説明

育苗箱水稲用粒剤およびその製造方法

【課題】施用量が少なくても均一に散布することができ、薬害がなく十分な農薬効力が担保された育苗箱水稲用粒剤を提供することを課題とする。
【解決手段】農薬活性成分、水中溶出促進材料および熱可塑性生分解性プラスチック樹脂からなる粒剤であって、仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個である育苗箱水稲用粒剤は、施用量が少なくても均一に散布することができ、稲に対する枯れや成育障害などの薬害がなく、十分な農薬効力が担保された優れた育苗箱水稲用粒剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱水稲用粒剤およびその製造方法に関する。更に詳細には、練り込み粒剤である育苗箱水稲用粒剤でありながら、従来の粒剤に比較し、2倍の嵩高さ(仮比重)であり、1g当たりの粒数を2倍程度にした少量での均一散布に適した流動性および農薬効力も確保され、かつ薬害のない育苗箱水稲用粒剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、稲作作業者の高齢化や大規模機械化を背景にそれにあわせて農薬の散布方法に関する技術革新が進み、省力散布製剤やその散布方法が検討されるようになっている。その中でも田植えと同時に農薬を処理することが可能となる水稲育苗箱の開発が進められている。水稲育苗箱で使用する農薬製剤は一般に農薬活性成分の徐放化処理が施されたものが用いられ、田植え後、約2ヶ月間にわたって、病害虫の防除が達成できることを目的としている。このために育苗箱処理法は省力的で有効な施用法である。
現在、様々な農薬活性成分が育苗箱処理法に適応されているが、現状では育苗箱(30cm×60cm程度)当たり、30〜50g程度の散布が通常である。これは農薬活性成分を含有する育苗箱水稲用粒剤を均一に各苗に散布するために必要な量と考えられているからである。しかしながら、高濃度農薬活性成分含有製剤では、有効成分投下量を統一すると、1箱当たりの農薬製剤の散布量は、従来の2倍の農薬活性成分含有量では1/2量、4倍の農薬活性成分含有量では1/4になり、均一散布が非常に困難になりそのため断念している例もあり、現在大きな課題となっている。
【0003】
育苗箱水稲用粒剤に関しては、そのような課題を解決するものは現状では見当たらないが、水面施用剤では水面に浮かせるために仮比重が軽いものが使用されてきた。例えば、水面拡散性農薬固形製剤として0.6以上の仮比重を有する農薬固形製剤による省力的水面施用方法が特許文献1で提案されているが、ロウ状物質や水溶性担体を使用する製剤であり、かつ水面施用剤であることから、箱剤特有の農薬活性成分の長期残効性も、水中への溶解・分散が早いために期待できない。また、同様のコンセプトとして発砲パーライト、発泡シラス、コルク等を利用した嵩高い水面施用剤も特許文献2に記載されているが、これでは箱剤の特徴である稲の根本に長期間保持できず、施用時に水面へ浮き出てしまう欠点があり、これも使用できない。
【0004】
【特許文献1】特開平7−165504号公報
【特許文献2】特開平8−99803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するもので、散布ムラもなく効率的な散布が可能であり、且つ、製剤中の農薬活性成分濃度を上げることにより農薬製剤の散布量が減っても従来と同様の均一な散布ができ、稲に対する枯れや成育障害などの薬害がなく農薬効力も担保された育苗箱水稲用粒剤およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、農薬活性成分、水中溶出促進材料および熱可塑性生分解性プラスチック樹脂からなる粒剤であって、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個であることを特徴とする育苗箱水稲用粒剤に関する。
更に本発明は、
(1)農薬活性成分および水中溶出促進材料を、加温して溶融させた熱可塑性生分解性プラスチック樹脂に加えて混練して均一な混合物を得、
(2)均一な混合物を造粒機で押出して成型物を得、
(3)成型物を粉砕機にて破砕して粉砕物を得、次いで
(4)粉砕物を篩別して、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個である粒剤を得る
ことを特徴とする上記育苗箱水稲用粒剤の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の育苗箱水稲用粒剤は、散布ムラもなく効率的な散布が可能であり、且つ、製剤中の農薬活性成分濃度を上げることにより粒剤の散布量が減っても従来と同様の均一な散布ができ、農薬活性成分の効力も担保された、各種の点において優れた農薬製剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の育苗箱水稲用粒剤およびその製造方法についてより詳しく説明する。
