説明

肥満及び糖尿病を治療するための胃腸及び膵臓用装置

被験者の十二指腸(40)のそれぞれ第一及び第二の部位に第一及び第二の電極(90)を配置するステップ及び被験者の血中インスリンレベルを増大するために電極(90)を活性化するステップを含む方法が提供される。他の実施態様も説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に言って肥満及び糖尿病の治療に関するものであり、特に胃腸管及び膵臓内部から肥満及び糖尿病を治療するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本特許出願は、下記のものの利益を主張する「肥満及び糖尿病を治療するための胃腸及び膵臓用装置」と題する2006年4月11日に提出された米国特許出願第11/279,355号の一部継続出願である:
(a)「肥満及び糖尿病を治療するための胃腸及び膵臓用装置」と題する2005年7月13日に提出されたAlon及びGrossの米国仮特許出願第60/699,442号、及び
(b)「肥満及び糖尿病を治療するための胃腸及び膵臓用装置」と題する2005年9月26日に提出されたAlon及びGrossの米国仮特許出願第60/720,951号。
上記の出願は各々参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
1つの症状を持つ一部の患者は他方の症状を患わないが、肥満及び糖尿病は連鎖病であることが多い。肥満の複数の原因は現在も継続中の研究の対象である。インスリン抵抗性及びβ細胞機能不全が糖尿病発症に寄与する2つの重要な要因である。これら2つの要因の間の関係は、糖尿病における肥満の役割と同様これまで広範に研究されてきた。特に、肥満がインスリン抵抗性の主要な原因であることが広く観察されている。2型糖尿病を発症するほとんどの患者は肥満体である。
【0004】
「腸管神経系:第二の脳」(Hospital Practice、1999年11月)と題するMichael Gershonの論文(参照により本明細書に組み込まれる)において説明される通り、腸管神経系(ENS)は、2つの層からなる自律神経系の一部である。第一の層は筋層間(アウエルバッハ)神経叢と呼ばれ、腸壁の内層を成す環状筋層と縦走筋層との間に在る。第二の層は粘膜下神経叢と呼ばれ、環状筋の層と粘膜下組織との間に在る。筋層間神経叢は運動性及び隣接する器官の酵素排出の媒介を担当するニューロンを含む。これより小さい粘膜下(マイスネル)神経叢は、筋層間神経叢のニューロンと交信する知覚細胞並びに上皮腺窩細胞から腸腔への分泌を刺激する運動線維を含む。平滑筋細胞間の電気的結合は、信号によって直接ニューロンと接していない細胞の膜電位をも急速に変化させることができるようにし、筋肉細胞の小さいグループではなく大きな腸管領域が神経刺激に応答するようにする。
【0005】
Ben−Haim他に対するPCT公開公報第WO 2005/007232号(参照により本明細書に組み込まれる)は、被験者を治療するための方法及び装置について説明している。電気信号が被験者の胃の少なくとも1つの部位に与えられる。電気信号は、被験者を治療するために、電気信号は被験者の血糖値の上昇を減少するように構成される。患者の結腸または遠位小腸付近のそれぞれの部位に応用するのに適する制御ユニット及び1つまたはそれ以上の電極を含む結腸刺激システムについても説明されている。制御ユニットは電気信号を部位に与えるために電極を駆動し、L細胞またはその他の標的組織を刺激するように信号を構成し、前記の組織は刺激に反応して、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の分泌を増大する。このGLP−1の分泌は、一般的に患者の血糖調節を改良し、従って肥満、非インスリン依存型糖尿病、心臓病及び高血圧などインスリン抵抗性関係の症状を患う患者及びこの種の症状の危険があると考えられる健康な患者を治療するのに役立つものとして説明されている。一部の応用の場合、結腸刺激システムはさらに摂食検出ユニットを含み、制御ユニットは摂食検出に応答して信号を与えるために電極を駆動するように構成される。
【0006】
Bourgeois他に対する米国特許第6,091,992号(US−6,091,992)(参照により本明細書に組み込まれる)は胃腸管へ電気刺激を与えるための方法及び装置について説明している。この装置は1つまたはそれ以上の医療用電気リード線を通じて胃腸系に結合できる埋め込み可能なパルス発生器を特徴とする。望ましい実施態様において、リード線は胃の環状筋層に結合される。1つの実施態様において、埋め込み可能システムは密閉埋め込み可能パルス発生器を含み、パルス発生器は第一の速度で第一のタイプの電気刺激を発し、第二の速度で第二のタイプの電気刺激を発する。
【0007】
下記の特許公示及び論文(これら全てが参照により本明細書に組み込まれる)が重要かも知れない:
DiMarchi他に対する米国特許第 6,191,102 号(US−6,191,102)
Todd JF他「グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1):非インスリン依存型糖尿病の試験的治療」Eur J Clin Invest 27(6):533-6 (1997)
Gutniak MK他「内分泌ホルモングルカゴン様ペプチド1の粘膜下注射はNIDDMの食後血糖症を撲滅する」、Diabetes Care 17(9):1039−44 (1944)
Robertson MD他「ヒトにおける食後グルカゴン様 ペプチド1(7−36)アミド濃度に対する結腸の影響」、J Endocrinol 161(1):25−31 (1999)
Schirra J 他「非インスリン依存型糖尿病における粘膜下グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミドの抗糖尿病作用のメカニズム」、J Endocrinol 156(1): 177−86 (1998)
Todd JF他「粘膜下グルカゴン様ペプチド−1は初期2型糖尿病の患者において3週間の間 食後血糖調節を改善する」、Clin Sci (Lond) 95(3):325−9 (1998)
Vilsboll T 他「2型糖尿病患者における無損傷の生物学的に活性のグルカゴン様ペプチド1の食後濃度の減少」、Diabetes 50(3):609−13 (2001)
Zhao XT 他「小腸の電気刺激はイヌのモデルにおいて胃内容物排出を遅らせる」[要約]Neurogastroenterol Motil 14:457 (2002)
Qian LW 他「胃のペーシングによるアトロピン誘発食後リズム障害の正常化」、Am J Physiol 276:G387−92 (1999)
Chen JDZ他「短いパルスによる胃の電気刺激はイヌの嘔吐を減少するがリズム障害を減少しない」、Gastroenterology 124:401−9 (2003)。
【0008】
Garbagnati他に対する米国特許第6,322,560号(US−6,322,560)(参照により本明細書に組み込まれる)は 、高周波またはその他のエネルギーによって誘発される高熱による腫瘍の治療用のカテーテルについて説明している。カテーテルは活性電極として作用することができる冷却金属板を有する管状体を含む。説明される1つの応用は内視鏡によりまたは手術中主膵管にカテーテルを導入することによる膵臓腫瘍の治療である。
【0009】
Rittman,III 他に対する米国特許第6,575,969号(US−6,575,969)(参照により本明細書に組み込まれる)は、流体冷却(灌流冷却)高周波電極について説明している。1つの実施態様において、電極は、膵管へ挿入できる「スティント」、バルーンまたはコンドーム様構造を含み、RF加熱と共に適切な冷却によって、体液の正常な処理を維持するために膵管の構造を残しながら膵臓腫瘍の中に熱を「投入」することができる。
【0010】
Wernicke他に対する米国特許第5,188,104号(US−5,188,104)(参照により本明細書に組み込まれる)は、対象となる特定の摂食障害の治療の切迫した必要性を指示する予め選択された事象を検出するステップ及び対象となる摂食障害の影響を緩和するのに適する予め決められた刺激信号を患者の迷走神経に与えることによって予め選択された事象の発生の検出に応答するステップを含む、強迫性摂食障害の患者を治療するための方法について説明している。例えば、予め選択された事象は、設定された時間間隔内の患者による既定レベルの食品消費、あるいは患者の日周期に従った習慣的食事時間の開始、あるいは予め設定された一連の時間間隔の各々の経過、あるいは迷走神経へ刺激信号を自発的に与え始めることによる患者自身による治療の必要性の認識、である。障害が過食症である場合、刺激信号は患者に満腹感を感じさせるために予め決められたものとして説明される。
【0011】
Chen他の米国特許出願公開第2005/0021101号(参照により本明細書に組み込まれる)は、胃腸管に電気刺激の逆行性フィードバック制御を与えるために刺激電極及びセンサを用いる、被験者の消化作用を規則正しくするための方法について説明している。また、胃に電気刺激の逆行性フィードバック制御を与えるために刺激電極及びセンサを用いる、患者の体重を減らすための方法も説明されている。さらに、消化器官に電界刺激を与えるための方法並びに消化器官に電位傾度を与えるための方法が説明されている。さらに、被験者の消化器官の中に刺激電極を配置することによって被験者の迷走神経を刺激するための方法が説明されている。また、装置を挿入するために針を用いる、被験者の体外から被験者の胃腸管または壁の中に装置を配置するための方法が説明されている。
【0012】
Darwish他に対するPCT公開公報第WO 00/53257号(参照により本明細書に組み込まれる)は、グルコースセンサ、インスリン生成細胞または細胞群に電流を流すための少なくとも1つの電極、細胞において活動電位を起こさずかつインスリン分泌の効果を有するパルスで電極に電流を流すための電源、及び検知されたレベルを受け取りこのレベルに対して希望の効果を及ぼすために電極に電流を流すように電源を制御するコントローラ、を含む膵臓コントローラについて説明している。
【0013】
Darvish他の米国特許出願公開第2003/0055464号(参照により本明細書に組み込まれる)は、膵臓の少なくとも一部に電流を流すのに適する少なくとも1つの電極及び血糖値、血中インスリンレベル及び別の膵臓ホルモンの血中レベルのうち少なくとも2つの効果を積極的に管理するために電極に電流を流すようプログラムされるコントローラを含む膵臓コントローラについて説明している。
【0014】
Harel他に対するPCT公開公報第WO 04/012858号及びWO 05/023081号(参照により本明細書に組み込まれる)は、膵臓に電界を与えるのに適する少なくとも1つの電極を用意するステップ及び血糖値が大幅に減少して血中インスリンレベルが大幅に増大しないように電極を用いて膵臓に電界を与えるステップを含む、血糖値管理の方法について説明している。
【0015】
Harel他に対するPCT公開公報第WO 03/045493号(参照により本明細書に組み込まれる)は、膵臓の電気活性を検知するための装置について説明している。この装置は、膵臓に結合され、膵臓の複数の島細胞にある膵臓細胞の電気活性を示す活性信号を発するのに適する1つまたはそれ以上の電極を含む。
【0016】
Harel他の米国特許出願公開第2004/0249421号(参照により本明細書に組み込まれる)は、血糖値が大幅に減少しかつ同じヒトの正常なインスリン反応に比べて血中インスリンが大幅に増大しないように少なくとも1つの電極を用いて膵臓に電界を与えるステップを含む、血糖値管理の方法について説明している。また、(a)例えば胃を通じて胆管まで内視鏡を前進させかつ膵臓に沿って胆管の中で内視鏡を前進させるステップ、及び(b)十二指腸または膵臓に隣接する腸の他の部分まで内視鏡を前進させかつ腸から膵臓の中まで電極を伸ばすステップを含む、膵臓に電極を埋め込むための方法が説明されている。
【0017】
Marchal他に対する米国特許第6,853,862号(US−6,853,862)(参照により本明細書に組み込まれる)は、刺激信号を生成するための神経刺激器、少なくとも1本のリード線及び少なくとも2つの電気接点を含む胃電気刺激器について説明している。刺激信号は膵臓分泌に影響を与えるのに適する。
【0018】
Houben他に対する米国特許第5,919,216号(US−5,919,216)は、糖尿病患者の外部監視またはインスリン注射の必要なしにインスリン要求に自動的に応答するためのシステムについて説明している。このシステムは、内部的に血糖値を検知し、かつインスリン生成を強化するために膵臓か膵臓島細胞の移植片を刺激することによってこれに応答するようにする。強化刺激はバースト速度より大きい速度で送られるか、または脱分極(depolarization)バーストが各島細胞電気サイクルの大きい部分を構成し、それによってインスリン生成を増大させるように制御される。別の実施態様においては、システムは、自然反応を刺激する刺激強化インスリン反応を与えるために時間応答アルゴリズムを経過することによって外部的または内部的に発せられる摂食信号に応答する。
【0019】
Houben他に対する米国特許第6,135,978号(US−6,135,978)(参照により本明細書に組み込まれる)は、患者のインスリン要求量及び血糖値の測定値を得るために患者の膵臓β細胞電気活性を監視するための埋め込み可能なシステム及び方法について説明している。刺激発生器は膵臓β細胞札分極を同期化するように刺激パルスを送りそれによって検知され処理される電気信号を強化するように制御される。インスリン要求信号は埋め込まれたインスリンポンプからのインスリンの送達を制御するかまたはインスリン生成を強化する形式の継続的膵臓刺激を制御するために使用される。
【0020】
Whitehurst他に対する米国特許第6,832,114号(US−6,832,114号)(参照により本明細書に組み込まれる)は、糖尿病を治療または予防しかつ(または)膵臓内分泌を調節するために膵臓及び(または)膵臓を神経支配する神経線維に1つまたはそれ以上の刺激薬を導入しかつ(または)電気刺激を与えるための技法について説明している。
【0021】
肥満を治療するために胃の容積を減少するための胃内バルーンについては、下記の特許及び特許出願公示を含めてこれまでに説明されている(全て参照により本明細書に組み込まれる):Garren他に対する米国特許第4,416,267 号及び4,899,747号 、Weiner 他に対する米国特許第4,694,827 号、Kullas他に対する米国特許第4,723,547 号、 Lai 他に対する米国特許第4,739,758 号、 Bangs に対する米国特許第 5,234,454号、 De Hoyos Garza に対する米国特許第 6,454,785 号、McGhanに対する米国特許第 6,733,512 号、Wazneの米国特許出願公開第2003/0158569号 、Lee 他の米国特許出願公開第2005/0004430 号、Lointier 他に対するPCT公開公報第WO 03/055420 号、 Paganonに対する PCT公開公報第WO 04/089262 号及びTaylorに対するPCT公開公報第WO 87/00034号。
【0022】
Bales 他に対する米国特許第6,579,301号(US−6,579,301)(参照により本明細書に組み込まれる)は、可撓性ブラダー、ブラダーに結合されかつブラダー膨張用流体を保持するのに適する比較的剛性の容器及び容器からブラダーの中へ流体を動かすまたは流体の移動を許容するのに適する膨張/収縮システムを含む胃内バルーン装置について説明している。胃内バルーン装置のサイズは、その全体を胃腔の中へ配置できるように定められる。様々なシステムを用いて流体を動かすまたは流体の移動を許容することができる。膨張/収縮システムを自動的に起動するために制御システムが配備される。タイマー、胃の温度、胃内の圧力、胃の中の機械的な応力またはその他検知される条件のうち1つまたはそれ以上の組み合わせによって自動的に起動することができる。
