説明

繊維状粒子測定方法及び装置

【課題】測定対象流体中に浮遊する繊維状粒子を実時間で簡便に測定できるようにする。
【解決手段】ヒータ部10を通過したサンプル空気が測定部6で一様な電場中を通過するように、電極8a,8bが設置されている。センサA,Bではサンプル空気の流通方向に垂直に延びるスリット12a,12bが設置されている。サンプル空気は、最初、電場方向に平行になるようにサンプル空気が導かれ、A点で計測された後、90度流路が折れ曲げられ、電場と垂直方向にサンプル空気が導かれ、B点で計測される。センサA,Bには偏光方向が互いに90°をなすように偏光子16aと偏光子16bが設置されている。
アスベスト繊維は偏光面を回転させるので、測定部の流路2を流れる空気中にアスベスト繊維が存在すると、光検出素子22a,22bはその光強度を捉えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中に浮遊するアスベスト繊維などの繊維状粒子や、半導体プロセスで使用される純水中に浮遊する塵などの繊維状粒子を測定する方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から提案されているアスベスト量を計測する1つの方法は、実時間で計測する方法ではなく、ろ紙で捕集して計数したり、又は薬品を使用した前処理により顕微鏡で観察できる状態まで加工し、それを目視により計数する方法である(特許文献1参照。)。
【0003】
大気中に浮遊するアスベストなどの繊維状粒子を計測する方法としては、繊維状粒子の主軸を特定方向に揃えるための電界内に繊維状粒子を含む気体を導入し、粒子に円偏光した光を照射し、光源の主軸に対して特定角度における散乱光に含まれる垂直と水平の偏光成分を波長板、偏光プリズム等を通して測定することによりその粒子が繊維状であるか球状であるかを判定する装置が提案されている(特許文献2参照。)。
【0004】
大気中に浮遊する繊維状粒子を計測する他の方法としては、散乱平面に垂直又は水平方向に偏光された単一波長偏光を、検出領域に浮遊状態で導入された微粒子に照射し、微粒子からの散乱光を垂直及び水平方向の偏光成分のみを通過させるそれぞれの偏光板を通して一対の散乱光検出素子により同時に検出し、両成分の強度の角度分布に基づいて微粒子の形状や大きさを推定する方法が提案されている(特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2005−351642号公報
【特許文献2】特開平4−283648号公報
【特許文献3】特開平9−203703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の方法における偏光量の測定解析結果は、測定対象とする繊維状粒子の形状や使用測定波長のほんの少しの条件変化で大きく変わり、実際の計測において信頼性の高い情報取得は期待できない。
【0006】
特許文献3の方法で信頼性の高い情報を得るためには、測定ポイントを取り囲むような検出素子又は導光ファイバを用いてひとつの微粒子に対して多種類のデータを取得して解析する必要がある。そのため、装置のコストは高くなり、複雑さの故に測定安定性が悪く、故障頻度が高いことに加えて、解析が複雑なことから測定時間がかかるという問題がある。
そこで本発明は、測定対象流体中に浮遊する繊維状粒子を実時間で簡便に測定できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる繊維状粒子測定方法では、被測定物である粒子が浮遊する測定対象流体を一定流速で流す流路に光透過又は反射により被測定物を検出する測定部を設け、その測定部にはその流路中を流れる測定対象流体の流れに沿って上流側と下流側にそれぞれ流れを横切る方向に延びた形状の光透過用スリットを配置し、一方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、他方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向と直交する方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、被測定物が上流側のスリット位置を通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形と、同じ被測定物が所定の時間遅れをもって下流側のスリット位置を通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形との比較に基づいて、その被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定する。
測定対象流体は空気又は水である。
また、「繊維状粒子」の語は、狭義の繊維のみでなく、例えばラグビーボール状の粒子や、球体から外れた異形状の粒子など、太さよりも長さの方が大きい形状の粒子を含む広義の意味で使用している。
【0008】
本発明の繊維状粒子測定装置は本発明の測定方法を実現する装置であり、被測定物である粒子が浮遊する測定対象流体を流路内に一定流速で流す流体流通機構、その流路に配置され光透過又は反射により被測定物を検出する測定部、及び測定部が検出した信号に基づいてその被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定するデータ処理部を備えている。
そして、測定部は光透過用スリット、電極装置、光源部及び光検出部を備えている。
