説明

美容装置

【課題】肌の通電する必要のある部分を選択して重点的に通電することが可能な美容装置を提供する。
【解決手段】肌に接触させた電極部から人体組織に通電する美容装置において、電極部は、肌状態を検知する検知部12を備え、検知部12において検知された肌状態が良好でない場合には、肌状態が良好である場合に比べて高出力で通電が行われることを特徴とする美容装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肌に接触させた電極部から人体組織に通電することのできる美容装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような美容装置では、電流によって人体組織を温めることによって、その人体組織の活性化を促して当該組織に蓄積された疲労を回復させる疲労回復効果や、脂肪を燃焼させて容姿をスリムに見せる痩身効果等の美容効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−523513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の美容装置では、電極が肌に接触したら通電を開始してしまうため、本来通電する必要のない部分、例えば、肌の老化していない部分にも通電する可能性がある。この肌の老化していない部分に通電することは、人体組織に悪影響を及ぼすものではないが、省エネルギーの観点からすると改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、肌の通電する必要のある部分を選択して重点的に通電することが可能な美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、肌に接触させた電極部から人体組織に通電する美容装置において、前記電極部は、肌状態を検知する検知部を備え、前記検知部において検知された肌状態が良好でない場合には、肌状態が良好である場合に比べて高出力で前記通電が行われることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の美容装置において、前記検知部は、前記肌状態として肌の弾力性を検知することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の美容装置において、前記検知部は、前記肌状態として肌表面のしわを検知することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、肌の通電する必要のある部分を選択して重点的に通電することが可能な美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の美容装置を示す斜視図。
【図2】同実施形態のA−A線に沿った断面図。
【図3】同実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態の美容装置を示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態の美容装置を示す断面図。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、美容装置1は、プラスチックにより円筒状に形成されたハウジング11と、該ハウジング11の底部に固定された円筒状の検知部12と、該検知部12の底部に固定された円筒状の施術部13とを備えている。これらハウジング11、検知部12及び施術部13は、同軸上に配置されている。なお、ハウジング11、施術部13、検知部12の順番でその外径が小さくなっている。また、ハウジング11、検知部12及び施術部13は電極部を構成する。
【0011】
図2に示すように、美容装置1は、ハウジング11内に収容固定された電源回路21と、該電源回路21に電気的に接続された制御部22とを備えている。また、美容装置1はハウジング11の外筒部に沿って固定された略変形円盤状の電極23を備えている。この電極23は、制御部22と電気的に接続されている。
【0012】
図2に拡大して示すように、検知部12は、ゴムからなる円筒25と、同円筒25内の同軸上に収容されるとともに同円筒25の両底部に固定されたコイルばね26とを備えている。さらに拡大して示すように、検知部12は、コイルばね26の巻き線部分に固着された4枚のフィルム状の歪みゲージ29を備えている。具体的には、コイルばね26(正確には、これを構成する線材)の表面に2枚の歪みゲージ29が隣接するように配置して、これに該当する裏面にも同様に2枚の歪みゲージ29を配置する。これら歪みゲージ29は、コイルばね26が変形するのに伴い変形し(歪む)、歪むことによりその電気抵抗が変化するものである。そして、コイルばね26の表面側の2つの歪みゲージ29の直列回路と裏面側の2つの歪みゲージ29の直列回路とが並列に接続されることにより、ブリッジ回路(ホイートストンブリッジ)(図示略)が構成される。なお、ブリッジ回路に電圧を印加するために、当該ブリッジ回路(正確には、2つの直列回路の2つの接続点)は、制御部22と電気的に接続されている。
