説明

美顔器及び美容方法

【課題】真珠成分を効率的に顔の皮膚表面に接触することができると共に、製造コストを低減することができる美顔器及び美容方法を提供する。
【解決手段】押当面13上に真珠の球面の一部を露出した状態で当該真珠を回転可能に保持する真珠保持部10aと、真珠保持部10aに連接する把持部20とを有する美顔器100である。また、顔の皮膚表面上において複数の真珠を転がして当該真珠の成分を顔の皮膚表面に付着させる顔の美容方法である。なお、押当面13は略円形状であり、真珠保持部10aは押当面13上に真珠を環状に配置する。また、真珠保持部10aは、略円柱形状の頭頂部10の一の端面に取り付けられ、把持部20は、頭頂部10の側面に設けられている。さらに、真珠保持部10aは頭頂部10からの取り外しが可能である。なお、真珠には、アコヤ本真珠を使用することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠を利用した美顔器及び美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真珠の粉末は、古くから漢方として服用されていた。また、化粧用材料としても真珠の粉末が使用され、中国においては皮膚への塗布も行われていた。これは、真珠のもつ成分が美肌効果をもたらすと考えられているからである。具体的には、真珠は、炭酸カルシウムを主成分とし、他にマグネシウム、亜鉛、銅、硫酸カルシウム、コンキリオンアミノ酸、燐酸カルシウム、ゲルマニウム等を含有する。特に化粧用としては、カルシウム成分、及びコンキリオンアミノ酸が美肌効果を発揮すると考えられている。
【0003】
そこで、従来は、真珠粉末を化粧用として化粧製品に混ぜて使用されることが多かった。例えば、真珠粉末を液体に混ぜて乳液状にした化粧製品を使用する場合、この化粧製品を皮膚に塗布し、その後に余剰粉末を洗い流すのが一般的である。この場合、塗布した真珠粉末のほとんどが皮膚に残らない余剰粉末として洗い流されてしまい、真珠粉末を効率的に使用することができないという問題があった。さらに、真珠粉末は、非常に高価なものが多いので、効率的に使用することが重要であった。
【0004】
この問題を解決するための技術として特許文献1には、少なくとも真珠粉末を含有させた層を、円筒状基体の上に形成させたローラー部材と、該ローラー部材を回転自在に軸着させるとともに把持部を有するローラー保持部材とからなる皮膚接触用ローラーが開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の皮膚接触用ローラーは、真珠の粉末を使用して、真珠粉末含有層を形成する必要があるので、この真珠粉末含有層の形成に係る製造コストが高いという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の皮膚接触用ローラーは、顔の皮膚表面に真珠粉末含有層を接触させながら使用するものであるので、顔の皮膚表面からの美肌効果を期待することができる。しかし、さらに美肌効果を高めるためには、顔の皮膚の内面と外面からケアすることにより相乗効果をもたらすと考えられる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−245945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記で示した点を鑑みてなされたものであり、真珠成分を効率的に顔の皮膚表面に接触することができると共に、製造コストを低減することができる美顔器及び美容方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、顔の皮膚表面の外側から真珠の美肌効果を利用すると共に、内側から効果的に美肌効果を高めることができる美顔器及び美容方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、図1、2に示すように、押当面13上に真珠の球面の一部を露出した状態で当該真珠を回転可能に保持する真珠保持部10aと、真珠保持部10aに連接する把持部20とを有することを特徴とする美顔器である。
また、本発明は、顔の皮膚表面上において複数の真珠を転がして当該真珠の成分を顔の皮膚表面に付着させることを特徴とする顔の美容方法である。
【0011】
