説明

繊維機械のドラフト機構のための支持体および支持体を製造する方法

支持体(1)であって、支持体(1)が、ドラフト機構のトップローラのためのキャリアを収容するのに役立ち、繊維機械の機械フレームにおいて少なくとも1つのホルダロッドに取り付けられるようになっており、支持体(1)が、ほぼU字形の輪郭を有しており、輪郭が、端面(3)と、端面(3)に対して垂直に延びる、互いに平行な側壁(2)とから形成され、支持体(1)が、形状安定性を高めるために、端面(3)および側壁(2)に対して垂直に折り曲げられた複数の区分(5,6)を備えており、これらの区分(5,6)が、互いに形状結合で結合されており、支持体(1)の空間形状が、曲げ加工によって製作されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、繊維機械のドラフト機構のための支持体に関しており、ならびに請求項6の上位概念に記載の形式の、支持体を製造する方法に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3902859号明細書から、ドラフト機構のキャリアのための支持体が公知であり、支持体は、ドラフト機構に生じる負荷に関して適当に寸法設定された2つの板部材を組み合わせることによって製造される。ここでは同形に成形されて互いに平行に配置された2つの板部材は、スペーサによって相互結合される。
【0003】
さらにU字形輪郭を有する、一体的に形成された支持体が公知であり、支持体は、端面と、端面に対して垂直に延びる互いに平行な側壁とから形成される。支持体は、深絞り型を用いることによって製造される。側壁は、端面とは反対側で、スペーサによって相互結合されている。このことは、端面とは反対側で開いた支持体を形状安定させるのに役立つ。
【0004】
従来技術の欠点によれば、支持体の安定性を高めるためのコストが嵩むことであり、コストは、材料コストおよび取付コストによって生じ、ならびに高価な深絞り型を用いることによって生じる。
【0005】
本発明の課題は、簡単で安価に製造可能である、ドラフト機構のキャリアのための支持体を提供すること、ならびに型を使用せずに実施可能な、支持体を製造する方法を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成を有する支持体によって、また請求項6の特徴部に記載の構成を有する方法によって解決される。
【0007】
有利な実施形態は、従属請求項に記載した。
【0008】
請求項1の構成によれば、支持体が、形状安定性を高めるために、端面および側壁に対して垂直に折り曲げられた複数の区分を備えており、これらの区分が、互いに形状結合で結合されており、支持体の空間形状が、曲げ加工によって形成されている。少なくとも部分的に側壁の長さにわたって延びる、形状結合で相互結合された区分によって、支持体は、形状安定され、しかも従来技術では必要であったスペーサなどを用いる必要はない。ドラフト機構の運転中にキャリアを介して支持体に伝達されるトルクは、支持体の比較的高いねじり剛性に基づいて良好に受容することができる。支持体の一体的な構成によって、構造が簡略化される。さらに本発明による支持体は、安価に製造可能である。なぜならば従来技術で支持体を製造する際に著しく高い摩耗にさらされる高価な深絞り型を用いる必要がないからであり、もしくは形状安定化のためのスペーサなどを用いる必要がないからである。
【0009】
特に形状結合で相互接合される幾つかの区分は、僅かな過大寸法を有することができる。したがってこのような区分の結合は、嵌合によって行うことができ、これによって追加的な結合手段、たとえばねじまたはリベットの使用、もしくは別の結合方法、たとえば溶接またはろう接の使用を回避することができる。これによって製造に必要な作業ステップが低減され、したがって支持体の製造コストが削減される。特に嵌合と相俟って、形状結合で相互接合可能な区分の適当な形状付与によって、側壁の摩擦形状結合が達成され、これによって側壁は、側壁に対して垂直に向けられた力に基づいて、互いにスライドすることができる。
【0010】
さらに折り曲げられた区分によって形成された上面に、キャリアを高さ調節するための調節手段を収容するための貫通孔が配置されている。調節手段は、支持体の上面に支持されるねじとして形成することができる。
【0011】
さらに一方の区分に、少なくとも1つの縁曲げ部が設けられており、縁曲げ部が、他方の側壁における凹部に支持されるようになっている。このようにすると支持体を高さ調節する際に、支持体の上面が、上面に対して垂直に向けられた生じる力によって内向きに曲げられることはない。
【0012】
