耐震支持具
【課題】対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上可能な耐震支持具を提供する。
【解決手段】相互に対向配置された一対の上下部材11,13と、該一対の上下部材11,13の反対向側に設けられ上下部材11,13間の間隔に応じて家具3の底面5及び床面7に押圧接着される接着面33a,35aを有する接着部材33,35と、上下部材11,13間を結合すると共に両者の間隔を調整可能とするジャッキ機構15と、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じてジャッキ機構15を駆動し上下部材11,13間の間隔調整を行わせる調整ねじ部17とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】相互に対向配置された一対の上下部材11,13と、該一対の上下部材11,13の反対向側に設けられ上下部材11,13間の間隔に応じて家具3の底面5及び床面7に押圧接着される接着面33a,35aを有する接着部材33,35と、上下部材11,13間を結合すると共に両者の間隔を調整可能とするジャッキ機構15と、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じてジャッキ機構15を駆動し上下部材11,13間の間隔調整を行わせる調整ねじ部17とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震による家具の転倒防止等に供される耐震支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
家具等の耐震支持具としては、例えば特許文献1のように、相互に対向配置された対向部材である基台及び天井支持台間の間隔を組付け時に調整するものがある。
【0003】
この耐震支持具では、基台及び天井支持台間の間隔に応じて、接着面を家具の上面及び天井面の被接着面に押圧接着する。これにより、耐震支持具では、必要な接着力を発揮することができ、家具を安定的に支持することができる。
【0004】
しかしながら、かかる従来の耐震支持具では、接着面の接着方向に沿って配置された雄ねじ棒にナットを螺合し、このナットを軸周り回転させることで基台及び天井支持台間の間隔を調整するようになっている。
【0005】
このため、間隔の調整時には、耐震支持具全体がナット共に軸周り回転しようとし、これに応じて接着面も被接着面に対して面内で回転しようとする。結果として、接着部分に捻れが生じて損傷したり接着面の剥離が生じるおそれがあった。
【0006】
このため、耐震支持具では、基台や天井支持台を押さえながらナットを回転させる必要があり、組み付け作業性が低下するという問題があった。
【0007】
特に、このような耐震支持具では、キャスター付き家具のように底面と床面との間に形成された隙間内に適用する場合、取付スペースが狭く組付け作業性が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−266354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題は、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合に組み付け作業性が低下する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上するために、相互に対向配置された一対の対向部材と、該一対の対向部材の反対向側に設けられ前記対向部材間の間隔に応じて被接着面に押圧接着される接着面を有する接着部材と、前記対向部材間を結合すると共に前記間隔を調整可能とするジャッキ機構と、前記接着面の接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じて前記ジャッキ機構を駆動し前記間隔の調整を行わせる調整ねじ部とを備えたことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】耐震支持具が組付けられた家具を示す正面図である(実施例1)。
【図2】図1の耐震支持具の斜視図である(実施例1)。
【図3】図1の耐震支持具の側面図である(実施例1)。
【図4】図1の耐震支持具の断面図である(実施例1)。
【図5】図1の耐震支持具の正面図である(実施例1)。
【図6】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す斜視図である(実施例1)。
【図7】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す側面図である(実施例1)。
【図8】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す断面図である(実施例1)。
【図9】図1の耐震支持具の組み付け時の状態を示す要部正面図である(実施例1)。
【図10】図1の耐震支持具の組み付け後の状態を示す要部正面図である(実施例1)。
【図11】図1の耐震支持具の組み付け後の状態を示す要部側面図である(実施例1)。
【図12】変形例に係る耐震支持具を示す側面図であり、(a)は上下部材間の間隔が最小時、(b)は同最大時を示す(実施例1)。
【図13】耐震支持具を示す側面図である(実施例2)。
【図14】耐震支持具を示す側面図である(実施例3)。
【図15】上下部材間の相対移動の規制時の係合溝及び係合突起の関係を示す概念図である(実施例3)。
【図16】耐震支持具を示す側面図である(実施例4)。
【図17】図16の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時の側面図である(実施例4)。
【図18】図16の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時の正面図である(実施例4)。
【図19】耐震支持具の斜視図である(実施例5)。
【図20】図19の耐震支持具の分解斜視図である(実施例5)。
【図21】耐震支持具の斜視図である(実施例6)。
【図22】図21の耐震支持具を取り付けた家具の底面図である(実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上するという目的を、対向部材間を間隔調整可能に結合するジャッキ機構を、接着面の接着方向に対して交差配置された調整ねじ部の軸周り回転操作によって駆動することで実現した。
【0014】
ジャッキ機構は、調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動する可動部材と、一対の対向部材及び可動部材の各間に設けられ一対の対向部材に対して可動部材を軸方向移動可能に結合する結合溝及び該結合溝にスライド自在に係合する結合突起とを備える。
【0015】
この場合、結合溝は、少なくとも一方の対向部材と可動部材との間で軸方向の一側から他側に向けて傾斜又は湾曲させる。
【0016】
可動部材は、軸方向に近接離反移動する一対の可動片から構成するのが好ましい。
【0017】
この場合、結合溝及び結合突起は、一対の可動片と一対の対向部材との間に軸方向対称に設けられる。
【0018】
ジャッキ機構の他の実施形態としては、パンタグラフ機構を用いることもできる。具体的には、複数のアームの相互間を軸支部によって軸支し、軸支部を調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動させてアームを起立傾倒する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係る耐震支持具が組付けられた家具を示す正面図である。
【0020】
耐震支持具1は、図1のように、例えばテレビ台等の家具3の底面5と床面7との間の隙間に適用される。本実施例では、家具3の底面5にキャスター9が設けられ、このキャスター9によって形成された隙間内に耐震支持具1が設置される。耐震支持具1の設置個所としては、例えば家具3の四隅近傍となっている。なお、耐震支持具1は、家具の背面と壁面との間や家具の上面と天井面との間に設置することも可能である。
[耐震支持具の構成]