なお、押当面13は略円形状であり、真珠保持部10aは押当面13上に真珠を環状に配置することを特徴とする。また、真珠保持部10aは、略円柱形状の頭頂部10の一の端面に取り付けられ、把持部20は、頭頂部10の側面に設けられていることを特徴とする。さらに、真珠保持部10aは頭頂部10からの取り外しが可能であることを特徴とする。また、頭頂部10の他の端面には半球形状の押当面15が設けられていることを特徴とする。さらに、把持部20における真珠保持部10a側の端部とは反対側の端部には、スプーンの掬い部の形状をしたスプーン部30が設けられていることを特徴とする。なお、真珠には、アコヤ本真珠を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、真珠成分を効率的に顔の皮膚表面に接触することができると共に、製造コストを低減することができるという効果を奏する。また、顔の皮膚表面の外側から真珠の美肌効果を利用すると共に、内側から効果的に美肌効果を高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態である美顔器について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1、2は、本発明の一実施の形態である美顔器100を示す図である。図1(1)は美顔器100を示す上面図であり、図1(2)は美顔器100を示す側面図であり、図2(1)は美顔器100を示す斜視図であり、図2(2)は図1(1)に示す美顔器100のA−A断面を示す断面図である。
【0015】
美顔器100は、頭頂部10と、把持部20と、スプーン部30と、カバー40とを有する。
【0016】
頭頂部10は、真珠保持ホルダー10aと、第一押当面13と、側面14と、第二押当面15とを具備する。
【0017】
真珠保持ホルダー10aは、アコヤ本真珠11a〜11cを回転可能に保持する真珠保持部であり、円形の孔を3つ具備する。なお、美顔器100には、真珠保持ホルダー10aの孔の直径よりも、最大直径が小さいアコヤ本真珠を使用するので、図2(2)に示すように、この孔から第一押当面13側にアコヤ本真珠11a〜11cが出ない構造になっている。
【0018】
また、図2(2)に示すように、真珠保持ホルダー10aの裏面に設けられたツメ10bと頭頂部10本体側に設けられた取付部17とによって、真珠保持ホルダー10aと頭頂部10本体とは取り外し可能となっている。これによって、アコヤ本真珠11a〜11cの交換が容易である。なお、ツメ10bと取付部17とは、切欠部12a〜12cに対応する位置に設けられている。
【0019】
さらに、例えば、図2(2)に示すように、孔13bにアコヤ本真珠11bが保持されている場合には、アコヤ本真珠11bの最下部が頭頂部10本体の凸部16に接し、アコヤ本真珠11bの半球面の表面の一部が第一押当面13よりも突出する構造となっている。
【0020】
第一押当面13には、アコヤ本真珠11a〜11cを保持するための3つの孔と、切欠部12a〜12cとが設けられている。また、第二押当面15は半球面であり、切欠部12a〜12cに対応する位置に切欠部が設けられている。
【0021】
第二押当面15は、顔筋美顔器であり、頬骨の脇を軽く押していく場合に使用する部分である。
【0022】
把持部20は、美顔器100を使用する場合に手で握る部分である。
スプーン部30は、ティースプーンの掬い部の形状を具備する部分であり、頭頂部10とは反対側の端部に設けられたものである。
【0023】
カバー40は、美顔器100を使用しない場合に、アコヤ本真珠11a〜11cを保護するために、第一押当面13に取り付けるカバーである。
【0024】
次に、美顔器100の使用方法について説明する。
使用者は、カバー40を取り外し、美顔器100の把持部20を手で持ち、第一押当面13(アコヤ本真珠11a〜11c)を使用者の顔の表面に軽く押し当る。続いて、第一押当面13を顔の表面に押し当てた状態で、顔の表面上において美顔器100を移動させる。このように、顔の表面上において美顔器100を移動させることによって、アコヤ本真珠11a〜11cの表面が回転しながら顔の皮膚表面に接触する。このようにすることによって、真珠の成分を顔の皮膚から直接吸収させ、真珠の成分によって美顔の効果を発揮する。また、長期間、直接皮膚に接触させることによって、真珠の表層(真珠層)が少しずつ剥離し、真珠の成分が肌に吸収されやすくなる。
【0025】
第一押当面13側で美顔器100を使用した後、または、第一押当面13側の使用と共に第二押当面15を使用する場合等について説明する。
【0026】
使用者は、美顔器100の把持部20を手で持ち、第二押当面15を使用者の顔の頬骨の脇を軽く押し当る。続いて、第二押当面15を顔の表面に押し当てた状態で、顔の表面上において美顔器100を移動させる。このように、美顔器100の使用による顔筋マッサージにより、しわ、たるみ改善に効果があると共に、皮膚表面と皮膚内面の両方から、しわ、たるみ、しみ等を防止することができる。また、従来のように、頬骨の脇を指で押した場合には、力が一点に集中しやすくなってしまうが、美顔器100を使用すれば、第二押当面15が半球面であるので、力が一点に集中することはなく、効果的にマッサージ効果を得ることができる。
【0027】
また、頭頂部10の両端部には第一押当面13と第二押当面15とが設けられているので、いずれかの面を使用中であっても、美顔器100の把持部20を手で持った状態で、他の面の使用に切り換えることが容易である。
【0028】
次に、美顔器100の端部に設けられたスプーン部30を使用する場合について説明する。
【0029】