【0023】
Elliasに対する米国特許第5,868,141号(US−5,868,141)(参照により本明細書に組み込まれる)は、ヒトの口及び食道を通過するサイズを持つベース、一端でベースに結合されかつベースの中心軸の周りに円周上に配置される複数の可撓性ブレード(ブレードはベースから半径方向外向きにかつ下向きに伸びるよう偏らされる)及びベースの中心軸の周りで相互に近接するブレードの遠位端を解除可能に結合するためのリテーナを含む、食欲を減少することによってヒトの肥満を治療するための内視鏡型胃挿入物について説明している。従って、この挿入物は口及び食道を通り抜けて胃の中まで通されるのに適し、胃の中でリテーナが解除されると、ブレードは偏って外向きにドーム型に広がって、胃に圧力を加えるので、胃の中に満腹感を生じて食欲を減少する。
【0024】
Mintchevに対するPCT公開公報第WO 05/051486号(参照により本眼最初に組み込まれる)は、胃腸運動調節のための方法及び装置について説明している。この発明の1つの態様は、自然発生的に存在する胃腸(GI)運動を無効にして、広範囲の周波数(5−50,000Hz)、広範囲のデューティサイクル(10−100%)及び広範囲の振幅(頂点間3−30V)を持つ一連の外部電圧を用いて特定のGI器官のGI管またはその一部において自然発生的に存在する機械的現象と完全に非同期的な人工的蠕動を生じさせるための方法及び装置として説明されている。また、GI器官またはその一部の括約筋領域(例えば幽門)において予備的な外部制御収縮を生じさせるための方法及び装置についても説明されている。括約筋領域の付近の隣接するアセチルコリン(ACh)パッチは長時間にわたって収縮が引き起こされることによって枯渇するので、その結果括約筋は不可避的に弛緩する。さらに、この括約筋弛緩が得られた後装置は外部制御のGI蠕動を引き起こすので、内容物は括約筋を通って推進される。また、病的肥満を治療するための埋め込み可能なマイクロシステム装置についても説明されており、同じ装置を使用することができる。
【0025】
Kingに対するPCT公開公報第WO 02/092165号(参照により本明細書に組み込まれる)は、電気的興奮性組織の活性化を阻止するのに適し、特に第一の予め決められた部位の組織を活性化することによって希望の効果を生じさせかつ第二の予め決められた部位における組織の活性化または活動電位の伝導を阻止することによって望ましくない副作用を減少するのに適する装置の実施態様について説明している。例えば、望ましい効果は患者の腸の蠕動である。望ましくない効果は患者の結腸へ通じる患者の回盲弁の閉鎖である。例えば第一の部位は患者の腸壁の平滑筋、下腹動脈神経叢または患者の下腹動脈神経叢へ通じる神経であり、第二の部位は患者の回盲弁、腸間膜神経節、背根、脊髄後柱または内臓神経である。
【0026】
下記の参照文献(参照により本明細書に組み込まれる)も重要かも知れない:
King に対する欧州特許第1 392 393 Bl号
Loeb 他に対する米国特許第6,895,279号
Cigainaに対する米国特許第5,423,872 号
Loebの米国特許出願公開第2002/0072779 号
Ben−Haim 他に対する米国特許第 6,571,127 号
Chen 他に対する米国特許第 6,826,428 号
Ben−Haim 他の特許出願公開第2003/0055467号
Levine他の特許出願公開第 2005/0085923 号
Cohen 他に対する米国特許第 6,684,105号
Cohen 他に対するPCT特許公開公報第WO 03/018118号及びその国内段階における米国特許出願第10/488,334号
Flesler他に対する米国特許第6,993,391号
Darvish他米国特許第7,006,871 号
Kliger 他に対するPCT公開公報第WO 06/018851 号
Ben−Haim 他に対するPCT公開公報第WO 04/112563 号
Harel 他に対するPCT公開公報第 WO 05/087310 号
Harel の米国特許出願公開第 2006/0085045 号
【0027】
「可撓性経胃腹腔鏡:腹腔の診断及び治療介入への新規のアプローチ」と題するKalloo他の論文(Gastrointest Endosc. 2004 Jul;60(l):l 14−7)(参照により本明細書に組み込まれる)は、急性及び長期生存実験のブタモデルの腹腔への内視鏡経口経胃アプローチの試験について説明している。経胃腹腔鏡が50kgのブタで検査された。上部内視鏡の後に、胃壁のニードルナイフ穿刺によって腹腔に接近し、その後プルタイプの括約筋切開またはバルーン拡張によって切開が拡大される。腹腔が検査され肝臓生検材料が採取された。胃壁切開はクリップで閉じられた。12回の急性実験及び5回の生存実験が行われた。胃壁切開の両方の技法は合併症を伴わなかった。急性実験はこの方法の技術的な実施可能性を立証した。生存実験において、全てのブタが回復し、体重を増やした。この論文は、腹腔への経口経胃法が技術的に実施可能であり、腹腔鏡検査及び開腹術に対する代替形態として可能性を持つと、結論付けた。
【0028】
「腸の電気刺激はラットの脂肪吸収を減少する:肥満治療の可能性」と題するSun他の論文(Obes Res,2004 Aug;12(8):1235−42)(参照により本明細書に組み込まれる)は、腸電気刺激(IES)が脂肪吸収を減少し、それによって肥満にとって可能性のある治療となるか否かを調査する研究について説明している。漿膜層電極及び2つの空腸カニューレが埋め込まれた40匹のラットは各々10匹の4つのグループ、すなわち、対照(無刺激)、長いパルスのIES、一連の短いパルスのIES及び一連の短いパルスのIESプラスリドカインによる治療、に分割された。IES付きまたはなしで45分間(2つのカニューレの間の)20cm空腸セグメントの空腸移行及び脂肪吸収が調査された。IESの両方の方法は、対照グループと比較してフェノールレッドの回復によって測定される腸移行を加速し、遠位カニューレから回復されるトリグリセリドのパーセンテージを増大したことが判った。一連の短いパルスのIESは空腸移行を加速し脂肪吸収を減少する点で長いパルスのIESより効果的であった。2つのIES法のどちらも遠位カニューレからの脂肪酸の排出を変化させなかった。移行及び脂肪吸収に対する一連の短いパルスのIESの効果はリドカインの治療で部分的に無効になった。IESは腸移行を加速し脂肪吸収を減少し、肥満にとって可能性のある治療法となることを示唆していると結論付けられる。一連の短いパルスのIESは長いパルスのIESより効果的であることが判明し、その効果には腸管神経、空腸が部分的に媒介する。
【0029】
「ラットの十二指腸における粘膜刺激によって惹起される上昇性収縮のCCKによる抑制」と題するGiralt M他の論文(Neurogastroenterol Motil,April,2000,12(2):173−80)(参照により本明細書に組み込まれる)は、腔内刺激によって放出されるCCKが十二指腸の活動を修正し胃内容排出の減少に寄与すると述べている。この論文は、CCKが運動性を制御する際の神経メカニズムは充分には判っていないと述べている。この研究の目的は、上昇性惹起に対するCCK−8の影響の研究を通じてCCKと腸管神経系との間の相互作用を調査することであった。麻酔をかけられたスピローグドーリーラットは十二指腸壁にストレインゲージが縫合されて準備された。上昇性収縮を惹起するために十二指腸腔に電極ホルダが配置された。十二指腸粘膜の電界刺激(4Hz、0.6ms、30V)は上昇性興奮を誘発し、これはヘクサメトニウム及びアトロピンによって阻止されたが、L−NNAによって拡大された。CCK−8は上昇性興奮を阻止し、誘発された相動性活動の抑制が代わりに観察された。要するに、CCK−8はCCK−A及びCCK−8受容体の同時活性化によって十二指腸粘膜の電界刺激によって惹起される上昇性収縮を阻止した。
【0030】
「イヌの小腸の筋電気活性に対するコレシストキンの効果」と題するMukhopadhyay AK他の論文(Am J Physiol.Juanuary,1977,232(1):E44−7)(参照により本明細書に組み込まれる)は、小腸の筋電気活性に対するコレシストキンの効果を意識のあるイヌにおいて判定した実験について説明している。6匹の動物の小腸に沿って電極が埋め込まれ、胃の中にカニューレが配置された。第二のカニューレが3匹の十二指腸へ挿入され、3匹には膵フィステルが用意された。絶食段階、生理的食塩水またはコレシストキン−オクタペプチド(CCK−OP)静脈注入中、生理的食塩水またはL−トリプトファンの十二指腸内注入中及び給餌中に記録が取られた。CCK−OPは筋電気活性の絶食パターンを破壊して、スパイク電位の薬物依存性増大を生じ、かつ膵臓蛋白分泌の薬物依存性増大を生じた。筋電気活性の刺激は最大下蛋白分泌を生じた投薬量で生じた。しかし、刺激は給餌状態で観察されたものと同じではなかった。L−トリプトファンの十二指腸内注入は膵臓蛋白分泌を増大し、運動性の絶食パターンを中断し、給餌状態で見られるとの同様のパターンを誘発した。この論文は、CCKは小腸の運動性を変質させ、食物摂取によって生じる小腸運動性の変化においてある役割を演じるかも知れない、と結論付けている。
【0031】
下記の論文(参照により本明細書に組み込まれる)が重要かも知れない:
Bergman, RN 他「2型糖尿病におけるβ細胞機能不全及びインスリン抵抗性の展開」Eur J Clin Invest 32(Suppl. 3):35−45 (2002)
Chiasson, JL他「2型糖尿病の防止:インスリン抵抗性及びβ細胞機能」Diabetes 53(Suppl. 3):S34−S38 (2004)
Kahn SE「2型糖尿病の病態生理に対するインスリン抵抗性及びβ細胞機能不全の相対的寄与」 Diabetologia 46:3−19 (2003)
Toyama MT他「慢性膵臓炎を患うネコの膵臓間質PH及び血流に対するエタノールの効果」Annals of Surgery 225(2):223−228 (1997)
Liu S他「十二指腸電気刺激の肥満治療の可能性:胃内容物排出及び水分摂取に対する急性効果」Am J Gastroenterol, 100(4):792−6 (2005)
【発明の開示】
【0032】
本発明の一部の実施態様においては、被験者の肥満及び糖尿病を治療するためのシステムは制御ユニット、摂食センサ、胃内バルーン、神経組織刺激器及び膵臓刺激器を含む。神経組織刺激器は例えば迷走神経を刺激するのに適する刺激器及び(または)腸管神経系(ENS)を刺激するのに適する刺激器を含む。摂食センサが摂食を検出するのに応答して、制御ユニットは、迷走神経またはENSを刺激するために神経組織刺激器を駆動して被験者の食欲を減退させ、かつ(または)膵臓β細胞を刺激するために膵臓刺激器を駆動してインスリン生成を調節(例えば、増減)しかつ(または)その他の方法で血糖を調節する。このシステムは、このようにして、食欲抑制と多くの過体重糖尿病患者に見られるβ細胞機能不全の相関的要因に同時に対処する。
【0033】
本発明の一部の実施態様においては、膵臓刺激器は膵管特に主膵管の中へ挿入するのに適する1つまたはそれ以上の膵臓用電極を含む。一般に膵臓用電極は内視鏡を用いて主膵管に埋め込まれ、内視鏡は口、胃、十二指腸を通って主膵管まで通される。一部の応用の場合、電極は、膵管を通る膵液の流れを実質的に妨害しないように構成されるリング電極を含む。
【0034】
本発明の一部の実施態様において、摂食センサは胃の中または別の胃腸管の部位に配置されるのに適する。一部の応用の場合、摂食センサは被験者による摂食を指示する胃壁の電気活性を検知するように構成される1つまたはそれ以上の電極を含む。一部の実施態様において、摂食センサは胃内バルーンの中に組み込まれる。一部の応用の場合、電極はバルーンの表面に固定される。その代わりにまたはそれに加えて、摂食センサは、被験者による摂食を指示する胃内圧力の変化を検知するのに適する圧力センサを含む。
【0035】
一部の応用の場合、神経組織刺激器は、十二指腸に配置されて迷走神経及び(または)ENSと感応する十二指腸壁の組織を刺激するのに適する。一部の応用の場合、制御ユニットは胃内バルーン内部に配置されるのに適する。その代わりに、制御ユニットは腹部の他の場所に埋め込まれるかまたは被験者の体外に配置されるのに適する。
【0036】
従って、本発明の1つの実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者の膵臓の膵管へ挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の電極、
膵臓に電流を与えるために電極を駆動しかつ膵臓のβ細胞によるインスリン生成を調節するように電流を構成するのに適する、制御ユニット。
【0037】
1つの実施態様において、電極はリング電極を含む。一部の応用の場合、リング電極の各々はリング電極の周りに配置される複数の導電性セグメントを含む。その代わりにまたはそれに加えて、この装置は、膵管の中で拡張し、それによって膵管の中で1つまたはそれ以上の電極を開くのに適するステントを含む。
【0038】
1つの実施態様において、1つまたはそれ以上の電極は膵臓の主膵管へ挿入されるのに適する。
【0039】
1つの実施態様において、電極は膵液の電極通過を可能にするように構成される。
【0040】
1つの実施態様において、1つまたはそれ以上の電極は複数の電極を含み、制御ユニットは、所定の時点に電流を与えるために電極の一部のみを駆動するのに適する。例えば、この装置は制御ユニットを複数の電極と接続する1組のワイヤを含み、制御ユニットはこの1組のワイヤを通じて複数の電極へ多重化信号を送るのに適し、複数の電極の各々は、信号がそのマイクロチップ宛であると判断すると電流を与えるためにこの電極を駆動するのに適するそれぞれのマイクロチップを含む。
【0041】
本発明の1つの実施態様によれば、さらに下記のものを含む装置が提供される:
被験者の十二指腸腔の壁と接して配置されるのに適する1つまたはそれ以上の電極、
十二指腸腔の壁に電流を与えるために電極を駆動しかつ被験者の迷走神経または被験者のENSを刺激するように電流を構成するのに適する制御ユニット。
【0042】
一部の応用の場合、この装置は摂食センサを含み、制御ユニットは、被験者による摂食を指示する摂食センサからの信号に応答して電流を与えるために電極を駆動するのに適する。
【0043】
一部の応用の場合、制御ユニットは、(a)電流のパルスのパルス幅及びパルスの周波数を含めて電流に関する1組のパラメータに従って電流を構成し、かつ(b)被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ被験者の血糖値を下げるように1組のパラメータを選択する、のに適する。その代わりにまたはそれに加えて、制御ユニットは、(a)電流のパルスのパルス幅及びパルスの周波数を含めて電流に関する1組のパラメータに従って電流を構成し、(b)被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ被験者の血中インスリンのレベルを上げるように1組のパラメータを選択する、のに適する。
【0044】
一部の応用の場合、1つまたはそれ以上の電極のうち2つは、壁と接触するとき、1つまたはそれ以上の電極のうち他の任意の2つが壁と接触するときの間隔より大きい距離の間隔で配置され、この距離が3cm未満である。
【0045】
一部の応用の場合、制御ユニットは、(a)複数のパルスを含むように電流を構成し、(b)パルスの周波数を少なくとも0.1Hzに設定する、のに適する。一部の応用の場合制御ユニットはパルスの少なくとも一部を二相パルスとして与えるのに適する。その代わりにまたはそれに加えて、制御ユニットはパルスの少なくとも一部を単相パルスとして与えるのに適する。
【0046】
一部の応用の場合、制御ユニットは周波数を少なくとも3Hzなど少なくとも1Hzに設定するのに適する。
【0047】
一部の応用の場合、制御ユニットは複数のパルスを含むように電流を構成するのに適し、少なくとも2つの連続するパルスは各々30ms未満例えば15ms未満など75ms未満のそれぞれのパルス幅を有する。
