説明

育苗箱積み重ね装置

【課題】育苗箱を積み重ねる際における土のこぼれや種の露出を防止でき、育苗箱を精度よく整列させて積み重ねることができる育苗箱積み重ね装置を実現する。
【解決手段】育苗箱積み重ね装置3において、育苗箱積み重ね機構12に、内方側に倒伏した作用姿勢と、上方に揺動した非作用姿勢とに姿勢変更可能な支持爪88を備えて、作用姿勢での支持爪88で育苗箱Cの両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に育苗箱Cを下降させて積み重ねると、支持爪88が非作用姿勢に姿勢変更されるように、育苗箱積み重ね機構12を構成するとともに、作用姿勢での支持爪88の内方側端部88Aの形状を、育苗箱Cの底面から下方に離れた形状に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に下降させて積み重ねる育苗箱積み重ね機構を備えた育苗箱積み重ね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、横送りコンベヤ(特許文献1の図2の8)により搬送された育苗箱を、保持機構(特許文献1の図5の16)のオープナー(特許文献1の図5の16a)により保持し、積層機構(特許文献1の図5の17)に上方から積み重ねるように構成された積重ね積層装置(特許文献1の図2の9)や、特許文献2に開示されているように、播種装置(特許文献2の図1のA)から搬送されてきた育苗箱をホルダー(特許文献2の図1の5)により下方から支持し、ホルダーにより支持した育苗箱を下降させて積み重ねることができるように構成された段積装置(特許文献2の図1のB)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−123809号公報(図2及び図5参照)
【特許文献2】特開平11−103682号公報(図1及び図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の積重ね積層装置では、育苗箱を落下させて積層機構に積み重ねるように構成されており、例えば土を盛って播種した育苗箱を落下させて積み重ねると、育苗箱育苗箱を落下させる際に、育苗箱の中の土が外にこぼれ易く、育苗箱に播いた種(例えば籾等)が土の表面に露出し易いという問題があった。また、育苗箱を落下させて積み重ねると、育苗箱を積み重ねる際に育苗箱がずれ易く、育苗箱を精度よく整列させて積み重ねることができないといった問題があった。
本発明(請求項1)は、育苗箱を積み重ねる際における土のこぼれや種の露出を防止でき、育苗箱を精度よく整列させて積み重ねることができる育苗箱積み重ね装置を実現することを目的とする。
【0005】
特許文献2の段積装置で、ホルダーの掛止溝(特許文献2の図3の51)を育苗箱のリブ(特許文献2の図3のR)に掛止させて支持し、積み重ねられた育苗箱の上に育苗箱を積み重ねるように構成されており、例えば積み重ねた育苗箱の両側部にホルダーが位置する状態で、積み重ねられた育苗箱を排出しようとすると、ホルダーの掛止溝が育苗箱の側部に引っ掛かり易かった。その結果、積み重ねられた育苗箱の両側部にホルダーが位置する状態で無理に育苗箱を排出しようとすると、ホルダーの掛止溝が育苗箱に引っ掛かって、ホルダーや育苗箱が破損し易いといった問題があった。
本発明(請求項3)は、育苗箱を排出する際における支持爪及び育苗箱の破損を防止できる育苗箱積み重ね装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、育苗箱積み重ね装置を次のように構成することにある。
育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に下降させて積み重ねる育苗箱積み重ね機構を備え、
前記育苗箱積み重ね機構に、内方側に倒伏した作用姿勢と、上方に揺動した非作用姿勢とに姿勢変更可能な支持爪を備えて、
前記作用姿勢での支持爪で育苗箱の両端部を下方から支持し、前記育苗箱積み重ね部に育苗箱を下降させて積み重ねると、前記支持爪が非作用姿勢に姿勢変更されるように、前記育苗箱積み重ね機構を構成するとともに、
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部の形状を、育苗箱の底面から下方に離れた形状に構成する。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、作用姿勢での支持爪の内方側端部の形状は、育苗箱の底面から下方に離れた形状に構成されているため、育苗箱を支持した支持爪が上方に揺動して非作用姿勢に姿勢変更する際における、支持爪が育苗箱の底部を上方に跳ね上げる高さを低く抑えながら、育苗箱を積み重ねることができる。その結果、育苗箱を安定して積み重ねることができ、育苗箱を積み重ねる際に育苗箱がずれ難くなる。
【0008】
具体的には、例えば図33に示すように、育苗箱(例えば図33のC)を支持した支持爪(例えば図33の88)が上方に揺動して非作用姿勢に姿勢変更する際における支持爪が育苗箱の底部を上方に跳ね上げる高さ(例えば図33のha)を低く抑えながら育苗箱を積み重ねることができる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、育苗箱を積み重ねる際における土のこぼれや種の露出を防止でき、育苗箱を精度よく整列させて積み重ねることができる。その結果、例えば育苗箱に播種し直す作業や育苗箱を積み重ね直す作業が不要になる共に、育苗箱が取り扱い易くなる。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の育苗箱積み重ね装置において、次のように構成することにある。
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部の形状を、内方下方へ湾曲又は屈曲した形状に構成する。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、支持爪の内方側端部の形状を、支持爪の内方側の先端に向かうに従って支持爪と育苗箱の底部との間の距離が徐々に長くなるように構成することができ、支持爪が育苗箱の底部を上方に跳ね上げる高さを徐々に変化させながら育苗箱を積み重ねることができる。その結果、育苗箱を更に安定して積み重ねることができ、育苗箱を積み重ねる際に更に育苗箱がずれ難くなる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、育苗箱を積み重ねる際における土のこぼれや種の露出を更に防止でき、育苗箱を更に精度よく整列させて積み重ねることができる。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、育苗箱積み重ね装置を次のように構成することにある。