本発明の育苗箱水稲用粒剤に使用される農薬活性成分は、通常、農薬殺虫活性成分または農薬殺菌活性成分であればいずれでもよく、基本的には制限はない。これらの中でも水中への溶解度が高い農薬活性成分が特に適している。具体的には、20℃における水溶解度が4〜60重量%である水中溶出性が高い農薬活性成分が好ましい。農薬活性成分としては、具体的には例えば次のようなものが挙げられるがこれに限定されるものではない。農薬殺虫活性成分としては、例えば1,3−ジカルバモイルチオ−2−(N、N−ジメチルアミノ)−プロパン塩酸塩(カルタップ塩酸塩)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラムシュウ酸塩)等のネライストキシン系殺虫剤;N−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N−エチル−N′−メチル−2−ニトロ−1,1−エテンジアミン(一般名:ニテンピラム)、(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(一般名:ジノテフラム)、(E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N′−シアノ−N−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン(一般名:チアメトキサム)等のネオニコチノイド系殺虫剤;S−メチル−N−[(メチルカルバモイル)オキシ]チオアセトイミデート(メソミル)、2−セコンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)等のカーバメイト系殺虫剤が挙げられる。農薬殺菌活性成分としては、例えば、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロベナゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン(ピロキロン)、(E)−2−メトキシイミノ−N−メチル−2−(2−フェノキシフェニル)アセトアミド(メトミノストロピン)、5−メチル−1,2,4―トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、3‘-クロロ−4,4’−ジメチル−1,2,3−チアジアゾール−5−カルボキサニリド(チアジニル)、[5−アミノ−2−メチル−6−(2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシシクロヘキシロキシ)テトラヒドロピラン−3−イル]アミノ−α−イミノ酢酸(一般名:カスガマイシン)等が挙げられる。本発明に於いてはこれらの中でも、カルタップ塩酸塩およびチオシクラムシュウ酸塩がより好ましい。
本発明で使用する農薬活性成分の含有量は、粒剤中に3〜25重量%の範囲が好ましく、粒剤中の含有量が3重量%より少ない場合には、農薬活性成分の十分な効力発現が期待できず、また、25重量%を超えると農薬活性成分の水中への溶出が十分にコントロールできないために育苗箱水稲用粒剤としての徐放性の機能が十分に発揮できない。
【0009】
本発明で使用する熱可塑性生分解性プラスチック樹脂としては、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン/ブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネート/アジペートからなる群から選ばれる1種以上の熱可塑性生分解性プラスチック樹脂が好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンサクシネート(代表的なものとしては、商品名ルナーレSE−P、日本触媒社製)、ポリカプロラクトン(代表的なものとしては、商品名CELGREEN PH7、ダイセル化学工業社製)、ポリカプロラクトン/ブチレンサクシネート(代表的なものとしては、CELGREEN CBS17X、ダイセル化学工業社製)、ポリブチレンサクシネート(代表的なものとしては、商品名ビオノーレ1000、昭和高分子社製))、ポリブチレンサクシネート/アジペート(代表的なものとしては商品名ビオノーレ3000、昭和高分子社製)等が挙げられ、これらは任意に組み合わせて使用することもできる。これら熱可塑性生分解性プラスチック樹脂の中でも、ポリエチレンサクシネートおよびポリカプロラクトンが好ましい。
熱可塑性生分解性プラスチック樹脂の粒剤中の含有量は45〜87重量%が最適であり、熱可塑性生分解性プラスチック樹脂の粒剤中の含有量が45重量%未満では熱可塑性生分解性プラスチック樹脂による徐放性効果が十分に期待できず、また87重量%を超えると農薬活性成分が十分に水中へ溶出できず、粒剤中に使用されずに残存したり、また土壌残留等の問題も抱える可能性がある。