【0048】
1つの実施態様において、制御ユニットは、(a)複数のパルスを含むように電流を構成し、(b)パルスの周波数を希望の周波数に設定し、(c)少なくとも2つの連続するパルスのパルス幅を閾値パルス幅より小さく設定する、のに適し、閾値パルス幅対希望の周波数値の比は、100ms/Hz未満例えば10ms/Hz未満など1000ms/Hz未満である。
【0049】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者の幽門の閉鎖を生じるのに充分であるように電流を構成するのに適する。一部の応用の場合、制御ユニットは神経媒介経路を通じて幽門の閉鎖を生じるのに充分であるが幽門の筋肉組織の直接電気刺激を通じて幽門の閉鎖を生じるには不十分であるように電流を構成するのに適する。
【0050】
一部の応用の場合、1つまたはそれ以上の電極は幽門から2−5cmに配置されるのに適するか、または幽門から1−2cm以内に配置されるのに適する少なくとも2つの電極を含む。一部の応用の場合、1つまたはそれ以上の電極の全てが幽門から2−5cmに配置されるのに適するか、または幽門から1−2cmに配置されるのに適する。
【0051】
1つの実施態様において、制御ユニットは、被験者の胃腸管に配置されるのに適する。例えば、制御ユニットは被験者の胃の中に配置されるのに適する。その代わりに、制御ユニットは被験者体内の胃の外部に埋め込まれかつ電極に無線で結合されるのに適する。さらにその代わりに、制御ユニットは被験者の体外に配置されかつ電極に無線で結合されるのに適する。
【0052】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者の体内に配置されかつ被験者による摂食を指示する信号を発するのに適する摂食センサ、
被験者の胃腸管に配置されるのに適する迷走神経刺激器またはENS刺激器、
被験者の膵臓の中へ内視鏡を用いて挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の膵臓用電極、及び
摂食信号を受け取りかつこれに応答して被験者の迷走神経またはESNへ第一の電流を与えるために迷走神経刺激器またはENS刺激器を駆動しかつ被験者の膵臓β細胞へ第二の電流を与えるために膵臓用電極を駆動するのに適する制御ユニット。
【0053】
本発明の実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者の体内に配置されかつ被験者による摂食を指示する信号を発するのに適する摂食センサ、
被験者の胃腸管に配置されるのに適する迷走神経刺激器またはENS刺激器、
被験者のそれぞれの十二指腸部位に腹腔鏡、内視鏡またはその他の方法で埋め込まれるのに適する1つまたはそれ以上の電極、及び
摂食信号を受け取り、これに応答して被験者の迷走神経またはENSへ第一の電流を与えるために迷走神経刺激器またはENS刺激器を駆動しかつ被験者の膵臓β細胞の活動を調節する第二の電流を与えるために電極を駆動するのに適する制御ユニット。
【0054】
1つの実施態様において、制御ユニットは、第二の電流の周波数の少なくとも3倍に等しい周波数を持つように第一の電流を設定するのに適する。
【0055】
1つの実施態様において、この装置は被験者の胃の中に配置されるのに適する胃内バルーンを含む。一部の応用の場合胃内バルーンは摂食センサを含む。
【0056】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の膵臓の膵管へ1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップ、
膵臓へ電流を与えるために電極を駆動するステップ、及び
膵臓のβ細胞によるインスリン生成を調節するように電流を構成するステップ。
【0057】
1つの実施態様において、挿入するステップは膵臓の主膵管へ1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップを含む。その代わりにまたはそれに加えて、電極を挿入するステップは被験者の口から内視鏡を用いて電極を挿入するステップを含む。
【0058】
本発明の1つの実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者の十二指腸腔の壁と接して配置されるのに適する1つまたはそれ以上の電極、及び
十二指腸腔の壁に電力を与えるために電極を駆動しかつ被験者の迷走神経及び被験者の腸管神経系(ENS)細胞から成るグループから選択される部位を刺激するように電流を構成するのに適する制御ユニット。
【0059】
1つの実施態様において、部位は被験者の迷走神経を含み、制御ユニットは迷走神経を刺激するように電流を構成するのに適する。
【0060】
1つの実施態様において、部位は被験者のENS細胞を含み、制御ユニットはENS組織を刺激するように電流を構成するのに適する。
【0061】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者の胃腸管の中に配置されるのに適する。
【0062】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者の胃の中に配置されるのに適する。
【0063】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者体内の胃の外に埋め込まれかつ電極に無線で結合されるのに適する。
【0064】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者体内の胃の外に埋め込まれるのに適し、装置は制御ユニットを電極に結合するように構成されるワイヤを含む。
【0065】
1つの実施態様において、制御ユニットは被験者の体外に配置されかつ電極に無線で結合されるのに適する。
【0066】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者の体内に配置されかつ被験者による摂食を指示する信号を発するのに適する摂食センサ、
被験者の迷走神経及び被験者の腸管神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するのに適しかつ被験者の胃腸管の中に配置されるのに適する刺激器、
被験者の膵臓へ内視鏡を用いて挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の膵臓用電極、及び
摂食信号を受け取りかつこれに応答して被験者の選択された部位へ第一の電流を与えるために刺激器を駆動しかつ被験者の膵臓β細胞へ第二の電流を与えるために膵臓用電極を駆動するのに適する制御ユニット。
【0067】
1つの実施態様において、制御ユニットは第二の電流の周波数の少なくとも3倍に等しい周波数を持つように第一の電流を設定するのに適する。
【0068】
1つの実施態様において、この装置は被験者の胃の中に配置されるのに適する胃内バルーンを含む。
【0069】
1つの実施態様において、胃内バルーンは摂食センサを含む。
【0070】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の膵臓の膵管の中へ1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップ、
膵臓へ電流を与えるために電極を駆動するステップ、及び
膵臓のβ細胞によるインスリン生成を調節するように電流を構成するステップ。
【0071】
1つの実施態様において、電極を挿入するステップは膵臓の主膵管の中へ1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップを含む。
【0072】
1つの実施態様において電極を挿入するステップは被験者の口から内視鏡を用いて電極を挿入するステップを含む。
【0073】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸の中へ1つまたはそれ以上の螺旋電極を挿入するステップ、
1つまたはそれ以上の電極と十二指腸の壁との間の電気接触を確立するために1つまたはそれ以上の電極を拡張するステップ、
1つまたはそれ以上の電極に電流を送るステップ、及び
十二指腸の収縮を誘発するように電流を構成するステップ。
【0074】
また、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸の中へ1つまたはそれ以上の電極を含むステントを挿入するステップ、
1つまたはそれ以上の電極に電流を送るステップ、及び
十二指腸の収縮を誘発するように電流を構成するステップ。
【0075】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップ、及び
被験者の腸管神経系(ENS)を刺激することによって被験者の満腹感を強化するように電流を構成するステップ。
【0076】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップ、及び
被験者の血中コレシストキン(CCK)レベルを上げることによって被験者の満腹感を強化するように電流を構成するステップ。
【0077】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップ、及び
被験者の血中GLP−1レベルを上げることによって被験者の満腹感を強化するように電流を構成するステップ。
【0078】
また、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸のそれぞれ第一の部位及び第二の部位に第一及び第二の電極を配置するステップ、及び
被験者の血中インスリンレベルを増大するように電極を活性化するステップ。
【0079】
1つの実施態様において、電極を配置するステップは電極を接続する直線が被験者の膵臓を通過するように電極を配置するステップを含む。
【0080】
1つの実施態様において、この方法は被験者が食事を摂ったことの兆候を検知するステップ及びこれに応答して電極を活性化するステップを含む。
【0081】
1つの実施態様において、電極を配置するステップは少なくとも5cm離して第一の電極と第二の電極を配置するステップを含む。
【0082】
1つの実施態様において、電極を活性化するステップは2mAから8mAまでの振幅及び3Hzから20Hzまでの周波数を有する信号を与えるステップを含む。
【0083】
1つの実施態様において、信号を与えるステップは、(a)5秒間未満信号を与えるステップ、(b)10秒間以上信号を控えるステップ、及び(c)(a)と(b)とを循環するステップ、を含む。
【0084】
1つの実施態様において、この方法は被験者に満腹感を誘発するように構成される電流を十二指腸の中へ送るステップを含む。
【0085】
1つの実施態様において、電流を送るステップは胃内容物排出を遅延させるステップを含む。
【0086】
1つの実施態様において、電流を送るステップは被験者による摂食を減少する求心性迷走神経信号を誘発するように電流を構成するステップを含む。
【0087】
1つの実施態様において、この方法は十二指腸の収縮を誘発するように構成される電流を十二指腸の中へ送るステップを含む。
【0088】
1つの実施態様において、電流を送るステップは蠕動を誘発するように電流を構成するステップを含む。
【0089】
1つの実施態様において、電流を送るステップは蠕動速度を高めるステップを含む。
【0090】
1つの実施態様において、電流を送るステップは少なくとも1つの移動性運動コンプレックス(MMC)を誘発するように電流を構成するステップを含む。
【0091】
1つの実施態様において、この方法は、MMCが自然のMMC発生時間より早期に発生するように電流を送るタイミングを定めるステップを含む。
【0092】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者のそれぞれ第一及び第二の腹部部位に第一及び第二の電極を配置するステップ、及び
消化液の有効性レベルを抑制するために電極を活性化するステップ。
【0093】
1つの実施態様において、消化液は胆汁を含み、かつ活性化するステップは胆汁の有効性レベルを抑制するために電極を活性化するステップを含む。
【0094】
1つの実施態様において、消化液は膵液を含み、かつ活性化するステップは膵液の有効性レベルを抑制するために電極を活性化するステップを含む。
【0095】
1つの実施態様において、第一及び第二の腹部部位は第一及び第二の十二指腸部位を含み、電極を配置するステップは、電極を接続する直線が被験者の膵臓を通過するように第一及び第二の十二指腸部位に電極を配置するステップを含む。
【0096】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸の少なくとも5mm離れたそれぞれ第一と第二の部位の第一と第二の電極の間に電流を送るステップ、及び
十二指腸の縦走筋層の組織を刺激するように電極を構成するステップ。
【0097】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸の5mm未満離れたそれぞれ第一と第二の部位の第一と第二の電極の間に電流を送るステップ、及び
十二指腸の環状筋層の組織を刺激するように電流を構成するステップ。
【0098】
また、本発明の1つの実施態様によれば下記のものを含む装置が提供される:
被験者が飲み込むのに適するカプセル、
被験者体内に埋め込まれ、センサへのカプセルの近接を検出しかつこれに応答してセンサ信号を発するのに適するセンサ、及び
センサ信号の受信に応答して被験者に治療を施すのに適する治療ユニット。
【0099】
1つの実施態様において、カプセルは磁石を含む。
【0100】
1つの実施態様において、カプセルの直径は2mm未満である。
【0101】
1つの実施態様において、治療ユニットは被験者の満腹感を誘発する治療を施すのに適する。
【0102】
1つの実施態様において、治療ユニットは血中インスリンレベルを上げる治療を施すのに適する。
【0103】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者の十二指腸腔の壁へ電流を与えるステップ、及び
被験者の迷走神経及び被験者の腸管神経系(ENS)から成るグループから選択される部位を刺激するように電流を構成するステップ。
【0104】
さらに、本発明の1つの実施態様によれば下記のステップを含む方法が提供される:
被験者による摂食を指示する信号を被験者の体内から発するステップ、及び
被験者の胃腸管の中に被験者の迷走神経及び被験者の腸管神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するのに適する刺激器を配置するステップ、
被験者のそれぞれの十二指腸部位に1つまたはそれ以上の電極を埋め込むステップ、及び
摂食信号を受け取り、かつこれに応答して被験者の選択された部位へ第一の電流を与えるために刺激器を駆動しかつ被験者の膵臓β細胞の活動を調節する第二の電流を与えるために1つまたはそれ以上の電極を駆動するステップ。
【0105】
本発明は、添付図面を参照する本発明の実施態様の以下の詳細な説明から充分に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0106】
図1は、本発明の1つの実施態様による肥満及び糖尿病を治療するためのシステム10の略図である。システム10は一般に制御ユニット20、摂食センサ22、胃内バルーン24、組織刺激器26及び被験者の膵臓30に埋め込み可能な膵臓刺激器28を含む。摂食センサ22による摂食の検出に応答して、制御ユニット20は、食欲を減退させるように迷走神経または腸管神経系(ENS)を刺激するために組織刺激器26を駆動し、かつ(または)インスリン生成を調節しかつ(または)その他の方法で血糖値を調整するように膵臓β細胞を刺激するために膵臓刺激器28を駆動する。(点線31は上部胃腸管及び膵臓の迷走神経支配を象徴的に表している)。本発明の一部の実施態様は神経細胞に刺激を与える組織刺激器26に関して説明されているが、本発明の範囲は筋肉組織に刺激を与えるための駆動刺激器26も含む。
