説明

義足用エアシリンダ装置の内圧を確保する方法および装置

【課題】空気ばね作用を生ずべき室の内圧を有効に確保する。
【解決手段】義足用エアシリンダ装置110の作動時、クッション室83が負圧傾向になる。この発明では、その負圧と外気圧(大気圧)との差圧を利用し、クッション室83に差圧分の外気を導入する。そのため、クッション室83に対し、逆止弁95付きの新たな通路85を設ける。また、静止時の内圧を大気圧にするため、クッション室83に対し洩れ通路を設けるのが好ましい。洩れ通路として、たとえば、ピストンロッド周りのダストシール116の通気性を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大腿側の部材と下腿側の部材とがひざの部分で屈曲可能な義足の動きを補助する義足用エアシリンダ装置において、ピストンが区画する室の内圧を有効に確保するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大腿義足の一つとして、ひざの伸展および屈曲を伴う義足がある。この義足は、大腿側の部材と下腿側の部材とが相対的に揺動する動きをする。そのような義足の動きを自然の歩容に近づけるため、大腿側、下腿側の両部材間に補助装置を連結する。一般的な補助装置は、油圧あるいはエアを用いるシリンダ装置である。
【0003】
油圧シリンダ装置の作動流体であるオイルが非圧縮性であるのに対し、エアシリンダ装置の作動流体である空気は圧縮性である。それらの特性の違いから、各シリンダ装置には、互いに異なる利点がある。ここで問題とするエアシリンダ装置は、油圧シリンダ装置に比べて軽量であり、しかもまた、歩行に適した機能を発揮する。すなわち、エアシリンダ装置は、空気の圧縮に伴う圧縮エネルギー(つまり、空気ばね作用)により、ひざの伸展の最終段階で伸展に抗する緩衝力(以下、この緩衝力をクッション力とも言う)を生じ、また、ひざが最大に屈曲した後、伸展に移る際に反発力を生じ、伸展を有効に助勢する。
【0004】
このようなエアシリンダ装置の利点は、ひざの伸展および屈曲を伴う義足のいろいろなタイプのものに生かすことができる。たとえば、ひざの屈曲の角度が変わっても回転中心が一定の単軸の義足(特許文献1、特許文献3の図4)、ひざの屈曲の角度に応じて回転中心が変化する多軸の義足(特許文献2、特許文献3の図1)、さらには、屈曲状態を完全にロックする義足(特許文献1、特許文献3の図4)のほか、屈曲可能な状態に柔軟にロックする義足(いわゆるイールディング義足であり、特許文献4を参照)など広範囲に適用することができる。
【特許文献1】特開平9−551号公報
【特許文献2】特許平11−285508号公報
【特許文献3】特開2001−137268号公報
【特許文献4】特開2004−167106号公報
【0005】
また、ここで問題とするエアシリンダ装置は、内部のピストンが静止する非作動時には、作動流体である空気の圧力が大気圧である(そこで、大気圧タイプと言うことができる)。その点、義足用のエアシリンダ装置の中には、作動流体である空気を大気圧を超える圧縮状態で内部に封入した加圧タイプのものも知られている(特許文献5)。そのような加圧タイプのものと比べると、静止時の内圧を大気圧に設定したエアシリンダ装置は、空気洩れの心配がなく、しかも、耐圧性にこだわる必要がないので、装置の設計上、非常に有利である。
【特許文献5】米国特許第5,904,721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者等は、大気圧タイプの義足用エアシリンダ装置の機能向上を図るため、歩行速度を大きく変化させたとき、前記した伸展に抗する緩衝力や伸展に移る際の反発力に何か不都合が生じないかについて繰り返しテストを行い検討した。その結果、次のような発見をした。すなわち、それらの緩衝力や反発力は、歩行速度が比較的に小さい段階では有効に働くが、歩行速度が大きくなり、たとえば小走りするような速度になると、ねらいとする空気ばね作用が得られなくなる傾向があることを見出した。
【0007】
そして、その問題をさらに追求したところ、ピストンが区画する各室間を空気がうまく循環しなくなることに起因していることが判明した。さらに言えば、各室間の空気の循環あるいは流通がピストンの速い動きに追随することができなくなり、空気ばね作用を生ずべき室中の空気濃度が低くなる(あるいは、負圧になる)事態を生じるのである。そのため、有効な空気ばね作用を得ることができず、義足装着者が歩行するとき、たとえば踵の接地時の衝撃が大きくなり、歩行に違和感を生じてしまう。
【0008】
そこで、この発明は、そのような負圧になる事態を防ぎ、空気ばね作用を生ずべき室の内圧を有効に確保することができる技術を提供することを目的とする。
