説明

義歯床裏装材用接着性組成物

【課題】 有害性が指摘されるハロゲン原子を含有する有機溶剤を含まず、しかも十分な接着性および良好な操作性を有し、接着面以外の義歯床面に付着してもその外観の低下を起さない義歯床裏装材用接着性組成物。
【解決手段】 酢酸エチル、ぎ酸エチル、アセトンのごときハロゲン原子を含有しない有機溶剤、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートとの共重合体のごとき重合体およびテトラメチロールメタンテトラメタクリレートのごときラジカル重合性単量体を配合した義歯床裏装材用接着性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯床と義歯床裏装材を接着するための義歯床裏装材用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
義歯を長期間装着すると、骨吸収や粘膜面の変形等によって装着している義歯が口腔粘膜に適合しなくなってくる。そこで、適合しなくなった義歯床面に義歯床裏装材を裏装して義歯を最適合させる手段が臨床的に用いられている。
義歯床に用いられている材料はアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン酸樹脂などが挙げられるが、アクリル系樹脂が最も一般的に使用されている。一方、裏装材に用いられている材料は(メタ)アクリル系樹脂のモノマーとポリマーの混合物がほとんどであり、義歯床とこれら裏装材を効果的に接着するために、義歯床面に塩化メチレン等のハロゲン原子を含有する有機溶剤を塗布する方法が一般的に用いられている。
しかしながら、義歯床と裏装材の材質が異なる場合にはハロゲン原子を含有する有機溶剤を塗布するだけでは十分な接着強度が得られないことがある。このため、汎用的に使用できる接着剤としてハロゲン原子を含有する有機溶剤に各種重合体を添加した接着剤が開発されている。
【0003】
このような接着剤としては、塩素系有機溶剤とポリカーボネート樹脂を用いた接着剤(特許文献1および特許文献2参照)、塩素系有機溶剤と芳香族ポリエステル重合体またはポリエステルカーボネートとを組合せた接着剤(特許文献3参照)、塩化メチレンにポリスチレン樹脂とポリメチルメタクリレートとを組合せた接着剤(特許文献4参照)および塩化メチレンにポリカーボネート樹脂とポリメチルメタクリレートと多官能メタクリル酸エステルを組合せた接着助剤(特許文献5参照)等が知られている。なお、これら接着剤においては、低沸点で揮発が早く取扱いが容易であることから、ハロゲン原子を含有する有機溶剤としては塩化メチレンが最も広く利用されている。
しかしながら、近年ハロゲン原子を含有する有機溶剤については環境負荷や有害性の点から、より厳しい管理が要求されるようになってきている。例えば、平成10年に厚生省より各都道府県に対して「医薬品の残留溶媒ガイドライン」が通知されている。該ガイドラインにおいては医薬品中の残留溶媒についてその毒性によってクラス1からクラス3に分類しており、この分類によれば上記接着剤に用いる塩化メチレンは、許容できない毒性を引き起こすレベルではないが一定レベルの毒性を示す溶媒であるクラス2に分類され、起こりうる有害な作用から患者を守るためにその医薬品中の残留量を規制すべきものとされている。また、義歯床裏装材用接着剤として使用可能な他の塩素系有機溶剤についてもクラス1もしくはクラス2に分類されている。従って、義歯床裏装材用接着剤においては、塩素系有機溶剤を用いないものが望まれている。
【0004】
また、塩素系有機溶剤を用いない接着剤としては、ポリサルホン系樹脂と歯科用アクリル系樹脂の接着剤として、特許文献6に30〜250℃の沸点を有する有機溶剤と熱可塑性ポリヒドロキシエーテルからなる接着剤が開示されているが、該接着剤は塗布後の乾燥に長時間を要し、また接着強度が塩素系有機溶剤を使用した場合と比べて劣っている。
また、重合体を添加した接着剤一般についていえることであるが、このような接着剤を用いた場合の接着耐久性は必ずしも十分でなく、さらに、義歯床の処理剤が塗布された面において裏装材が盛られずに接着操作終了後において露出する部分(以下処理材または接着剤余剰塗布面という)が白化することがあり、その審美性が低下することがあるという問題がある。
【0005】
一方、義歯床裏装材、歯科用セメント、コンポジットレジン、歯冠用レジン等の歯科材料として、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル存在下で重合が可能なラジカル重合性単量体、有機過酸化物、および第3級アミン化合物からなる組成物が、それらが室温から口腔内の温度で速やかに重合して硬化体が生じる性質を利用して、広く応用されている。
例えば、直接法義歯床裏装材は、長期間の使用により患者の口蓋に適合しなくなった義歯を改床し、再度使用できる状態に修正するための材料であり、室温から口腔内の温度で重合硬化するペーストを義歯床に盛付け、直接患者の口腔に挿入、口腔粘膜面との適合を図った後、口腔内で保持したまま重合硬化させて修正を行う材料である。該裏装材としては、室温付近で硬化する上記組成物が広く使われている。従来、このような裏装材としては、一般にポリメチルメタクリレート(以下PMMAと略す)、ポリエチルメタクリレート(以下PEMAと略す)およびメチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体(以下PMMA−PEMAと略す)等の粉末状合成樹脂と有機過酸化物を混合した粉末成分と、メチルメタクリレート等のラジカル重合性単量体と第3級アミン化合物を混合した液体成分とに分包された粉−液二成分系材料が用いられている。
【0006】
このような二成分系材料は、両成分を混合した際に室温から口腔内における温度で容易にラジカルが発生し、混合から所定の時間が経過した後、重合硬化が進行する。また、上記液体成分は、粉末成分と接触させると短時間でその一部を溶解するとともに、合成樹脂粉末中に浸透して膨潤させる。このため、混合物の粘度を適度に調節することができ、臨床上の操作を容易にすることができる利点を有する。
しかしながら、上記の直接法義歯床裏装材は、硬化時にその表面が空気中の酸素や口腔内の異物により硬化阻害を受け、硬化不十分な部分が生じやすいという欠点があった。そのような硬化が不十分な部分(以下、表面未重合層という)が存在すると、裏装を行った義歯の変色が起こりやすくなったり、口腔内の異物が付着して不衛生な状態となりやすい等の問題の原因となる。
このような表面未重合層形成の問題は、ラジカル重合性単量体、有機過酸化物および第3級アミン化合物を含有する歯科用硬化性組成物に共通の問題であり改善が求められていた。
【0007】