以下、図2〜図5を参照して耐震支持具1の構成について説明する。図2は、図1の耐震支持具の斜視図、図3は、同側面図、図4は、同断面図、図5は、同正面図である。
【0021】
耐震支持具1は、図2〜図5のように、対向部材としての上下部材11,13と、ジャッキ機構15と、調整ねじ部17とを備えている。
【0022】
上下部材11,13は、同一の断面コ字状に形成されており、上下に対向配置されている。上下部材11,13は、それぞれ矩形板状の本体壁部19に側壁部21,23が一体に設けられている。
【0023】
側壁部21,23は、本体壁部19の両縁に沿って延設された矩形板状に形成されている。この側壁部21,23は、本体壁部19の両縁から湾曲部25,27を介して上下部材11,13の対向側に向けて突出している。側壁部21,23の先端は、後述する上下部材11,13間の間隔が最小時で相互に突き当てられる。側壁部21,23には、それぞれ結合溝29,31が設けられている。
【0024】
結合溝29,31は、側壁部21(23)の延設方向両側に対称に形成されている。各結合溝は、側壁部21(23)の延設方向の端部側から中央部側に向けて本体壁部19から離反するように傾斜している。これにより、両結合溝29,31は、八の字状となっている。
【0025】
このような上下部材11,13には、反対向側に接着部材33,35が設けられている。接着部材33,35は、樹脂等の粘弾性材料からなり、本体壁部19よりも外形が一回り小さい矩形板状に形成されている。この接着部材33,35は、その一側面が上下部材11,13の本体壁部19に接着固定され、他側面が接着面33a,35aを構成して家具3の底面5及び床面7の被接着面に上下方向で接着される。
【0026】
上下部材11,13の対向側には、ジャッキ機構15が設けられている。ジャッキ機構15は、上下部材11,13間を間隔調整可能に結合するものであり、可動部材37と、結合突起39,41及び上記結合溝29,31とを備えている。
【0027】
可動部材37は、一対の矩形板状の可動片43,45からなっている。可動片43,45は、上下部材11,13の本体壁部19,19間で上下方向に沿って配置され、側壁部21,23の延設方向で近接離反移動自在に相互に対向している。各可動片の上下縁部には、それぞれ傾斜板部47,49が一体に設けられている。
【0028】
傾斜板部47,49は、可動片45(43)の反対向側に向けて突出し、上下部材11,13の結合溝31,29と同一の傾斜角度で傾斜している。傾斜板部47,49は、上下部材11,13の側壁部21,23に対向する縁部に結合突起39,41が設けられている。結合突起39,41は、傾斜板部47,49に応じて傾斜した板状に形成され、側壁部21,23の結合溝31,29内にスライド自在に係合している。
【0029】
このようなジャッキ機構15は、調整ねじ部17によって駆動されるようになっている。
【0030】
調整ねじ部17は、図3及び図4のように、棒状の雄ねじ部51を備えている。雄ねじ部51は、上下部材11,13の側壁部21,23の延設方向に沿って配置されている。これにより、調整ねじ部17は、接着部材33,35の接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置された構成となっている。
【0031】
雄ねじ部51の一端側は、ジャッキ機構15の可動片43に設けられたねじ穴53に螺合している。雄ねじ部51の他端側は、段部54が一体に設けられ、段部54は、可動片45に設けられた貫通孔55を挿通している。段部54の一側には、雄ねじ部51に螺合された止め輪56が突き当てられ、段部54の他側には、ヘッド部57が一体に形成されている。このヘッド部57と止め輪56との間に、可動片45が軸方向で位置決め保持されている。
【0032】
このため、調整ねじ部17は、雄ねじ部51の軸周り回転により、可動片43、45の間隔を変化させて近接離反移動させるようになっている。この軸周り回転は、ヘッド部57にの係合溝57aを介して締結工具によって行われる。
【0033】
なお、可動片43に貫通孔を設け、可動片45にねじ穴を設けてもよい。また、可動片43,45に相互に逆ねじれのねじ穴を設け、それに軸の両端で逆ねじれを有する調整ねじ部を組み込んでも良い。何れの場合も、調整ねじ部の軸周り回転によって、上記同様に可動片43,45を近接離反移動させることができる。
[耐震支持具の間隔調整動作]
図6は、図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す斜視図、図7は、同側面図、図8は、同断面図である。
【0034】
耐震支持具1は、図2〜図8のように、調整ねじ部17の軸回り回転によって上下部材11,13(本体壁部19,19)間の間隔が調整される。すなわち、耐震支持具1では、締結工具によって調整ねじ部17を軸回り回転させると、ジャッキ機構15の可動片43,45が調整ねじ部17の軸方向に近接離反移動する。
【0035】
これに応じて、各可動片の上下の結合突起39,41は、上下部材11,13の側壁21,23の結合溝29,31内をスライド移動することになる。このとき、可動片43(45)の上下の結合突起39,41間の間隔が固定されているので、上下の結合溝39,41の傾斜に応じて上下部材11,13が上下動することになる。この結果、耐震支持具1では、上下部材11,13間の間隔が調整される。
【0036】
本実施例では、図2〜図5のように、可動片43,45を最も離反させると上下部材11,13の間隔が最少となり、図6〜図8のように、可動片43,45を最も近接させると上下部材11,13の間隔が最大となる。
[耐震支持具の組み付け]
図9は、図1の耐震支持具の組み付け時の状態を示す要部正面図、図10及び図11は、同組み付け後の状態を示す要部正面図及び要部側面図である。
【0037】
耐震支持具1を組み付ける際は、図9のように、まず耐震支持具1を家具3の底面5及び床面7間の隙間内に挿入して床面7上に位置させる。このとき、耐震支持具1は、上下部材11,13間の間隔を最少としておくのが好ましい。隙間内への挿入時には、下部材13の接着面35aを床面7に接着させるが、接着面35aを床面7に押圧する必要はない。
【0038】
次に、上下部材11,13間の間隔を調整して接着面33a,35aを家具3の底面5及び床面7に対して押圧接着する。
【0039】
具体的には、図2〜図8を参照して説明したように、調整ねじ部17を回転させてジャッキ機構15の可動片43,45を近接移動させる。この近接移動に応じて、上下部材11,13間の間隔が拡がって上部材11が上昇し、上部材11の接着面33aが家具3の底面5に接触(接着)する。
【0040】
この状態で更に上下部材11,13間の間隔を広げると、図10及び図11のように、上下部材11,13と家具3の底面5及び床面7との間で接着部材33,35が圧縮される。この圧縮により、上下部材11,13の接着面33a,35aは、家具3の底面5及び床面7に対して押圧接着される。
【0041】
なお、本実施例では、家具3のキャスター9を浮上させて耐震支持具1で家具3の全重量を受け、家具3の重量によって接着面33a,35aが家具3の底面5及び床面7に押圧接着される。
【0042】
この結果、耐震支持具1では、必要な接着力を発揮することができ、家具3を床面7に対して安定的に支持することができる。
【0043】
上記押圧接着の際は、耐震支持具1が調整ねじ部17と共に全体として軸回り回転しようとする。このとき、耐震支持具1では、その回転軸が接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置されているため、軸回り回転を規制される。
【0044】
具体的には、図10の二点差線のように、上下部材11,13の接着面33a,35aが、家具3の底面5及び床面7に対して傾動しようとするが、家具3の底面5及び床面7から反力を受けて傾動が規制される。
【0045】
この結果、耐震支持具1では、組み付け作業を容易に行わせることができながら、接着部材33,35の捻れによる損傷や接着面33a,35aの剥離を防止することができる。
【0046】
こうして組み付けられた耐震支持具1では、地震時の振動等によって床面7側から家具3側に入力される動的荷重を、接着部材33,35の粘弾性により確実に緩衝することができる。