また、この発明は、既存のエアシリンダ装置に容易に適用することができる技術を提供することを他の目的とする。
この発明のその他の目的については、今後の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、大気圧タイプの義足用エアシリンダ装置を前提とする。このタイプの装置では、内部のピストンが静止する非作動時、作動流体である空気の圧力は大気圧である。ピストンが作動し、シリンダ本体の内部の室の容積が変化するとき、空気は、圧縮状態あるいは非圧縮状態になる。圧縮状態の空気は、空気ばねとなり、その空気ばね作用が前記した緩衝力や反発力を生じる。
【0010】
一方、非圧縮状態の空気は、通常、大気圧付近にある、と考えられる。その考えは、歩行速度が一般的な範囲内(たとえば、ゆっくりと歩く段階から少し足を速めて歩く段階までの範囲)では妥当である。しかし、小走りするような走る段階になると、室の内圧が負圧になる。この発明では、その現象に着目し、内部の負圧と外部の大気圧との差圧を積極的に利用し、負圧の室に外気を導入する。それによって、所定の内圧を確保し、歩行速度を速めた場合でも有効な空気ばね作用を生じるようにする。別にいうと、この発明は、義足装着者の歩行時の動きを活用して、空気ばね作用を補助するという考え方を採る。
【0011】
負圧−大気圧の差圧に応じて外気を導入するため、この発明では、空気ばね作用を生じる室に対し、逆止弁付き通路を設ける。その通路は、シリンダ本体の内外を連絡する通路であり、外は外気に通じ内は空気ばね作用を生じる室に通じる。また、逆止弁は、外から内への流れを許し、内から外への逆の流れを禁止する。そのような逆止弁は、通路の途中に配置することができる。
【0012】
また、静止時の内圧を大気圧にするため、空気ばね作用を生じる室に対し洩れ通路を設けるのが好ましい。ピストンの非作動時に、余分な空気をその洩れ通路を通してシリンダ本体の外部に逃がし、静止時の内圧を常に大気圧にするためからである。洩れ通路としては、シリンダ本体に加工した孔を利用することもできるが、ピストンロッド周りのシールとしてダストシール(つまり、エアタイトにするほどのシール力はないが、ダストをシールことができるシール)を用い、そのダストシールの通気性を利用することもできる。勿論、洩れ通路は、逆止弁付き通路を通る流れ抵抗よりも大きな流れ抵抗をもつ。
【0013】
なお、流れ抵抗の小さい逆止弁付き通路には、異物の侵入を防止する手段を設けるのが良い。異物防止手段としては、フィルタあるいは入り組んだ迂回通路などを利用することができる。好ましくは、内部に錯綜した多数の小通路をもつフィルタ部材、たとえば、通路内に圧縮状態で詰め込んだ合成ゴムを用い、異物を除去することに加え、外気を吸入する際の吸入音を低減するようにすると良い。
【0014】
この発明は、義足用エアシリンダ装置に広く適用することができるが、特には、シリンダヘッド側あるいはシリンダボトム側のいずれかにクッション室をもつものに適用することによって、その利点を有効に生かすことができる。換言すれば、この発明は、作動に伴ってシリンダ本体の内部に負圧を生じるものに適用することができるが、その負圧がより大きい場合に特に有効である。
【実施例】
【0015】
図1は、この発明を適用した大腿義足の一例である。大腿義足500は、大腿側の部材であるプラスチック製のソケット520と、下腿側の部材であるフレーム540とを備える。フレーム540は、カーボンファイバー等からなり、その下端に足部560を支持する。フレーム540とソケット520とは、ひざ部分に位置する一本のピン(つまり、単軸)530によって結合され、そのピン530を中心に屈曲可能である。
【0016】
そのような大腿義足500は、フレーム540の後側にエアシリンダ装置10を携えている。そのエアシリンダ装置10が、フレーム540とソケット520とがピン530を中心に揺動(つまり、屈曲および伸展)することを補助する。エアシリンダ装置10の上部支持点550は、ピン530の後方のソケット520の下端に位置し、また、もう一つの下部支持点570は、フレーム540の長手方向中頃に位置する。大腿義足500の屈曲、伸展に伴って、エアシリンダ装置10のシリンダ長(つまり、上部支持点550と下部支持点570との間の距離)が変化する。そして、シリンダ長の変化は、内部の空気を圧縮状態あるいは非圧縮状態にし、圧縮状態の空気が空気ばね作用を生じ、大腿義足500のひざの伸展および屈曲を補助する。
【伸展の最終段階における内圧の確保】
【0017】