硬化性組成物の表面未重合層の形成を防止し、表面未重合量(表面に存在する未重合モノマー量)を低減する方法としては、エアーバリアー剤を塗布する方法や硬化促進剤を使用する方法が知られている。エアーバリアー剤を塗布する方法とは、エアーバリアー剤の塗布によって形成される酸素遮断性の皮膜でラジカル重合性単量体が硬化する間その表面を被覆し、空気中の酸素による重合阻害を防ぐ方法である。エアーバリアー剤としては、ポリビニルアルコールの水溶液(特許文献7参照)、ポリビニルアルコール水溶液に有機過酸化物を配合した組成物(特許文献8参照)、低分子量のポリエチレングリコールと高分子量のポリエチレングリコールからなる組成物(特許文献9参照)、水溶性酸素遮断性ポリマーと水溶性還元剤と界面活性剤との水溶液からなる組成物(特許文献10参照)が知られている。また、硬化促進剤を使用する方法とは、例えば、義歯床裏装材等の硬化性組成物を口腔内で硬化させた後、硬化促進剤を溶解した温水溶液へ義歯を浸漬することにより、二次的に硬化させる方法である。市販の硬化促進剤として、水に溶解することにより炭酸ガスが発生し、水に溶解した酸素を除去する方式の製品や、水溶性の重合開始剤を湯に溶解する方式の製品が実用化されている。
【特許文献1】特開昭61−50906号公報
【特許文献2】特開昭61−134306号公報
【特許文献3】特開昭61−136562号公報
【特許文献4】特開昭58−72509号公報
【特許文献5】特開平10−231228号公報
【特許文献6】特開昭62−149609号公報
【特許文献7】特開昭58−20164号公報
【特許文献8】特開昭58−33604号公報
【特許文献9】特開昭59−134705号公報
【特許文献10】特開平9−241304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、塩素系有機溶剤と比べて安全性の高いハロゲン原子を含有しない有機溶剤を用いた義歯床裏装材用接着性組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、使用時の操作性、初期接着強度、接着耐久性および接着剤余剰塗布面の審美性の優れた、別言すれば、接着面以外の義歯床面に付着してもその外観の低下を起こさない、義歯床裏装材用接着性組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部、重合体0.1〜35重量部およびラジカル重合性単量体0.1〜100重量部を含有することを特徴とする義歯床裏装(relining)材用接着性組成物によって達成される。
【0012】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部、重合体0.1〜35重量部およびラジカル重合性単量体0.1〜100重量部を含有してなりそして義歯床裏装材用接着剤であることを特徴とする接着性組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の義歯床裏装材用接着性組成物は、ハロゲン原子を含む有機溶剤を用いていないので環境への負荷が小さく、かつ低有害性である。しかも、使用時の操作性、接着性能(接着強度並びに接着耐久性)、および審美性の点で従来の接着剤と同等以上の性能を有する。
また、ヒドロキシカルボン酸を配合した歯科用硬化性組成物は、従来の材料と比較して表面未重合量が少ないことから、この組成物から得られた硬化体は口腔内で使用しても変色し難く、汚れにくいものとなる。さらに、構成樹脂粉末と併せて使用したこの歯科用硬化性材料は、該樹脂化合物の溶解によって粘性が増大し、使用時の操作性が良好であるばかりでなく、硬化後の強度が優れたものとなる。さらに、ラジカル重合性単量体としてM−AE−1のような特定の構造を有する単官能ラジカル重合性を単量体と適当な構造の多官能ラジカル重合性単量体を併せて用いることにより、使用時の臭いが少なく、手や口腔粘膜等への刺激が少ない義歯床裏装用材料として好適な材料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の義歯床裏装材用接着性組成物についてまず説明する。
【0015】
本発明は、論理に拘束されるものではないが、本発明の接着性組成物においては、重合体を配合することによって論理的な嵌合力を義歯床並びに裏装材の間に付与すること、および重合性単量体を配合することにより該重合性単量体が義歯床に浸透すると共に硬化前の裏装材と混和して裏装材の硬化時に重合硬化することにより接着強度並びに接着耐久性を向上させる一方で、これら成分の配合量が制御されることにより、操作性や接着性組成物の余剰塗布面の審美性が良好になっているものと思われる。
【0016】
本発明の義歯床裏装材用接着性組成物は、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤に対してそれぞれ特定量の重合体、およびラジカル重合性単量体を配合してなる。ハロゲン原子を含有しない有機溶剤に重合体のみを配合した場合には、接着性組成物を義歯床の口腔粘膜側に塗布すると、有機溶剤が揮発した後に重合体が析出し義歯床表面が白化したり、凹凸が現れたりして接着性組成物の余剰塗布面の審美性が低下する。また、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤にラジカル重合性単量体のみを配合した場合には、接着強度の向上はみられるが熱衝撃による接着耐久性が低下する傾向にある。
【0017】
本発明で用いるハロゲン原子を含有しない有機溶剤は、その分子骨格中にハロゲン置換基を有さず、ラジカル重合性単量体成分を溶解すると共に重合体成分を溶解するもしくは膨潤させるものであれば特に限定されない。安全性の観点から前出の「医薬品の残留溶媒ガイドライン」に示されたクラス1、2に属さない有機溶媒を使用するのが好ましい。また、接着性組成物自体が溶液状となり良好な塗布性(操作性)が得られることから重合体に対する溶解性が高いものを使用するのが好ましい。本発明において好適に用いられるハロゲン原子を含有しない有機溶剤としては、例えば炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびカルボン酸エステル類が挙げられる。好ましくは炭素数5〜8の炭化水素、炭素数1〜5のアルコール類、炭素数4〜8のエーテル類、炭素数3〜6のケトン類および炭素数2〜6のカルボン酸エステル類が用いられる。
【0018】
これらの具体例としては、ヘプタン、ペンタンのごとき炭化水素、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールのごときアルコール化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルのごときエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのごときケトン類;ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルのごときカルボン酸エステル類等が挙げられる。これらハロゲン原子を含有しない有機溶剤は単独で、もしくは数種類のものを混合して用いることができる。これらハロゲン原子を含有しない有機溶剤の中でも、低沸点で揮発性を有するものは乾燥が速く取扱いが容易であることから、20〜150℃、特に30〜100℃の沸点を有するものが特に好適である。また、ケトン類並びにカルボン酸エステル類を混合した混合溶剤は接着後の耐久性が優れているために好ましい。これら特徴を併せ持つことから、アセトンとぎ酸エチル、またはアセトンと酢酸エチルの組合せが最も好適に使用できる。