【0047】
また、上下接着部材33,35のズレにより、結合溝29、31と結合突起39、41の間に摩擦が発生し、振動エネルギーを吸収することができる。
【0048】
[実施例1の効果]
本実施例の耐震支持具1は、相互に対向配置された一対の上下部材11,13と、該一対の上下部材11,13の反対向側に設けられ上下部材11,13間の間隔に応じて家具3の底面5及び床面7に押圧接着される接着面33a,35aを有する接着部材33,35と、上下部材11,13間を結合すると共に両者の間隔を調整可能とするジャッキ機構15と、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じてジャッキ機構15を駆動し上下部材11,13間の間隔調整を行わせる調整ねじ部17とを備えている。
【0049】
このため、耐震支持具1では、調整ねじ部17と共に全体として軸回り回転することを規制し、組み付け作業を容易に行わせることができながら、接着部材33,35に捻れが生じて損傷したり接着面33a,35aの剥離を防止することができる。
【0050】
従って、耐震支持具1では、上下部材11,13間の間隔調整によって接着面33a,35aを家具3の底面5及び床面7に押圧接着する場合に組み付け作業性を向上することができる。
【0051】
また、ジャッキ機構15は、調整ねじ部17の回転操作により軸方向に移動する可動部材37と、上下部材11,13及び可動部材37の各間に設けられ上下部材11,13に対して可動部材37を軸方向移動可能に結合する結合溝29,31及び該結合溝29,31にスライド自在に係合する結合突起39.41とを備え、結合溝29,31が、上下部材11,13と可動部材37との間で調整ねじ部17の軸方向の一側から他側に向けて傾斜している。
【0052】
このため、本実施例では、可動部材37の移動により結合溝29,31の傾斜に応じて上下部材11,13の間隔を容易且つ確実に調整することができ、簡単な構成で上下部材11,13間の間隔を調整可能なジャッキ機構15を実現できる。
【0053】
なお、結合溝29,31は、少なくとも上下部材11,13の一方と可動部材37との間で傾斜していれば、ジャッキ機構15を実現できる。
【0054】
また、本実施例では、可動部材37が調整ねじ部17の軸方向に近接離反移動する一対の可動片43,45からなり、結合溝29,31及び結合突起39,41が一対の可動片43,45と上下部材11,13との間に軸方向対称に設けられている。
【0055】
このため、本実施例では、ジャッキ機構15による上下部材11,13の間隔調整動作を円滑且つ確実に行わせることができる。
【0056】
なお、可動部材37は、単一の部材であっても、ジャッキ機構15としての機能を実現できる。例えば、一対の可動片を一体に構成すると共に結合溝及び結合突起を左右で同一の形状にすればよい。これに代えて、単一の可動片のみとしてもよい。また、可動片43,45は、板状ではなくブロック状にすることも可能である。
[変形例]
図12は、変形例に係る耐震支持具を示す側面図であり、(a)は上下部材間の間隔が最小時、(b)は同最大時を示す。
【0057】
図12のように、変形例に係る耐震支持具1では、上下部材11,13の側壁部21,23の形状を変更したものである。具体的には、側壁部21,23の先端両側部59,61が結合溝29,31の形状に応じて傾斜設定されている。これにより、側壁部21,23は、先端中央部63のみが上下部材11,13の間隔が最小時に突き当てられるようになっている。
【0058】
かかる変形例でも、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
なお、側壁部21,23の形状は、任意に設定することができ、他の形状を採用することも可能である。
【実施例2】
【0060】
図13は、本発明の実施例2に係る耐震支持具を示す側面図である。なお、図13では、接着部材33,35を省略して示す。また、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する構成について同符号或いは同符号にAを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0061】
本実施例の耐震支持具1Aは、図13のように、上下部材13A,13Aに対向方向に沿ってスライド自在に嵌合する嵌合溝65及び嵌合突起67を備えたものである。
【0062】
すなわち、下部材13Aは、側壁部21Abの先端両側から上方に突出する突出部69,71が形成されている。この突出部69,71間により、下部材13Aには、上下方向に沿った嵌合溝67が形成されている。
【0063】
上部材11Aは、側壁部21Aaが全体として下部材13Aの嵌合溝65内にスライド自在に嵌合し、嵌合突起67を構成している。
【0064】
かかる耐震支持具1Aでは、設置状態で嵌合溝65と嵌合突起67との嵌合により、調整ねじ部17の軸方向に対する上下部材11A,13Aの相対移動を規制することができ、より安定して家具3を支持することができる。
【0065】
なお、嵌合溝及び嵌合突起は、側壁部を利用せずに別途設ける構成しても、同様の効果を奏することができる。
【0066】
その他、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0067】
図14は、本発明の実施例3に係る耐震支持具を示す側面図である。なお、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する構成について同符号或いは同符号にBを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0068】
本実施例の耐震支持具1Bは、図14のように、上下部材11B,13Bの側壁部21B(23B)の結合溝29B,31Bを湾曲させたものである。
【0069】
具体的には、結合溝29B,31Bが側壁部21B(23B)の延設方向の端部側から中央部側に向けて本体壁部19Bから離反するように湾曲している。結合溝29B,31Bの湾曲形状は、側壁部21B(23B)の中央部側で離反量(傾き)が大きい二次曲線状となっている。なお、本実施例の結合突起39B,41Bは、円柱状に形成されている。
【0070】
この耐震支持具1Bでは、上下部材11B,13B間の調整ねじ部17の軸方向での相対移動を確実に規制することができる。
【0071】
図15は、上下部材間での相対移動規制時の上部材の係合溝及び係合突起の関係を示す概念図である。
【0072】
図14のように、上下部材11B,13B間が調整ねじ部17の軸方向で距離xだけ移動しようとすると、図15のように、結合突起39B,39Bが結合溝29B,31Bに対して軸方向に距離xだけ移動しようとする。
【0073】
このとき、結合溝29B,31Bの湾曲形状に応じて、一方の結合突起39Bが上下に高さy1だけ下がろうとすると共に他方の結合突起39Bが高さy2だけ上がろうとすることになる。
【0074】
ここで、高さy1と高さy2との関係は、結合溝29B,31Bの二次曲線状の湾曲設定によりy1>y2となる。この高低差により、耐震支持具1Bは、上部材11Bの他方の結合突起39B側が持ち上がろうとするので、それによる家具3の持ち上げ動作を行わない限り上下部材11B,13B間の軸方向での相対移動が生じないことになる。
【0075】
結果として、本実施例の耐震支持具1Bでは、結合溝29B,31Bの設定だけで、上下部材11B,13B間の軸方向での相対移動を規制することができる。
【0076】
加えて、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例4】
【0077】
図16は、本発明の実施例4に係る耐震支持具を示す側面図、図17及び図18は、同上下部材の間隔が最大時の側面図及び正面図である。なお、本実施例では、上記実施例1と対応する構成について同符号或いは同符号にCを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0078】
本実施例の耐震支持具1Cは、図16〜図18のように、ジャッキ機構15Cをパンタグラフ機構としたものである。
【0079】
