説明

繊維束の引き出し方法及び繊維束引き出し装置

【課題】ボビンから引き出された繊維束を、幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させて、所定の引き出し方向に収束させる繊維束の引き出し方法及び装置について提供する。
【解決手段】ボビンから繊維束の走行経路の下流に向かい、凹状に湾曲形成された案内面を複数、案内面の曲率半径が小さくなる順に、ある所要の間隔をもって配置し、ボビンから引き出された繊維束を案内面に順に接触させながら走行させることにより、ボビンから引き出された繊維束を幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させながら走行させ、繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に収束させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物製織における経糸または緯糸の供給、およびプリプレグシート製造における複数本の繊維束の供給に係る繊維束の引き出し方法及び繊維束引き出し装置に関するものであり、詳しくは、ボビンから引き出された繊維束を前記繊維束の幅方向折れ曲がり及びねじれを生じさせることなく前記繊維束の幅を安定させて走行させ、前記繊維束を所定の引き出し方向に引き出す繊維束の引き出し方法及び繊維束引き出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、炭素繊維束、アラミド繊維束等の強化繊維束は多数のフィラメントを集束させ、サイズ剤などを付着させた状態にて、芯材(通常は紙管)にある巻き幅のトラバースを行ないながら巻かれたボビンとして市販される。その繊維束の断面は扁平な形状になっているものが多く、繊維束を構成するフィラメント数が多くなるに従い扁平度合い(繊維束幅/繊維束厚み)も増し、その形状にて芯材に所要の綾角をもって巻かれている。
【0003】
炭素繊維束、アラミド繊維束等を使用した織物製織では、ボビンから引き出された繊維束を経糸、緯糸として使用する場合が多い。経糸は、複数本のボビンを配置できるクリルスタンドを使用して、複数本の繊維束を所要の間隔をもって引き揃え、かつ各繊維束に所要の張力を与えて供給される。そして、緯糸は、緯糸供給装置を使用して、所定の位置から、所要の張力を与えて供給される。
【0004】
また、炭素繊維束、アラミド繊維束などを使用した一方向強化のプリプレグシート製造では、織物製織の経糸供給に使用されるクリルスタンド等を使用して、複数本のボビンから、各繊維束を所要の間隔に引き揃え、かつ所要の張力を与えて引き出し、次工程に供給する。
【0005】
このように、繊維束を製織して織物にする、または、引き揃えて一方向強化のシート材にする等の場合、ボビンから繊維束を幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく、かつ繊維束の幅を安定させて引き出し、所定の位置に導くことが必要になってくる。しかし、ボビンに巻かれている繊維束は所要の綾角をもって巻かれているため、ボビンから繊維束を引き出すとき、繊維束がボビンから解舒される位置が巻き幅間を往復移動し、ボビンから引き出された直後の繊維束の走行方向は変化する。よって、ボビンから引き出された直後の変化する繊維束の走行方向を、いかに繊維束幅を安定させて所定の引き出し方向に収束させるかが大変重要になってくる。
【0006】
通常、強化繊維束用のクリルスタンドでは、ボビンの回転軸方向と床面が略水平になるようにして多数のボビンが配置できる機構になっており、かつ、各ボビンには所要の張力が負荷できる機構が取り付けられている。また、各繊維束の走行する方向つまり糸道は、ガイドリング等の走行位置を規制するガイドを使用し、強制的に決められている。繊維束はボビンを回転させて解舒し引き出すため撚りが加わらないとされており、無撚糸であれば無撚状態で次工程に供給できるとされている。
【0007】
さらに、繊維束の幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく、かつ繊維束の幅を安定させて、ボビンから繊維束を引き出す方法、及びその装置について、いくつか提案されている。
【0008】
その一つとして、ボビンから引き出されて巻取部へ向かう繊維束の走行方向とボビンから繊維束が解舒される寸前におけるボビンの繊維束巻き方向とが同一直線に並ぶようにするため、ボビンを揺動可能とし、かつ、ボビンから繊維束が解舒される位置を一定に保つためボビンを回転軸方向に進退可能とした装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
また別の装置として、垂直に配置されたボビンから繊維束を引き出して、引き出された繊維束を垂直状に配置されたガイドロールによって平面視で略90度方向に変換して、その後、水平上に配置されたガイドロールの所定の位置に繊維束を導く機構が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0010】
さらに、織物を製織する際、緯糸を扁平な状態で供給する装置として、ボビンから引き出された繊維束を弓形ガイドの凸部分に接触させて繊維束の扁平状態を維持し所定の位置に導く装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特許3064019号公報