【0019】
本発明で用いられる重合体としては、例えばポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステルのごとき一般的に入手可能な重合体が制限なく用いられる。ハロゲン原子を含有しない有機溶剤とラジカル重合性単量体の混合物に溶解して均一溶液となり塗布等の操作性が良好であること、および義歯床として一般的に使用されているポリ(メタ)アクリレートに対する接着強度が高いという観点から、アルキル(メタ)アクリレート{(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物}の単独重合体もしくは共重合体を使用するのが好適である。本発明において好適に使用できる重合体を具体的に例示すると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(MMAと略記する)、エチルアクリレート、エチルメタクリレート(EMAと略記する。)、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートのごときアクリレートの単独重合体、もしくはこれらの共重合体を挙げることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキルアルコールとのエステルの単独重合体または共重合体を使用したものは、接着強度および接着耐久性が高いという特長を有する。中でもメチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合体、またはメチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体が好ましく、接着強度および接着耐久性が特に高いことからメチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体を用いるのが最も好ましい。
【0020】
これら重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤とラジカル重合性単量体の混合物に容易に溶解し、接着剤余剰塗布面が均一の厚さを有し良好な審美性を有することから10,000〜2,000,000、特に100,000〜1,000,000であるのが好適である。
【0021】
本発明の接着性組成物における重合体の配合量は、ハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部に対して重合体0.1〜35重量部である必要があり、好ましくは0.5〜10重量部である。配合量が0.1重量部未満では重合体配合による物理的嵌合力の付与が不十分であることによると思われ十分な接着強度が得られず、また、配合量が35重量部を超えると接着剤の粘度が高くなり、操作性が低下する。
【0022】
本発明の接着性組成物で使用されるラジカル重合性単量体は、ビニル基等の重合性不飽和結合を有するものであれば特に限定されず、例えばジビニルベンゼン、アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリレートのごとき化合物を使用することができる。重合体成分に対する溶解性が高く、義歯や裏装材との親和性が高く一部がこれらの構成材料と共重合することも期待でき、高い接着強度も得られることから、(メタ)アクリレート系ラジカル重合性単量体を用いるのが好適である。
(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体としては、一般に歯科用修復材料で使用可能な公知の(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体が何ら制限なく使用できる。このようなラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、下記(1)〜(4)に示されるような単官能および多官能ラジカル重合性単量体(モノマー)が挙げられる。なお、以下の化合物名において、(メタ)アクリレートとはメタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0023】
(1)単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、およびその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート等および後述する歯科用硬化性組成物の項で、単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体として例示される式(1)〜(7)で示される化合物。
【0024】
(2)二官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
(2−1)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(以下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下、D−26Eと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
【0025】
(2−2)脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、3Gと略記する)、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
【0026】
(3)三官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
【0027】
(4)四官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
これらのラジカル重合性単量体は、単独あるいは2種類以上組合せて用いることができる。上記ラジカル重合性単量体の中でも多官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体を用いるのが好ましく、さらに初期接着強度がより高まることから、三官能以上の多官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体を用いるのが特に好ましい。
ラジカル重合性単量体の配合量はハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部に対してラジカル重合性単量体0.1〜100重量部である必要がある。該配合量が0.1重量部未満では接着強度が向上せず、また、100重量部を超えると接着性組成物の余剰塗布面がべたつきその審美性が低下する。なお、ラジカル重合性単量体は、重合体を効率よく溶解し、接着剤余剰塗布面の審美性をより良くするためには、重合体重量の1/2以上を配合するのが好ましい。