【0010】
本発明で使用する水中溶出促進材料としては、本発明の粒剤中の農薬活性成分の水中への溶出をコントロールする効果のある材料、即ち、粒剤の内部構造を粗くする効果を有するものであればいずれの材料でも使用することができる。例えば、クレー、珪石、タルク、炭酸カルシウム、軽石、珪藻土、バーミキュライト、アタパルジャイト、アッシュメント、ホワイトカーボンなどの鉱物質が挙げられる。また、一般的に農薬水和剤、粒剤に利用される、いわゆる増量剤や担体の一種またはそれ以上を、水中溶出促進材料として使用できる。また、有機物質を水中溶出促進材料として使用することもできる。有機物質としては、例えば、ショ糖、コーンコブ等や農薬活性成分の安定性等を考慮して、酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤や、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤等や紫外線吸収剤である二酸化チタンなどの無機化合物系紫外線吸収剤、べンゾトリアゾールやベンゾフェノン系の有機化合物系紫外線吸収剤等やホワイトカーボンに吸着させた界面活性剤等も内部構造を粗くする効果が同様にあり、これらも使用できる。界面活性剤の例としては農薬製剤に通常使用されるノニオン系イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が一般的に挙げられる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフエート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤;アルキルベタイン、第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。本発明の粒剤における水中溶出促進材料としては、鉱物質および有機物質がより好ましい。
【0011】
また、2種類以上の農薬活性成分を本発明の育苗箱水稲用粒剤に含有させる場合には、農薬活性成分の種類によっては、農薬活性成分が熱可塑性生分解プラスチック樹脂の内部構造を粗くする作用が生じる場合があり、この場合、農薬活性成分が水中溶出促進材料としての効果を発揮する。そのため所望の溶出制御については、用いる農薬活性成分及びその含有量に応じて調整するのが好ましい。水中溶出促進材料としての役割を持ちうる農薬活性成分の具体例としては農薬殺虫活性成分ではメソミル、イミダクロプリド等の常温で固体の化合物や、BPMCなどの常温で液体の化合物をホワイトカーボンなどの鉱物質に吸着し、固形化したものが挙げられる。また農薬殺菌活性成分ではプロベナゾール、ピロキロン、トリシクラゾール、メトミノストロピン等の常温で固体の化合物が挙げられる。
水中溶出促進材料の粒子径は様々なものが使用できるが、そのなかでも粒子径が20マイクロメートル〜200マイクロメートルが製造上、および水中への農薬活性成分の溶出を促す作用を導き出すのに好ましい。また、水中溶出促進材料は、粒剤中において、上記した熱可塑性生分解性プラスチック樹脂のマトリックス中に入り込んで内部構造を粗くするようなものが好ましく、そのようなものとしては、例えば、上記した熱可塑性生分解性プラスチック樹脂の融点よりも高い融点を有するものが好ましい。
水中溶出促進材料の粒剤中の含有量としては、1〜27重量%が好ましい。水中溶出促進材料の含有量が1重量%未満では、農薬活性成分の水中への溶出が抑制され過ぎて、農薬活性成分の水中での濃度が所望する効果発現レベルまで達成されにくい。水中溶出促進材料の含有量が27重量%を超えると水中溶出促進効果が高すぎて農薬活性成分の効果発現が短期間になり、適切な育苗箱水稲用粒剤が期待し難い。
【0012】
本発明の育苗箱水稲用粒剤は、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個であることを特徴とする。ここで仮比重とは、農林水産省告示第71号、昭和35年2月3日の見掛け比重測定方法によって測定された仮比重を指し、嵩高さを意味する物性である。1g当たりの粒数は、250mgの粒剤を計り、その数を正確に数え4倍することにより測定される数値を指す。なお、その際には0.1mm以下の微細な粉や粒はカウントしない。本発明の育苗箱水稲用粒剤は、その仮比重が0.4〜0.65で、従来の粒剤に比べて約半分の仮比重であり、且つ、1g当たりの粒数が1200〜1800個で、従来の粒剤の粒数の約2倍程度であるため、農薬活性成分の含有量を高くして粒剤の散布量を少なくしても、均一散布が可能であり、且つ、十分な農薬効力が担保できる。特に、本発明の育苗箱水稲用粒剤の仮比重は、0.45〜0.60が好ましく、更には、0.45〜0.55が好ましい。1g当たりの粒数は、特に1300〜1750個が好ましく、更には、1400〜1700個が好ましい。
