説明

耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体

【課題】耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体を提供する。
【解決手段】本発明は、耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体に関するものである。本発明の発泡プラスチック成型体は、プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体を製造した後、アルカリ土類金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を含む物質または酸の中から選択された1種以上のものと、ケイ酸塩をプラスチックビーズまたはプラスチック発泡体にコーティングした後、熱と圧力を加え融着・結合させ成型し、乾燥させて製造される。本発明により、衝撃吸収性が良好で、成型加工が容易でありながら、遮音及び吸音性能と断熱性能に優れ、難燃性及び耐熱性を持ち、耐水性及び耐久性が向上した有機質発泡プラスチック成型体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体に係り、衝撃吸収性が良好で、成型加工が容易でありながら、吸音性能及び断熱性能に優れた有機質発泡プラスチック成型体に関するものである。また、無機質であるケイ酸塩の不燃特性を維持しながら、火災時に火炎を遮断する役割をする耐熱性を著しく向上させ、耐久性を向上させた有機質発泡プラスチックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機質発泡プラスチックは、無機質類に比べ、衝撃吸収性が良好で、成型加工が容易でありながら、吸音性能及び断熱性能に優れるという長所を持っているので、吸音及び断熱資材として多く利用されている。しかしながら、発泡プラスチックは、有機物であり軟化点及び溶融点が低いので、比較的低い熱でも溶け込み、形状を維持することができず、さらに火災の発火時には、火に対する抵抗性がなく、むしろ外部の点火因子により火花が点火されると発泡プラスチック自体が燃焼を助けるエネルギー源として働き、持続的に火を拡散させる問題点を持っている。このような問題のため、特に建築用の資材として、その使用が徐々に限られてくるのが現状である。上記の防炎の問題を解決するために、いろいろと多様な研究が行われてきた。
【0003】
従来の一般的な方法としては、樹脂自体に難燃剤を添加させた難燃樹脂を製造し、これを発泡成形することによって、発泡プラスチック成型体に難燃性を与える方法が知られており使われてきた。しかしながら、このような方法や技術を用いて発泡成形した発泡プラスチックは、火炎に接触した後、火の元を取り除くと消火される自己消火性程度に留まっているのが現状であって、KS F2271(建築物の内装材料及び構造の難燃性の試験方法)規定の最下級にも及ばず、火災の際にはなすすべがないのである。
【0004】
近年、このような有機物質の限界を乗り越えるために、発泡プラスチックに不燃性物質である無機質接着剤を処理して防炎する技術に対する研究が深く行われている。
【0005】
一例として、下記の特許文献1に記載の「耐火性に優れた発泡プラスチック成型体」には、発泡プラスチック成型体に有機質及び無機質の耐火性隔膜形成体を利用して耐火性能を与えた発泡プラスチック成型体が記載されている。この技術では、発泡プラスチック成型体の難燃性は確保するが、火災発生時に火炎遮断役割をする耐火構造の心材として必要とする耐熱性には弱い。
【0006】
下記の特許文献2に記載の「難燃ポリスチレンパネル及びその製造方法」では、無機質不燃性物質であるケイ酸ソーダ粉末を水に水溶液化して、これを単独または水ガラスを混合して、発泡ポリスチレンの表面にコーティング融着させた難燃発泡ポリスチレンが開示されている。この技術では、有機物質である発泡プラスチックに、ケイ酸塩系接着剤の不燃性である無機質の特性のみを活用することによって、難燃性は確保するが、火災発生時または実際の使用上においては、下記に述べる様々な問題を抱えている。
【0007】
第一に、耐火構造の心材として、実際の火災時に求められる耐熱性は、熱源が近くにあるが火炎に実際接触する前、すなわち150℃〜400℃程度の比較的低い温度で耐える物性と、実際火炎に接触されている状態の高温からの耐熱性と、の二つに分けられる。しかし、上記の技術や方法から製造された製品は、150℃〜300℃程度で有機物質である発泡プラスチックは劣化する。
【0008】
また、火炎への接触時に構造体の骨格として役割を果たすべき耐火性隔膜も、多くの量の含み水分を有するケイ酸塩からなる場合には、熱が200℃以上になると、含み水分が揮発され隔膜内部から発泡膨張を起し、隔膜がばらばらになる亀裂が起きる。したがって実際に火炎に接触される前に、すでに無数の亀裂によって構造体が崩壊される。
【0009】
また、このような短所が補完され、完全な崩壊には至らないとしても、固形ケイ酸塩が比較的低温である550〜670℃から溶け始め、730〜870℃では流動が始まるので、実際火炎に接触される700℃以上になると、隔膜が溶融され防火壁の役割をしなければならない構造体が壊れ、火炎拡散防止である本来の機能を果たすことができないという問題点がある。
【0010】
第二に、実際の使用上において重要な物性は、耐久性にもっとも大きな影響を与える耐水性である。上記の技術や方法で耐火性隔膜または難燃塗膜として使用されるケイ酸塩は、液状であり、その形態がSiO/MOのmol比と濃度によってアルカリ金属イオン、ケイ酸イオンモノマー、ポリケイ酸イオン及びこのようなケイ酸イオンがゆるく結合されコロイド粒子を形成した状態であるミセル(micells)など、多様な形態で共存される。