【0028】
本発明の接着性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、着色剤、香料等の添加剤を含有していてもよい。
本発明の接着性組成物の調製方法は特に限定されず、各成分を所定量はかり採り、混合することによって調製することができる。また、その使用方法も特に限定されない。例えば、本発明の接着性組成物を、義歯の口腔粘膜と接触する面上に塗布して該面上に重合体とラジカル重合性単量体からなる塗膜を形成せしめて、義歯の所定面上に接着性塗膜を形成する方法において使用される。具体的には、例えばスタンプバー等で面出しした義歯床の口腔粘膜面側に本発明の接着性組成物を筆等で薄く塗布し、乾燥させた後に義歯床裏装材を盛り付けてこれを硬化させればよい。本発明の接着性組成物は、主要構成成分が共に(メタ)アクリル樹脂である義歯床と裏装材との接着に用いた場合に特に高い効果を発揮する。
【0029】
次に、裏装材を形成する好適な歯科用硬化性組成物について説明する。
この歯科用硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体、有機過酸化物、第3級アミンおよびヒドロキシカルボン酸、さらに場合により重合体を含有し、エアーバリアー剤や硬化促進剤を使用しなくても硬化時の表面未重合量が少なく、硬化体の耐久性が高いという特長を有する。上記この歯科用硬化性組成物の中でも、重合体を含有してなるものは、組成物の粘性を自由に調節したり、硬化させた際の強度が高いという特長を有する。
この歯科用硬化性組成物で使用するラジカル重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なものであれば特に限定されない。一般に歯科材料用に使用されるアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性単量体等が制限なく使用できる。このようなラジカル重合性単量体を具体的に例示すれば下記(I)〜(IV)に示すものが挙げられる。
【0030】
(I)単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、下記式(1)〜(7)のいずれかで示される(メタ)アクリレート化合物
【0031】
【化1】

【0032】
なお、上記各式中、Rは、水素原子またはメチル基を意味し、RおよびRは、それぞれ独立にアルキレン基を意味し、Rはアルキル基を意味し、mは0または1を意味し、nは1〜10の整数(ただし、m+nは2〜10の整数である。)を意味する。上記RまたはRとしてのアルキレン基は特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。
【0033】
単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体としては、前記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0034】
重合体と併用する場合の溶解性あるいは膨潤性を勘案すると、前記式(1)においては、RおよびRが、互に独立に、好ましくはメチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基およびヘキサメチレン基のごとき炭素数が1〜6のアルキレン基、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基、特に好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。また、前記式(1)におけるRのアルキル基としては、同じ理由により、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のごとき炭素数1〜4のアルキル基、これらの中でもメチル基またはエチル基であるのが好適である。
【0035】
(II)二官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
(i)脂肪族化合物
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、無水(メタ)アクリル酸;並びに1,2−ビス(3−メタアクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタアクリロキシエチル)フォスフェート、ジ(3−メタクリロキシプロピル)フォスフェート、およびこれらのアクリレート。
【0036】
(ii)芳香族化合物
2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのアクリレート。
【0037】
(III)三官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート。
【0038】
(IV)四官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート。
【0039】
上記ラジカル重合性単量体は単独で用いてもよく、また2種類以上組合せて用いてもよい。また、ラジカル重合性を有する官能基数が異なる複数種の組合せも自由に選択し得る。
上記ラジカル重合性単量体のうち、本歯科用硬化性組成物の硬化によって得られる硬化体の脆性と曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性とのバランスを勘案すると、単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体および多官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体の混合物が好適に使用される。さらには、単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体および二官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体の混合物は、物性バランスが取りやすいという観点から好適に用いられる。このとき、単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体および二官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体の比率は、重量比で5:95〜95:5の範囲、特に20:80〜80:20の範囲が好適に用いられる。
【0040】