育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に下降させて積み重ねる育苗箱積み重ね機構を備え、
前記育苗箱積み重ね機構に、内方側に倒伏した作用姿勢と、上方に揺動した非作用姿勢とに姿勢変更可能な支持爪を備えて、
前記作用姿勢での支持爪で育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に育苗箱を下降させて積み重ねると、前記支持爪が非作用姿勢に姿勢変更されるように、前記育苗箱積み重ね機構を構成するとともに、前記育苗箱積み重ね部に積み重ねられた育苗箱を外方に搬送可能に構成し、
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部における外方への搬送方向とは反対側の端部に、平面視で外側に切り欠かれた切り欠き部を形成する。
【0014】
(作用)
本発明の第3特徴によると、例えば積み重ねた育苗箱の両側部に支持爪が位置する状態で、育苗箱積み重ね部に積み重ねられた育苗箱を排出しようと際に、支持爪に形成された切り欠き部により、支持爪の角部が外方に搬出される育苗箱に引っ掛かり難くなる。その結果、育苗箱を排出する際に、支持爪及び育苗箱に無理な力が作用し難くなる。
【0015】
具体的には、例えば、図4及び図33(ホ)に示すようなホルダー(例えば図4及び図33(ホ)の85)が積み重ねられた育苗箱(図4及び図33(ホ)のC)の両側部に位置する状態で、育苗箱を下流側搬送コンベア(図4の13)により搬送する際に、支持爪(図33(ホ)の88)に設けられた切り欠き部(図15の88C)により、支持爪の角部が育苗箱に引っ掛かり難くなる。
【0016】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、育苗箱を排出する際における支持爪及び育苗箱の破損を防止できる。
【0017】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1特徴〜第3特徴のいずれか一つに記載の育苗箱積み重ね装置において、次のように構成することにある。
前記育苗箱積み重ね機構による下降時の育苗箱の横方向での移動を規制する規制部材を備える。
【0018】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1特徴〜第3特徴のいずれか一つと同様に前項[I][II][III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第4特徴によると、規制部材により、支持爪で支持した育苗箱が下降する際の育苗箱の横方向での移動を規制することができ、支持爪で支持した育苗箱が下降する際に横方向にずれ動くことを防止できる。
【0019】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1特徴〜第3特徴のいずれか一つと同様に前項[I][II][III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、育苗箱が下降する際の育苗箱のずれを防止でき、育苗箱を更に精度よく整列させて積み重ねることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[育苗装置の全体構成]
図1〜図3に基づいて、育苗装置1の全体構成について説明する。図1は、育苗装置1の全体レイアウト平面図を示し、図2及び図3は、育苗装置1の全体側面図及び全体平面図をそれぞれ示す。なお、以下の説明において、後述する搬送台車6及び補助搬送台車150の説明を除き、図1における紙面左方(育苗箱Cの搬送下流側)を前方と表示し、図1における紙面右方(育苗箱Cの搬送上流側)を後方と表示する。また、図1における紙面上方(育苗箱Cの搬送方向に対する右側)を右方と表示し、図1における紙面下方(育苗箱Cの搬送方向に対する左側)を左方と表示する。
【0021】
図1〜図3に示すように、育苗装置1は、育苗箱Cに土を盛って種(例えば籾)を播く播種機2と、播種機2から搬送された育苗箱Cを積み重ねる育苗箱積み重ね装置3と、育苗箱積み重ね装置3により積み重ねた育苗箱Cを下流側に搬送するローラーコンベア4と、ローラーコンベア4からの育苗箱Cを搬送台車6に受け渡す育苗箱受け渡し部5と、育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを育苗器7に搬送する搬送台車6と、育苗箱Cに播かれた種を育苗する育苗器7とを備えて構成されている。このように、育苗箱Cを積み重ねる部分と、育苗箱Cを搬送する部分とを分離させることで、育苗装置1全体としての構造を簡素化することができ、育苗装置1をコンパクトでかつ低コストに構成できる。
【0022】
育苗箱積み重ね装置3等に接続された制御装置(図示せず)により、播種機2に接続されたローラーコンベア2aを介して育苗箱積み重ね装置3に自動的に搬送されてきた育苗箱Cを、育苗箱積み重ね装置3により自動的に積み重ねて、この育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cを自動的にローラーコンベア4に搬送し、人力でローラーコンベア4から育苗箱受け渡し部5に育苗箱Cを移動させる。そして、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cを人力で搬送台車6に載せかえて、育苗箱Cを載せた搬送台車6を育苗器7まで人力で搬送し、人力で育苗箱Cを搬送台車6から育苗器7にセットするように構成されている。
【0023】
[育苗箱積み重ね装置の全体構成]
図4〜図10に基づいて、育苗箱積み重ね装置3に全体構成について説明する。図4は、育苗箱積み重ね装置3の全体側面図を示す。図5は、図4のX−Xの位置での横断平面図を示し、図6及び図7は、図4のY−Yの位置での上流側部分及び下流側部分の横断平面図をそれぞれ示す。図8は、育苗箱積み重ね装置3の前部下部の側面図を示し、図9及び図10は、上流側搬送コンベア11の後部及び前部の縦断背面図をそれぞれ示す。