【0013】
また、検知部12は、ブリッジ回路の両直列回路の中点間に生じる電圧の変化をコイルばね26の変形量として検出する変位計27を備えている。なお、各歪みゲージ29の形状、すなわちブリッジ回路の形状が変化しない限りブリッジ回路の中点間の電圧が0(零)となるように、各歪みゲージ29の抵抗値をあらかじめ調整してある。また、コイルばね26の変形量を示す情報を送信するために、この変位計27は制御部22と電気的に接続されている。
【0014】
施術部13は、円筒25の底部に固定された円筒部30と、該円筒部30の円筒25と反対側の端部に固定された略円盤状の電極31とを備えている。円筒部30及び電極31は、ハウジング11と同軸上に設けられている。電極31は、制御部22と電気的に接続されている。
【0015】
美容装置1の使用者は、ハウジング11に設けられる図示しない電源スイッチを操作した上で、ハウジング11の電極23が設けられた部分を把持して電極31を肌に押し当てる。これにより、人体が電気的な抵抗となって、両電極31,23を含む電力供給経路(回路)が閉じる。このため、電極31及び電極23を通じて人体組織に高周波電力が供給される。このとき、検知部12により使用者の肌の弾力性が計測されて、肌の老化している部分、すなわち肌の弾力性が失われて硬くなっている箇所にのみ高周波電力が供給される。
【0016】
具体的には、電極31が肌に押し当てられると、検知部12、すなわち円筒25が圧縮されて径方向に膨らみながら軸方向に弾性変形するのに伴い、該円筒25内に固定されたコイルばね26も圧縮されて弾性的にその軸方向に変形する。従って、コイルばね26に固着された各歪みゲージ29も変形して、各歪みゲージ29の電気抵抗値が変化する。これにより、ブリッジ回路の中点間には、歪みゲージ29の電気抵抗値の変化に応じた電圧が発生する。変位計27は、この電圧に基づきコイルばね26の変形量を検出する。そして、変位計27によって検出されたコイルばね26の変形量の情報は、制御部22へ送信される。
【0017】
制御部22は、変位計27の情報から、コイルばね26の変形速度Rを算出する。制御部22は、変形速度Rの算出後に、該変形速度Rとあらかじめ記憶領域に記憶している第1及び第2基準変形速度R1,R2との比較を通じて肌の弾力性、ひいては老化度を判断する。この第1及び第2基準変形速度R1,R2は、肌に弾力性があるとした場合に肌を吸引したときのコイルばね26の変形量に基づき決定される。そして、制御部22は、肌の老化度によって、電極23,31から人体組織に通電する電力量や通電時間を変化させる。
【0018】
以下、美容装置1の動作を図3のフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、制御部22に格納された制御プログラムに従い実行される。
図示しない電源スイッチが操作されて、電源回路21から制御部22へ電力が供給されるのに伴いこの制御がスタートすると、検知部12によって使用者の肌の弾力性の計測が行われる(ステップS1)。
【0019】
次に、変形速度Rが第1基準変形速度R1以下であるかどうかが判断される(ステップS2)。このとき、肌の弾力性が富んでいる状態、すなわち老化度の小さい場合には、肌の変形量が大きいため、施術部13(電極31)と肌とが接触した場合には、肌が検知部12(コイルばね26)よりも大きく変形する。従って、変形速度Rは第1基準変形速度R1以下の値となる。逆に、肌の弾力性が富んでいない状態、すなわち老化度の大きい場合には、肌の変形量が小さいため、施術部13(電極31)と肌とが接触した場合には、検知部12(コイルばね26)は肌よりも大きく変形する。従って、変形速度Rは第1基準変形速度R1よりも大きい値となる。
【0020】
変形速度Rが第1基準変形速度R1よりも大きい場合(ステップS2でNO)には、肌が一定の老化を示していると判断してステップS3に処理を移行する。そして、肌の老化度を計測するために変形速度Rが第1基準変形速度R1よりも大きい値に設定された第2基準変形速度R2(R2>R1)以下であるかどうかが判断される(ステップS3)。この変形速度Rと第2基準変形速度R2との比較を通じて、肌の弾力性、ひいては老化度を大小2段階に判別可能となる。
【0021】
