説明

耐電離放射線材料

【課題】電離放射線照射による滅菌時に重量平均分子量変化の少ない脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いた医療用具および医療用材料を提供することを目的とする。
【解決手段】脂肪族ポリエステル樹脂と、この樹脂に対して0.1〜30重量%の1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体とを含有することを特徴とする電離放射線滅菌された医療用具および医療用材料。特に前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイのいずれかである医療用具および医療用材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂からなる医療用具および医療用材料に関する。本発明の医療用具および医療用材料は、例えば、医療分野において好適に用いられる。また本発明は、生分解性樹脂からなる医療用具および医療用材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用具および医療用材料は、血液や尿などの体液が付着する環境で使用されるため、単回使用のプラスチック製使い捨て物品とし、その廃棄物は焼却処理等の慎重な処分を行って、ウイルスや細菌による感染を防止する必要がある。しかしながら、このような使い捨て行為は、廃棄物量の増加につながり、その焼却処理によって排出される二酸化炭素量を増加させる原因となっている。
【0003】
一方、生分解性樹脂は、製品のライフサイクルを終えた後、自然界に存在する微生物等により炭酸ガスと水に分解することから、環境への負荷が小さい材料として、農業資材や土木建設用資材、産業用資材など様々な分野への用途拡大が期待されている。使い捨てが一般化している医療用具および医療用材料に使用する樹脂にこれらの生分解性樹脂を用いることは、環境への負荷を低減させることができ、非常に有用である。
また、これらの生分解性樹脂は、生体内留置用医療用具にも用いることができる。近年、生分解性樹脂は生体内留置用具への適用に広がりを見せており、縫合糸・骨ピン・ステントなど生体内に使用する高分子材料は、一定期間役割を果たした後、生体にとって必要がなく、生体内での余計な異物反応を抑えるという観点からも消えてなくなることが理想的である。
【0004】
しかしながら、これらの生分解性樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンのような汎用樹脂と比較して、耐熱性や機械的強度が不十分であり、成型加工性も悪く、本格的な応用展開のためには、樹脂設計や改質剤添加等による物性の改良が不可欠である。(特許文献1参照)また、多くの医療用具では、その簡便さから電離放射線滅菌が実施されていたが、前記汎用樹脂に比べ、生分解性樹脂は電離放射線照射による強度や重量平均分子量の変化が顕著であるため、成型性が悪く医療用具には使用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-169008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記生分解性樹脂は、電離放射線の影響を受けて分子量が変化しやすく、即ち分子鎖の開裂や架橋の生成により、強度、弾性率などが変化するので、製品の設計の困難性がある。特に、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル樹脂は比較的硬質な樹脂であり、医療用具の部材樹脂として適しているが、電離放射線照射による重量平均分子量変化による成型性不良が課題であった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、電離放射線照射による滅菌時に重量平均分子量変化の少ない脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いた医療用具および医療用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体を含む脂肪族ポリエステル樹脂に医療用具の滅菌に使われる線量の電離放射線を照射した時に、重量平均分子量の低下が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
このような目的は、下記(1)から(5)の本発明により達成される。
(1)脂肪族ポリエステル樹脂と、この樹脂に対して0.1〜30重量%の1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体とを含有することを特徴とする電離放射線滅菌された医療用具および医療用材料。
【0009】
(2)前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイのいずれかである前記(1)に記載の医療用具および医療用材料。
【0010】
(3)前記1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体が、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ2−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ3−メトキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸のいずれか、もしくは2つ以上の組み合わせから合成された縮合体である前記(1)に記載の医療用具および医療用材料。
