説明

美顔装置

【課題】顔のシワやタルミを解消し、その際、シワやタルミを解消する効率を向上する。
【解決手段】肌との接触面21を面状としてペルチェ素子22を備えた冷温ヘッド10aと、磁性材で形成した肌との接触面34をスポット状とし、セラミックヒーター31と磁石32を備えた磁気加温ヘッド10bと、肌との接触面を冷温ヘッド10aより小さく、磁気加温ヘッド10bより大きくしてセラミックヒーター31を備えた加温ヘッド10cを備える。一方、これらのヘッド10a、10b、10cを接続するコントロールボックス11に駆動回路を備える。こうすることで、顔の3種類のシワと4種類のタルミを解消できるようにする。また、熱容量を大きくしたヒートシンク23でペルチェ素子22の発熱時あるいは吸熱時の熱を蓄え、その熱で加温と冷却を繰り返すペルチェ素子22の熱の移動を加速してスピードアップを図り、シワやタルミを解消する効率を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、肌の活性化を図り、例えば、目尻のシワやタルミの解消に優れた効果を期待できる美顔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔の皮膚には、加齢や紫外線などによってシワやタルミが生じる。このような顔面のシワは、縮緬ジワ・表情ジワ・真皮のシワの3種類に大別できる。また、顔のタルミは、毛穴、涙袋、あご、法令線のタルミに大別できる。
【0003】
縮緬ジワは、目元などにできる浅く細いものである。表情ジワは、顔の表情に合わせてできるシワで、年齢とともに深くなって真皮のシワへと移行する。また、真皮のシワは、一般的にいわれているシワのことで、コラーゲン繊維が弾力を失うことで、表情ジワが、戻らなくなって深いシワとなったものである。
【0004】
一方、毛穴のタルミは、頬などの毛穴にできるもので、毛穴を周りから支えているコラーゲンの支持力が、加齢と共に低下して毛穴が開き、その毛穴同士がつながって毛穴の部分から皮膚が折れ曲がるようにしてできるものである。また、涙袋のタルミは、目元の薄い皮膚がたるんで眼球の周りの脂肪を支える下まぶたの皮膚がタルミ、これが進行して大きくなったもので、上まぶたや下まぶたにできる。さらに、このタルミは、垂れ下がるタイプの人では筋肉が緊張して頭痛を引き起こす要因になる場合もある。あごのタルミは、フェイスラインのたるみが原因でできるタルミで、いわゆる二重あごのことである。法令線のタルミは、口の両側のシワにできるタルミで表情ジワと違ってたるみが原因でできるものである。
【0005】
これらの顔のシワやタルミを取り除くためには、失った皮膚の弾力を取り戻す必要がある。そのため、患部のマッサージによって、真皮にある繊維を健康的にするため血流量の増加を促して肌の活性化を図ればよい。さらに、患部のマッサージに加え、患部の形状や状態に合わせて患部を加温したり、冷却したりすることは、血流量を増やす上で有効なことが知られている。
【0006】
例えば、(特許文献1)には、図17に示すようなサーモモジュール(ペルチェ素子)2を用いた美肌器が記載されている。この美肌器は、図17のようなハンディタイプのケースに、肌への接触ヘッド1を備え、そのヘッド1の後方にサーモモジュール2とヒートシンク3およびファン4を備えるとともに、サーモモジュール2に直流電力を供給する電源6と、この直流の極性を変えるスイッチ回路5を備えた構成となっている。そして、この美肌器は、接触ヘッド1を顔の肌に軽く押し当て、スイッチ回路5を切り替えて肌を温めたり、冷やしたりして美肌(美顔)効果を得るというものである。
【特許文献1】特開2000−37412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の美顔器では、接触ヘッドがコイン状の円形で、このコイン状の円形面が接触する患部に対して加温と冷却を行う。そのため、目元にできる縮緬ジワなど面状に広がる患部に使用するには最適である。ところが、二重あごや法令線のタルミなどの線状に延びる患部では、弛んだ皮膚を引き伸ばして患部を露呈させなければならないために使い勝手が悪い。
【0008】