【特許文献2】WO2004/015184号公報
【特許文献3】特開平10−317252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、いずれの方法及び装置においても、ボビンから繊維束を所定の引き出し方向に導く際、繊維束の幅収縮、幅方向折れ曲がり、または繊維束ねじれ等を生じる問題がある。従来のクリルスタンドを使用した場合、各ボビンから引き出された繊維束は、直接、ガイドリング等の繊維束走行方向を規制するガイドを通過して、所定の引き出し方向へ導かれることが多い。図1にその模式平面図を示す。ボビン1から引き出された繊維束2は走行位置規制ガイド3、3’を通過し走行するが、繊維束2がボビン1の両端部から解舒され引き出されるときには、図1からわかるように、繊維束2が走行位置規制ガイド3または3’に幅方向から押し付けられ、繊維束2の幅方向収縮、折れ曲がり、そしてねじれ等の問題を生じるのである。
【0012】
ボビン回転軸から走行位置規制ガイド3までの距離L0を長くすることにより、繊維束2が走行位置規制ガイド3に押し付けられる状態を緩和するとされている。しかし、距離L0を長くすることは、繊維束に働く引張り力の影響で、繊維束に幅方向収縮、折れ曲がり、またはねじれを生じ易くさせてしまう。そして、ボビン回転軸から走行位置規制ガイドまでの距離を長くする機構は、クリルスタンドを大型化させる問題を生じるのである。
【0013】
ボビンから引き出されて巻取部へ向かう繊維束の走行方向と解舒寸前におけるボビンの繊維束巻き方向とが同一直線に並ぶようにボビンを揺動させ、かつ、ボビンから繊維束が解舒される位置を一定に保つためボビンを回転軸方向に進退させる方法は、確かに、一本の繊維束を安定させて所定の位置に導くことにおいては最適である。しかし、ボビンを揺動、進退させる機構は複雑、大型であり、複数本の繊維束を配置させたクリルスタンドにする際、クリルスタンドの大型化、高価格化の問題を生じるのである。
【0014】
垂直に配置されたボビンから引き出された繊維束を、垂直状に配置されたガイドロールによって平面視で略90度方向に変換して、水平上に配置されたガイドロールの所定の位置に導く方法は、確かに、ボビンから繊維束が解舒される際のトラバースの影響を除去し、水平上に配置されたガイドロールに安定して繊維束を導くことができる。しかし、垂直状に配置されたガイドロールから水平状に配置されたガイドロール間で繊維束を略90度反転させなければならない。これにより、繊維束にねじれを生じ、ねじれが次工程へ供給される問題がある。また、ボビンを垂直に配置する機構部、繊維束を平面視で略90度方向変換する機構部を必要とすることから、複数本の繊維束を配置させたクリルスタンドにする際、クリルスタンドが大型化する問題も生じるのである。
【0015】
ボビンから引き出された繊維束を、弓形ガイドの凸部分に接触させて繊維束の扁平状態を維持させて所定の位置に導く装置について、確かに、弓形ガイドの凸部分の効果により繊維束の扁平状態が維持されて繊維束が引き出される。しかし、弓形ガイドの接触後、糸道規制ガイドまでは図1のようであり、何ら特別な方法、装置は用いられていない。つまり、一度扁平状態を維持され解舒された扁平糸は弓形ガイドから糸道規制ガイドの間での張力負荷による幅方向収縮、糸道規制ガイドへの幅方向からの押し付けなどの問題を生じるのである。この問題解決のため、弓形ガイドから糸道規制ガイドまでの距離を長くする方法が示されている。しかし、この装置は、基本的に製織装置の緯糸供給装置であるため、糸道規制ガイドまでの距離を長くすることは支障がないが、複数本のボビンを配置させるクリルスタンドに用いることは、クリルスタンドを大型化させる問題を生じるのである。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ボビンから引き出された繊維束を、幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させて走行させ、そして、ボビンから引き出された直後の変化する繊維束走行方向を短い距離にて所定の引き出し方向に収束させることができる繊維束の引き出し方法及び繊維束引き出し装置について提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本件請求項1に係る発明は、ボビンから繊維束を前記ボビンの回転軸と略直交する所定の引き出し方向に引き出す繊維束の引き出し方法において、前記ボビンから引き出された前記繊維束を、複数の凹状に湾曲形成された案内面に、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に接触走行させて、前記繊維束の走行方向を前記引き出し方向へ収束させることを特徴とする繊維束の引き出し方法にある。
【0018】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の発明にあって、前記繊維束が、繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅2mm以上の扁平繊維束、または繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅4mm以上に開繊処理された開繊繊維束であることを特徴としている。
