説明

耐震シェルター

【課題】既存の住宅等でも簡易に設置することができ、また住人を十分に保護することができる簡易な構成の耐震シェルターを提案することを目的とする。
【解決手段】断面半円弧形状による内筒部材4に対して、その外側に、内筒部材4に対して回動に断面半円弧形状による外筒部材3を配置し、内筒部材4の内部空間に人間を収納し、外筒部材3の回動により内筒部材4への侵入口を外筒部材3で塞いで内部に収容した人間を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震による家屋の倒壊等から住人を保護する耐震シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の耐震シェルターが、例えば特開2011−144543号公報等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−144543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の耐震シェルターは、既存の住宅等でも簡易に設置できることが望まれる。また家屋が倒壊しても住人を充分に保護できることが望まれる。またさらに簡易な構成であることも求められる。これらの要求に対して、従来の耐震シェルターは、実用上未だ不十分な問題がある。
【0005】
そこで本発明は、既存の住宅等でも簡易に設置することができ、また住人を十分に保護することができる簡易な構成の耐震シェルターを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 断面半円弧形状による内筒部材と、
前記内筒部材の外側に、前記内筒部材に対して回動自在に保持された断面半円弧形状による外筒部材とを備え、
前記内筒部材の内部空間に人間を収納し、前記外筒部材の回動により前記内筒部材への侵入口を前記外筒部材で塞いで内部に収容した人間を保護する。
【0007】
(1)によれば、筒状金属の加工、金属板材の加工、金属鋼材を柱材として使用した金属板材の加工等により簡易に作製することができる。また可搬可能とすることができ、これにより既存の住宅等でも簡易に設置することができる。また内筒部材及び外筒部材が断面半円弧形状であるとから、侵入口を外筒部材で塞いで内部に収容した人間を保護する状態では、全体形状を円筒形状として、充分な強度を確保することができる。
【0008】
(2) (1)において、前記外筒部材は、
前記内筒部材の上端面の回動中心軸により前記内筒部材に対して回動自在に保持され、
前記上端面には、前記外筒部材の脱落を防止するレールが設けられる。
【0009】
(2)によれば、一段と具体的な構成を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
既存の住宅等でも簡易に設置することができ、また住人を十分に保護することができる簡易な構成の耐震シェルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の耐震シェルターを示す斜視図である。
【図2】図1の耐震シェルターの使用状態を示す斜視図である。
【図3】内筒部材を示す斜視図である。
【図4】内筒部材の上端面を示す平面図である。
【図5】外筒部材を示す斜視図である。
【図6】外筒部材の上端面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る耐震シェルターを示す斜視図である。図1は、使用開始時を示す斜視図であり、図2は、使用中の状態を示す斜視図である。この耐震シェルター1は、可搬可能に構成され、設置された住宅の住人等をその内部空間に収納し、当該設置場所における建築物の倒壊等から収納した住人を保護する。
【0014】
このため耐震シェルター1は、前面設けられた侵入口2より内部に侵入して、矢印Aにより示すように(図1)、外筒部材3を回動させて侵入口2を閉じることにより、住人を内部に収納にして保護する(図2)。またこのように外筒部材3を操作可能に、外筒部材3には内側及び外側に取っ手3A及び3Bが設けられ、外筒部材3の回動を停止させる突起によるストッパー3Cが外筒部材3の内側面に設けられる。なおストッパー3Cは、図2に示すように侵入口を閉じるように回動させた場合には、とめ金具として機能するように構成される。また内部に住人を収納して外部の様子を観察可能に、外筒部材3には、開口3Dが設けられ、さらに内部には、内部を照明する照明装置が設けられる。また矢印Bにより示すように(図2)、内側より取っ手3Aを把持して外筒部材3を回動させることにより侵入口2が開き(図1)、これにより外部に脱出可能とされる。このため耐震シェルター1は、回動可能に、外筒部材3を内筒部材4に配置して構成される。なお耐震シェルター1は、さらに換気扇が設けられ、これにより収容した住人の窒息等を防止する。
【0015】