しかも、上記の美顔器は、加熱(発熱)から冷却(吸熱)への切り替え、もしくは冷却から加熱への切り替えのときに数秒〜数10秒の遅延時間を設けなければならない(特許文献1段落番号0008参照)。そのため、例えば、温冷法として加温と冷却を繰り返す場合、加温と冷却が切り替わる際に時間が空きすぎて効果が半減する問題がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、美顔装置が3種類のシワや4種類のタルミを解消できるようにすることである。その際、シワやタルミを解消する効率を向上できるようにすることである。例えば、温冷法の加温と冷却を繰り返す際の遅延時間を減少してスピードアップを図りシワやタルミを解消する効果を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明では、美顔ヘッドと前記ヘッドを接続するコントロールボックスからなり、前記美顔ヘッドは、冷温ヘッド、磁気加温ヘッド、加温ヘッドで構成され、冷温ヘッドは、肌との接触面を面状としてその接触面の裏面にペルチェ素子を備え、磁気加温ヘッドは、磁性材で形成した肌との接触面をスポット状とし、その後方にセラミックヒーターと磁石を備え、加温ヘッドは、肌との接触面を冷温ヘッドより小さく、磁気加温ヘッドより大きなものとし、その後方にセラミックヒーターを備え、一方、コントロールボックスに極性を切り替えてペルチェ素子を駆動する冷温回路と磁気加温ヘッドのセラミックヒーターを駆動する加熱回路と加温ヘッドのセラミックヒーターを駆動する加熱回路を備えた構成を採用したのである。
【0011】
このような構成を採用することにより、顔面の3種類のシワと4種類のタルミに対応できる美顔ヘッドを使用できるようにしたのである。
すなわち、冷温ヘッドは、コントロールボックスの冷温回路と接続すると、面状の接触面の加温と冷却を繰り返し行うことができる。そのため、例えば目元の縮緬ジワや涙袋のタルミなど広く浅い範囲に発生するシワやタルミに適用するのに最適である。また、磁気加温ヘッドは、コントロールボックスの加熱回路と接続すると、スポット状の接触面がシワやタルミを伸ばすのに適度な温度に加熱されるとともに、患部に磁界を作用させることができる。そのため、スポット状の先端を真皮のシワ、二重あごや法令線などの深いシワやタルミの中に挿入すれば、それら内部の血流の増加が期待できる。さらに、加温ヘッドをコントロールボックスの加熱回路と接続すると、冷温ヘッドより小さく、磁気加温ヘッドより大きな接触面を加温できる。そのため、表情ジワや毛穴のタルミなど中程度(縮緬ジワの患部より小さくて法令線の線幅より大きなタルミ)の患部に適用するのに最適である。このように、3種類のシワや4種類のタルミを解消することができる。さらに、温冷法や磁気などにより、シワやタルミを解消する効率を向上できる。
また、このとき、各美顔ヘッドの駆動回路をコントロールボックスに設けて制御することにより、美顔ヘッドの軽量化を図り、作業性を向上させるとともに、例えば、各美顔ヘッドの温度調整や管理なども一括して行うようにできるので、安全性の向上を図ることができる。加えて、例えば、各回路の電源などを共通化することで、コストの削減も図ることができる。
【0012】
このとき、上記ペルチェ素子に熱容量の大きなヒートシンクを取り付け、前記ヒートシンクに蓄えられた熱でペルチェ素子を冷却あるいは加熱することで、冷温の切り替えを短時間で行うようにし、かつ、上記セラミックヒーターの加熱回路に発振手段と比較手段を備え、比較手段でセラミックヒーターに測定電流を流して測定した電圧と、温度設定用の基準電圧とを比較して、その比較出力で発振手段の発振出力を制御し、制御した発振出力で前記セラミックヒーターを駆動して温度制御を行うようにした構成を採用することができる。
【0013】
このような構成を採用することにより、熱容量を大きくしたヒートシンクでペルチェ素子の発熱あるいは吸熱によって生じた熱を蓄える。この状態で、ペルチェ素子を発熱から吸熱あるいは吸熱から発熱に切り替えると、ペルチェ素子とヒートシンクとの温度が大きくなって、ペルチェ素子による熱の移動を加速する。そのため、冷温の切り替えが短時間にできるので、温冷法の加温と冷却を繰り返す際のスピードアップを図れる。したがって、シワやタルミを解消する効果の向上が期待できる。また、セラミックヒーターの加熱回路は、セラミックヒーターの温度を直接測定して温度制御を行うので、ヘッドの接触面の温度制御が行える。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、上記のように構成したことにより、顔に発生する各種のシワやタルミを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