【0009】
光透過用スリットはその中を流れる測定対象流体の流れに沿って上流側と下流側にそれぞれ配置されて、流れを横切る方向に延びた形状をもっている。
電極装置は一方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、他方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向と直交する方向に向けさせる方向の直流電場を印加するものである。
光源部はスリットのそれぞれの位置で入射光を測定対象流体に照射するものであり、光検出部は測定対象流体を透過又は反射しスリットを透過した出射光を検出するものである。
【0010】
また、データ処理部は、被測定物が上流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形と、同じ被測定物が所定の時間遅れをもって下流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形との比較に基づいて、その被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定する判定部を備えている。
【0011】
2つのスリットを透過した信号波形を得るための好ましい一形態は、電極装置が一方向の電場を発生させる1組の電極を備え、測定対象流体を流す流路が測定部においてその電極装置による電場方向とそれに直交する方向の2方向をもつように折り曲げられており、スリットはその折り曲げられたそれぞれの部分に配置されているものである。
【0012】
2つのスリットを透過した信号波形を得るための好ましい他の形態は、測定対象流体を流す流路が測定部において一直線状であり、電極装置が測定部における流路の流通方向の電場を発生させる電極とそれに直交する方向の電場を発生させる電極からなる2組の電極と、それらの電極の作動を切り換える切換え装置を備えており、切換え装置がまず一方の電極のみを作動させておき、被測定物が上流側のスリット位置を通過したことを光検出器が検出した後、同じ被測定物が下流側のスリット位置を通過するまでの間にその一方の電極の作動を停止し、他方の電極を作動させるように電極の作動を切り換えるものである。
【0013】
信号波形が時間と信号強度を含んだものである場合、被測定物が繊維状粒子であるか否かの判定は、比較される2つの信号波形の時間比及び信号強度比に基づいて行なうことができる。そのためには、本発明の繊維状粒子測定装置は、判定部は比較される2つの信号波形の時間比及び信号強度比に基づいてその被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定するものとなる。
【0014】
本発明では、被測定物が繊維状粒子であるか否かの判定の結果に基づいて測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数するようにすることができる。そのためには、本発明の繊維状粒子測定装置では、データ処理部は、流体流通機構による測定対象流体の流速と、判定部が被測定物を繊維状粒子であると判定した単位時間当たりの個数とから測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数する計数部をさらに備えたものとなる。
【0015】
天然鉱物であるアスベストは、その透過光の偏光面を回転させる性質をもっている。そのため、アスベストが測定部を通過した場合は、その透過光は、偏光の方向が変わり、出射側の偏光子から、アスベストを通過した光だけが通過され、光センサ側でそれを電気信号の強度値として捉えるように構成することができる。アスベストは所定速度で測定部を通過するため、光センサの信号は、時間とともに強度が変化するパルス信号として捉えることができる。結晶構造をもたないガラス粉末、ガラス繊維などは、偏光面を回転させないために捉えられないので、偏光面を回転させる天然鉱物微粒子などだけを捉えることができる。
【0016】
そこで、本発明の測定方法で、天然鉱物繊維など、偏光面を回転させる性質をもつ被測定物のみを測定対象とするための好ましい形態では、測定部のそれぞれのスリットの位置で直線偏光された光を測定対象流体に照射し、測定対象流体を透過した光を入射光と90°異なる偏光子を透過させて光センサに導く。そのための本発明の繊維状粒子測定装置では、光源部は直線偏光された光を測定対象流体に照射する光学系を備え、光検出部は光源部から照射される直線偏光の偏光方向に対して90°をなす偏光方向をもつ偏光子を備えたものとなる。
【0017】
しかし、綿ゴミや、花粉など生物から生み出される有機系微粒子にも偏光面を回転させる性質があるため、上の方法ではそれらも含めて計測される。そのため、測定部に測定対象流体を導入する前に、例えば高温に熱したガラス管チューブを通過させるなどして、有機系微粒子をガス化させたり炭化粉体にさせたりしてから測定部に導入させるようにすることができる。
【0018】
