説明

肝細胞成長因子のN末端フラグメントを組み換え発現するための方法

【課題】肝細胞成長因子のα−鎖又はそのN末端フラグメント(NKポリペプチド)を、微生物宿主細胞におけるNKポリペプチドをコードする核酸の発現、変性型の当該NKポリペプチドを含む封入体の単離、封入体の可溶化、及び変性したNKポリペプチドの再生により産生するための方法。
【解決手段】当該核酸において、位置33、35及び36のコドンから成る群から選択されるアミノ酸のコドンの少なくとも1つがCGTであることを特徴とする方法は、発現量の向上をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝細胞成長因子のN末端の4つのクリングルを含むフラグメントを組み換え発現するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肝細胞成長因子(HGF/SF)は、Nakamura,T.,他,(Biochem.Biophys.Res.Commun.22(1984)1450−1459)により同定され精製されたポリペプチドである。肝細胞成長因子は細胞分散因子(SF)と同一であることが、更に見出された(Weidner,K.M.,他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88(1991)7001−7005)。HGFは、多くの細胞表現型の発達、例えば増殖、有糸分裂誘発、枝管(branching tubule)の形成、そして腫瘍細胞の場合には、浸潤及び転移に関わる糖タンパク質である。このことに関しては、Stuart,K.A.,他(Int.J.Exp.Pathol.81(2000)17−30)を参照されたい。
【0003】
ラットHGF及びヒトHGFの双方は、配列が決定され、クローニングされた(Miyazawa,K.他,Biochem.Biophys.Res.Comm.163(1989)967−973;Nakamura,T.,他,Nature342(1989)440−443;Seki,T.,他,Biochem.and Biophys.Res.Comm.172(1990)321−327;Tashiro,K.,他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990)3200−3204;Okajima,A.,他,Eur.J.Biochem.193(1990)375−381)。
【0004】
HGFは、ヒトプラスミノーゲンと高い類似性を有するタンパク質である(38%のアミノ酸配列が同一)。HGF及びプラスミノーゲンは双方とも、タンパク質分解によりプロセシングされてジスルフィド結合ヘテロ二量体となる一本鎖ポリペプチドとして合成される。HGFは、N末端ドメインの4つの連続したクリングルドメイン及びカルボキシ末端のプロテアーゼ様ドメインを含む。異なる切断HGF変異体が、示されてきた。NK1は、示されている中で最も短いHGF変異体である。NK1は、アミノ酸32〜210を含み、最初のクリングルドメインの後で切断されている(Lokker,N.A.,及び
Godowski, PJ.,J.Biol.Chem.268(1993)17145−17150)。NK2は、N末端のアミノ酸末端及びクリングル1及びクリングル2から成り、選択的にスプライスされたHGFmRNAの天然の産物である(Chan,A.M.,他,Science 254(1991)1382−1385)。HGFの重鎖の部分を含む更なるHGF変異体(アミノ酸1〜494、アミノ酸1〜463からのHGFのアルファ−サブユニットを含む)は、Lokker,N.A.により示されている(EMBO J.11(1992)2503−2510)。
【0005】
HGF/SFのN末端ヘアピンドメイン及び4つのクリングルドメインから成る、NK4と呼ばれているHGF/SFフラグメントは、HGF/SFとは全く異なった薬理学的特性を有し、そして結腸癌細胞の運動性及び浸潤へのHGF/SFの作用に対するアンタゴニストであり、加えて腫瘍成長及び転移を抑制する血管形成阻害剤であることが、更に見出された(Parr,C,他,Int.J.Cancer 85(2000)563−570;Kuba,K.,他,Cancer Res.60(2000)6737−6743;Date,K.,他,FEBS Lett.420(1997)1−6;Date,K.,他,Oncogene 17(1989)3045−3054)。
【0006】