この発明の美顔装置は、図1に示すように、美顔ヘッド10とコントロールボックス11で構成されている。また、前記美顔ヘッド10は、冷温ヘッド10a、磁気加温ヘッド10b、加温ヘッド10cで構成され、各ヘッド10a〜10cは、それぞれケーブルでコントロールボックス11と接続するようになっている。
【0016】
冷温ヘッド10aは、ハンドシャワーのような形をしたもので、図2(a)のように、ハンドル20の先端に円形の肌との接触面21を設けた形状となっており、前記接触面21にペルチェ素子(サーモモジュール)22を取り付ける構造となっている。
【0017】
すなわち、接触面21はアルミなどの熱伝導の良好な金属板で形成し、その接触面21の裏側にオイルコンパウンドなどの伝熱材を塗布してペルチェ素子22を取り付けてある。また、前記素子22にヒートシンク23を取り付けて(伝熱材を塗布して)、図2(a)、(b)のように、接触面21とヒートシンク23でペルチェ素子22を挟んだ構造としてある。さらに、図2(a)のように、ヒートシンク23の下方に送風ファン24を配置し、前記ファン24の下方に設けた吸入孔から上方の排出孔へ送風することで、図2(b)のように、ヒートシンク23のフィンからの放熱効率を向上させるようにしてある。さらに、このとき、ヒートシンク23の熱容量をペルチェ素子22の定格容量よりも十分に大きくすることで、後述のように冷温の切り替えを速くできるようにしてある。
また、ハンドル20には、後端に貫通孔を設けて、ペルチェ素子22と送風ファン24に接続したコネクタ付のケーブル25を挿通するようになっている。
【0018】
磁気加温ヘッド10bは、図3のように、ペンシル形をしたもので、ペンシル形のケース30内に、セラミックヒーター31、磁石32および先端キャップ33を備えた構造となっている。
ペンシル形ケース30は、中空の上部ケース30aと下部ケース30bとからなり、図3のように、上部ケース30aを下部ケース30bに差し込んで螺合する。また、上部ケース30aは、先端に貫通孔が設けられ、後述の先端キャップ33の接触面を突出するようになっている。一方、下部ケース30bは、後端に貫通孔が設けられており、セラミックヒーター31のコネクタ付のケーブル25を挿通するようになっている。
【0019】
セラミックヒーター31は、ここでは、半田コテに使われるタイプと同じロット状あるいはチューブ状のもので、小型高出力で昇温が速く、信頼性の高いものを使用している。
磁石32は、ドーナツ状の永久磁石で、孔はセラミックヒーター31を挿通できる大きさとなっている。この形態では、図3のように、5個の磁石32を直列に並べて使用している。
先端キャップ33は、セラミックヒーター31の先端が嵌合する大きさのコーンの先端に突起を設け、その突起の先端を接触面34としたものである。このように突起の先端を接触面34とすることにより、肌との接触面34がスポット状となるようにしたものである。また、前記キャップ33は磁性材で形成することにより、帯磁するようにしてある。
【0020】
このように構成される磁気加温ヘッド10bは、例えば、図3のように、下部ケース30bにセラミックヒーター31を嵌める(例えば、ケーブル25を下部ケース30bの孔に挿通してしからコネクタを取り付ければ良い)。一方、上部ケース30aに先端キャップ33を挿入して先端キャップ33の先端の突起を上部ケース30aの孔から突出させてネジ35で固定する。その際、先端キャップ33にドーナツ形の磁石32を取り付けて挿入する。このとき、先端キャップ33は磁性体なので、磁石は、磁性体のキャップ33に吸着して固定される。次いで、下部ケース30bから突出したセラミックヒーター31を上部ケース30aの先端キャップ33に嵌入して下部ケース30bを螺合すれば、磁気加温ヘッド10bの組み立てができる。
【0021】
加温ヘッド10cは、図4のように、ペンシル形をしたケース40内に、セラミックヒーター41と、キャップ42を備えた構造となっている。ペンシル形ケース40は、磁気加温ヘッド10bと同様に中空の上部ケース40aと下部ケース40bとからなり、図4のように、上部ケース40aを下部ケース40bに差し込んで螺合するようになっている。また、上部ケース40aは、先端をカットしてキャップ42の先端部分を突出するようになっている。一方、下部ケース40bは、後端に貫通孔を設けて、磁気加温ヘッド10bと同様に、セラミックヒーター41のケーブル25を挿通するようになっている。
