説明

肉厚測定装置

【課題】肉厚測定対象部分の外側に補強部材等が設置されている場合であっても、肉厚を正確に測定することができる肉厚測定装置を提供する。
【解決手段】2点以上の基準厚さ測定点の基準厚さを入力する入力部2と、2点以上の基準厚さ測定点を通るように取った前記測定対象部分の型Mを画像として読み込む画像入力部1と、前記画像上に前記測定対象部分の肉厚を測定する際の基準となる背面オフセット線Lを引き、前記画像上の前記測定対象部分の型M上の各点から前記背面オフセット線Lまでの距離を各点の前記画像上の肉厚として算出し、前記測定対象部分の型M上の各点の前記画像上の肉厚から実際の肉厚を算出する肉厚算出部3と、前記実際の肉厚を出力する出力部4とにより構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種プラントにおける配管検査において、超音波探傷技術(例えば、下記特許文献1参照)を用いた配管の肉厚測定が行われている。例えば、下記特許文献1に開示される従来の配管検査装置においては、測定対象の配管の外周に配管検査装置を設置した上で、配管の外側から配管の測定対象箇所の肉厚測定を行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−187593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の配管検査装置では、測定対象の配管の外周に配管検査装置を設置する必要があるため、配管の肉厚測定対象部分の外側に補強部材等が設置されている場合には、正確に肉厚測定を行うことができない場合がある。
【0005】
以上のことから、本発明は、肉厚測定対象部分の外側に補強部材等が設置されている場合であっても、肉厚を正確に測定することができる配管肉厚測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための第1の発明に係る肉厚測定装置は、
2点以上の基準厚さ測定点の基準厚さを入力する入力手段と、
2点以上の基準厚さ測定点を通るように取った前記測定対象部分の型を画像として読み込む画像入力手段と、
前記画像上に前記測定対象部分の肉厚を測定する際の基準となる背面オフセット線を引き、前記画像上の前記測定対象部分の型上の各点から前記背面オフセット線までの距離を各点の前記画像上の肉厚として算出し、前記測定対象部分の型上の各点の前記画像上の肉厚から実際の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
前記実際の肉厚を出力する出力手段と
により構成される
ことを特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するための第2の発明に係る肉厚測定装置は、第1の発明に係る肉厚測定装置において、
前記背面オフセット線は、それぞれの前記基準厚さ測定点について「(基準厚さ−背面オフセット線位置)×拡大倍率」の位置に前記背面オフセット線の基準点を設定し、それぞれの前記背面オフセット線の基準点を直線で結んだものである
ことを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するための第3の発明に係る肉厚測定装置は、第2の発明に係る肉厚測定装置において、
前記実際の肉厚は、「画像上の肉厚/拡大倍率+背面オフセット線位置」として算出する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肉厚測定対象部分の外側に補強部材等が設置されている場合であっても、肉厚を正確に測定することができる肉厚測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る肉厚測定装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る肉厚測定装置における処理の手順を示したフロー図である。
【図3】本発明の実施例に係る肉厚測定装置における肉厚測定方法を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る肉厚測定装置を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明に係る肉厚測定装置の実施例について説明する。
なお、本実施例においては、例として、配管の肉厚を測定する場合を例として説明するが、これ以外にも、種々の機器を構成する部材の測定対象部分の肉厚の測定を行うことができる。
【0013】
はじめに、本実施例に係る肉厚測定装置の構成について説明する。
図1は、本実施例に係る肉厚測定装置の構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る肉厚測定装置は、スキャナー等の画像入力部1と、キーボード等の入力部2と、肉厚測定対象部分の配管の肉厚を算出する肉厚算出部3と、モニタやプリンタ等の出力部4とにより構成されている。なお、本実施例においては、肉厚算出部3として汎用のコンピュータを用いることとするが、専用の演算装置を用いることも可能である。
【0014】
次に、本実施例に係る肉厚測定装置における処理の手順について説明する。
図2は、本実施例に係る肉厚測定装置における処理の手順を示したフロー図である。また、図3は、本実施例に係る肉厚測定装置における肉厚測定方法を示した模式図である。
【0015】
図2に示すように、はじめに、ステップP10において、超音波探傷技術やポイントマイクロメータ等を用い、下記表1に示すように、配管の肉厚測定対象部分を通る配管の軸方向において、任意の位置からの2点以上の基準厚さ測定点P1〜P4において配管の厚さを基準厚さとして測定する。なお、任意の位置には、例えば、配管の端部の位置を設定することとする。また、基準厚さ測定点P1〜P4は、配管の外側に補強部材等が設置されていない部分に設定することとする。そして、測定した基準厚さ測定点P1〜P4における基準厚さを入力部2により肉厚算出部3に入力する。
【0016】
【表1】

