説明

義眼及び該義眼を備えた人形の頭部並びに該義眼を備えた人形

【課題】 人間の眼が有する透明感や立体感を再現でき、かつ、量産する場合にも品質を一定に保持できる義眼及び該義眼を装着した人形の頭部並びに該義眼を装着した人形を得る。
【解決手段】前側にドーム面を有する本体と、本体のドーム面に形成された凹部に嵌め込まれる装飾体と、装飾体の前面に密着されるレンズ体とを備えた義眼において、装飾体を着色された透過性を有する素材によって前後方向に厚みを変化させて形成し、装飾体の色彩の濃淡を厚みに応じて変化させる。なお、人形及び人形の頭部については、前記義眼を粘着剤等によって固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義眼及び該義眼を備えた人形の頭部並びに該義眼を備えた人形に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、人形の眼を構成する義眼は、その人形の表情に大きく影響を与えるパーツであることから、人形を構成する他のパーツに比べて特に重要なパーツと言える。この重要なパーツである義眼として従来からガラス製の義眼が高い評価を得ており、多くの人形に採用されている。
【0003】
ガラス製の義眼は、白色ガラスを球体状に成形し、その球体に窪みを形成して該窪み内に着色透明ガラスを押し当て伸ばして虹彩を形成し、虹彩上に黒色ガラスを乗せて瞳を形成した後、窪みを満たすように無色透明ガラスをレンズ状に盛ることによって形成されるものであり、ガラス独特の質感によって人間の眼に近い透明感や立体感を再現することができる。
【0004】
しかし、前記ガラス製の義眼は、ガラス職人が一つ一つ手作りで製作するため、品質を一定に保つことが殆ど不可能であり、同じものが一対必要となる人形の義眼を形成する際には、サイズや模様などをできるだけ合わせて複数の義眼を作製し、その中から酷似した一対を選択するしか方法がなく、生産効率が非常に悪いことから、非常に高価なものとなっていた。
【0005】
このため、ガラス製の義眼に代わる人形の義眼として、品質を一定に保つことができる合成樹脂製の義眼が多数開発されている。
【0006】
例えば、後出特許文献1には、人形用の眼球であって、白目部分を形成する白色に着色されたシリコンゴム、及び当該白色に着色されたシリコンゴムを覆う目の角膜部分に相当する透明なシリコンゴムからなり、これらのシリコンゴムの硬度が、ショアA硬度で1〜50の範囲にあり、かつ白色に着色されたシリコンゴムのショアA硬度が透明なシリコンゴムのショアA硬度よりも小さく、白色に着色されたシリコンゴムと、透明なシリコンゴムの間に目の虹彩を形成するための虹彩用フィルムが接合されている人形用の眼球が開示されている。
【0007】
また、後出特許文献2には、塩化ビニール等の合成樹脂製の円形白色基片と塩化ビニール等の合成樹脂製のドーム形透明覆片とが合して形成する空室内に虹彩中片を固定して封入した装飾用目であって、虹彩中片が、周辺部に形成した環状立上り部分の内周縁に連続して逆円錐形面を形成し、この逆円錐形面の中央の小円形部以外の部分にエンボス加工を施して凹凸を放射上に配列するとともに、上記小円形部の下面に塗料等で黒色の円形着色部を形成したものが開示されている。
【0008】
さらに、後出特許文献3には、透明ドームからなるドーム形透明覆片の外周側部と透明ドームからなる着色部を有するドーム形透明中片の外周側部、および下面に短繊維群を植毛した円形不透明基片の外周縁部とがそれぞれ接着され、円形不透明基片とドーム形透明覆片とが合して形成する空室内にドーム形透明中片を固定封入してなる装飾用目であって、ドーム形透明中片の着色部の中央にこの着色部とは異色で円形の着色部を設け、また、着色部の周囲に複数本の細線を放射状に設けた装飾用目が開示されている。
【特許文献1】特開2006−158495号公報
【特許文献2】特開昭54−144240号公報
【特許文献3】実開昭53−66389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、前記特許文献1に開示された人形用の眼球においては、瞳が虹彩を描いた又は印刷した紙や合成樹脂フィルムなどの虹彩フィルムを平坦に貼り付けることによって表現されているため、かかる人形用の眼球を目視した際には、瞳に人間の眼のような立体感を再現できないという問題点があった。
【0010】