セラミックヒーター41は、磁気加温ヘッド10bのものと同じロッド形のもので、コネクタ付のケーブル25が取り付けられている。
前記キャップ40は、コーンの先端を円錐形にして接触面43を形成したもので、接触面43は、冷温ヘッド10aより小さく、磁気加温ヘッド10bより大きく形成して、表情ジワや毛穴のタルミなど中程度(縮緬ジワの患部より小さくて法令線の線幅より大きなタルミ)の患部に適用できるようにしてある。
【0022】
このように構成される磁気加温ヘッド10bは、例えば、図4のように、下部ケース40bにセラミックヒーター41を嵌め、また、上部ケース40aにキャップ42を挿入してキャップ42の先端を上部ケース40aの孔から突出させてネジ35で固定すれば組み立てられる。
【0023】
コントロールボックス11は、図5のように、冷温ヘッド用駆動回路50と2個の磁気加温ヘッド用駆動回路51、加温ヘッド用駆動回路52を備えるとともに、これらの回路を制御するコントロール部53を備えており、このコントロール部53を操作する図6のような操作パネルPを前面に設けてある。
【0024】
このように、各美顔ヘッド10a、10b、10cの駆動回路50、51、52をコントロールボックス11に設けて制御することにより、美顔ヘッドの軽量化を図り、作業性を向上させるとともに、例えば、各美顔ヘッド10a、10b、10cの温度調整や管理なども一括して行うようにできるので、安全性の向上を図ることができる。また、各回路50、51、52の電源などを共通化することで、コストの削減も図ることができる。
【0025】
冷温ヘッド用駆動回路50は、ペルチェ制御回路50aとファン制御回路50bで構成されている。ペルチェ制御回路50aは、図7のように、4個のスイッチSW1〜SW4で構成されるHブリッジ回路49を使用したもので、具体的には、図8のように、pnpとnpnトランジスタを直列に接続した2本の直列回路の、前記pnpトランジスタSW1とnpnトランジスタSW3の接続点とpnpトランジスタSW2とnpnトランジスタSW4の接続点間にペルチェ素子22を接続した構成となっている。前記pnpとnpnトランジスタSW1〜SW4はドライブ回路を介してコントロール部53と接続されており、コントロール部53が、図7のように、A組およびB組のトランジスタSW1、SW4およびSW2、SW3を切り替えて、図8の矢印のように、ペルチェ素子22に流れる電流の向きを変えることで、ペルチェ素子22の加熱(発熱)面と冷却(吸熱)面を交互に切り替える構成となっている。また、このとき、例えば、コントロール部53は、ペルチェ素子22の切り替え時間を制御すれば、温度調整を行うことができる。
【0026】
ファン制御回路50bは、図8に示すように、npnトランジスタとpnpトランジスタを用いたドライブ回路で、コントロール部53によってオン、オフが制御される。
【0027】
磁気加温ヘッド用駆動回路51は、図9に示すように、比較器55とマルチバイブレータ(発振)回路56を用いてセラミックヒーター31の温度制御を行うようにしたもので、加温ヘッド用駆動回路52と同じものである。
具体的には、磁気加温ヘッド用駆動回路51は、図10に示すように、温度設定回路54、比較器55、マルチバイブレータ回路56、ドライブ回路57で構成されており、加温ヘッド用駆動回路52とは温度設定回路54の設定範囲が異なる程度のものである。そのため、ここでは、磁気加温ヘッド用駆動回路51について述べることで、加温ヘッド用駆動回路52の説明は省略する。
【0028】
温度設定回路54は、図10のように、半固定ボリューム58とトランジスタによるアナログスイッチ59で構成したもので、半固定ボリューム58とアナログスイッチ59を直列に接続した直列回路を並列に3本接続し、その3本の並列回路を抵抗63と半固定抵抗64を並列に接続した並列回路を直列に接続した構成となっている。
このように構成される設定回路54は、アナログスイッチ59をコントロール部53と接続し、コントロール部53の出力でアナログスイッチ59を制御して、アナログスイッチ59のオン・オフを組み合わせることで、抵抗値を合成して温度をコントロールできるようにしてある。こうすることで、少ない抵抗で多くの設定ができるようにしてある。また、このとき、抵抗63と半固定抵抗64とを並列に接続した並列回路を設けて可変範囲を制限することにより、再現性の向上と精度の安定化を図るようにしてある。この設定回路は、分圧回路62を介して比較器55と接続するようにしてある。