すなわち、ジャッキ機構15Cは、両側のパンタグラフアーム69,71を備えている(図18)。各パンタグラフアームは、複数のアーム73の相互間を軸支部としての連結ピン75,77によって軸支された一対のアーム組立体79,81を備えている(図17)。アーム組立体79,81間は、連結ピン57,77の上下で交差し、交差部分で係止ピン83,85によって軸支されている。
【0080】
各パンタグラフアームの上下端部では、アーム組立体79,81の端部が結合ピン87,89によって上下部材11C,13Cの側壁部21C,23Cに軸支されている。一方のアーム組立体81の結合ピン87は、側壁部21C,23Cの長穴91内に軸方向スライド自在に係合している。
【0081】
なお、連結ピン75,77、係止ピン83,85、及び結合ピン87,89は、両パンタグラフアーム69,71で共通して使用されている。
【0082】
上記連結ピン75,77間には、可動部材37Cが配置され、可動部材37Cには、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置された調整ねじ部17Cの雄ねじ部51Cが螺合している。可動部材37Cは、調整ネジ部17Cの軸周り回転に応じて軸方向に移動し、連結ピン77を軸方向に移動させる。
【0083】
なお、本実施例の調整ねじ部17Cは、ヘッド部57Cが回転操作用のノブとなっており、締結工具を用いずに軸回り回転操作を行うことができるようになっている。
【0084】
このように構成された耐震支持具1Cでは、調整ねじ部17Cの軸回り回転によりジャッキ機構15Cの連結ピン77を軸方向移動させると、両連結ピン75,77が軸方向で近接離反移動する。これに応じ、ジャッキ機構15Cは、結合ピン87,87を上下部材11C,13Cの長穴91,91内でスライドさせながら、複数のアーム73を起立傾倒させる。この結果、耐震支持具1Cでは、上下部材11C,13C間の間隔を調整することができる。
【0085】
従って、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
このように本発明では、各種のジャッキ機構を用いて、接着面の接着方向に交差配置された調整ねじ部の軸回り回転によって上下部材の間隔を調整可能とすることができる。
【実施例5】
【0087】
図19は、本発明の実施例5に係る耐震支持具の斜視図、図20は、同分解斜視図である。なお、本実施例では、上記実施例1と基本構成が共通しているため、対応する構成部分に同符号又は同符号にDを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0088】
本実施例の耐震支持具1Dは、図19及び図20のように、上下部材11D,13Dに対し、支持プレート93,95を介して複数の接着部材33,35を設けたものである。なお、支持プレート93,95については、同一形状であるため、上部材11Dの支持プレート93についてのみ説明する。
【0089】
支持プレート93は、上部材11Dの本体壁部19よりも大きい矩形状に形成され、外周部が上部材11Dに対して張り出している。支持プレート93の上面には、調整ねじ部17の軸心に対する両側に各1対の接着部材33が配置されている。各接着部材33は、直交する辺の一方97が調整ねじ部17の軸心に沿い、他方99が軸線に直交している。
【0090】
この支持プレート93の中央部は、上部材11Dにねじ101によって締結固定されている。ねじ101の端部102は、上部材11Dのねじ穴104に螺合され、ヘッド部103は、支持プレート93の中央部に貫通形成されたテーパー穴105内に収容され係合している。
【0091】
本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができると共に支持プレート93,95によって接着部材33,35の数を増加させて耐震性能を容易に調整することができる。
【実施例6】
【0092】
図21は、本発明の実施例6に係る耐震支持具の斜視図、図22は、図21の耐震支持具を取り付けた家具の底面図である。なお、本実施例では、上記実施例5と基本構成が共通しているため、対応する構成部分に同符号又は同符号にEを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0093】
本実施例の耐震支持具1Eは、実施例5に対し、図21のように支持プレート93E,95Eの接着部材33,35の辺97,99を、調整ねじ部17の軸心に対して約45°傾けたものである。
【0094】
具体的には、支持プレート93E,95E間で調整ねじ部17の軸心を約45°傾けるように耐震支持具1Eを全体として傾けて配置している。これにより、粘着部材33の辺97,99も、調整ねじ部17の軸心に対して約45°傾けられている。かかる方向けは、上下部材11E,13Eの少なくとも何れか一方の接着部材33,35に対して行えばよいが、好ましくは、双方に対して行う。なお、
かかる構成の耐震支持具1Eでは、図22のように、家具3の四隅に対して調整ねじ部17の軸線を取り付けると、上下部材11E,13E間の相対移動による遊び方向が互いに干渉しあい、より安定した家具3の固定を行うことができる。
【0095】
しかも、本実施例では、粘着部材33の辺97,99の傾き設定により、家具3に取り付けられる複数の耐震支持具1Eの支持プレート93E,95Eを揃えて取り付けを行えば、上記遊び方向を容易且つ確実に干渉させることができる。
【0096】
なお、上記他の実施例においても、耐震支持具を家具3に取り付ける際に調整ねじ部17の軸線を相互に傾けることで、遊び方向を容易且つ確実に干渉させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 耐震支持具
5 底面(被接着面)
7 床面(被接着面)
11 上部材(対向部材)
13 下部材(対向部材)
15 ジャッキ機構
17 調整ネジ部
29,31 結合溝
33,35 接着部材
33a,35a 接着面
37 可動部材
39,41 結合突起
43,45 可動片
65 嵌合溝
67 嵌合突起
73 アーム
75,77 連結ピン(軸支部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震による家具の転倒防止等に供される耐震支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
家具等の耐震支持具としては、例えば特許文献1のように、相互に対向配置された対向部材である基台及び天井支持台間の間隔を組付け時に調整するものがある。
【0003】
この耐震支持具では、基台及び天井支持台間の間隔に応じて、接着面を家具の上面及び天井面の被接着面に押圧接着する。これにより、耐震支持具では、必要な接着力を発揮することができ、家具を安定的に支持することができる。
【0004】
しかしながら、かかる従来の耐震支持具では、接着面の接着方向に沿って配置された雄ねじ棒にナットを螺合し、このナットを軸周り回転させることで基台及び天井支持台間の間隔を調整するようになっている。
【0005】
このため、間隔の調整時には、耐震支持具全体がナット共に軸周り回転しようとし、これに応じて接着面も被接着面に対して面内で回転しようとする。結果として、接着部分に捻れが生じて損傷したり接着面の剥離が生じるおそれがあった。
【0006】
このため、耐震支持具では、基台や天井支持台を押さえながらナットを回転させる必要があり、組み付け作業性が低下するという問題があった。
【0007】
特に、このような耐震支持具では、キャスター付き家具のように底面と床面との間に形成された隙間内に適用する場合、取付スペースが狭く組付け作業性が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−266354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題は、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合に組み付け作業性が低下する点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上するために、相互に対向配置された一対の対向部材と、該一対の対向部材の反対向側に設けられ前記対向部材間の間隔に応じて被接着面に押圧接着される接着面を有する接着部材と、前記対向部材間を結合すると共に前記間隔を調整可能とするジャッキ機構と、前記接着面の接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じて前記ジャッキ機構を駆動し前記間隔の調整を行わせる調整ねじ部とを備えたことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】耐震支持具が組付けられた家具を示す正面図である(実施例1)。