【0011】
したがって、乾燥などによって脱水されたビーズ表面上の耐火性隔膜または難燃塗膜状態で30〜60%程度の高い溶解度を有するので、実際の使用上において雨水や長期間の吸湿により相当部分が溶解されることによって、本来の機能が十分に果たすことができない。
【0012】
第三に、実際の使用上において求められる重要な物性の中に柔軟性と接着性があるが、これもやはり上記の技術や方法でケイ酸塩は無機質特性である脆性をそのまま有しているし、接着性においても疎水性を有する有機質発泡プラスチックと、親水性を帯びる極性末端基(Hydrohphilic or water soluble)ハイドロキシ基を持っているケイ酸塩との間の界面間の接着力は期待しにくく、ただ強制的に密着されている状態である。
【0013】
このように上記の技術や方法では、一部難燃性は確保できるが、火災時に放火壁の役割を果たすべきであるケイ酸塩構造体がケイ酸塩の低い融点と、火炎によって発泡・膨張・崩壊され火炎の拡散を効果的に防止することができず、実際の火災時に火炎を遮断する役割である耐火構造の心材として使用することは厳しい。
【0014】
また、高い溶解度による耐水性の弱化で、長期間の吸湿や雨水による耐久性の低下を招きかねない。なお、無機質のケイ酸塩の特性である脆性、そして疎水性を有する発泡プラスチックと親水性を有するケイ酸塩との弱い表面接着力による耐久性の低下などの多くの問題点を抱えている。
【0015】
【特許文献1】大韓民国特許出願第10−2003−0027876号
【特許文献2】大韓民国特許出願第10−2003−0018763号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体は、上記のような従来の技術の問題点を解消するためのものであって、その目的は、衝撃吸収性が良好で、成型加工が容易でありながら、吸音性能及び断熱性能に優れる有機質発泡プラスチック成型体を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、無機質であるケイ酸塩の不燃特性を維持しながら、火災時に火炎を遮断する役割をする耐熱性を著しく向上させ、耐久性を向上させた有機質発泡プラスチック成型体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の有機質発泡プラスチック成型体は、プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体を製造した後、アルカリ土類金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を含む物質または酸の中から選択された1種以上ものとケイ酸塩とをプラスチックビーズまたはプラスチック発泡体にコーティングした後、熱と圧力を加え融着・結合させて成型し乾燥して製造する。
【0019】
また、本発明の発泡プラスチックは、ケイ酸塩を改質するためにアルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物の中から選択された1種以上のものを添加して成型することができる。このように、耐火性隔膜を有するように成型された本発明の発泡プラスチック成型体は、耐火性隔膜により火災時の火炎を遮断するので、耐火構造の心材として使用することができ、耐水性及び柔軟性又は接着性にも優れ、実際の使用上に有用である。
【0020】
また、前述の隔膜は、遮音性能が付加的に著しく改善され、発泡プラスチック成型体の界面が改質されることによって、他の物質との界面間の接着力が向上されるので、板材との接着、吹き塗料のコーティングなど多様な用途に活用することができる。
【0021】
本発明で使用される有機質発泡プラスチックには、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロフィレン、発泡ポリウレタン、フェノールフォームなどがある。また、ケイ酸塩は「MO・nSiO・xHO」で表示される化合物であり、Mは、周期表の第1A族に属するアルカリ金属を表し、nとxは、整数である。1A族に属するアルカリ金属の具体的な例としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムなどがある。
【0022】
本発明のアルカリ土類金属化合物は、MmXnで表示され、Mは、周期表の第2A族に属するアルカリ土類金属であり、Xは、Cl、OH、SO、Oなどがあり、mとnは、整数である。アルカリ土類金属の具体的な例としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)などがある。
【0023】
本発明のアルカリ土類金属化合物を含む物質としては、セメント、高炉セメント、マグネシアセメント、石膏、石灰、高炉スラグなどがある。
【0024】
本発明の発泡プラスチック成型体が、耐熱性と耐水性及び柔軟性と接着性が改善される原理に対して説明すると、以下の通りである。
【0025】
ケイ酸塩に酸、アルカリ土類金属化合物またはこれを含む物質、アルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物などの改質剤の中から選択された1個以上のものと反応するようになっている。これは、水に溶解しにくいケイ酸重合体または水不溶性塩を生成させる。また、反応上でケイ酸イオンまたはポリケイ酸イオンは、お互いに縮重合反応が進み、低温耐熱性を阻害する発泡膨張の原因である水(HO)を取り除き、融点を低くするアルカリ金属を分離して別途の塩(Salt)を生成するか、アルカリ土類金属で置換することによって達成することができる。
【0026】
ケイ酸塩と酸(Acid)またはアルカリ土類金属化合物の間から予想される化学反応のメカニズムは、下記の通りである。
【0027】
【化1】