【0024】
図4及び図5に示すように、育苗箱積み重ね装置3は、本体フレーム10に、播種機2からの育苗箱Cを下流側に搬送する上流側搬送コンベア11と、上流側搬送コンベア11からの育苗箱Cを上方、前方、下方へと逆U字状に搬送して育苗箱Cを積み重ねる育苗箱積み重ね機構12と、育苗箱積み重ね機構12により積み重ねられた育苗箱Cを下流側に搬送する下流側搬送コンベア13とを備えて構成されており、上流側搬送コンベア11の前部が育苗箱積み重ね装置3の育苗箱受け入れ部として機能し、下流側搬送コンベア13が育苗箱積み重ね装置3の育苗箱積み重ね部として機能するように構成されている。
【0025】
本体フレーム10は、基部フレーム14と、基部フレーム14から立設された枠状フレーム15とを備えて構成されている。基部フレーム14は、前後に長い左右のメインフレーム14aと、左右のメインフレーム14aの前端部に亘って設けられた前部横フレーム14bと、左右のメインフレーム14aの後端部に亘って設けられた後部横フレーム14cとを備えて構成されている。前部横フレーム14bは、下向きに開口したコ字状に成形されており、この前部横フレーム14bの左右両端部の下面側に上下軸心回りで回動自在な自在式の前部キャスター16が装着されている。後部横フレーム14cは、下向きに開口したコ字状に成形されており、この後部横フレーム14cの左右両端部の下面側に固定式の後部キャスター17が装着されている。
【0026】
枠状フレーム15は、基部フレーム14の前端部から立設された左右の前縦フレーム15aと、基部フレーム14の前後中央部から立設された中縦フレーム15bと、基部フレーム14の後端部から立設された後縦フレーム15cと、前縦フレーム15a、中縦フレーム15b、及び後縦フレーム15cの上端部に固定された上部フレーム15dとを備えて構成されている。
【0027】
前部横フレーム14bの左右両側部、及び後部横フレーム14cの左右両側部には、アジャストボルト18が上下位置調節可能に装備されており、アジャストボルト18を緩め、育苗箱積み重ね装置3を前部及び後部キャスター16,17で支持して移動させることができ、育苗箱積み重ね装置3を移動させてアジャストボルト18を調節することでアジャストボルト18によって育苗箱積み重ね装置3を支持して、育苗箱積み重ね装置3を所定の場所に移動しないように保持できる。
【0028】
図4,図6,図8に示すように、上流側搬送コンベア11は、左右のコンベアフレーム20と、左右のコンベアフレーム20に亘って回動自在に支持された複数の搬送ローラー21と、上流側搬送コンベア11を回転駆動する電動式の第1搬送モータ22とを備えて構成されている。
【0029】
最も上流側に位置する搬送ローラー21の左側部に位置するコンベアフレーム20の下部には、モータブラケット23が固定されており、このモータブラケット23の左側部に減速装置を内蔵した第1搬送モータ22が固定されている。第1搬送モータ22は、最も上流側に位置する搬送ローラー21の左側端部とカップリングを介して連動連結されており、制御装置からの出力により第1搬送モータ22が回転すると、最も上流側に位置する搬送ローラー21が回転駆動するように構成されている。複数の搬送ローラー21は、第1搬送モータ22に連動連結された最も上流側に位置する搬送ローラー21とチェーン伝動機構24を介して連動連結されており、第1搬送モータ22を回転駆動させると、複数の搬送ローラー21が連動するように構成されている。
【0030】
搬送ローラー21は、左右に2分割された円筒状のローラー21aをシャフト21bに外嵌固定して構成されており、ローラー21aの外周面の長手方向に凹凸のある溝が形成されている。これにより、ローラー21aの外周面の凹凸が育苗箱Cの下面側と係合して、搬送ローラー21の搬送能力を向上できる。
【0031】
左右のコンベアフレーム20の後端部、前後中央部及び前端部には、それぞれ左右の後部案内部材25、左右の中央部案内部材26、及び左右の前部案内部材27が左右方向の位置調節可能に取り付けられており、播種機2からの育苗箱Cを案内部材25,26,27によって、左右中央側に案内できるように構成されている。後部案内部材25、中央部案内部材26、及び左右の前部案内部材27は、左右方向に位置調節可能に取り付けられているため、例えば育苗箱Cの種類やサイズ等が異なる場合であっても、育苗箱Cの種類やサイズ等に合わせて後部案内部材25、中央部案内部材26、及び左右の前部案内部材27の位置を変更調節することで、育苗箱Cの受け入れ幅を変更して受け入れることができる。
【0032】
左右の後部案内部材25の後端部、左右の中央部案内部材26の後端部、及び左右の前部案内部材27の後端部は、それぞれ平面視で横外方側に折り曲げ成形された屈曲した形状の案内部25a,26a,27aが形成されており、播種機2からの育苗箱Cを無理なく下流側に位置決めしながら案内できるように構成されている。後部案内部材25の左右方向の幅は、中央部案内部材26及び前部案内部材27の左右方向の幅より広くなるように設定されており、播種機2からの育苗箱Cを徐々に左右中央側に寄せながら下流側に案内できるように構成されている。
【0033】
左右のコンベアフレーム20の前端部には、後述するリミットスイッチ28の取付ブラケットとして兼用される位置決め部材33が装着されており(図10参照)、播種機2からの育苗箱Cがこの位置決め部材33に接当して、育苗箱Cが後述する育苗箱積み重ね機構12によって育苗箱Cの上昇を開始する上昇開始位置に位置決めされるように構成されている。
【0034】
左右のコンベアフレーム20の前端部における左右中間位置に、横フレーム15eから上方に延出された位置決め部材33を介して位置検出手段としてのリミットスイッチ28が固定されており、このリミットスイッチ28の操作部の左右方向の軸心周りに位置検出部材28aが揺動自在に支持されている。播種機2からの育苗箱Cが上流側搬送コンベア11の前端部の上昇開始位置に搬送されて位置検出部材28aに接当すると、位置検出部材28aが左右方向の軸心周りで上方へ揺動した姿勢に姿勢変更され、この位置検出部材28aの動作をリミットスイッチ28の操作部によって検出できるように構成されている。
【0035】