有利には、端面が、少なくとも1つの凹部によって中断されており、凹部が、少なくとも1つのホルダロッドを部分的に形状結合で包囲するようになっている。
【0013】
請求項6によれば、予備成形された工作物が、端面の領域で2度にわたる直角の折り曲げによって、平行の側壁を備えたU字形の形状を有するようにし、予備成形された工作物の、形状結合に役立つ区分を、部分的に互いに向き合うように折り曲げる。本発明の方法によって、型を使用しない支持体の製造が実現され、ここでは追加的な結合手段、たとえばリベットまたはねじの使用、もしくは追加的な結合法、たとえば溶接またはろう接の使用が省略される。本発明による製造によって、従来技術による支持体では達成されなかった、比較的高い形状安定性が達成される。
【0014】
有利には、予備成形された工作物は、打ち抜き成形によって製造される。打ち抜き成形による予備成形された工作物の製造は、安価で、大量生産で行うことができる。
【0015】
さらに支持体を、端面区分によって形状安定させ、工作物の、端面の形成される領域から凹部を打ち抜き加工する際に、端面区分を形成し、端面区分を、曲げ加工によって、端面に対して平行に配置する。有利には、このことは端面の、上面とは反対側の領域で行われ、この領域は、2つの支持体を相互結合するのに役立つ。これによって壁厚を2倍にして、ひいては端面のこの領域における安定性の増加することができる。
【0016】
次に図面につき本発明の実施例を詳しく説明する。
【0017】
図1から、本発明による、繊維機械のドラフト機構のための支持体1が看取される。支持体1は、ドラフト機構の、図示していないキャリアを収容するのに役立つ。キャリアは、支持体1の貫通孔10に配置された、図示していない旋回軸を中心に旋回可能に支承されている。キャリアを取り付けるために、キャリアは、支持体1によって、繊維機械の機械フレームの、図示していないホルダロッドに固定されている。
【0018】
一体的に形成された支持体1は、実質的にU字形輪郭を有している。さらに支持体1は、端面3を備えており、端面3は、凹部9によって中断されており、凹部9は、ホルダロッドを形状結合(形状による束縛)式に収容するのに役立つ。端面3に、該端面3に対して垂直に延びる側壁2が続いており、側壁2は、互いに平行に配置されている。旋回軸を収容するのに役立つ貫通孔10は、互いに整合して支持体1の側壁2に配置されている。さらに支持体1は、端面3および側壁2に対して垂直に延びる上面4を備えており、上面4は、側壁2の、直角に折り曲げられた区分5,6によって形成されている。この場合区分5,6は、実質的に側壁2の長さにわたって延びており、これによってU字形の支持体1は、上向きに少なくとも部分的に閉じられている。
【0019】
支持体1の上面4に貫通孔7が設けられており、貫通孔7は、キャリアの高さ調節のための、図示していない調節手段を収容するのに役立つ。さらに区分6に縁曲げ部8が設けられており、縁曲げ部8は、区分6に対して垂直に延びている。縁曲げ部8は、側壁2の、適当に成形された凹部11に支持されている。凹部11は、キャリアの高さ調節時に生じる、上面4に対して垂直に向けられた引張力を受容するのに役立ち、これによって上面4の押し込みが回避される。
【0020】
図2には、支持体1の、図1のAで示した部分を詳しく示した。図面から、折り曲げられた端面区分12が看取され、端面区分12は、端面3に対して平行に延びていて、端面3に続いている。端面区分12には、貫通孔13が設けられており、貫通孔13は、ホルダロッドに取り付けられた位置で、図示していない別の支持体に支持体1を固定するための結合手段を収容するのに役立つ。このために対向する支持体1の2つの端面3は、相並んで位置し、図示していない緊締スリーブおよび結合手段によって相互結合される。このために緊締スリーブは、支持体1の上面4の領域に配置された突出部14を通って延びており、突出部14は、緊締スリーブを収容するために、整合して配置された貫通孔15を備えている。端面3の、上面4とは反対側の領域で壁厚が2倍になっていることによって、支持体1の追加的な補強および形状安定性が得られる。
【0021】
本発明の方法によれば、支持体1を製造するために、予備成形された工作物が用いられ、工作物は、たとえば打ち抜き成形によって製造され、部分的に対称的に形成されている。工作物は、打ち抜き加工によって既に区分5,6、縁曲げ部8、端面区分12もしくは凹部9,11の適当に予備成形された輪郭を有している。この場合端面区分12は、工作物を打ち抜き成形する際に凹部9の内側で維持される。
【0022】
