説明

繊維捕獲部材及びこれを備えた異物分離装置

【課題】乾いた状態の粉体から繊維を良好に分離することができる繊維捕獲部材及びこれを備えた異物分離装置を提供する。
【解決手段】本体61の表面に複数の突起62Aが形成された繊維捕獲部材6を網上で移動させることにより、当該網を通過する前の粉体中に含まれる繊維を繊維捕獲部材6により捕獲する。各突起62Aは、先端部に湾曲部62Bを有する鉤状に形成され、例えば面ファスナのフック面に形成されている突起と同様の構成を有している。したがって、網上で乾いた状態の粉体に接触するように繊維捕獲部材6を移動させることにより、当該粉体に含まれる繊維を各突起62Aに付着させることができるので、粉体から繊維を良好に分離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網上を移動することにより、上記網を通過する前の粉体中に含まれる繊維を捕獲する繊維捕獲部材及びこれを備えた異物分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
網上に粉体を載せた状態で当該網を振動させることにより、粉体が網を通過し、粉体中に混入している網目よりも大きい異物を網上に分離することができるような異物分離装置が知られている。この種の異物分離装置は、例えば澱粉などの食品として使用されるような粉体から異物を分離する際などにも用いられる。
【0003】
澱粉などの粉体は、一般的に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成繊維により形成されたフレキシブルコンテナバッグと呼ばれる袋に詰めた状態で運搬される。このフレキシブルコンテナバッグは、非常に丈夫な袋ではあるが、一定方向の外力に対して裂けやすいという特性を有しているため、裂け落ちた合成繊維が粉体中に混入するおそれがあった。また、縫製に使用される糸くずも粉体中に混入するおそれがあった。このように、フレキシブルコンテナバッグ内の粉体中に合成繊維や糸くずなどの各種繊維が異物として混入するのは好ましくなく、特に食品として使用される澱粉などの粉体の場合には、異物が混入してはならない。
【0004】
粉体中に混入している繊維を粉体から分離する方法としては、例えば下記特許文献1〜4に開示されているような方法がある。
【特許文献1】特開2005−95825号公報
【特許文献2】特開平3−202162号公報
【特許文献3】特開昭52−114712号公報
【特許文献4】特開昭54−11185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているような方法は、いずれも液体中に混入している繊維を分離する方法であるため、乾いた状態の粉体から繊維を分離する際には採用することができない。
【0006】
乾いた状態の粉体から繊維を分離する方法としては、特許文献4に開示されているような風力選別を採用することが考えられる。しかし、このような方法を採用する場合には、粉体と繊維との比重差が大きくなければならないため、澱粉などの比重が比較的小さい粉体からは繊維を良好に分離することができないといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、乾いた状態の粉体から繊維を良好に分離することができる繊維捕獲部材及びこれを備えた異物分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明に係る繊維捕獲部材は、網上を移動することにより、上記網を通過する前の粉体中に含まれる繊維を捕獲する繊維捕獲部材であって、上記網上を移動する本体と、上記本体の表面に形成され、それぞれ先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状の複数の突起とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、繊維捕獲部材の本体が網上で移動することにより、当該本体の表面に形成されている複数の突起によって、網を通過する前の粉体に含まれる繊維を捕獲することができる。各突起は、先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状に形成され、例えば面ファスナのフック面に形成されている突起と同様の構成を有している。したがって、網上で乾いた状態の粉体に接触するように繊維捕獲部材を移動させることにより、当該粉体に含まれる繊維を各突起に付着させることができるので、粉体から繊維を良好に分離することができる。なお、上記移動には、回転が含まれるものとする。
【0010】