また、この歯科用硬化性組成物を直接法義歯床裏装材のように口腔内で使用する用途に用いる場合には、刺激臭が少なく、口腔内粘膜や皮膚に対する刺激が低く、重合時の発熱が低減される等の理由から単官能(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体としては、前記式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物を使用するのが特に好適である。さらに、該化合物と併用される二官能(メタ)アクリル系重合性単量体としては、臭気や、皮膚、粘膜への刺激性等を勘案すると、1,6−ヘキサメチレンジオールジメタアクリレート、1,9−ノナメチレンジオールジメタアクリレート、1,10−デカンジオールジメタアクリレート等が好適に使用できる。また、このような用途に使用する場合には、全ラジカル重合性単量体の5〜95重量%が前記式(1)で示される化合物とするのが好ましい。
このような目的で好適に使用される前記式(1)で示される化合物を具体的に例示すると下記M−AE−1〜M−AE−8として示される化合物が挙げられる。
【0041】
【化2】

【0042】
前記式(1)で示される化合物は、市販されているものも多く、また、下記第1および第2の2つの方法により簡単に製造することができる。
第1の方法として、対応するヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルを対応するカルボン酸と反応させて脱水縮合させることにより容易に製造することができる。該方法によれば、例えば、1モルのヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルと1モルのカルボン酸を酸触媒、重合禁止剤とともにトルエン中、加熱下で生成する水を留去しながら2時間反応させた後に、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム乾燥後、溶剤を減圧留去することにより目的の化合物を得ることができる。また、もう1つの第2の方法として、対応するヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルをジケテンと反応させる{R.J.Clemens,Chemical Review,86,241(1986)}方法が挙げられる。該方法によれば、例えば、1モルのヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル、1gのトリエチルアミン、および1gのブチルヒドロキシトルエンを500mlの無水酢酸エチルに溶解し、この液に88g(1.05モル)のジケテンを、攪拌しながら1時間以内に滴下して加えて反応させ、次いでこの反応混合物を還流下で2時間加熱し、冷却後、希塩酸、水の順で洗浄し、硫酸ナトリウム乾燥後、溶剤を減圧留去することにより目的の化合物を得ることができる。
【0043】
この歯科用硬化性組成物で使用される有機過酸化物としては、第3級アミンとの接触によりラジカルを発生しうるものであれば何ら制限なく使用できる。好適に使用される有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。これら有機過酸化物の好適な使用量は、用いられる有機過酸化物の種類によって異なるため一概に限定できないが、全ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の範囲である。
この歯科用硬化性組成物で使用する第3級アミン化合物としては、公知の化合物が特に制限されず使用される。好適に使用される第3級アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N−メチル,N−β−ヒドロキシエチルアニリン等のアニリン類、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、N,N−ジブチル−p−トルイジン、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミン等のトルイジン類、N,N−ジメチル−アニシジン、N,N−ジエチル−p−アニシジン、N,N−ジプロピル−p−アニシジン、N,N−ジブチル−p−アニシジン等のアニシジン類、N−フェニルモルフォリン、N−トリルモルフォリン等のモルフォリン類、ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)メタン、ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)エーテル等が挙げられる。これらのアミン化合物は、塩酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸などとの塩として使用してもよい。
【0044】
上記第3級アミン化合物の内、重合活性が高く、なおかつ低刺激、低臭という観点から、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミンが好適に使用される。さらには、第3級アミン化合物をラジカル重合性単量体と混合した状態で長期保存が必要となる場合には、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジンを用いるのが保存安定性の観点から好ましい。
第3級アミン化合物の使用量は全ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の範囲である。
【0045】
上記、有機過酸化物と第3級アミン化合物の組合せのうち、好適なものを具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジエタノールアミン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジプロパノールアミン等の組合せが挙げられる。中でも、第3級アミン化合物をラジカル重合性単量体と混合した状態で長期保存が必要となる場合には、保存安定性の観点からベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジンの組合せが最も好ましい。
【0046】
この歯科用硬化性組成物は、ヒドロキシカルボン酸化合物を含有することに最大の特徴を有する。ヒドロキシカルボン酸化合物を含有することにより重合硬化させたときに表面未重合層が形成されにくくなり、表面未重合量を低減することが可能となる。この歯科用硬化性組成物で使用するヒドロキシカルボン酸化合物は、カルボキシル基および水酸基を有する化合物であれば特に限定されない。表面未重合量低減効果の高さの観点から、カルボン酸基のα位に水酸基を有する化合物を使用するのが好ましい。好適に使用されるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すれば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。これらのヒドロキシカルボン酸化合物は単独使用しても2種類以上を併用してもよい。
