説明

耐力壁パネル

【課題】通風性や採光性を損なうことなく耐震強度を上げることができる耐力壁パネルを提供する。
【解決手段】リブ2を縦横に配置して正方形の開口3を上下かつ左右方向に多数形成した硬質樹脂製であり、斜め一列に延びる開口3にはポリカーボネイト製の透明な補強ピース4が充填され、×印を上下に並設したトラス状の筋交いを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で、通風性及び採光性を有し、耐震や通風強度を備えた耐力壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
耐震性に優れた建築物を建築するためには、外壁はもちろんのこと、建築物内部を仕切る間仕切り壁を耐力壁とし、これら耐力壁をバランスよく配置する必要があるが、従来の耐力壁は盲壁であるため、視界が遮られ、採光ができないし、通風もできなかった。
【0003】
そこで下記特許文献1及び2には、採光や通風が可能な開口を有する耐力壁が提案されている。この耐力壁は全体が鋼または樹脂製で、格子状のリブからなっており、外壁として使用するために開口を光透過性の板材で覆うことも提案されている。
【特許文献1】特開2002−70213号
【特許文献2】特開2006−77565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図12に示される耐力壁のように、開口を板材で覆えば、止水性を有し、耐震強度も向上するが、通風や採光ができなくなる。
【0005】
本発明は、通風性や採光性を損なうことなく耐震強度を上げることができる耐力壁パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、リブを縦横又は斜めに交差して配置して例えば正方形、長方形或いは菱形等の平行四辺形よりなる開口を多数形成した樹脂又は金属製の耐力壁パネルであって、斜め一列又は数列に延びる開口をパネルと同材又は異材で塞いで、筋交いを形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明において、開口を塞ぐ方法としては、例えばパネルと同材又は異材のピースを充填又は嵌着する方法、開口を塞ぐ部分をパネルと一体に形成するか、パネルの成形と同時に形成する方法、等が挙げられる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、開口を塞ぐ部分が光透過性の樹脂で形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、開口を塞ぐピースを一定間隔で複数突設したプレートが各ピースをそれぞれ斜め一列又は数列の各開口に嵌着して取付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、開口が塞がれるのは斜め一列又は数列に延びる開口だけであるため通風性や採光性が損なわれることがないこと、開口を斜めに塞ぐことにより筋交いと同様の機能を果たしてパネルの耐震及び通風強度を増すこと、開口が部分的に塞がれて模様を呈することから、意匠効果をもたらすこと等の効果を奏する。
【0011】
請求項2に係る発明によると、採光性がより向上する。
請求項3に係る発明によると、斜め一列又は数列の開口に各補強ピースを一度で同時に嵌着することが可能であり、作業能率が向上すること、斜めに嵌着させるプレートが筋交いとしての強度を増すことができること等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の耐力壁パネルについて図面により説明する。
図1に示す耐力壁パネル1は、リブ2を縦横に配置して正方形の開口3を上下かつ左右方向に多数形成した鋼製または硬質樹脂製、例えば繊維強化プラスチック、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂製の格子で、斜め一列の開口3には硬質樹脂、好ましくは透明な例えばポリカーボネイト樹脂よりなる正方形の補強ピース4が充填、例えば嵌着して固定されて開口3を塞ぎ、×印を上下に並設したトラス状の筋交いを形成している。
【0013】
本実施形態の耐力壁パネル1によると、土台と梁との間に配置されるパネルは、斜めに配置した補強ピース4が筋交いの機能を果たし、耐震及び耐風強度を増加させること、開口が塞がれるのは斜め一列だけであるため、通風性や採光性が損なわれることがないこと、開口に充填した補強ピース4で×印を上下に並設したトラス形態の模様を呈し、意匠効果をもたらすこと等の効果を有する。
【0014】
開口3を塞ぐ部材としての補強ピース4は、該ピース4の意匠性を際立たせるため、着色したものを使用することもでき、また補強ピース4に孔をあけて柱、梁、土台等に固定の固定金具に取り付けたボルトを通すことでパネル1の固定を容易かつ確実に行うことができ、強度の向上も期待することができる。
またパネル1は、その片面又は両面に止水機能のある板材を取り付けることで外壁材として使用することもできる。