第2の本発明に係る繊維捕獲部材は、上記複数の突起が、合成繊維により形成されていることを特徴とする。このような構成によれば、繊維同士の摩擦に基づいて発生する静電気によって、粉体に含まれる繊維を各突起に良好に付着させることができる。したがって、乾いた状態の粉体からさらに良好に繊維を分離することができる。
【0011】
第3の本発明に係る繊維捕獲部材は、上記本体の表面が、円筒面又は球面により形成されていることを特徴とする。このような構成によれば、繊維捕獲部材の本体を網上で転動させることができるので、本体を網上で円滑に移動させ、当該本体の表面に形成されている複数の突起によって粉体に含まれる繊維を良好に捕獲することができる。
【0012】
第4の本発明に係る異物分離装置は、粉体中に含まれる異物を粉体から分離するための異物分離装置であって、粉体を通過させる第1の網と、上記第1の網を振動させる駆動部と、振動する上記第1の網上を移動することにより、当該第1の網を通過する前の粉体に含まれる繊維を捕獲する繊維捕獲部材とを備え、上記繊維捕獲部材が、上記第1の網上を移動する本体と、上記本体の表面に形成され、それぞれ先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状の複数の突起とを備えたことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、繊維捕獲部材の本体を第1の網上で移動させることにより、当該本体の表面に形成されている複数の突起によって、第1の網を通過する前の粉体に含まれる繊維を捕獲することができる。各突起は、先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状に形成され、例えば面ファスナのフック面に形成されている突起と同様の構成を有している。したがって、第1の網上で乾いた状態の粉体に接触するように繊維捕獲部材を移動させることにより、当該粉体に含まれる繊維を各突起に付着させることができるので、粉体から繊維を良好に分離することができる。
【0014】
第5の本発明に係る異物分離装置は、上記第1の網よりも細かい網目により形成され、上記第1の網を通過した粉体を通過させる第2の網を備え、上記駆動部が、上記第1及び第2の網を振動させることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、第1の網を通過する前の粉体に含まれる繊維を繊維捕獲部材により捕獲した後、第1の網を通過した粉体が第2の網を通過する際に、当該粉体に含まれている繊維以外の異物を第2の網上に分離することができる。このように、粉体から異物を分離するよりも前に、当該粉体に含まれる繊維を捕獲することにより、網に与えられる振動又は異物との接触等により粉砕される前に繊維を捕獲することができる。繊維が粉砕されて微細化すると捕獲するのが困難になるため、上記のように粉体から異物を分離するよりも前に繊維を捕獲することによって、粉体から繊維をより良好に分離することができる。
【0016】
第6の本発明に係る異物分離装置は、上記繊維捕獲部材が、上記第1の網の振動によって当該第1の網上を移動することを特徴とする。このような構成によれば、第1の網の振動によって繊維捕獲部材を移動させることができるので、繊維捕獲部材を移動させるための手段を別途設ける必要がなく、異物分離装置の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、網上で乾いた状態の粉体に接触するように繊維捕獲部材を移動させることにより、当該粉体に含まれる繊維を各突起に付着させることができるので、粉体から繊維を良好に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る異物分離装置1の構成例を示したブロック図である。この異物分離装置1は、上下方向に並べて配置された上段篩2及び下段篩3を備えており、上段篩2の上方から澱粉などの粉体10を供給することにより、その粉体10に混入している異物を上段篩2及び下段篩3によって分離することができるようになっている。粉体10に混入する異物としては、粉体10の製造時や梱包時などに混入する可能性のある金属片、木片、石などが考えられる。
【0019】
上段篩2には、水平方向に延びる第1の網としての上段網21が備えられている。この上段網21には複数の網目が形成されており、上方から供給される粉体10が上段網21の網目を通過することにより、粉体10に混入している比較的大きい異物を上段網21上に分離することができる。
【0020】