【0029】
比較器55は、オペアンプの非反転入力に前記温度設定回路54の出力が分圧回路62を介して接続されるとともに、反転入力にセラミックヒーター31からのフィードバック回路60を接続してある。前記フィードバック回路60は、図10のように、抵抗(セラミックヒーター31に比べて高抵抗)Rの一端を電源電圧と接続し、他端を前記ヒーター31と接続して、その抵抗Rの他端と前記ヒーター31の接続点を反転入力に接続したもので、前記ヒーター31の抵抗値による電圧降下を反転入力にフィードバックするようにしたものである。また、この比較器55の出力はスイッチ用のダイオードDを介してマルチバイブレータ56に入力するようにしてある。
【0030】
マルチバイブレータ56は、図10に示すように、オペアンプの反転入力とアース間にコンデンサCを設け、その反転入力と出力間に抵抗r1、r2を設けるとともに、非反転入力とアース間に抵抗r3を設け、非反転入力と出力間に抵抗r4を接続した発振回路である。ここでは、抵抗r1、r2に、図10のように、ダイオードD1とD2が互いに逆向きとなるように接続し、電流の向きで抵抗値が変わるようにして、発振パルスのデューティ比が設定できるようにしてある。
一方、非反転入力と出力間にダイオードD3を抵抗r4と並列に設けることで、片電源で駆動できるようにしてある。
さらに、非反転入力に前述のスイッチ用のダイオードDを介して比較器55の出力を入力することにより、発振出力を飽和させることで出力をハイレベルに固定できるようにしてある。こうすることで、後述のようなPWM制御をするようにしてある。
【0031】
ドライブ回路59は、図10のようにnpnトランジスタとpnpトランジスタを接続した回路で、セラミックヒーター31を十分に駆動できるように、出力インピーダンスを小さくしてある。
【0032】
コントロール部53は、図5に示すように、CPU部70、キー入力部71、LED表示部72で構成されている。
CPU部70は、図11に示すような、CPU、メモリ(RAM、ROM)、I/Oなどが1チップに収容されたマイクロコントローラ(PERIPHERAL・INTERFACE・CONTROLLER)で構成されている。マイクロコントローラは、メモリ内(例えば、EEPROM)に端子の設定、各ヘッド10a〜10cの制御や表示などの制御プログラムを備えており、図11のように、ポート73を設けて書き換えできるようにしてある。このように書き換え可能とすることで、各ヘッド10a〜10cの温度、作動時間などを柔軟に変更できるようにしてある。
また、このマイクロコントローラは、図11のように、チップの入出力端子と接続したポート74を設けて冷温ヘッド用駆動回路50、磁気加温ヘッド用駆動回路51、加温ヘッド用駆動回路52を接続し、入出力を行うようにするとともに、チップの入出力端子にキースイッチおよびLED素子を接続して入出力を行うようにしてある。前記キースイッチは、キー入力部71のキーで図6の操作パネルPに取り付けられた自照式のものである。また、LED素子は表示部72の素子で、前記キー入力部71の自照用に用いられるLED素子である。
【0033】
操作パネルPは、図6のように、コネクタFと操作ボタンB1〜B4を設けたシンプルなもので、操作ボタンB1〜B4は、左から電源ボタンB1、加温用ヘッド操作ボタンB2、磁気加温ヘッド操作ボタンB3と冷温ヘッド操作ボタンB4となっている。
【0034】
この形態は、上記のように構成され、コントロールボックス11の冷温ヘッド用駆動回路50、磁気加温ヘッド用駆動回路51、加温用ヘッド用駆動回路51は、適宜調整して美顔効果に最適な温度に設定して出荷される。
【0035】
使用する際は、図1のように、各ヘッド10a〜10cを操作パネルPの対応するコネクタFに接続し(磁気加温ヘッドは2本使用することができる)、電源ボタンB1を押す。すると、自照式の電源ボタンが点灯して装置が作動状態であることが表示される。
これで使用する準備が整ったので、例えば、冷温ヘッド10aは、目元の縮緬ジワや涙袋のタルミなど広く浅い範囲に発生するシワやタルミを改善するために使用する。
この場合は、図6の操作パネルP右側のスイッチB4を操作する。前記スイッチB4は、冷温ヘッド10aの温度を選択する「強」「中」「弱」のスイッチを「冷」「温」ごとに設けたもので、使用する温度に応じてスイッチを選択する。そして、例えば図12のように、冷温ヘッド10aの接触面21を目尻に当て冷やしたり、温めたりの施術を施す。