ヒドロキシカルボン酸化合物の使用量は特に限定されないが、効果の点から、全ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.005〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部の範囲である。
【0047】
この歯科用硬化性組成物は、歯牙の欠損部や消失部の補綴、動揺歯の固定、配列成形、義歯床の裏装等の目的に用いることができる。具体的には、義歯補修用即時重合レジン、歯冠用即時重合レジン、急速硬化即時重合レジン、歯冠用硬質レジン、歯科矯正用レジン等の歯冠用材料として、または、義歯床裏装用即時重合レジン、各個人トレー用即時重合レジン等の義歯床用材料として好適に使用できる。
この歯科用硬化性組成物には、前記必須成分の他にも上記用途に応じて、流動性を改良したり、得られる硬化体の諸物性および硬化性をコントロールするために、合成樹脂粉末;無機フィラー;エタノール、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のアルコールまたは可塑剤;ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤;色素、顔料、香料等を添加することができる。
この歯科用硬化性組成物は本発明の接着性組成物と組合せて使用するのが好ましい。具体的には、本発明の接着性組成物を、義歯の口腔粘膜と接触する面上に塗布して該面上に重合体とラジカル重合性単量体からなる塗膜を形成せしめ次いで該塗膜上にこの歯科用硬化性組成物を塗布しかつ硬化させて義歯床に補綴部分を形成せしめることにより義歯床を裏装することができる。
【0048】
特に、この歯科用硬化性組成物を義歯床裏装用即時重合レジン等の直接法義歯床裏装材として使用する場合には、該材料に適度な粘性が必要とされるために重合体粉末を配合するのが好適である。このとき使用される重合体粉末は、ラジカル重合性単量体へ完全にまたは部分的に溶解するかまたはラジカル重合性単量体によって膨潤するものであれば何ら制限されない。一般に化学的安定性、透明性などの点で、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、ポリブチルメタアクリレート、ポリスチレンおよびそれらの共重合体の粉末が好適に使用される。中でも、ポリエチルメタアクリレートは前記式(1)で示される化合物により特に膨潤しやすいので、ポリエチルメタアクリレートまたはその共重合体を用いるのが特に好ましい。
これら重合体粉末を構成する重合体の分子量や粒子径は特に制限されない。得られる硬化体の機械的強度やラジカル重合性単量体への溶解性や膨潤性を勘案すると、50,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、その平均粒子径は1〜100μmであることが好ましい。また、重合体粉末を使用する場合には、全ラジカル重合性単量体100重量部に対し、好ましくは50〜500重量部、特に好ましくは100〜200重量部の範囲である。
【0049】
この歯科用硬化性組成物は、化学重合触媒を含んでいるので、全ての成分を混合したとき重合が開始される。従って、通常、使用前では、重合が開始しないように成分をいくつかに分けて保存し、使用時にそれらを混合するのが一般的である。このときの分離保存形態は重合が開始しない形態であれば特に限定されない。例えば、重合体粉末を含む義歯床裏装材として使用する場合には、各成分の計量のしやすさ、取扱いの容易さの観点から、重合体粉末および有機過酸化物が所定の割合で配合された粉末成分と、ラジカル重合性単量体、第3級アミン化合物およびヒドロキシカルボン酸化合物がそれぞれ所定の割合で配合された液体成分とをそれぞれ別の2つの容器に収容して保存し、これら2つの容器をキットとして用いるのが好適である。このようなキットとした場合には、使用時に各容器から所定量の粉末および液体をそれぞれ所定量取り出して混和し、所定の型枠中に入れ、もしくは形を整えて、常温ないし口腔内にて硬化させればよい。
また、このキットにはさらに本発明の接着性組成物を収容した第3容器を組合せることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例1〜14によって本発明の接着性組成物を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお、実施例1〜14並びに比較例1〜4で用いたハロゲン原子を含有しない有機溶剤、重合体およびラジカル重合性単量体は次の通りである。
【0051】
(a)ハロゲン原子を含有しない有機溶剤
酢酸エチル、アセトン、ジエチルエーテル、およびヘプタン。
【0052】
(b)重合体
ポリメチルメタクリレート(Mw=500,000、PMMAと略記する)
ポリエチルメタクリレート(Mw=500,000、PEMAと略記する)
メチルメタクリレート−エチルメタクリレートとの共重合体{Mw=500,000、MMA/EMAモル比=30/70、P(MMA−EMA)と略記する}
【0053】
(c)ラジカル重合性単量体
メチルメタクリレート(MMAと略記する)
トリエチレングリコールジメタクリレート(3Gと略記する)
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTと略記する)
テトラメチロールメタンテトラメタクリレート(TMMTと略記する)
また、接着性組成物の塗布後の表面性状、初期接着強度、および接着耐久性の操作、測定手順および評価基準は、それぞれ下記(1)〜(3)に示す通りである。
【0054】
(1)接着性組成物塗布後の表面性状
各実施例と各比較例の義歯裏装材接着性組成物をポリメチルメタクリレート樹脂製の義歯床用材料(ジーシー社製、アクロン)で作製し表面を耐水研磨紙#320で研磨した樹脂板(20×20×2mm)に筆で塗布し、乾燥後の表面性状を観察した。該表面性状がムラなく均一である場合には、接着性組成物余剰塗布面の審美性が良好であるといえる。
【0055】
(2)接着強度の測定
ポリメタクリレート樹脂製の義歯床用樹脂(ジーシー社製、商品名:アクロン)を用いて樹脂板(10×10×2mm)を作成し、該板を耐水研磨紙#320で研磨後、24時間水中に浸漬させたものを被着体とした。該被着体の表面をキムワイプ(クレシア社製)で拭って乾燥した後、筆を用いて義歯床裏装材用接着性組成物を塗布した。この接着性組成物中の溶媒成分が揮発するまで放置して乾燥させた後、直径3mmの孔の開いた両面テープを張りつけて接着面積を規定した。その後、アクリル系樹脂製裏装材((株)トクヤマ製、トクソーリベースファーストタイプ)を取り扱い説明書に記載の粉/液比で練和して得られたペーストを、前記両面テープの孔を塞ぐ量だけ盛り付けた後、素早くアクリル製アタッチメントで圧着して37℃湿潤下で硬化させ、さらに37℃水中に24時間浸漬したものを測定用試料とした。測定は引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)を用いてクロスヘッドスピード1mm/minで行った。接着強度は上記試料10個について測定を行い、その平均値から求めた。
【0056】