変形速度Rが第2基準変形速度R2以下(ステップS3でYES)である、すなわち老化度が小さいと判断された場合には、制御部22内に内蔵されているタイマーを起動させる(ステップS4)。そして、出力Aの高周波電流(RF)を電極23,31へ印加して、人体組織に高周波電力を供給する(ステップS5)。この出力Aは、老化度が小さい肌(人体組織)の活性化に十分な程度に設定されている。
【0022】
次に、制御部22は、人体組織に高周波電力を供給した供給時間Tが第1所定時間T1以上であるかどうかを判断する(ステップS6)。供給時間Tが第1所定時間T1未満である場合には、供給時間Tが第1所定時間T1以上になるまでこの判断を繰り返し行う。
【0023】
ステップS6において、供給時間Tが第1所定時間T1に達している場合には、電極23,31への高周波電流の印加を停止して人体組織への高周波電力の供給を停止する(ステップS7)。そして、再度ステップS1に移行する。
【0024】
また、ステップS3において、変形速度Rが第2基準変形速度R2よりも大きい、すなわち老化度が大きいと判断された場合(ステップS3でNO)には、制御部22内に内蔵されているタイマーを起動させる(ステップS8)。そして、出力Aよりも大きく設定された出力B(B>A)の高周波電流を電極23,31へ印加して、人体組織に高周波電力を供給する(ステップS9)。この出力Bは、老化度が大きい肌(人体組織)の活性化に十分な程度に設定されている。
【0025】
次に、制御部22は、供給時間Tが第1所定時間T1よりも大きく設定された第2所定時間T2(T2>T1)以上であるかどうかを判断する(ステップS10)。供給時間Tが第2所定時間T2未満である場合には、供給時間Tが第2所定時間T2以上になるまでこの判断を繰り返し行う。
【0026】
ステップS10において、供給時間Tが第2所定時間T2に達している場合には、電極23,31への高周波電流の印加を停止して人体組織への高周波電力の供給を停止する(ステップS7)。そして、再度ステップS1に移行する。
【0027】
なお、ステップS2において、変形速度Rが第1基準変形速度R1以下である場合には、肌が老化していない、すなわち高周波電力の供給が必要ないと判断して、この制御を終了する。
【0028】
なお、この一連の制御は、電源スイッチが再び操作されるまで、すなわち電源回路21から制御部22へ電気が供給されている間、繰り返し実行される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0029】
(1)肌の老化している部分に、当該肌の老化度に応じて電極23,31から高周波電力を供給することにより美容効果を得ることができる。つまり、美容効果を必要としない部分に高周波電力を供給しないので、その分の消費電力を少なくするといった省エネルギー効果を得ることができる。
【0030】
(2)また、肌の老化している部分の検知を検知部12による肌の弾力性の検知によって行っている。つまり、コイルばね26、変位計27及び歪みゲージ29といった簡易な構成で、肌の老化を検知することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、検知部及び施術部の構成である。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、美容装置41は、ハウジング11の底部に施術部42が固定されてなる。施術部42は、ハウジング11と同軸上に設けられた円筒43と、該円筒43の先端面の縁部に固定された一対の電極44とを備えている。この両電極44は、その外面である施術面45が円筒43の先端面と高さが等しくなるように設けられている。両電極44は、円筒43の先端面において、該円筒43の軸心を挟んで互いに反対側に固定されている。なお、ハウジング11と円筒43の外径は略同等である。
【0033】
また、ハウジング11の内部には、ポンプ47が設けられている。このポンプ47には、吸気管46が接続されている。吸気管46のポンプ47と反対側の端部は、ハウジング11の底壁及び円筒43の底壁を貫通している。そして、同端部は、円筒43の先端面、すなわち施術面45と同一平面上に位置している。また、ポンプ47は、制御部22と電気的に接続されている。
【0034】
さらに、図4に拡大して示すように、円筒43の内部において、吸気管46の周りには、該吸気管46を挟んで対向するように発光素子48及び受光素子49が固定されている。これら発光素子48及び受光素子49は、上記制御部22と電気的に接続されている。
【0035】
また、円筒43の内部において、発光素子48と吸気管46、並びに受光素子49と吸気管46との間には、それぞれ光通路50が設けられている。これら光通路50は、透明の合成樹脂材料により形成されている。また、これら光通路50は、吸気管46の管壁を貫通して設けられるとともに、その先端面は吸気管46の内周面と同一面をなす。これにより、発光素子48が発光した光は、光通路50を通って受光素子49で受光される。