【0011】
(4)脂肪族ポリエステル樹脂と、この樹脂に対して0.1〜30重量%の1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物とを含有する組成物を成形した後、電離放射線照射することを特徴とする医療用具および医療用材料の製造方法。
【0012】
(5)前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイのいずれかと、前記1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体が2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ2−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ3−メトキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸のいずれか、もしくは2つ以上の組み合わせから合成された縮合体との混合物である前記(4)に記載の医療用具および医療用材料の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、脂肪族ポリエステル樹脂に1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体を添加することによって、電離放射線滅菌時に、滅菌前の重量平均分子量を維持できる。これにより、低分子量の耐放射線物質を添加した場合の強度低下を防ぐことが可能となり、生分解性を損なわずに成型性に優れた電離放射線滅菌された医療用具および医療用材料を提供できるようになる。特に、滅菌時の電離放射線の種類と照射線量による照射前後の重量平均分子量の変化が少ないので、種々の滅菌条件を設定でき、多くの医療用具および医療用材料を提供できるようになり、非常に汎用性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の医療用具および医療用材料について詳細に説明する。
本発明において医療用具とは、人体または動物の手術、治療、診断に用いられる機械器具を意味し、具体的には、商標法施行規則別表(平成13年経済産業省令第202号)の第十類に掲載されている範囲のものがある。また、本発明において医療用材料とは、医薬品や医療用具の包装材料、付属品等、上記医薬品や医療用具の流通、使用のために用いられるものであって、上記医薬品や医療用具の使用に伴って廃棄されるものを意味する。本発明において医薬品とは、人体または動物の手術、治療、診断に用いられる薬剤を意味し、具体的には、前記別表の第五類に掲載されている範囲のものがある。
【0015】
本発明において電離放射線とは、電離性を有する高いエネルギーを持った電磁波や粒子線(ビーム)のことを指し、電離作用をもたないような低いエネルギーの放射線を除くことを意味する。以下、単に放射線という。
【0016】
本発明の医療用具および医療材料(以下、医療用具等という)は、主に生分解性樹脂で構成され1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボン酸を持つ芳香族化合物縮合体を含有する組成物からなり、放射線照射時に前記樹脂組成物の重量平均分子量の保持効果が大きいことを特徴とする。
【0017】
本発明に使用することができる脂肪族ポリエステル樹脂は、特に限定されないが、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイ等である。
【0018】
本発明に使用することができる1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体は、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には特開2006−63316や、「環境循環型エンジニアリングプラスチック」(高分子学会誌「高分子」11月号,明石満)に記載されているものを用いることができる。好ましい重量平均分子量は、5,000〜300,000である。下限値以下の場合、成形後、医療用具等からの溶出や強度低下があり、上限値以上では、脂肪族ポリエステル樹脂との混合物の形成が困難である。
【0019】
上記1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の脂肪族ポリエステル樹脂への配合量は、脂肪族ポリエステル樹脂に対して0.1〜40重量%、特に0.5〜30重量%とすることが好ましく、配合量が0.1重量%に満たないと放射線滅菌時の重量平均分子量低下保持の効果は見られず、30重量部を越えると脂肪族ポリエステル樹脂の物性を損なう場合がある。
【0020】
本発明の生分解性樹脂組成物には、必要に応じて従来公知の抗酸化剤、顔料、軟化剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤?等の各種添加剤の1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
【0021】
本発明に用いられる1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の第1実施形態は、下記一般式(1)で示される。

