説明

織機にある品質監視装置用の取付け具

取付け具(5)を含みかつ織布の全幅にわたって延びかつ織機(1)又は巻返し装置にある織布(2)を光学的に監視する装置(3)が提案される。監視装置(3)は織布(2)と直接接触し、引出しローラ(30)とビーム(10)又は巻付けローラへの織布(2)の巻付け部との間の範囲(6)においてこれらのローラ及びビームに対して平行に、織機(1)と間接的に結合されて保持される。取付け具(5)は、監視装置(3)にある軸(7)と織機(1)にある軸(8)とを含み、両方の軸(7,8)は互いに平行に延び、揺動腕(9)を介して互いに結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従って、取付け具を含む織機において織布の品質を光学的に監視する装置用の取付け具であって、監視装置が織布の全幅にわたって延びているものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、例えば米国特許第4,728,800号明細書、国際公開第WO95/16909号、スイス国特許第675306号明細書又は特に欧州特許出願公開第1249530号明細書から公知である。このような装置は、特に織機のすぐ上で織布の品質を光学的に監視するのに使用される。この光学的監視装置により、織布に生じる実際上すべての品質欠陥を識別しかつ電子的に検出するようにする。このような欠陥は例えば縦糸又は横糸の糸切れ、汚れ、又は正常な織布像とは光学的に異なる欠陥である。このような欠陥を識別できるようにするため、検出される像はできるだけコントラストに富みかつ鮮明でなければならない。コントラストに富みかつ鮮明な像を得るため、織布のできるだけ近くでの光学的走査が望まれる。従ってこのような装置は、織機のすぐ近くに織布に接触した状態に保たれる。
【0003】
しかし周知のように、織機には極めて強い振動や動揺が生じる。監視装置の固有振動は、監視装置のハウジングにある適当な構造手段により大幅に阻止されるが、振動は別の手段により減衰されねばならない。
【0004】
通常このような公知の織布検査装置は、異なる構造の織機へ後から取付けられる。監視装置を織機と結合することにより、織機の振動は光学的監視装置へも伝達される。従って一方では光学的センサが監視すべき織布のできるだけ近くに配置され、他方では振動が監視装置へできるだけ直接伝達されないように、光学的監視装置と織機との機械的結合が行われることが、決定的に重要である。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10123870号明細書から、概略的に装置の両端面に穴を持つ帯片が固定されている織布検査装置が既に公知である。これらの穴を介して、「軟らかい」懸架が行われ、懸架点の周りの伸びのみが行われるようにする。「軟らかい」懸架を行うための構成のそれ以上の開示はない。
【0006】
更に特開平9−78444号公報は、請求項1の上位概念に記載の織布検査装置を示しており、この装置は、引出しローラと織布の巻付け部との範囲にある織布と接触して当接するように保持されている。しかし取付け具の構成についての記載はない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の特徴を持つ織布の光学的品質監視装置用取付け具がこの課題を解決する。
【0008】
引出しローラとビーム又は巻付けローラへの織布の巻付け部との間の範囲に監視装置を取付けることは、この場合特に有意義である。この範囲には通常転向ローラ又は広げローラがあり、織布をその巻付け前に平らにする。この範囲は織布の製造個所から比較的離れている。織布自体の振動は、ここでは少ない。更に織布は監視装置と接触して導かれるので、織布の送りを除いて相対運動が少なくされる。2つの揺動軸を介して監視装置の本発明による間接取付けによって、振動も間接に従って減少されて伝達される。これらの転向個所により、振動はもはや直接には伝達されず、その上織布上への監視装置の載置が精確に調節可能になり、更にこれにより、検査装置を分解する必要なしに、保守作業のためこれが外方揺動される。
【0009】
監視装置と織機との関節結合の構成は、従属請求項からわかる。
【0010】
