説明

耐食性評価装置

本発明は、自動車車体などのコーティングされた金属基材を腐食試験するのに適した耐食性評価装置に関する。耐食性評価装置には、電解液を含むチャンバが設けられ、この電解液に、試験されている保護コーティングでコーティングされたアノードおよびカソードが暴露される。これらのコーティングは、予測可能で反復可能な方法で、下にある金属基材の腐食を加速する微小な穴などの所定の標準的な欠陥が設けられる。コーティングされたカソード/アノードペアは、開始期間へと暴露され、その後、回復期間が間に置かれた所定の期間にわたって、一連の所定のDC電圧が続く。次に、収集されたインピーダンスデータを用いて、カソード/アノードペア上に塗布されたコーティングの耐食性能を得る。前述の評価装置は、腐食を試験するために必要な時間を数日(40日以上)から数日(約2日)まで実質的に低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年1月2日出願の米国仮特許出願第61/204158号、および2009年12月23日出願の米国仮特許出願第61/289491号の優先権を主張し、これによって、これらの両出願を、参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、多重コーティングおよび単一コーティングされた金属基材の耐食性を評価するのに適した耐食性評価装置に関し、特に、多重コーティングおよび単一コーティングされた金属基材の耐食性を加速して評価するための耐食性評価装置およびそこで用いられるプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、自動車車体などの金属基材上に塗布される、自動車OEMまたは自動車塗換コーティング組成物などのコーティング組成物による保護コーティングによって提供される長期的な腐食防止を評価する短期(2日未満)試験方法は存在しない。現在の標準的な試験方法は、主として、保護コーティングを備えた金属の、環境室における暴露と、後続する視覚的および機械的な試験に依存する。この種の試験は、長く(最長40日以上の暴露時間)て主観的で、暴露形態および評価を行う人に非常に依存する。したがって、これらの方法は、それほど再現可能ではない。耐食性データは質的であり、したがって許容可能なコーティングの相対的性能は、容易には決定することができない。どんな新しい試験方法も、従来の容認された標準的な環境室試験方法とよく相関しなければならず、再現可能でなければならず、かつ未知の金属直接(DTM)耐食性コーティングの質的および量的な順位を提供しなければならない。
【0004】
試験期間を短縮するための実験的な腐食試験方法が報告された。これらの方法は、主として電気化学インピーダンス分光法(EIS)またはACインピーダンス技術を利用する。これらのACインピーダンスに基づいた方法が、典型的には単に、暴露時間の初期段階において腐食を検出するためのより高感度のツールを提供するだけなので、腐食プロセス自体は、これらの方法によっては加速されない。したがって、これらの方法は、やはり、意味のあるデータを取得できるまでに比較的長い暴露時間を必要とする。意味のある腐食データを得るために必要な時間の長さは、標準的な方法の時間の長さに近づく。より重要なことには、特に初期の暴露時間中に、これらの方法によって得られる耐食性データは、主として、コーティングの固有の欠陥によって決定付けられる。一般に、コーティングされたサンプルの準備中に生成される固有の欠陥は、コーティングの実際の性能とは必ずしも関連しない。データが正確に分析されない場合には、誤解を招く情報が得られる可能性がある。したがって、標準的な従来の方法が、やはり好まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、保護用にコーティングされた金属基材の腐食を加速するだけでなく、使用中に自動車車体が経験する環境などの実際的な環境で典型的に見られる腐食を模倣する装置およびプロセスの必要性がやはり存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はまた、
(i)電解液を内部に保持するためのチャンバと、
(ii)アノードの表面上に塗布されたアノードコーティングの耐食性を試験するために前記チャンバに位置するアノードホルダであって、前記アノードが前記アノードホルダに密閉可能に配置された場合に、前記アノードコーティングの一部が前記電解液に暴露されるようにし、前記アノードコーティングの前記一部がそれ自体にアノード欠陥を有するアノードホルダと、
(iii)カソードの表面上に塗布されたカソードコーティングの耐食性を試験するために前記チャンバに位置するカソードホルダであって、前記カソードが前記カソードホルダに密閉可能に配置された場合に、前記カソードコーティングの一部が前記電解液に暴露されるようにし、前記カソードコーティングの前記一部がそれ自体にカソード欠陥を有するカソードホルダと、
(iii)所望の期間にわたって前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端に所望のDC電圧を印加するための、前記カソードおよび前記アノードに接続するDC出力リードを備えた直流可変発電機と、
(iv)前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端にわたるDC電圧を測定するための直流測定装置と、
(v)所望の期間にわたって前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端にわたり可変周波数で所望のAC電圧を印加するための、前記カソードおよびアノードに接続するAC出力リードを備えた交流可変発電機と、
(vi)前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端にわたるインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置と、
(vii)前記直流可変発電機、前記直流測定装置、前記交流可変発電機、および前記インピーダンス測定装置と通信するコンピュータに位置するコンピュータ使用可能記憶媒体であって、コンピュータ可読プログラムコード手段が、前記コンピュータ使用可能記憶媒体に常駐し、前記コンピュータ可読プログラムコード手段が、
(a) 前記アノードコーティングおよび前記カソードコーティングの前記一部を開始期間へと、前記コンピュータに暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(b) 前記開始期間中に所定の間隔でインピーダンスAのn1のセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対して前記コンピュータに命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段であって、ACインピーダンスAの各前記セットが、10〜50mVにわたる振幅を備えた、前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の100000〜10-6Hzにわたる所定の周波数で測定される手段と、
(c) 500〜100000Hzから選択される開始水溶液周波数における前記インピーダンスAの実数部を、前記インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに開始水溶液抵抗(Stasol.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(d) 10-1〜10-6Hzから選択される開始周波数におけるインピーダンスAの実数部を、前記インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに開始抵抗(StaSta.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(e) n2の所定の期間にわたってn2の所定のDC電圧を段階的に印加するように、前記直流可変発電機に対して前記コンピュータに命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段であって、前記コンピュータと通信し、かつ前記カソードおよび前記アノードに接続された前記直流測定装置が、前記所定のDC電圧を測定するために用いられる手段と、