そこで、本発明において、測定対象流体を空気にして、測定対象流体を測定部に導入する前にアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度で加熱するようにすれば、アスベスト以外の繊維状粒子を検出することがなくなり、空気中に含まれるアスベストの測定を正確に行なうことができる。その場合、測定対象流体を空気とし、測定対象流体を測定部に導入する前にアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度で加熱するようにする。そのための本発明の繊維状粒子測定装置では、流体流通機構は測定対象流体として空気を流すものであり、測定対象流体を流す流路は測定部よりも上流側に測定対象流体を加熱するヒータを備え、そのヒータの温度をアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度に設定する。
【0019】
また、本発明の測定方法をある温度で繊維形状を保つことができる被測定物のみを測定対象とすることもできる。その場合は、測定対象流体を空気とし、測定対象流体を測定部に導入する前に所定の温度で加熱し、その温度で繊維形状を保つことができる被測定物のみを測定するようにする。そのための本発明の繊維状粒子測定装置では、流体流通機構は測定対象流体として空気を流すものであり、測定対象流体を流す流路は測定部よりも上流側に測定対象流体をその温度で加熱するヒータを備えたものとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の繊維状粒子測定方法及び装置は、流路中を流れる測定対象流体の流れに沿って上流側と下流側に光透過用スリットを配置し、一方のスリットでは繊維状被測定物がスリットの長手方向と直交するように移動させ、他方のスリット位置では繊維状被測定物がスリットの長手方向と平行になるように移動させることにより、同じ被測定物が両スリット位置を通過することにより異なる信号波形を生じるようにすることにより、その2つの信号波形を比較してその被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定するようにしたので、簡単な構成でありながら、実時間で繊維状粒子の判定を行なうことができる。
【0021】
被測定物が繊維状粒子であるか否かの判定を2つの信号波形の時間比及び信号強度比に基づいて行なうようにすれば、被測定物の形状を表わすアスペクト比を基に判定することになるので、繊維状粒子であるか否かの判定を精度よく行なうことができるようになる。
【0022】
被測定物が繊維状粒子であると判定できれば、測定対象流体の単位体積あたり個数を計数することができる。
測定部で直線偏光された光を測定対象流体に照射し、測定対象流体を透過した光を入射光と90°異なる偏光子を透過させて光センサに導くようにすれば、偏光面を回転させる性質をもつ被測定物のみを測定することができる。
【0023】
測定対象流体を空気とし、偏光面を回転させる性質をもつ被測定物のみを測定することができるようにして、かつ測定部に導入する前にアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度で加熱するようにすれば、アスベスト繊維のみを測定対象とすることができる。
そして、測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数するようにすれば、空気中に浮遊するアスベスト繊維を計数することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施例1)
図1は空気中のアスベスト繊維を測定するように構成された第1の実施例の全体構成を示す図である。
測定対象流体として空気サンプルを流す流路としてガラスチューブ2が備えられており、そのガラスチューブ2の吸気口から空気サンプルが吸引される。吸引はポンプ4により行なわれ、常に一定流量で流れるようになっている。その流量はこの実施例では、100mm/秒とする。ガラスチューブ2は、空気サンプルが吸引口から測定部6まで内径が1mmで、層流状態で流れるように、内径は全体にわたって均一になっている。
【0025】
測定部6の上流には、吸気されたサンプル空気を加熱するためのヒータ部10が設けられている。アスベストの種類により異なるが、概して、溶融開始温度は、1200℃以上であるので、ヒータ部10はガラスチューブ2を約900℃に熱している。ガラスチューブ2としてはそのような温度で使用できる耐熱性のあるものを使用し、例えばバイコール#7913を使用する。ガラスチューブ2はヒータ部10では蛇行する形状に折り曲げられており、一定流速で流れるサンプル空気はヒータ部10のガラスチューブ2を通過する一定時間の間に所定の温度まで上昇する。そのため、花粉などの有機系微粒子は、空気中の酸素と反応して、炭酸ガスと水蒸気になるか、一部炭化する。
【0026】
ヒータ部10を通過したサンプル空気が測定部6で一様な電場中を通過するように、測定部6を挟んで電極8a,8bが設置されている。アスベスト測定の目的は、人への健康障害を引き起こすアスベスト繊維微粒子だけを計測することである。アスベストは構造上、繊維状であり、繊維状と非繊維状を区別する必要性がある。そのため、測定部6は、平坦な面が対向するように配置された電極8a,8bによる静電場中に保持されている。繊維微粒子はその長手方向を電場方向に揃える。これは、静電場に導かれた微粒子は、瞬時に分極現象を生じ、粒子の両端のうち、静電場の正極に近い一端は負極に、また静電場の負極に近い一端は正極になるからである。そのため、繊維状微粒子は、その長手方向を電場方向に揃えることになる。
【0027】
図2は測定部6付近の拡大図である。測定部6には、AとBで示されるスリット12a,12bの箇所にセンサA,Bが構成されている。スリット12a,12bは、マスク14となる一枚の薄い金属箔にエッチングにより形成されている。