【図2】図1の耐震支持具の斜視図である(実施例1)。
【図3】図1の耐震支持具の側面図である(実施例1)。
【図4】図1の耐震支持具の断面図である(実施例1)。
【図5】図1の耐震支持具の正面図である(実施例1)。
【図6】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す斜視図である(実施例1)。
【図7】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す側面図である(実施例1)。
【図8】図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す断面図である(実施例1)。
【図9】図1の耐震支持具の組み付け時の状態を示す要部正面図である(実施例1)。
【図10】図1の耐震支持具の組み付け後の状態を示す要部正面図である(実施例1)。
【図11】図1の耐震支持具の組み付け後の状態を示す要部側面図である(実施例1)。
【図12】変形例に係る耐震支持具を示す側面図であり、(a)は上下部材間の間隔が最小時、(b)は同最大時を示す(実施例1)。
【図13】耐震支持具を示す側面図である(実施例2)。
【図14】耐震支持具を示す側面図である(実施例3)。
【図15】上下部材間の相対移動の規制時の係合溝及び係合突起の関係を示す概念図である(実施例3)。
【図16】耐震支持具を示す側面図である(実施例4)。
【図17】図16の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時の側面図である(実施例4)。
【図18】図16の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時の正面図である(実施例4)。
【図19】耐震支持具の斜視図である(実施例5)。
【図20】図19の耐震支持具の分解斜視図である(実施例5)。
【図21】耐震支持具の斜視図である(実施例6)。
【図22】図21の耐震支持具を取り付けた家具の底面図である(実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
対向部材間の間隔調整によって接着面を被接着面に押圧接着する場合の組み付け作業性を向上するという目的を、対向部材間を間隔調整可能に結合するジャッキ機構を、接着面の接着方向に対して交差配置された調整ねじ部の軸周り回転操作によって駆動することで実現した。
【0014】
ジャッキ機構は、調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動する可動部材と、一対の対向部材及び可動部材の各間に設けられ一対の対向部材に対して可動部材を軸方向移動可能に結合する結合溝及び該結合溝にスライド自在に係合する結合突起とを備える。
【0015】
この場合、結合溝は、少なくとも一方の対向部材と可動部材との間で軸方向の一側から他側に向けて傾斜又は湾曲させる。
【0016】
可動部材は、軸方向に近接離反移動する一対の可動片から構成するのが好ましい。
【0017】
この場合、結合溝及び結合突起は、一対の可動片と一対の対向部材との間に軸方向対称に設けられる。
【0018】
ジャッキ機構の他の実施形態としては、パンタグラフ機構を用いることもできる。具体的には、複数のアームの相互間を軸支部によって軸支し、軸支部を調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動させてアームを起立傾倒する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係る耐震支持具が組付けられた家具を示す正面図である。
【0020】
耐震支持具1は、図1のように、例えばテレビ台等の家具3の底面5と床面7との間の隙間に適用される。本実施例では、家具3の底面5にキャスター9が設けられ、このキャスター9によって形成された隙間内に耐震支持具1が設置される。耐震支持具1の設置個所としては、例えば家具3の四隅近傍となっている。なお、耐震支持具1は、家具の背面と壁面との間や家具の上面と天井面との間に設置することも可能である。
[耐震支持具の構成]
以下、図2〜図5を参照して耐震支持具1の構成について説明する。図2は、図1の耐震支持具の斜視図、図3は、同側面図、図4は、同断面図、図5は、同正面図である。
【0021】
耐震支持具1は、図2〜図5のように、対向部材としての上下部材11,13と、ジャッキ機構15と、調整ねじ部17とを備えている。
【0022】
上下部材11,13は、同一の断面コ字状に形成されており、上下に対向配置されている。上下部材11,13は、それぞれ矩形板状の本体壁部19に側壁部21,23が一体に設けられている。
【0023】
側壁部21,23は、本体壁部19の両縁に沿って延設された矩形板状に形成されている。この側壁部21,23は、本体壁部19の両縁から湾曲部25,27を介して上下部材11,13の対向側に向けて突出している。側壁部21,23の先端は、後述する上下部材11,13間の間隔が最小時で相互に突き当てられる。側壁部21,23には、それぞれ結合溝29,31が設けられている。
【0024】
結合溝29,31は、側壁部21(23)の延設方向両側に対称に形成されている。各結合溝は、側壁部21(23)の延設方向の端部側から中央部側に向けて本体壁部19から離反するように傾斜している。これにより、両結合溝29,31は、八の字状となっている。
【0025】
このような上下部材11,13には、反対向側に接着部材33,35が設けられている。接着部材33,35は、樹脂等の粘弾性材料からなり、本体壁部19よりも外形が一回り小さい矩形板状に形成されている。この接着部材33,35は、その一側面が上下部材11,13の本体壁部19に接着固定され、他側面が接着面33a,35aを構成して家具3の底面5及び床面7の被接着面に上下方向で接着される。
【0026】
上下部材11,13の対向側には、ジャッキ機構15が設けられている。ジャッキ機構15は、上下部材11,13間を間隔調整可能に結合するものであり、可動部材37と、結合突起39,41及び上記結合溝29,31とを備えている。
【0027】
可動部材37は、一対の矩形板状の可動片43,45からなっている。可動片43,45は、上下部材11,13の本体壁部19,19間で上下方向に沿って配置され、側壁部21,23の延設方向で近接離反移動自在に相互に対向している。各可動片の上下縁部には、それぞれ傾斜板部47,49が一体に設けられている。
【0028】
傾斜板部47,49は、可動片45(43)の反対向側に向けて突出し、上下部材11,13の結合溝31,29と同一の傾斜角度で傾斜している。傾斜板部47,49は、上下部材11,13の側壁部21,23に対向する縁部に結合突起39,41が設けられている。結合突起39,41は、傾斜板部47,49に応じて傾斜した板状に形成され、側壁部21,23の結合溝31,29内にスライド自在に係合している。
【0029】
このようなジャッキ機構15は、調整ねじ部17によって駆動されるようになっている。
【0030】
調整ねじ部17は、図3及び図4のように、棒状の雄ねじ部51を備えている。雄ねじ部51は、上下部材11,13の側壁部21,23の延設方向に沿って配置されている。これにより、調整ねじ部17は、接着部材33,35の接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置された構成となっている。
【0031】
雄ねじ部51の一端側は、ジャッキ機構15の可動片43に設けられたねじ穴53に螺合している。雄ねじ部51の他端側は、段部54が一体に設けられ、段部54は、可動片45に設けられた貫通孔55を挿通している。段部54の一側には、雄ねじ部51に螺合された止め輪56が突き当てられ、段部54の他側には、ヘッド部57が一体に形成されている。このヘッド部57と止め輪56との間に、可動片45が軸方向で位置決め保持されている。