これにより、上流側搬送コンベア11の前端部の上昇開始位置に育苗箱Cが搬送されているか否かを判断して、後述する育苗箱積み重ね機構12との連係により、上流側搬送コンベア11と育苗箱積み重ね機構12との動作タイミングを合致させて、効率よく育苗箱Cを積み重ねることができるように構成されている。
【0036】
図8及び図9に示すように、上流側搬送コンベア11のコンベアフレーム20の前後中央部は、調節ブラケット29を介して基部フレーム14の後部横フレーム14cから上方に延出された支持フレーム30に支持されている。調節ブラケット29には上下に長い左右の長穴29aが形成されており、この長穴29aに沿って調節ブラケット29を支持フレーム30に対して上下に移動することで、上流側搬送コンベア11の前後中央部の高さを変更調節できるように構成されている。
【0037】
図8及び図10に示すように、上流側搬送コンベア11のコンベアフレーム20の前端部は、調節ブラケット31を介して枠状フレーム15の横フレーム15eから下方に延出された左右の支持ブラケット32に支持されている。支持ブラケット32には、上下に長い左右の長穴32aが形成されており、この長穴32aに沿って調節ブラケット31を支持ブラケット32に対して上下に移動することで、上流側搬送コンベア11の前部の高さを変更調節できるように構成されている。
【0038】
これにより、上流側搬送コンベア11を上方又は下方へ移動させて調節することで、基部フレーム14に対する上流側搬送コンベア11の高さ、すなわち、上流側搬送コンベア11の搬送面11Aの高さを変更調節できるように構成されている。その結果、播種機2側の機器の高さに合わせて上流側搬送コンベア11の高さを変更調節することができ、例えば播種機2側の機器の種類やメーカー等が異なり播種機2側の機器の高さが異なる場合であっても、育苗箱積み重ね装置3側の受け入れ高さを任意に変更調節することができ、育苗箱積み重ね装置3に汎用性を持たせることができる。
【0039】
図4,図7,図8に示すように、下流側搬送コンベア13は、左右のコンベアフレーム34と、左右のコンベアフレーム34に亘って回動自在に支持された複数の搬送ローラー35と、下流側搬送コンベア13を回転駆動する第2搬送モータ36と、支持ローラー37と、後部支持ローラー38とを備えて構成されている。
【0040】
下流側搬送コンベア13は、左右のコンベアフレーム34の後端部が枠状フレーム15の横フレーム15eから上方に延出された左右のブラケット39に前後方向に位置調節可能に固定され、左右のコンベアフレーム34の前端部が基部フレーム14の前部から上方に延出された前部支持フレーム40に前後方向に位置調節可能に固定されている。なお、下流側搬送コンベア13は上流側搬送コンベア11と異なり、上下に高さ調節可能に構成されていないが、下流側搬送コンベア13を上流側搬送コンベア11と同様に上下に高さ調節可能に構成することで、例えば下流側搬送コンベア13に接続する下流側の機器の高さに合わせて下流側搬送コンベア13の高さを変更調節することができ、育苗箱積み重ね装置3に汎用性を持たせることができる。
【0041】
前部支持フレーム40は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状に成形されており、この前部支持フレーム40に減速装置を内蔵した第2搬送モータ36が固定されている。第2搬送モータ36は、最も下流側に位置する搬送ローラー35の左側端部とカップリングを介して連動連結されており、制御装置からの出力により第2搬送モータ36が回転すると、最も下流側に位置する搬送ローラー35が回転駆動するように構成されている。
【0042】
搬送ローラー35は、シャフト35bにV溝が形成された複数(4つ)のベルトプーリー35aを外嵌して構成されており、この前後に並設された複数の搬送ローラー35のベルトプーリー35aに亘って計4本の搬送ベルト35cが巻回張設されて、最も下流側に位置する搬送ローラー35が回転駆動すると、複数の搬送ベルト35c及びベルトプーリー35aを介して複数の搬送ローラー35が連動するように構成されている。
【0043】
左右のコンベアフレーム34の前後中央部には、支持ローラー37が装着されている。支持ローラー37は、左右に長い固定軸の両端部に、ベアリングを介してローラーを回動自在に支持することにより構成されており、このローラーの外周面の上端の高さが、搬送ローラー35の搬送ベルト35cの上面側の高さと略面一になるように設定されている。
【0044】
左右のコンベアフレーム34の後部には、後部支持ローラー38が装着されている。後部支持ローラー38は、左右に長い支軸の複数個所に、4つのローラーを回動自在に支持することにより構成されており、このローラーの外周面に上側の搬送ベルト35cの内周面が接当して、搬送ベルト35の上面側が略水平になるように後部支持ローラー38が装着されている。
【0045】
これにより、下降積重位置に積み重ねられた育苗箱Cの左右両端部を、支持ローラー37により安定して支持することができ、下降積重位置に積み重ねられた育苗箱Cの左右両端部が上方に積み上げられた育苗箱Cの重さにより下方に撓むことを防止できる。また、下降積重位置に積み重ねられた育苗箱Cの後部を後部支持ローラー37により安定して支持することができ、下降積重位置に積み重ねられた育苗箱Cの後端部が上方に積み上げられた育苗箱Cの重さにより下方に撓むことを防止できる。その結果、育苗箱Cの上下方向の変形を防止することができ、安定して育苗箱Cを積み重ねることができる。
【0046】
[育苗箱積み重ね機構の詳細構造]
図4,図5,図6,図11〜図15に基づいて、育苗箱積み重ね機構12の詳細構造について説明する。図11及び図12は、育苗箱積み重ね機構12周辺の構造を説明する概略側面図及び育苗箱積み重ね機構12の伝動構造を説明する概略側面図をそれぞれ示し、図13及び図14は、ホルダー85付近の構造を説明する図11のZ−Zの位置での縦断正面図及び右側のホルダー85の構造を説明する縦断正面図をそれぞれ示す。図15は、右側のホルダー85の構造を説明する図11のV−Vの位置での横断平面図をそれぞれ示す。
【0047】
図4,図5,図12に示すように、枠状フレーム15の上部後部に、左右の上部後部フレーム41が固定されており、この上部後部フレーム41に横断面形状が内向きに開口したコ字状の左右の上部後部ブラケット42が固定されている。左右の上部後部ブラケット42の内方側の上部から左右向きの上部支軸43が延出されており、上部後部ブラケット42の内方側の下部から下部支軸44が延出されている。上部支軸43は下部支軸44より短く設定されており、上部支軸43の先端部にベアリングを介して第1外側スプロケット45が回動自在に支持され、下部支軸44の先端部にベアリングを介して第1内側スプロケット46が回動自在に支持されている(図13参照)。