図3は、この内筒部材4を示す斜視図である。内筒部材4は、鉄等の金属板材を加工して、円筒部材を切り取った、断面半円弧形状により形成される。より具体的には、金属鋼材を骨材として組み立てた後、この骨材に金属板材を配置して作成されるものの、作成方法は種々の手法を適用することができる。内筒部材4は、金属板材により下端面が蓋4Lにより閉じられ、設置用の脚部4Aが一定のピッチにより蓋4Lに設けられる。また上端面4Uに、外筒部材3を回動可能に保持する回動中心軸部材6、この回動中心軸部材6を回動軸にした回動において、外筒部材3の脱落を防止するレール7が設けられる。また下方の外周には、外筒部材3の外周をガイドするレール9が設けられる。
【0016】
図4は、この上端面4Uを詳細に示す平面図である。内筒部材4の上端面は、円筒形状に係る中心軸に、円柱形状の回動中心軸部材6が設けられる。またこの部材6による回動中心軸を中心にして同心円状に、第1及び第2のレール7A及び7Bが設けられ、この2つのレール7A及び7Bにより外筒部材3をガイドするガイド溝8が作成される。
【0017】
図5は、外筒部材3を示す斜視図である。この外筒部材3は、内筒部材4より大径の円筒部材を切り取った形状により形成され、断面半円弧形状により形成される。外筒部材3は、内筒部材4と同様に、鉄等の金属板材を加工して、より具体的には、金属鋼材を骨材として組み立てた後、この骨材に金属板材を配置して作成されるものの、作成方法は種々の手法を適用することができる。なお外筒部材3及び内筒部材4は、侵入口2を閉じた状態で、円周方向の端部が重なり合うように形状が選定される。外筒部材3は、図6に示すように、上端面3Uの中央に、貫通孔10が設けられ、この貫通孔10に、内筒部材4の回動中心軸部材6を挿通して回動自在に内筒部材4に配置される。またこの貫通孔10を中心にしてリング状にレール11が配置され、このレール11が、内筒部材4のガイド溝8に噛み合って、内筒部材4からの脱落が防止される。また下部の内周には、内筒部材4のレール9に上方より当接するレール12が設けられ、これにより円滑に回動できるように内筒部材4に保持される。
【0018】
以上の構成によれば、断面半円弧形状による内筒部材の外側に、回動自在に断面半円弧形状による外筒部材を配置し、外筒部材の回動により内筒部材への侵入口を外筒部材で塞いで内部に収容した人間を保護することにより、筒状金属の加工、金属板材の加工等により簡易に作製することができる。また可搬可能とすることができ、これにより既存の住宅等でも簡易に設置することができる。また内筒部材及び外筒部材が断面半円弧形状であるとから、内筒部材の開口を外筒部材で塞いで内部に収容した人間を保護する状態では、全体形状を円筒形状として、充分な強度を確保することができる。
【0019】
〔他の実施の形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【0020】
すなわち上述の実施形態では、レール7A、7B、9、11、12によち脱落を防止して円滑に回動するように外筒部材を保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばローラにより円滑に回動するように保持する場合等、種々の保持方法を広く適用することができる。
【0021】
また上述の実施形態では、回動中心軸部材により外筒部材を回動可能に保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばガイド溝8とレール11のみにより回動自在に保持する場合等、種々の保持方法を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 耐震シェルター
2 侵入口
3 外筒部材
3A、3B 取っ手
3C ストッパー
3D 開口
3U 上端面
4 内筒部材
4A 脚部
4U 上端面
6 回動中心軸部材
7A、7B、9、11、12 レール
8 ガイド溝
10 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面半円弧形状による内筒部材と、
前記内筒部材の外側に、前記内筒部材に対して回動自在に保持された断面半円弧形状による外筒部材とを備え、
前記内筒部材の内部空間に人間を収納し、前記外筒部材の回動により前記内筒部材への侵入口を前記外筒部材で塞いで内部に収容した人間を保護する
耐震シェルター。
【請求項2】
前記外筒部材は、
前記内筒部材の上端面の回動中心軸により前記内筒部材に対して回動自在に保持され、
前記上端面には、前記外筒部材の脱落を防止するレールが設けられた
請求項1に記載の耐震シェルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36262(P2013−36262A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174506(P2011−174506)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(510248888)
【Fターム(参考)】