【0036】
また、この冷温ヘッド10aには、前記スイッチに加えて「交互」スイッチが設けてある。「交互」スイッチは、作動させると、図13(a)のように、ペルチェ素子22への電流の向きを一定の周期で切り替え、この動作を繰り返す。このとき、冷温の温度は「強」「中」「弱」のスイッチで選択する。選択しない場合は、前の状態を保持する。例えば、「冷」を「弱」のスイッチで使用していた場合は、「冷」は「弱」の温度で、「温」は初期の設定である「中」の温度で繰り返す。
その際、図13(b)のように、例えばヒートシンク23の体積を大きくし(V1→V2)、熱容量を大きくしたことにより、「冷」「温」が切り替わった際に、ヒートシンク23に蓄積された熱を利用して温度切り替えの立ち上がりを速くしてある。
すなわち、図13(a)のように、ペルチェ素子22の取り付けられた接触面21が、例えば「冷」の場合、ペルチェ素子22に取り付けられたヒートシンク23はペルチェ素子から熱を吸収して熱くなる。ここで、冷温が切り替わり、ペルチェ素子22に印加する電圧の極性が逆になると、ペルチェ素子22の接触面21と接する側は「温」になり、ペルチェ素子のヒートシンク23と接する側は「冷」になる。このとき、ヒートシンク23は温められているので、ペルチェ素子22との温度勾配が大きくなり、ペルチェ素子22による熱の移動が加速されることになる。その結果、「冷」「温」の切り替えを急峻に行うことができる。
このように接触面21の冷温の切り替えを急峻に行えるので、肌に与える温度刺激を大きくできる。そのため、肌の広い範囲の血流を活発にして目元の縮緬ジワや涙袋のタルミなどを効率良く改善できる。
【0037】
なお、ここでは、ヒートシンク23の体積を増すことで、熱容量を大きくしたが、この方法に限定されるものではない。これ以外にも比熱の大きなものなど、例えば、素材を替えることで対処するようにしてもよい。
【0038】
また、磁気加温ヘッド10bは、例えば、図14のように、真皮のシワ、二重あごや法令線などの深いシワやタルミを改善する際に使用する。
この場合は、図6の操作パネルP中央の操作ボタンB3を使用する。操作ボタンB3は、左右のコネクタFのどちらかを作動させるためのもので、磁気加温ヘッド10bを接続したコネクタF側の操作ボタンB3を押す。すると、その押したボタンB3が点灯して磁気加温用駆動回路51が作動する。
【0039】
すなわち、前記駆動回路51は、電源が投入されると、図10のように、抵抗Rを介してセラミックヒーター31に電流が流れ、セラミックヒーター31の抵抗による電圧降下が比較器55に入力する。このとき、セラミックヒーター31は、冷たくて高い抵抗値を呈する。そのため、高い電圧が比較器55にフィードバックされる。すると、フィードバックされた電圧は、温度設定回路54の電圧よりも高いので、比較器55が正に飽和する。この飽和出力はスイッチ用ダイオードDを介してマルチバイブレータのオペアンプの非反転入力に入力し、前記オペアンプを飽和させる。そのため、その飽和出力により、マルチバイブレータ56の出力は「H」レベルを呈することとなる。その結果、「H」レベルが入力したドライブ回路57は、図15の(ア)のように、セラミックヒーター31を駆動することになり、セラミックヒーター31には、大きな電流が流れて急速に加熱されることになる。そして、その通電による発熱により、セラミックヒーター31の抵抗値が低下すると、比較回路54へのフィードバック電圧が低下する。そして、低下したフィードバック電圧が温度設定回路54の電圧を下回ると、比較器55の出力が負に飽和する。比較器55の出力が負に飽和すると、ダイオードDにより、比較器55の出力がマルチバイブレータ56へ入力されなくなって、マルチバイブレータ56は図15(イ)のように発振を開始する。このとき、マルチバイブレータ56は、抵抗r1とr2で決められたデューティ比の周波数で発振するため、セラミックヒーター31に流れる電流がセーブされて設定温度を保つ。
【0040】
そして、使用中にセラミックヒーター31の温度が下がると、前記ヒーター31の抵抗値が上昇する。そして、温度設定回路54の電圧を上回ると、比較器55の出力が正に飽和して、その出力がダイオードDを介してマルチバイブレータ56へ加わり、マルチバイブレータ56のオペアンプの非反転入力を飽和させる。そのため、図15(ア)のような導通状態を維持してセラミックヒーター31を駆動して温度を上昇させる。そして、温度が上昇して設定温度に達すると、セラミックヒーター31の抵抗値が低下して、温度設定回路54の電圧を下回るため、比較器55の出力が負に飽和してマルチバイブレータ56が発振を開始し、その発振出力で前記ヒーター31を駆動する。こうした動作を繰り返すことにより、設定温度を一定に保つことができる。