下段篩3には、水平方向、すなわち上段網21に対して平行に延びる第2の網としての下段網31が備えられている。この下段網31には、上段網21よりも細かい複数の網目が形成されており、上段網21を通過した粉体10は、当該下段網31をさらに通過するようになっている。したがって、粉体10に含まれる異物のうち、上段網21の網目を通過した比較的小さな異物は、粉体10が下段網31を通過する際に当該下段網31上に分離されるようになっている。ただし、下段網31は、上段網21に対して平行に延びるような構成に限らず、上段網21に対して傾斜方向に延びるような構成であってもよい。
【0021】
上段篩2及び下段篩3は、振とう機4の駆動によって上下方向又は水平方向に振動するようになっている。このように上段篩2及び下段篩3をそれぞれ振動させることにより、粉体10が上段網21及び下段網31を良好に通過し、粉体10から異物を分離する処理を円滑に行うことができる。振とう機4の駆動は、プロセッサからなる制御部5により制御されるようになっており、振とう機4及び制御部5は、上段篩2及び下段篩3を振動させるための駆動部を構成している。ただし、上段篩2及び下段篩3などの各篩ごとに、それぞれを振動させるための振とう機4を別個に設けてもよい。
【0022】
澱粉などの粉体10は、一般的に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成繊維により形成されたフレキシブルコンテナバッグ11と呼ばれる袋に詰めた状態で運搬される。このフレキシブルコンテナバッグ11は、非常に丈夫な袋ではあるが、一定方向の外力に対して裂けやすいという特性を有しているため、裂け落ちた合成繊維が粉体10中に混入するおそれがある。また、フレキシブルコンテナバッグ11の縫製に使用される糸くずも粉体10中に混入するおそれがある。そこで、本実施形態では、粉体10に含まれる繊維、特に合成繊維を捕獲するための繊維捕獲部材6が、上段篩2の上段網21上に設けられている。ここで、繊維捕獲部材6により捕獲可能な繊維としては、合成繊維のような比較的細い繊維に限らず、合成繊維よりも太い繊維、例えば複数本の繊維からなる糸くずなども含まれるものとする。
【0023】
繊維捕獲部材6は、上段篩2が振動されることにより、その振動によって図1に矢印で示すように上段網21上を水平方向に移動するようになっている。したがって、上段網21上にある粉体10、すなわち上段網21を通過する前の粉体10に対して、水平方向に移動する繊維捕獲部材6を広範囲にわたって接触させることができるので、その粉体10に含まれるより多くの繊維を繊維捕獲部材6で捕獲することができる。このように、上段篩2の振動によって繊維捕獲部材6を移動させることにより、繊維捕獲部材6を移動させるための手段を別途設ける必要がないので、異物分離装置1の製造コストを低減することができる。
【0024】
図2は、繊維捕獲部材6の一構成例を示した図であり、(a)は平面図、(b)は一部拡大側面図を示している。図2(a)に示すように、この繊維捕獲部材6は、円柱状の本体61と、この本体61の外周面に巻き付けられたフック面材62とを備えている。本体61は、円柱状に形成されることにより外周面が円筒面となっているため、上段網21上を円滑に転動することができる。ただし、本体61とフック面材62が別個に形成された構成に限らず、例えば髪を巻き付けて使用されるホットカーラーのように、本体61とフック面材62が一体的に形成された構成であってもよい。
【0025】
フック面材62は、面ファスナのフック面を形成する部材であり、その表面には複数の突起62Aが形成されている。各突起62Aは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの合成繊維により、先端部に湾曲部62Bを有する略J字状の細い鉤状に形成されている。言い換えれば、各突起62Aは、一端部がフック面材62の表面に固定されるとともに、他端部が自由端とされることによって、フック面材62により片持ち支持された弾性体からなり、上記自由端側の端部に湾曲部62Bを有している。これらの突起62Aの湾曲部62Bがフックとして機能し、粉体10に含まれる繊維が各突起62Aの湾曲部62B近傍に引っ掛かることにより、繊維が良好に捕獲されるようになっている。
【0026】
繊維捕獲部材6は、その外周面が上段網21の上面に対向するように上段網21上に載置されることにより、当該上段網21上で転動可能となる。すなわち、繊維捕獲部材6は、上段網21上に置かれているだけであるため、上段篩2から自由に取り出すことができる。したがって、繊維捕獲部材6の各突起62Aによって多数の繊維が捕獲され、繊維の捕獲能力が低下した場合には、その繊維捕獲部材6を上段篩2から取り出して、新しい繊維捕獲部材6に容易に交換することができる。ただし、繊維の捕獲能力が低下した場合に、繊維捕獲部材6を交換するのではなく、繊維捕獲部材6の各突起62Aに付着している繊維を取り除くことにより、同一の繊維捕獲部材6を複数回繰り返して使用することも可能である。