【0048】
枠状フレーム15の上部前部に、左右の上部前部フレーム47が固定されており、この上部前部フレーム47に横断面形状が内向きに開口したコ字状の左右の上部前部ブラケット48が固定されている。左右の上部前部ブラケット48の内方側の上部から上部支軸49が延出されており、上部前部ブラケット48の内方側の下部から下部支軸50が延出されている。上部支軸49は下部支軸50より短く設定されており、上述した第1外側スプロケット45及び第1内側スプロケット46と同様の構造で、上部支軸49の先端部にベアリングを介して第2外側スプロケット51が回動自在に支持され、下部支軸50の先端部にベアリングを介して第2内側スプロケット52が回動自在に支持されている。
【0049】
図4,図7,図12に示すように、枠状フレーム15の下部前部に、左右の下部前部フレーム53が固定されており、この下部前部フレーム53に横断面形状が内向きに開口したコ字状の左右の下部前部ブラケット54が固定されている。左右の下部前部ブラケット54の内方側から支軸55が延出されており、この支軸55にベアリングを介して第3外側スプロケット56が回動自在に支持され、この第3外側スプロケット56の内側における支軸55の先端部にベアリングを介して第3内側スプロケット57が回動自在に支持されている。
【0050】
図4,図6,図12に示すように、枠状フレーム15の下部後部に、左右の下部後部フレーム58が固定されており、この左右の下部後部フレーム58に亘って左右に長い回転軸59がベアリングを内蔵した左右の軸受部材により左右方向の軸心周りで回動自在に支持されている。回転軸59の右端部及び左端部にはそれぞれボス部材60が固定されており、このボス部材60の外側に外側駆動スプロケット61が一体回動自在に固定され、ボス部材60の内側に内側駆動スプロケット62が一体回動自在に固定されている。
【0051】
左側の下部後部フレーム58と後縦フレーム15cとに亘って横断面形状がハット状のモータブラケット63が締め付け固定されている。モータブラケット63には、減速装置を内蔵した電動式の駆動モータ64が締め付け固定されており、この駆動モータ64の横向きの出力軸がカップリングを介して回転軸59の左端部と連動連結されている。
【0052】
図11及び図12に示すように、左右の下部前部フレーム53の後部から内方側に横向きの揺動軸65が延出されており、この揺動軸65に揺動アーム66が左右向きの軸心周りに揺動自在に支持されている(図7参照)。揺動アーム66の先端部には、左右向きの支軸を介して左右向きの軸心周りで第4内側スプロケット67が回動自在に支持されており、揺動アーム66の下方側には、揺動アーム66の下方への揺動範囲を規制するストッパー68が下方への揺動範囲を変更調節可能に装備されている。
【0053】
基部フレーム14から上方に左右のブラケット69が延出されており、このブラケット69の上端部にテンションアーム70が左右方向の軸心周りで揺動自在に支持されている。テンションアーム70の先端部には、左右向きの支軸を介して左右向きの軸心周りでテンションスプロケット71が回動自在に支持されている。
【0054】
左右の中縦フレーム15bに亘って設けられた横フレーム15eの左右両端部から前方に左右のブラケット72が延出されており、このブラケット72の先端部と揺動アーム66の先端部とに亘って弾性バネ73が張力を調節可能に取り付けられている。ブラケット72から下方に延出された部分とテンションアーム70の後端部とに亘って弾性バネ74が張力を調節可能に取り付けられている。
【0055】
左右の下部後部フレーム58の後部から内方側に横向きの揺動軸75が延出されており、この揺動軸75に揺動アーム76が左右向きの軸心周りに揺動自在に支持されている(図6参照)。揺動アーム76の先端部には、左右向きの支軸を介して左右向きの軸心周りで第5内側スプロケット77が回動自在に支持されており、揺動アーム76の下方側には、揺動アーム76の下方への揺動範囲を規制するストッパー78が下方への揺動範囲を変更調節可能に装備されている。
【0056】
図11及び図12に示すように、第1外側スプロケット45と、第2外側スプロケット51と、第3外側スプロケット56と、テンションスプロケット71と、外側駆動スプロケット61とに亘って外側伝動チェーン79が巻回張設されており、駆動モータ64を回転駆動させて外側駆動スプロケット61が回転すると、外側伝動チェーン79に装着された後述するホルダー85の上部を外側伝動チェーン79のチェーン軌跡に沿って移動できるように構成されている。
【0057】
第1内側スプロケット46と、第2内側スプロケット52と、第3内側スプロケット57と、第4内側スプロケット67と、第5内側スプロケット77と、内側駆動スプロケット62とに亘って内側伝動チェーン80が巻回張設されており、駆動モータ64を回転駆動させて内側駆動スプロケット62が回転すると、内側伝動チェーン80に装着された後述するホルダー85の下部を内側伝動チェーン80のチェーン軌跡に沿って移動できるように構成されている。
【0058】
外側伝動チェーン79の長さは、内側伝動チェーン80の長さと略同じ長さに設定されており、外側伝動チェーン79及び内側伝動チェーン80の上昇区間、上部横移動区間、及び下降区間では、外側伝動チェーン79のチェーン体79aと内側伝動チェーン80のチェーン体80aとの相対的な位置関係が変化せず、後述するホルダー85によって保持した育苗箱Cを略水平な状態で平行移動できるように構成されている。内側伝動チェーン80は、ホルダー85によって育苗箱Cを保持しない下部横移動区間で、第3内側スプロケット57及び内側駆動スプロケット62より上方に配設された第4内側スプロケット67及び第5内側スプロケット77によって、外側伝動チェーン79との長さの差が調節されるように構成されている。
【0059】
図13〜図15に示すように、外側伝動チェーン79のチェーン体79aには、縦断面形状がL字状のチェーンブラケット81が左右の連結部材82を介して連結されており、このチェーンブラケット81の内方側端部の下方側へ折り曲げられて部分に、左右向きの支軸83が固定されている。内側伝動チェーン80のチェーン体80aには、左右向きの支軸84が連結されている。