【0036】
なお、吸気管46、ポンプ47、発光素子48、受光素子49及び光通路50によって検知部51が構成されている。
本実施形態の美容装置41では、その使用に際して、施術面45と接触している肌の弾力性が検知部51により検知される。具体的には、図示しない電源スイッチが操作されて、電源回路21から制御部22へ電力が供給されるのに伴い、ポンプ47が作動する。この状態で施術面45が肌に押し当てられると、吸気管46内は低圧(負圧)になる。従って、吸気管46に接している肌が吸気管46内に吸い込まれる。このとき、発光素子48から発光される光は、光通路50を通って受光素子49で受光される。しかしその一部は、吸気管46に吸い込まれる肌によって遮られることとなる。
【0037】
これより、受光素子49に到達する光量が少なければ、肌により遮られる光量が多い、すなわち肌が吸気管46内に多く吸い込まれているということである。つまり、肌は柔らかい状態、すなわち弾力性に富んだ状態ということになるので、制御部22は、電極44へ高周波電流を印加しない、すなわち人体組織に高周波電力を供給しない。
【0038】
逆に、受光素子49に到達する光量が多ければ、肌が遮る光量が少ない、すなわち肌が
吸気管46内にあまり吸い込まれていないということである。つまり、肌は硬い状態、すなわち弾力性が乏しい状態ということになるので、制御部22は、電極44へ高周波電流を印加する、すなわち人体組織に高周波電力を供給して、同人体組織に美容効果を与える。
【0039】
以下、美容装置41の動作を説明する。なお、本実施形態の美容装置41では、弾力性の検知方法のみが第1の実施形態と異なる。また、美容装置での制御の処理手順は基本的には図3に示すフローチャートと同一である。従って、処理の異なるステップS1〜S3をステップS21〜23として図3のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
図示しない電源スイッチが操作されて、この制御がスタートすると、肌の弾力性の計測が行われる(ステップS21)。すなわち、ポンプ47が作動して吸気管46内を低圧にする。これにより、肌が吸気管46内に吸い込まれる。そして、制御部22は、発光素子48を発光させて、受光素子49に到達した光量Cを測定する。
【0041】
次に、ステップS22において、光量Cが第1基準光量C1以下であるかどうかが判断される。光量Cが第1基準光量C1よりも多い場合には(ステップS22でNO)、肌が一定の老化を示していると判断してステップS23に処理を移行する。そして、肌の老化度を計測するために光量Cが第1基準光量C1よりも大きい値に設定された第2基準光量C2(C2>C1)以下であるかどうかが判断される(ステップS23)。
【0042】
そして、光量Cが第2基準光量C2以下である場合には老化度が小さいとしてステップS4へ、光量Cが第2基準光量C2よりも大きい場合には老化度が大きいとしてステップS8へそれぞれ処理を移行する。
【0043】
なお、ステップS22において、光量Cが第1基準光量C1以下である場合には、肌が老化していない、すなわち高周波電力の供給が必要ないと判断して、この制御を終了する。ちなみに、第1及び第2基準光量C1,C2は、制御部22の記憶領域に格納されている。また、第1及び第2基準光量C1,C2は、肌に弾力性があるとした場合に肌を吸引したときの受光量に基づき決定される。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)肌の老化している部分の検知を検知部51による肌の弾力性の検知によって行っている。つまり、吸気管46、ポンプ47、発光素子48、受光素子49及び光通路50といった簡易な構成で、肌の老化を検知することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、検知部及び施術部の構成である。このため、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、美容装置61は、ハウジング11の底部に施術部62が固定されてなる。施術部62は、ハウジング11と同軸上に設けられた円筒63と、該円筒63の先端面の縁部に固定された一対の電極64とを備えている。この両電極64は、その外面である施術面65が円筒63の先端面と高さが等しくなるように設けられている。両電極64は、円筒63の先端面において、該円筒63の軸心を挟んで互いに反対側に固定されている。なお、ハウジング11と円筒63の外径は略同等である。
【0047】
また、円筒63の中心には、撮影路66が貫通して設けられている。同撮影路66の一端は、ハウジング11の底壁を貫通して該ハウジング11の内部に設けられているとともに、他端は、円筒63の先端面、すなわち施術面65と同一平面上に位置している。