【0028】
ケイ酸塩に水素陽イオンを放出する酸(Acid、炭酸)を添加すると、中和反応により金属塩(Metal Salt)が生成されながら、pHが下がる。
【0029】
【化2】

ここで、式中のnは、整数である。

【0030】
ケイ酸イオンまたはポリケイ酸イオンは、互いにシロキサン(siloxane)結合が進み、低い時に重合されて成る小重合体であるハイドロゾル(Sol)状態のオリゴマー(oligomer)が生成されながら、粘度が徐々に上昇する。
【0031】
反応がさらに進むと、オリゴマーの間に高分子で重合が行われ、ゲル(Gel)状態であるケイ酸重合体になる。このとき、粘度の上昇及びゲル化速度は、酸の種類、酸の添加量、溶液の濃度、温度によって変わる。
【0032】
【化3】


ここで、式中のm、nは、整数である。

【0033】
ケイ酸塩と2A族に属するBe、Mg、Ca、Baなどのアルカリ土類金属化合物が反応し、不溶性のケイ酸塩金属水化物及びケイ酸塩金属水酸化物、ケイ酸などが同時に生成され、徐々にゲル化されながら高分子網目状構造の重合体になる。このような反応から生成されるケイ酸化合物は、金属イオンとケイ酸イオンの存在量に依存する。
【0034】
一方、有機質発泡プラスチックと耐火性隔膜を形成するケイ酸塩間の界面間の接着力増進は、ケイ酸塩オリゴマーの親水性を有する極性末端基(Hydrohphilic or water soluble)ハイドロキシ基を、アルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物と反応させることにより、疎水性を有する非極性末端基(Hydrohphilic or Lipophilic)アルコキシ基またはアルキル基で一部を置換することによって、親水性(Hydrophilic)を有する極性末端基は、水分子との親和力で外側に集まるようになり、水分子と反発力がある疎水性(Hydrophobic)を有する非極性末端基は、行く場所がなくなるので、有機質発泡プラスチックの方に集まり、同じ疎水性特性を有する有機質発泡プラスチックとアルコキシ基またはアルキル基間の接着力は自然に増進される。
【0035】
また、ケイ酸塩オリゴマーに疎水性を有する非極性末端基(Hydrohphilic or Lipophilic)アルコキシ基またはアルキル基で一部を置換することによって、水の表面張力が下がり、有機質発泡プラスチック耐火性隔膜を形成するケイ酸塩間の界面間のエネルギー偏差を減らし、分散性が向上され均一かつ一定な隔膜の厚さを得ることができる。
【0036】
ケイ酸塩オリゴマーと、アルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物の間で予想される化学反応のメカニズムは、次の通りである。
【0037】
【化4】