a:10〜10,000、b:10〜10,000
【0022】
本発明に用いられる1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の第2実施形態は、下記一般式(2)で示される。


a:10〜10,000、b:10〜10,000
【0023】
本発明に用いられる1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の第3実施形態は、下記一般式(3)で示される。

a:10〜10,000、b:10〜10,000
【0024】
本発明に用いられる1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の第4実施形態は、下記一般式(4)で示される。

a:10〜10,000、b:10〜10,000
前記第1実施形態から第4実施形態を示したが、本発明を限定するものではない。
【0025】
本発明において、1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体を脂肪族ポリエステル樹脂へ混合するために、二軸押出機による溶融混練による方法や、脂肪族ポリエステル樹脂の合成終了後に1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体を混入する方法を使用することができる。また、成形方法としては特に限定されないが、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
さらに、均一分散や分子量向上を目的として固相重合してもよい。固相重合とは、一般的に重合された樹脂の重合度をさらに高めると共に、樹脂内に含有されている不純物を除去し、品質を高める工程のことである。
【0026】
本発明の医療用具等は、所定形状へ成形され、組み立て、包装等された後、あるいはその過程において、所定線量の放射線を照射されることより滅菌され、医療用具等として使用されることが可能となる。照射される放射線の線量は、対象製品により異なり特に限定されるものではないが、5〜100kGy、好ましくは、10kGy〜60kGyである。
【0027】
照射する放射線の種類は、電子線、γ線、またはエックス線などを用いることができるが、工業的生産が容易であることから、電子加速器による電子線とコバルト−60からのγ線が好ましい。より好ましくは、電子線である。電子加速器は、比較的厚い部分を有する医療用具等の内側まで照射を可能とするために、加速電圧1MeV以上の中エネルギーから高エネルギー電子加速器を用いることが好ましい。
放射線の照射雰囲気は、特に限定されないが、空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行ってもよい。また、照射時の温度はいずれであってもよいが、典型的には室温で行う。
【0028】
本発明の医療用具等として、放射線滅菌した後に必要な重量平均分子量は、医療用具の形状によって異なるが、1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜800,000、さらに好ましくは5,000〜500,000である。5,000〜500,000であれば成形性が高く、機能的に優れている。
本発明の医療用具等としては、例えばディスポーザブル注射器、注射針容器、カテーテルチューブ、輸液用チューブ、活栓、トレイ、不織布、手術用手袋、ガウン、シーツ、フィルター、ステント等を挙げることができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
(1−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:113,500)を得た。
【0031】
(1−2)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1−1)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体5gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率0.5重量%)を得た。
【0032】
(1−3)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(1−2)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂を(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率0.5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0033】
(1−4)放射線の照射
上記(1−3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例2】
【0034】
(2−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)4.1gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体(重量平均分子量:84,500)を得た。
【0035】
(2−2)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(2−1)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体5gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率0.5重量%)を得た。
【0036】
(2−3)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(2−2)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率0.5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0037】
(4)放射線の照射
上記(2−3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例3】
【0038】
(3−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHBA)4.6gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:91,100)を得た。
【0039】
(3−2)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(DHBA−4HCA)共重合体5gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率0.5重量%)を得た。
【0040】
(3−3)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(3−2)で得られた1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率0.5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0041】
(3−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例4】
【0042】
(4−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(3,4−DHCA)9.2gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(3,4−DHCA)重合体(重量平均分子量:89,300)を得た。
【0043】
(4−2)ポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(3,4−DHCA)重合体
5gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂(ポリ(3,4−DHCA)重合体含有率0.5重量%)を得た。
【0044】
(4−3)ポリ(3,4−DHCA)重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(4−2)で得られたポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂(ポリ(3,4−DHCA)重合体含有率0.5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0045】
(4−4)放射線の照射
上記(4−3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例5】
【0046】
(5−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:76,900)を得た。
【0047】
(5−2)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(5−1)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体50gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率5重量%)を得た。
【0048】
(5−3)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(5−2)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0049】
(5−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例6】
【0050】
(6−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)4.1gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体(重量平均分子量:75,300)を得た。
【0051】
(6−2)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(6−1)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体50gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率5重量%)を得た。
【0052】
(6−3)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(6−2)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0053】
(6−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例7】
【0054】
(7−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHBA)4.6gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:97,500)を得た。
【0055】
(7−2)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(DHBA−4HCA)共重合体50gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率5重量%)を得た。
【0056】
(7−3)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(7−2)で得られたポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0057】