【0013】
本発明の育苗箱水稲用粒剤は、安息角が0.8〜1.0であるのが好ましい。ここで安息角とは、農林水産省告示第71号、昭和35年2月3日の粉粒剤の安息角測定方法によって測定された安息角を指す。安息角を0.8〜1.0とすることにより、流動性が確保された優れた育苗箱水稲用粒剤とすることができる。また、本発明の育苗箱水稲用粒剤は、粒剤の95%以上が粒径420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)であるのが好ましい。このような粒径とすることによって、上記した、その仮比重が0.4〜0.65で、1g当たりの粒数が1200〜1800個である本発明の育苗箱水稲用粒剤を容易に達成することができる。粒径がこの範囲であれば、粒径・粒長が大きいことによる育苗箱への散布の際に撒きむらや、粒径・粒長が小さいことによる粉立ちやハンドリングの問題がなくなり好ましい。なかでも、本発明の粒剤の95%以上が粒径500〜1000マイクロメートル(16〜32メッシュ)が好ましい。
【0014】
本発明の育苗箱水稲用粒剤は、
(1)農薬活性成分および水中溶出促進材料を、加温して溶融させた熱可塑性生分解性プラスチック樹脂に加えて混練して均一な混合物を得、
(2)均一な混合物を造粒機で押出して成型物を得、
(3)成型物を粉砕機にて破砕して粉砕物を得、次いで
(4)粉砕物を篩別して、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個である粒剤を得る
ことにより製造される。
具体的には以下の工程により製造することができるが、類似の機械や工程を適応することができ、これに限定されるものではない。
工程(1):溶融混合
粒剤全体に対して、好ましくは45〜87重量%の熱可塑性生分解性プラスチック樹脂を、例えば、溶融温度より少し高めに設定した6インチテストロール機(機械名、西村工機社製、溶融機)にてロール状に溶融させ、次いで、粒剤全体に対して、好ましくは3〜25重量%の農薬活性成分および好ましくは1〜27重量%の水中溶出促進材料を、融点以上になった溶融熱可塑性生分解性プラスチック樹脂に添加し、十分に均一混練した後、例えば、プレス機にてシート化する。
溶融加温温度は農薬活性成分の分解温度を考慮し、分解温度以下で溶融する。具体的には、溶融加熱温度は、90〜150℃の範囲が熱可塑性生分解性プラスチック樹脂や農薬活性成分の分解を抑制する面から好ましい。
【0015】
工程(2):成形
溶融混合の後、得られた均一な混合物を、例えば、0.3〜2mmのラボプラストミル(機械名、東洋精機製作所社製、成型機)にて加熱造粒する。造粒機の種類は、目的とする造粒物の形状、粒子径等を考慮して、適宜選択する。具体的には、粒状成型物を得るためには、所望する粒径に相応したスクリーンを備えた押し出し成型部品等が例示される。例えば、スクリーン径0.3〜2mmの造粒機が好ましい。造粒する温度は、用いる熱可塑性生分解性プラスチック樹脂が溶融する温度以上で且つ含有する農薬活性成分が分解しない温度である。
【0016】
工程(3)および(4):破砕・篩別
得られた成型物を放冷し、粉砕機で粉砕する。粉砕機は、スクリーン径0.5〜5mmの粉砕機が好ましい。また、例えば、ペレタイザー(機械名、石中鉄工所製社製、破砕機)で0.5〜5mmに破砕してもよい。次いで、得られる粉砕物を、例えば、350〜2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)の範囲で、好ましくは420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)、より好ましくは500〜1000マイクロメートル(16〜32メッシュ)の範囲で篩別して、目的とする仮比重が0.4〜0.65で、1g当たりの粒数が1200〜1800個である粒剤を得ることができる。
【0017】
本発明の育苗箱水稲用粒剤は、例えば、田植え前の水稲育苗箱に施用する。その施用量は水稲育苗箱(30cm×60cm)当たり10g〜200g程度であり、通常30〜50g程度であるが、本発明の粒剤は嵩高くできているため、通常の半量の散布でも十分な均一散布が可能である。散布量は特に限定されるものでなく製剤中の農薬活性成分の含有量、育苗箱枚数等によって決めればよい。
【0018】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。また農薬活性成分として供試したチオシクラムシュウ酸塩の純度は約89重量%であった。
実施例1