【0060】
ホルダー85は、外側伝動チェーン79及び内側伝動チェーン80に連結されるホルダーブラケット86と、このホルダーブラケット86の上部に連結された支持爪取付部材87と、この支持爪取付部材87に連結された支持爪88と、ホルダーブラケット86の下部に取り付けられた案内部材89と、ホルダーブラケット86の外面側に固定された位置決め部材90とを備えて構成されており、支持爪88が育苗箱C側に揺動し倒伏した作用姿勢と、支持爪88が上方へ揺動し起立した非作用姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0061】
ホルダーブラケット86は、横断面形状が内向きに開口したコ字状に形成されており、上下に長い縦長に形成されている。ホルダーブラケット86の上部には、左右向きの貫通穴が形成されたボス部材91が固着されており、このボス部材91に外側伝動チェーン79に連結された支軸83が回動自在に内嵌されている。ホルダーブラケット86及び位置決め部材90の下部には、上下に長い長穴86aが形成されており、この長穴86aに内側伝動チェーン80に連結された支軸84が筒状部材92を介して回動自在でかつ長穴86aに沿って移動可能に取り付けられている。
【0062】
位置決め部材90の下部には、左右向きの下部支軸93が固着され、この下部支軸93に円筒状の案内部材89が左右方向の軸心周りで回動自在に内嵌されており、この案内部材89の外周部に、案内溝89aが全周に亘って形成されている。
【0063】
位置決め部材90は、ホルダーブラケット86の内面側に固定されており、ホルダーブラケット86及び位置決め部材90によってホルダーブラケット86の全周に亘って凹入した案内溝90aが形成されるように構成されている。
【0064】
ホルダーブラケット86の上端部及び下端部には、斜め内方側に傾斜した傾斜部86bが形成され、位置決め部材90の上端部及び下端部には、斜め外方側に傾斜した傾斜部90bが形成されており、ホルダーブラケット86及び位置決め部材90の傾斜部86b,90bにより、ホルダーブラケット86の案内溝89aに後述する第1及び第2後部ガイド94,95、並びに第1及び第2前部ガイド96,97を無理なく導くことができる。
【0065】
ホルダーブラケット86の上部には、前後のボス部86cが一体成形されており、このボス部86cに形成された前後向きの貫通穴にピンを介して支持爪取付部材87が前後方向の軸心P1周りに揺動可能に取り付けられている。
【0066】
支持爪取付部材87の下部には、接当部87aが形成されており、この接当部87aがホルダーブラケット86の上部内面側と接当することで、支持爪取付部材87の下方への揺動が規制され、これにより、育苗箱Cを支持することができる。
【0067】
図14に示すように、支持爪取付部材87の上面側には、支持爪88の上面側及び支持爪88の下側に位置する支持爪取付部材87の下面側にネジが突出しないように、支持爪88が上方から皿ネジにより締め付け固定されている。支持爪88には、前後に長い平板状に形成されており、内方側端部88Aは斜め内方下方に折り曲げ成形した形状に成形され、外方側端部に斜め外方上方に折り曲げ成形したストッパー部88Bが一体成形されている。
【0068】
内方側端部88Aの形状は、支持爪88の育苗箱Cを載置する育苗箱載置面と内方側端部88Aにより形成される角度αが約30°から約45°になるように設定されており、育苗箱載置面と内方側端部88Aとに亘って滑らかに湾曲し、この湾曲した端部から斜め内方下方に直線状に延出された形状になるように設定されている。
【0069】
図15に示すように、支持爪88の前端部及び後端部における内方側には、斜めに切り欠かれた切り欠き部88Cが形成されている。切り欠き部88Cの形状は、斜めに直線状に切り欠かれた形状に形成されており、直線状に切り欠かれた切り欠き部88Cの両端部は、丸く湾曲した形状に形成されている。また、切り欠き部88Cは、長手方向(前後方向)に切り欠かれた長さが、短手方向(左右方向)に切り欠かれた長さより長くなるように構成されている。
【0070】
支持爪88の後端部に形成された切り欠き部88Cにより、ホルダー85が積み重ねられた育苗箱Cの両側部に位置する状態で、下流側搬送コンベア13により育苗箱Cを搬出する場合において、支持爪88の後部の育苗箱Cへの引っ掛かりを防止でき、育苗箱C及びホルダー85の破損を防止できる。
【0071】
具体的には、例えば、図4及び図33(ホ)に示すようなホルダー85が積み重ねられた育苗箱Cの両側部に位置する状態で、下流側搬送コンベア13により育苗箱Cを搬出する場合において、支持爪88の後端部に設けられた切り欠き部88Cによって支持爪88の後部の角部が育苗箱Cの側面に引っ掛かり難くなって、無理なく育苗箱Cを下流側搬送コンベア13により搬出することができる。
【0072】
また、支持爪88の前端部及び後端部に形成された切り欠き部88Cにより、ホルダー85により支持した育苗箱Cを既に積み重ねられた育苗箱Cの上に積み重ねる場合における支持爪88の前端部及び後端部の育苗箱Cの底部への引っ掛かりを防止でき、無理なく育苗箱Cを積み重ねることができる。
【0073】
図14に示すように、支持爪88を支持爪取付部材87に取り付けた状態で、支持爪取付部材87の重心位置が前後向きの軸心P1より内方側に位置するようにホルダーブラケット86に支持爪取付部材87が揺動可能に支持されており、ホルダーブラケット86が上下に起立した状態で移動すると、支持爪88を取り付けた支持爪取付部材87がその自重により作用姿勢に姿勢変更され、支持爪88が積み重ねられた育苗箱Cにより下方側から上方に押し上げられると、支持爪取付部材87及び支持爪88が左右向きの軸心P1周りに上方へ揺動して非作用姿勢に姿勢変更されるように構成されている。
【0074】
なお、例えば弾性バネ等の付勢部材を支持爪取付部材87とホルダーブラケット86とに亘って設けて、支持爪取付部材87及び支持爪88を作用姿勢側に付勢するように構成してもよい。
【0075】
図11及び図15に示すように、枠状フレーム15の後縦フレーム15cに上下に長い左右の第1及び第2後部ガイド94,95が固定されており、枠状フレーム15の前縦フレーム15aに上下に長い左右の第1及び第2前部ガイド96,97が固定されている。
【0076】