【0032】
このため、調整ねじ部17は、雄ねじ部51の軸周り回転により、可動片43、45の間隔を変化させて近接離反移動させるようになっている。この軸周り回転は、ヘッド部57にの係合溝57aを介して締結工具によって行われる。
【0033】
なお、可動片43に貫通孔を設け、可動片45にねじ穴を設けてもよい。また、可動片43,45に相互に逆ねじれのねじ穴を設け、それに軸の両端で逆ねじれを有する調整ねじ部を組み込んでも良い。何れの場合も、調整ねじ部の軸周り回転によって、上記同様に可動片43,45を近接離反移動させることができる。
[耐震支持具の間隔調整動作]
図6は、図1の耐震支持具の上下部材の間隔が最大時を示す斜視図、図7は、同側面図、図8は、同断面図である。
【0034】
耐震支持具1は、図2〜図8のように、調整ねじ部17の軸回り回転によって上下部材11,13(本体壁部19,19)間の間隔が調整される。すなわち、耐震支持具1では、締結工具によって調整ねじ部17を軸回り回転させると、ジャッキ機構15の可動片43,45が調整ねじ部17の軸方向に近接離反移動する。
【0035】
これに応じて、各可動片の上下の結合突起39,41は、上下部材11,13の側壁21,23の結合溝29,31内をスライド移動することになる。このとき、可動片43(45)の上下の結合突起39,41間の間隔が固定されているので、上下の結合溝39,41の傾斜に応じて上下部材11,13が上下動することになる。この結果、耐震支持具1では、上下部材11,13間の間隔が調整される。
【0036】
本実施例では、図2〜図5のように、可動片43,45を最も離反させると上下部材11,13の間隔が最少となり、図6〜図8のように、可動片43,45を最も近接させると上下部材11,13の間隔が最大となる。
[耐震支持具の組み付け]
図9は、図1の耐震支持具の組み付け時の状態を示す要部正面図、図10及び図11は、同組み付け後の状態を示す要部正面図及び要部側面図である。
【0037】
耐震支持具1を組み付ける際は、図9のように、まず耐震支持具1を家具3の底面5及び床面7間の隙間内に挿入して床面7上に位置させる。このとき、耐震支持具1は、上下部材11,13間の間隔を最少としておくのが好ましい。隙間内への挿入時には、下部材13の接着面35aを床面7に接着させるが、接着面35aを床面7に押圧する必要はない。
【0038】
次に、上下部材11,13間の間隔を調整して接着面33a,35aを家具3の底面5及び床面7に対して押圧接着する。
【0039】
具体的には、図2〜図8を参照して説明したように、調整ねじ部17を回転させてジャッキ機構15の可動片43,45を近接移動させる。この近接移動に応じて、上下部材11,13間の間隔が拡がって上部材11が上昇し、上部材11の接着面33aが家具3の底面5に接触(接着)する。
【0040】
この状態で更に上下部材11,13間の間隔を広げると、図10及び図11のように、上下部材11,13と家具3の底面5及び床面7との間で接着部材33,35が圧縮される。この圧縮により、上下部材11,13の接着面33a,35aは、家具3の底面5及び床面7に対して押圧接着される。
【0041】
なお、本実施例では、家具3のキャスター9を浮上させて耐震支持具1で家具3の全重量を受け、家具3の重量によって接着面33a,35aが家具3の底面5及び床面7に押圧接着される。
【0042】
この結果、耐震支持具1では、必要な接着力を発揮することができ、家具3を床面7に対して安定的に支持することができる。
【0043】
上記押圧接着の際は、耐震支持具1が調整ねじ部17と共に全体として軸回り回転しようとする。このとき、耐震支持具1では、その回転軸が接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置されているため、軸回り回転を規制される。
【0044】
具体的には、図10の二点差線のように、上下部材11,13の接着面33a,35aが、家具3の底面5及び床面7に対して傾動しようとするが、家具3の底面5及び床面7から反力を受けて傾動が規制される。
【0045】
この結果、耐震支持具1では、組み付け作業を容易に行わせることができながら、接着部材33,35の捻れによる損傷や接着面33a,35aの剥離を防止することができる。
【0046】
こうして組み付けられた耐震支持具1では、地震時の振動等によって床面7側から家具3側に入力される動的荷重を、接着部材33,35の粘弾性により確実に緩衝することができる。
【0047】
また、上下接着部材33,35のズレにより、結合溝29、31と結合突起39、41の間に摩擦が発生し、振動エネルギーを吸収することができる。
【0048】
[実施例1の効果]
本実施例の耐震支持具1は、相互に対向配置された一対の上下部材11,13と、該一対の上下部材11,13の反対向側に設けられ上下部材11,13間の間隔に応じて家具3の底面5及び床面7に押圧接着される接着面33a,35aを有する接着部材33,35と、上下部材11,13間を結合すると共に両者の間隔を調整可能とするジャッキ機構15と、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じてジャッキ機構15を駆動し上下部材11,13間の間隔調整を行わせる調整ねじ部17とを備えている。
【0049】
このため、耐震支持具1では、調整ねじ部17と共に全体として軸回り回転することを規制し、組み付け作業を容易に行わせることができながら、接着部材33,35に捻れが生じて損傷したり接着面33a,35aの剥離を防止することができる。
【0050】
従って、耐震支持具1では、上下部材11,13間の間隔調整によって接着面33a,35aを家具3の底面5及び床面7に押圧接着する場合に組み付け作業性を向上することができる。
【0051】
また、ジャッキ機構15は、調整ねじ部17の回転操作により軸方向に移動する可動部材37と、上下部材11,13及び可動部材37の各間に設けられ上下部材11,13に対して可動部材37を軸方向移動可能に結合する結合溝29,31及び該結合溝29,31にスライド自在に係合する結合突起39.41とを備え、結合溝29,31が、上下部材11,13と可動部材37との間で調整ねじ部17の軸方向の一側から他側に向けて傾斜している。
【0052】
このため、本実施例では、可動部材37の移動により結合溝29,31の傾斜に応じて上下部材11,13の間隔を容易且つ確実に調整することができ、簡単な構成で上下部材11,13間の間隔を調整可能なジャッキ機構15を実現できる。
【0053】
なお、結合溝29,31は、少なくとも上下部材11,13の一方と可動部材37との間で傾斜していれば、ジャッキ機構15を実現できる。
【0054】
また、本実施例では、可動部材37が調整ねじ部17の軸方向に近接離反移動する一対の可動片43,45からなり、結合溝29,31及び結合突起39,41が一対の可動片43,45と上下部材11,13との間に軸方向対称に設けられている。
【0055】
このため、本実施例では、ジャッキ機構15による上下部材11,13の間隔調整動作を円滑且つ確実に行わせることができる。
【0056】
なお、可動部材37は、単一の部材であっても、ジャッキ機構15としての機能を実現できる。例えば、一対の可動片を一体に構成すると共に結合溝及び結合突起を左右で同一の形状にすればよい。これに代えて、単一の可動片のみとしてもよい。また、可動片43,45は、板状ではなくブロック状にすることも可能である。
[変形例]
図12は、変形例に係る耐震支持具を示す側面図であり、(a)は上下部材間の間隔が最小時、(b)は同最大時を示す。
【0057】
図12のように、変形例に係る耐震支持具1では、上下部材11,13の側壁部21,23の形状を変更したものである。具体的には、側壁部21,23の先端両側部59,61が結合溝29,31の形状に応じて傾斜設定されている。これにより、側壁部21,23は、先端中央部63のみが上下部材11,13の間隔が最小時に突き当てられるようになっている。
【0058】
かかる変形例でも、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