サンプル空気は、最初、電場方向に平行になるようにサンプル空気が導かれ、A点で計測される。その後、90度流路が折れ曲げられ、電場と垂直方向にサンプル空気が導かれ、B点で計測される。その後、サンプル空気は測定部6を出た後、ポンプ4を通過して排気される。
【0028】
電極8a,8bによる電場は静電場であり、電極8a,8bの正極と負極の一定面により、できるかぎり一様な電場が生じるように設定されている。測定部6は電極8a,8bからは電気的に浮いている状態であり、かつ静電気を帯びないように、電気的グランドに接続されている。電極8a,8bの正極と負極の距離は、50mmで1000Vの静電圧を加えられるようになっている。
【0029】
図3が測定部6を図2の矢印Xの方向から見た側面図である。測定部6の一方の側にはA,Bの位置に光源18a,18bとしてレーザダイオード(発振波長:408nm)が配置されており、光源18a,18bからの光のビーム幅を広げるためにレンズ20a,20bが配置されている。レーザは光の指向性がよいので、光源18a,18bとして好ましい。レンズ20a,20bと流路2の間には偏光子16aが配置されており、偏光子16aを通過した光が流路2を流れるサンプル空気に照射される。
流路2を透過した光源18a,18bからの光を受光するためにそれぞれの光路上に光検出素子22a,22bとしてシリコンフォトダイオードが配置されており、流路2と光検出セル22a,22bの間には偏光子16bが配置されている。
【0030】
スリット12a,12bは流路2と偏光子16bの間に配置されているが、流路2と偏光子16aの間に配置してもよい。
偏光子16aと偏光子16bは、偏光方向が互いに90°をなすように設置されている。
センサAは光源18a、レンズ20a、偏光子16a、スリット12a、偏光子16b及び光検出素子22aにより構成され、センサBは光源18b、レンズ20b、偏光子16a、スリット12b、偏光子16b及び光検出素子22bにより構成されている。
【0031】
光源18a,18bからの光はレンズ20a,20bでビーム幅が広げられ、偏光子16aによって直線偏光となって流路2中を流れるサンプル空気に照射され、サンプル空気を透過した後、スリット12a,12bを通り、偏光子16bを通過できる光があれば光検出素子22a,22bに入射し、光強度が電気変換される。このとき、測定部の流路2を流れるサンプル空気中に微粒子が存在しない場合は、サンプル空気を透過した光は偏光子16bによりほぼ100%減光される。ところが、アスベスト繊維は偏光面を回転させる性質をもっているため、測定部の流路2を流れる空気中にアスベスト繊維が存在すると、偏光子16bを通過できる光が存在することになり、光検出素子22a,22bはその光強度を捉えることができる。また、偏光面を回転させない微粒子が通過した場合は、その透過光又は散乱光は偏光子16bを通過できないために光検出素子22a,22bには捉えられない。
【0032】
代表的なアスベスト繊維の一例は、長さが25μm、径が1μm程度である。このような繊維を特定するのに、スリット12a,12bのスリット幅は、一例として1μmに設定する。スリット12a,12bの設置の仕方は、図2に示しており、サンプル空気の流れる方向に対し、12a,12bの長手方向が直角になるように配置される。
【0033】
サンプル空気中にアスベスト繊維が浮遊しているとすると、測定部6ではアスベスト繊維は電極8a,8bにより電場により分極して電場方向に配向する。測定部6のセンサAの位置では、アスベスト繊維はサンプル空気の流れ方向に平行になるように流れてくるため、スリット12aの長手方向に対して直角の位置関係になって移動する。そして、センサBの位置では、アスベスト繊維は電場方向に配向してサンプル空気の流れ方向に直角になるように流れてくるため、スリット12bの長手方向に対して平行の位置関係になって移動する。
【0034】
センサA,Bでは、光検出セル22a,22bの検出信号は、横軸を時間、縦軸を信号強度とすると、図4に示されるように、センサAの検出信号Aは時間幅が広くなり、センサBの検出信号Bは時間幅が短くなる。繊維微粒子の場合は、このような結果になるが、球状の場合は、光検出セル22a,22bの検出信号に変わりはなく、逆に検出信号Aの方が検出信号Bよりも時間幅が長くなる場合なども現われるので、流れてきた微粒子は繊維ではなく、異形であると判定することができる。このようにして、繊維状粒子だけを識別することができる。
繊維のアスペクト比(繊維の長さと幅の比で3:1以上の形状のものをWHOの定義では繊維と呼ぶ)により、光検出セル22a,22bの出力の関係は様々に変化する。
【0035】
繊維状粒子であるか否かを判定する方法の一例を示すと、図4の信号の時間幅a,cと信号強度b,dを求めて、P=a/cとQ=d/bを算出する。その結果を、標準的なアスベストを多数流して予め求めたP=a/cとQ=d/bの結果と照らし合わせて、それがアスベスト繊維かどうかを決定する。
【0036】
図5は、標準的なアスベストのPとQを横軸P、縦軸Qとして、多数点プロットしたものである。この図でP=1,Q=1は、理論的に球状の微粒子であり、P値が1より大きい値をとるほど長い繊維になる。また、Qに関しては、長い繊維ほど、Qも高くなる相関がある。これは、センサAでは光検出素子22aは、スリット12aとの位置関係から、アスベスト繊維の長手方向とスリット12aの長手方向が直角になるような配置で光を受光することになるが、センサBでは光検出素子22bはアスベスト繊維の長手方向とスリット12bの長手方向が平行になるような配置で受光するため、強度が高くなるからである。この実施例の条件では、Pが3以上で、Qが0.5〜80付近の値をとれば、それはアスベスト繊維と判断する。