【0019】
請求項3に係る発明は、ボビンから繊維束を前記ボビンの回転軸と略直交する所定の引き出し方向に引き出す繊維束引き出し装置であって、前記ボビンから引き出された前記繊維束の走行経路の上流から下流に向かい、前記引き出し方向と略直交する方向に凹状に湾曲形成された案内面を複数、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に配置したことを特徴とする繊維束引き出し装置にある。
【0020】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の発明にあって、前記案内面を複数、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に、所要の間隔をもって配置したことを特徴としている。
【0021】
請求項5に係る発明は、上記請求項3又は4記載の発明にあって、前記案内面が円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲させた湾曲ガイドにより形成されることを特徴としている。
【0022】
請求項6に係る発明は、上記請求項3又は4記載の発明にあって、前記案内面が鼓状に湾曲させた湾曲ロールにより形成されることを特徴としている。
【0023】
請求項7に係る発明は、上記請求項3から請求項6のいずれかに記載の発明にあって、前記ボビンから最初の前記案内面の間において、固定式または回転式のいずれかである水平ガイドロールを1本以上配置したことを特徴としている。
【0024】
請求項8に係る発明は、上記請求項3から請求項7のいずれかに記載の発明にあって、繊維束引き出し装置を複数配置して、複数本の繊維束を各所定の位置から各所定の引き出し方向へ引き出すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、ボビンから引き出された繊維束を、複数の凹状に湾曲形成された案内面に、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に接触させて走行させるため、前記繊維束は幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じることなく繊維束幅を安定させて走行し、そして、前記繊維束の走行方向を前記ボビンから短い距離にて所定の引き出し方向に収束させることができる。
【0026】
また、本発明による繊維束引き出し装置は、繊維束の引き出し方向と略直交する方向に凹状に湾曲形成された案内面を複数、前記繊維束の走行経路上流から下流に向かい、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に所要の間隔で配置させた構成となっているので、ボビンから引き出された繊維束を幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させながら所定の引き出し方向に収束させる、小型化された装置になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明が具体的に実施される場合の好ましい形態を例示的に掲げた添付図面を引用しながら、本発明の内容を更に詳細に説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図2から図6に従って説明する。第1実施形態は、案内面を形成する部材つまり案内面形成部材として円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲させた湾曲ガイドを採用した装置例を用い、ボビンから引き出された繊維束の走行方向を所定の引き出し方向へ収束させる方法に関して示したものである。図2は本発明による繊維束引き出し装置の模式斜視図、図3は前記繊維束引き出し装置の模式平面図、図4は前記繊維束引き出し装置の模式側面図、図5は案内面を走行する繊維束に係る模式図、そして図6は湾曲ガイドおよび湾曲ロールによって形成される案内面に係る模式図である。
【0029】
図2から図4に示す繊維束引き出し装置25は、ボビン1、水平ガイドロール4、案内面7及び8、水平ガイドロール5、そして走行位置規制ガイド3、3’により構成されている。なお、案内面7および8は円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲させた湾曲ガイド20および21により形成されている。
【0030】
ここで、ボビン1とは、芯材(通常は紙管)に、ある綾角をもって繊維束が巻かれた状態のものをいう。用いられる繊維束は、衣料用、産業用途等に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、およびポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂繊維束、また、複合材料の補強用繊維等に使用される炭素繊維束、ガラス繊維束、アラミド繊維束、セラミックス繊維束等の強化繊維束等がある。
【0031】