HGFのcDNAをCHO細胞において組み換え発現し、その後膵エラスターゼで消化することにより、NK4は技術水準(Date,K.,他,FEBS Lett.420(1997)1−6)に従い調製される。N末端ドメイン及びクリングル1、並びにN末端ドメイン及びクリングル1及び2をそれぞれコードする、HGFの2つの他のアイソフォーム(NK1及びNK2)は、E.コリ(E.coli)において産生された(Stahl,S.J.,Biochem.J.326(1997)763−772)。しかし、この方法では、HGF由来のタンパク質は全タンパク質のたった約10〜20%の量となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、HGFのアルファ−鎖又はそのフラグメント(NKポリペプチド)を、微生物宿主細胞における当該NKポリペプチドをコードする核酸の発現、変性型の当該NKポリペプチドを含む封入体の単離、封入体の可溶化、及び変性したNKポリペプチドの再生により産生するための方法であって、当該核酸において、位置33、35及び36のコドンから成る群から選択されるアミノ酸のコドンの少なくとも1つがCGTであることを特徴とする方法を提供する。
【0008】
アミノ酸(aa)及びコドンの番号付けは、Swiss−Prot P14210に示されている配列に従っている。ここで、aa(アミノ酸)1〜31はシグナル配列を示し、aa32〜494はアルファ鎖を示し、aa128〜206はクリングル1を示し、aa211〜288はクリングル2を示し、aa305〜383はクリングル3を示し、aa391〜469はクリングル4を示す。
【0009】
驚いたことに、位置33、35及び36(コドン33、35及び36はアルギニンをコードし、M73239に従って番号付けをする)のDNA配列の少なくとも1つのコドンの変更が、約100%又はそれ以上の発現収率の増加をもたらすことが見出された。N末端のメチオニンの開裂を向上させるために、アミノ酸32のコドンを、GlnをコードするものからSerをコードするものに変えることが、更に好ましい。
【0010】
本発明のNKポリペプチドは、aa32〜494又はそのN末端フラグメント(常にaa32で始まる)、好ましくはフラグメントaa32〜478から成り、最も短いフラグメントはaa32〜207である。本発明の全てのNKポリペプチドは、実施例4の細胞分散試験における活性を示す。
【0011】
本発明は更に、aa32〜494から成るNKポリペプチド、又はaa32で始まるそのN末端フラグメント、好ましくはフラグメントaa32〜x(ここで、xは207〜478の間の数であり、xは好ましくは207又は478である)をコードする核酸であって、位置33、35及び36のコドンから成る群から選択されるアミノ酸のコドンの少なくとも1つがCGTであることを特徴とする核酸を提供する。好ましくは、位置33、35及び36の全てのコドンがCGTである。
【0012】
本発明の好ましい実施態様においては、タンパク質の均質性(N末端のメチオニンの開裂)を向上させるために、aa32をグルタミンからセリンに変化させる。
【0013】
所望のポリペプチドの終点に対応する位置で翻訳を止めるために、NKポリペプチドをコードする核酸の終点に2つの翻訳終止コドン(TAA、TAG及び/又は及びTGA)を導入することが更に好ましい。
【0014】
発明の詳細な説明
ヒトHGFはジスルフィド結合したヘテロダイマーであり、アミノ酸R494とV495の間の開列により、463アミノ酸のα−サブユニットと234アミノ酸のβ−サブユニットに開裂することができる。α鎖のN末端は、メチオニン基で始まる31アミノ酸により先行される。このセグメントは、31アミノ酸のシグナル配列を含む。α鎖はアミノ酸32で始まり、4つのクリングルドメインを含む。いわゆる「ヘアピンドメイン」は、アミノ酸70〜96から成る。クリングル1ドメインは、アミノ酸128〜206から成る。クリングル2ドメインはおおよそα鎖のアミノ酸211〜288から成り、クリングル3ドメインはおおよそα鎖のアミノ酸305〜383から成り、クリングル4ドメインはおおよそα鎖のアミノ酸391〜469から成る。これらの配列にはバリエーションが存在し、本質的にNKポリペプチドの生物学的特性に影響を及ぼさない(特に、HGFに対するアンタゴニスト活性及び抗血管形成活性に影響を及ぼさない)。そのバリエーションは、例えばWO93/23541号に記載されている。また、生物学的特性に影響を及ぼさない限り、NKポリペプチドの長さは、2、3のアミノ酸の範囲内で変わり得る。
