説明

育苗容器用土供給装置の供給シャッターおよびその取付方法

【課題】育苗容器用土供給装置の供給シャッターの取付と操作ダイヤルの取付が面倒であった。
【解決手段】育苗容器用土供給装置は、移送台3の上方の供給ホッパー4と、該供給ホッパー4の下方の繰出ベルト6と、前記供給ホッパー4と前記繰出ベルト6との間に形成された供給口7と、該供給口7に取付けた供給シャッター10とを有する。該供給シャッター10は、その左右の側板15を前記移送台3に固定のフレーム22の左右側板23に横軸21により回動自在に夫々取付け、前記左右の側板15には、横軸21を中心とする円弧状にギヤ溝30を形成し、該ギヤ溝30には前記側板23に軸装した操作軸32に固定の歯車31を噛み合わせ、前記操作軸32に操作ダイヤル35を固定状態に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は育苗容器用土供給装置の供給シャッターおよびその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上部の供給ホッパーと、該供給ホッパーの下部に設けた繰出ベルトと、前記供給ホッパーと前記繰出ベルトとの間に形成された供給口と、該供給口に取付けた供給シャッタ−とからなるなるものにおいて、前記供給ホッパーの左右側壁には枢支軸の両端を軸支し、枢支軸の端部には該枢支軸を回転させる手動回転レバーの基部を固定した構成は、公知である(特許文献1参照)。
また、従来、シャッタ−に角孔を開口させ、角孔に角軸をガタなく取り付けた構成は公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5ー49311号公報
【特許文献2】特開2008ー92865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例のうち前者は、操作の角軸と、シャッタ−の角孔にがたがあり、供給シャッター10の作動の精度が低いという課題がある。
前記公知例のうち後者は、操作角軸とシャッタ−の角孔との間の「がた」を解消させているが、構成が複雑であるという課題がある。
本願は、操作軸とシャッタ−との間の操作上の「がた」を低減させると共に、構成を簡素にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、育苗容器を移送する移送台3の上方に位置する上部の供給ホッパー4と、該供給ホッパー4の下方に設けた繰出ベルト6と、前記供給ホッパー4と前記繰出ベルト6との間に形成された供給口7と、該供給口7に取付けた供給シャッター10とを設け、該供給シャッター10は、その左右の側板15を前記移送台3に固定のフレーム22の左右側板23に横軸21により回動自在に夫々取付け、前記左右の側板15の何れか一方または両方には、横軸21を中心とする円弧状にギヤ溝30を形成し、該ギヤ溝30には前記側板23に軸装した操作軸32に固定の歯車31を噛み合わせ、前記操作軸32に操作ダイヤル35を固定状態に取付けた育苗容器用土供給装置の供給シャッターとしたものである。
本発明は、前記供給シャッター10は、下部の側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直角に屈曲する屈曲部14を形成し、円弧部12と屈曲部14の左右両側に前記ギヤ溝30を設けた側板15を一体状に形成した育苗容器用土供給装置の供給シャッターとしたものである。
本発明は、前記歯車31は前記ギヤ溝30の半径に対して小径の半径に形成した育苗容器用土供給装置の供給シャッターとしたものである。
本発明は、育苗容器を移送する移送台3の上方に位置する上部の供給ホッパー4のフレーム22の左右側板23の間に、側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直角に屈曲する屈曲部14を形成して該円弧部12と屈曲部14の左右両側に前記ギヤ溝30を設けた側板15を一体状に形成した供給シャッター10の前記左右側板15を挿入し、左右側板15の挿通孔20に横軸21を挿通して、供給シャッター10を左右側板23に回動自在に取付け、次に、歯車31を供給シャッター10のギヤ溝30に噛み合わせ、この歯車31の操作軸32の前記側板23から突出する部分に操作ダイヤル35を取付ける育苗容器用土供給装置の供給シャッターの取付方法としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、供給シャッター10の左右の側板15の何れか一方または両方にギヤ溝30を形成し、該ギヤ溝30に操作ダイヤル35の操作軸32の歯車31を噛み合わせているので、側板15は横軸21によりガタなく回動し、歯車31は側板15を横軸21中心に回動させるだけとなり、操作上のガタを低減させることができ、また、供給シャッター10にギヤ溝30を形成したので、部品点数を少なくして構成を簡素にでき、製造・組立・組付を容易にでき、製造コストを低くすることができる。