本発明は、ボビンから引き出された繊維束を幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させながら走行させ、前記繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に収束させる方法及び装置に関するものである。したがって、衣料用および産業用繊維束とも対象とすることができるが、繊維束の無撚状態及び繊維真直性等を維持した状態で繊維束を次工程へ供給することが重要となる強化繊維束の引き出しに対して最適な方法及び装置となる。
【0032】
なお、ボビン1は図示されないブレーキ機構、または定張力送り出し機構等に取り付けられ、ボビンを回転させて繊維束を解舒する機構となっている。つまり、繊維束はボビンを回転させて解舒して引き出すため、撚りのかからない状態で、かつある張力の負荷された状態で引き出すことができるようになっている。
【0033】
ボビン1から引き出された繊維束2は水平ガイドロール4に接触した後、湾曲ガイド20および21により湾曲形成された案内面7および8に順に接触走行し、水平ガイドロール5を通過後、前記繊維束の走行方向を所定の引き出し方向Pに収束させて次工程に供給される。ここで、繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に収束させるとは、繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に略一致させるということである。
【0034】
引っ張り力が負荷されボビン1から引き出されようとする繊維束2はボビン1のA点から解舒されるが、繊維束2はボビン1に巻き幅Wで巻かれているため、A点の位置はボビンの回転軸方向と平行して長さWの区間を往復することになる。よって、図1に示すように、ボビン1から走行位置規制ガイド3、3’間へ直接に繊維束2を導いた場合、繊維束2はA点がB点上にあるとき以外は走行位置規制ガイド3、3’に接触し、幅方向から押し付けられることなる。しかし、図2から図4に示すように、所定の引き出し方向Pと略直交方向に凹状に湾曲形成された案内面7および8に接触走行するとき、図5に示すように、凹状に湾曲されている効果から、繊維束2は凹状の中心部に移動しようとする力Fが作用し、案内面の凹状中心部の方向へも移動しながら走行すると考えられる。
【0035】
よって、案内面の曲率半径が順に小さくなるようにして複数の案内面を設け、繊維束2を順に接触走行させることにより、繊維束2は幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じることなく繊維束幅を安定させて、徐々に凹状に湾曲形成された案内面の中心部付近に収束し、その結果、繊維束2の走行方向は所定の引き出し方向Pに略一致することができるのである。つまり、繊維束2の走行方向を所定の引き出し方向に収束させたという状態になるのである。逆に、曲率半径の小さい案内面1個のみ、つまり曲率半径の小さいガイドリングなどを1個のみ設ける従来の方法、装置であるとき、繊維束は曲率半径が極端に小さくなる案内面の影響を受け、繊維束の幅方向収縮や、折れ曲がり、またはねじれ等を生じるのである。
【0036】
ここで、繊維束が幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じることなく繊維束幅を安定させて走行するとは、走行する繊維束の状態がボビンに巻かれた原糸状態と略同じ状態にあるということである。つまり、走行中の繊維束が幅方向に折れ曲がること、およびねじれることを生じないということである。そして、繊維束幅については、走行する繊維束には所要の大きさの張力が負荷されるため、若干の幅収縮を生じるが、その収縮幅は元幅(ボビンに巻かれた繊維束の幅)に対してわずかであり、繊維束幅がほぼ一定にあり、安定しているということである。
【0037】
なお、案内面は所要の間隔をもって配置されるが、ここで所要の間隔とはボビンから引き出された繊維束が幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じることなく繊維束幅を安定させて走行することができる間隔のことである。
【0038】
案内面間の距離は案内面の曲率差にも関係する。複数の案内面が配置されるとき、前後する案内面との曲率差が小さいときは、案内面間の距離を比較的短い距離に設定しても、繊維束はその幅を安定させて走行することができる。しかし、前後する案内面との曲率差が大きいときは、案内面間の距離をある程度離らかせることにより、繊維束を幅方向へ収縮させようとする無理な力を生じさせることなく、安定させて徐々に凹状に湾曲形成された案内面の中心部付近に収束させることができるのである。つまり、案内面の曲率と案内面間の距離を適切に設定することによりボビンから引き出された繊維束を所定の引き出し方向に収束させるまでの距離を短く設定することが可能になるのである。
【0039】