【0107】
制御ユニット20は、一般に、デューティサイクル(例えば1日の動作時間数及び(または)タイミング)、信号周波数及び信号振幅など様々な信号パラメータの較正または断続的最適化を可能にするために埋め込み後に外部的にプログラム可能である。同様に、外部プログラミングは一般に制御ユニット20の様々な動作モードのスケジューリングの制御を可能にする(例えば、血糖管理、満腹感誘発及び蠕動または移動性運動コンプレックス(MMC)の誘発)。
【0108】
本発明の1つの実施態様において、膵臓刺激器28は1つまたはそれ以上の膵臓用電極32及び電極を接続する少なくとも1本のリード線34を含む。電極は膵臓30の膵管、一般には主膵管36の中へ挿入されるのに適する。一般に、膵臓刺激器28は内視鏡(図には示されていない)を用いて主膵管36に埋め込まれる。内視鏡は被験者の口、胃38及び十二指腸40を通って主膵管36まで通される。一般に、膵臓刺激器28は約1つから約4つまでの電極など約1つから約10個までの電極を含む。一般に、電極32はリング電極を含む。一部の応用の場合、各リング電極はリング電極の周りに配置される複数の例えば2つから4つまでの導電性セグメントを含む。一部の応用の場合、制御ユニット20は約0.5から約3Hzまでの周波数を有する電流を与えるために膵臓用電極32を駆動するのに適する。一部の応用の場合、膵臓用電極32はステンレス鋼316L、チタンまたは純金など膵液の高PHによる損傷に強い材料を含む。
【0109】
1つの実施態様において、制御ユニット20は、長時間、電極32のうち1つまたはそれ以上から送られる全正電流と全負電流のバランスを保つ。従って、例えば、約15分の間または約12時間の間、電極の少なくとも1つから送られるネット電流はゼロである。一部の応用の場合、このような電荷バランスは非平衡化電荷によって誘発される可能性のあるPHの変化を最小限に抑える。
【0110】
一部の応用の場合、制御ユニット20は電極を循環することによってなど所定の時点に電極32の一部のみを駆動するのに適する。任意の1つの電極によるこの種の非一定の刺激は一般に膵臓β細胞の過労の危険を減少する。一部の応用の場合、制御ユニット20は1組のワイヤを通じて電極の全てに多重化信号を送ることによって電極の一部のみを駆動する。例えば、制御ユニットは時分割、周波数分割またはデジタル多重化を使用することができる。この種の多重化を可能にするために、各電極は一般に制御ユニット20によって発せられる信号がこの電極によって電極付近の膵臓組織に電流を与えさせるためのものであるか否かを解釈するマクロチップを含む。
【0111】
1つの実施態様において、膵臓用電極32の挿入によって生じる膵臓の不安定化に対抗するために被験者にある物質が投与される。例えば、この物質は、PH、酵素及び(または)ホルモンを安定化させることができる。一部の応用の場合、物質は錠剤の形で投与され、他の応用の場合、膵臓用電極32が物質でコーティングされる。その代わりに、物質はバルーン24の中に貯蔵され、バルーンに結合されるチューブを通じて膵管の中へ駆動されるまたは受動的に移行される。
【0112】
次に本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓電極32の形態の断面略図である図2A−Cを参照する。これらの実施態様において、膵臓用電極32は、主膵管36を通る膵液の流れを実質的に阻止しないリング電極を含む。図2Aにおいて示される実施態様において、膵臓用電極32は2つの電気接点50を含み、そのうちの一方は陰極として作用し、他方は陽極として作用する。一部の応用の場合、接点50は各々間欠的に陰極として作用しかつ間欠的に陽極として作用する。図2Bに示される実施態様において、電極は4つの電気接点50を含み、そのうち2つは一般に陰極として作用し、他のものは陽極として作用する。一部の応用の場合、接点50の各々は間欠的に陰極として作用し、かつ間欠的に陽極として作用する。他の応用の場合、膵臓用電極32は3つの接点またはもっと多くの接点例えば5つから10までの接点を含む(この形態は図に示されていない)。1つの実施態様において、制御ユニット20は接点のうち3つまたはそれ以上または全部に個別にアドレス指定可能である。
【0113】
一般に、各接点50は電気絶縁材52を含み、電機絶縁材は例えばシリコンを含むことができる。膵臓用電極32はさらに非導電性構造支持材54を含み、支持材はたとえば織りメッシュなどメッシュを含む。図2Cは側面から見た場合の膵臓用電極32の断面図を示している。図から判る通り、接点50及び絶縁材52はこの実施態様において主膵管の中へ僅かに突き出す。
【0114】
図3A−Cは本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極32の付加的形態の断面略図を示している。これらの形態は、接点50及び絶縁材52が支持材54から内側にではなく外側に突き出す点を除いて図2A−Cを参照して上に説明されるものと同様である。その結果、接点50及び絶縁材52は図3Cに示される通り主膵管36の壁の中へ僅かに押し入って、図2A−Cに示される形態におけるより膵管開口の断面積を大きくする。本発明の1つの実施態様において、膵臓用電極32は、電極を開いて接点を膵管の中へ押し込むように構成される冠状ステントと同様の拡張可能なステントを含む。その代わりにまたはそれに加えて、バルーンまたはその他のツールが電極へ挿入され、電極を開くために膨らまされまたは拡張され、その後電極から取り外される。
【0115】
図4は、本発明の1つの実施態様に従った膵臓用電極32の2接点形態によって生成される膵臓30の断面で示される仮説的電流60の略図である。
【0116】
図5を参照すると、本発明の1つの実施態様に従った膵臓刺激器28の形態の略図が示されている。この実施態様において、図に示される通り隣接する電極間にまたは非隣接の電極間に電流70が生じる(必ずしも同時でなくてもよい)ように、交互の膵臓用電極32は、各々単一の陰極または陽極を含む(図においては文字C及びAで示される)。膵臓用電極32は一般にリング電極であり、必要な変更を加えて図2A−Cまたは3A−Cを参照して上に説明される通りこれを構成することができる。電極32の各々は1つまたはそれ以上の接点を含み、接点は一般に内側で絶縁される。
【0117】
再び図1を参照する。一部の応用の場合、制御ユニット20は胃内バルーン24内部に配置されるのに適する。その代わりに、制御ユニットは腹部の他の場所に埋め込まれるのにまたは被験者の体外に配置されるのに適する。制御ユニット20は一般にマイクロプロセッサ80及び電源82を含む。電源は一般にバッテリを含み、バッテリは、一部の応用の場合、被験者の体外の電源から誘導充電されるのに適する。
【0118】
本発明の1つの実施態様において、システム10は胃38の中に配置されるのに適する1つまたはそれ以上の胃用電極84を含む。一部の応用の場合、胃用電極84は胃内バルーン24(図に示される通り)の表面に結合されるが、他の応用の場合、胃用電極84は胃壁に埋め込まれる(図には示されていない形態)のに適する。
【0119】
本発明の1つの実施態様において、摂食センサ22は胃38の中に配置されるのに適する。一部の応用の場合、摂食センサ22は被験者による摂食を示す胃壁の電気活性を検知するように構成される1つまたはそれ以上の胃用電極84を含む。
【0120】
本発明の1つの実施態様において、制御ユニット20は胃38を通じて迷走神経またはENSを刺激するために胃用電極84を駆動するのに適する。この刺激のために、制御ユニット20は約10から約15Hzまで例えば約12Hzなど一般に約6から約30Hzまでの周波数を有する電流を与えるために電極84を駆動するのに適する。
【0121】
本発明の1つの実施態様において、摂食センサ22は胃内バルーン24に組み込まれる。一部の応用の場合、摂食センサ22の胃用電極84は上述の通りバルーンの表面に固定される。その代わりにまたはそれに加えて、摂食センサ22は被験者による摂食を指示する胃38の中の圧力の変化を検知するのに適する圧力センサ86を含む。一部の応用の場合、圧力センサ86はバルーン外部に配置され、胃の中の圧力を直接検知するのに適する。他の応用の場合、圧力センサ86はバルーンの中に配置され、胃の中の圧力を指示するバルーンの中の圧力を検知するのに適する。1つの実施態様において、摂食センサ22は患者の体内に埋め込まれるまたは体外に配置される血糖センサを含む。後者の場合、血糖センサは一般に(必ずしもそうでなくて良いが)制御ユニット20と無線通信する。
【0122】
本発明の1つの実施態様において、組織刺激器26は十二指腸40の内腔など被験者の胃腸(GI)の内腔に配置されて迷走神経またはENSと感応する胃腸管の壁の組織を刺激するのに適する1つまたはそれ以上の腸用電極90を含む。一部の応用の場合、腸用電極は十二指腸の壁に接して配置されるのに対して、他の応用の場合、腸用電極は十二指腸の壁に埋め込まれる。一部の応用の場合、制御ユニットは、約10から約20Hzまでの周波数を有する電流を与えるために腸用電極90を駆動するように構成される。一部の応用の場合、制御ユニットは複数のパルスを含むように電流を構成し、パルス幅対周波数の比が1000ms/Hz未満になるようにパルスの周波数とパルス幅を設定する。例えば、それぞれ下記のパルス幅と周波数がこの条件を満たす:(a)90msと0.1Hz、(b)9msと0.1Hz、(c)9msと1Hz、(d)5msと1Hz、(e)5msと3Hz。一部の応用の場合、組織刺激器26は、「背景技術」の項で説明した迷走神経関係の特許または特許出願公示のうち1つまたはそれ以上において説明される技法を利用する。一部の応用の場合、システム10は胃用電極84及び腸用電極90の両方を用いて迷走神経またはENSを刺激するのに適する。
【0123】
図6Aを参照すると、本発明の1つの実施態様に従った組織刺激器26の電極90の形態の略図が示されている。この実施態様において、電極90は弾力があり、十二指腸40の内腔の壁に接して配置されるのに適する。一部の応用の場合、組織刺激器26は電極を所定の場所へ押し込むために拡張するのに適するステントを含む。このステントは一般に一時的であるのに適する。例えば、ステントは溶解可能または取り除き可能である。
【0124】
図6Bは本発明の別の実施態様に従った組織刺激器26の略図である。この実施態様において、電極90は、非圧縮時の外径が少なくとも十二指腸40の内径であることによって十二指腸壁に接して所定の場所に保持される1つまたはそれ以上の螺旋形電極例えば電極94及び96を含む。その代わりにまたはそれに加えて、後に生じる多少の線維形成は、一般に十二指腸の直径が増大しても電極を所定の場所に保持するのに充分である。一部の応用の場合、電極90または本明細書において説明されるその他の電極は、縫合、ステープル、フックまたは電極埋め込み技術において既知のその他の固定装置を用いて所定の場所に固定される。
【0125】
1つの実施態様において、電極94及び96は個々にアドレス指定可能であり、絶縁体98によって電気的に分離される(図に示される通り)、または物理的に別個のユニットとして製造される(図には示されない形態)。
【0126】
図6Cは本発明のさらに別の実施態様に従った組織刺激器26の略図である。この実施態様において、電極90はステント100の外面に配置される1つまたはそれ以上のリング電極101を含む。その代わりにまたはそれに加えて、ステントの本体は電極として作用する。ステントのサイズは、患者の十二指腸に嵌まりかつリング電極と十二指腸壁との間の確実な電気接点となるように定められる。
【0127】
再び図1を参照する。胃内バルーン24は、食物貯蔵に使用できる胃の容積を減少しそれによって被験者の食欲を減退させるために胃38の中で膨らまされるのに適する。本発明の1つの実施態様において、胃内バルーン24は、「背景技術」の項において説明される胃内バルーン関係の特許または特許出願公示のうちの1つまたはそれ以上において説明される技法を用いて実現される。一部の応用の場合、胃内バルーン24は、これが胃38の中へ挿入された後一定に膨張したままであるのに適する。その代わりに、バルーンは、摂食または摂食停止の検出に応答するなどバルーンが胃の中へ挿入された後に形状及び(または)サイズを変えるのに適する。1つの実施態様において、システム10は、胃内バルーン24の代わりにまたはそれに加えて、上記の米国特許第5,868,141号(US−5,868,141)において説明される内視鏡式胃用挿入物を含む。
【0128】
1つの実施態様において、上に一般的に説明される通り、2つの膵臓用電極32の間の隣接する組織へ及び(または)2つの胃用電極84の間の隣接する組織へ及び(または)2つの腸用電極90の間の隣接する組織へ電流が送られる。その代わりにまたはそれに加えて、一般に電極32のうちの1つと電極84のうちの1つとの間の組織を通り抜けるようにこれらの電極の間に電流が送られる。さらにその代わりにまたはそれに加えて、一般に電極32のうちの1つと電極90のうちの1つとの間の組織を通り抜けるようにこれらの電極の間に電流が送られる。さらにその代わりにまたはそれに加えて、一般に電極84のうちの1つと電極90のうちの1つとの間の組織を通り抜けるようにこれらの電極の間に電流が送られる。
【0129】
上に説明される通り、一部の応用の場合、被験者の摂食が検出され、これに応答して被験者の組織の中へ電流が送られる。その代わりにまたはそれに加えて、技術上既知の埋め込みまたは外部血糖センサを用いて血糖検知に応答して電流が送られる。
【0130】
図7は、本発明の1つの実施態様に従った、迷走神経の活動、ENSの活動、膵臓内分泌の活動、膵臓外分泌の活動及び(または)胃腸管の活動を調節するための刺激器の略図である。図7を参照して下に説明する技法を、図1を参照して上に説明した技法と適宜組み合わせて実施することができる。例えば電極122、124、126、128、130及び(または)132を含む1つまたはそれ以上の電極のセット120は一般に十二指腸内に配置される、またはこれに結合される。一部の応用の場合、電極のうち1つまたはそれ以上(例えば、電極122)は胃38の内部に配置される。その代わりにまたはそれに加えて、電極のうち1つまたはそれ以上(例えば電極132)は十二指腸空腸曲102などもっと遠位に配置される。電極セット120の電極は図6を参照して説明される電極またはその代わりに胃腸管の様々な部位に配置するための技術上既知の電極を含むことができる。
【0131】
1つの実施態様において、電極セット120の電極のうち2つまたはそれ以上は制御ユニット20に結合される(図には胃の中に示されているが、その代わりに、十二指腸の中、粘膜下または腹膜内にこれを配置することができる)。制御ユニット20は、膵臓による物質(例えば、インスリン、グルカゴンまたは膵液)の分泌を調節することによって膵臓の活動を調整する信号を発するために電極を駆動する。その代わりに信号は膵臓の別の活動を調節する。一部の応用の場合、電極セット120の電極は十二指腸40内部における設置位置に基づいて膵臓の活動を調節するように選択される。例えば、電極122と電極132との間に電流を送るまたは電界を生成することができる。他の選択肢としては下の表IにおいてXの印が付けられるものがある。
【表1】

【0132】
発明者は、膵臓組織のかなりの部分によって分離される2つの電極(すなわち電極を接続する直線は膵臓を通過する)の間に電流または電界を生成することによって、組織に対するこの電流または電界の効果は2つの近接する電極間に電流または電界が生成される場合より一般に大きいと言う仮説を立てた。
【0133】
一部の応用の場合、例えば満腹感を誘発する応用の場合、2つの電極の付近の迷走神経の枝におけるENSの活動または迷走神経の活動を調節するために、表Iにおいて“0”の印が付けられた2つの電極の間に電流または電界が生成される。1つの実施態様において、約3から約50Hzまで例えば約3から約20Hzまでの間の電流または電界が与えられる。その代わりにまたはそれに加えて、Wernicke他に対する米国特許第5,188,104号(US−5,188,104)において説明される技法及び(または)信号パラメータが本発明のこれらの応用を実施するために使用される、または使用されるのに適する。