図11及び図13に示すように、枠状フレーム15に固定された上部後部フレーム41と上部前部フレーム47とに亘って前後に長い左右の上部ガイド98が固定されている。
【0077】
図11,図13,図15に示すように、ホルダー85が上昇区間を移動する際には、第1及び第2後部ガイド94,95が位置決め部材90に形成された前後の案内溝90aにそれぞれ係合して、第1及び第2後部ガイド94,95に沿ってホルダーブラケット86が上昇し、ホルダー85が下降区間を移動する際には、第1及び第2前部ガイド96,97が位置決め部材90に形成された前後の案内溝90aにそれぞれ係合して、第1及び第2前部ガイド96,97に沿ってホルダーブラケット86が下降する。これにより、ホルダーブラケット86の上下方向への移動を第1及び第2後部ガイド94,95並びに第1及び第2前部ガイド96,97により規制することができ、ホルダー85によって保持した育苗箱Cを上方及び下方へ略水平な状態で無理なく搬送することができる。
【0078】
また、ホルダー85が上部横移動区間を移動する際には、上部ガイド98が案内部材89の案内溝89aに下側から係合し、上部ガイド98に沿ってホルダーブラケット86を移動させることができるように構成されている。これにより、ホルダーブラケット86の下方側への移動を上部ガイド98によって規制して、ホルダー85によって支持した育苗箱Cの重さにより外側伝動チェーン79及び内側伝動チェーン80が下方側へ撓むことを防止でき、ホルダー85によって保持した育苗箱Cを前方へ略水平な状態で無理なく搬送することができる。
【0079】
これにより、外側伝動チェーン79及び内側伝動チェーン80の上昇区間、上部横移動区間、及び下降区間で、ホルダー85のホルダーブラケット86が上下に長く略起立した状態で移動し、上昇区間の下部の上昇開始位置で保持した育苗箱Cを、育苗箱Cが略水平になった状態で、上部横移動区間を介して下降区間に搬送し、下降区間の下部の下降積重位置に育苗箱Cを順に積み重ねることができる。
【0080】
育苗箱Cを保持したホルダー85が既に積み重ねた育苗箱Cに上方から接近して、ホルダー85の支持爪88が既に積み重ねた育苗箱Cに接当すると、ホルダー85の支持爪取付部材87が前後方向の軸心P1周りに上方に揺動して非作用姿勢に姿勢変更され、ホルダー85により保持した育苗箱Cを既に積み重ねた育苗箱Cの上に積み重ねることができる。そして、既に積み重ねた育苗箱Cの左右両側部を通って下方へ移動し、下部横移動区間で外側伝動チェーン79及び内側伝動チェーン80の長さが調節されて、再び上昇区間に移動すると、ホルダー85のホルダーブラケット86が上下に長く略起立した状態になって、支持爪88が作用姿勢に姿勢変更される。
【0081】
図4,図5,図11に示すように、枠状フレーム15における上部フレーム15dの前端部の左右中央部から側面視での形状が下向きのL字状に折り曲げ成形された前部位置決め規制部材100が前後方向の取付位置を変更調節可能に取り付けられている。前部位置決め規制部材100には、上部フレーム15dから前方延出された前端部から下方に延出された接当部100Aが形成されており、上部横移動区間から搬送された育苗箱Cがこの前部位置決め規制部材100の接当部100Aに接当し、育苗箱Cを積み重ねる前後方向の位置決めができるように構成されている。
【0082】
枠状フレーム15における左右の前縦フレーム15aの上端部と前部支持フレーム40の左右両側部とに亘って左右の前部側部規制部材101が左右方向の取付位置を変更調節可能に取り付けられている。
【0083】
枠状フレーム15における左右の中縦フレーム15bの上部から前方にブラケット102が延出され、左右の中縦フレーム15bの下部に亘って設けられた横フレーム15eに左右の下部ブラケット103が固定されており、このブラケット102と下部ブラケット103とに亘って後部側部規制部材104が左右方向の取付位置を変更調節可能に取り付けられている。
【0084】
枠状フレーム15における左右の中縦フレーム15bに亘って固定され上下の横フレーム15e,15eの左右中央部からそれぞれ前方及び後方に上部ブラケット105及び下部ブラケット106が固定されており(図8参照)、この前側の上部ブラケット105と下部ブラケット106とに亘って後部位置決め規制部材107が前後方向の取付位置を変更調節可能に取り付けられており、後側の上部ブラケット105と下部ブラケット106とに亘って上昇側規制部材108が取り付けられている。
【0085】
図11に示すように、上流側搬送コンベア11により下流側へ搬送されてきた育苗箱Cは、位置決め部材33に接当して、上昇開始位置に位置決めされる。この上昇開始位置に位置決めされた育苗箱Cが下方側からホルダー85により上昇区間を持ち上げられて、上方へ搬送される。この場合、育苗箱Cは、上昇側規制部材108に案内されながら前方への移動が規制されて上昇する。
【0086】
上部横移動区間に移動した育苗箱Cは、前方に搬送され、前部位置決め規制部材100に接当して、育苗箱Cの前後方向の位置が位置決めされ、前部位置決め規制部材100,前部側部規制部材101及び後部位置決め規制部材107上部の湾曲部107Aに、育苗箱Cが案内されながら前後及び左右方向への移動が規制された状態で、下降区間の上部を下降する。
【0087】
育苗箱Cが更に下降すると、前部側部規制部材101、後部側部規制部材104及び後部位置決め規制部材107により、育苗箱Cの左右方向及び後方への移動が規制された状態で、下降区間を移動し、既に積み重ねられた育苗箱Cの上に精度よく育苗箱Cが積み重ねられる。
【0088】
上記のように、上昇側規制部材108、前部位置決め規制部材100、前部側部規制部材101、後部側部規制部材104、及び後部位置決め規制部材107により、育苗箱Cを、互いにずれることなく精度よく高く積み重ねることができる。
【0089】
[育苗箱積み重ね装置の運転状況]
図2及び図4に基づいて、育苗箱積み重ね装置3の運転状況について説明する。図2及び図4に示すように、播種機2に接続されたローラーコンベア2aから、播種された育苗箱Cが前後に連なった状態で上流側搬送コンベア11に搬送される。上流側搬送コンベア11の搬送速度は、ローラーコンベア2aの搬送速度より速く設定されており、ローラーコンベア2aからの育苗箱Cが上流側搬送コンベア11に搬送されると、少し早送りされて、前後の育苗箱Cの間に隙間が形成される。これにより、上昇開始位置に搬送された育苗箱Cがホルダー85により持ち上げるまでに、次の育苗箱Cが上昇開始位置に搬送されることを防止できる。