(3)接着耐久性の評価
上記と同様にして作成した接着強度測定用の試料に熱衝撃を繰返し印加することにより接着耐久性を評価した。試験は熱衝撃試験機(トーマス科学器械株式会社製)を用いて4℃の水中に1分間保持、60℃の温水中に1分間保持のサイクルを10,000回繰返すことにより行った。熱衝撃試験後の試料10個について引張接着強度を測定し、その平均値を耐久性試験後の接着強度とした。熱サイクル試験を行っていない試料の引張接着強度と比較して、強度減少率が20%以下のものを○、20%より大きく40%以下のものを△、40%を超えるものを×としてそれぞれ評価した。
【0057】
実施例1
ハロゲン原子を含有しない有機溶剤として酢酸エチル100重量部に、重合体としてP(MMA−EMA)5重量部、ラジカル重合性単量体としてTMMT5重量部を添加混合して溶液状の本発明の義歯床裏装材用接着性組成物を調製した。
この義歯床裏装材用接着性組成物を用いての塗布後の表面性状を評価したところ、良好な表面性状であった。また、アクリル樹脂製裏装材((株)トクヤマ製、トクソーリベースファーストタイプ)との接着試験を行った結果、接着強度は12.0MPaであり、接着耐久性は○であった。
【0058】
実施例2〜14
表1に示した組成とする他は実施例1と同様にして義歯床裏装材用接着性組成物を調製し、各性能の評価を行った。その結果を表1に併記した。いずれの義歯床裏装材用接着剤を用いた場合においても均一な表面性状が得られ、高い接着強度を示すと共に、接着耐久性も○であった。
【0059】
比較例1
義歯床裏装材用接着性組成物を用いない他は試験法(2)の方法に基づいて試料を作製し、接着強度と接着耐久性について評価した。その結果、接着強度は6.9MPaと低く、また接着耐久性は×であった。
【0060】
比較例2,3
重合体およびラジカル重合性単量体を添加しない例として、表1に示す組成の義歯床裏装材用接着性組成物を調製し、実施例1と同様にして各性能の評価を行った。その結果、いずれの組成の義歯裏装材用接着性組成物も均一な表面性状であったが、接着強度が実施例1〜14と比較して低く、また接着耐久性が×であった。
【0061】
比較例4
ラジカル重合性単量体を配合しない例として表1に示す組成の義歯床裏装材用接着性組成物を調製し、実施例1と同様にして各性能の評価を行った。この場合、接着性組成物塗布後の表面が白化した。また、接着強度も7.9MPaと低く、接着耐久性も△であった。
【0062】
比較例5
重合体を配合しない例として表1に示す組成の義歯床裏装材用接着性組成物を調製し、実施例1と同様にして各性能の評価を行った。接着強度は10.5MPaと高い値を示したが、熱衝撃試験後の強度が5.2MPaと低下し、接着耐久性は×となった。
【0063】
比較例6
高分子重合体の添加量を0.01重量部と本発明の範囲以下とした以外は、実施例1と同様にして各性能の評価を行った。この添加量では重合体を添加した効果は認められなかった。
【0064】
比較例7
ラジカル重合性単量体の添加量を0.01重量部と本発明の範囲以下とした以外は実施例1と同様な方法で各性能の評価を行った。この添加量ではラジカル重合性単量体を添加した効果は認められなかった。
【0065】
【表1】

【0066】
次に、本発明の接着性組成物と組合せて好適に用いられる歯科用硬化性組成物を参考例1〜21により具体的に説明する。なお、各参考例1〜12および比較参考例1〜12で使用した各種化合物の略号はそれぞれ次のような化合物である。また、実施例15〜23には、歯科用硬化性組成物と本発明の接着性組成物の組合せを示した。
単官能ラジカル重合性単量体:
【0067】
【化3】

【0068】
二官能ラジカル重合性単量体:
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート
1,9−ND:1,9−ノナンジオールジメタアクリレート
【0069】
参考例1
100重量部のラジカル重合性単量体M−AE−1に対し、重合禁止剤としてメトキシハイドロキノン0.025重量部、第3級アミン化合物としてジエチル−p−トルイジン1重量部およびヒドロキシカルボン酸としてリンゴ酸0.5重量部をあらかじめ溶解した溶液を作製した。該溶液へ有機過酸化物として過酸化ベンゾイル1重量部を溶解して硬化性組成物を調製した。ついで、調製した硬化性組成物を速やかに表面未重合量測定用のモールドへ流し入れ、表面未重合厚さを測定した。その結果、表面未重合厚さは77μmであった。
なお、表面未重合厚さの測定法は以下の測定法(4)により行った。
【0070】
(4)表面未重合厚さの測定
外寸が縦横25mm、内寸が縦横20mm、厚さ1mmのポリテトラフルオロエチレン製型枠を縦横30mm、厚さ3mmのポリテトラフルオロエチレン板へ粘着テープで貼り付けたものを測定用モールドとした。硬化性組成物を該モールドへ流し込み、硬化性組成物の片面を空気に曝した状態で、37℃に保温したインキュベータ中で重合硬化させた。得られた重合体をモールドから取り出し、その厚みをマイクロメーターで5個所測定して平均値(D1)を求めた。直ちに硬化体をメタノールに1分間浸漬して残留したラジカル重合性単量体を除去し、ついで硬化が不十分で柔らかい層を切除した後、硬化体の厚みを5個所測定して平均値を求めた(D2)。D2−D1をその硬化体の表面未重合厚さとし、該厚さで硬化性能の相対的比較を行った。
【0071】
参考例2〜12
ラジカル重合性単量体の種類および添加したヒドロキシカルボン酸の種類および添加量を表2に示されるように変えたこと以外は参考例1と同様な評価を行った。これらの硬化性組成物の表面未重合厚さを測定した結果を表2に併記した。
【0072】
比較参考例1〜8
ヒドロキシカルボン酸を添加しない他は参考例1と同様にして硬化性組成物を調製し、表面未重合厚さを測定した。その結果を表2に併せて示した。
【0073】
比較参考例9〜12
ヒドロキシカルボン酸の代わりにヒドロキシカルボン酸でない酸を用いた他は参考例2と同様にして評価を試料を調整し評価を行った。その結果を表2に示した。
表2に示されているように、ヒドロキシカルボン酸を配合していない比較参考例1〜18においては表面未重合厚さが192〜202μmとなっているのに対し、参考例1〜12では77〜105μmとほぼ半分以下に減少しており、硬化性組成物におけるヒドロキシカルボン酸化合物を配合する効果が明らかである。また、ヒドロキシカルボン酸以外の酸を添加した比較参考例9〜12では表面未重合厚さが195〜202μmであり、ヒドロキシカルボン酸以外の酸を配合した場合には表面未重合量低減効果がないことが確認された。
【0074】
【表2】

【0075】
参考例13
100重量部のラジカル重合性単量体M−AE−1に対し、重合禁止剤としてメトキシハイドロキノン0.025重量部、第3級アミン化合物としてジエチル−p−トルイジン1重量部およびヒドロキシカルボン酸化合物としてリンゴ酸0.5重量部を溶解させて液体成分を調製した。また、これとは別に、平均粒径35μmのポリエチルメタアクリレート(重量平均分子量:500,000)100重量部に有機過酸化物としての過酸化ベンゾイル0.6重量部を分散させ粉末成分を調製した。ついで、該液体成分1重量部に対して粉末成分1.6重量部を混合・練和してペーストとした。該ペーストを評価用試料として用いること以外は参考例1の評価方法(4)と同様な方法で表面未重合厚さの評価を行った。その結果、表面未重合厚さは63μmと良好な結果を示した。