【0134】
表Iは膵臓、ENSまたは迷走神経の活動を調節するために有効なプロトコルとして理解すべきものである。本明細書においてまたは「背景技術」の項において言及される参照文献において説明される神経及び膵臓刺激パラメータは、本明細書において説明される他の技法と組み合わされると、表Iの教示全体に従わずに応用されても一般的に言って効果的である。
【0135】
1つの実施態様において、神経活動(例えば、迷走神経活動またはENS活動)を調節することが望まれるか否かまたは膵臓活動を調節することが望まれるか否かに応じて電極セット120の様々なサブセットが活性化される。例えば、いつENSまたは迷走神経活動を調節すべきかまたいつ膵臓活動を調節すべきかを決定するために固定スケジュールまたは患者の摂食または血糖値の検知に基づくスケジュールを使用することができる。一部の患者においては、膵臓及び神経活動は同時に調節される。その代わりに、特定の患者において、刺激器は神経活動を調節するように構成され、実質的には膵臓活動を直接調節するようには構成されない。または膵臓活動を調節するように構成され、実質的には神経活動を直接調節するようには構成されない。
【0136】
一般に、電極セット120は内視鏡を用いて埋め込まれる。内視鏡を胃腸管の内壁に(図に示される通り)、胃腸管の組織内にまたは十二指腸から突き出してまたはその付近に配置することができる。その代わりにまたはそれに加えて、電極のうち1つまたはそれ以上(例えば、電極132)を十二指腸40内部から通して膵臓30と接触させるまたはこれを貫通させる。その代わりにまたはそれに加えて、電極セット120の電極の一部または全部が腹腔鏡を用いて埋め込まれる。例えば、電極を胃腸管の内壁に(図に示される通り)、胃腸管の組織内部にまたは十二指腸から突き出してまたはその付近に配置することができる。その代わりにまたはそれに加えて、腹腔鏡を用いて電極のうち1つまたはそれ以上は膵臓30と接してまたは膵臓30を貫通するように配置される。
【0137】
電極は患者に応じて慢性的または急性的に使用するためのものとすることができる。一部の応用の場合、電極は十二指腸と慢性的にまたは急性的に接触して配置されるチューブに結合される。1つの実施態様において、チューブは治療後例えば2週間から1年までの後に取り外される。1つの実施態様において、本明細書において説明される技法は、上記のLevineの米国特許出願公示第2005/0085923号(参照により本明細書に組み込まれる)において説明される技法と組み合わされる。例えば、電極セット120をLevineの公示において説明されるようなスリーブまたはその他の装置に固定することができる。本発明の一部の実施態様において、Levineにおいて説明されるスリーブまたはその他の装置は患者血流への食品カロリーの吸収を減少するのに適する(Levineにおいて説明される通り)。その代わりに、スリーブはこれには適さず、代わりに電極セット120の構造支持材となる。
【0138】
スリーブが電極を取り付けるために配備される実施態様並びにこの種のスリーブが配備されない実施態様において、電極セット120は一般に十二指腸40に沿って縦に配置される。その代わりに、1つまたはそれ以上の電極は胃腸管の単一の縦部位にのみ配置される。一部の応用の場合、複数の電極またはリング電極は各縦部位に配置される。
【0139】
1つの実施態様において、電極セット120を通じて与えられる信号は、例えば(a)分泌、(b)活動レベルまたは(c)胆汁または膵液など消化液の中の酵素またはその他の成分の破壊速度、を調節することによって、膵臓の外分泌活動を調節するように構成される。(a)、(b)及び(または)(c)の調節は、消化に対する消化液の効果を調節する。一部の応用の場合、胆汁の分泌を減少するために、1つまたはそれ以上の電極は胆管内部にまたは肝臓にまたはその付近に配置される。その代わりにまたはそれに加えて、1つまたはそれ以上の電極は胆管または膵管の中またはこれに隣接して配置され、胆汁または膵液中の酵素を破壊するまたは酵素の少なくとも一部を非活性化させる電界を与えるために駆動される。例えば、電界を酵素のうち1つの共鳴周波数に同調させて、酵素の構造の熱関係の変化を生じることができる。さらにそれに代わってまたはそれに加えて、十二指腸内部のまたはこれに結合される1つまたはそれ以上の電極は、例えば酵素の一部の振動レベルを増大しそれによって基質を酵素の活性部に一過性に結合するのを抑制することによって、触媒作用で生化学反応を起こすための酵素の能力を破壊する電界を与えるために駆動される。
【0140】
従って、一部の応用の場合、十二指腸の中の部分的に消化された食物の分解をより非効率的にし、それによって食物からの体のカロリー吸収を減少するために、消化液の効果が減少させられる。必要に応じて、十二指腸を通る部分的に消化した食物の通過速度を増すために本明細書において説明される他の実施態様と一緒にこの実施態様を実施することができる。
【0141】
一部の応用の場合、制御ユニット20は、GLP−1及び(または)コレシストキン(CCK)の血中レベルを上げることによって満腹感を誘発するように構成される信号を十二指腸40へ与えるために電極セット120を駆動する。
【0142】
1つの実施態様において、電極セット120は、吸収可能な食物カロリーが十二指腸に滞在する時間を短くするために、十二指腸において移動性運動コンプレックス(MMC)または1つまたはそれ以上の蠕動波を誘発するように構成される。このようにして、そうでなければ十二指腸を通じて血流に吸収されたであろう食物カロリー少なくとも一部が胃腸管を通過し、便となる。必要に応じて、十二指腸を刺激するためにSun他の上記の論文において説明される技法をこの実施態様において使用するために適応させることができる。
【0143】
例えば十二指腸からのカロリー摂取を25%、50%、75%またはほとんど100%減少するために、スケジュールに従ってMMCまたは蠕動波が誘発される。一部の応用の場合、カロリー摂取は患者の実際の体重と希望体重との間の関係に基づいて減少される。その代わりに、MMCまたは蠕動波はある動作週間中1日の十二指腸カロリー摂取全体を高い値で減少しその後の動作週間中もっと低い値でこれを減少するようなものである。さらにそれに代わって、患者の体重が多い場合本明細書において説明される技法はより集中的に実施され、患者の体重が減少するのに従い徐々に非集中的になる。
【0144】
1つの実施態様において、MMCまたは蠕動波の誘発のタイミングは、検出された食事が希望の時間の長さ(例えば1−10分)十二指腸の中に留まれるようにし、かつMMCまたは蠕動波の誘発がない場合に生じるより早期の時点で十二指腸から去るように定められる。その代わりに、MMCまたは蠕動は食事の開始の検出から予め決められたまたはプログラムされた時間後(例えば、約5−20または20−60分後)に開始される。一部の応用の場合、MMCまたは蠕動の誘発は、吸収可能な食物カロリーが十二指腸の中に存在することの指示の外に患者の血糖値に応答して開始される。
【0145】
1つの実施態様において、MMCまたは蠕動の誘発は胃内容物を十二指腸に押し出すことを可能にする幽門の開放を検出するとすぐにまたは幽門の開放から5、15、または30分以内に開始される。一般に、幽門の開放は比較的小さく(例えば数ミリメートル)、その開放は、幽門の電極によって検知される生理的電気活性の制御ユニット20による筋電図(EMG)分析によって検出される。EMGを用いて筋肉の状態の変化を識別するための技法は技術上既知である。その代わりに、加速センサ、歪みゲージまたは超音波センサなど幽門の開放及び閉鎖を検知するのに適するその他のセンサを使用することができる。
【0146】
その代わりにまたはそれに加えて、MMCまたは蠕動の誘発は十二指腸の分節(segmentation)発生の検出に応答して開始される。誘発されたMMCまたは蠕動は、一般に分節プロセスを終了させる。一部の応用の場合、分節は、電極セット120によって測定され制御ユニット20によって分析される十二指腸に沿った電気活性のパターンに応答して検出される。分節に関連付けられる電気活性は蠕動と関連付けられる電気活性と著しく異なるが、特定の患者において分節と蠕動を区別するための制御ユニット20の能力を最適化するために各患者ごとに6−24または24−72時間の較正ピリオドを設けることができる。その代わりに、ある患者の分節及び蠕動に関連付けられる予めプログラムされた値が制御ユニット20に組み込まれる。
【0147】
1つの実施態様において、分節の開始を識別するための電気活性を検知する代わりにまたはそれに加えて、加速センサ、歪みゲージまたは超音波センサなど他のセンサが十二指腸において使用される。上に説明したとおり、これらのセンサは分節のプロセスがいつ開始されたかを識別する。使用されるセンサのタイプに関係なく、これらの実施態様において、分節の検出は、分節によって生じる食物カロリーの吸収強化を最小限に抑えるためにMMCまたは蠕動の誘発を開始するための引き金として作用する。
【0148】
その代わりに、MMCまたは蠕動の誘発はどのような事象の検知にも応答しないで実施される。例えば、MMCまたは蠕動を、毎日1回またはそれ以上のピリオド(例えば午前5時から午後2時まで及び午後4時から8時まで、または患者の知らない擬似ランダムピリオド)に20分ずつまたは30分毎に5分間人工的に開始することができる。1つの実施態様において、MMCまたは蠕動の誘発は患者が眠っているときには抑制される。
【0149】
1つの実施態様において、十二指腸筋組織を収縮させて十二指腸の内容物が遠位に動くようにするために電極セット120の連続的電極を順次活性化することによって蠕動が誘発される。別の実施態様において、比較的小さい一般には十二指腸の近位領域内に配置される少数の電極が活性化され、これが十二指腸の「ペース」を定めて、蠕動波を誘発する。一般に、ペース速度は蠕動波の生理的速度より約5%から約50%まで速い。
【0150】
一部の応用の場合、十二指腸に約5mmを超える(例えば約2mmを超えるまたは約7mmを超える)間隔を置いて配置される電極は、その電極間距離のために十二指腸の内側の環状筋層を貫通しかつ十二指腸の外側の縦走筋層においてかなりの興奮効果を持つ電流を電極間に与えるために駆動される。縦走筋層は主に蠕動の原因となり、環状筋層は主に十二指腸内容物と消化液の混合の原因となるので、このような電極の配置は十二指腸内容物の混合強化より蠕動強化に有利である傾向があるので(もっと近接して配置される電極の場合に得られる結果に比べて)、それによってカロリー吸収を抑制する。
【0151】
その代わりにまたはそれに加えて、十二指腸に約5mm未満(例えば約2mm未満または約4mm未満)の間隔で配置される電極は、その電極間の距離のためにほとんど十二指腸の内側の環状筋層内に留まり、かつもっと間隔の大きい電極の場合に得られるより十二指腸の外側の縦走筋層に対する効果が小さい電流を電極の間に与えるために駆動される。一般に、この電流は、技術上既知の信号プロトコルを用いて筋肉収縮を抑制し、それによって十二指腸内容物の混合レベルを下げてカロリー吸収を減少するように構成される。
【0152】
1つの実施態様において、本明細書において説明される技法は、胃内容物排出を遅延させて満腹感を増大するために、Liu他の上記の論文(2005)において説明される技法と組み合わされる。
【0153】
図8は本発明の1つの実施態様に従ったラットの十二指腸の養分の流れに対する腸電気刺激の効果を調査するための実験構成200の略図である。ラットは各々イソフルランで麻酔が掛けられ、腹部が中央開腹によって開けられた。第一のカニューレ210は幽門214を通じて十二指腸の近位部212の中に約1cm挿入され、ラット体外に配置される水容器216に接続された。十二指腸からの排出を収集して測定(計量)するために第二のカニューレ216が十二指腸の遠位部218の中へ挿入され、チューブ220(エッペンドルフAG)に接続された。2つのカニューレの間の十二指腸の部分の長さは約7cmであった。幽門214を越えて十二指腸の中に第一のカニューレ210を配置することによって、幽門または胃内容物排出に対して電気刺激が与えたであろう効果を受けずに十二指腸を通る流れを測定することができた。2つの心臓ペーシングワイヤ電極222が幽門から約1cmの十二指腸の近位部212の周りに約5−10mm離して配置された。
【0154】
図9は、本発明の1つの実施態様に従った図8を参照して上に説明される構成を用いて5匹のラットに対して行われた実験において得られた実験結果を示すグラフである。グラフは5匹のラットから得られた平均結果を表している。約4分に開始され約30分に終了する対照ピリオド中、容器216からの水が一定速度で第一のカニューレ210の中へポンプで送られた。グラフから判る通り、第二のカニューレ216を通じて十二指腸から出て行く正規化された流れはこの対照ピリオド中安定していた。約30分から始まり約60分に終了する刺激ピリオド中、引き続き同じ一定速度で第一のカニューレの中へ水が送られ、4秒ごとに1回500msの間十二指腸へ二相電気信号を与えるために電極222が駆動された。信号の位相時間は7msであり、単相振幅は3−5mA(すなわち6−10mA頂点振幅)、周波数は30Hzである。グラフから判る通り、電気刺激中十二指腸から出て行く流れは対照ピリオド中より約40%多かった。
【0155】
図10は本発明の1つの実施態様に従ったラットの胃内容物排出に対する腸電気刺激の効果を調査するための実験構成250の略図である。ラットの各々はイソフルランで麻酔を掛けられ、腹部は中央開腹によって開けられた。第一のカニューレ260はラットの胃262の中へ挿入され、幽門263から約5−10mmに配置される。カニューレはラットの体外に配置される水容器264に接続された。第二のカニューレ266は十二指腸の遠位部268の中へ挿入され、十二指腸からの排出物を収集し測定(計量)するためにチューブ(エッペンドルフAG)に接続された。2つの心臓ペーシングワイヤ電極272は幽門263から約1cmの十二指腸の近位部212の周りに約5−10mm離して配置された。
【0156】
図11は、本発明の1つの実施態様によれば図10を参照して上に説明される構成を用いて3匹のラットに対して行われた実験から得られた実験結果を示すグラフである。グラフは3匹のラットに対して5回反復して行われた実験中に測定された平均結果を表す。約4分に開始され約30分に終了する対照ピリオド及び約60分に開始され約90分に終了する第二の対照ピリオド中、容器246からの水が一定速度で第一のカニューレ260の中へポンプで送られた。グラフから判る通り、第二のカニューレ266を通じて十二指腸から出て行く正規化された流れは第一の対照ピリオド中安定しており、かつ第二の対照ピリオド中ほぼ安定していた。約30分に始まり約60分に終了する刺激ピリオド中、引き続き同じ一定速度で第一のカニューレの中へ水が送られ、4秒ごとに1回500msの間十二指腸へ二相電気信号を与えるために電極272が駆動された。信号の位相時間は3−5msであり、振幅は3−5mA、周波数は30Hzである。グラフから判る通り、最初の5分の電気刺激中十二指腸から出て行く流れは第一の対照ピリオド中の流れより約85%低く、刺激ピリオド中を通じて抑制されたままであり、胃内容物排出が刺激によって実質的に減少したことを示した。発明者は、この胃内容物排出の遅延は十二指腸の電気刺激のために幽門が閉じたことを直接の原因とすると言う仮説を立てた。
【0157】
図12は、本発明の1つの実施態様によれば図10を参照して上に説明される構成を用いて5匹のラットに対して行われた実験において得られた実験結果を示すグラフである。この実験は、図11を参照して上に説明された実験において使用されたのと同じ構成及び刺激パラメータを用いて実施された。グラフから判る通り、短い刺激ピリオド(その各々の時間は5分である)は胃内容物排出を遅延させた。さらに、各刺激ピリオド後電気信号が停止すると、基準胃内容物排出が急速に回復された。これらの結果は、十二指腸電気刺激は胃内容物排出を厳密に制御したこと、かつ減少した胃内容物排出は充分に可逆的であるように思われることを示している。