また、前記特許文献2及び3に開示された装飾用目においては、瞳が円錐凹状やドーム状の板に虹彩を描いた虹彩中片(ドーム形透明中片)によって表現されているが、その虹彩中片を被覆するドーム形透明覆片がレンズ状に形成されていないため、かかる人形用の眼球を目視した際には、瞳に人間の眼のような立体感を再現できないという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、人間の眼が有する透明感や立体感を再現でき、かつ、量産する場合にも品質を一定に保持できる義眼を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、前側にドーム面を有する本体と、本体のドーム面に形成された凹部に嵌め込まれる装飾体と、装飾体の前面に密着されるレンズ体とを備えた義眼において、装飾体を着色された透過性を有する素材によって前後方向に厚みを変化させて形成すれば、装飾体の色彩の濃淡が厚みに応じて変化して人間の眼が有する透明感や立体感を機械的に再現することができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0013】
即ち、本発明に係る義眼は、前側にドーム面を有する本体と、本体のドーム面に形成された凹部に嵌め込まれる装飾体と、装飾体の前面に密着されるレンズ体とを備えており、装飾体が着色された透過性を有する素材によって前後方向の厚みを変化させて形成されており、装飾体の色彩の濃淡が厚みに応じて変化しているものである。
【0014】
また、本発明は、前記義眼において、装飾体の一部又は全部が厚みを連続的に変化させて形成されており、当該一部又は全部の色彩の濃淡が厚みに応じてグラデーション状に変化しているものである。
【0015】
また、本発明は、前記いずれかの義眼において、装飾体が同心状に厚みを変化させて形成されているものである。
【0016】
また、本発明は、前記いずれかの義眼において、本体の凹部と装飾体との接合面に着色層が形成されているものである。
【0017】
また、本発明に係る人形の頭部は、前記いずれかの義眼を備えたものである。
【0018】
また、本発明に係る人形は、前記いずれかの義眼を備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装飾体を着色された透過性を有する素材によって前後方向の厚みを変化させるように形成したので、装飾体の色彩の濃淡が厚みに応じて変化し、これにより、レンズ体のレンズ効果と相まって人間の眼が有する透明感や立体感を再現することができる。また、装飾体は、金型等によって機械的に同形状のものを量産することができるため、義眼の瞳模様を一定に保つことができ、品質を一定に保つことができる。
【0020】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
実施の形態1.
【0023】
図1は本実施の形態に係る義眼を示した分解斜視図である。図2は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。図3は図2に示す義眼を組み立てた状態を示した断面図である。図4は本実施の形態に係る義眼を人形に装着した状態を示した断面図であり、図中、人形を構成する頭部以外の部材は省略されている。これらの図において、1は、球体状に形成された本体2と、本体2の前側のドーム面3に形成された凹部4に嵌め込まれる装飾体5と、装飾体5の前面6に位置付けられたレンズ体7とからなる義眼である。
【0024】
本体2は、義眼の白眼を形成する役割を果たしている。本体2のドーム面3には、瞳を構成する各部材が嵌め込まれる凹部4が形成されている。そして、凹部4は、球面状に突出した底面8に向かって円柱状に窪んでいる。なお、本体2を形成する素材としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びスチロール樹脂などの合成樹脂、ガラス、陶器などを採用することができる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂を採用することがより好ましい。
【0025】
