一般的処方
6×A4サイズおよび目付量137g/mを有する綿織布(Textilver−Beratung GmbH,Winterlingenから)を室温においてa)において調製した液の一つでパッドした。湿潤ピックアップ率85%。その後布を120℃で5分乾燥し、160℃で2分硬化した。実施例33ないし38は表Cに要約されている。
【0075】
【表3】

【0076】
綿織布は実施例35と同様に、しかし固定化と洗濯耐久性を証明するための参照として銀スフェアなしで仕上げされた。この参照サンプルはこのように仕上げされ、そして実施例35および36によるサンプルは120℃においてコンスタン重量へ乾燥され、そして残渣を測定するため各サンプルの100gは850℃で灰化された。
【0077】
各場合のもう一つのサンプルはPersilで60℃において一度洗浄され、上に記載したように乾燥、灰化された。
【0078】
以下のデータは銀コートガラススフェアは洗濯後布上に非常に多くなお存在することを示す。電子顕微鏡写真は同様に布上の銀スフェアの存在を示す。
【0079】
サンプル 灰化後の残渣(重量%)
洗濯前 洗濯後
参照 0.25 0.32
35 0.709 0.81
36 0.699 0.78
【0080】
殺生物効果の証明
殺生物活性は、Hohenstein Institute,Schloss Hohenstein,D−74357,Bonnigheimのテスト方法に従ったチャレンジ懸濁テスト(5th Dresden Textile Symposium 2000におけるDr.Helmut Muchaによる発表を参照)によって決定された。
【0081】
下表は2(および6)時間曝露後の殺滅率を報告する。
【0082】
布サンプル E.Coli Micrococus luteus
10 60(99.9) 60(99.9)
23 60(99.9) 50(99.9)
34 50(8) 60(80)
35 80(99.9) 90(99.9)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の水溶性ポリマー分散剤および/またはポリマー増粘剤と、そして
i)水難溶性銀塩、
ii)銀ゾル、および
iii)粉末状銀材料
から選ばれた少なくとも1種の粒子状銀成分を含んでいる第1の希薄水性液で繊維布地を処理するステップ;および
b)水性バインダー組成物で前記繊維布地を処理するステップ;
を含んでいる繊維布地の抗微生物仕上げ方法。
【請求項2】
前記水溶性ポリマー分散剤はゼラチンである請求項1の方法。
【請求項3】
第1の水溶液は銀成分として難水溶性銀塩を含有し、前記水性分散液は前記水溶性ポリマー分散剤を含んでいる水溶性銀塩の水溶液へ沈澱剤を添加することによって得られる請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記水難溶性銀塩はハロゲン化銀またはハロゲン化銀の混合物である請求項1ないし3のいずれかの方法。
【請求項5】
前記銀塩を還元することをさらに含んでいる請求項3または4の方法。
【請求項6】
第1の水性液は銀成分として銀ゾルを含有し、前記銀ゾルは前記水溶性ポリマー分散剤を含んでいる水溶性銀塩の水溶液へ還元剤を添加することによって得られる請求項1または2の方法。
【請求項7】
第1の水性液は銀成分として0.5ないし50μmの平均粒子サイズを有する分散した銀コートガラス粉を含んでいる請求項2または3の方法。
【請求項8】
前記第1の水性液は500nmより下の平均粒子サイズを有する水難溶性銀成分をさらに含んでいる請求項7の方法。
【請求項9】
前記第1の水性液中の銀成分濃度は銀として計算して0.01ないし1g/Lの範囲内である請求項1ないし8のいずれかの方法。
【請求項10】
ステップb)において使用される前記バインダーは、イソシアネート基または可逆的にブロックされたイソシアネート基を含んでいる請求項1ないし9のいずれかの方法。
【請求項11】
前記バインダーは反応性ポリウレタンである請求項10の方法。
【請求項12】
ステップb)において使用される前記バインダーは、少なくとも二つのN−ヒドロキシメチル基を有する少なくとも1種の架橋可能な化合物を含んでいる請求項1ないし11のいずれかの方法。
【請求項13】
前記バインダーは−20℃ないし+60℃の範囲内のガラス転移温度を有するポリマーバインダーである請求項1ないし12のいずれかの方法。
【請求項14】
第2の水性液中のバインダーの濃度は10ないし300g/Lの範囲内である請求項1ないし13のいずれかの方法。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかの方法によって得られる繊維布地。

【公開番号】特開2006−312805(P2006−312805A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−128033(P2006−128033)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(506152519)フリッツ、ブランケ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング、ウント、コンパニー、コマンディット、ゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】