【0158】
本発明の1つの実施態様において、幽門を閉鎖することによって胃内容物排出の急性遅延を誘発するために本明細書において説明される技法を用いるなどして腸電気刺激が与えられる。この種の胃内容物排出の遅延は一般的に行って食事中満腹感を誘発し、従って肥満患者の摂食を減らして、その結果体重を減らすのに役立つ。
【0159】
図13は、本発明の1つの実施態様に従ったラットの養分吸収に対する腸電気刺激の効果を調査する実験において得られた実験結果を示すグラフである。この実験は3回行われた。各々の実験において、第一のラットは十二指腸電気刺激を受け、第二のラットは対照として機能した。グラフは3匹の刺激を受けたラット及び3匹の対照ラットについての平均結果を表している。刺激ラットの各々はイソフルランによって麻酔を掛けられ、腹部が中央開腹によって開かれた。2つの心臓ペーシングワイヤ電極が幽門から約1cmの十二指腸の近位の周りに約5−10mm離して配置された。対照ラットには電極が埋め込まれなかった。尾から血液サンプルが採取され、血糖値計(Accu−check、Active、Roche)によって血糖値が測定された。
【0160】
対照ラット及び刺激ラットの両方において、60分の絶食ピリオド中、5分毎に血糖値が測定された。対照ラットにおいては60分、刺激ラットにおいては61分で、胃の中へグルコース溶液(2.5cc、50%)が注入された。刺激ラットにおいては、約60分に開始され約90分に終了する刺激ピリオド中、4秒ごとに1回500msの間十二指腸に二相電気信号を与えるために電極が駆動された。信号の位相時間は7ms、振幅は3−5mA、周波数は30Hzであった。約60分から約120分までの間2.5分毎にまたその後もっと長い間隔で全てのラットにおいて血糖値が測定された。
【0161】
グラフから判る通り、最初の60分の絶食ピリオド中の血糖値は対照ラットにおいても刺激ラットにおいても安定していた。胃の中へグルコース溶液を注入すると対照ラットにおいては急激に血糖値が増大し始めた。注入から約50分後に血糖値はピークに達し、その後対照レベルへ向かって緩慢に減少した。刺激ラットにおいては、注入後、対照ラットに比べて血糖値はもっと緩慢に増大し、もっと低いピークに達した。グルコースの吸収総量に関係する曲線下の面積(すなわち、各曲線と60分絶食ピリオド中決定された正規化基準線との間の面積)は刺激ラットにおいては対照ラットにおけるより約66%小さかった。発明者は、このグルコース吸収における電気刺激誘導減少は、図8−12を参照して上で立証されるとおり胃内容物排出の遅延及び腸内の流れの増大によって生じると言う仮説を立てた。その代わりにまたはそれに加えて、電気刺激は別の経路を通じてグルコース吸収の減少を誘発する。
【0162】
2型糖尿病のほとんどは、末梢組織からのインスリンの要求増大に応じてβ細胞がインスリン分泌を増大しないことに関連する。第一段階インスリン分泌の減少は、絶対グルコース濃度の著しい変化が明らかになる前に現れるβ細胞機能不全の初期マーカーであることは知られている。糖耐性の障害(IGT)を持つ人間の被験者の研究は、インスリン分泌の量的及び質的測定における複数の異常を立証している。これらの異常の中で、第一段階インスリン分泌は著しく減少する。この第一段階分泌の減少ゆえに、2型糖尿病は、血糖が末梢細胞に入るのを助けるために必要な血中インスリンレベルの急激な増大を生じないことがしばしばある。
【0163】
本発明の1つの実施態様において、腸電気刺激は、胃内容物排出の遅延を誘発するために本明細書において説明される刺激法を用いるなどして与えられる。胃内容物排出の図13を参照して上に説明される通りその結果として生じる血糖値の上昇の遅延及び(または)減速は、たとえ第一段階のインスリン分泌がなくても、インスリン分泌の第二段階が血糖値安定性を得られるようにする。その結果として、糖尿病患者がしばしば経験する食後の大きな血糖値変動が減少する。一部の応用の場合、この種の刺激は、被験者による摂食の検出時にまたは摂食の検出からある遅延後、与えられる。
【0164】
本発明の1つの実施態様において、1つまたはそれ以上の電極が胃腸管から通して迷走神経に結合される内視鏡手術方法が提供される。一般に(必ずしもそうではないが)、1つまたはそれ以上の電極は一般に神経カフ(例えば、技術上既知の通り)として組み立てられる。内視鏡処置中、電極は一般に胃の切開から通されて、後部迷走神経幹など膵臓30と感応する迷走神経の部分の周りに配置される。必要に応じて、Kalloo他の上記の論文において説明される技法を、電極と迷走神経の結合を容易にするように適合させることができる。
【0165】
一部の応用の場合、制御ユニット20は胃の中に留まり、迷走神経上の電極に無線で結合される、または胃腸管の壁を貫通するワイヤを通じて結合される。その代わりに、制御ユニットは胃の切開を通されて腹膜に埋め込まれる。制御ユニットは一般にインスリン生成を調節するために動作電位が膵臓に向かって伝わるようにするために電極を駆動する。その代わりにまたはそれに加えて、制御ユニットは血糖値上昇を示す自然の膵臓生成信号を刺激し、それによって脳が自然の血糖値減少メカニズムを呼び起こすようにするために、動作電位が脳に向かって伝わるようにするために電極を駆動する。いずれの場合にも、制御ユニットは、一般に摂食を指示するかつ(または)血糖値の上昇を指示する信号に応答して電極を駆動する。膵臓に向かってまたはこれから離れるように伝える動作電位は一般に約3から約50Hzまで例えば約3から約20Hzまでまたは約10から約20Hzまでの電流または電界によって誘発される。それに代わってまたはそれに加えて、本発明のこれらの応用を実行する際に、(a)Wernicke他に対する米国特許第5,188,104号(US−5,188,104号)、(b)Cohen他に対する米国特許第6,684,105号(US−6,684,105)または(c)Cohen他に対するPCT特許公示第WO 03/018118号またはその国内段階における米国特許出願第10/488,334号(全て参照により本明細書に組み込まれる)において説明される技法及び(または)信号パラメータが使用される、または使用に適する。
【0166】
図14は本発明の1つの実施態様によればラットに対して行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。ラットの自然位の膵臓は調整された濃度のグルコース溶液で灌流された。門脈から採取されたサンプルに基づいて数分毎に血中インスリンレベルが測定された。2つのリング電極が十二指腸の周りに図7の電極124及び130の位置にほぼ対応する位置に配置される。図14に示される実験において、電極を通じて十二指腸には信号が与えられなかった。灌流液のグルコース濃度は第一のピリオドにおける5.6mMから第二ピリオドにおける16.7mMへ変動され、第三ピリオドにおいて5.6mMに戻された。各ピリオドは20分続く。第一及び第三のピリオド中の血中インスリンレベルは上昇しないままであり、第二のピリオド中上昇して特徴的な第一及び第二段階のインスリン反応を示した。
【0167】
図15は本発明の1つの実施態様によれば異なるラットに対して行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。各々約15分続く3つの連続セッションの各々において、無信号ピリオドの後に信号ピリオドが続く。各信号ピリオド中のピークインスリンレベルはどの無信号ピリオドにおいて測定された最高インスリンレベルより高いことがわかる。これらのセッション中与えられた信号は下記の通りであった:
セッション1−2.3mA、15Hz
セッション2−5mA、15Hz、約5分後に8mA、15Hz
セッション3−8mA、30Hz
【0168】
図16は本発明の1つの実施態様によればさらに異なるラットに対して行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。約1.3時間続く実験中、2つの対照(無信号)ピリオドの後に信号ピリオドが続き、このピリオドにおいてインスリンレベルが大幅に上昇した。第二の信号ピリオドの後の最終対照ピリオドは第二の信号ピリオドにおけるインスリンレベルに比べてインスリンレベル低下を示した。2つの信号ピリオド中の信号パラメータはそれぞれ(i)5−8mA,30Hz及び(ii)3mA、30Hzであった。
【0169】
これらの実験の各々において、信号は、(a)1秒間信号を与え、かつ(b)44秒間信号を控える、と言う反復的サイクルで与えられる。
【0170】
図17は本発明の1つの実施態様に従った図16のグラフに示されるデータの分析を示す棒グラフである。両方の信号ピリオド中の血中インスリンレベルは対照ピリオド中のものより大幅に高いことがわかる。
【0171】
本発明の1つの実施態様において、両方の電極が組織の中に入りリード線の遠位先端が組織から出てくるまで2つまたはそれ以上の独立的にアドレス可能な電極を含むリード線が腹腔鏡または内視鏡を用いて十二指腸壁の組織の中へ挿入される、という電極を埋め込むための方法が提供される。一般に(ただし、必ずしもそうである必要はない)、リード線の1つまたはそれ以上の部位における縫合は組織における所定の位置にリード線を保持する。その代わりに、リード線の繊維症誘発部はその部分に繊維症を生じ、それによってリード線は所定の場所に保持される。1つの実施態様において、電極は底から伸びる複数の脚を有し、脚は部分的または全面的に十二指腸壁の組織内に常駐し、部分的または全面的に壁の組織内部に電極のポジションを維持する。電極から伸びるリード線は制御ユニット20に達するために十二指腸腔を貫通する、またはその外部を通る。
【0172】
一部の応用の場合、本明細書において説明される電気インスリン調節法に加えてまたはそれに代わって、血糖値または1つまたはそれ以上の他の血液成分のレベルを管理するためにインスリンまたはその他のホルモンまたは酵素の埋め込まれたポンプまたは外部注入が利用される。
【0173】
本発明の実施態様は一般的に本明細書において肥満及び(または)糖尿業の治療に関して説明されている。発明者は、患者の肥満を治療する本発明の実施態様は直接的にまたは間接的に糖尿病も治療すると言う仮説を立てた。発明者は、また患者の糖尿病を治療する本発明の実施態様は直接的または間接的に肥満も治療するという仮説も立てた。本発明の範囲は他の病気を治療するために本明細書において説明される技法を実施することも含む。
【0174】
本発明の一部の実施態様は組織の中へ電流を送ることに関して説明されている。本発明の範囲は対応するように組織に影響を与える電界の生成を含む。例えば、ミリアンペア程度の振幅を持つ電流を送る代わりに、前記の電流の時間プロフィルと同様または同じ時間プロフィルを持つ100または1000ボルト単位の電界を生成することができる。1つの実施態様において、この種の電界は上記のLevine公示において説明されるようにスリーブに埋め込まれる電極によって生成され、電極は必ずしもこれが影響を与える組織と電気的に接触しない。
【0175】
本発明の一部の実施態様はリード線によって制御ユニットに結合される電極に関して説明されている。本発明の範囲は電極と制御ユニットの無線結合も含む。
【0176】
本発明の一部の実施態様は筋肉組織と接触するまたはこれに隣接する電極に関して説明されている。本発明の範囲は電極による直接筋肉刺激を通じてかつ(または)筋肉組織と感応するまたは電極によって生成される電界の影響を受けるのに充分に電極の近くにある神経線維(腸管神経系神経線維)の直接または間接的刺激を通じて肥満または糖尿病などの症状を治療することを含んでいる。その代わりにまたはそれに加えて、筋肉刺激及び神経刺激プロトコルに従って同時にまたは異なる時点で同じ電極を駆動することができる。
【0177】
摂食または様々な消化段階(例えば、幽門弁活動、蠕動、分節)を検出するための様々な技法が上に説明されている。必要に応じて、筋電図センサ、加速センサ、超音波センサまたは技術上既知のその他のセンサを含めて様々なセンサをこの目的にために使用でき、センサを食道、胃、心臓または幽門弁または十二指腸の中にまたはこれに隣接して配置することができる。従って、例えば、十二指腸がいつ充満するかを決定するために超音波センサを十二指腸に隣接して配置することができる。この種の決定に応答して、上に説明される肥満または糖尿病治療のうち1つまたはそれ以上を実施することができる。
【0178】
1つの実施態様において、治療装置はカプセル及びセンサを含む。センサは、カプセルがセンサの付近にあるときこれを検知するのに適する。センサは患者の胃腸管部位に隣接して埋め込まれる。患者は食事前または食事中カプセルを飲み込み、センサから小さい距離内のカプセルの通過がセンサによって検出され、肥満または糖尿病治療プロトコルの開始の引き金として使用される。一部の応用の場合、治療プロトコルは本明細書において説明される装置を用いて実施される。1つの実施態様において、カプセルは磁石を含み、センサは磁石の近接によって開くまたは閉じる磁気スウィッチを含む。その代わりに、カプセルはコイルまたは別の受動要素を含み、センサは技術上既知の技法を用いてコイルまたはその他の受動要素の近接を検出する。さらにその代わりに、カプセルは、センサが検出する低出力信号を送る能動要素を含む。
【0179】
センサが近位十二指腸に結合される応用の場合、カプセルは、消化の初期段階に幽門からの押出しを容易にするために一般に直径1または2ミリメートルより小さい。患者が取り扱い易くするために、カプセルを急速溶解外皮で取り囲むことができ、その合計直径は標準的な錠剤の直径と同様である。センサが胃に結合される応用の場合、カプセルは直径2ミリメートルより大きくてもよい。
【0180】
本発明の実施態様において、本明細書において発明されるシステムは埋め込みまたは外部血糖値センサを含み、検知された血糖値に応答して刺激が与えられるまたは刺激が調節される。一部の応用において、血糖値が正常な血糖値より高いと考えられるある閾値を超えた場合のみ刺激が与えられる。その代わりに、刺激の強さは血糖値の増大に応じて増大する。この実施態様において、システムは閉鎖フィードバックループを利用する。
【0181】
本発明の1つの実施態様において、血中コレステロールレベルを調節し、一般にLDLを減少しかつ(または)HDLを増大するために本明細書において説明される技法が使用される。一部の応用の場合、少なくとも1つの血中コレステロール成分のレベルを調節するための方法は被験者が異脂肪血症を患うことを識別するステップ、及び識別に応答してコレステロール成分レベルを調節するために本明細書において説明される技法のうち1つまたはそれ以上を使用するステップを含む。
【0182】
本発明は特に図に示され本明細書において説明されるものに限定されないことが当業者には判るだろう。本発明の範囲は本明細書において説明される様々な特徴の結合及び小結合の両方並びに以上の説明を読めば当業者が思い浮かべるであろう先行技術にない変形及び修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の1つの実施態様に従った肥満及び糖尿病を治療するためのシステムの略図である。
【図2A】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の形態の断面図である。
【図2B】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の形態の断面図である。
【図2C】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の形態の断面図である。
【図3A】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の付加的形態の断面図である。
【図3B】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の付加的形態の断面図である。
【図3C】本発明のそれぞれの実施態様に従った膵臓用電極の付加的形態の断面図である。
【図4】本発明の1つの実施態様に従った膵臓用電極の2接点形態によって生成される電界の略図である。
【図5】本発明の1つの実施態様に従った膵臓刺激器の形態の略図である。