(f) 前記振幅を備えた、前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の所定の周波数において、前記所定の期間のそれぞれの終わりにインピーダンスBのセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対して前記コンピュータに命令させて、前記インピーダンスBのn2の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(g) 500〜100000Hzから選択される増加水溶液周波数における前記インピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに増加水溶液抵抗(Stpsol.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(h) 10-1〜10-6Hzから選択される増加周波数におけるインピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに増加抵抗(StpStp.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(i) 前記アノードコーティングおよび前記カソードコーティングの前記一部を、前記所定の期間のそれぞれの間におけるn3の所定の回復期間へと、前記コンピュータに暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(j) 前記振幅を備えた、前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の前記所定の周波数において、前記所定の回復期間のそれぞれの終わりにインピーダンスCのセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対してコンピュータに命令させて、前記インピーダンスCのn3の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(k) 500〜100000Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに回復水溶液抵抗(Recsol.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(l) 10-1〜10-6Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに回復抵抗(RecRec.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(m) 以下の式、
perf=[ΣStan1StaSta.n1StaSol.n1)]/n1+[ΣStpn2StpStp.n2StpSol.n2)]/n2+[ΣRecn3RecRec.n3RecSol.n3)]/n3
(ここで、n1、n2、n3およびn3は、1〜100にわたり、Stan1Stpn2およびRecn3は、0.0000001〜1にわたる)を用いることによって、前記アノードおよび前記カソードペアの耐食性能(Rperf)を前記コンピュータに計算させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(n)前記コンピュータに、
(n1)前記耐食性能(Rperf)を表示するようにコンピュータモニタに対して命令させ、
(n2)前記耐食性能(Rperf)を印刷するようにプリンタに対して命令させ、
(n3)前記耐食性能(Rperf)をリモートコンピュータまたはリモートデータベースへ転送させ、
(n4)これらの組み合わせをさせるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、を含むコンピュータ使用可能記憶媒体と、
を含む耐食性評価装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】アノードで発生するアノード金属溶解のプロセスを大まかに示す。
【図2】カソードで発生する剥離プロセスを大まかに示す。
【図3】本発明の耐食性評価装置の一実施形態における長手方向断面図を示す。
【図4A−4D】図3に示す本発明の装置で用いられるコンピュータ可読プログラムコード手段を構成するための手段の流れ図を表す。
【図5】本発明のプロセスにおいて用いられる典型的な試験計画の1つを示す。
【図6−7】下にある金属アノードおよびカソードの表面を暴露するための、アノードおよびカソードコーティング上に慎重に作製された人工の欠陥を示す。
【図8】多数のチャンバに備えた本発明のさらに別の実施形態の平面図を示す。
【図9】腐食試験プロセス中に発生されたガスの迅速な排出に備えた本発明のさらに別の実施形態の平面図を示す。
【図10】開始期間中にEコーティングH上で得られたACインピーダンスデータのナイキストプロットを示す。
【図11】開始期間中にEコーティングH上で得られたACインピーダンスデータのナイキストプロットにおける拡大した左部分を示す。
【図12】開始期間中にEコーティングH上で得られたACインピーダンスデータのナイキストプロットにおける拡大した右部分を示す。
【図13】周知の従来的で周期的な腐食評価試験を用いることによって得られた結果に対する、本発明の腐食評価プロセスを用いることによって得られた結果の相関および比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
鋼、アルミニウムおよび銅などの金属基材上に典型的に塗布される、自動車OEM塗料、自動車塗換塗料、船用塗料、航空機用塗料、建築用塗料、工業用塗料、ゴム引きコーティング、ポリテトラフルオロエチレンコーティングまたはジンクリッチプライマーに由来するコーティングなど、単層または多層保護コーティングの耐食性の評価は、自動車、船またはクレーンなどの製品の可使時間を決定するために非常に重要である。
【0009】
自動車車体などの金属基材が大気に暴露されると、その表面は、空気中の水分の凝縮によって生成された水の薄膜によって覆われるが、しかしそれは、膜の厚さが非常に薄いために、目には見えない可能性がある。多くの微小な電気化学的腐食電池が、金属基材の不均一な特性ゆえに、水膜の下の金属基材における表面で成長する可能性がある。かかる不均一性は、金属の化学成分における差、金属微細構造における差、または金属表面の機械的ストレスにおける差に起因する場合がある。かかる不均一性は、表面上の電極電位差の形成につながる可能性がある。金属表面が、水分の凝縮によって形成された水などの電解液によって覆われた場合には、より低い電極電位を備えた場所がアノードへ変わり、一方でより高い電極電位を備えた場所がカソードへ変わると考えられる。電解液で覆われたこれらのアノードおよびカソードは、金属表面全体の上にわたって多数の微小な電気化学的腐食電池を形成する可能性があり、これが、今度は腐食を生成する可能性がある。実際的な腐食電池は、一般に3つのサブプロセス、すなわち、アノードプロセス、カソードプロセス、およびイオン種を移動させる電解液経路から構成される。腐食におけるアノードプロセスは、電子を失って、自身のイオン種を形成する、したがって以下に示すように電解液に溶解し得る金属である。
2Fe−4e(電子)=2Fe2+(イオン種)...1
【0010】
条件が中性の場合には、腐食におけるカソードプロセスは、アノードから放出された電子を以下の方法で獲得する酸素の還元である。
2+2H2O+4e(電子)=4OH-.....2
【0011】
カソードプロセスによって必要とされるこの酸素は、一般に水に溶解した酸素から来る。水などの電解液において、アノードから放出されたFe2+は、カソードの方へ移動し、同時にカソード上で生成されたOH-は、アノードの方へ移動する。結局、それらは、互いを中和して、電解液を中性条件に維持する。実際に動作する微小腐食電池のためには、アノードおよびカソードプロセスは、同時に発生しなければならない。それらのどちらかが除去された場合はいつでも、腐食は停止する。コーティングシステムの腐食のためには、同様の腐食メカニズムが発生するが、しかし以下で説明するいくつかの特別な特徴と共に発生する。