【0041】
このように設定温度を保つようにした磁気加温ヘッド10bは、真皮のシワ、二重あごや法令線などの深いシワやタルミの中に先端を挿入してスポット状の接触面を使用すれば、温熱と同時に患部に磁界を作用させることができるので、内部の血流の増加に効果が期待できる。そのため、シワやタルミを解消できることが見込める。
【0042】
また、表情ジワや毛穴のタルミなど中程度(縮緬ジワの患部より小さくて法令線の線幅より大きなタルミ)の患部を治療する際は、図16のように接触面21が磁気加温ヘッド10bより大きな加温ヘッド10cを患部に当てれば、加温ヘッド10bと同じように加温してシワやタルミを解消できる。
【0043】
このように、温冷法や磁気などにより、3種類のシワや4種類のタルミに対処できるので、顔に発生する各種のシワやタルミの解消ができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】(a)冷温ヘッドの縦断面図、(b)(a)の横断面図
【図3】磁気加温ヘッドの縦断面
【図4】加温ヘッドの縦断面図
【図5】コントロールボックスのブロック図
【図6】コントロールボックスの操作パネル
【図7】ペルチェ素子の駆動回路の原理図
【図8】ペルチェ制御回路
【図9】加温回路の原理図
【図10】加温回路の回路図
【図11】コントロール部の回路図
【図12】冷温ヘッドの作用説明図
【図13】(a)、(b)冷温ヘッドの作用説明図
【図14】磁気加温ヘッドの作用説明図
【図15】加温回路の作用説明図
【図16】加温ヘッドの作用説明図
【図17】従来例の一部切欠図
【符号の説明】
【0045】
10a 冷温ヘッド
10b 磁気加温ヘッド
10c 加温ヘッド
11 コントロールボックス
21 接触面
22 ペルチェ素子
23 ヒートシンク
31 セラミックヒーター
32 磁石
33 先端キャップ
34 接触面
41 セラミックヒーター
42 キャップ
50 冷温ヘッド用駆動回路
50a ペルチェ制御回路
51 磁気加温ヘッド用駆動回路
52 加温ヘッド用駆動回路
53 コントロール部
54 温度設定回路
55 比較器
56 マルチバイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
美顔ヘッドと前記ヘッドを接続するコントロールボックスからなり、
前記美顔ヘッドは、冷温ヘッド、磁気加温ヘッド、加温ヘッドで構成され、
冷温ヘッドは、肌との接触面を面状としてその接触面の裏面にペルチェ素子を備え、磁気加温ヘッドは、磁性材で形成した肌との接触面をスポット状とし、その後方にセラミックヒーターと磁石を備え、加温ヘッドは、肌との接触面を冷温ヘッドより小さく、磁気加温ヘッドより大きなものとし、その後方にセラミックヒーターを備え、
一方、コントロールボックスに極性を切り替えてペルチェ素子を駆動する冷温回路と磁気加温ヘッドのセラミックヒーターを駆動する加熱回路と加温ヘッドのセラミックヒーターを駆動する加熱回路を備えた美顔装置。
【請求項2】
上記ペルチェ素子に熱容量の大きなヒートシンクを取り付け、前記ヒートシンクに蓄えられた熱でペルチェ素子を冷却あるいは加熱することで、冷温の切り替えを短時間で行うようにし、かつ、上記セラミックヒーターの加熱回路に発振手段と比較手段を備え、比較手段でセラミックヒーターに測定電流を流して測定した電圧と、温度設定用の基準電圧とを比較して、その比較出力で発振手段の発振出力を制御し、制御した発振出力で前記セラミックヒーターを駆動して温度制御を行うようにした請求項1に記載の美顔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−142395(P2010−142395A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322084(P2008−322084)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(500532274)誠恒電機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】