装飾体5は、義眼の虹彩を形成する役割を果たしている。装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が球面状に窪んでいると共に、後面9が凹部4の底面8に合致する球面状に形成されている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって除々に厚みが同心状に薄くなっている。また、装飾体5の最も厚みが薄くなる中心に前・後面6,9を貫通する通孔10が形成されている。なお、装飾体5を形成する素材としては、着色された透過性を有する素材を選択すればよい。具体的には、着色された透明又は半透明の素材を選択すればよく、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びスチロール樹脂などの合成樹脂、ガラスを選択すればよい。合成樹脂としては、スチロール樹脂を採用することがより好ましい。
【0026】
レンズ体7は、両凸レンズ状に形成されている。そして、レンズ体7は、前面11が本体2よりも小さい曲率半径を有する球面状に形成されており、後面12が装飾体5の球面状に窪んだ前面6と同じ曲率半径を有する球面状に形成されている。また、レンズ体7には、後面9の中心に窪みが形成されており、その窪みの内面を透過性を有しない素材で着色することによって瞳孔13が形成されている。なお、レンズ体7を形成する素材としては、透過性を有する素材を選択すればよい。具体的には、透明の素材を選択すればよく、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びスチロール樹脂などの合成樹脂、ガラスを選択すればよい。合成樹脂としては、エポキシ樹脂を採用することがより好ましい。
【0027】
次に、本実施の形態に係る義眼1の製作手順を説明する。
【0028】
先ず、本体2の凹部4を無色透明な接着剤で満たした後、予め凹部4を満たした接着剤と同じ接着剤に浸した装飾体5を凹部4に嵌め込む。この時、凹部4と装飾体5の対向する面が合致すると共に、装飾体5の通孔10から空気が抜けて両部材の間に形成される隙間が接着剤によって満たされた状態となる。次に、装飾体5と同様に予め凹部4を満たした接着剤と同じ接着剤に浸したレンズ体7を装飾体5に嵌め込む。この時、装飾体5とレンズ体7の対向する面が合致すると共に、両部材の間に形成される隙間が接着剤によって満たされた状態となる。そして、最後に組み立てられた義眼1の表面を接着剤によってコーティングして乾燥させることによって義眼が完成される。
【0029】
なお、接着剤としては、無色透明なものが好ましく、具体的には、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂などの合成樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が最も好ましい。
【0030】
本実施の形態に係る義眼1は、図4に示すように、中空状に形成された頭部14の内部から粘着剤15で固定することによって人形の頭部に装着される。なお、頭部14に対する義眼1の固定方法は特に限定されない。
【0031】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から中心に向かって連続的に厚みが薄くなっているため、瞳の色彩が周縁から中心に向かってグラデーション状に淡くなり、色彩が最も薄くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0032】
なお、本実施の形態に係る義眼1においては、本体2と装飾体5との接合面に着色層を設けてもよい。着色層は、本体2側に積層してもよく、装飾体5側に積層してもよく、また、着色層となるシート体を両部材によって挟み込んでもよい。なお、本体2側に積層する場合には、凹部4の底面8や側面15に積層すればよく、装飾体5側に積層する場合には、装飾体5の後面9や側面16に積層すればよい。
【0033】
また、装飾体5とレンズ体7との接合面に着色層を設けてもよい。着色層は、装飾体5側に積層してもよく、また、レンズ体7側に積層してもよく、また、着色層となるシート体を両部材によって挟み込んでもよい。なお、装飾体5側に積層する場合には、装飾体5の前面6に積層すればよく、レンズ体7側に積層する場合には、レンズ体7の後面12に積層すればよい。この場合、着色層によって装飾体5の全部が隠れる場合には、着色層は透過性が必要となる。よって、着色層によって装飾体5の全部が隠れない場合には、着色層は透過性の有無が問われない。
【0034】
着色層の形成方法としては、各部材の該当する面に塗料で模様や色彩を付す方法や、模様や色彩が付されたシールを貼り付ける方法の他、各部材の該当する面に模様状の溝を彫って該溝に塗料を流し込む方法などがある。
【0035】
実施の形態2.