【0012】
コーティングによる金属表面の被覆ゆえに、コーティング厚さを通って浸透する水が、コーティング/金属基材の界面に近づくには長い時間がかかる。腐食は、水が、金属表面、特にコーティング/金属基材の界面に接近した場合にのみ発生する。しかしながら、コーティングが、微小クラックなどの欠陥を有する場合には、腐食は、これらの欠陥の内部で直ちに開始することができる。その結果、コーティングの固有の欠陥によって決定付けられるかまたは歪曲された従来のACインピーダンス評価方法によって得られた腐食データは、コーティングの実際の真の性能を表さない可能性がある。(上記の式2における)カソード反応によって示すように、カソード領域のpHは、腐食が発生した場合には、著しく増加する。多くのコーティング配合にとって、かかるpHの増加は、金属基材からのコーティング膜の剥離を促進するが、これは、主なコーティング損傷モードの1つである。
【0013】
実際的な条件下では、これらの微小アノードおよび微小カソードは、金属基材の表面全体にわたってランダムに分配され、かつそれらは、識別不可能である。しかしながら、本発明の装置およびプロセスでは、アノードおよびカソードは、これらのアノードおよびカソードプロセスを個別に制御および加速できるように、分離される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、次のことに備えている。すなわち、
【0015】
コーティング膜下の金属基材の腐食によって引き起こされるどんな変化も敏感に検出するのに適したACインピーダンス方法と、
【0016】
装置およびプロセスにおいてアノードから分離されたカソードによって、カソードおよびアノード上で発生している腐食プロセスをそれぞれ別個に制御および加速できるようになることと、
【0017】
固有の欠陥の影響を除去できるように、人工の欠陥がアノードおよびカソード上に設けられることと、である。
【0018】
本発明は、様々な制御および加速された条件下でコーティングの性能を包括的に評価する装置およびプロセスに備えている。開始期間に、コーティングの性能が、自然状態の下で評価される。増加期間に、コーティングの性能が、加速された条件で評価される。この期間に、アノードの位置におけるアノード腐食プロセスおよびカソードの位置における剥離プロセスが、カソードおよびアノードの両端に印加された連続的な階段状DC電圧によって別々かつ徐々に加速される。アノードの位置における抑制効果およびカソードの位置における剥離抵抗が、同時に評価される。階段状DC電圧がカソードおよびアノードの両端に印加された場合に発生する激しい腐食を停止した後で、回復期間に、コーティングの回復性能が評価される。
【0019】
図1および2は、本発明のアノードで発生する典型的なアノード溶解プロセス(図1)およびカソードで発生する剥離プロセス(図2)を示す。
【0020】
図1は、金属基材110上に塗布された典型的な多重コーティングシステムにおける、本発明の装置のアノード端部を示す。図1には、金属基材110上に塗布された、典型的には2〜50ナノメートルの厚さにわたる乾式変換コーティング層(リン酸塩層)112と、後続の典型的には25〜250マイクロメートルの厚さにわたる電着コーティングプライマー114と、次に続く、シーラー用の典型的には20〜50マイクロメートルの、およびベースコーティング(カラーコーティング)用の50マイクロメートル〜120マイクロメートルの厚さにわたるベースコーティングまたはシーラー−ベースコーティング組み合わせの乾燥層116と、が含まれる。典型的には、ベースコーティング116は、30マイクロメートル〜100マイクロメートルの厚さにわたるクリアコーティングの乾燥層118で保護される。標準的な欠陥が、溶存酸素を含む3%塩化ナトリウムなどの電解液122に金属基材110を暴露する欠陥120によって表されている。金属基材110が、冷延鋼板である場合には、鉄イオンが、電解液において経時的に放出され、基材110の表面は、腐食してピット124、錆スケール等を形成する。次に、欠陥120のサイズは、腐食によって経時的に増加される可能性があり、次にこれは、多重コーティングを金属基材110から分離し、下にある表面を腐食および破損する。
【0021】
図2は、本発明の装置のカソード端部を示す。図2は、自動車金属車体210上に塗布された典型的な多重コーティングを示すが、このコーティングには、金属基材210上に塗布された変換コーティングの乾燥層212と、後続する電着コーティングプライマーの乾燥層214と、後続するベースコーティングの乾燥層216と、後続するクリアコーティングの乾燥層218とが含まれ、全てが、上記のパラグラフで言及した厚さを有する。標準的な欠陥が、溶存酸素を含む3%の塩化ナトリウムなどの電解液224に金属基材210を暴露する欠陥220によって表されている。印加されたDC電圧によって駆動されてカソード反応が発生すると、カソードの位置におけるpHが、酸素の還元によって増加され、より高いpHが、金属基材210からの多重コーティングの剥離を促進し、それによって、下にある金属表面をさらに暴露すると考えられる。さらに、印加されるDC電圧が十分に高い場合には、水素224が生成され、これは、発生した水素気泡の機械的作用によってカソードの(図2に示す)剥離プロセス226をさらに促進する可能性がある。
【0022】
したがって、そのために保護コーティングの耐食性を迅速に評価する試験装置およびプロセスを開発することが必要である。本発明用の腐食評価装置1の一実施形態が、図3に示されている。評価装置1には、電解液12を中に保持するための、典型的にはガラスなどの不活性材料で作製されたチャンバ10が含まれる。チャンバ10は、形状は円筒形が好ましい。いくつかの典型的な電解液には、水溶液100重量部に基づいて3重量部の濃度で塩化ナトリウムを含む水溶液、または製造機器が暴露される可能性がある水溶液など、酸性雨もしくは腐食性化学水溶液をシミュレートした水溶液を含むことができる。典型的には、塩化ナトリウムを含む水溶液を用いるのが好ましい。
【0023】
チャンバ10の一端部には、フランジ開口部14が設けられるが、このフランジ開口部14の上にはアノードホルダ16を取り付けて、様々なタイプの鋼、アルミニウムおよび銅から作製されたアノード18を保持することができる。アノード18は、自動車OEM塗料、自動車塗換塗料、船用塗料、航空機用塗料、建築用塗料、工業用塗料、ゴム引きコーティング、ポリテトラフルオロエチレンコーティングまたはジンクリッチプライマーに由来する単層または多層保護コーティングで作製されたアノードコーティング20でコーティングされる。電解液12の漏れを防ぐための一アプローチは、開口部14のフランジ上の円形溝に保持される「O」リング22を設けることであり、それによってアノードホルダ16は、「O」リング22に接してアノード18を保持する。アノードホルダ16は、ゴムなどの可撓性材料で作製するか、またはアノード18をつかむクランプとすることができる。アノードコーティング20には、アノード18の表面を電解液12に暴露するアノード欠陥24が設けられる。
【0024】
チャンバ10のもう一方の端部には、フランジ開口部26が設けられるが、このフランジ開口部26の上にはカソードホルダ30を取り付けて、様々なタイプの鋼、アルミニウムおよび銅から作製されたカソード30を保持することができる。カソード30は、自動車OEM塗料、自動車塗換塗料、船用塗料、航空機用塗料、建築用塗料、工業用塗料、ゴム引きコーティング、ポリテトラフルオロエチレンコーティングまたはジンクリッチプライマーに由来する単層または多層保護コーティングで作製されたカソードコーティング32でコーティングされる。電解液12の漏れを防ぐための一アプローチは、開口部26のフランジ上の円形溝に保持される「O」リング22を設けることであり、それによってカソードホルダ28は、「O」リング22に接してカソード30を保持する。カソードホルダ28は、ゴムなどの可撓性材料で作製するか、またはカソード30をつかむクランプとすることができる。カソードコーティング32には、カソード30の表面を電解液12に暴露するカソード欠陥36が設けられる。
【0025】