請求項2の発明では、円弧部12と屈曲部14と側板15を一体状に形成してるので、供給シャッター10の剛性を向上させ、供給シャッター10の作動を円滑・確実にさせることができる。
請求項3の発明では、歯車31はギヤ溝30の半径に対して小径の半径に形成しているので、操作量に対して供給シャッター10の開閉量を小さくでき、微妙な調節ができ、操作性を向上させることができる。
請求項4の発明では、一体状のボックス形状に形成した供給シャッター10を
供給ホッパー4のフレーム22の左右側板23の間に挿入して横軸21により取り付ければよいので、頗る取付を容易にすることができ、この供給シャッター10のギヤ溝30に歯車31を噛み合わせればよいので、操作軸32および操作ダイヤル35の取付も容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は育苗容器用土供給装置であり、公知の育苗容器を移送する移送ローラ2を有する移送台3の上方位置に設ける。育苗容器用土供給装置1は、上部に供給ホッパー4を設け、供給ホッパー4の下方位置には前記育苗容器の移送方向に所定間隔を置いて設けた一対のローラー5に巻回させた繰出ベルト6を設けて構成する。
前記供給ホッパー4と前記繰出ベルト6との間に供給口7を形成し、該供給口7には供給量調節用の供給シャッター10を設ける。
【0007】
供給シャッター10は、側面視略円弧形状に形成した開閉弁11を有する。開閉弁11は、下部の側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直線状の起立部13を形成する。起立部13の上縁には後側に屈曲させた屈曲部14を形成する。
円弧部12と起立部13と屈曲部14の左右両側にはこれらと略直角に交差するように屈曲させた左右側板15を設ける。左右の側板15の所定位置には取付孔20を形成し、取付孔20には横軸21を挿入し、横軸21により供給シャッター10は育苗容器用土供給装置1のフレーム22の左右側板23に回動自在に取付ける。
【0008】
しかして、側板15には、前記横軸21を中心とする円弧状にギヤ溝30を形成する。ギヤ溝30には、歯車31を噛み合わせる。歯車31は操作軸32に固定状態に取付ける。操作軸32はフレーム側板23の挿通孔33より外側に突出させ、操作ダイヤル35を取付ける。操作軸32の外周と操作ダイヤル35の挿入孔(図示省略)には、所謂セレーション溝を形成し、互いに固定状態に取付ける。
移送台3の育苗容器の移送方向下手側には育苗容器に供給した余分な土を除いて均平する回転ブラシ36を設け、回転ブラシ36の移送方向下手側には灌水装置37を設けている。また、灌水装置37の移送方向下手側には図示は省略するが、種子供給装置や覆土供給装置を設けてもよい。
したがって、育苗容器用土供給装置1は種子供給装置や覆土供給装置を有する播種装置の一部を構成するものであってもよい。
【0009】
(実施例の作用)
次に作用を述べる。
本発明は以上の構成であり、育苗容器用土供給装置1のフレーム22の左右のフレーム側板23間に供給シャッター10を位置させ、一方のフレーム側板23に左右の側板15を横軸21により回動自在に取付ける。
供給シャッター10の側板15のギヤ溝30に歯車31を噛み合わせると取付が完了する。
なお、歯車31と操作軸32と操作ダイヤル35の組立順序は任意である。
【0010】
操作ダイヤル35を回すと、歯車31が側板15のギヤ溝30を横軸21中心に円弧移動させ、その結果、開閉弁11は横軸21中心に回転し、繰出ベルト6に対して遠近移動して供給口7の開口量を変更して、供給口7から繰り出される土の供給量を調節する。
【0011】
この場合、供給シャッター10は側板23に左右の側板15を横軸21により夫々回動自在に取付けているので、左右の横軸21の取付位置のみ注意すれば良く、供給シャッター10の取付精度は格段に向上する。
また、供給シャッター10の左右の一方の側板15のギヤ溝30に歯車31により入力された操作力は、開閉弁11を介して他方側の側板15に伝達され、左右の側板15が同時に横軸21中心に回動する。
【0012】
したがって、歯車31と操作軸32と操作ダイヤル35の間に角軸嵌合により取り付けられる部分が無いので、操作中のガタの発生はない。
それゆえ、開閉弁11の下縁は左右均等に上下させられる。
【0013】