【0038】
【化5】

【0039】
【化6】

【0040】
ケイ酸塩オリゴマーの水と親和力が大きい親水性(Hydrohphilic)を有するハイドロキシ基が外れながら、アルコール、エーテル、エステル化合物のアルキル基が置換され、有機物と親和力のある疎水性(Hydrophobic)を有するアルコキシ基になる。
【0041】
【化7】

【0042】
ケイ酸塩オリゴマーは、二重結合を有しているケトンと付加重合(addition polymerization)を行い、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物になる。
【0043】
このように、ケイ酸塩オリゴマーと、アルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物間の化学反応から分かるように、分子中に親水性部分であるハイドロキシ基と、疎水性部分であるアルキル基またはアルコキシ基など、二つの相反する性質を有する末端基が貼り付いた有機ケイ素化合物を生成することによって、液状からのミセルの安定性と疎水性特性を有する有機質発泡プラスチックとの界面間の接着力の増進はもちろん、水の表面張力を下げ、有機質発泡プラスチックと界面間のエネルギー偏差を減らし、分散性が向上することによって、隔膜の厚が均一かつ一定にコーティングできるだけではなく、有機質末端基の炭素数によって、耐火性隔膜の本来の物性である脆性を、部分的に軟性化することができる。
【0044】
前記反応は、改質処理を行う物質によって反応スピードが異なるので、反応スピードの緩急を調節するために遅延剤を使用することができる。この際、使用される遅延剤は、オキシカーボン系、ケイフッ化物、ホウ酸塩、グルコン酸類、糖類、クエン酸などがある。
【0045】
本発明の目的をより効果的に補強するために、接着補助剤及び耐熱性増進剤、撥水剤など、多様な添加剤を追加投入することができる。
【0046】
具体的に説明すると、有機質発泡プラスチックと耐火性隔膜を形成するケイ酸塩間の接着力をより効果的に補強するための接着補助剤として、界面活性剤、シランカップリング剤、PVA(Poly Vinyl Alcohol)、EVA(Ethylene Ninyl Acetate Copolymers)、セルロース接着剤またはファインフィラーとして、10〜1000nmの大きさを有する粒子である有機質フィラーカーボンブラック及びグラファイト、水分子によって膨潤され構造層が破壊されると、ナノ単位のコロイド粒子を有するモンモリロナイト及びそれを主成分とするベントナイト、微粒のイライトまたは粘土類を添加することができる。
【0047】
また、本発明に、アンチモン化合物、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硼砂、リン酸塩、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、熱硬化性樹脂、ドロマイト、炭酸カルシウム、シリカ粉末、酸化チタン、酸化鉄、エトリンガイト化合物、パーライト、フライアッシュのような無機質フィラーなど、耐熱性増進剤を追加混合して使用することができる。
【0048】
上記のような耐熱性増進剤は、有機質である発泡プラスチックの難燃性を与えるか、炭化時に多くのチャー(char)を形成させチャー(char)の強度を補強することによって、熱による形態の変形を防ぐ役割をする。
【0049】
また、本発明に、シリコン系撥水剤、フッ素系撥水剤、パラフィン系撥水剤など撥水剤を追加混合して使用することができる。
【0050】
上記の撥水剤は、水と接触する時に接触角を大きく作り、水が発泡プラスチック成型体の内部に浸透することを防ぐので、耐水性が増進される。
【発明の効果】
【0051】
本発明は、衝撃吸収性が良好で、成型加工が容易でありながら、吸音性能及び断熱性能に優れた有機質発泡プラスチックを提供する。
【0052】
また、無機質であるケイ酸塩の不燃特性を維持しながら、火災時に火炎を遮断する役割をする耐熱性を著しく向上させ、耐久性を向上させた有機質発泡プラスチック成型体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
<実施例:発泡プラスチック成型体の製造>
発泡ポリスチレンビーズ(SH Energy&Chemical社製、CL2500F)に水蒸気を投入して1次発泡させて、発泡ビーズの表面から水分を蒸発させることで、粒子の中に含まれている発泡ガスと空気とが置換され、粒子が復元力を持つように4時間熟成させた後、再び水蒸気を投入して2次発泡させ、発泡ビーズを製造した。
