説明

置き敷き可能な長尺タイル

【課題】長尺タイルを粘着剤等を用いて固定することなく、長尺タイル群をそれぞれがはずれないように一体化することにより長尺タイルを実質的に床面に固定することができる新規な形状の置き敷き可能な長尺タイルの提供。
【解決手段】短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の一方に隣の長尺タイルと嵌合するための嵌合用凸部を設け、他方に嵌合用凹部を設けたことを特徴とする置き敷き可能な長尺タイルまたは短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の両方に他の連結部材と嵌合して連結するための嵌合部を設けた長尺タイルと、前記連結部材とからなることを特徴とする置き敷き可能な長尺タイルセットおよびそれらを用いた長尺タイル床。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置き敷き可能な長尺タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
二重床下地の床仕上げ材としては、カーペットタイルや置き敷きビニル床タイルが使用されるが、これらは通常は粘着剤により二重床下地へ固定されている。二重床下地内の配線換え等を行う際には、床仕上げ材を一旦はがすことになるが、この場合二重床下地地表面には粘着剤が塗布されているため、作業が行いにくく、また粘着剤により着衣等を汚す恐れもある。これに対して、図7に示す特許文献1のものは、粘着剤を使用しない床仕上げ材であって、ゴムタイルの四辺を凹凸状に加工し、それらをはめ込むことにより隣り合ったタイルの辺同士をつなぎ合わせていくタイプがあるが、すべての辺の凹凸をはめ込まねばならないために施工性が悪く、また配線換えの際には、それらをはずして、再度はめ込まねばならず、作業性が悪い。
【0003】
特許文献2には、図8に示すように、外周辺に凹凸片の隣接体を刻設したタイルブロックAと別に設けたタイルブロックAの外周辺の凹凸体の隣接体に嵌合する如くなる凹凸をなす継接体を内接片に設けたL型をなす隣接体B、C、D、Eを各々との各々組合せより成るゴムタイルブロックが提案されているが、A〜Eの5枚1組のセットであり、1セットとしては大きすぎ、適応性に欠ける面がある。
【0004】
しかし、これらの先行文献には、「置き敷き」という概念は全くない。
置き敷きという観点からは、大型(一辺が1m前後)で、ある程度の重量がある床仕上げ材であれば、粘着剤等を使用せずに施工しても目地ずれ等が生じにくく有効と考えられるが、配線換え作業は行いにくくなってしまう。このような考え方の延長線上の技術として特許文献3がある。この技術は、床材の厚さを3〜6mm、重さを5000〜12000g/mとし、自重または荷重により裏面が変形可能なタイル状プラスチック床材である。
【0005】
【特許文献1】実開昭48−12828号公報
【特許文献2】実開昭50−148841号公報
【特許文献3】実開昭63−59945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長尺タイルを粘着剤等を用いて固定することなく、長尺タイル群をそれぞれがはずれないように一体化することにより長尺タイルを実質的に床面に固定することができる新規な形状の置き敷き可能な長尺タイルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の一方に隣の長尺タイルと嵌合するための嵌合用凸部を設け、他方に嵌合用凹部を設けたことを特徴とする置き敷き可能な長尺タイルに関する。
本発明の第2は、短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の両方に他の連結部材と嵌合して連結するための嵌合部を設けた長尺タイルと、前記連結部材とからなることを特徴とする置き敷き可能な長尺タイルセットに関する。
本発明の第3は、請求項1または2記載の長尺タイルの1列目の嵌合部と2列目以降の嵌合部が横一線に並ばないよう配置されていることを特徴とする長尺タイル床に関する。
本発明の第4は、請求項1または2記載の長尺タイルの1列目の嵌合部と2列目以降の嵌合部が長尺タイルの長さ方向に対して45°の角度で配置されていることを特徴とする長尺タイル床に関する。
【0008】
本発明の長尺タイルや連結部材を構成する材料は、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など、通常床材に用いられている各種合成樹脂を挙げることができる。
【0009】
本発明における前記嵌合用凸部と嵌合用凹部は、嵌合部を引張っただけでは外れないように、たとえば嵌合用凸部は先端ほど幅広な構造とし、嵌合用凹部はこれに対応する形状とすることが好ましい。その1例を図1や図3に示す。
【0010】
本発明における前記連結部材の形状も、連結部材と長尺タイルが、引張っただけで外れてしまうことがないように、連結部材の構造を先端ほど幅広な形状とし、これに対応して用いる長尺タイルの短辺部分は前記連結部材と嵌合する形状とする。たとえば連結部材の1例としては、図6の(A)及び(B)に示す構造を挙げることができ、(A)の連結部材を用いて長尺部材の短辺部分と連結した状態を図2及び図4に例示することができる。