評価装置1には、さらに、所望の期間に所望のDC電圧をアノード18、カソード30および電解液12の両端に印加できるように、アノード18およびカソード30に接続するDC出力リード41を備えた従来の直流可変発電機38が含まれる。直流可変発電機38はまた、Dell Computer Corporation of Round Rock, Texasによって供給されるコンピュータなどの従来のコンピュータ40と通信する。評価装置1には、アノード18、カソード30および電解液12の両端に印加されたDC電圧を測定するための従来の直流測定装置42が設けられる。直流測定装置42もまた、コンピュータ40と通信する。
【0026】
評価装置1には、さらに、所望の期間に所望のAC電圧を可変周波数でアノード18、カソード30および電解液12の両端に印加するために、アノード18およびカソード30に接続するAC出力リード46を備えた従来の交流可変発電機44が含まれる。交流可変発電機44もまた、コンピュータ40と通信する。一般に、印加されるAC電圧は、約10〜50mV(ミリボルト)であり、20〜30mVが好ましい。
【0027】
評価装置1には、さらに、アノード18、カソード30および電解液12の両端のインピーダンスを測定するために、アノード18およびカソード30に接続するリード48を備えた従来のインピーダンス測定装置46が含まれる。インピーダンス測定装置46もまた、コンピュータ40と通信する。以下の説明は、インピーダンス測定において利用される基本概念を規定する。
【0028】
インピーダンスは、電流フローに抵抗する回路の能力を示す、より一般的なパラメータである。電流は、複素関数によって特徴付けられる電流の振幅および周波数によって完全に特徴付けることができる。同様に、インピーダンスもまた、通常は複素関数として示される。インピーダンスは、それがまた、周波数(f)がゼロであると単に仮定することによってDC電流の場合もカバーするので、より一般的である。
【0029】
回路のインピーダンス(Z)は、以下の式により3つの理想電気素子、すなわちインダクタ(L)、キャパシタ(C)、および抵抗器(R)の組み合わせによって説明することができる。
Z(L)=j2πfL (3)
Z(C)=−j1/(2πfC) (4)
Z(R)=R (5)
ここで、fは、Hzにおける周波数であり、
Lは、インダクタンス量であり、
Cは、キャパシタンス量であり、
Jは、複素関数の記号である;√−1
【0030】
抵抗器のインピーダンスが周波数と無関係であり、一方でインダクタのインピーダンスが、周波数の関数として増加され、かつキャパシタのインピーダンスが周波数に反比例することを示すことができる。上記のように、ほとんどの場合に、回路のインピーダンス(Z)は、通常3つの理想電気素子の組み合わせであり、実際のインピーダンスは、以下の複素関数によって示すことができる。
Z(L,C,R)=Z(L)+Z(C)+Z(R)=R+j(2πfL−1/(2πfC))=実数部+虚数部.....(6)
【0031】
評価装置1には、さらに、直流可変発電機38と通信するコンピュータ40に位置するコンピュータ使用可能記憶媒体50と、直流測定装置42と、交流可変発電機44と、インピーダンス測定装置46とが含まれ、コンピュータ可読プログラムコード手段400(図4A、4B、4Cおよび4Dに示されている)が、前記コンピュータ使用可能記憶媒体50に常駐する。
【0032】
コンピュータ可読プログラムコード手段400には、次のものが含まれる。
【0033】
アノードコーティング20およびカソードコーティング32の前記一部を開始期間へと、コンピュータ40に暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段410であって、開始期間が、半時間〜1000時間、好ましくは3〜15時間にわたり得る手段410。
【0034】
インピーダンス測定装置46に、開始期間中に所定の間隔でインピーダンスAのn1のセットを測定するように、コンピュータ40に命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段412であって、ACインピーダンスAの各前記セットが、交流可変発電機44によって供給されるAC電力の、100000〜10-6Hz、好ましくは10000〜10-2Hzにわたる所定の周波数で測定される手段412。
【0035】
500〜100000Hz、好ましくは5000〜10000Hzから選択される開始水溶液周波数における前記インピーダンスAの実数部を、インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に開始水溶液抵抗(Stasol.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段414。
【0036】
10-1〜10-6Hz、好ましくは10-2〜10-3Hzから選択される開始周波数におけるインピーダンスAの実数部を、インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に開始抵抗(StaSta.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段416。
【0037】
n2の所定の期間にわたってn2の所定のDC電圧を段階的に印加するように、直流可変発電機38に対してコンピュータ40に命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段418であって、コンピュータ40と通信し、かつカソード30およびアノード18に接続された直流測定装置42が、所定のDC電圧を測定するために用いられ、前述の所定の期間が、半時間〜10時間、好ましくは半時間〜2時間にわたる手段418。典型的なDC電圧は、0.5ボルトの増分と共に0.5ボルト〜4ボルトにわたる。
【0038】
交流可変発電機44によって供給されるAC電流の所定の周波数において、所定の期間のそれぞれの終わりにインピーダンスBのセットを測定するように、インピーダンス測定装置46に対してコンピュータ40に命令させて、前記インピーダンスBのn2の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段420。
【0039】
500〜100000Hz、好ましくは5000〜10000Hzから選択される増加水溶液周波数における前記インピーダンスBの実数部を、インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に増加水溶液抵抗(Stpsol.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段422。
【0040】
10-1〜10-6Hz、好ましくは10-2〜10-3Hzから選択される増加周波数におけるインピーダンスBの実数部を、インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に増加抵抗(StpStp.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段424。
【0041】
アノードコーティング20およびカソードコーティング32の一部を、前記所定の期間のそれぞれの間におけるn3の所定の回復期間へと、コンピュータ40に暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段426であって、前記所定の回復期間が、半時間〜10時間、好ましくは30分〜3時間にわたる手段426。
【0042】
交流可変発電機44によって供給されるAC電力の所定の周波数において、所定の回復期間のそれぞれの終わりにインピーダンスCのセットを測定するように、インピーダンス測定装置46に対してコンピュータ40に命令させて、前記インピーダンスCのn3の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段428。
【0043】
500〜100000Hz、好ましくは500〜10000Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に回復水溶液抵抗(Recsol.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段430。