凹状に湾曲形成された案内面とは、例えば図6に示すように、円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲形成させた湾曲ガイド、鼓状に湾曲形成させた湾曲ロール等を用いることにより形成される。案内面の形状は、図6(a)、(d)で示されるような円形状であるもの、図6(b)、(e)で示されるような楕円形状であるもの、そして、図6(c)、(f)で示されるような凹状の中心部は円形状で凹状の両端部が直線上であるもの等が好ましい。しかし、繊維束に幅方向収縮、折れ曲がり、そしてねじれ等を生じさせることなく、繊維束を凹状中心部に移動させる作用がある凹状に湾曲形成された形状であればかまわない。いずれの場合においても、図6で示すように案内面に沿った、中心o、半径rの仮想円を描き、描かれた仮想円の半径rを案内面の曲率半径rとする。
【0040】
本発明では、案内面を複数、前記案内面の曲率半径が小さくなる順で配置することに特徴がある。配置される案内面の曲率、案内面の数、そして案内面間の距離等は、繊維束の幅、繊維束のサイズ剤による固着性、および案内面のすべり易さ等に関係するが、本発明者らが検討した結果、案内面の曲率半径は10mm〜300mm、案内面の数は2〜4個、そして案内面間の距離は30〜300mmの範囲が好ましい。曲率半径が10mm以下のとき、繊維束の幅方向収縮等が生じ易くなり、また、曲率半径が300mmを超えるとき、繊維束が凹状中心部に収束する効果が得られ難くなる。そして、案内面の数が多くなる、また案内面間の距離が長くなる等の場合、繊維束の幅方向収縮等が生じ易くなるほか、繊維束引き出し装置が大型化する問題等が生じる。
【0041】
図2から図4に示される案内面を2箇所配置する装置の場合、繊維束走行方向の上流側にある案内面7の曲率半径は40mm〜100mmの範囲に、下流側にある案内面8の曲率半径は10mm〜30mmの範囲に設けることが好ましい。最も下流側にある案内面の曲率半径が10mm〜30mmの範囲内にあるとき、繊維束2は折れ曲がりおよびねじれを生じることなく繊維束の幅を安定させて凹状中心部付近に収束し、所定の引き出し方向Pに略一致した走行を可能にするのである。
【0042】
また、ボビン1から水平ガイドロール4までの距離L1、水平ガイドロール4から案内面7の距離L2、案内面7と8の距離L3、そして案内面8と水平ガイドロール5の距離L4は、30〜100mmの範囲に設けることが、繊維束2の折れ曲がりおよびねじれ等を生じさせることがない、繊維束幅の安定した走行を可能とし、また、小型化された繊維束引き出し装置となり好ましい。
【0043】
図2から図4では、ボビン1から最初の案内面7までの間に回転式または固定式の水平ガイドロール4を設けている。水平ガイドロール4を設けることにより、図4の模式側面図から理解できるように、ボビン1から引き出された繊維束2が案内面7および8に順に接触できるようになる。さらに、ボビン1の巻き径が変化し、繊維束2がボビン1から解舒される位置Aが変化した場合においても、水平ガイドロール4の効果により、繊維束2は案内面7および8に順に接触走行させることができるのである。なお、ボビン1、案内面7および8の配置によっては、水平ガイドロール4が必要ない場合もある。
【0044】
図2から図4では、案内面を形成する案内面形成部材に、円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲形成させた湾曲ガイドを用いている。円形断面形状の湾曲ガイドを用いることにより、繊維束2が案内面に接触走行する際、繊維束2は繊維束走行方向にも湾曲した部分を走行することができるため、繊維束への過度の張力負荷を防止でき、その結果、繊維束の毛羽立ち等が抑えられる効果を得ることができる。なお、繊維束の毛羽立ちをさらに防止するため、案内面は、繊維束との摩擦抵抗が小さい表面処理、例えばなし地メッキ処理等を施すことが好ましい。
【0045】
本発明は、ボビンから引き出された繊維束を、複数の凹状に湾曲形成された案内面に、前記案内面の曲率が小さくなる順で接触走行させることにより、繊維束を幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させて走行させ、前記繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に収束させることができるものである。案内面の個数、案内面の曲率、そして案内面間の距離等を設定できることから、種々の繊維束幅に対応することができる。扁平度合いの大きい繊維束や、開繊繊維束に対しても、繊維束走行方向の最も下流側に配置された最終の案内面の曲率を大きめに設定することにより、繊維束を凹状中心部へ収束させるとともに、繊維束の広幅状態をより安定させて走行させることができるのである。
【0046】
つまり、原糸として扁平度合いの大きな扁平繊維束、例えば繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅2mm以上の扁平繊維束、または原糸を幅広く薄い状態に開繊処理した開繊繊維束、例えば繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅4mm以上の開繊繊維束等が巻かれたボビン等に対しても、当該ボビンから当該繊維束を、繊維束幅を安定させながら所定の引き出し方向に収束させることができるのである。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、第2の実施形態を図7に従って説明する。第2実施形態は、案内面をロール回転軸に向かって鼓状、つまり凹状に湾曲させた湾曲ロールによって形成させた装置例を用いて、ボビンから引き出された繊維束の走行方向を所定の引き出し方向に収束させる方法に関して示したものである。