なお、側壁部21,23の形状は、任意に設定することができ、他の形状を採用することも可能である。
【実施例2】
【0060】
図13は、本発明の実施例2に係る耐震支持具を示す側面図である。なお、図13では、接着部材33,35を省略して示す。また、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する構成について同符号或いは同符号にAを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0061】
本実施例の耐震支持具1Aは、図13のように、上下部材13A,13Aに対向方向に沿ってスライド自在に嵌合する嵌合溝65及び嵌合突起67を備えたものである。
【0062】
すなわち、下部材13Aは、側壁部21Abの先端両側から上方に突出する突出部69,71が形成されている。この突出部69,71間により、下部材13Aには、上下方向に沿った嵌合溝67が形成されている。
【0063】
上部材11Aは、側壁部21Aaが全体として下部材13Aの嵌合溝65内にスライド自在に嵌合し、嵌合突起67を構成している。
【0064】
かかる耐震支持具1Aでは、設置状態で嵌合溝65と嵌合突起67との嵌合により、調整ねじ部17の軸方向に対する上下部材11A,13Aの相対移動を規制することができ、より安定して家具3を支持することができる。
【0065】
なお、嵌合溝及び嵌合突起は、側壁部を利用せずに別途設ける構成しても、同様の効果を奏することができる。
【0066】
その他、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0067】
図14は、本発明の実施例3に係る耐震支持具を示す側面図である。なお、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する構成について同符号或いは同符号にBを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0068】
本実施例の耐震支持具1Bは、図14のように、上下部材11B,13Bの側壁部21B(23B)の結合溝29B,31Bを湾曲させたものである。
【0069】
具体的には、結合溝29B,31Bが側壁部21B(23B)の延設方向の端部側から中央部側に向けて本体壁部19Bから離反するように湾曲している。結合溝29B,31Bの湾曲形状は、側壁部21B(23B)の中央部側で離反量(傾き)が大きい二次曲線状となっている。なお、本実施例の結合突起39B,41Bは、円柱状に形成されている。
【0070】
この耐震支持具1Bでは、上下部材11B,13B間の調整ねじ部17の軸方向での相対移動を確実に規制することができる。
【0071】
図15は、上下部材間での相対移動規制時の上部材の係合溝及び係合突起の関係を示す概念図である。
【0072】
図14のように、上下部材11B,13B間が調整ねじ部17の軸方向で距離xだけ移動しようとすると、図15のように、結合突起39B,39Bが結合溝29B,31Bに対して軸方向に距離xだけ移動しようとする。
【0073】
このとき、結合溝29B,31Bの湾曲形状に応じて、一方の結合突起39Bが上下に高さy1だけ下がろうとすると共に他方の結合突起39Bが高さy2だけ上がろうとすることになる。
【0074】
ここで、高さy1と高さy2との関係は、結合溝29B,31Bの二次曲線状の湾曲設定によりy1>y2となる。この高低差により、耐震支持具1Bは、上部材11Bの他方の結合突起39B側が持ち上がろうとするので、それによる家具3の持ち上げ動作を行わない限り上下部材11B,13B間の軸方向での相対移動が生じないことになる。
【0075】
結果として、本実施例の耐震支持具1Bでは、結合溝29B,31Bの設定だけで、上下部材11B,13B間の軸方向での相対移動を規制することができる。
【0076】
加えて、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例4】
【0077】
図16は、本発明の実施例4に係る耐震支持具を示す側面図、図17及び図18は、同上下部材の間隔が最大時の側面図及び正面図である。なお、本実施例では、上記実施例1と対応する構成について同符号或いは同符号にCを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0078】
本実施例の耐震支持具1Cは、図16〜図18のように、ジャッキ機構15Cをパンタグラフ機構としたものである。
【0079】
すなわち、ジャッキ機構15Cは、両側のパンタグラフアーム69,71を備えている(図18)。各パンタグラフアームは、複数のアーム73の相互間を軸支部としての連結ピン75,77によって軸支された一対のアーム組立体79,81を備えている(図17)。アーム組立体79,81間は、連結ピン57,77の上下で交差し、交差部分で係止ピン83,85によって軸支されている。
【0080】
各パンタグラフアームの上下端部では、アーム組立体79,81の端部が結合ピン87,89によって上下部材11C,13Cの側壁部21C,23Cに軸支されている。一方のアーム組立体81の結合ピン87は、側壁部21C,23Cの長穴91内に軸方向スライド自在に係合している。
【0081】
なお、連結ピン75,77、係止ピン83,85、及び結合ピン87,89は、両パンタグラフアーム69,71で共通して使用されている。
【0082】
上記連結ピン75,77間には、可動部材37Cが配置され、可動部材37Cには、接着面33a,35aの接着方向に対して交差配置された調整ねじ部17Cの雄ねじ部51Cが螺合している。可動部材37Cは、調整ネジ部17Cの軸周り回転に応じて軸方向に移動し、連結ピン77を軸方向に移動させる。
【0083】
なお、本実施例の調整ねじ部17Cは、ヘッド部57Cが回転操作用のノブとなっており、締結工具を用いずに軸回り回転操作を行うことができるようになっている。
【0084】
このように構成された耐震支持具1Cでは、調整ねじ部17Cの軸回り回転によりジャッキ機構15Cの連結ピン77を軸方向移動させると、両連結ピン75,77が軸方向で近接離反移動する。これに応じ、ジャッキ機構15Cは、結合ピン87,87を上下部材11C,13Cの長穴91,91内でスライドさせながら、複数のアーム73を起立傾倒させる。この結果、耐震支持具1Cでは、上下部材11C,13C間の間隔を調整することができる。
【0085】
従って、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
このように本発明では、各種のジャッキ機構を用いて、接着面の接着方向に交差配置された調整ねじ部の軸回り回転によって上下部材の間隔を調整可能とすることができる。
【実施例5】
【0087】
図19は、本発明の実施例5に係る耐震支持具の斜視図、図20は、同分解斜視図である。なお、本実施例では、上記実施例1と基本構成が共通しているため、対応する構成部分に同符号又は同符号にDを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0088】
本実施例の耐震支持具1Dは、図19及び図20のように、上下部材11D,13Dに対し、支持プレート93,95を介して複数の接着部材33,35を設けたものである。なお、支持プレート93,95については、同一形状であるため、上部材11Dの支持プレート93についてのみ説明する。
【0089】
支持プレート93は、上部材11Dの本体壁部19よりも大きい矩形状に形成され、外周部が上部材11Dに対して張り出している。支持プレート93の上面には、調整ねじ部17の軸心に対する両側に各1対の接着部材33が配置されている。各接着部材33は、直交する辺の一方97が調整ねじ部17の軸心に沿い、他方99が軸線に直交している。
【0090】
この支持プレート93の中央部は、上部材11Dにねじ101によって締結固定されている。ねじ101の端部102は、上部材11Dのねじ穴104に螺合され、ヘッド部103は、支持プレート93の中央部に貫通形成されたテーパー穴105内に収容され係合している。
【0091】