チオシクラムシュウ酸塩11.7重量部およびアッシュメント20重量部(商品名、クニミネ社製、水道局汚泥の焼成品、平均粒子径 約80μm)を、約100℃に熱して溶融させたルナーレSE−P(商品名、日本触媒社製、ポリエチレンサクシネート樹脂)68.3重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所製社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350〜2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長約1mmのチオシクラムシュウ酸塩5.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.54、粒数は1378個/g、安息角は0.83、粒剤の95%は420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0019】
実施例2
チオシクラムシュウ酸塩6重量部およびアッシュメント25重量部(商品名、クニミネ社製、水道局汚泥の焼成品、平均粒子径 約80μm)を、約100℃に熱して溶融させたルナーレSE−P(商品名、日本触媒社製、ポリエチレンサクシネート樹脂)69.0重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所製社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350〜2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長約1.5mmのチオシクラムシュウ酸塩5.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.51、粒数は1647個/g、安息角は0.92、粒剤の99%は420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0020】
実施例3
チオシクラムシュウ酸塩11.7重量部およびDLクレー10重量部(商品名、日東製粉社製、クレー、平均粒子径 約25μm)を、約100℃に熱して溶融させたCELGREEN PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)78.3重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所製社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350〜2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.2mm、粒長約0.8mmのチオシクラムシュウ酸塩10.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.49、粒数は1467個/g、安息角は0.83、粒剤の98%は420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0021】
実施例4
カルタップ塩酸塩10.85重量部(純度95%)およびDLクレー10重量部(商品名、日東製粉社製、クレー、平均粒子径 約25μm)を、約120℃に熱して溶融させたCELGREEN PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)78.3重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所製社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)で篩別し、粒径約1.2mm、粒長約0.8mmのカルタップ塩酸塩10.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.48、粒数は1452個/g、安息角は0.82、粒剤の99%は420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0022】
実施例5
チオシクラムシュウ酸塩11.7重量部、BPMC(純度98%、殺虫剤、水溶解度420ppm)10.2重量部、カープレックス#80D(商品名、デグッサ社製、ホワイトカーボン、水中溶出促進材料兼BPMCの吸着剤)10重量部を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)68.1重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのチオシクラムシュウ酸塩10.3重量%、BPMC10.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.52、粒数1454個/g、安息角0.86、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0023】
実施例6