【0044】
10-1〜10-6Hz(好ましくは10-2〜10-3Hz)から選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、コンピュータ40に回復抵抗(RecRec.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段432。
【0045】
以下の式
perf=[ΣStan1StaSta.n1StaSol.n1)]/n1+[ΣStpn2StpStp.n2StpSol.n2)]/n2+[ΣRecn3RecRec.n3RecSol.n3)]/n3
(ここで、n1、n2、n3およびn3は、1〜100にわたり、好ましくはn1は、5〜15にわたり、n2およびn3は、3〜10にわたる。Stan1Stpn2およびRecn3は、0.0000001〜1、好ましくは0.1〜1にわたる)を用いることによって、アノード18およびカソード30ペアの耐食性能(Rperf)をコンピュータ40に計算させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段434。
一般に、n2は、n3と等しい。明確にするために、n1が5の場合には、シグマ内では、分子のn1は、1、2、3、4および5となり、分母のn1は5となろう。
【0046】
耐食性能(Rperf)を表示するように、コンピュータモニタ52に対してコンピュータ40に命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段436。
【0047】
図5は、本発明のプロセスにおいて用いられる典型的な試験計画の1つを示す。試験を実施するための合計時間は、2時間〜350時間、好ましくは20時間〜40時間にわたる可能性がある。
【0048】
好ましくは、直流可変発電機38、直流測定装置42、交流可変発電機44およびインピーダンス測定装置46は、全て、操作の利便性および容易さのために単一の独立型ユニットに配置することができる。かかるユニット(ユニットB1)は、Farnborough, Hampshire, United Kingdomに位置するSolartron Analyticalから入手した。
【0049】
コーティングのランダムな固有の欠陥の影響を除去するために、出願人は、次の驚くべき発見をした。すなわち、カソードおよびアノードコーティング上に、周知のサイズおよび形状の標準的な欠陥を慎重に作製し、かつ下にあるアノード/カソード表面を電解液に暴露することによって、DC電圧がカソードおよびアノードの両端に印加されたときに、下にあるアノードのアノード溶解および下にあるカソードの剥離プロセスを、予測可能および再現可能な方法で実質的に加速することができる発見をした。図6は、「O」リング616を有するチャンバ614に接して位置する、カソードまたはアノードの610上に塗布されたアノードまたはカソードコーティング612上の慎重に作製されたかかる欠陥618、620および622を示す。最も望ましい欠陥は欠陥620であるが、しかし欠陥618は、下にあるカソードまたはアノード610の表面を電解液に暴露するので許容可能であるのに対して、欠陥622は、下にあるカソードまたはアノード610の表面を電解液に暴露しないので許容できない。
【0050】
好ましくは、図7に示すようなアノードまたはカソード欠陥には、下にあるアノードまたはカソードの表面を電解液に暴露する、コーティング710に配置された複数の円形開口部712が含まれる。円形開口部712は、5マイクロメートル〜3ミリメートルの範囲における直径を有するのが好ましく、各円形開口部712は、円形開口部712の直径の10〜2000倍だけ互いから均一に分離される。その結果、1つの開口部712に接するゾーン714によって示される腐食効果は、波及せず、隣接する開口部712Aにおける腐食プロセスに影響しない。代替として、アノードまたはカソードコーティング710には、前記カソードまたはアノードの平方センチメートル当たり、1〜100の円形開口部712を設けることができる。
【0051】
アノード18およびカソード30は、同一の形状(好ましくは円形)および厚さを有するのが好ましい。アノードコーティング20は、カソードコーティング32と同一であるのが好ましく、アノード欠陥24は、カソード欠陥36と同一であるのが好ましい。その結果、カソードおよびアノードのセット間のどんな偏向も除去することができる。
【0052】
評価装置1には熱ジャケット54を設けて、電解液12の温度を所望の温度に維持することができる。典型的には、水などの熱伝達流体56を用いて、電解液12の温度を0.5℃〜99.5℃の範囲に維持することができる。コンピュータ40と通信する従来の温度プローブ58を用いて、電解液12の温度を所望の温度に維持することができる。
【0053】
評価装置1は、2以上のチャンバを提供するように構成することができ、それによって全てのかかるチャンバは、保護コーティングの一セットの耐食性を他のセットと比較するために同様の条件下に維持することができる。すなわち、異なるタイプのカソードコーティングを自身の上に塗布したカソードを、コーティング剥離性能(剥離が少なければ少ないほど、耐食特性はそれだけ優れている)のために比較することができる。同様に、対応するカソードとペアになり、同一のアノードコーティングを自身の上に塗布したアノードは、一タイプの前記アノードコーティングの耐食性を、もう一方のタイプの前記アノードコーティングと比較することができる。各ペアになったカソードおよびアノードは、同一のコーティングを自身の上に塗布するのが好ましい。図8は、マルチチャンバ800の構成を示すが、この構成によってチャンバ810は、熱ジャケット812内に囲まれる。
【0054】
図9に示す、本発明の別の実施形態900は、逆「Y」(λ)の脚部914を形成するアノードアセンブリ910およびカソードアセンブリ912を含んで、使用中に電解液916に発生される任意のガス、またはコーティングされたクーポンの表面に設置中に付着した気泡が、円筒チャンバ918から容易に逃れることができるようにするが、この円筒チャンバ918には、入口924および出口926を有する、熱伝達流体922を含む熱ジャケット920を設けることができる。チャンバ918には、さらに、温度計ウェル928および支持体930を設けることができる。
【0055】
代替において、出願人はまた、本発明の別の実施形態を考えているが、この実施形態では、逆「U」形状(∩)のチャンバであって、逆「U」形状チャンバにおける各脚部の底部にアノードおよびカソードが配置されたチャンバが、使用中に電解液において発生されたどんなガスもチャンバから容易に逃れることができるようにするために、逆「U」形状チャンバの頂点に開口部を有する。
【0056】
本発明はまた、図3に示す評価装置1を利用するプロセスに関する。このプロセスは、下記のステップを用いることによって、アノード18の表面上に塗布されたアノードコーティング20の耐食性、およびカソード30の表面上に塗布されたカソードコーティング32の耐食性を評価する。すなわち、
(i)耐食性評価装置1のチャンバ10に位置するアノードホルダ16にアノード18を密閉可能に配置するステップであって、アノードコーティング20の一部が電解液12に暴露されるように、チャンバ10がその中に電解液12を含み、アノードコーティング20の一部が、それ自体にアノード欠陥24を有するステップと、
(ii)カソードコーティング32の一部が電解液12に暴露されるように、チャンバ10に位置するカソードホルダ28にカソード30を密閉可能に配置するステップであって、カソードコーティング32の一部が、それ自体にカソード欠陥36を有するステップと、
(iii) コンピュータ40に位置する使用可能記憶媒体50に常駐し、かつ以下のステップをコンピュータ40に実行させるように構成された(図4A、4B、4Cおよび4Dに示す)コンピュータ可読プログラムコード手段400を通して評価装置1のコンピュータ40に命令するステップと、であり、以下のステップには、次のものが含まれる。すなわち、
a.アノードコーティング20およびカソードコーティング30の一部を開始期間へと暴露するステップと、