本発明によれば、工作物は、先ずほぼU字形のプロフィールに折り曲げられるので、側壁2は、端面3に対して垂直に延び、かつ互いに平行に延びる。これに続いて側壁2の区分5,6が曲げ加工によって、区分5,6が互いに整合するように曲げ成形され、この場合区分5,6は、形状結合で互いに入り込むように接合される。このようにして支持体1の立体構成が形成される。
【0023】
さらに一方の側壁2の縁曲げ部8は、別の一方の側壁2の凹部11に形状結合で係合される。形状結合で互いに接合された区分5,6は、比較的小さな過剰寸法を有しているので、区分5,6は、嵌合と同様に相互接合される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による支持体の側面図である。
【図2】図1に示した支持体の、図1のAで示した部分を示す詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(1)であって、
当該支持体(1)が、ドラフト機構のトップローラのためのキャリアを収容するのに役立ち、かつ繊維機械の機械フレームにおいて少なくとも1つのホルダロッドに取り付けられるようになっており、当該支持体(1)が、ほぼU字形の輪郭を有しており、該輪郭が、端面(3)と、該端面(3)に対して垂直に延びる、互いに平行な側壁(2)とから形成されている形式のものにおいて、
当該支持体(1)が、形状安定性を高めるために、端面(3)および側壁(2)に対して垂直に折り曲げられた複数の区分(5,6)を備えており、これらの区分(5,6)が、互いに形状結合で結合されており、
当該支持体(1)の空間形状が、曲げ加工によって製作されていることを特徴とする、支持体。
【請求項2】
形状結合で相互接合される、折り曲げられた幾つかの前記区分(5,6)が、僅かな過大寸法を有している、請求項1記載の支持体。
【請求項3】
折り曲げられた前記区分(5,6)によって形成された上面(4)に、キャリアを高さ調節するための調節手段を収容するための貫通孔(7)が配置されている、請求項1または2記載の支持体。
【請求項4】
一方の折り曲げられた前記区分(5,6)に、少なくとも1つの縁曲げ部(8)が設けられており、該縁曲げ部(8)が、他方の側壁(2)における凹部(11)に支持されるようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載の支持体。
【請求項5】
端面(3)が、少なくとも1つの凹部(9)によって中断されており、該凹部(9)が、少なくとも1つのホルダロッドを部分的に形状結合で包囲するようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載の支持体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の支持体(1)を製造する方法であって、
支持体(1)を製造するために、先ず平面的な工作物を予備成形する方法において、
予備成形された工作物が、端面の領域で2度にわたる直角の折り曲げによって、平行の側壁を備えたU字形の形状を有するようにし、
予備成形された工作物の、形状結合に役立つ区分(5,6,8)を、部分的に互いに向き合うように折り曲げることを特徴とする、支持体を製造する方法。
【請求項7】
予備成形された工作物を、打ち抜き成形によって製造する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
支持体(1)を、端面区分(12)によって形状安定させ、工作物の、端面(3)の形成される領域から凹部(9)を打ち抜き加工する際に、該端面区分(12)を形成して、該端面区分(12)を、曲げ加工によって、端面(3)に対して平行に配置する、請求項6または7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−511769(P2009−511769A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535908(P2008−535908)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008464
【国際公開番号】WO2007/045301
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507403964)エーリコン アコーテックス テクスパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Accotex Texparts GmbH
【住所又は居所原語表記】Maria−Merian−Strasse 8, D−70736 Fellbach, Germany
【Fターム(参考)】