【0054】
50Be’ケイ酸ソーダに、ケイ酸ソーダの重量に対して、アルカリ土類金属化合物である水酸化マグネシウム10重量%を処理し、ベントナイト10重量%、カーボンブラック3重量%、膨張パーライト3重量%、シリコン撥水剤0.1重量%を投入し、十分に撹拌した後に、既に製造された発泡ビーズの表面に均一に塗布した。
【0055】
塗布した発泡ビーズを、大きさ220×220×80mmである金型に満たし、初期体積の約85%である高さ60mmまで圧着しながら、100℃で融着・成型した後に乾燥させ、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0056】
以下、本発明の発泡プラスチック成型体の製造方法について、実施例及び実験例を通して詳細に説明するが、これは本発明の範囲を制限するものではない。
【0057】
<実施例1:発泡プラスチック成型体の製造1>
発泡ポリスチレンビーズ(SH Energy&Chemical社製、CL2500F)に水蒸気を投入して1次発泡させ、発泡ビーズの表面から水分を蒸発させることで、粒子の中に含んでいる発泡ガスと空気とが置換され、粒子が復元力を持つように4時間熟成させた後、再び水蒸気を投入して2次発泡をし、発泡ビーズを製造した。
【0058】
50Be’ケイ酸ソーダに、ケイ酸ソーダの重量に対して、アルカリ土類金属化合物である水酸化マグネシウム10重量%を処理し、十分に撹拌した後に、既に製造された発泡ビーズの表面に均一に塗布した。
【0059】
塗布した発泡ビーズを、大きさ220×220×80mmである金型に満たし、初期体積の約85%である高さ60mmまで圧着しながら、100℃で融着・成型した後に乾燥させ、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0060】
<実施例2:発泡プラスチック成型体の製造2>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、その中で、水酸化マグネシウム10重量%を、アルカリ土類金属化合物を含んでいるセメント10重量%で置き換え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0061】
<実施例3:発泡プラスチック成型体の製造3>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、その中で、水酸化マグネシウム10重量%を、炭酸0.5重量%で置き換え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0062】
<実施例4:発泡プラスチック成型体の製造4>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、アルカリ土類金属化合物を含んでいるセメントを、ケイ酸ソーダの重量に対して5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0063】
<実施例5:発泡プラスチック成型体の製造5>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、炭酸を、ケイ酸ソーダの重量に対して0.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0064】
<実施例6:発泡プラスチック成型体の製造6>
本発明の実施例2と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、炭酸を、ケイ酸ソーダの重量に対して0.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0065】
<実施例7:発泡プラスチック成型体の製造7>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、セメントと炭酸を、ケイ酸ソーダの重量に対して、それぞれ5重量%、0.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0066】
<実施例8:発泡プラスチック成型体の製造8>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、ケイ酸ソーダを、ケイ酸カリウムに置き換え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0067】