添付図面には本発明の2つの実施例が示されており、その詳細な構成が以下の記述により説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び2には、それぞれ1つの織機1が部分斜視図で示されている。織機上で製造される織布は2で示されている。製造の際場合によっては織布2に生じる欠陥を確認するため、光学的監視装置3が織機1に設けられている。織機2の全幅にわたって梁状に延びるこの監視装置は、例えばスキャナ又は他の光学的センサにより織布を走査する。できるだけ申し分のない画像従って正しく働く品質監視を得るため、このような監視装置3を織機1のどこに設けるかが重要である。種々の織機における実験から、特にビーム10への織布2の巻付け部の比較的直前に、即ち引出しローラとビーム又は巻付けローラへの巻付け部との間の範囲6に、監視装置3を設けると、最適の結果が得られることがわかった。ここにある広げローラ又は転向ローラにより、巻付け前に織布が平らにされる。更にここで織布2が所望の張力を持つ。光学的監視装置3は、織布2に直接当接している。織布に面する監視装置3の壁は適当な窓を持ち、この窓の後ろに光学的センサ例えばスキャナが設けられ、透明な層により保護されている。
【0012】
図4には織機の概略部分断面が示されている。実際の織り場所の後で、完成した織布は、大抵の場合駆動される引出しローラ30により送られる。織布2はブレストビーム31を経て引出しローラ30へ当接され、それから1つ又は複数の転向ローラ32を経て、本発明により監視装置が設けられる範囲6へ導かれる。ビーム10又は巻付けローラへの織布2の巻付け部の前で引出しローラ30の後にあるこの範囲6に、大抵の場合巻付け前に織布を導く別の転向ローラ又は織布を平らにする広げローラ33がある。
【0013】
織機は市場に極めて多様に存在し、その構造は非常に異なっている。従って引出しローラ30とビーム10との間に光学的監視装置を設ける可能性も種々である。図2は、別の織機1において織布2の移送方向に見て広げローラ又は転向ローラ33の前に監視装置3が設けられている例を示している。しかしここでも監視装置3は、引出しローラとビーム10又は巻付けローラとの間の範囲に設けられている。広げローラ33及び転向ローラ32が織機に存在する場合、広げローラ33又はここにその代わりに設けられる転向ローラ32の近くに監視装置3を取付けるのがよい。広げローラ33という場合、その代わりにこの範囲にある転向ローラも常に含まれる。本発明では、近くという概念は、光学的監視装置の接触場所と広げローラの接触場所との間に、織機に固有の別のローラ又はビームが織布と接触して延びていないことを意味する。
【0014】
監視装置3の本発明による取付け具は、全体を5で示されている。これは、監視装置3に設けられる軸7と、織機1に設けられている第2の平行な軸8とを含んでいる。監視装置3にある軸7は、通常2つの保持ピン13により形成されている。これらの両方の支持ピン13は、軸7をなす直線上にある。織機1に取付けられている軸8は、織機に既に存在する横梁、又は台座18により織機に固定されている管片であってもよい。
【0015】
図1による構成では、取付け具5は、2つの半殻11から形成されて軸8上に安定な位置で締付け可能なスリーブ12を持っている。2つの半殻11を持つ構成は、織機に既に存在する異なる直径の連続軸上への取付けも可能にする。両方の半殻11の1つは、ここでは揺動腕9と一体に結合されている。監視装置3の軸7は、この実施例では支持ハウジング14を持つこの揺動腕9に支持されている。支持ハウジング14は、大体において側壁から成り、この側壁に監視装置3の軸7が揺動可能に支持されている。ハウジング14を貫通する拘束ピン15は、弧状長穴16内にあり、それにより監視装置3は、織布2に対してある角度範囲内で軸7の周りに揺動可能であるように拘束可能である。
【0016】
取付け具5は、2つの軸7,8を介して、織布2に対して監視装置3の大きい調節自由度を生じる。原理的には、監視装置を直接台座により織機1に固定的に設けることも考えられる。しかしこれにより織機の振動が直接監視装置3に伝達され、それにより光学的像が悪化することになる。両方の軸7及び8を介する間接支持により、振動は僅かしか直接伝達されず、まだ現れる振動は、監視装置3が載っている織布により更に減衰される。従って本発明による取付け具により、織布2に対して監視装置の大きい調節自由度を持つ最適な配置が行われるのみならず、同時に光学的結果も改善される。なぜならば、振動は僅かしか直接伝達されないからである。このため更に振動吸収を行う適当な支持材料を支持体に設けることも当然可能である。
【0017】
図3には、取付け具3の別の形態が概略的に示されている。ここでは監視装置3は、範囲6において、織布の移送方向に見て広げローラ33(広げビーム)の後で、織布2に当接している。監視装置3にある軸7を形成する支持ピン13が明らかに認められる。織機1と結合されている軸8も見える。この軸8と織機1との結合部はここには示されていない。揺動腕9は大体において両側締付け取付け具から成っている。揺動腕9は棒から作られている。この棒は、縦スリット20によりそれぞれ直径を貫通される2つの支持穴19を持っている。締付けねじ21により、揺動腕9は、一方では織機1に対して調節可能な角度位置に拘束され、他方では監視装置3に対して調節可能な角度位置に拘束される。こうして監視装置3は織布2の方へ多く又は少なく揺動され、他方監視装置3は織布2に対し相対角で配置される。両方の運動方向は、織布2の最適な光学的走査のために極めて重要である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 本発明による取付け具により監視装置を取付けられている織機の部分斜視図を示す。
