説明

耐震・耐風フレーム

【課題】 耐震及び耐風の補強のために既存建物基礎を傷めないことと、耐震及び耐風のための軽量フレームの回転・転倒を阻止しフレームの性能を発揮させること。
【解決手段】 既存建物基礎を傷めない位置まで離して耐引き抜き杭を設置し、既存建物基礎を傷めず且つフレーム回転の問題を解決した。これにより耐震・耐風フレームの性能を最大限発揮させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建物の耐震及び耐風に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の木造建物の耐震補強には、既存建物の基礎への影響が殆ど考慮されておらず、補強フレーム下部を既存建物の基礎に直接ボルト等で縫い付けており、既存建物の基礎を傷めているのが大半である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存建物の直接基礎は、基礎端より下に45度の角度で基礎巾の2倍の深さまでの地盤に影響される。その範囲に補強用基礎を設置せずに既存建物の基礎への悪影響を排除すること。又耐震では建物の重心と剛心のずれでねじれ回転が起き剛性の弱い側に大きな水平力が掛かる。故に剛性の弱い側に軽量で剛性が強くなる補強材の付加が必要となる。耐風でも風圧中心と剛心の関係は耐震と同じである。木造住宅では南面の開口部が大きくこの部分の剛性が不足している例が多いし、一方向だけでなく二方向共ねじれが大きくなる例もある。補強材としての耐震・耐風フレームの下部構造は鉄筋コンクリート、上部構造は鉄骨造又は木造を想定しており軽量である。そのフレームに掛かる水平力はフレーム総重量より遙かに大きく、フレームが回転・転倒してしまうと耐震及び耐風の効果は無い。フレーム形体がラーメン構造であれブレース等の構造であれ、水平力による回転力は同じである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
フレームの回転を止めるため耐引き抜き杭を既存建物より離して使用する。杭は通常圧縮用であるが、引き抜きにもフリクション等で効果を発揮するから、杭をボルト又は鉄筋等で基礎に緊結して使用する。杭は鋼杭でも鉄筋コンクリート杭でも可。フレームは既存建物の形態に適したフレームを設計し使用する。
【発明の効果】
【0005】
耐引き抜き杭を既存建物の基礎より離しての使用により、既存建物の基礎を傷めず、耐震及び耐風フレームの回転が止められ、フレーム本体の能力が発揮される。尚引き抜き杭に代り直接基礎でフレーム回転を止めると、非常に大きな基礎となり、延いては既存建物の基礎に支障を来すこととなる。又補強計算に必要なフレームのD値のロッキングエレメントも直接基礎より杭基礎の方が明解である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1と図2と図4においては、実線部分は、X方向に水平加力がある場合のみに耐震及び耐風の効果を発揮する形態である。実線部分に破線部分を付加した形態は、XとYの両方向同時に耐震及び耐風の効果を発揮する形態である。
【0007】
地震又は台風により既存建物に生じる水平力は、既存建物2階桁梁13を通してそれとボルト14で緊結した梁12に伝わり、梁12と梁10と梁6と斜材11で水平方向に剛性が強い水平フレームを構成し、柱3頭部に水平力を伝える。但し鉛直方向には剛性のないフレームとする。梁6と梁7と梁8と斜材9も水平方向に剛性の強い水平フレームを構成する。尚水平フレーム上部はバルコニーとしての使用も可だし、2階部分を加えることも可である。
【0008】
柱3頭部に伝わった水平力は軸力と剪断力として基礎2に伝える。ラーメン形体のフレームでは、剪断力とそれにより発生する曲げモーメントは、X方向の場合は、梁6と鉄筋コンクリート造の地中梁4に伝わり処理される。Y方向の場合の梁7と地中梁5も同じである。軸力は鉄筋コンクリート造の基礎2より耐引き抜き杭1に伝わり、軸力の圧縮と引張は耐引き抜き杭で処理する。
【0009】
図5においては、耐引き抜き杭1頂部に鋼板18を緊結し、鋼板18にボルトで緊結した異形鉄筋16を鉄筋コンクリート基礎2内に定着する、柱3に緊結したベースプレート19よりアンカーボルト17を基礎2内に定着する、故に柱3に加わる軸力は基礎2を介して耐引き抜き杭1に伝わる。
【0010】
図4にて、既存建物基礎15の影響範囲と耐震・耐風フレームの基礎との関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 2階梁伏図
【図2】 基礎伏図
【図3】 X方向軸組図
【図4】 Y方向軸組図
【図5】 基礎詳細図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強度不足の既存木造建物並びに設計上強度不足の新築予定木造建物の耐震補強並びに耐風補強のための、既存又は新築本体より離れたところに設置するフレーム基礎に耐引き抜き杭を使用した耐震及び耐風のためのフレームである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−297894(P2008−297894A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177779(P2007−177779)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(507227913)
【Fターム(参考)】