【0037】
長さが10μmで太さ0.1μmのアスベスト繊維が、100mm/秒の流速で流れてきた場合、センサA,Bともにスリット幅が1μmでは、理論的にa=100μ秒の信号が得られて、センサA、センサBの流路距離が1mmの場合は、10,000μ秒後にセンサBでc=10μ秒の信号が得られる。この場合、この繊維は検出信号波形からアスペクト比10以上と判断できる。
【0038】
空気サンプルの流速は、ポンプの吸引力変動、環境温度の変動等で、多少の誤差が存在する。そのため、データ処理として、センサAでパルス信号を捉えてから、正確に10,000μ秒後にセンサBが測定を開始するのではなく、10%早めの9,000μ秒後から測定を開始し、10%遅めの11,000μ秒後までデータをとり続けて、そのデータ列から、アスベスト繊維が通過したと思われるデータを抽出する。もし、その間に通過したと思われるデータがない場合は、センサAのパルス信号はノイズと見なして捨て去り、次に行われるべき演算も止める。
【0039】
使用している光源の波長は、この例では、408nm=0.408μmであるため、スリット幅としてその値付近まで狭めることはできる。波長以下にスリット幅を狭めると、著しく強度が低下するが、光検出素子22a,22bの感度を上げることにより対応可能であるので、0.1μmのスリット幅も可能である。その場合は、長手方向の長さが10μmで太さ0.1μmのアスベスト繊維は、検出信号波形からアスペクト比100と判断できる。
【0040】
0.1μmのスリット幅のスリットでは、長さが10μmで太さ0.01μmのアスベスト繊維の場合も、アスペクト比100となる。これをさらにアスペクト比1000と捉えるためには、光源を紫外線、X線にして、波長を短くして、それに応じてスリット幅を短くすれば対応できる。
【0041】
図6が、実際に測定したデータである。約100mm/秒の流速で、センサA,Bともにスリット幅が1μmで、センサA、センサBの流路距離が1mmの場合である。この場合a=100μ秒、b=0.5V、c=10μ秒、d=2Vが得られ、P=10,Q=4が得られる。
【0042】
(実施例2)
実施例1では、一定電場の中を、サンプル空気の流れる方向を、流路を曲げて電場に平行のときと、垂直のときを生み出した。ここでは流れる方向は一定で、電場方向を変化させることにより、アスベスト繊維の長手方向を変える場合の例である。
【0043】
図7はその全体構成を示す図、図8は測定部26の拡大図、図9は図8のX方向から見た測定部の側面図である。実施例1と同一部分には同じ符号を付して説明を省略する。
測定部26では、流路2は一直線状であり、電極装置は測定部26における流路2の流通方向の電場を発生させる電極8a,8bとそれに直交する方向の電場を発生させる電極8c,8dからなる2組の電極と、それらの電極の作動を切り換える切換え装置(図示略)を備えている。
【0044】
センサAとセンサBは、直線流路2に間をおいて設置されている。電場は、まずサンプル空気が流れる方向に平行になるように電場をかけておき、センサA部でアスベスト繊維らしい信号を捉えたあと、すぐに電場をサンプル空気が流れる方向に対して垂直になるように切り換える。その後、センサB部にそのアスベスト繊維が通過するのを検出する。アスベスト繊維がセンサB部を通過するときは、電場はすでにサンプル空気が流れる方向に対して垂直になっているので、アスベスト繊維の長手方向はサンプル空気が流れる方向に対して垂直になりそこを通過する。その後、次の計測に備えて、電場はサンプル空気が流れる方向に平行になるように戻す。
センサAとセンサBで得られる検出信号は実施例1と同じである。
【0045】
(繊維状粒子測定装置の実施例)
一実施例の繊維状粒子測定装置におけるデータ処理部の具体的な例を図10に示す。
データ処理部は被測定物が上流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形と、同じ被測定物が所定の時間遅れをもって下流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形との比較に基づいて、その被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定する判定部を備えている。
【0046】
図10により、センサA,Bの電気信号から、a,b,c,d,P,Q値を算出する手順について、詳述する。
センサA,Bの電気信号をそれぞれDC増幅するために、センサA,Bの光検出セルにオペアンプ30a,30bが接続されている。オペアンプ30a,30bの出力はそれぞれのアナログ−デジタル変換器32a,32bを経てそれぞれのマイクロコンピュータ34a(以下マイコン1),マイクロコンピュータ34b(以下マイコン3)に接続されている。
【0047】
マイコン1にはセンサでアスベスト繊維らしきものが検出されると、その時点をトリガ時点として、その前後のデータを記憶していくセンサA測定共有メモリ36aが接続されており、センサA測定共有メモリ36aにはそのトリガ時の時間データを記憶する時間共有メモリ38が接続されている。
【0048】