【0076】
参考例14〜21
ラジカル重合性単量体の組成並びにヒドロキシカルボン酸の種類および添加量を表3に示したように変え、参考例13と同様な方法で評価した。その結果を表3に併記した。
【0077】
比較参考例13〜15
表3に示したラジカル重合性単量体を用い、ヒドロキシカルボン酸を添加しないで、参考例13と同様に試料を調製し表面未重合厚さを測定した。その結果を表3に併せて示した。
【0078】
比較参考例16〜19
ヒドロキシカルボン酸の代わりに表3に示した各種酸を用いた他は、参考例19と同様にして表面未重合厚さを評価した。その結果を表3に併せて示した。
表3に示されるように参考例13〜21の結果と比較参考例13〜15の結果との対比から、第3級アミン、ヒドロキシカルボン酸化合物をラジカル重合性単量体へ溶解した液体成分と、有機過酸化物を重合体粉末に分散させた粉末成分とを使用直前に混合する剤の形式においてもヒドロキシカルボン酸添加による表面未重合厚さの低減効果が確認された。また、比較参考例16〜19の結果との対比から、ヒドロキシカルボン酸以外の酸を用いた場合には、表面未重合厚さの低減は認められず、この効果がヒドロキシカルボン酸を添加した場合にのみ発現することが明らかとなった。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例15〜17
義歯床裏装材用接着性組成物として表4に示した組成物(本発明の義歯床裏装材用接着性組成物)を用い、義歯床裏装材としてトクソーリベースファーストタイプの代わりに、参考例17で使用した粉成分と液成分からなる硬化性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0081】
実施例18〜20
義歯床裏装材用接着性組成物として表4に示した組成物を用い、義歯床裏装材として参考例19で使用した粉成分と液成分からなる硬化性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0082】
実施例21〜23
義歯床裏装材用接着性組成物として表4に示した組成物を用い、義歯床裏装材として参考例20で使用した粉成分と液成分からなる硬化性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様な方法で評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0083】
比較例8〜16
参考例17、19および20で用いた硬化性組成物を使用し、義歯床裏装材用接着性組成物を塗布しないか、あるいは表4の組成のものを使用したこと以外は実施例1と同様な方法で評価を行った。なお比較例8〜10においては参考例17で用いた硬化性組成物、比較例11〜13においては参考例19で用いた硬化性組成物、比較例14〜16においては参考例20で用いた硬化性組成物を使用している。これらの評価結果を表4に併記した。
【0084】
【表4】

【0085】
表4に示すように、特定の構造を有するラジカル重合性単量体並びにヒドロキシカルボン酸を含有する硬化性組成物からなる義歯床裏装材と、本発明の義歯床裏装材用接着性組成物を組合せて義歯床用材料との接着性能を評価した結果、接着強度が13.1〜16.7MPaを示し、それ以外の義歯床裏装材を使用した場合(実施例1〜14)に比較して特に優れた接着性を示すことがわかった。また、実施例15と比較例8〜10の対比、実施例18と比較例11〜13の対比あるいは実施例21と比較例14〜16の対比から、義歯床裏装材用硬化性組成物においても、重合体および重合性単量体を含む義歯床裏装材用接着性組成物を用いた場合に、接着強度および接着耐久性が優れたものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部、重合体0.1〜35重量部およびラジカル重合性単量体0.1〜100重量部を含有することを特徴とする義歯床裏装(relining)材用接着性組成物。
【請求項2】
ハロゲン原子を含有しない有機溶剤が炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびカルボン酸エステル類よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の接着性組成物。
【請求項3】
重合体が(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの重合単位を含む単独重合体または共重合体である請求項1に記載の接着性組成物。
【請求項4】
ラジカル重合性単量体が単官能性もしくは多官能性(メタ)アクリル系単量体である請求項1に記載の接着性組成物。
【請求項5】
ハロゲン原子を含有しない有機溶剤100重量部、重合体0.1〜35重量部およびラジカル重合性単量体0.1〜100重量部を含有してなりそして義歯床裏装材用接着剤であることを特徴とする接着性組成物。
【請求項6】
ハロゲン原子を含有しない有機溶剤が炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の接着性組成物。
【請求項7】
重合体が(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの重合単位を含む単独重合体または共重合体である請求項5に記載の接着性組成物。
【請求項8】
ラジカル重合性単量体が単官能性もしくは多官能性(メタ)アクリル系単量体である請求項5に記載の接着性組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の接着性組成物を、義歯の口腔粘膜と接触する面上に塗布して該面上に重合体とラジカル重合性単量体からなる塗膜を形成せしめることを特徴とする、義歯の所定面上に接着性塗膜を形成する方法。
【請求項10】
請求項1に記載の接着性組成物の義歯床裏装材用接着剤としての使用。

【公開番号】特開2008−214359(P2008−214359A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120355(P2008−120355)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【分割の表示】特願2002−547446(P2002−547446)の分割
【原出願日】平成13年12月3日(2001.12.3)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【出願人】(391003576)株式会社トクヤマデンタル (222)
【Fターム(参考)】