【0048】
撮影路66内の上部には、CCDカメラ67が収容されている。このCCDカメラ67は、制御部22と電気的に接続されている。
さらに、円筒63の内部には、撮影路66を囲むように略環状の光源68が設けられている。この光源68は、制御部22と電気的に接続されている。また、円筒63の光源68と撮影路66との間には、環状の光通路69が設けられている。この光通路69の先端縁は、撮影路66の壁部を貫通して、該撮影路66の内部に位置する。また光通路69の先端縁(内端縁)は、撮影路66の下部中央(図5中下方)に向かって傾斜する斜面が形成されている。これにより、光源68が発光した光は、光通路69を通って撮影路66の下部中央に放出される。
【0049】
なお、撮影路66、CCDカメラ67、光源68及び光通路69によって検知部70が構成されている。
本実施形態の美容装置61では、その使用に際して、使用者の肌のしわの本数を計測して、肌の老化している部分、すなわち、しわの本数が多くなっている箇所にのみ高周波電力を供給する。
【0050】
しわの計測は、検知部70において、施術面65と接触している肌をCCDカメラ67で撮影することにより計測される。
具体的には、施術面65が肌に押し当てられると、当該肌によって撮影路66が塞がれる。このとき、光源68からの光が光通路69を通過して撮影路66内に照射される。このため、CCDカメラ67による肌の撮影が可能となる。
【0051】
CCDカメラ67は、撮影した画像情報を制御部22に送信する。そして、制御部22は、撮影された画像を解析処理して、しわの本数を計測する。制御部22において解析処理した結果により、しわの本数が少なければ、肌は健康な状態と判断されて、制御部22は、電極64へ高周波電流を印加しない、すなわち人体組織に高周波電力を供給しない。逆に、しわの本数が多ければ、肌は老化している状態と判断されて、制御部22は、電極64へ高周波電流を印加する、すなわち人体組織に高周波電力を供給して、同人体組織に美容効果を与える。
【0052】
以下、美容装置61の動作を説明する。なお、本実施形態の美容装置61では、肌状態の検知方法のみが第1の実施形態と異なる。また、美容装置での制御の処理手順は基本的には図3に示すフローチャートと同一である。従って、処理の異なるステップS1〜S3をステップS31〜33として図3のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
図示しない電源スイッチが操作されて、この制御がスタートすると、肌表面のしわの本数Hの計測が行われる(ステップS31)。すなわち、光源68が発光して、この光が撮影路66内に照射される。この状態で、CCDカメラ67は、肌表面の撮影を行う。そして、撮影した画像情報を制御部22へ送信する。制御部22は、受信した画像情報の解析処理を行って肌表面のしわの本数Hを計測する。
【0054】
次に、ステップS32において、本数Hが第1基準本数H1以下であるかどうかが判断される。本数Hが第1基準本数H1よりも多い場合には(ステップS32でNO)、肌が一定の老化を示していると判断してステップS33に処理を移行する。このステップS33では、肌の老化度を計測するために、本数Hが第1基準本数H1よりも大きい値に設定された第2基準本数H2(H2>H1)以下であるかどうかが判断される。
【0055】
そして、本数Hが第2基準本数H2以下である場合には老化度が小さいとしてステップS4へ、本数Hが第2基準本数H2よりも大きい場合には老化度が大きいとしてステップS8へそれぞれ処理を移行する。
【0056】
なお、ステップS32において、本数Hが第1基準本数H1以下である場合には、肌が老化していない、すなわち高周波電力の供給が必要ないと判断して、この制御を終了する。ちなみに、第1及び第2基準本数H1,H2は、制御部22の記憶領域に格納されている。
【0057】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)CCDカメラ67による撮影した画像を解析処理してしわの本数Hを実際に計測することにより肌状態を検知するため、より正確に肌状態を検知することができる。
【0058】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、図6に示すように、略円筒状の施術部81の筒部内に検知部82を設けてもよい。このように構成しても、検知部82は、少なくとも肌の凸状部分の弾性力の検知を行うことができる。この場合、使用者の押し当て方によらず検知部82の変形量のみ、すなわち変形速度を求めたりする必要がなくなるので、制御部22における処理速度を増加させることができる。
【0059】