センサA測定共有メモリ36aには検出された信号波形からa,b値を算出するマイクロコンピュータ40a(以下マイコン2)が接続されており、マイコン2には算出されたa,b値を格納する共有メモリ42が接続されている。マイコン2はまた、そのアスベスト繊維らしきものがセンサBの位置を通過する時間にマイコン3に対して信号を取り込んでセンサB測定共有メモリ36bに格納するように指令を出す。
【0049】
センサB測定共有メモリ36bには検出された信号波形からc,d値を算出するとともに、共有メモリ42からa,b値を呼び出してP,Q値を算出するマイクロコンピュータ40b(以下マイコン4)が接続されている。液晶表示部44はマイコン4からのa,b,c,d,P,Q値を表示する。
判定部はマイコン2とマイコン4により実現される。
【0050】
このデータ処理装置の動作を説明する。センサA,Bの電気信号は、それぞれのオペアンプ30a,30bでDC増幅させ、それぞれのアナログ−デジタル変換器32a,32bで、0.12μ秒毎にデジタル値に変換する。センサAのデジタル値は、マイクロコンピュータ34a(以下マイコン1)に取り込む。
【0051】
マイコン1は、逐次更新されるセンサA信号を、アドレスがサイクリックになっているメモリに逐次格納する。メモリのアドレス数は、1024個である。マイコン1は最新のデジタル値を予め設定している閾値と常に比較していて、それを超えた場合は、その時点をトリガとして、そのデータから1023個分過去にさかのぼるデータと、トリガ時点のデータと、トリガからその後のデータ15360をセンサA測定共有メモリ36aのアドレスIに格納する。そして、トリガ時の時間データを時間共有メモリ38に格納する。
【0052】
センサA測定共有メモリ36aに格納されるデータ数は、1023+1+15360=16384個で、0.12μ秒毎にデータ取得しているので、約1966μ秒のデータ列になる。サンプル空気が100mm/秒の流速の場合、この時間長さは、アスベスト繊維の長手方向196.6μmに相当する。
【0053】
センサA測定共有メモリ36aのアドレスは8個あり、サイクリックに16384個のデータ列を格納していく。アドレスIに最新データが格納されれば、次にI+1のアドレスに格納される。I=8になれば、次はI=1からである。もし、8個のアドレス全てが、次のマイコン2による演算が未終了の場合は、演算オバーフローのエラー表示を液晶表示部44で行い、マイコン1はセンサA測定共有メモリ36aへのデータ格納は行わない。
【0054】
マイコン2は、センサA測定共有メモリ36aのデータが更新されると、直ちにその16384個のデータ列の解析を行う。まず、最初、移動平均処理を行い、単発的なノイズを除去する。その後、パルス波形が存在するかどうか検証する。その方法としてデータ列を微分処理する。パルスの上がりのエッジ部分をピーク波形に変換して、下がりのエッジ部分をボトムピーク波形に変換する。そのデータを、正負両方に設定している閾値と比較して、超えた場合は、パルス波形があると判断して、a,b値を算出し所定の共有メモリ42に格納し、アドレスIに対応する時間共有メモリ38のアドレスIからトリガ時点の時刻を読み取り、その時点から、9000μ秒後から、センサBのデジタルデータをセンサB測定共有メモリ36bのアドレスIに格納するようにマイコン3に命令する。もしパルス波形が存在しない場合は、これを行わない。そして、マイコン2は、センサA測定共有メモリ36aのデータが更新されたかどうかを見に行き、あれば、同様の処理を行い、なければ更新されるまで待機する。
【0055】
マイコン3は、マイコン2から命令を受けて、センサBの0.12μ秒毎のデジタルデータをセンサB測定共有メモリ36bのアドレスJに格納する。個数は、16384個で、約1966μ秒のデータ列になるので、トリガ時点から、9000μ秒後から、9000+1966μ秒までのデータをセンサB測定共有メモリ36bに格納することになる。
【0056】
そして、マイコン4は、センサB測定共有メモリ36bのデータが更新されると、直ちにその16384個のデータ列の解析を行う。その手順は、マイコン2と同じで、c,d値を算出し、マイコン2が求めたa,b値から、P=a/cとQ=d/bの結果を算出する。
【0057】
そして、Pが3以上で、Qが0.5〜80付近の値をとれば、それはアスベスト繊維と判断して、アスベスト数カウントのメモリ(測定開始からの積算カウント)を1プラスして、その時の時刻を所定のメモリに書き込む。1時間あたりの平均カウント数は、現時刻から1時間前までのデータを読み取り、1時間あたりの平均カウント数を求める。積算カウント数と、1時間あたりの平均カウント数は、液晶表示部44の画面に表示される。
この実施例では、測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数する計数部はマイコン4により実現される。
【0058】
通常雰囲気のアスベスト繊維数は、1m3に1本〜数本であるため、このセンサA,Bには連続してパルスが発生することはほとんどない。そのため、この状況では、センサAとセンサBで、光源18aと18bを同一にし、光検出素子22aと22bを同一にしても、さほど計測には問題がない。同一にすることにより、センサA部とセンサB部の距離、すなわちスリット12a,12bの設置位置間を短くすることができる。その場合、スリット12a,12bを形成したマスク14で、スリット12a,12b間の距離を100μm程度に接近させて設置可能である。その条件では、長さが10μmで太さ0.1μmのアスベスト繊維が、100mm/秒の流速で流れてきた場合、センサA,B部ともにスリット幅が1μmでは、理論的にa=100μ秒の信号が得られて、センサA、センサBの流路距離が100μmであるから、1,000μ秒後にセンサBでc=10μ秒の信号が得られる。このようにすることで、センサA部で信号が得られてから、短時間でセンサB部で信号が得られるので、センサに求められる長期安定性に対する性能が多少緩くなること、センサ、光源の部品数が半分になることのため、装置コストの低減と複雑さの低減により、より頑丈な装置となる。図11はその条件で実際に測定したデータである。