b.コンピュータ40と通信し、かつカソード30および前記アノード18に接続されたインピーダンス測定装置46に対して、開始期間中に所定の間隔でインピーダンスAのn1のセットを測定するように命令するステップであって、インピーダンスAの各前記セットが、コンピュータ40と通信する交流可変発電機44によって供給される所望の交流電圧においてAC電力の100000〜10-6Hzにわたる所定の周波数で測定され、交流可変発電機44が、カソード30およびアノード18と接続するAC出力リード46を有するステップと、
c.500〜100000Hzから選択される開始水溶液周波数におけるインピーダンスAの実数部をインピーダンスAの各前記セットから選択するによって、開始水溶液抵抗(Stasol.n1)を決定するステップと、
d.10-1〜10-6Hzから選択される開始周波数におけるインピーダンスAの実数部を前記インピーダンスAの各前記セットから選択するによって、開始抵抗(StaSta.n1)を決定するステップと、
e.n2の所定の期間にわたって段階的にn2の所定のDC電圧を印加するように直流可変発電機38に命令するステップであって、直流可変発電機38が、コンピュータ40と通信し、かつカソード30およびアノード18に接続され、コンピュータ40と通信しかつカソード30およびアノード18に接続された直流測定装置42が、前記所定のDC電圧を測定するために用いられるステップと、
f.交流可変発電機44によって供給されるAC電力の前記所定の周波数において、前記所定の期間のそれぞれにおける終わりに、インピーダンスBのセットを測定するようにインピーダンス測定装置46に命令して、前記インピーダンスBのn2の前記セットを生成するステップと、
g.500〜100000Hzから選択される増加水溶液周波数における前記インピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択するによって、増加水溶液抵抗(Stpsol.n2)を決定するステップと、
h.10-1〜10-6Hzから選択される増加周波数におけるインピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択するによって、増加抵抗(StpStp.n2)を決定するステップと、
i.前記所定の期間のそれぞれの間に、アノードコーティング20およびカソードコーティング32の前記一部を、n3の所定の回復期間へと暴露するステップと、
j.交流可変発電機44によって供給されるAC電力の前記所定の周波数において、前記所定の期間のそれぞれにおける終わりに、インピーダンスCのセットを測定するようにインピーダンス測定装置46に命令して、前記インピーダンスCのn3の前記セットを生成するステップと、
k.500〜100000Hzから選択される回復周波数における前記インピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択するによって、回復水溶液抵抗(Recsol.n3)を決定するステップと、
l.10-1〜10-6Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択するによって、回復抵抗(RecRec.n3)を決定するステップと、
m.次の式、
perf=[ΣStan1StaSta.n1StaSol.n1)]/n1+[ΣStpn2StpStp.n2StpSol.n2)]/n2+[ΣRecn3RecRec.n3RecSol.n3)]/n3
(ここで、n1、n2、n3およびn3は、1〜100にわたり、Stan1Stpn2およびRecn3は、0.0000001〜1にわたる)を用いることによって、前記アノードおよび前記カソードペアの耐食性能(Rperf)を計算するステップと、
n.コンピュータモニタ52に対して耐食性能(Rperf)を表示するようにコンピュータ40に命令させるステップと、
が含まれる。
【0057】
本発明のプロセスは、図8に示すチャンバなどの多数のチャンバを用いて同様の条件および試験計画の下でコーティングを試験することによって、一タイプのコーティング対別のタイプのコーティングの耐食性を比較するために用いることができる。異なるタイプのカソードコーティングを自身に塗布したカソード、および異なるタイプのカソードコーティングを自身に塗布した前記アノードを比較して、一タイプのカソードコーティング対もう一方のタイプのカソードコーティングの剥離抵抗を評価することができる。ペアになったカソードおよびアノードの各セットが、それら自体に同一のコーティングを塗布することになることを理解されたい。同時に、異なるタイプのアノードコーティングを自身に塗布したアノードは、一タイプのアノードコーティング対もう一方のタイプのアノードコーティングの耐食性を評価するために比較することができる。
【実施例】
【0058】
従来の腐食試験方法からの比較腐食データ
従来の40日周期の腐食試験と本発明の腐食試験との間の相関が、8つの従来のEコーティングシステムを用いることによって実行された。腐食性能を変えるために、異なるリン酸塩前処理、異なる配合、異なる焼き付け温度および焼き付け時間を含む、コーティングA、B、C、D、F、G、HおよびIと指定された8つのEコーティングシステムが、冷延鋼板で作製された試験パネル上に塗布された。全ての試験パネルは、サイズ、形状および厚さにおいて同一だった。コーティングされた試験パネルは、クーポンとして定義された。コーティングが塗布および硬化された後で、各クーポンは、格子パターンを刻み付けられた。相関検証において用いられた従来の40日周期の腐食試験は、腐食試験の40サイクルを利用した。24時間続く各サイクルには、電解液スプレイへの半時間の暴露および後続する1時間半の休眠期間からなる反復シーケンスを含む、電解液スプレイ暴露の第1の8時間が含まれた。用いられた電解液は、全て総重量に基づいた重量パーセントにおいて0.9%NaCl、0.1%CaCl2、および0.25%NaHCO3の混合物だった。前述の8時間電解液スプレイ暴露には、オーブンにおける50℃および100%RHにおける8.0時間湿度暴露、次に60℃における8.0時間暴露が続いた。Eコーティングシステムのそれぞれのための二重のクーポンが、試験に用いられた。前述した従来の腐食試験後の各クーポンは、従来のクリープ測定装置を用いたクリープ試験にかけられ、ミリメートル単位のクリープが報告された。次に、クリープデータは、次の式を用いて、耐食性に変換された。
等価耐食性(ohm)=B/クリープ=300000/クリープ
ここで、Bは、ohm/mmにおける変換係数であり、これは、用いられる金属基材の種類および腐食試験法方法の攻撃性によって影響され得る。データ変換は、比較のために必要だった。なぜなら、本発明の耐食性評価装置によって得られるデータが、耐食性の形態であったからである。
【0059】
本発明の腐食試験方法からの腐食データ
コーティングA、B、C、D、F、G、HおよびIとして指定された8つのEコーティングシステムが、クーポン上に塗布されて硬化された。標準的なアノードおよびカソード欠陥をそれぞれ設けるために、かかるクーポンのコーティング面に、直径300ミクロンの6つの穴があけられた。穴のそれぞれは、コーティングの厚さを貫通し、金属/コーティングの界面で停止した。標準的なアノードおよびカソード欠陥は、同一だった。
【0060】
腐食試験評価装置は、開始期間(DCボルト=0)の12時間中におけるACインピーダンス測定の5セットと、後続する4つの所定の期間であって、各期間が、0.5ボルトから始まって1ボルト、2ボルトおよび3ボルトと続く段階的電圧において2時間続く4つの所定の期間と、を含む26時間の試験計画に基づいた。1セットのACインピーダンス測定が、各所定の期間の終わりに実行された。1.5時間の回復期間が、各所定の期間の間に用いられた。1セットのACインピーダンス測定が、各回復期間の終わりに行われた。コーティングの耐食性能は、次の式を用いることによって計算された。
perf=[ΣStan1StaSta.n1StaSol.n1)]/n1+[ΣStpn2StpStp.n2StpSol.n2)]/n2+[ΣRecn3RecRec.n3RecSol.n3)]/n3
ここで、n1は5であり、n2は4であり、n3は4であり、Stan1Stpn2、およびRecn3は、全て1に等しい。
【0061】