・前記第3の実施形態において、制御部22はCCDカメラ67の撮影した画像を解析処理してしわの本数Hの計測を行って肌状態を検知したが、例えばしわの深さ、肌の色等から判断してもよいし、これらを組み合わせて判断してもよい。
【0060】
・前記第2及び第3の実施形態において、電極44(64)の一方をハウジング11(使用者が把持する部分)に設けてもよい。また、このとき、施術部42(62)に固定される電極44(64)を略環状に形成してもよい。この場合、電極44は吸気管46(撮影路66)を閉塞しないように配置することが可能になるので大型化が図られる。
【0061】
・前記各実施形態では、第1所定時間T1<第2所定時間T2、出力A<出力Bと設定したがこれに限るものではない。例えば、第1所定時間T1<第2所定時間T2、出力A=出力Bと設定してもよいし、第1所定時間T1=第2所定時間T2、出力A<出力Bと設定してもよい。すなわち、美容装置1(41,61)の肌に供給する高周波電力の電力量は、肌の老化度の大きい場合に多くなるように設定しさえすればよい。
【0062】
・前記各実施形態において、図3のステップS2(S22,S32)の処理を省略してもよい。すなわち、ステップS1(S21,31)の処理の後にステップS3(S23,33)へ処理を移行するようにしてもよい。
【0063】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項1又は2に記載の美容装置において、前記検知部は、電極部が肌に押し当てられるのに伴い圧縮変形されるコイルばねと、前記コイルばねに取着されるとともに、該コイルばねの変形に伴って変形してその電気抵抗値が変化する歪みゲージ29と、前記歪みゲージ29の電気抵抗値の変化に基づき前記コイルばねの変化量を計測する変位計とを備え、この変位計の計測結果がしいき値以下である場合に肌の弾力性が良好でない旨判断されることを特徴とする美容装置。
【0064】
同構成によれば、コイルばね、歪みゲージ29及び変位計といった簡易な構成で前記肌の弾力性を検知することができる。
(ロ)請求項1又は2に記載の美容装置において、前記検知部は、ポンプと、前記ポンプに接続されるとともに、同ポンプと反対側の端部が前記電極部と一緒に押し当てられる吸気管と、前記吸気管を貫通して光を照射可能とされた発光素子と、前記吸気管を挟んで前記発光素子と対向して設けられるとともに前記吸気管を貫通した光を受光する受光素子とを備え、この受光素子の受光量がしいき値以下である場合に肌の弾力性が良好でない旨判断されることを特徴とする美容装置。
【0065】
同構成によれば、ポンプ、吸気管、発光素子及び受光素子といった簡易な構成で前記肌の弾力性を検知することができる。
(ハ)請求項1又は3に記載の美容装置において、前記検知部は、電極部が押し当てられる肌を撮影するカメラを備え、前記カメラで撮影された画像情報を解析処理することによって肌表面のしわの発生の程度を計測し、このしわの発生の程度がしいき値以下である場合に肌の弾力性が良好でない旨判断されることを特徴とする美容装置。
【0066】
同構成によれば、カメラによって撮影された画像を解析処理してしわの本数を実際に計測することにより肌状態を検知するため、より正確に肌状態を検知することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,41,61…美容装置、11…ハウジング(電極部)12,51,70,82…検知部(電極部)、13,42,62…施術部(電極部)、23,31,44,64…電極、26…コイルばね、27…変位計、46…吸気管、47…ポンプ、48…発光素子、49…受光素子、66…撮影路、67…CCDカメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に接触させた電極部から人体組織に通電する美容装置において、
前記電極部は、肌状態を検知する検知部を備え、
前記検知部において検知された肌状態が良好でない場合には、肌状態が良好である場合に比べて高出力で前記通電が行われることを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記検知部は、前記肌状態として肌の弾力性を検知することを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項1に記載の美容装置において、
前記検知部は、前記肌状態として肌表面のしわを検知することを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−200308(P2011−200308A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68378(P2010−68378)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】