【0015】
NK1はHGF/SFα−鎖のaa32から206〜210から成り、NK2はaa32から288〜305から成り、そしてNK4はaa32から447(それぞれ、469〜494)から構成される。本発明の核酸によりコードされ且つ本発明の組み換え技術により産生することのできる更なるNKポリペプチドは、WO93/23541に記載され、例えば32〜207、32〜303、又は32〜384である。NKポリペプチドは、腫瘍成長、血管形成及び/又は転移の阻害をもたらすin vivoでの生物活性を有する。
【0016】
NK4ポリペプチドは、原核生物において組み換え手段により産生することができる。原核宿主細胞における発現では、核酸は当業者に良く知られた方法により適切な発現ベクターに組み込まれる。そのような発現ベクターは、好ましくは制御/誘導プロモーターを含む。次に、発現のために組み換えベクターを適切な宿主細胞、例えばE.コリに導入し、異種遺伝子の発現を可能にする条件下で形質転換細胞を培養する。発酵後に、変性したNKポリペプチドを含む封入体を単離する。
【0017】
例えば、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、ストレプトミセス属(streptomyces)又はバシラス属(Bacillus)が、原核宿主生物として適切である。NKポリペプチドの産生のために、本発明のNKポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを通常の方法で原核生物に形質転換し、その後通常の方法で発酵させる。しかし、元のNKポリペプチドのDNA配列(GenBank M73239)を用いたE.コリにおける発現量は非常に低い。
【0018】
発現する遺伝子がシグナル配列を含まないため、封入体は細胞質中に見出される。これらの封入体は、例えば細胞溶解後の遠心分離により、他の細胞成分から分離される。
【0019】
変性剤、例えば、好ましくはDDT(ジチオ−1,4−トレイトール)の存在するpH7〜9の6Mグアニジン塩酸塩又は8M尿素/リン酸バッファー(好ましくは、0.1〜1.0M、例えば0.4Mの濃度)を添加することにより、封入体を溶解させた。この可溶化物を、GSH/GSSG(好ましくは、2〜20mMのグルタチオン)及び非変性濃度の変性剤(例えば、2Mのグアニジン塩酸塩又は4Mの尿素)又は好ましくはグアニジン塩酸塩若しくは尿素の代わりに約0.3〜1.0M、好ましくは約0.7Mの濃度のアルギニンの存在する、pH7〜9のリン酸バッファーに希釈する。再生は、好ましくは約4℃の温度で約48〜160時間実施する。
【0020】
技術水準によると、可溶化及び再生におけるTRISバッファーの使用は、かなりの量(約50%)の副産物を生じさせる。この副産物は、主にGSH修飾NKポリペプチドから成るものとして発明者により同定されている。それとは反対に、驚いたことに、pHの範囲が7〜9、好ましくは8〜9のリン酸カリウムバッファーの使用により、NKポリペプチドの収量及び純度がかなり向上することが見出された。
【0021】
再生が終了した後、好ましくはpH7〜9のリン酸バッファー(好ましくは、0.1〜1.0M、例えば0.3Mの濃度)に対して少なくとも24時間、好ましくは24〜120時間、この溶液を透析した。
【0022】
組み換え体の産生及び水不溶性変性ポリペプチド(封入体)の再生の後に、NKポリペプチドを本発明の方法に従って精製することができ、好ましくはクロマトグラフィー法、例えばアフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、免疫沈降、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点電気泳動、選択的沈殿、電気泳動などによる。疎水性相互作用クロマトグラフィーにより、好ましくはリン酸バッファーの存在下でpH7〜9において、そして/或いは、ブチルセファロース又はフェニルセファロースを用いることにより、NKポリペプチドを精製することが好ましい。
【0023】
下記の実施例、参考文献、図及び配列表を、本発明の理解を助けるために提供し、本発明の真の範囲は添付した特許請求の範囲において記載する。本発明の精神から逸脱することなく、記載した方法における変更が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】バイオマス及び単離した封入体(IB)中のNK4タンパク質のSDS−Gel(10%NuPAGE−SDS、1レーンあたり5μl、左から右に番号を付ける ) レーン1:標準 レーン2:バイオマス レーン3:遠心分離後の上清 レーン4:更なる遠心分離後の上清 レーン5:IB調製物 レーン6:洗浄後のIB調製物