図2は、この発明の第1の適用例であり、シリンダヘッド側にクッション室を含むエアシリンダ装置の断面構造図を示す。エアシリンダ装置110は、アルミニューム合金あるいはエンジニアリングプラスチックからなる筒型のシリンダ本体112を備える。シリンダ本体112は、内部の径が一様なシリンダチューブ112cと、シリンダチューブ112cの各端部に位置し、それらの各端部を閉じるヘッド部112hおよびボトム部112bとを含む。シリンダ本体112の内部にピストン等の部品を組み込むため、ヘッド部112hおよびボトム部112bの少なくとも一方、一般にはヘッド部112hがシリンダチューブ112cから分離可能になっている。ヘッド部112hは、通常、シリンダチューブ112cに対してねじ結合される。
【0018】
そのようなシリンダ本体112の内部にピストン113がはまり合っている。ピストン113は、外周にシールリング113sを保持し、ヘッド側の第1室(伸展側の室)81とボトム側の第2室(屈曲側の室)82とに密に区画する。ピストン113は、シリンダチューブ112cの軸線方向に移動可能であり、移動に伴って各室81,82の容積を変化させる。
【0019】
内部のピストン113からピストンロッド114が延びる。ピストンロッド114は、ピストン113を支持する大径な部分1140と、その大径な部分1140の一端から延びる小径なロッド部1141とを含む。小径なロッド部1141は、ヘッド部112hの中心孔1120を貫通し、シリンダ本体112の外部に延びる。外部に延びる小径なロッド部1141の端部にラグ1142がある。このラグ1142は、ピストンロッド114をソケット520側に連結するための部材であり、上部支持点550を構成する部分である。
【0020】
ここで、中心孔1120の部分に位置し、小径なロッド部1141の周りをシールするシールリング116はダストシールである。すでに述べたように、ダストシールは、完全なエアタイトにするだけのシール機能はないが、大気圧タイプのエアシリンダ装置110では、ダストを遮断するだけのシール力で充分である。
【0021】
それに対し、シリンダヘッド部112hのクッション室83の開口部をシールするシールリング118は、ダストシールよりも充分なシール力をもつ。クッション室83は、ピストン113がはまり合うシリンダ本体112の内側の孔より小さく、中心孔1120よりも大きな中径な孔である。その中径な孔は、ピストンロッド114の大径な部分1140がはまり合う大きさである。中径な孔の中にピストンロッド114の大径な部分1140が入り込み、内部の空気が圧縮状態になることにより、クッション室83は空気ばね作用を生じる。
【0022】
図3は、エアシリンダ装置110に対応する回路図である。図2に加えて図3をも参照しながら、エアシリンダ装置110がもつ流れ通路を明らかにする。まず、ピストン113が区画する第1室81と第2室82との間は、二つの通路で連絡する。一つは、伸展時に第1室81側から第2室82側に空気を流す伸展時の通路101である。その通路101は、ピストンロッド114およびピストン113の部分に位置する。通路101は、ピストンロッド114の大径な部分1140の中心を貫き、その一端はピストン113を貫いて第2室82に開口し、他端は小径なロッド部1141を径方向に横断するようにして第1室81に開口している。通路101には逆止弁91があり、第1室81側から第2室82側に向かう流れを許し、反対方向への流れを禁止する。逆止弁91は、弁体としてのボール91a、ボール91aに閉じる力を与える弁ばね91b、および弁ばね91bの一端を支えるねじ部材91cを備える。
【0023】
第1室81と第2室82との間を連絡するもう一つの通路は、屈曲時に第2室82側から第1室81側に空気を流す屈曲時の通路102である。屈曲時の通路102は、伸展時の通路101とは反対方向の空気の流れを許し、その反対方向の流れを禁止する。通路102は、シリンダチューブ112cの側壁の中をヘッド側からボトム側へと延びている。その通路102は、ヘッド側ではシリンダヘッド部112hの端面近くの開口102aを通して第1室81に連絡し、ボトム側では、シリンダボトム部112bに収納した逆止弁92および可変絞りバルブ140を通して第2室82に連絡している。可変絞りバルブ140は、ステッピングモータ150によって弁開度を変える可変バルブである。ステッピングモータ150は、歩行速度に応じて可変絞りバルブ140の弁開度を電気的に調整する。
【0024】
次に、クッション室83に関連する通路に注目する。ピストンロッド114の大径な部分1140がクッション室83を閉じるとき、そのクッション室83と第1室81(正確には、ピストン113および大径な部分1140が区画する第1室81)とを連絡する通路84がある。通路84にはクッションバルブ160がある。クッションバルブ160は調整ねじを含む針弁であり、その絞り度合いをシリンダ本体112の外部から調整可能である。クッションバルブ160の絞り度合いを調整することにより、クッション特性を変えることができる。