【0036】
図5は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。この図において、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0037】
本実施の形態に係る義眼1は、図5に示すように、本体2の凹部4が半楕円体状に窪んでいる。そして、装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように半楕円体状に形成されており、前面6が球面状に窪んでおり、後面9が凹部4に合致する半楕円面状に形成されている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって除々に厚みが厚くなるように形成されている。
【0038】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から中心に向かって連続的に厚みが厚くなっているため、瞳の色彩が周縁から中心に向かってグラデーション状に濃くなり、色彩が最も濃くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0039】
実施の形態3.
【0040】
図6は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。この図において、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0041】
本実施の形態に係る義眼1は、図6に示すように、本体2の凹部4が底面8に向かって円柱状に窪んでおり、底面8はうねるように湾曲して円筒状の突起17が形成されている。そして、装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が球面状に窪んでいると共に、後面9はうねるように湾曲して凹部4の底面8に合致する円筒状の溝18が形成されている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって同心状に厚薄を繰り返しており、周縁から円筒状の溝18まで除々に薄くなった後に中心に向かって除々に厚くなるように形成されている。換言すれば、装飾体5は、一点を中心点として該中心点から周縁に向かって同心状に厚みを変化させて形成されている。
【0042】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から円筒状の溝18まで除々に薄くなった後に中心に向かって除々に厚くなっているため、瞳の色彩が周縁からグラデーション状に淡くなって淡色のリング模様を形成した後に中心に向かってグラデーション状に濃くなり、色彩が最も濃くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0043】
実施の形態4.
【0044】
図7は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。この図において、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0045】
本実施の形態に係る義眼1は、図7に示すように、本体2の凹部4が底面8に向かって円柱状に窪んでおり、底面8はうねるように湾曲して円筒状の溝19が形成されている。そして、装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が球面状に窪んでいると共に、後面9はうねるように湾曲して凹部4の底面8に合致する円筒状の突起20が形成されている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって厚薄を繰り返しており、周縁から円筒状の突起20まで除々に厚くなった後に中心に向かって除々に薄くなるように形成されている。
【0046】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から円筒状の突起20まで除々に厚くなった後に中心に向かって除々に薄くなっているため、瞳の色彩が周縁からグラデーション状に濃くなって濃色のリング模様を形成した後に中心に向かってグラデーション状に淡くなり、色彩が最も淡くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0047】
実施の形態5.
【0048】
図8は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。この図において、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0049】
本実施の形態に係る義眼1は、図8に示すように、本体2の凹部4が球面状の底面8に向かって円柱状に窪んでいる。そして、装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が球面状に突出していると共に、後面9が凹部4の底面8に合致する球面状に形成されている。なお、装飾体5の後面9は前面6に比べて曲率半径が小さくなっている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって除々に厚みが薄くなるように形成されている。また、レンズ体7は、球面レンズ状に形成されている。そして、レンズ体7は、前面11が本体2よりも小さい曲率半径を有する球面状に形成されており、後面12が装飾体5の球面状に突出した前面6と同じ曲率半径を有する球面状に形成されており、前面11は後面12に比べて曲率半径が小さくなっている。
【0050】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から中心に向かって無段階的に厚みが薄くなっているため、瞳の色彩が周縁から中心に向かってグラデーション状に淡くなり、色彩が最も淡くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0051】
実施の形態6.
【0052】
図9は本実施の形態に係る義眼を示した分解断面図である。この図において、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0053】
本実施の形態に係る義眼1は、図9に示すように、本体2の凹部4が球面状の底面8に向かって円柱状に窪んでいる。そして、装飾体5は、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が平坦になっていると共に、後面9が凹部4の底面8に合致する球面状になっている。よって、装飾体5は、周縁から中心に向かって除々に厚みが薄くなるように形成されている。また、レンズ体7は、凸レンズ状に形成されている。そして、レンズ体7は、前面11が本体2よりも小さい曲率半径を有する球面状に形成されている。
【0054】
本実施の形態に係る義眼1によれば、装飾体5が周縁から中心に向かって連続的に厚みが薄くなっているため、瞳の色彩が周縁から中心に向かってグラデーション状に淡くなり、色彩が最も淡くなる中心にレンズ体7のレンズ効果によって瞳孔13が浮いた状態で見える。
【0055】
実施の形態7.