【0027】
下記表1は、図2の繊維捕獲部材6を用いて粉体10中の繊維を捕獲する実験を行った結果を示している。この実験は、粉体10として粒径が20〜30μmの澱粉を使用し、当該澱粉100gに10本の繊維を混入させて網上に供給するとともに、当該網上に繊維捕獲部材6を置いた場合と置かない場合とでそれぞれ網を振動させることにより行ったものである。上記繊維としては、直径が約20〜30μm、長さが1cm以上の糸くずを使用した。また、上記網における各網目の径は、250μmである。
【表1】

【0028】
網上に繊維捕獲部材6を置いた場合については、網を水平方向に30分間振動させた後、繊維捕獲部材6に付着した繊維の本数、網上に残った繊維の本数、及び、網を通過して落下した繊維の本数をそれぞれ数えた結果、10本全ての繊維が繊維捕獲部材6に付着していた。一方、網上に繊維捕獲部材6を置かなかった場合については、同様に網を水平方向に30分間振動させた後、網上に残った繊維の本数、及び、網を通過して落下した繊維の本数をそれぞれ数えた結果、4本の繊維が網上に残っていたが、残りの6本の繊維が網を通過していた。この実験結果から、繊維捕獲部材6を網上に置いて網を振動させることにより、当該網を通過する前の粉体10に含まれる繊維を効果的に捕獲できることが分かる。
【0029】
本実施形態では、繊維捕獲部材6の本体61が上段網21上で移動することにより、当該本体61の表面に形成されている複数の突起62Aによって、上段網21を通過する前の粉体10に含まれる繊維を捕獲することができる。各突起62Aは、先端部に湾曲部62Bを有する鉤状に形成され、上述の通り面ファスナのフック面に形成されている突起と同様の構成を有している。したがって、上段網21上で乾いた状態の粉体10に接触するように繊維捕獲部材6を移動させることにより、当該粉体10に含まれる繊維を各突起62Aに付着させることができるので、粉体10から繊維を良好に分離することができる。
【0030】
特に、上段網21を通過する前の粉体10に含まれる繊維を繊維捕獲部材6により捕獲した後、上段網21を通過した粉体10が下段網31を通過する際に、当該粉体10に含まれている繊維以外の異物を下段網31上に分離することができる。このように、粉体10から異物を分離するよりも前に、当該粉体10に含まれる繊維を捕獲することにより、篩に与えられる振動や異物との接触等により粉砕される前に繊維を捕獲することができる。繊維が粉砕されて微細化すると捕獲するのが困難になるため、上記のように粉体10から異物を分離するよりも前に繊維を捕獲することによって、粉体10から繊維をより良好に分離することができる。
【0031】
また、本実施形態では、各突起62Aが合成繊維により形成されているので、繊維同士の摩擦に基づいて発生する静電気によって、粉体10に含まれる繊維を各突起62Aに良好に付着させることができる。したがって、乾いた状態の粉体10からさらに良好に繊維を分離することができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、繊維捕獲部材6の本体61の表面が円筒面により形成されているので、繊維捕獲部材6の本体61を上段網21上で転動させることができる。これにより、本体61を上段網21上で円滑に移動させ、当該本体61の表面に形成されている複数の突起62Aによって粉体10に含まれる繊維を良好に捕獲することができる。
【0033】
図3は、突起62Aの形状の変形例を示した図である。図3(a)の例では、各突起62Aの先端部に、根元側よりも外径の大きい球面状の頭部が形成されることにより、各突起62Aがきのこ状に形成されている。このような構成によれば、各突起62Aの先端部に屈曲部62Cが形成されているので、粉体10に含まれる繊維を各突起62Aの屈曲部62C近傍に引っ掛けて良好に捕獲することができる。
【0034】
図3(b)の例では、各突起62Aの先端部に、根元側よりも外径の大きい円板状の頭部が形成されることにより、各突起62Aが錨状に形成されている。このような構成であっても、各突起62Aの先端部に屈曲部62Dが形成されているので、粉体10に含まれる繊維を各突起62Aの屈曲部62D近傍に引っ掛けて良好に捕獲することができる。
【0035】
このように、各突起62Aは、先端部に湾曲部62Bを有するような形状に限らず、屈曲部62C,62Dを有するような形状であってもよい。すなわち、鉤状に形成される突起62Aの形状には、屈曲部又は湾曲部を有する各種形状が含まれるものとする。
【0036】