さらに、タイルの裏面に滑り止め加工を施すと一層安定性が向上する。滑り止め性を付与するには、塩化ビニル系樹脂組成物の発砲体が、耐水性、耐アルカリ性が良く、しかも、生産性、生産設備面でのメリットも大きいので好ましい。
実用的には塩化ビニル系樹脂ペーストをメカニカル発泡した後、固化させた発泡体の形で用いることが好ましく、上記の要件を満足し、かつ、生産面やモルタルなどの下地に対する性能を満足させるためには発泡倍率を1.5〜3.5とするのが好ましい。
【0011】
図5は、図1に示す本発明の長尺タイルの短辺部分の拡大図である。この場合深さは15mm〜50mm、幅は7.5mm〜50mm、αは30°〜75°である。
図6の(A)は、図2に示す本発明の長尺タイルの短辺部分の拡大図である。この場合深さは15mm〜50mm、幅は7.5mm〜50mm、βは30°〜75°である。そして図6の(B)はその別態様であり、深さは15mm〜50mm、幅は7.5mm〜50mm、厚みは7.5mm〜25mm、凹み(イ)は7.5mm〜15mm、凹み(ロ)は7.5mm〜25mmである。
【発明の効果】
【0012】
(1)接着剤を使用しなくてもよい、かりに使用するとしても、その使用量を大幅に少なくすることができる。
(2)施行時には、短辺部分のみの嵌合でよいため、4辺を嵌合する場合に較べて作業時間を大幅に短縮できる。
(3)タイルの梱包作業が4辺すべてに嵌合部を設けた場合に較べて非常に簡単、容易である。
【実施例】
【0013】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0014】
実施例1
下記配合の塩化ビニル樹脂(PVC)組成物をカレンダーにて圧延し、厚さ1.5mmの裏打ち層用シートを作成した。この裏打ち層用シートに木目模様を印刷した厚さ0.5mm軟質塩ビフィルムをラミネートしたのち、長辺部分90cm、短辺部分15cmの長尺タイルとした。このタイルの短辺の一方に嵌合用凸部を、他方にこの凸部に対応した形状の嵌合用凹部を形成した。なお、図5に示すように、凸部の深さは20mm、幅は40mm、角度αは60°であった。このタイルを図1に示すようにモルタル下地上に置き敷きにて施工した。複数のタイルが長手方向に連結されているので移動しにくく、横方向に連結部をずらして施工してあるので横方向にもずれにくく置き敷きタイルとして適していた。
<配合組成>
PVC 100重量部
可塑剤(DOP) 50重量部
充填剤 200重量部
安定剤 3重量部
【0015】
実施例2
実施例1とすべて同じ組成の材料を用い、図2に示す様式の置き敷きタイル方式の施工を行った。
なお、長尺タイルの長辺部分は90cm、短辺部分は15cmのものであり、連結部材は、図6の(A)に対応する幅が40mm、深さが20mm、角度βが60°のものである。
その結果、複数のタイルが長手方向に連結されているので移動しにくく、横方向に連結部をずらして施工してあるので横方向にもずれにくく置き敷きタイルとして適していた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の長尺タイルの1例を示す上面部およびその嵌合状態を示す上面部である。
【図2】本発明の長尺タイルの他の1例を示す上面図およびその嵌合状態を示す上面図である。
【図3】本発明の図1に示す長尺タイルを部屋のコーナー部を作業開始点として施工している状態を示す。
【図4】本発明の図2に示す長尺タイルを部屋のコーナー部を作業開始点として施工している状態を示す。
【図5】図1に示す長尺タイルの短辺部分の拡大図である。
【図6】(A)及び(B)は本発明の連結部材の1例を示す上面図である。
【図7】特許文献1のタイルの平面図である。
【図8】特許文献2のタイルの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の一方に隣の長尺タイルと嵌合するための嵌合用凸部を設け、他方に嵌合用凹部を設けたことを特徴とする置き敷き可能な長尺タイル。
【請求項2】
短辺部分が10〜35cm、長辺部分が90〜150cmの長尺タイルであって、前記短辺部分の両方に他の連結部材と嵌合して連結するための嵌合部を設けた長尺タイルと、前記連結部材とからなることを特徴とする置き敷き可能な長尺タイルセット。
【請求項3】
請求項1または2記載の長尺タイルの1列目の嵌合部と2列目以降の嵌合部が横一線に並ばないよう配置されていることを特徴とする長尺タイル床。
【請求項4】
請求項1または2記載の長尺タイルの1列目の嵌合部と2列目以降の嵌合部が長尺タイルの長さ方向に対して45°の角度で配置されていることを特徴とする長尺タイル床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−95857(P2010−95857A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265267(P2008−265267)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000133076)株式会社タジマ (34)
【Fターム(参考)】