【0017】
次に、ステップP11において、図3に示すように、一般に知られている型取ゲージ等の型取り手段5を用い、測定した複数の基準厚さ測定点P1〜P4を通るように配管の内面の型Mを取り、この配管の内面の型Mを画像入力部1により画像として読み込む。
次に、ステップP20において、画像入力部1により読み込まれた配管の内面の型Mの画像を肉厚算出部3に取り込み、画像処理を行える状態にする。
【0018】
次に、ステップP30において、肉厚算出部3により、画像上において配管の肉厚を測定する際の基準となる背面オフセット線Lの位置(以下、背面オフセット線位置という)を設定する。なお、背面オフセット線位置は、配管の最小厚さ+α程度とすることが望ましい。また、本実施例においては、例として、背面オフセット線位置を26.00mmと設定する。
【0019】
次に、ステップP31において、肉厚算出部3により、画像上に画像処理により背面オフセット線Lを引く。本実施例においては、それぞれの基準厚さ測定点P1〜P4について「(基準厚さ−背面オフセット線位置)×拡大倍率」の位置に背面オフセット線Lの基準点P1´〜P4´を設定し、それぞれの背面オフセット線Lの基準点P1´〜P4´を直線で結び背面オフセット線Lとする。本実施例においては、拡大倍率を設定することにより、正確に実際の肉厚を測定することができる。
【0020】
なお、本実施例においては、例として、拡大倍率を5倍とした場合、基準厚さ測定点P1に対応する背面オフセット線Lの基準点P1´の位置は、「(30.15−26.00)×5=20.75」となる。
また、基準厚さ測定点P2に対応する背面オフセット線Lの基準点P2´の位置は、「(29.50−26.00)×5=17.50」となる。
また、基準厚さ測定点P3に対応する背面オフセット線Lの基準点P3´の位置は、「(30.75−26.00)×5=23.75」となる。
また、基準厚さ測定点P4に対応する背面オフセット線Lの基準点P4´の位置は、「(31.05−26.00)×5=25.25」となる。
【0021】
次に、ステップP32において、肉厚算出部3により、画像上の配管の内面の型M上の各点から背面オフセット線Lまでの距離を各点の画像上の肉厚として算出する。本実施例においては、例えば、図3に示した30,40,・・・,90,100の位置の画像上の肉厚を算出する。なお、画像上の配管の内面の型M及び背面オフセット線Lに線幅がある場合には、配管の内面の型Mの上部から背面オフセット線Lの上部までの距離を計測することとする。
【0022】
最後に、ステップP40において、肉厚算出部3により、配管の内面の型M上の各点の画像上の肉厚から実際の肉厚を算出する。本実施例においては、配管の内面の型M上の各点の実際の肉厚を「画像上の肉厚/拡大倍率+背面オフセット線位置」として算出する。そして、算出した配管の内面の型M上の各点の実際の肉厚の算出結果を出力部4により出力する。
【0023】
以上説明したように、本発明に係る肉厚測定装置によれば、配管の内側から配管の肉厚を測定することができるため、配管の肉厚測定対象部分の外側に補強部材等が設置されている場合であっても、配管の肉厚を正確に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、例えば、種々の機器を構成する部材の測定対象部分の肉厚の測定、特に、各種プラントにおける配管の肉厚の測定において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 画像入力部
2 入力部
3 肉厚算出部
4 出力部
5 型取り手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2点以上の基準厚さ測定点の基準厚さを入力する入力手段と、
2点以上の基準厚さ測定点を通るように取った前記測定対象部分の型を画像として読み込む画像入力手段と、
前記画像上に前記測定対象部分の肉厚を測定する際の基準となる背面オフセット線を引き、前記画像上の前記測定対象部分の型上の各点から前記背面オフセット線までの距離を各点の前記画像上の肉厚として算出し、前記測定対象部分の型上の各点の前記画像上の肉厚から実際の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
前記実際の肉厚を出力する出力手段と
により構成される
ことを特徴とする肉厚測定装置。
【請求項2】
前記背面オフセット線は、それぞれの前記基準厚さ測定点について「(基準厚さ−背面オフセット線位置)×拡大倍率」の位置に前記背面オフセット線の基準点を設定し、それぞれの前記背面オフセット線の基準点を直線で結んだものである
ことを特徴とする請求項1に記載の肉厚測定装置。
【請求項3】
前記実際の肉厚は、「画像上の肉厚/拡大倍率+背面オフセット線位置」として算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の肉厚測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−159447(P2012−159447A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20352(P2011−20352)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】