【0025】
配列の説明
配列番号1:HGFのα−鎖をコードするDNA配列及びアミノ酸配列、元の配列はGenBank M73239に従っている(シグナル配列は含まない)
配列番号2:HGFのα−鎖のタンパク質配列
配列番号3:本発明のNK4をコードするDNA配列及びアミノ酸配列(N末端のメチオニンを含むアミノ酸配列、2つの終止コドンを含むDNA配列)
配列番号4:NK4のタンパク質配列
【実施例】
【0026】
実施例1
NKポリペプチドの組み換え体の発現
HGFのアミノ酸位置32〜478から成るNK4ポリペプチドを、クローニング及び大腸菌における組み換え体の発現に用いた。DNAのソースとして用いた元のDNA配列については記載されている(データベース識別子「gb:M73239」)。NK4をコードするDNA(配列番号:1)を増幅し、同時に変更するために、PCRを実施した。全ての方法を標準条件下で実施した。
【0027】
NK4の元のDNA配列との比較において、下記の変更を導入した:
− 真核生物のシグナルペプチド配列を除去し、NK4のアミノ酸位置32の隣にATG開始コドンを融合すること
− タンパク質産物(Metの含まれていない)の均質性を向上させるために、アミノ酸位置32(配列番号:2における位置2)をGlnからSerに置換すること
− E.コリにおける遺伝子発現を向上させるために、位置33(AGGからCGT)、35(AGAからCGT)、及び36(AGAからCGT)におけるアミノ酸のコドンのDNA配列を変更すること
− PCR産物のベクターへの挿入を容易にするために、位置477(ATAからATC)及び478(GTCからGTT)におけるコドンのDNA配列を変更すること
− NK4タンパク質ドメインの終点に対応する位置で翻訳を止めるために、位置479(TAA)及び480(TAG)に2つの翻訳終止コドンを導入すること。
【0028】
PCRで増幅したDNAフラグメントを制限酵素NdeI及びBanIIで処理し、改変したpQEベクター(Qiagen)(His−tag及びDHFRコード領域を除去)に連結した。この改変したpQEベクターは、NdeI及びBanIIで適切に処理した。発現用プラスミドであるpQE−NK4−Ser(プラスミドサイズは4447bp)のエレメントは、T5プロモータ/lacオペレータエレメント、NK4をコードする領域、ラムダt.o.転写終結領域、rrnB T1転写終結領域、複製に関するColE1起点、及びβ−ラクタマーゼをコードする配列である。
【0029】
E.コリのコンピテントセル、例えば発現ヘルパープラスミドpUBS520(EP0373365)を有するE.コリ株C600を形質転換するために、ライゲーション反応を用いた。E.コリのコロニーを単離し、それらのプラスミドの制限酵素及び配列分析に関して特性を明らかにした。適切な抗生物質の存在するLB培地において組み換え細胞を培養した後で、且つIPTG(1mM)の添加により遺伝子発現を誘導した後に、NK4タンパク質含量を分析することにより、クローンの選択を実施した。細胞溶解物のタンパク質パターンをPAGEにより比較した。最も高い比率のNK4タンパク質を示す組み換えE.コリのクローンを、産生方法用に選択した。標準条件下で発酵を実施し、封入体を単離した。収率:細胞の正味重量は130g/lで、全タンパク質中のNK4は30〜40%。
【0030】
NK1及びNK2は、類似の方法で組み換え技術により産生することができる。
【0031】
実施例2
可溶化及び再生
6Mのグアニジン塩酸塩、pH8.5の0.1Mリン酸カリウム(10MのKOHを用いた滴定による)、1mMのEDTA、0.01mMのDTTを含むバッファーに、封入体を一晩溶解した。溶解したタンパク質の濃度を、ビウレット試験により決定し、最終的に室温で25mg 全タンパク質/mlの濃度に調節した。
【0032】
0.7Mのアルギニン、pH8.5の0.1Mリン酸カリウム(濃塩酸を用いた滴定による)、10mMのGSH、5mMのGSSG及び1mMのEDTAを含むバッファー中に、このNK4可溶化物を希釈して0.4mg/mlの濃度とした。この再生試験試料を、4℃で2〜8日間インキュベートした。最大の再生効果を得た後、接線流濾過ユニット(MWカットオフ:10kDa、Sartorius)を用いて、15lの体積の再生試験試料を3lにまで濃縮した。その後、少なくとも3×24時間、最適には合計で5日間、pH8.0で0.3Mのリン酸カリウムを含む50lのバッファーに対して3回透析をした。
