説明

耐汚染性塗料および耐汚染性塗料の製造方法

【課題】既存の塗料またはインクを利用した撥水性のある汚れ防止作用を有した耐汚染性塗料を提供すること。また、特殊な製造行程を有することなく、極めて安価に製造できる塗料を提供すること。さらに、安価に製造できるものでありながら、落書き防止塗料として販売されている高価な塗料と同等の耐汚染性を有する塗料を提供すること。
【解決手段】有機溶剤によって希釈可能な塗料若しくはインクに対して、シリコンオイルを混合したことを特徴とする。また、塗料若しくはインクの原液とシリコンオイルの混合比が大凡9.7:0.3の割合で混合したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成した塗膜に対する汚れ等を軽減することができる耐汚染性塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、いたるところで落書きが行われている。落書きには、スプレー缶を使用したウレタン塗料が用いられる場合が多く、描かれた落書きはなかなか消えず、消す作業に大変な労力を要するものとなっている。
特許文献1には、貼り紙・落書き防止用の粉末状塗料添加剤が記載されている。当該特許文献1記載の技術も、落書き等を防止することを目的としたものであるが、その成分や構成が複雑であることから購入価格は高額になるものと推測される。
【特許文献1】特許3786119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、落書き防止等を目的とした塗料は多数存在するが、一般家庭で使用することを前提とすると何れも高価なものであると推測される。
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、既存の塗料またはインクを利用した撥水性のある汚れ防止作用を有した耐汚染性塗料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明は以下の構成を有する。すなわち、
有機溶剤によって希釈可能な塗料若しくはインクに対して、シリコンオイルを混合したことを特徴とする耐汚染性塗料。
【0005】
また、本願請求項2記載の発明は以下の構成を有する。すなわち、
前記塗料若しくはインクの原液とシリコンオイルの混合比が大凡9.7:0.3であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性塗料。
【0006】
また、本願請求項3記載の発明は以下の構成を有する。すなわち、
有機溶剤によって希釈可能な塗料若しくはインクに対して、シリコンオイルを混合したことを特徴とする耐汚染性塗料の製造方法。
【0007】
また、本願請求項4記載の発明は以下の構成を有する。すなわち、
前記塗料若しくはインクの原液とシリコンオイルの混合比が大凡9.7:0.3であることを特徴とする請求項3記載の耐汚染性塗料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本願発明に係る耐汚染性塗料は、既存の塗料またはインクに微量のシリコンオイルを添加した簡単な構成を有するものであり、特殊な製造行程を有することなく、極めて安価に製造できるものである。また、このように安価に製造できるものでありながら、落書き防止塗料として販売されている高価な塗料と同等の耐汚染性を有するという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本明細書において塗料とは、所謂顔料を主成分とする塗装用途に用いるものと、所謂染料を主成分とする印字、印画用途に用いるものの双方を含むものとする。本発明に係る耐汚染性塗料は、顔料または染料を分散させる溶剤として有機溶剤を用いたものを原料の一つとして使用するものである。
一例として所謂油性のペンキ塗料として市販されている塗料を原料とする場合について説明する。当該塗料を有機溶剤によって希釈しない原液の状態を基準として、塗料の体積9.7に対してシリコンオイルを0.3の割合で混合する。シリコンオイルには、一例として信越化学工業株式会社で製造されている各種のシリコンオイルを用いることができる。
【0010】
前述の割合で塗料とシリコンオイルを混合すると、乾燥後は他のインクや塗料などを受け付けない塗膜を形成することができる。シリコンオイルには、所謂ストレート型のシリコンオイルの他、変性シリコンオイルを用いても良い。
上記塗料によって形成した塗膜は、水性のインクや塗料はもちろん、油性の溶剤を用いたインクや塗料をはじく作用を有している。このように、本実施の形態において説明したシリコンオイルを混合した塗料(インクを含む)は、乾燥後において安定した強固な皮膜を形成し、落書きや汚れの付着などを防ぐことができる耐汚染性塗料として機能するようになっている。
【0011】
上記の例は顔料を主成分として含むペンキ状の塗料について説明したが、染料を主要成分とするインクに適用して、これをインクジェットプリンタ用のインクとして用いることもできる。例えば、当該シリコンオイルを混合したインクによって絵等を印刷すると、当該絵は前述した顔料を主成分とする塗料と同様に、乾燥後は強固な皮膜を形成し、汚れの付着などを防ぐことができるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発発明は、落書きの付着や汚れの付着を防止をすることができる塗料に利用可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤によって希釈可能な塗料若しくはインクに対して、シリコンオイルを混合したことを特徴とする耐汚染性塗料。
【請求項2】
前記塗料若しくはインクの原液とシリコンオイルの混合比が大凡9.7:0.3であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性塗料。
【請求項3】
有機溶剤によって希釈可能な塗料若しくはインクに対して、シリコンオイルを混合したことを特徴とする耐汚染性塗料の製造方法。
【請求項4】
前記塗料若しくはインクの原液とシリコンオイルの混合比が大凡9.7:0.3であることを特徴とする請求項3記載の耐汚染性塗料の製造方法。


【公開番号】特開2010−77325(P2010−77325A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249326(P2008−249326)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(508290529)
【Fターム(参考)】