【図6A】本発明のそれぞれの実施態様に従った組織刺激器に使用するための電極形態の略図である。
【図6B】本発明のそれぞれの実施態様に従った組織刺激器に使用するための電極形態の略図である。
【図6C】本発明のそれぞれの実施態様に従った組織刺激器に使用するための電極形態の略図である。
【図7】本発明の1つの実施態様に従った刺激器の略図である。
【図8】本発明の1つの実施態様に従ったラットにおける十二指腸の養分の流れに対する腸の電気刺激の効果を調査するための実験構成の略図である。
【図9】本発明の1つの実施態様によれば図8を参照して上に説明される構成を用いてラットに対して行われた実験において得られた実験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の1つの実施態様によればラットにおける胃内容物排出に対する腸の電気刺激の効果を調査するための実験構成の略図である。
【図11】本発明のそれぞれの実施態様によれば図10を参照して上に説明される構成を用いてラットに対して行われた実験において得られた実験結果を示すグラフである。
【図12】本発明のそれぞれの実施態様によれば図10を参照して上に説明される構成を用いてラットに対して行われた実験において得られた実験結果を示すグラフである。
【図13】本発明の1つの実施態様に従ったラットにおける養分吸収に対する腸の電気刺激の効果を調査する実験において得られた実験結果を示すグラフである。
【図14】本発明のそれぞれの実施態様によれば行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。
【図15】本発明のそれぞれの実施態様によれば行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。
【図16】本発明のそれぞれの実施態様によれば行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。
【図17】本発明のそれぞれの実施態様によれば行われた実験中に得られた実験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の膵臓の膵管へ挿入されるのに適する1つまたはそれ以上の電極と、
前記膵臓に電流を与えるために前記電極を駆動しかつ前記膵臓のβ細胞によるインスリン生成を調節するように前記電流を構成するのに適する制御ユニットと、
を含む、装置。
【請求項2】
前記電極がリング電極を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リング電極の各々が前記リング電極の周りに配置される複数の導電性セグメントを含むことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
さらに前記膵管の中で拡張し、それによって前記膵管の中で前記1つまたはそれ以上の電極を開くのに適するステントを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記1つまたはそれ以上の電極が前記膵臓の主膵管へ挿入されるのに適することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電極が膵液の前記電極通過を可能にするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたはそれ以上の電極が複数の電極を含み、かつ前記制御ユニットが所定の時点に前記電流を与えるために前記電極の一部のみを駆動するのに適することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに前記制御ユニットを前記複数の電極と接続する1組のワイヤを含み、前記制御ユニットが前記1組のワイヤを通じて前記複数の電極へ多重化信号を送るのに適し、かつ前記複数の電極の各々が、前記信号がそのマイクロチップ宛であると判断すると前記電流を与えるために前記電極を駆動するのに適するそれぞれのマイクロチップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
被験者の十二指腸腔の壁と接して配置されるのに適する1つまたはそれ以上の電極と、
前記十二指腸腔の前記壁に電流を与えるために前記電極を駆動しかつ前記被験者の迷走神経及び前記被験者の腸間神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するように前記電流を構成するのに適する制御ユニットと、
を含む、装置。
【請求項10】
前記部位が前記被験者の前記迷走神経を含み、かつ前記制御ユニットが前記迷走神経を刺激するように前記電流を構成するのに適することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記部位が前記被験者の前記ENS組織を含み、かつ前記制御ユニットが前記ENS組織を刺激するように前記電流を構成するのに適することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
さらに摂食センサを含み、かつ前記制御ユニットが前記被験者による摂食を指示する前記摂食センサからの信号に応答して前記電流を与えるために前記電極を駆動するのに適することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記制御ユニットが(a)前記電流のパルスのパルス幅及び前記パルスの周波数を含めて前記電流に関する1組のパラメータに従って前記電流を構成し、かつ(b)前記被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ前記被験者の血糖値を下げるように前記1組のパラメータを選択する、のに適することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記制御ユニットが(a)前記電流のパルスのパルス幅及び前記パルスの周波数を含めて前記電流に関する1組のパラメータに従って前記電流を構成し、かつ(b)前記被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ前記被験者の血中インスリンレベルを上げるように前記1組のパラメータを選択する、のに適することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記1つまたはそれ以上の電極のうち2つが前記壁と接触するとき、前記1つまたはそれ以上の電極のうち他の任意の2つが前記壁と接触するときの間隔より大きい距離の間隔で配置され、かつ前記距離が3cm未満であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニットが(a)複数のパルスを含むように前記電流を構成し、かつ(b)前記パルスの周波数を少なくとも0.1Hzに設定する、のに適することを特徴とする、請求項9−15項のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記制御ユニットが前記パルスの少なくとも一部を二相パルスとして与えるのに適することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御ユニットが前記パルスの少なくとも一部を単相パルスとして与えるのに適することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記制御ユニットが前記周波数を少なくとも1Hzに設定するのに適することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記制御ユニットが前記周波数を少なくとも3Hzに設定するのに適することを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御ユニットが複数のパルスを含むように前記電流を構成するのに適し、かつ前記パルスのうち少なくとも2つの連続するパルスが各々75ms未満のそれぞれのパルス幅を有することを特徴とする、請求項9−15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記制御ユニットが前記パルス幅を30ms未満であるように構成するのに適することを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記制御ユニットが前記パルス幅を15ms未満であるように構成するのに適することを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記制御ユニットが(a)複数のパルスを含むように前記電流を構成し、(b)前記パルスの周波数を希望の周波数に設定し、かつ(c)少なくとも2つの連続するパルスのパルス幅を閾値パルス幅より小さく設定する、のに適し、かつ前記閾値パルス幅対前記希望の周波数値の比が1000ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項9−15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記比が100ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記比が10ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記制御ユニットが前記被験者の幽門の閉鎖を生じるのに充分であるように前記電流を構成するのに適することを特徴とする、請求項9−15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記制御ユニットが神経媒介経路を通じて前記幽門の前記閉鎖を生じるのに充分であるが前記幽門の筋肉組織の直接電気刺激を通じて前記幽門の前記閉鎖を生じるには不十分であるように前記電流を構成するのに適することを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記1つまたはそれ以上の電極が前記幽門から2−5cmに配置されるのに適する少なくとも2つの電極を含むことを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記1つまたはそれ以上の電極が前記幽門から1−2cmに配置されるのに適する少なくとも2つの電極を含むことを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記1つまたはそれ以上の電極の全てが前記幽門から2−5cmに配置されるのに適することを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記1つまたはそれ以上の電極の全てが前記幽門から1−2cmに配置されるのに適することを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項33】
前記制御ユニットが前記被験者の胃腸管に配置されるのに適することを特徴とする、請求項9−15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
制御ユニットが前記被験者の胃の中に配置されるのに適することを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
制御ユニットが前記被験者体内の前記胃の外部に埋め込まれかつ前記電極に無線で結合されるのに適することを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記制御ユニットが前記被験者体内の前記胃の外部に埋め込まれるのに適し、かつ該装置が前記制御ユニットを前記電極に結合するように構成されるワイヤを含むことを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項37】
前記制御ユニットが前記被験者の体外に配置されかつ前記電極に無線で結合されるのに適することを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項38】
被験者の体内に配置されかつ前記被験者による摂食を指示する信号を発するのに適する摂食センサと、
前記被験者の迷走神経及び前記被験者の腸管神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するのに適しかつ前記被験者の胃腸管に配置されるのに適する刺激器と、
前記被験者のそれぞれの十二指腸部位に埋め込まれるのに適する1つまたはそれ以上の電極と、
前記摂食信号を受け取りかつこれに応答して前記被験者の前記選択された部位へ第一の電流を与えるために前記刺激器を駆動しかつ前記被験者の膵臓β細胞の活動を調節する第二の電流を与えるために前記1つまたはそれ以上の電極を駆動するのに適する制御ユニットと、
を含む、装置。
【請求項39】
前記制御ユニットが前記第二の電流の周波数の少なくとも3倍に等しい周波数を持つように前記第一の周波数を設定するのに適することを特徴とする、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
さらに前記被験者の胃の中に配置されるのに適する胃内バルーンを含む、請求項38−39のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記胃内バルーンが摂食センサを含むことを特徴とする、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
被験者の膵臓の膵管の中へ1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップと、
前記膵臓へ電流を与えるために前記電極を駆動するステップと、
前記膵臓のβ細胞によるインスリン生成を調節するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項43】
前記電極を挿入するステップが前記膵臓の主膵管へ前記1つまたはそれ以上の電極を挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記電極を挿入するステップが前記被験者の口から内視鏡を用いて電極を挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
被験者の十二指腸の中へ1つまたはそれ以上の螺旋電極を挿入するステップと、
前記1つまたはそれ以上の電極と前記十二指腸の壁との間に電気接触を確立するために1つまたはそれ以上の電極を拡張するステップと、
前記1つまたはそれ以上の電極へ電流を送るステップと、
前記十二指腸の収縮を誘発するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項46】
被験者の十二指腸の中へ1つまたはそれ以上の電極を含むステントを挿入するステップと、
前記1つまたはそれ以上の電極へ電流を送るステップと、
十二指腸の収縮を誘発するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項47】
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップと、
前記被験者の腸管神経系(ENS)組織を刺激することによって被験者の満腹感を強化するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項48】
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップと、
前記被験者の血中コレシストキン(CCK)レベルを上げることによって前記被験者の満腹感を強化するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項49】
被験者の十二指腸部位の中へ電流を送るステップと、
前記被験者の血中GLP−1レベルを上げることによって前記被験者の満腹感を強化するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項50】