(4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例8】
【0058】
(8−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(3,4−DHCA)9.2gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(4HCA)共重合体(重量平均分子量:83,400)を得た。
【0059】
(8−2)ポリ(4HCA)共重合体縮合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン1000g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(4HCA)共重合体50gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(4HCA)共重合体含有率5重量%)を得た。
【0060】
(8−3)ポリ(4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(8−2)で得られたポリ(4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(4HCA)共重合体含有率5重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0061】
(8−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例9】
【0062】
(9−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:79,900)を得た。
【0063】
(9−2)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン500g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体100gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率20重量%)を得た。
(9−3)ポリ(DHCA−4HCA)共重合体縮合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(9−2)で得られたポリ(DHCA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HCA)共重合体含有率20重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0064】
(9−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例10】
【0065】
(10−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)5.4gと4−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)4.1gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体(重量平均分子量:111,300)を得た。
【0066】
(10−2)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン500g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体100gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率20重量%)を得た。
【0067】
(10−3)ポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(10−2)で得られたポリ(DHCA−4HBA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHCA−4HBA)共重合体含有率20重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0068】
(4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例11】
【0069】
(11−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHBA)4.6gと4−ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)4.9gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体(重量平均分子量:100,600)を得た。
【0070】
(11−2)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン500g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(1)で得られたポリ(DHBA−4HCA)共重合体100gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率20重量%)を得た。
【0071】
(11−3)ポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(11−2)で得られたポリ(DHBA−4HCA)共重合体添加樹脂(ポリ(DHBA−4HCA)共重合体含有率20重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0072】
(11−4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【実施例12】
【0073】
(12−1)1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体の製造
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(3,4−DHCA)9.2gと触媒である酢酸ナトリウム0.05gとエステル交換剤である無水酢酸50mLを三口フラスコに入れて10分間窒素バブリングさせ、窒素気流下で200℃のオイルバスに20時間撹拌させ縮重合した。得られた析出物をジメチルホルムアミドに溶解し、メタノール中で再沈殿させた。吸引ろ過後、室温で二昼夜真空乾燥させ、ポリ(3,4−DHCA)重合体(重量平均分子量:99,100)を得た。
【0074】
(12−2)ポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂の製造
脂肪族ポリエステル樹脂であるポリカプロラクトン500g(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)と、上記(12−1)で得られたポリ(3,4−DHCA)重合体100gを混合し、これを二軸混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて温度190℃にて溶融混練した後ペレット化し、ポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂(ポリ(3,4−DHCA)重合体含有率20重量%)を得た。
【0075】
(12−3)ポリ(3,4−DHCA)重合体添加生分解樹脂シートの作成
上記(12−2)で得られたポリ(3,4−DHCA)重合体添加樹脂(ポリ(3,4−DHCA)重合体含有率20重量%)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0076】
(4)放射線の照射
上記(3)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【0077】
(比較例1)
(1)ポリカプロラクトンシートの作成
ポリカプロラクトンペレット(プラクセルH−5、ダイセル化学(株)製)を卓上型熱プレス機(SA−303、テスター産業(株)製)を用いて、温度200℃、圧力30MPaにて加圧した後急冷し、横150mm、縦150mm、厚さ0.5mmのシート状に成形し材料シートを作成した。
【0078】
(2)放射線の照射
上記比較例1(1)で得られたシートに、室温にて、10MeV電子加速器による電子線55kGyを照射し放射線照射済みの材料シートを作成した。
【0079】
(比較例2)
実施例1(1−2)で、ポリ(DHCA−4HCA)共重合体の含有率を50重量%とした以外は実施例1と同様の方法で作製し、放射線照射済みの材料シートを作製した。
【0080】
「重量平均分子量測定」
実施例1〜12、比較例1〜2で作製した材料シートを使用して、ゲルろ過クロマトグラフィー(LC−10 島津製,移動相;クロロホルム,カラム;LF804,カラム温度;40℃)により、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量を算出した。
表1より、本発明の医療用具および医療用材料は、放射線滅菌前後での重量平均分子量の変化に与える影響が少ないことが確認されたので、種々の医療用具等についても使用可能であることが示された。
【0081】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステル樹脂と、この樹脂に対して0.1〜30重量%の1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体とを含有することを特徴とする電離放射線滅菌された医療用具および医療用材料。
【請求項2】
前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイのいずれかである請求項1に記載の医療用具および医療用材料。
【請求項3】
前記1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体が、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ2−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ3−メトキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸のいずれか、もしくは2つ以上の組み合わせから合成された縮合体である請求項1に記載の医療用具および医療用材料。
【請求項4】
脂肪族ポリエステル樹脂と、この樹脂に対して0.1〜30重量%の1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物とを含有する組成物を成形した後、電離放射線照射することを特徴とする医療用具および医療用材料の製造方法。
【請求項5】
前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、およびこれらの共重合体、あるいはポリマーブレンド、あるいはポリマーアロイのいずれかと、前記1つ以上の水酸基と1つ以上のカルボキシル基を持つ芳香族化合物縮合体が2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ2−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ3−メトキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸のいずれか、もしくは2つ以上の組み合わせから合成された縮合体との混合物である請求項4に記載の医療用具および医療用材料の製造方法。

【公開番号】特開2010−220746(P2010−220746A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70192(P2009−70192)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】