【0059】
上記の実施例では、センサA,B部に偏光子16a,16bを設置しているが、もしガラス繊維など偏光面を回転させない微粒子も含めて計数したい場合は、偏光子16a,16bを外した状態にして、繊維粒子による光の遮断量を測定することで対応できる。その場合は、何も微粒子のない状態のときは、センサには一定強度の光が入射しており、微粒子が通過したときに、その形状に応じて、光が遮断されるので、光の減光量を求める。その後のデータ処理は、信号の正負が変わるだけで本質的に実施例と同じである。
また、実施例では光源から出た光が、セル2を通過して繊維粒子等を透過した光を光検出素子22a、22bで受光しているが、繊維粒子等で反射した光を、光源側に光検出素子22a、22bを設置して受光してもよい。光源と光検出素子の設置上の問題だけで、近接に設置できれば、ほぼ180°反射した光を受光できる。後の信号解析は、まったく同じである。
【0060】
また、実施例は測定対象流体を空気にしているが、半導体プロセスで使用される純水などを測定対象流体とすることができる。その場合はヒータ10は設けないが、他の構成は空気を測定対象流体とする場合と同じである。そして、ここで記載したことは、繊維状粒子の測定方法に関することであるが、繊維という言葉の定義から外れた、例えばラグビーボール状の粒子判別とか、球体から外れた異形状の判別にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、大気中に浮遊するアスベスト繊維などの繊維状粒子や、半導体プロセスで使用される純水中に浮遊する塵などの繊維状粒子を測定するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】空気中のアスベスト繊維を測定するように構成された第1の実施例の全体構成を示す図である。
【図2】同実施例の測定部の拡大図である。
【図3】同実施例の測定部の側面図である。
【図4】同実施例で得られる信号波形を模式的に示す波形図である。
【図5】標準的なアスベストのPとQを横軸P、縦軸Qとしてプロットしたグラフである。
【図6】同実施例で得られた信号波形を示す波形図である。
【図7】第2の実施例の全体構成を示す図である。
【図8】同実施例の測定部の拡大図である。
【図9】同実施例の測定部の側面図である。
【図10】繊維状粒子測定装置の一実施例におけるデータ処理部を示すブロック図である。
【図11】センサAとセンサBで光源と光検出セルを共用した場合に得られた信号波形を示す波形図である。
【符号の説明】
【0063】
2 流路としてのガラスチューブ
4 ポンプ
6 測定部
8a,8b 電極
10 ヒータ部
12a,12b スリット
18a,18b 光源
20a,20b レンズ
16a,16b 偏光子
22a,22b 光検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物である粒子が浮遊する測定対象流体を一定流速で流す流路に光透過又は反射により被測定物を検出する測定部を設け、
前記測定部にはその流路中を流れる測定対象流体の流れに沿って上流側と下流側にそれぞれ流れを横切る方向に延びた形状の光透過用スリットを配置し、
一方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、他方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向と直交する方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、
被測定物が上流側のスリット位置を通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形と、同じ被測定物が所定の時間遅れをもって下流側のスリット位置を通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形との比較に基づいて、その被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定することを特徴とする繊維状粒子測定方法。
【請求項2】
前記信号波形は時間と信号強度を含み、前記判定は比較される前記2つの信号波形の時間比及び信号強度比に基づいて行なう請求項1に記載の繊維状粒子測定方法。
【請求項3】
前記判定の結果に基づいて測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数する請求項1又は2に記載の繊維状粒子測定方法。
【請求項4】
前記測定部のそれぞれのスリットの位置で直線偏光された光を測定対象流体に照射し、測定対象流体を透過又は反射した光を入射光と90°異なる偏光子を透過させて光センサに導くことにより偏光面を回転させる性質をもつ被測定物のみを測定対象とする請求項1から3のいずれかに記載の繊維状粒子測定方法。
【請求項5】