【0015】
図2に示す耐力壁パネル6は、図1に示す耐力壁パネル1において、中央部の上下に正方形の大きな開口7を一対形成し、かつ各開口7の周りの四辺の開口3に補強ピース4を充填してなるもので、補強ピース4が充填されて筋交いとなることによりパネルの強度が上がるため図示するようにパネルの中央部に大きな開口7を形成することができる。
【0016】
上記各実施形態では、筋交いは斜め一列の開口を補強ピース4で充填することによって形成されているが、斜め2列又は3列の開口3を補強ピース4で充填してもよい。これにより筋交いによる強度をより向上させることができる。
【0017】
上記各実施形態ではまた、開口3に樹脂製の補強ピース4を嵌着することにより筋交いを形成しているが、パネル1又は6が鋼製で、開口3及び7を打抜きによって形成する場合、補強ピース4が充填される部分を打ち抜かないで図1又は図2に示す耐力壁パネル1又は6と同様の形態の耐力壁パネルを形成することができ、またパネル1又は6が硬質樹脂製である場合、補強ピース4が充填される部分を一体成形することができる。こうしたものにおいては、補強ピース4を充填する作業を省くことができる。
【0018】
図3に示す耐力壁パネル11は、リブ12を斜めに交差して配置して菱形の開口13を上下かつ左右方向に多数形成した格子の、斜め一列に延びる開口13に同形の補強ピース4を充填して×印を上下に並設したトラス状の筋交いを形成してなるものである。
本実施形態の耐力壁パネル11によると、一定幅の筋交いが形成され、筋交いの強度が向上する。
【0019】
図4は、図1又は図2に示す耐力壁パネル1又は6の開口3に嵌着される補強ピース4をプレート15上に一定間隔で多数、一体に突出形成してなるものの一部を示すものであり、図5は、図4に示すプレート15より突設される各補強ピース4を耐力壁パネル1又は6における斜め一列の各開口3に嵌着した断面を示すもので、本実施形態においては、各補強ピース4を各開口3に一度で同時に嵌着することができ、各補強ピース4を個別に各開口3に嵌着するのと比べ、作業能率が向上すること、プレート15が筋交いとしての強度を向上させることができること等の効果を有する。
【0020】
図6は、図3に示す耐力壁パネル11の開口13に嵌着される補強ピース17をプレート18上に一定間隔で多数、一体に突出形成してなるものの一部を示すものであり、図7は、図6に示すプレート18より突設される各補強ピース17を斜め一列の各開口13に嵌着したもので、本実施形態においても、上記と同様の効果を有する。
【0021】
図8及び図9は、適当形状をなすプレート、例えば図示するような楕円形のリング状プレート20を用い、該プレート20に補強ピース21を適所に複数突設し、各補強ピース21を図1に示す体力壁パネル1の開口3に嵌着してプレート20を取付けた例を示すもので、本実施形態においては、耐力壁パネル1にプレート20を取付けて、該プレート20による意匠効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る耐力壁パネルの正面図。
【図2】別の実施形態の耐力壁パネルの正面図。
【図3】更に別の実施形態の耐力壁パネルの正面図。
【図4】開口に充填される補強ピースを突設したプレートの斜視図。
【図5】図4に示すプレートを取付けた箇所の耐力壁パネルの断面図。
【図6】図4に示すプレートを取付けたプレートの別の態様の斜視図。
【図7】図6に示すプレートを取付けた箇所の耐力壁パネルの断面図。
【図8】意匠効果を表すプレートを取付けた図1に示す耐力壁パネルの表面図。
【図9】同裏面図。
【符号の説明】
【0023】
1、6、11・・耐力壁パネル
2、12・・リブ
3、7、13・・開口
4、17、21・・ピース
15、18、20・・プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リブを縦横又は斜めに交差して配置して平行四辺形よりなる開口を多数形成した樹脂又は金属製の耐力壁パネルであって、斜め一列又は数列に延びる開口をパネルと同材又は異材で塞いで、筋交いを形成したことを特徴とする耐力壁パネル。
【請求項2】
上記開口を塞ぐ部分が光透過性の樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載の耐力壁パネル。
【請求項3】
開口を塞ぐピースを一定間隔で複数突設したプレートが各ピースをそれぞれ斜め一列又は数列の各開口に嵌着して取付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の耐力壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−240426(P2008−240426A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84372(P2007−84372)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】