前述のStaSta.n1StpStp.n2およびRecRec.n3は、それぞれの期間に得られたそれぞれのACインピーダンス測定値のそれぞれから、10-2HzにおけるACインピーダンスの実数部によって決定された。StaSol.n1StpSol.n2およびRecSol.n3は、それぞれの期間に得られたそれぞれのACインピーダンス測定値のそれぞれから、100000HzにおけるACインピーダンスの実数部によって決定された。下記は、前述の要素を測定する際に用いられた様々な要素のさらなる説明を提供する。
【0062】
本発明の方法によって得られた(コーティングH用の)典型的なACインピーダンスデータは、図10で説明することができる。インピーダンスデータは、100000Hz〜10-2Hzの周波数走査を用いて得られた。このプロットは、負の虚数部をY軸とし、実数部をX軸としたナイキストプロットと呼ばれる。このプロットの欠点は、周波数がプロットにおいて明示的に表現されないということである。前に注意したように、インピーダンスが周波数依存性であるので、周波数が変更された場合には、インピーダンスが変更される。様々な周波数(通常は100000Hz〜10-2Hz)におけるインピーダンスデータによって、抵抗成分およびキャパシタンス成分をそれぞれ分離し取得することができる。例えば、図11として拡大されている図10のはるか左側において、開始期間における水溶液抵抗StaSol.2が、100000Hzにおけるインピーダンスの実数部を選択するによって取得可能である。図12として拡大された図10のはるか右側において、開始抵抗StaSta.2が、10-2Hzにおけるインピーダンスの実数部を選択するによって取得可能である。(StaSta.2StaSol.2)の値がまた図10に示されているが、これは、試験されるコーティングの耐食性を計算するために用いることができる。
【0063】
本発明の腐食評価装置および従来の周期的な腐食試験によって得られた耐食性データが、図13に示されている。図13から、従来の腐食試験方法と本発明の腐食試験方法との間に実質的な相関があったことを容易に観察することができる。これらの2つの方法の相関係数は、ピアソン積率相関係数の従来の定義を用いることによって計算することができる。ピアソン積率相関係数は、2つの確率変数間の線形関係の強さおよび方向を示す周知の相関係数である。これらの2つの方法の相関係数は、74%だったが、これは、55%未満である、任意の他の2つの従来的なコーティング評価方法間の相関係数と比較しても非常に高い。したがって、加速された耐食性評価装置は、従来の腐食試験方法と非常によく相関する。
【0064】
コーティング評価試験で観察される不一致は、主として、正確に同じ品質を備えたコーティングされたサンプルを準備する際の困難さ、および従来の腐食試験において用いられる評価方法の主観的な性質ゆえである。
【0065】
EコーティングGに関して観察される不一致は、次のように説明することができる。
【0066】
同じEコーティング配合に関して、前処理は、リン酸亜鉛>リン酸鉄>無しのように最高から最低まで順位付けされるべきである。この順位付けは、従前の経験および腐食科学の知識に基づいて周知である。両方の方法が、この順位付けを正確に識別できることが図13から示された(一グループにおいてコーティングA、BおよびCを比較し、第2のグループにおいてコーティングF、GおよびHを比較する)。また、図13および下記の表1から、同じ前処理に対してEコーティング2が、Eコーティング1よりよく機能することを、ほとんどのデータが示したことが分かる(コーティングFを、コーティングAと比較し、コーティングGをコーティングBと比較し、コーティングHをコーティングCと比較し、コーティングIをコーティングDと比較する)。本発明の腐食評価方法は、かかる傾向を100%の精度で識別し、一方で従来の周期的な腐食方法は、この傾向を、コーティングGのただ1つの例外を伴って識別した。したがって、本発明の方法によって得られたコーティングGのデータは、より正確で、より信頼できる可能性が高い。
【0067】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)電解液を内部に保持するためのチャンバと、
(ii)アノードの表面上に塗布されたアノードコーティングの耐食性を試験するための前記チャンバに位置するアノードホルダであって、前記アノードが前記アノードホルダに密閉可能に配置された場合に、前記アノードコーティングの一部が前記電解液に暴露されるようにし、前記アノードコーティングの前記一部がそれ自体にアノード欠陥を有するアノードホルダと、
(iii)カソードの表面上に塗布されたカソードコーティングの耐食性を試験するための前記チャンバに位置するカソードホルダであって、前記カソードが前記カソードホルダに密閉可能に配置された場合に、前記カソードコーティングの一部が前記電解液に暴露されるようにし、前記カソードコーティングの前記一部がそれ自体にカソード欠陥を有するカソードホルダと、
(iii)所望の期間にわたって前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端に所望のDC電圧を印加するための、前記カソードおよび前記アノードに接続するDC出力リードを備えた直流可変発電機と、
(iv)前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端にわたるDC電圧を測定するための直流測定装置と、
(v)所望の期間にわたって前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端に可変周波数で所望のAC電圧を印加するための、前記カソードおよびアノードに接続するAC出力リードを備えた交流可変発電機と、
(vi)前記カソード、前記電解液および前記アノードの両端にわたるインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置と、
(vii)前記直流可変発電機、前記直流測定装置、前記交流可変発電機、および前記インピーダンス測定装置と通信するコンピュータに位置するコンピュータ使用可能記憶媒体であって、コンピュータ可読プログラムコード手段が、前記コンピュータ使用可能記憶媒体に常駐し、前記コンピュータ可読プログラムコード手段が、
(a) 前記アノードコーティングおよび前記カソードコーティングの前記一部を開始期間へと、前記コンピュータに暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(b) 前記開始期間中に所定の間隔でインピーダンスAのn1のセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対して前記コンピュータに命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段であって、ACインピーダンスAの各前記セットが、前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の100000〜10-6Hzにわたる所定の周波数で測定される手段と、
(c) 500〜100000Hzから選択される開始水溶液周波数における前記インピーダンスAの実数部を、前記インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに開始水溶液抵抗(Stasol.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(d) 10-1〜10-6Hzから選択される開始周波数におけるインピーダンスAの実数部を、前記インピーダンスAの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに開始抵抗(StaSta.n1)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(e) n2の所定の期間にわたってn2の所定のDC電圧を段階的に印加するように、前記直流可変発電機に対して前記コンピュータに命令させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段であって、前記コンピュータと通信し、かつ前記カソードおよび前記アノードに接続された前記直流測定装置が、前記所定のDC電圧を測定するために用いられる手段と、