<実施例9:発泡プラスチック成型体の製造9>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、エチルアルコールを、ケイ酸ソーダの重量に対して1.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0068】
<実施例10:発泡プラスチック成型体の製造10>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、エーテル(Ether)を、ケイ酸ソーダの重量に対して1.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0069】
<実施例11:発泡プラスチック成型体の製造11>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、アセトンを、ケイ酸ソーダの重量に対して1.5重量%加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0070】
<実施例12:発泡プラスチック成型体の製造12>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、ケイ酸ソーダの重量に対して、ベントナイト10重量%、カーボンブラック3重量%を加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0071】
<実施例13:発泡プラスチック成型体の製造13>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、ケイ酸ソーダの重量に対して、ベントナイト10重量%、カーボンブラック3重量%、膨張パーライト3重量%、シリコン撥水剤0.1重量%を加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0072】
<実施例14:発泡プラスチック成型体の製造14>
本発明の実施例1と同じ方法で発泡プラスチック成型体を製造するが、ケイ酸ソーダの重量に対して、ベントナイト10重量%、膨張パーライト3重量%、クエン酸0.15重量%を加え、大きさ220×220×60mmである発泡プラスチック成型体を製造した。
【0073】
<比較例1:発泡プラスチック成型体の比較製造1>
発泡ポリスチレン(SH Energy&Chemical社製、CL2500F)ペレットに水蒸気を投入して発泡させ、発泡ビーズを製造した。これを4時間熟成させた後、220×220mmの金型に乾燥密度が30Kg/mになるように発泡ビーズを満たして水蒸気を投入し、成型した。これを乾燥して、220×220×60mmの発泡プラスチックを製造した。
【0074】
<比較例2:発泡プラスチック成型体の比較製造2>
発泡ポリスチレンビーズ(SH Energy&Chemical社製、CL2500F)に水蒸気を投入して1次発泡させ、発泡ビーズの中に含まれる発泡ガスと空気とが置換され、粒子が復元力を持つように4時間熟成した後、再び水蒸気を投入して2次発泡させ、発泡ビーズを製造した。
【0075】
製造された発泡ビーズの表面に、50Be’ケイ酸ソーダを均一に塗布した。塗布された発泡ビーズを、大きさ220×220×80mmである金型に満たし、100℃で融着・成型させた後、乾燥させ低密度の成型体を製造した。
【0076】
<実験例1:難燃性及び耐熱性測定実験>
実施例1〜14及び比較例から製造された試片を、風の通りが良い室内で48時間放置し、40±5℃で120時間乾燥した後、難燃性能と耐熱性を測定するための溶融点と、接着力を測定ための曲げ強度と、耐水性とを測定した。
【0077】
難燃性能は、KSF2271に準じて評価し、その結果を下記の表1に表した。耐熱性は、温度による吸熱または発熱状態と、重さの変化を測定することで、溶融及び分解状態を測定することができる時差熱分析(DTA、Differential Thermal Analysis)、及び熱重量分析(TG、Thermogravimetry)を通して測定し、また耐熱性の状態を測定するために、電気炉で300℃、750℃の温度で形態変化を測定し、その結果を下記の表2に表した。
【0078】
また、接着力を測定するための曲げ強度は、KSM3808(発泡ポリスチレン保温材)試験方法に準じて評価し、その結果を下記の表3に表し、耐水性は、同じ規格で吸収量の測定方法である、きれいな水に24時間沈積させた後、室内で48時間放置し、40±5℃で120時間乾燥した後、KSF2271に準じて難燃性能を評価し、その結果を沈積させた後の変化を観察するために、下記の表1に併合して表した。
【0079】
【表1】