【0025】
この発明では、クッション室83に対し逆止弁付きの新しい通路85を設けている。新しい通路85は、一端がクッション室83の開口部近くに開口し、他端はシリンダヘッド部112hの端面から外部に連絡する。その通路85には、逆止弁95、およびフィルタ97を配置する。逆止弁95は、外からクッション室83の内への流れを許し、内から外への逆の流れを禁止する。そのような逆止弁95は、前記した他の逆止弁91,92と同様のボール弁である。フィルタ97は、逆止弁95よりも外側の開口側に位置し、逆止弁95側への異物の侵入を防止する。フィルタ97として、軟質発泡ウレタンフォームをたとえば1/10程度に圧縮した形態で詰め込むようにするのが良い。軟質発泡ウレタンフォームは、発泡サイズが小さく、異物に対して充分な気密性をもつし、撥水性があり、義足装着者の汗や汚れなどに対して耐性がある。また、圧縮した形態にし、フィルタ内部に錯綜した微細な通路をもたせることにより、外気導入に伴う吸入音を有効に低減することができる。
【0026】
さて、エアシリンダ装置110は、図4Aおよび図4Bに示すように、大腿義足500が伸展段階から屈曲し始めると、通路102を通して第2室82から第1室81へと空気が流れる。歩行速度が大きくなると、クッション室83および第1室81側が負圧傾向になる。それに応じ、その負圧と大気圧の差分の空気が新しい通路85を通してクッション室83および第1室81側に流入する。
【0027】
また、エアシリンダ装置110は、図5Aおよび図5Bに示すように、大腿義足500が屈曲段階から伸展し始めると、通路101を通して第1室81から第2室82へと空気が流れる。歩行速度が大きい場合、前記した外部からの空気の流入により、その流入した分だけクッション室83および第1室81側の空気が余分になる。そのため、伸展の終わり段階において、クッション室83は充分な空気ばね作用を生じる。と同時に、ダストシール116は、シール能力を超える分の空気を流出する。なお、ダストシール116の部分に洩れ通路があることにより、エアシリンダ装置110の内圧は、ピストン113の静止時に大気圧に戻るので、流入した空気が歩行特性に悪影響を与えることがない。。
【0028】
図6は、エアシリンダ装置110について、大腿義足500の伸展時におけるクッション特性を示している。新たな通路85をもたない場合、クッションバルブ160の調整により特性s、mおよびwのようにクッション力を制御することができるが、歩行速度が大きく変化するとき、すべての範囲で適切には対応することができない。たとえば、歩行速度が遅い(小さい)ときに適切に調整すると、歩行速度が大きい場合に充分なクッション力を得ることができない。それに対し、新たな通路85をもつ場合、特性xが示すように、中間の設定によって、歩行速度の大小広範囲にわたるほぼ全域で適切なクッション力を得ることができる。しかも、外気を導入することから内圧が高まり、最大のクッション力も高まり、伸展最終段階の衝撃(ターミナルインパクト)を有効に防止することができる。
【屈曲の最終段階における内圧の確保】
【0029】
図7は、この発明の第2の適用例であり、ステッピングモータによる電気的な制御をなくし、シリンダボトム側にクッション室を設けたエアシリンダ装置の断面構造図を示す。すべてを機械的な構成としたエアシリンダ装置210も、全体的には前記したエアシリンダ装置110と多くの部分を共通にしている。そこで、同様の部分に同一の符号を付け、それらの説明を省略する。
【0030】
対応する回路図を示す図8をも参照しながら、このエアシリンダ装置210の特徴を明らかにしよう。エアシリンダ装置210では、シリンダボトム側にクッション室283を設け、そのクッション室283に対して逆止弁付きの新たな通路285を設けている。クッション室283は、屈曲後に続く伸展段階で有効な反発力を得るための室である。そのため、クッション室283には、二つの絞りバルブ2140,2160が関係する。第1の絞りバルブ2140は、伸展時の通路101に介在するバルブである。また、もう一つの第2の絞りバルブ2160は、クッションバルブ160に相当するバルブである。有効なクッション力を発生させるため、第2の絞りバルブ2160の絞り量を第1の絞りバルブ2140の絞り量よりも大きく設定することが必要である。
【0031】