本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができると共に支持プレート93,95によって接着部材33,35の数を増加させて耐震性能を容易に調整することができる。
【実施例6】
【0092】
図21は、本発明の実施例6に係る耐震支持具の斜視図、図22は、図21の耐震支持具を取り付けた家具の底面図である。なお、本実施例では、上記実施例5と基本構成が共通しているため、対応する構成部分に同符号又は同符号にEを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0093】
本実施例の耐震支持具1Eは、実施例5に対し、図21のように支持プレート93E,95Eの接着部材33,35の辺97,99を、調整ねじ部17の軸心に対して約45°傾けたものである。
【0094】
具体的には、支持プレート93E,95E間で調整ねじ部17の軸心を約45°傾けるように耐震支持具1Eを全体として傾けて配置している。これにより、粘着部材33の辺97,99も、調整ねじ部17の軸心に対して約45°傾けられている。かかる方向けは、上下部材11E,13Eの少なくとも何れか一方の接着部材33,35に対して行えばよいが、好ましくは、双方に対して行う。なお、
かかる構成の耐震支持具1Eでは、図22のように、家具3の四隅に対して調整ねじ部17の軸線を取り付けると、上下部材11E,13E間の相対移動による遊び方向が互いに干渉しあい、より安定した家具3の固定を行うことができる。
【0095】
しかも、本実施例では、粘着部材33の辺97,99の傾き設定により、家具3に取り付けられる複数の耐震支持具1Eの支持プレート93E,95Eを揃えて取り付けを行えば、上記遊び方向を容易且つ確実に干渉させることができる。
【0096】
なお、上記他の実施例においても、耐震支持具を家具3に取り付ける際に調整ねじ部17の軸線を相互に傾けることで、遊び方向を容易且つ確実に干渉させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 耐震支持具
5 底面(被接着面)
7 床面(被接着面)
11 上部材(対向部材)
13 下部材(対向部材)
15 ジャッキ機構
17 調整ネジ部
29,31 結合溝
33,35 接着部材
33a,35a 接着面
37 可動部材
39,41 結合突起
43,45 可動片
65 嵌合溝
67 嵌合突起
73 アーム
75,77 連結ピン(軸支部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向配置された一対の対向部材と、
該一対の対向部材の反対向側に設けられ前記対向部材間の間隔に応じて被接着面に押圧接着される接着面を有する接着部材と、
前記対向部材間を結合すると共に前記間隔を調整可能とするジャッキ機構と、
前記接着面の接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じて前記ジャッキ機構を駆動し前記間隔の調整を行わせる調整ねじ部と、
を備えたことを特徴とする耐震支持具。
【請求項2】
請求項1記載の耐震支持具であって、
前記ジャッキ機構は、前記調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動する可動部材と、前記一対の対向部材及び前記可動部材の各間に設けられ前記一対の対向部材に対して前記可動部材を前記軸方向移動可能に結合する結合溝及び該結合溝にスライド自在に係合する結合突起とを備え、
前記結合溝は、少なくとも前記一方の対向部材と前記可動部材との間で前記軸方向の一側から他側に向けて傾斜又は湾曲した、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項3】
請求項2記載の耐震支持具であって、
前記可動部材は、前記軸方向に近接離反移動する一対の可動片からなり、
前記結合溝及び結合突起は、前記一対の可動片と前記一対の対向部材との間に軸方向対称に設けられた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項4】
請求項2又は3記載の耐震支持具であって、
前記一対の対向部材は、その移動方向に沿ってスライド自在に嵌合する嵌合溝及び嵌合突起を備えた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項5】
請求項1記載の耐震支持具であって、
前記ジャッキ機構は、複数のアームと、該アームの相互間を軸支し前記調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動して前記アームを起立傾倒させる軸支部とを備えた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の耐震支持具であって、
前記対向部材の少なくとも一方に設けられた接着部材は、矩形板状に形成されると共にその辺が前記調整ねじ部の軸心に対して傾けて配置された、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項1】
相互に対向配置された一対の対向部材と、
該一対の対向部材の反対向側に設けられ前記対向部材間の間隔に応じて被接着面に押圧接着される接着面を有する接着部材と、
前記対向部材間を結合すると共に前記間隔を調整可能とするジャッキ機構と、
前記接着面の接着方向に対して交差配置され軸周り回転操作に応じて前記ジャッキ機構を駆動し前記間隔の調整を行わせる調整ねじ部と、
を備えたことを特徴とする耐震支持具。
【請求項2】
請求項1記載の耐震支持具であって、
前記ジャッキ機構は、前記調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動する可動部材と、前記一対の対向部材及び前記可動部材の各間に設けられ前記一対の対向部材に対して前記可動部材を前記軸方向移動可能に結合する結合溝及び該結合溝にスライド自在に係合する結合突起とを備え、
前記結合溝は、少なくとも前記一方の対向部材と前記可動部材との間で前記軸方向の一側から他側に向けて傾斜又は湾曲した、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項3】
請求項2記載の耐震支持具であって、
前記可動部材は、前記軸方向に近接離反移動する一対の可動片からなり、
前記結合溝及び結合突起は、前記一対の可動片と前記一対の対向部材との間に軸方向対称に設けられた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項4】
請求項2又は3記載の耐震支持具であって、
前記一対の対向部材は、その移動方向に沿ってスライド自在に嵌合する嵌合溝及び嵌合突起を備えた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項5】
請求項1記載の耐震支持具であって、
前記ジャッキ機構は、複数のアームと、該アームの相互間を軸支し前記調整ねじ部の回転操作により軸方向に移動して前記アームを起立傾倒させる軸支部とを備えた、
ことを特徴とする耐震支持具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の耐震支持具であって、
前記対向部材の少なくとも一方に設けられた接着部材は、矩形板状に形成されると共にその辺が前記調整ねじ部の軸心に対して傾けて配置された、
ことを特徴とする耐震支持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−59396(P2013−59396A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198483(P2011−198483)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000236665)不二ラテックス株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000236665)不二ラテックス株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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