この場合、供給シャッター10は、側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直線状の起立部13を形成し、起立部13の上縁に後側に屈曲させた屈曲部14を形成し、円弧部12と起立部13と屈曲部14の左右両側に側板15を設けて開閉弁11を構成しているので、開閉弁11は所謂ボックス形状になって、開閉弁11の剛性を向上させ、操作時の開閉弁11の下縁の左右均等の上下動の精度を向上させられる。
【0014】
そのため、供給シャッター10は、左右両側の側板15を横軸21に取付けるだけで取り付けることができ、取付が頗る簡単である。
また、供給シャッター10の取付後、歯車31の操作軸32を側板23の挿通孔33に挿通させてから、歯車31を供給シャッター10のギヤ溝30に噛み合わせ、この歯車31の操作軸32に操作ダイヤル35を取付ければよく、取付け・組立作業が頗る容易である。
【0015】
また、供給シャッター10は、ギヤ溝30の半径に対して歯車31は小径の半径に形成しているから、操作ダイヤル35の回転量に対するギヤ溝30の回動量は遥かに小さくでき、供給量を調節するに当たって微妙な調節ができる。
【0016】
この場合、供給シャッター10の左右側板15には、ギヤ溝30を夫々形成し、育苗容器用土供給装置1のフレーム22の左右側板23の何れにも挿通孔33を形成しているので、作業者の利き腕によって育苗容器用土供給装置1のフレーム22の左右の何れの側にも操作ダイヤル35を取付けることができ、操作性を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】土供給装置の側面図。
【図2】供給シャッターの側面図。
【図3】供給シャッター付近の拡大側面図。
【図4】供給シャッターの縦断側面図。
【図5】供給シャッターの背面図。
【図6】供給シャッターの組立状態斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1…育苗容器用土供給装置、2…移送ローラ、3…移送台、4…供給ホッパー、5…ローラー、6…繰出ベルト、7…供給口、10…供給シャッター、11…開閉弁、
12…円弧部、13…起立部、14…屈曲部、15…側板、20…取付孔、21…横軸、22フレーム、23…側板、30…ギヤ溝、31…歯車、32…操作軸、33…挿通孔、35…操作ダイヤル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器を移送する移送台3の上方に位置する上部の供給ホッパー4と、該供給ホッパー4の下方に設けた繰出ベルト6と、前記供給ホッパー4と前記繰出ベルト6との間に形成された供給口7と、該供給口7に取付けた供給シャッター10とを設け、該供給シャッター10は、その左右の側板15を前記移送台3に固定のフレーム22の左右側板23に横軸21により回動自在に夫々取付け、前記左右の側板15の何れか一方または両方には、横軸21を中心とする円弧状にギヤ溝30を形成し、該ギヤ溝30には前記側板23に軸装した操作軸32に固定の歯車31を噛み合わせ、前記操作軸32に操作ダイヤル35を固定状態に取付けた育苗容器用土供給装置の供給シャッター。
【請求項2】
請求項1において、前記供給シャッター10は、下部の側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直角に屈曲する屈曲部14を形成し、円弧部12と屈曲部14の左右両側に前記ギヤ溝30を設けた側板15を一体状に形成した育苗容器用土供給装置の供給シャッター。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記歯車31は前記ギヤ溝30の半径に対して小径の半径に形成した育苗容器用土供給装置の供給シャッター。
【請求項4】
育苗容器を移送する移送台3の上方に位置する上部の供給ホッパー4のフレーム22の左右側板23の間に、側面視略円弧形状の円弧部12の上部に略直角に屈曲する屈曲部14を形成して該円弧部12と屈曲部14の左右両側に前記ギヤ溝30を設けた側板15を一体状に形成した供給シャッター10の前記左右側板15を挿入し、左右側板15の挿通孔20に横軸21を挿通して、供給シャッター10を左右側板23に回動自在に取付け、次に、歯車31を供給シャッター10のギヤ溝30に噛み合わせ、この歯車31の操作軸32の前記側板23から突出する部分に操作ダイヤル35を取付ける育苗容器用土供給装置の供給シャッターの取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−148429(P2010−148429A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329969(P2008−329969)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】