【0048】
図7に示す繊維束引き出し装置25は、ボビン1、湾曲ロール29、30および31、水平ガイドロール5、そして走行位置規制ガイド3、3’により構成されている。なお、案内面15、16および17は湾曲ロール29、30および31により形成されている。
【0049】
なお、第1実施形態と同様に、ボビン1は図示されないブレーキ機構、または定張力送り出し機構等に取り付けられており、ボビン1から引き出される繊維束はある張力が負荷された状態で、かつ撚りの加わらない状態で走行する。
【0050】
ボビン1から引き出された繊維束2は湾曲ロール29、30および31により形成された案内面15、16および17に順に接触することにより、水平ガイドロール5を通過後は所定の引き出し方向Pに収束して次工程に供給される。
【0051】
第1実施形態とは異なり、案内面は3箇所に設置されている。案内面の数が多くなる効果として、1つの案内面に働く、繊維束を凹状中心部の方向へ無理なく移動させようとする力Fの大きさをより小さくすることができることである。この効果により、繊維束の幅方向折れ曲がりおよびねじれをより効果的に防止することができるのである。
【0052】
また、湾曲ロールは回転式または固定式のいずれかを選択することができる。回転式である場合、繊維束が湾曲ロールに接触走行することで生じる繊維束への張力を大幅に軽減することができる。つまり、回転式、もしくは回転式と固定式の組み合わせを選択することにより、繊維束を低張力で、かつ安定させて所定の引き出し方向へ収束させることが可能となる。
【0053】
図7の場合、本発明者らが検討した結果、案内面15の曲率半径は150mm〜300mmの範囲に、案内面16の曲率半径は40mm〜100mmの範囲に、そして案内面17の曲率半径は10mm〜30mmの範囲に設けることが好ましい。そして、湾曲ロールの湾曲中心部における回転軸直交方向の直径は5〜30mmの範囲に設けることが好ましい。なお、湾曲ロールの両端部における回転軸直交方向の直径は、湾曲中心部の回転軸直交方向の直径、湾曲ロールの回転軸方向長さ、および案内面の曲率半径が決まることにより設定される。さらに、繊維束の毛羽立ちを防止するため、湾曲ガイドの場合と同様、案内面は、繊維束との摩擦抵抗が小さい表面処理、例えばなし地メッキ処理等を施すことが好ましい。
【0054】
案内面形成部材として湾曲ガイドおよび湾曲ロールを用いる実施形態を説明してきた。しかし、凹状に湾曲形成させた案内面を含む部材であれば案内面形成部材として使用できる。例えば、図8(a)に示すように、金型ブロックのある端面に、凹状に湾曲形成させた案内面18を有した部材(案内面形成部材32)であっても構わない。また、繊維束走行方向の長さを限りなく短くした案内面形成部材32を複数用意し、案内面18の曲率半径を徐々に小さくした(つまり曲率半径差を限りなく無くした)順で並べ、かつ各案内面形成部材32間の距離を限りなく短くすれば、図8(b)に示したような案内面形成部材33を得ることができる。案内面形成部材33は、繊維束走行方向上流側の曲率半径が大きく、下流側の曲率半径が小さい構成となっており、上流側案内面と下流側案内面を連続させることにより、曲率半径が徐々に小さくなる凹状に湾曲した連続面(案内面19)を形成している。
【0055】
〔第3実施形態〕
次に、第3の実施形態を図9に従って説明する。第3実施形態は、第1実施形態の繊維束引き出し装置25を複数本配置させた装置例であり、複数の繊維束を所定の引き出し方向に引き出す方法に関して示したものである。
【0056】
図9に示す、複数本の繊維束を各所定の引き出し方向に引き出す繊維束引き出し装置34は、繊維束引き出し装置25が高さ方向に4段、長さ方向に8列の合計32個配置された例を示している。各繊維束引き出し装置25はボビン1、水平ガイドロール4、湾曲ガイド20および21、水平ガイドロール5、そして走行位置規制ガイド3、3’により構成されている。そして、各繊維束引き出し装置25から引き出された各繊維束2は水平ガイドロール6によりその走行方向を変え、繊維束走行方向P’の方向に進み次工程へ供給される。
【0057】
なお、第1および第2実施形態と同様に、ボビン1は図示されないブレーキ機構、または定張力送り出し機構等に取り付けられており、ボビン1から引き出された繊維束はある張力が負荷された状態で、かつ撚りの加わらない状態で走行するようになっている。
【0058】
本発明による繊維束引き出し装置34を用いることにより、複数の繊維束をある一定の間隔に引き揃えて、かつ各繊維束の幅方向折れ曲がりおよびねじれ等を生じることなく繊維束幅を安定させて走行させ、次工程へ供給することが可能となる。つまり、織物製織における経糸供給、およびプリプレグシート製造における複数本の繊維束供給において、扁平状態を維持した繊維束の引き出し供給が可能になるのである。
【0059】
なお、図9では、湾曲ガイドを2個用いた繊維束引き出し装置の例について示しているが、案内面を形成するために湾曲ガイド以外、例えば湾曲ロール等を採用した繊維束引き出し装置を用いた場合でも構わない。さらに、案内面を3個以上設けた繊維束引き出し装置を用いて装置34を構成しても構わない。
【実施例】