使用者は、美顔器100の把持部20を手で持ち、へスプーン部30の凸部の表面を使用して、顔のあごの中央→鼻の下、鼻の下→こめかみ、と二段階に分けて、下から上へスプーン部30の凸部の表面を押し上げるように、マッサージする。このように、へスプーン部30の凸部の表面を使用してマッサージをすることによって、ほうれい線の解消に効果を発揮する。なお、ほうれい線とは、加齢によって、両小鼻から口元にむかってできる八の字状のしわである。
【0030】
本実施の形態によれば、略同一平面上に配置された3個の真珠で皮膚表面に接触するので、真珠成分を効率的に顔の皮膚表面に接触することができる。さらに、美顔器100自体を簡単な構造とし、使用するアコヤ本真珠についても粉末にする等の処理をする必要がないので、製造コストを低減することができる。
【0031】
第一押当面13側での使用と共に、第二押当面15またはスプーン部30を使用することによって、顔の皮膚表面の外側から真珠の美肌効果を利用すると共に、内側から効果的に美肌効果を高めることができる。
【0032】
また、真珠保持ホルダー10aと頭頂部10本体とが取り外し可能であり、アコヤ本真珠11a〜11cの交換や取り外しが容易であるので、真珠の洗浄や長期間使用による真珠の交換が容易である。また、アコヤ本真珠11a〜11cの交換や取り外しが容易であるので、必要な真珠のみを交換すればよく、経済的である。
【0033】
また、美顔器100と他の真珠粉末を使用した化粧品とを併用して使用することによって美肌効果をさらに高めることができる。
【0034】
なお、本実施の形態は、真珠保持ホルダー10aに3個のアコヤ本真珠を配置する構成であるが、1個または2個または4個以上配置する構成とするようにしてもよい。この場合に、第一押当面13上に複数の真珠を環状に配置するようにしてもよく、環状以外の配置で均等に配置されるようにしてもよい。
【0035】
また、美顔器100に使用する真珠としてアコヤ本真珠を使用するが、美肌効果が認められる他の真珠を使用するようにしてもよい。
【実施例1】
【0036】
次に、本発明の一実施例である実施例1について説明する。
図1、2に示す美顔器100において、合成樹脂を材質として美顔器100の各部材をそれぞれ一体成型し、頭頂部10の両端部間の高さを3.9cm、頭頂部10の側面の両端部間の長さを2.7cm、頭頂部10とスプーン部30との両端部間の長さを14.3cmとし、各孔の径を7mmとした。なお、真珠として、7.5mm〜8.0mmのアコヤ本真珠を3個使用した。これらの構成によって、上記で示した効果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
他の美顔器や顔用マッサージ器等に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】美顔器100を示す図。
【図2】美顔器100を示す図。
【符号の説明】
【0039】
10……頭頂部、
10a……真珠保持ホルダー、
13……第一押当面、
14……側面、
15……第二押当面、
20……把持部、
30……スプーン部、
40……カバー、
100……美顔器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押当面上に真珠の球面の一部を露出した状態で当該真珠を回転可能に保持する真珠保持部と、
前記真珠保持部に連接する把持部と、
を有することを特徴とする美顔器。
【請求項2】
前記押当面は略円形状であり、前記真珠保持部は前記押当面上に真珠を環状に配置することを特徴とする請求項1に記載の美顔器。
【請求項3】
前記真珠保持部は、略円柱形状の頭頂部の一の端面に取り付けられ、
前記把持部は、前記頭頂部の側面に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の美顔器。
【請求項4】
前記真珠保持部は前記頭頂部からの取り外しが可能であることを特徴とする請求項3に記載の美顔器。
【請求項5】
前記頭頂部の他の端面には半球形状の押当面が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の美顔器。
【請求項6】
前記把持部における前記真珠保持部側の端部とは反対側の端部には、スプーンの掬い部の形状をしたスプーン部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の美顔器。
【請求項7】
前記真珠は、アコヤ本真珠であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の美顔器。
【請求項8】
顔の皮膚表面上において複数の真珠を転がして当該真珠の成分を顔の皮膚表面に付着させることを特徴とする顔の美容方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−6057(P2008−6057A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179337(P2006−179337)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(506225695)有限会社提案室 (1)
【Fターム(参考)】