上記実施形態では、繊維捕獲部材6の本体61が円柱状に形成された構成について説明したが、このような構成に限らず、例えば本体が円筒状に形成された構成や、球状又は半球状などのように球面を有する形状に形成された構成であっても、上段網21上を円滑に転動させることができ、粉体10に含まれる繊維を良好に捕獲することができる。
【0037】
ただし、繊維捕獲部材6は上段網21上を転動可能な構成に限らず、例えば上段網21上でスライド可能な構成などであってもよい。また、繊維捕獲部材6は、上段網21上に置かれただけの構成に限らず、異物分離装置1に対して係止された構成であってもよい。
【0038】
上記実施形態では、異物分離装置1が互いに上下方向に並べて配置された上段網21及び下段網31を備え、繊維捕獲部材6が上段網21上にのみ設けられた構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、繊維捕獲部材6が下段網31上にのみ設けられた構成であってもよいし、上段網21及び下段網31の双方に設けられた構成であってもよい。
【0039】
また、異物分離装置1は、上段網21及び下段網31からなる2つの網を備えた構成に限らず、粉体10を通過させるための網が1つだけ設けられた構成であってもよいし、互いに上下方向に並べて配置された3つ以上の網を備えた構成であってもよい。網が1つだけ設けられた構成の場合には、当該網上に繊維捕獲部材6を配置すればよい。一方、網が3つ以上設けられた構成の場合には、それらの網の少なくとも1つに繊維捕獲部材6を配置すればよく、より好ましくは、できるだけ上方にある網、例えば最も上方にある網に繊維捕獲部材6を配置すれば、異物との接触等により粉砕される前に繊維を良好に捕獲することができる。なお、繊維捕獲部材6は、1つの網上に1つだけ設けられるような構成に限らず、1つの網上に複数の繊維捕獲部材6が設けられるような構成であってもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、粉体10の一例である澱粉が異物分離装置1に供給される場合について説明したが、上述した繊維捕獲部材6は、澱粉以外の各種粉体10に含まれる繊維を捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る異物分離装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】繊維捕獲部材の一構成例を示した図であり、(a)は平面図、(b)は一部拡大側面図を示している。
【図3】突起の形状の変形例を示した図である。
【符号の説明】
【0042】
1 異物分離装置
2 上段篩
3 下段篩
4 振とう機
5 制御部
6 繊維捕獲部材
10 粉体
21 上段網
31 下段網
61 本体
62A 突起
62B 湾曲部
62C,62D 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網上を移動することにより、上記網を通過する前の粉体中に含まれる繊維を捕獲する繊維捕獲部材であって、
上記網上を移動する本体と、
上記本体の表面に形成され、それぞれ先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状の複数の突起とを備えたことを特徴とする繊維捕獲部材。
【請求項2】
上記複数の突起が、合成繊維により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維捕獲部材。
【請求項3】
上記本体の表面が、円筒面又は球面により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維捕獲部材。
【請求項4】
粉体中に含まれる異物を粉体から分離するための異物分離装置であって、
粉体を通過させる第1の網と、
上記第1の網を振動させる駆動部と、
振動する上記第1の網上を移動することにより、当該第1の網を通過する前の粉体に含まれる繊維を捕獲する繊維捕獲部材とを備え、
上記繊維捕獲部材が、
上記第1の網上を移動する本体と、
上記本体の表面に形成され、それぞれ先端部に屈曲部又は湾曲部を有する鉤状の複数の突起とを備えたことを特徴とする異物分離装置。
【請求項5】
上記第1の網よりも細かい網目により形成され、上記第1の網を通過した粉体を通過させる第2の網を備え、
上記駆動部が、上記第1及び第2の網を振動させることを特徴とする請求項4に記載の異物分離装置。
【請求項6】
上記繊維捕獲部材が、上記第1の網の振動によって当該第1の網上を移動することを特徴とする請求項4又は5に記載の異物分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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