被験者の十二指腸のそれぞれ第一の部位及び第二の部位に第一及び第二の電極を配置するステップと、
前記被験者の血中インスリンレベルを増大するように前記電極を活性化するステップと、
を含む、方法。
【請求項51】
前記電極を配置するステップが前記電極を接続する直線が前記被験者の膵臓を通過するように前記電極を配置するステップを含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
さらに前記被験者が食事を摂ったことの兆候を検知するステップ及びこれに応答して前記電極を活性化するステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記電極を配置するステップが少なくとも5cm離して前記第一の電極と第二の電極を配置するステップを含むことを特徴とする、請求項50−52にうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記電極を活性化するステップが2mAから8mAまでの振幅及び3Hzから20Hzまでの周波数を有する信号を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記信号を与えるステップが(a)5秒間未満前記信号を与えるステップと、(b)10秒間以上前記信号を控えるステップと、(c)(a)と(b)とを循環するステップと、を含むことを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記被験者に満腹感を誘発するように構成される電流を十二指腸の中へ送るステップを含む、請求項50−52のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記電流を送るステップが胃内容物排出を遅延させるステップを含むことを特徴とする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記電流を送るステップが前記被験者による摂食を減少する求心性迷走神経信号を誘発するように電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記十二指腸の収縮を誘発するように構成される電流を前記十二指腸の中へ送るステップを含む、請求項50−52のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記電流を送るステップが蠕動を誘発するように電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記電流を送るステップが蠕動速度を増すステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記電流を送るステップが少なくとも1つの移動性運動コンプレックス(MMC)を誘発するように前記電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記MMCが自然のMMC発生時間より早期に発生するように前記電流を送るタイミングを定めるステップを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
被験者のそれぞれ第一及び第二の腹部部位に第一及び第二の電極を配置するステップと、
消化液の有効性レベルを抑制するために前記電極を活性化するステップと、
を含む、方法。
【請求項65】
前記消化液が胆汁を含み、かつ前記電極を活性化するステップが前記胆汁の有効性レベルを抑制するために電極を活性化するステップを含むことを特徴とする、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記消化液が膵液を含み、かつ前記電極を活性化するステップが前記膵液の有効性レベルを抑制するために前記電極を活性化するステップを含むことを特徴とする、請求項64−65のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第一及び第二の腹部部位が第一及び第二の十二指腸部位を含み、かつ前記電極を配置するステップが前記電極を接続する直線が前記被験者の膵臓を通過するように前記第一及び第二の十二指腸部位に前記電極を配置するステップを含むことを特徴とする、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
被験者の十二指腸の少なくとも5mm離れたそれぞれ第一と第二の部位の第一と第二の電極の間に電流を送るステップと、
前記十二指腸の縦走筋層の組織を刺激するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項69】
被験者の十二指腸の5mm未満離れたそれぞれ第一と第二の部位の第一と第二の電極の間に電流を送るステップと、
前記十二指腸の環状筋層の組織を刺激するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項70】
被験者が飲み込むのに適するカプセルと、
前記被験者体内に埋め込まれ、センサへの前記カプセルの近接を検出しかつこれに応答してセンサ信号を発するのに適するセンサと、
前記センサ信号の受信に応答して前記被験者に治療を施すのに適する治療ユニットと、
を含む、装置。
【請求項71】
前記カプセルが磁石を含むことを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記カプセルの直径が2mm未満であることを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項73】
前記治療ユニットが前記被験者の満腹感を誘発する治療を施すのに適することを特徴とする、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記治療ユニットが血中インスリンレベルを上げる治療を施すのに適することを特徴とする、請求項70−73のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項75】
被験者の十二指腸腔の壁へ電流を与えるステップと、
前記被験者の迷走神経及び前記被験者の腸管神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するように前記電流を構成するステップと、
を含む、方法。
【請求項76】
前記部位が前記被験者の前記迷走神経を含み、かつ前記電流を構成するステップが前記迷走神経を刺激するように前記電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記部位が前記被験者の前記ENS組織を含み、かつ前記電力を構成するステップが前記ENS組織を刺激するように前記電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
さらに前記被験者による摂食を検知するステップを含み、前記電流を送るステップが前記検知された摂食に応答して前記電流を送るステップを含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記電流を構成するステップが、
前記電流のパルスのパルス幅及び前記パルスの周波数を含む前記電流に関する1組のパラメータに従って前記電流を構成するステップと、
前記被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ前記被験者の血糖値を下げるように前記1組のパラメータを選択するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記電流を構成するステップが、
前記電流のパルスのパルス幅及び前記パルスの周波数を含む前記電流に関する1組のパラメータに従って前記電流を構成するステップと、
前記被験者の幽門の閉鎖を強化しかつ前記被験者の血中インスリンレベルを増大するように前記1組のパラメータを選択するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
前記電流を与えるステップが、
複数の電極のうち2つが前記壁に接するとき前記複数の電極のうち任意の他の2つの間の間隔より大きい距離の間隔で配置されるように前記十二指腸腔の前記壁に接して前記複数の電極を配置するステップであり、前記距離が3cm未満である、ステップと、
前記電流を与えるために前記複数の電極を駆動するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項75に記載の方法。
【請求項82】
前記電流を構成するステップが複数のパルスを含むように前記電流を構成するステップ及び前記パルスの周波数を少なくとも0.1Hzになるように設定するステップを含むことを特徴とする、請求項75−81のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記電流を与えるステップが前記パルスの少なくとも一部を二相パルスとして与えるステップを含むことを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記電流を与えるステップが前記パルスの少なくとも一部を単相パルスとして与えるステップを含むことを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記周波数を設定するステップが前記周波数を少なくとも1Hzになるように設定するステップを含むことを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記周波数を設定するステップが前記周波数を少なくとも3Hzになるように設定するステップを含むことを特徴とする、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記電流を構成するステップが複数のパルスを含むように前記電流を構成するステップを含み、かつ前記パルスのうち少なくとも2つの連続するパルスが各々75ms未満のそれぞれのパルス幅を有することを特徴とする、請求項75−81のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記電流を構成するステップが30ms未満になるように前記パルス幅を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記電流を構成するステップが15ms未満になるように前記パルス幅を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記電流を構成するステップが(a)複数のパルスを含むように前記電流を構成するステップと、(b)前記パルスの周波数を希望の周波数値に設定するステップと、(c)少なくとも2つの連続するパルスの幅を閾値パルス幅未満になるように設定するステップと、を含み、前記閾値パルス幅対前記希望の周波数値の比が1000ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項75−81のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記比が100ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記比が10ms/Hz未満であることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記電流を与えるステップが前記被験者の幽門の閉鎖を生じるのに充分であるように前記電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項75−81のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記電流を構成するステップが神経媒介経路を通じて前記幽門の前記閉鎖を生じるのに充分であるが前記幽門の筋肉組織の直接電気刺激を通じて前記幽門の前記閉鎖を生じるには不十分であるように前記電流を構成するステップを含むことを特徴とする、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記電流を与えるステップが、
複数の電極のうち少なくとも2つが前記幽門から2−5cmにあるように前記十二指腸腔の前記壁と接して前記複数の電力を配置するステップと、
前記電流を与えるために前記電極を駆動するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記電流を与えるステップが、
複数の電力のうち少なくとも2つが前記幽門から1−2cmにあるように前記十二指腸腔の前記壁に接して前記複数の電極を配置するステップと、
前記電流を与えるために前記電極を駆動するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記電流を与えるステップが、
1つまたはそれ以上の電極の全てが前記幽門から2−5cmにあるように前記十二指腸腔の前記壁に接して前記1つまたはそれ以上の電極を配置するステップと、
前記電流を与えるために前記電極を駆動するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
前記電流を与えるステップが、
1つまたはそれ以上の電極の全てが前記幽門から1−2cmにあるように前記十二指腸腔の前記壁に接して前記1つまたはそれ以上の電極を配置するステップと、
前記電流を与えるために前記電極を駆動するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
前記電流を与えるステップが前記電流を与えるように構成される制御ユニットを前記被験者の胃腸管の中に配置するステップを含むことを特徴とする、請求項75−81のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記電流を与えるステップが前記電流を与えるように構成される制御ユニットを前記被験者の胃の中に配置するステップを含むことを特徴とする、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
被験者の体内から被験者による摂食を指示する信号を発するステップと、
前記被験者の迷走神経及び前記被験者の腸管神経系(ENS)組織から成るグループから選択される部位を刺激するのに適する刺激器を前記被験者の胃腸管に中に配置するステップと、
前記被験者のそれぞれの十二指腸部位に1つまたはそれ以上の電極を埋め込むステップと、
前記摂食信号を受け取り、かつこれに応答して前記被験者の前記選択された部位へ第一の電流を与えるために前記刺激器を駆動しかつ前記被験者の膵臓β細胞の活動を調節する第二の電流を与えるために前記1つまたはそれ以上の電極を駆動するステップと、
を含む、方法。
【請求項102】
前記刺激器及び前記1つまたはそれ以上の電極を駆動するステップが前記第二の電流の周波数の少なくとも3倍に等しい周波数を持つように前記第一の電流を設定するステップを含むことを特徴とする、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
さらに前記被験者の胃の中に胃内バルーンを配置するステップを含む、請求項101−102のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記信号を発するステップが前記胃内バルーンで前記信号を発するステップを含むことを特徴とする、請求項103に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−501046(P2009−501046A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521036(P2008−521036)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000819
【国際公開番号】WO2007/007339
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508014202)ベータスティム,リミティド (1)
【Fターム(参考)】