【0033】
実施例3
精製
ヘパリン−セファロースクロマトグラフィーにより、精製を実施した。
【0034】
バッファー条件:
バッファーA:pH8.0の50mM トリス
バッファーB:pH8.0の50mM トリス、2M NaCl
【0035】
グラジエント:
5〜25% バッファーB、2カラム容積
25〜60% バッファーB、16カラム容積
60〜100% バッファーB、0.7カラム容積
100% バッファーB、2カラム容積
【0036】
1Mの硫酸アンモニウム/pH8.0の0.1Mリン酸カリウムを、その溶出した物質に添加し、4℃で一晩インキュベートした。サンプルを遠心分離し、上清をフェニルセファロースカラム(150ml)に充填した。1カラム容量の1M硫酸アンモニウム、pH8.0の50mMリン酸カリウムで、カラムを洗った。
【0037】
溶出条件:
バッファーA:1Mの硫酸アンモニウム、pH8.0の50mMリン酸カリウム
バッファーB:pH8.0の50mMリン酸カリウム、40%のエチレングリコール
0〜100%のバッファーB、20カラム容量
【0038】
実施例4
活性の決定
a)細胞分散試験
MDCK細胞を、組織培養プレート中でサブコンフルエントに(subconfluently)成長させた。細胞をHGF(10ng/ml)又はHGFとNK4との組み合わせにより処理した。これらの実験においては、HGF誘導細胞の分散は、10〜1000倍モルの過剰のNK4の添加により、少なくとも90%以上が阻害され、機能的活性を示した。
【0039】
b)増殖試験
Nakamura他(1989)に記載されているように、初代培養における成体ラット肝細胞のDNA合成を測定することにより、NK4によるHGFの有糸分裂活性の阻害を決定した。これらの実験においては、HGF誘導細胞の増殖は、10〜1000倍モルの過剰のNK4の添加により、少なくとも90%以上が阻害され、機能的活性を示した。
【0040】
c)浸潤試験
この試験においては、腫瘍細胞の浸潤能力を分析した。この試験は、HT115細胞を用いて、基本的にAlbini,A.,他(Cancer Res.47(1987)3239−3245)に記載の通りに行った。この場合も、HGF誘導(10ng/ml)細胞の浸潤は、10〜1000倍モルの過剰のNK4により、少なくとも90%以上が阻害され、機能的活性を示した。
【0041】
実施例5
in vivoでの活性
【表1】

【0042】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝細胞成長因子のα−鎖又はそのN末端フラグメントをコードする核酸であって、当該核酸において、位置33、35及び36のコドンから成る群から選択されるアミノ酸のコドンの少なくとも1つがCGTであることを特徴とする核酸。
【請求項2】
位置33、35及び36のアミノ酸のコドンがCGTであることを特徴とする、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
肝細胞成長因子のα−鎖又はそのN末端フラグメント(NKポリペプチド)を、微生物宿主細胞における当該NKポリペプチドをコードする核酸の発現、変性型の当該NKポリペプチドを含む封入体の単離、封入体の可溶化、及び変性したNKポリペプチドの再生により産生するための方法であって、当該核酸において、位置33、35及び36のコドンから成る群から選択されるアミノ酸のコドンの少なくとも1つがCGTであることを特徴とする方法。
【請求項4】
位置33、35及び36のアミノ酸のコドンがCGTであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−19529(P2011−19529A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−215752(P2010−215752)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2007−501205(P2007−501205)の分割
【原出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】