【0056】
本実施の形態は前記実施の形態6における装飾体の変形例である。図10は前記実施の形態6における装飾体の変形例を示した斜視図であり、後面から目視した状態を示している。この図において、図9と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0057】
本実施の形態に係る装飾体5は、図10に示すように、本体2の凹部4に嵌るように円柱状に形成されており、前面6が平坦になっており、底面8は球面状になっていると共に該球面を切り取るように十字状に切欠部21が形成されている。従って、装飾体5の切欠部21によって球面を切り取られた部分は厚みが変化していない。
【0058】
本実施の形態に係る装飾体5を備えた義眼1によれば、装飾体5の底面8における球面状に形成された部分にいては周縁から中心に向かって連続的に厚みが薄くなっているため、瞳の色彩が周縁から中心に向かってグラデーション状に薄くなり、また、装飾体5の底面8における切欠部21が形成された部分については厚みが同一であるため、瞳の色彩に濃度の変化が生じない。よって、当該義眼1は、周縁から中心に向かってグラデーション状に色彩の濃度が淡く変化する部分と、周縁から中心に向かって色彩の濃度が変化しない部分とが交互に配置された状態となる。
【0059】
なお、前記各実施の形態においては、前面視円形状の装飾体5を用いたが、これに限定されることなく、前面視楕円形状や前面扇状などの他の前面視形状を有する装飾体5を用いてもよい。
【0060】
また、前記各実施の形態においては、球体状の本体2を用いたが、本体2は前側がドーム面3になっていれば、後側の形状は特に限定されない。
【0061】
また、前記各実施の形態においては、本体、装飾体及びレンズ体の各部材が密着するように形成されているが、各部材が密着せずに隙間が生じる場合には、当該隙間を接着剤で満たせばよい。
【0062】
また、前記各実地の形態においては、装飾体の前面や後面を無段階的に湾曲させて厚みを変化さているが、目視した際に瞳の色彩がグラデーション状に変化するものであれば、多段階的に湾曲させて厚みをを変化させたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態1に係る義眼を示した分解斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る義眼を示した分解断面図である。
【図3】図2に示す義眼を組み立てた状態を示した断面図である。
【図4】実施の形態1に係る義眼を人形に装着した状態を示した断面図である。
【図5】実施の形態2に係る義眼を示した分解断面図である。
【図6】実施の形態3に係る義眼を示した分解断面図である。
【図7】実施の形態4に係る義眼を示した分解断面図である。
【図8】実施の形態5に係る義眼を示した分解断面図である。
【図9】実施の形態6に係る義眼を示した分解断面図である。
【図10】実施の形態6における装飾体の変形例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 義眼
2 本体
3 ドーム面
4 凹部
5 装飾体
6 前面
8 底面
9 後面
10 通孔
11 前面
12 後面
13 瞳孔
14 頭部
15,16 側面
17,20 突起
18,19 溝
21 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側にドーム面を有する本体と、本体のドーム面に形成された凹部に嵌め込まれる装飾体と、装飾体の前面に位置付けられるレンズ体とを備えており、装飾体が着色された透過性を有する素材によって前後方向の厚みを変化させて形成されており、装飾体の色彩の濃淡が厚みに応じて変化していることを特徴とする義眼。
【請求項2】
装飾体の一部又は全部が厚みを連続的に変化させて形成されており、当該一部又は全部の色彩の濃淡が厚みに応じてグラデーション状に変化している請求項1記載の義眼。
【請求項3】
装飾体が同心状に厚みを変化させて形成されている請求項1又は2のいずれかに記載の義眼。
【請求項4】
本体と装飾体との接合面又は/及び装飾体とレンズ体との接合面に着色層が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の義眼。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載された義眼を備えた人形の頭部。
【請求項6】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載された義眼を備えた人形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−247798(P2009−247798A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102735(P2008−102735)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(399110362)株式会社ボークス (14)
【Fターム(参考)】