測定対象流体は空気であり、
測定対象流体を前記測定部に導入する前にアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度で加熱することにより、アスベスト繊維のみを測定対象とする請求項4に記載の繊維状粒子測定方法。
【請求項6】
測定対象流体は空気であり、
測定対象流体を前記測定部に導入する前に所定の温度で加熱し、その温度で繊維形状を保つことができる被測定物のみを測定対象とする請求項1から4のいずれかに記載の繊維状粒子測定方法。
【請求項7】
被測定物である粒子が浮遊する測定対象流体を流路内に一定流速で流す流体流通機構、前記流路に配置され光透過により被測定物を検出する測定部、及び前記測定部が検出した信号に基づいてその被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定するデータ処理部を備え、
前記測定部は、その中を流れる測定対象流体の流れに沿って上流側と下流側にそれぞれ配置され、流れを横切る方向に延びた形状の光透過用スリットと、一方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向に向けさせる方向の直流電場を印加し、他方のスリット位置では繊維状被測定物を分極させて測定対象流体の流通方向と直交する方向に向けさせる方向の直流電場を印加する電極装置と、前記スリットのそれぞれの位置で入射光を測定対象流体に照射する光源部と、測定対象流体を透過又は反射し前記スリットを透過した出射光を検出する光検出部と、を備え、
前記データ処理部は、被測定物が上流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形と、同じ被測定物が所定の時間遅れをもって下流側のスリットを通過するときのそのスリットを透過した光に基づく信号波形との比較に基づいて、その被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定する判定部を備えている繊維状粒子測定装置。
【請求項8】
前記信号波形は時間と信号強度を含み、前記判定部は比較される前記2つの信号波形の時間比及び信号強度比に基づいてその被測定物が繊維状粒子であるか否かを判定する請求項7に記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項9】
前記データ処理部は、前記流体流通機構による測定対象流体の流速と、判定部が被測定物を繊維状粒子であると判定した単位時間当たりの個数とから測定対象流体の単位体積あたりの繊維状粒子の個数を計数する計数部をさらに備えている請求項7又は8に記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項10】
前記電極装置は一方向の電場を発生させる1組の電極を備え、
前記流路は前記測定部において前記電場方向とそれに直交する方向の2方向をもつように折り曲げられており、
前記スリットはその折り曲げられたそれぞれの部分に配置されている請求項7から9のいずれかに記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項11】
前記流路は前記測定部において一直線状であり、
前記電極装置は前記測定部における前記流路の流通方向の電場を発生させる電極とそれに直交する方向の電場を発生させる電極からなる2組の電極と、それらの電極の作動を切り換える切換え装置を備えており、
前記切換え装置はまず一方の電極のみを作動させておき、被測定物が上流側のスリット位置を通過したことを前記光検出器が検出した後、同じ被測定物が下流側のスリット位置を通過するまでの間に前記一方の電極の作動を停止し、他方の電極を作動させるように電極の作動を切り換えるものである請求項7から9のいずれかに記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項12】
前記光源部は直線偏光された光を測定対象流体に照射する光学系を備え、
前記光検出部は前記光源部から照射される直線偏光の偏光方向に対して90°をなす偏光方向をもつ偏光子を備えている請求項7から11のいずれかに記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項13】
前記流体流通機構は測定対象流体として空気を流すものであり、
前記流路は前記測定部よりも上流側に測定対象流体を加熱するヒータを備え、そのヒータの温度をアスベスト繊維が繊維形状を保つことができ、動物繊維及び植物繊維がガス化、ガラス化又は炭化して繊維形状を保つことができない温度に設定されていることによりアスベスト繊維のみを測定対象とする請求項12に記載の繊維状粒子測定装置。
【請求項14】
前記流体流通機構は測定対象流体として空気を流すものであり、
前記流路は前記測定部よりも上流側に測定対象流体を所定の温度で加熱するヒータを備え、その温度で繊維形状を保つことができる被測定物のみを測定対象とする請求項7から12に記載の繊維状粒子測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−263745(P2007−263745A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89202(P2006−89202)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)