【0060】
つぎに、具体的な実施例について説明する。
【0061】
「実施例1」
図2に示す湾曲ガイドを採用した繊維束引き出し装置を用いて、炭素繊維束の巻かれたボビンから炭素繊維束を所定の引き出し方向に引き出すことを実施した。炭素繊維束の巻かれたボビンとして、単糸直径約5μmの単繊維が24000本集束した炭素繊維束24K(トレカT800SC−10E、東レ(株)製)の巻かれたボビンを使用した。ボビンには図示されないブレーキ機構を取り付け、繊維束にある張力を負荷して引き出した。
【0062】
湾曲ガイドの案内面は図6(a)に示すように円形状とし、繊維束の走行方向上流側にある案内面7の曲率半径を60mm、下流側にある案内面8の曲率半径を10mmに設定した。ボビンから水平ガイドロール4までの距離を50mm、水平ガイドロール4から湾曲ガイド20までの距離を50m、湾曲ガイド20から湾曲ガイド21までの距離を50mm、そして湾曲ガイド21から水平ガイドロール5までの距離を30mmに設定した。なお、繊維束の走行速度は15m/minに設定した。
【0063】
繊維束の引き出しを実施したところ、炭素繊維束は幅方向への折れ曲がり、ねじれを生じることなく、また、走行位置規制ガイド3、3’に押し付けられることなく繊維束幅を安定させて走行し、所定の引き出し方向に収束することが確認された。そして、ボビンに巻かれた炭素繊維束は引き出し直後、その幅が約7mmあったが、水平ガイドロール5を通過した直後の炭素繊維束についてもその幅が約7mmはあり、繊維束の幅方向収縮についてもほとんど生じることなく、繊維束を安定して引き出すこともできることが確認された。なお、水平ガイドロール5を通過後の繊維束に働く張力を測定したところ約100gあり、かつ繊維束の走行中はその値がほとんど変動することがなかった。つまり、ボビンの中央部または両端部、どの部分で繊維束が解舒され引き出されても、繊維束は安定した張力状態で走行することができると確認された。
【0064】
「実施例2」
図7に示す湾曲ロールを採用した繊維束引き出し装置25を用いて、炭素繊維束の巻かれたボビンから炭素繊維束を所定の引き出し方向に引き出すことを実施した。炭素繊維束の巻かれたボビンとして、単糸直径約7μmの単繊維が15000本集束した炭素繊維束15K(パイロフィルTR50S−HH、三菱レイヨン(株)製)の巻かれたボビンを使用した。ボビンには図示されないブレーキ機構を取り付け、繊維束にある張力を負荷して引き出した。
【0065】
湾曲ロールの案内面は図6(d)に示すように円形状とし、繊維束の走行方向上流側にある案内面15の曲率半径を240mm、案内面16の曲率半径を60mm、最も下流側にある案内面17の曲率半径を10mmに設定した。また、3本の湾曲ロールとも中央部の直径を20mmとし、かつ自由回転するものとした。ボビン1から湾曲ロール29までの距離、湾曲ロール29から湾曲ロール30までの距離、そして湾曲ロール30から湾曲ロール31までの距離は全て50mmとし、また湾曲ロール31から水平ガイドロール5までの距離を30mmに設定した。なお、繊維束の走行速度は20m/minに設定した。
【0066】
繊維束の引き出しを実施したところ、実施例1と同様、炭素繊維束は幅方向への折れ曲がり、ねじれを生じることなく、また、走行位置規制ガイド3、3’に押し付けられることなく幅を安定させて走行することが確認された。そして、実施例1と同様、繊維束の幅方向収縮が少なく、かつ走行中の繊維束に働く張力も安定するという結果を得た。
【0067】
「比較例1」
図2に示す繊維束引き出し装置について、湾曲ガイド20および21の代わりに水平ガイドロール4と同様の水平ガイドロールを設けて、炭素繊維束の巻かれたボビンから炭素繊維束を所定の引き出し方向に引き出すことを実施した。炭素繊維束の巻かれたボビンとして、実施例1と同様、素繊維束24K(トレカT800SC−10E、東レ(株)製)の巻かれたボビンを使用した。ボビンには図示されないブレーキ機構を取り付け、繊維束にある張力を負荷して引き出した。
【0068】
ボビンから水平ガイドロール4までの距離、および各水平ガイドロール間距離を50mmに設定した。なお、繊維束の走行速度は15m/minに設定した。
【0069】
繊維束の引き出しを実施したところ、炭素繊維束の解舒位置がボビン上を移動するに対応して、各水平ガイドロールを接触通過する炭素繊維束の位置もロール上の長さ方向を往復する。その往復距離は繊維束走行方向の下流に位置する水平ガイドロールになるに従い短くはなるが、水平ガイドロール5においても繊維束は所定の位置に収束することはなく水平ガイドロール上の長さ方向を往復する。この影響により、繊維束は走行位置規制ガイド3、3’に押し付けられ、繊維束には、幅方向の収縮、折れ曲がり、そしてねじれを生じる結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の繊維束引き出し方法及び繊維束引き出し装置により、ボビンから解舒され引き出された繊維束を、幅方向折れ曲がりおよびねじれを生じさせることなく繊維束幅を安定させた状態にて走行させ、所定の引き出し方向に収束させることができる。これにより、繊維束の扁平状態、および無撚状態を維持したまま次工程での加工が可能となる。