(f) 前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の前記所定の周波数において、前記所定の期間のそれぞれの終わりにインピーダンスBのセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対して前記コンピュータに命令させて、前記インピーダンスBのn2の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(g) 500〜100000Hzから選択される増加水溶液周波数における前記インピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに増加水溶液抵抗(Stpsol.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(h) 10-1〜10-6Hzから選択される増加周波数におけるインピーダンスBの実数部を、前記インピーダンスBの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに増加抵抗(StpStp.n2)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(i) 前記アノードコーティングおよび前記カソードコーティングの前記一部を前記所定の期間のそれぞれの間におけるn3の所定の回復期間へと、前記コンピュータに暴露させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(j) 前記交流可変発電機によって供給されるAC電力の前記所定の周波数において、前記所定の回復期間のそれぞれの終わりにインピーダンスCのセットを測定するように、前記インピーダンス測定装置に対してコンピュータに命令させて、前記インピーダンスCのn3の前記セットを生成するコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(k) 500〜100000Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに回復水溶液抵抗(Recsol.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(l) 10-1〜10-6Hzから選択される回復周波数におけるインピーダンスCの実数部を、前記インピーダンスCの各前記セットから選択することによって、前記コンピュータに回復抵抗(RecRec.n3)を決定させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(m) 以下の式、
perf=[ΣStan1StaSta.n1StaSol.n1)]/n1+[ΣStpn2StpStp.n2StpSol.n2)]/n2+[ΣRecn3RecRec.n3RecSol.n3)]/n3
(ここで、n1、n2、n3およびn3は、1〜100にわたり、Stan1Stpn2およびRecn3は、0.0000001〜1にわたる)を用いることによって、前記アノードおよび前記カソードペアの耐食性能(Rperf)を前記コンピュータに計算させるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、
(n)前記コンピュータに、
(n1)前記耐食性能(Rperf)を表示するようにコンピュータモニタに対して命令させ、
(n2)前記耐食性能(Rperf)を印刷するようにプリンタに対して命令させ、
(n3)前記耐食性能(Rperf)をリモートコンピュータまたはリモートデータベースへ転送させ、
(n4)これらの組み合わせをさせるコンピュータ可読プログラムコード装置を構成するための手段と、を含むコンピュータ使用可能記憶媒体と、
を含む耐食性評価装置。
【請求項2】
前記カソードおよび前記アノードが鋼で作製される、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項3】
前記アノードコーティングおよび前記カソードコーティングが、自動車OEM塗料、自動車塗換塗料、船用塗料、航空機用塗料、建築用塗料、工業用塗料、ゴム引きコーティング、ポリテトラフルオロエチレンコーティングまたはジンクリッチプライマーを含む多層コーティング成分に由来する、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項4】
前記チャンバが、前記電解液の温度を0.5℃〜99.5℃にわたる所望の温度に維持するために熱ジャケットによって囲まれる、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項5】
前記チャンバの2つ以上が、前記チャンバのそれぞれにおける前記電解液の温度を0.5℃〜99.5℃にわたる所望の温度に維持するために熱ジャケットによって囲まれる、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項6】
前記アノードコーティングが、前記カソードコーティングと同一である、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項7】
前記アノード欠陥が、前記カソード欠陥と同一である、請求項1または6に記載の耐食性評価装置。
【請求項8】
前記アノード欠陥が、前記アノードの前記下にある表面を前記電解液に暴露する、前記コーティングに配置された複数の円形開口部を含む、請求項1または6に記載の耐食性評価装置。
【請求項9】
前記カソード欠陥が、前記カソードの前記下にある表面を前記電解液に暴露する、前記コーティングに配置された複数の円形開口部を含む、請求項1または6に記載の耐食性評価装置。
【請求項10】
前記カソードまたはアノード欠陥が、5マイクロメートル〜3ミリメートルの範囲の直径をそれぞれ有する円形開口部を含み、各前記円形開口部が、前記円形開口部の直径の10〜2000倍だけ互いに均一に分離される、請求項9に記載の耐食性評価装置。
【請求項11】
前記カソードまたはアノード欠陥が、前記カソードまたはアノードの平方センチメートル当たり、1〜100の範囲の前記円形開口部を含み、前記円形開口部が互いに均一に分離され、前記円形開口部が、5マイクロメートル〜3ミリメートルの範囲における直径を有する、請求項9に記載の耐食性評価装置。
【請求項12】
前記電解液が、
(a)水溶液100重量部に基づいて3重量部の濃度で塩化ナトリウムを含む水溶液と、
(b)酸性雨をシミュレートした水溶液と、
(c)腐食性化学水溶液と、
を含む、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項13】
前記アノードホルダおよび前記カソードホルダが、それぞれ逆「Y」の脚部を形成して、使用中に電解液に発生される任意のガス、またはコーティングされたクーポンの表面に設置中に付着した気泡が前記チャンバから容易に逃れられるようにする、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項14】
前記アノードホルダおよび前記カソードホルダが、前記チャンバの反対端部に配置されて、使用中に発生された任意のガスが前記チャンバから容易に逃れられるようにする、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項15】
前記開始期間が、半時間〜1000時間にわたる、請求項1に記載の耐食性評価装置。
【請求項16】
前記所定の間隔が、半時間〜10時間にわたる、請求項1に記載の耐食性評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−514741(P2012−514741A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544641(P2011−544641)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/020033
【国際公開番号】WO2010/078548
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】