【0080】
上記表1の結果において、比較例1は、実験初期に完全に燃焼し、形態が少量の灰に変わり実験できず、比較例2は、製造後、難燃表面試験には比較的良好であったが、24時間沈積後にはケイ酸塩の多くが溶出され、形態が壊れてしまい、実験が出来なかった。
【0081】
以上、上記表1の結果から分かるように、本発明の実施例1〜14による発泡プラスチック成型体は、沈積後にも難燃性能を一定部分維持しているので、比較例と比べて耐水性が格段に優れている。
【0082】
【表2】

【0083】
上記の表2の結果において、比較例1は、完全に燃焼され、重さ残量が元の重さの3.28%(100−96.72=3.28)のみが残り、96.76%が分解されていて、300℃加熱形態の変化実験では完全に燃焼され灰になった。
【0084】
比較例2は、重さ残量が元の重さの78.33%(100−21.67=78.33)であるので実施例と類似しているが、300℃加熱後の形態変化実験では、ケイ酸塩が膨れ上がり、形態が崩壊し始め、750℃加熱後の形態変化実験では形態がばらばらになり、完全に壊れてしまった。
【0085】
したがって、上記の表2の結果から分かるように、本発明の実施例1〜14による発泡プラスチック成型体は、重さの減量が比較的少なく、300℃加熱後の形態変化実験及び750℃加熱後の形態変化実験でも、形態が変形されず維持しているので、比較例と比べて耐熱性が格段に優れている。
【0086】
【表3】

【0087】
上記表3の結果において、比較例1は、発泡プラスチック自体の熱融着によって、曲げ強度及び非強度が高いが、比較例1と比べ、比較的少ない熱融着とケイ酸塩の接着力とにより強度が実現される実施例1〜14及び比較例2においては、実施例の曲げ強度及び非強度が、比較例2と比べ、大体50%ほど増加した。
【0088】
以上、上記表3の結果から分かるように、本発明の実施例1〜14による発泡プラスチック成型体は、比較例と比べて接着力が格段に優れている。
【0089】
上記のように優秀な耐水性及び耐熱性を有する本発明に対して、単純に変形・変更することは、この分野の通常の知識を有する者であれば、容易に実施できるため、こうような変形・変更は、すべて本発明の領域に含まれるとみなすべきであろう。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体に関するものであり、耐火性隔膜を有するように成型された本発明の発泡プラスチックは、耐火性隔膜により火災時の火炎を遮断することによって耐火構造の心材として使用でき、耐水性及び柔軟性と接着性に優れ、実際の使用上にも有用に使用される。
【0091】
また、付加的に、このように隔膜により遮音性能が著しく改善し、発泡プラスチック成型体の界面が改質されることによって、他の物質との界面間の接着力が向上されるので、板材との接着、吹き塗料のコーティングなど多様な用途で活用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機質発泡プラスチック成型体において、
プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体を製造した後、
アルカリ土類金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を含む物質、または、酸の中で選ばれた1種以上のものとケイ酸塩とを改質して、前記プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体にコーティングした後、
熱と圧力を加え融着・結合させて成型し、乾燥させて製造した
ことを特徴とする、耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項2】
前記ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよびケイ酸リチウムからなる群より選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属化合物は、MmXnで表記され、
Mは、Be、Mg、Ca、Baの中から選択された1種のアルカリ土類金属であり、
Xは、Cl、OH、SO、Oの中から選択された1種であり、
mおよびnは、整数である
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項4】
前記アルカリ土類金属化合物を含む物質は、セメント、高炉セメント、マグネシアセメント、石膏、石灰、高炉スラグの中から選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項5】
前記ケイ酸塩に、アルコール、エーテル、ケトン、エステル化合物の中から選択された1種以上のものが添加される
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項6】
前記ケイ酸塩に、接着補助剤、耐熱性増進剤、遅延剤、撥水剤の中から選択された1種以上のものが添加される
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項7】
前記接着補助剤は、界面活性剤、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール(Poly Vinyl Alcohol)、エチレンビニルアセテート共重合体(Ethylene Vinyl Acetate Copolymers)、セルロース接着剤、カーボンブラック、グラファイト、モンモリロナイト、ベントナイト、イライト、粘土の中から選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項8】
前記耐熱性増進剤は、アンチモン化合物、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硼砂、リン酸塩、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、熱硬化性樹脂、ドロマイト、炭酸カルシウム、シリカ粉末、酸化チタン、酸化鉄、エトリンガイト化合物、パーライト、フライアッシュの中から選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項9】
前記撥水剤は、シリコン系、フッ素系、パラフィン系撥水剤の中から選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。
【請求項10】
前記遅延剤は、オキシカーボン系、ケイフッ化物、ホウ酸塩、グルコン酸類、糖類、クエン酸の中から選択された1種以上のものである
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐熱性及び耐久性に優れた有機質発泡プラスチック成型体。


【公表番号】特表2009−521350(P2009−521350A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548441(P2008−548441)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000680
【国際公開番号】WO2007/091853
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(505404024)キョンドン セラテック カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】