図9は、横軸に歩行サイクル、縦軸に圧力をそれぞれ取り、エアシリンダ装置210の作動特性を示している。ピストン113に隣り合うロッド部分1140’がクッション室283に突入すると、下腿側の第2の室82が二分される。それにより、ロッド部分1140’の周りの室は、第2の絞りバルブ2160によって閉じられ、特性pのように圧力を上昇する。それに対し、クッション室283の圧力は、特性qのように負圧になる傾向がある。しかし、エアシリンダ装置210には、逆止弁付きの新たな通路285があるため、その通路285を通して負圧と大気圧との差圧分だけの外気がクッション室283に導入される。そのため、通路285がない場合のような負圧化する傾向が抑制され、特性rのようにクッション室283は大気圧相当の圧力を維持する。したがって、屈曲から伸展に移る際、ピストン113は有効な反発力を受け、エアシリンダ装置210は伸展を効果的に補助することになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明を適用した大腿義足の一例である。
【図2】この発明の第1の適用例であり、シリンダヘッド側にクッション室を含むエアシリンダ装置の断面構造図を示す。
【図3】図2のエアシリンダ装置に対応する回路図である。
【図4A】図2のエアシリンダ装置の屈曲当初の作動状態を示す図である。
【図4B】図2のエアシリンダ装置の屈曲終盤の作動状態を示す図である。
【図5A】図2のエアシリンダ装置の伸展当初の作動状態を示す図である。
【図5B】図2のエアシリンダ装置の伸展終盤の作動状態を示す図である。
【図6】図2のエアシリンダ装置の伸展時におけるクッション特性を示す図である。
【図7】この発明の第2の適用例であり、シリンダボトム側にクッション室を含むエアシリンダ装置の断面構造図を示す。
【図8】図7のエアシリンダ装置に対応する回路図である。
【図9】図7のエアシリンダ装置の作動特性を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
500 大腿義足
520 ソケット(大腿側の部材)
540 フレーム(下腿側の部材)
10,110,210 エアシリンダ装置
81 第1室(伸展側の室)
82 第2室(屈曲側の室)
83,283 クッション室
85,285 新しい通路
95 逆止弁
97 フィルタ
101 伸展時の通路
102 屈曲時の通路
112 シリンダ本体
113 ピストン
116 シールリング(ダストシール)
140 可変絞りバルブ
160 クッションバルブ
2140 第1の絞りバルブ
2160 第2の絞りバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿側の部材と下腿側の部材とがひざの部分で屈曲可能な義足の動きを補助するためのエアシリンダ装置であって、
内部空間をもつシリンダ本体と、そのシリンダ本体の内部空間を少なくとも2つの室に区画するピストンと、それらの各室の中に入り、各室間を循環可能な空気であり、前記ピストンの作動に伴って各室の容積を変化させ、それによって圧縮状態あるいは非圧縮状態になる空気とを備え、
その空気は、前記ピストンの非作動時には大気圧であり、前記ピストンの作動時、前記圧縮状態の空気が生じる空気ばね作用によって、前記義足のひざの伸展および屈曲を補助するものにおいて、
その中の空気が空気ばね作用を生じる室に対し、前記シリンダ本体の外部と連絡する逆止弁付き通路を設け、
その空気ばね作用を生じる室が容積を変化する際、その室の中が負圧になることを利用し、前記通路を通して前記シリンダ本体の内部の室に外気を吸入することを特徴とする、義足用エアシリンダ装置の内圧を確保する方法。
【請求項2】
前記中の空気が空気ばね作用を生じる室は、前記ピストンの非作動時に中の圧力を大気圧にするための洩れ通路を通して前記シリンダ本体の外部と連絡している、請求項1の方法。
【請求項3】
前記空気ばね作用を生じる室は、前記シリンダ本体のシリンダヘッド側のクッション室である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記空気ばね作用を生じる室は、前記シリンダ本体のシリンダボトム側のクッション室である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記請求項1の方法を実施するためのエアシリンダ装置であって、前記逆止弁付き通路が、前記シリンダ本体の外から内への流れを許し、内から外への流れを禁止する逆止弁と、その逆止弁よりも外側に位置し、外から内へと異物が侵入することを防止する異物防止手段を携える、義足用エアシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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