チオシクラムシュウ酸塩11.7重量部、トリシクラゾール(純度95%、殺菌剤、水溶解度600ppm)8.2重量部、カープレックス#80D(商品名、デグッサ社製、ホワイトカーボン、水中溶出促進材料)1重量部を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)79.1重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのチオシクラムシュウ酸塩10.3重量%、トリシクラゾール8.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.49、粒数1289個/g、安息角0.89、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0024】
実施例7
チオシクラムシュウ酸塩11.7重量部、プロベナゾール(純度95%、殺菌剤、水溶解度150ppm)25.3重量部、を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)63重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのチオシクラムシュウ酸塩10.3重量%、プロベナゾール24.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.49、粒数1289個/g、安息角0.89、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0025】
実施例8
BPMC(純度98%、殺虫剤、水溶解度420ppm)10.2重量部、カープレックス#80D(商品名、デグッサ社製、ホワイトカーボン、水中溶出促進材料兼BPMCの吸着剤)10重量部を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)79.8重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのBPMC10.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.52、粒数1404個/g、安息角0.85、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0026】
実施例9
トリシクラゾール(純度95%、殺菌剤、水溶解度600ppm)8.2重量部、カープレックス#80D(商品名、デグッサ社製、ホワイトカーボン、水中溶出促進材料)1重量部を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)90.8重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのトリシクラゾール8.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.53、粒数1211個/g、安息角0.89、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0027】
実施例10
プロベナゾール(純度95%、殺菌剤、水溶解度150ppm)25.3重量部、DLクレー(商品名、日東製粉社製、クレー、平均粒子径約25マイクロメートル)10重量部を、92℃に熱して溶融させたセルグリーン PH7(商品名、ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン樹脂)64.7重量部に溶融機にて混合溶融し、スクリーン径0.8mmの加温押出造粒機にて押出し、次いで0.5mm〜3.0mmの範囲でペレタイザー(機械名、石中鉄工所社製、破砕機)にてカッティングを行い、その後350−2830マイクロメートル(7〜42メッシュ)で篩別し、粒径約1.0mm、粒長1mmのプロベナゾール24.0重量%の粒剤を得た。仮比重0.50、粒数1232個/g、安息角0.89、粒剤の98%は420−1190マイクロメートル(14−35メッシュ)の範囲であった。
【0028】
比較例1
チオシクラムシュウ酸塩6重量部(純度89%、日本化薬社製:以下省略)、キサンタンガム(商品名、結合剤)1.0重量部に酸性白土#10(商品名、水澤化学、酸性白土)を加え100重量部に調整した。上記原材料を全てコーヒーミルで混合し、水道水20重量部を添加し、混練後に、0.8mm径の押出製造機(不二パウダル社製)にて押出し、流動層乾燥機にて乾燥及び整粒し、その後420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)で篩別し、チオシクラムシュウ酸塩5.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.91、粒数は578個/g、安息角は0.99、粒剤の93%が420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0029】
比較例2