さらに、本発明の繊維束引き出し装置を多数配置し構成することにより、多数の繊維束を扁平状態、および無撚状態を維持したまま、ある間隔で引き揃えて次工程に供給することができる。つまり、繊維束の扁平状態、および無撚状態が要求される織物製織の経糸供給、またはプリプレグシート製造の繊維束供給等に使用することができる。そして、品質の良い織物、またはプリプレグシート等の製品を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ボビンから解舒され引き出された繊維束を所定の引き出し方向に導く従来方法に関する模式平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る繊維束引き出し装置の模式斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る繊維束引き出し装置の模式平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る繊維束引き出し装置の模式側面図である。
【図5】案内面を走行する繊維束に係る模式図である。
【図6】湾曲ガイドおよび湾曲ロールが形成する案内面に係る模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る繊維束引き出し装置の模式斜視図である。
【図8】金型ブロック端面に案内面を形成した案内面形成部材の模式斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る繊維束引き出し装置の模式側面図である。
【符号の説明】
【0072】
1:ボビン
2:繊維束
3、3’:走行位置規制ガイド
4〜6:水平ガイドロール
7〜19:案内面
20〜24:湾曲ガイド
25:繊維束引き出し装置
26〜31:湾曲ロール
32〜33:金型ブロックによる案内面形成部材
34:複数本の繊維束を各所定の引き出し方向に引き出す繊維束引き出し装置
A:ボビンから繊維束が解舒される位置
B:繊維束が解舒される位置であり、繊維束引き出し方向Pの平行線とボビン回転軸の平行線とが直交したときの点
P:所定の引き出し方向
P’:繊維束走行方向
F:凹状に湾曲形成された案内面の中心部へ移動しようとする力
L0:ボビン回転軸から走行位置規制ガイドまでの距離
L1:ボビン回転軸から水平ガイドロールまでの距離
L2:水平ガイドロールから繊維束走行方向上流側の案内面までの距離
L3:案内面間の距離
L4:繊維束走行方向下流側の案内面から水平ガイドロールまでの距離
W:ボビンに巻かれた繊維束の巻き幅
o:仮想円の中心点
r:仮想円の曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンから繊維束を前記ボビンの回転軸と略直交する所定の引き出し方向に引き出す繊維束の引き出し方法において、前記ボビンから引き出された前記繊維束を、複数の凹状に湾曲形成された案内面に、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に接触走行させて、前記繊維束の走行方向を前記引き出し方向へ収束させることを特徴とする繊維束の引き出し方法。
【請求項2】
前記繊維束が、繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅2mm以上の扁平繊維束、または繊維束幅/繊維束厚みの比が20以上かつ繊維束幅4mm以上に開繊処理された開繊繊維束であることを特徴とする請求項1に記載の繊維束の引き出し方法。
【請求項3】
ボビンから繊維束を前記ボビンの回転軸と略直交する所定の引き出し方向に引き出す繊維束引き出し装置であって、前記ボビンから引き出された前記繊維束の走行経路の上流から下流に向かい、前記引き出し方向と略直交する方向に凹状に湾曲形成された案内面を複数、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に配置したことを特徴とする繊維束引き出し装置。
【請求項4】
前記案内面を複数、前記案内面の曲率半径が小さくなる順に、所要の間隔をもって配置したことを特徴とする請求項3記載の繊維束引き出し装置。
【請求項5】
前記案内面が円形断面形状の棒部材を凹状に湾曲させた湾曲ガイドにより形成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の繊維束引き出し装置。
【請求項6】
前記案内面が鼓状に湾曲させた湾曲ロールにより形成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の繊維束引き出し装置。
【請求項7】
前記ボビンから最初の前記案内面の間において、固定式または回転式のいずれかである水平ガイドロールを1本以上配置したことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の繊維束引き出し装置。
【請求項8】
請求項3から請求項7のいずれかに記載の繊維束引き出し装置を複数配置して、複数本の繊維束を各所定の位置から各所定の引き出し方向へ引き出すことを特徴とする繊維束引き出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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