【図2】 別の配置の監視装置を持つ別の織機の斜視図を示す。
【図3】 織機にある監視装置の取付け具の別の構造例を示す。
【図4】 監視装置の好ましい取付け位置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0019】
1 織機
2 織布
3 光学的監視装置
5 取付け具
6 監視装置が設けられる範囲
7 監視装置3にある軸
8 織機1にある軸
9 揺動腕
10 ビーム又は巻付けローラ
11 半殻
12 スリーブ
13 監視装置にある支持ピン
14 揺動腕9にある支持ハウジング
15 拘束ピン
16 弧状長穴
17 角度調節のための締付け支持体
18 台座
19 支持穴
20 スリット
21 締付けねじ
30 引出しローラ
31 ブレストビーム
32 転向ローラ
33 広げローラ又は転向ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け具(5)を含む織機(1)において織布(2)を光学的に監視する装置(3)用の取付け具であって、監視装置(3)が織布の全幅にわたって延び、監視装置(3)が、引出しローラ(30)とビーム(10)又は巻付けローラへの織布(2)の巻付け部との間の範囲(6)にある織布(2)と接触して、ビーム又は巻付けローラに対して平行に、織機(1)に間接的に結合されて保持されているものにおいて、取付け具(5)が、監視装置(3)にある軸(7)と織機(1)にある軸(8)とを含み、両方の軸(7,8)が互いに平行に延び、揺動腕(9)を介して互いに結合されていることを特徴とする、取付け具。
【請求項2】
織機(1)と結合される軸(8)への取付け(5)が、2つの半殻から成るスリーブ(12)により行われ、1つの半殻(11)に揺動腕(9)が固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の取付け具。
【請求項3】
揺動腕(9)が両方の半殻(11)の1つと一体に結合されていることを特徴とする、請求項2に記載の取付け具。
【請求項4】
監視装置(3)の側方にそれぞれ1つの支持ピン(13)が設けられ、これらの支持ピンが直線上にあり、かつ監視装置(3)の軸(7)を形成していることを特徴とする、請求項2に記載の取付け具。
【請求項5】
揺動腕(9)に支持ハウジング(14)が一体に形成され、この支持ハウジング内に監視装置(3)の支持ピン(13)が回転可能に支持され、支持ピン(13)に対して平行に延びるピン(15)が、監視装置(3)の角度位置ぎめのための弧状長穴(16)内に拘束可能にかつ揺動可能に支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の取付け具。
【請求項6】
揺動腕(9)が棒として形成され、両端に締付け可能で角度調節可能な支持部(17)を持っていることを特徴とする、請求項1に記載の取付け具。
【請求項7】
取付け具が、監視装置(3)を織機(1)の広げローラ又は転向ローラ(33)の近くの範囲で、両方の軸(7,8)の周りに揺動可能に、織布(2)へ当接可能に保持していることを特徴とする、請求項1に記載の取付け具。
【請求項8】
取付け具が、監視装置(3)を、織布(2)の移送方向に関して広げローラ又は転向ローラ(33)のすぐ前の範囲で、両方の軸(7,8)の周りに揺動可能に、織布(2)へ当接可能に保持していることを特徴とする、請求項7に記載の取付け具。
【請求項9】
取付け具が、監視装置(3)を、織布(2)の移送方向に関して広げローラ又は転向ローラ(33)のすぐ後の範囲で、両方の軸(7,8)の周りに揺動可能に、織布(2)へ当接可能に保持していることを特徴とする、請求項7に記載の取付け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−511676(P2007−511676A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540125(P2006−540125)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000624
【国際公開番号】WO2005/038114
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(503169552)ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト (37)
【Fターム(参考)】