カルタップ塩酸塩4.5重量部(純度90%、製剤抽出品)、キサンタンガム(商品名、結合剤)1.0重量部に酸性白土#10(商品名、水澤化学、酸性白土)を加え100重量部に調整した。上記原材料を全てコーヒーミルで混合し、水道水20重量部を添加し、混練後に、0.8mm径の押出製造機(不二パウダル社製)にて押出し、流動層乾燥機にて乾燥及び整粒し、その後420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)で篩別し、カルタップ塩酸塩10.3重量%粒剤を得た。仮比重は0.91、粒数は625個/g、安息角は1.00、粒剤の93%が420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0030】
比較例3
イミダクロプリド原体1.2重量部(純度90%、製剤抽出品)、キサンタンガム(商品名、結合剤)1.0重量部にDLクレー(商品名、日東製粉社製、クレー、平均粒子径 約25μm)を加え100重量部に調整した。上記原材料を全てコーヒーミルで混合し、水道水20重量部を添加し、混練後に、0.8mm径の押出製造機(不二パウダル社製)にて押出し、流動層乾燥機にて乾燥及び整粒し、その後420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)で篩別し、カルタップ塩酸塩1.0重量%粒剤を得た。仮比重は0.91、粒数は612個/g、安息角は0.99、粒剤の94%が420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0031】
比較例4
チオシクラムシュウ酸塩11.2重量部(純度89%、日本化薬社製:以下省略)、キサンタンガム(商品名、結合剤)1.0重量部に酸性白土#10(商品名、水澤化学、酸性白土)を加え100重量部に調整した。上記原材料を全てコーヒーミルで混合し、水道水20重量部を添加し、混練後に、0.8mm径の押出製造機(不二パウダル社製)にて押出しチオシクラムシュウ酸塩5.3%粒剤を得た。仮比重は0.91、粒数は557個/g、安息角は0.99であった。
【0032】
比較例5
BPMC(純度98%、殺虫剤、水溶解度420ppm)10.2重量部、カープレックス#80D(商品名、デグッサ社製、ホワイトカーボン、水中溶出促進材料兼BPMCの吸着剤)10重量部、キサンタンガム(商品名、結合剤)1重量部、DLクレー(商品名、日東製粉社製、クレー、平均粒子径約25マイクロメートル)78.8重量部をコーヒーミルにて均一に混合し、水道水12重量部を添加し、混練後に、0.8mm径の押出造粒機(不二パウダル社製)にて押出し、流動層乾燥機にて乾燥し、その後420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)で篩別し、BPMC10重量%の粒剤を得た。仮比重は0.99、粒数592個/g、安息角は0.98、粒剤の95%が420〜1190マイクロメートル(14〜35メッシュ)の範囲内であった。
【0033】
試験例1
散布時の目視による均一性評価
以下に本発明の実施例1から4および比較例1から3の粒剤の散布時の均一性を目視により評価した。即ち、水稲育苗箱(30cm×60cm)に実施例1から4および比較例1から3のそれぞれの粒剤を25g散布し、その均一性を目視評価した。試験結果は表1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の結果から、本発明の粒剤は満遍なく散布され、均一に撒かれていることが分かる。
【0036】
試験例2
水稲育苗箱処理の効力評価試験
実施例1から4ならびに比較例1から2で得られた粒剤について、水稲を利用した効力試験を実施した。
即ち、土壌30g、水17mlを入れたカップの中央部分に粒剤50mgを処理し、2葉期の稲5本を植えた後、ガラス温室にそれぞれ置いた。処理60日後に、ツマグロヨコバイ3齢幼虫10頭を放虫し、5日後に生死を調査した。3連制で実施。試験結果は表2に記載した。
【0037】
【表2】

【0038】
表2の結果から、本発明の粒剤は、農薬活性成分の効力が十分に発揮されることが分かる。
【0039】
以上の試験例1および2の結果から、本発明の実施例1から4の粒剤は、比較例1から3の粒剤に比べ仮比重が約半分であり、粒数が約2倍程度であることから、箱剤への散布数量が少なくても均一散布が可能であることが明らかにされた。また、本発明の粒剤は、農薬活性成分の効力も担保された優れた育苗箱水稲用粒剤である。
更に、本発明の粒剤は、比較例の粒剤と安息角がほぼ変わらないことから流動性も確保された優れた育苗箱水稲用粒剤であるともいえる。
【0040】
試験例3
田植機による散布試験
以下に本発明の実施例3〜6及び比較例1〜3の粒剤を実際の田植機を用いて散布状況及び水稲根部への粒剤施用状況を調査した。
【0041】
試験方法:
1箱当たり30gの供試粒剤を処理当日に苗箱に散布し、散水後、田植機(イセキPF200)にて水田に苗を移植し、移植時の粒の散布状況を目視で調査した。また、移植後に水田の水を抜き、粒剤が株元のどの位置に分布するかを調べた。
移植条件:
一般的な水田面の水深が浅い条件(水深1cm程度)に加え、5cmの条件でも試験を行った。
【0042】
試験結果:
試験結果を表3に示した。
【0043】
【表3】

【0044】
表3の結果より、本発明の粒剤は施用量が30gと従来より少なくても良好な施用が確認された。
【0045】
試験例4
水稲育苗箱処理の薬害試験
上記の実施例1、3、5,8ならびに比較例4、5で得られた粒剤について、水稲を利用した薬害試験を実施した。
【0046】
試験方法:
土壌30g、水17mlを入れたカップの中央部分に粒剤50mgを処理し、2葉期の稲5本を植えた後、ガラス温室にそれぞれ置いた。処理、3、7、60日後に薬害を調査した。試験は3連制で実施し、薬害は達観調査を目視で実施した。稲の枯れや成育状況を観察し、無処理の稲との比較で少しでも異常が観察された場合は薬害とした。具体的には、薬害発生株率を下記式から求め、薬害状況は、成育抑制及び薬剤特有の枯れより判断した。
薬害発生株率=(中重度薬害株数/供試株数)×100
試験結果:
試験結果は表4に示した。薬剤散布量は30g/箱で各薬剤とも行った。
【0047】
【表4】

【0048】
表4の結果より、水稲では薬害が発生し易いチオシクラムシュウ酸塩及びBPMCの本発明の粒剤は、薬害の発生がない製剤であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分、水中溶出促進材料および熱可塑性生分解性プラスチック樹脂からなる粒剤であって、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個であることを特徴とする育苗箱水稲用粒剤。
【請求項2】
安息角が0.8〜1.0である請求項1の育苗箱水稲用粒剤。
【請求項3】
粒剤の95%以上が粒径420〜1190マイクロメートルである請求項1または2の育苗箱水稲用粒剤。
【請求項4】
農薬活性成分が、20℃における水溶解度が4〜60%重量である請求項1から3のいずれかの育苗箱水稲用粒剤。
【請求項5】
農薬活性成分が、1,3−ジカルバモイルチオ−2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロパン塩酸塩(カルタップ塩酸塩)または5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラムシュウ酸塩)である請求項1から4のいずれかの育苗箱水稲用粒剤。
【請求項6】
熱可塑性生分解性プラスチック樹脂が、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン/ブチレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート/アジペートからなる群から選ばれる1種以上である請求項1から5のいずれかの育苗箱水稲用粒剤。
【請求項7】
粒剤全体に対して、農薬活性成分が3〜25重量%、水中溶出促進材料が1〜27重量%および熱可塑性生分解性プラスチック樹脂が45〜87重量%である請求項1から6のいずれかの育苗箱水稲用粒剤。
【請求項8】
(1)農薬活性成分および水中溶出促進材料を、加温して溶融させた熱可塑性生分解性プラスチック樹脂に加えて混練して均一な混合物を得、
(2)均一な混合物を造粒機で押出して成型物を得、
(3)成型物を粉砕機にて破砕して粉砕物を得、次いで
(4)粉砕物を篩別して、その仮比重が0.4〜0.65、1g当たりの粒数が1200〜1800個である粒剤を得る
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかの育苗箱水稲用粒剤の製造方法。
【請求項9】
工程(2)において、均一な混合物を、スクリーン径0.3〜2mmの造粒機で押出して成型物を得る請求項8の製造方法。
【請求項10】
工程(3)において、成型物をスクリーン径0.5〜5mmの粉砕機で破砕する請求項8または9の製造方法。
【請求項11】
工程(4)において、粉砕物を350〜2830マイクロメートルの範囲で篩別する請求項8から10のいずれかの製造方法。
【請求項12】
工程(1)において、90〜150℃の範囲で熱可塑性生分解性プラスチック樹脂を溶融させる請求項8から11のいずれかの製造方法。

【公開番号】特開2007−126440(P2007−126440A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253697(P2006−253697)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(392029074)日東化成工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】