【0090】
ローラーコンベア2aからの育苗箱Cが上昇開始位置に搬送されると、育苗箱積み重ね機構12のホルダー85により支持されて上昇区間を上昇する。育苗箱Cが上昇開始位置から上昇すると、次の育苗箱Cが上昇開始位置に搬送される。この場合、ローラーコンベア2a及び上流側搬送コンベア11は連続的に駆動して、育苗箱Cが連続的に供給される。
【0091】
育苗箱積み重ね機構12は、所定のタイミングで駆動及び停止(間欠駆動)するように構成されており、連続的に駆動される上流側搬送コンベア11に対して育苗箱積み重ね機構12を間欠駆動させることで、育苗箱積み重ね機構12のホルダー85による持ち上げタイミングと、上昇開始位置に供給される育苗箱Cの搬送タイミングとを合致させて、効率よく育苗箱Cを積み重ねることができるように構成されている。なお、上流側搬送コンベア11を間欠駆動させて、育苗箱積み重ね機構12を連続的に駆動させるように構成してもよい。
【0092】
ホルダー85により支持された育苗箱Cは、下流側搬送コンベア13の上部に順に積み重ねられる。そして、所定段数(例えば30段)に積み重ねられると、所定段数に積み重ねられたことを、育苗箱積み重ね装置3の上部に装備された高さ検出手段(図示せず)により検出し、直ちに下流側搬送コンベア13が駆動される。
【0093】
下流側搬送コンベア13の下流側端部には、育苗箱Cの通過位置を検出する位置検出手段(図示せず)が装備されており、この位置検出手段により育苗箱Cがローラーコンベア4の上部に移動した(下流側搬送コンベア13から育苗箱Cが搬出された)と判断されると、下流側搬送コンベア13が停止するように構成されている。
【0094】
下流側搬送コンベア13の駆動を開始してから所定時間経過するまでに、位置検出手段により育苗箱Cがローラーコンベア4の上部に移動したと判断されない場合には、育苗箱Cの搬出に異常が生じたものと判断されて、育苗箱積み重ね装置3、及び播種機2に接続されたローラーコンベア2aが停止するように構成されている。これにより、例えば所定段数に積み重ねられた育苗箱Cの上に、更に育苗箱Cが積み重ねられることを防止しながら、連続的に下流側コンベア13の上に育苗箱Cを積み重ねることができる。
【0095】
なお、ローラーコンベア4に搬送された育苗箱Cは、後述するローラーコンベア4の下流側端部に装備されたストッパー部材113に接当して停止する。
【0096】
下流側搬送コンベア13から育苗箱Cが搬出されると、直ちに育苗箱積み重ね機構12により、次の育苗箱Cが下流側搬送コンベア13の上に積み重ねられ、以降は、上述した動作を繰り返して、連続的に播種機2から搬送された育苗箱Cを積み重ねることができる。
【0097】
[育苗箱受け渡し部の詳細構造]
図16〜図19に基づいて、育苗箱受け渡し部5の詳細構造について説明する。図16及び図17は、育苗箱受け渡し部5の全体側面図及び全体平面図を示し、図18は、育苗箱受け渡し部5の要部の側面図を示す。図19は、育苗箱受け渡し部5の上流側の高さ関係を説明する側面図を示す。
【0098】
図16に示すように、育苗箱受け渡し部5は、育苗箱積み重ね装置3の下流側搬送コンベア13の前端部に接続されたローラーコンベア4の前端部に接続されている。このように、育苗箱受け渡し部5を育苗箱積み重ね装置3から分離させることで、育苗装置1全体としての構造を簡素化することができ、例えば全自動で育苗箱Cの受け渡しまで行うように育苗装置を構成する場合(図示せず)に比べ、製造コストを削減できる。
【0099】
図16〜図18に示すように、ローラーコンベア4は、左右のコンベアフレーム110に、複数のローラー111を左右向きの軸心周りで回動自在に支持して構成されている。左右のコンベアフレーム110には、支持フレーム112が連結されており、この支持フレーム112の左右の支持脚112aの下端部にアジャスター112bが上下方向に調節可能に取り付けられて、ローラーコンベア4の高さを変更調節できるように構成されている。
【0100】
ローラーコンベア4の後端部は、育苗箱積み重ね装置3の下流側搬送コンベア13の左右のコンベアフレーム34に連結されており、ローラーコンベア4の前端部は、後述する育苗箱受け渡し部5の後端部に連結されている。
【0101】
育苗箱受け渡し部5は、受け渡し台115と、受け渡し台115を支持する前後及び左右の支持フレーム116と、受け渡し台115の上部に固定されたローラーコンベア117と、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cを受け止める育苗箱ストッパー118とを備えて構成されている。
【0102】
受け渡し台115は、前後に長い左右のフレーム119と、この左右のフレーム119の前端部及び後端部に亘って設けられた前後の横フレーム120とを備えて構成されており、この前後の横フレーム120の上面側に、後述する補助搬送台車150の車輪154を案内する前後のガイドレール121が固定されている。前後のガイドレール121は、側面視での縦断面形状がL字状に形成されており、この前後のガイドレール121の左右両端部に、左右のナットが固着されている。
【0103】
ガイドレール121の左右両端部に固着された右又は左のナットにボルト122をねじ込むことで、このボルト122が後述する補助搬送台車150の車輪154が最もガイドレール121内に深く入り込んだ位置を規制するストッパーとして機能するように構成されており、これにより、後述する補助搬送台車150の脱落を防止できる。また、ボルト122をガイドレール121の逆側のナットに固定することで、育苗箱受け渡し部5の逆側から後述する補助搬送台車150を受け入れることができるように構成されている。
【0104】
受け渡し台115のフレーム119の4隅には、平面視での形状が長方形状の係合孔119Aが形成されており、この係合孔119Aに後述する搬送台車6のロック爪145を係合させることで、搬送台車6を右側及び左側から受け渡し台115に固定できるように構成されている。
【0105】
このように、育苗箱受け渡し部5の左右両側部から補助搬送装置150を接続できるように構成することにより、育苗箱受け渡し部5に汎用性を持たせることができ、例えば育苗箱受け渡し部5の配置等が制限され難くなって、育苗箱受け渡し部5の据え付け等が容易になる。
【0106】
左右のフレーム119の前端部及び後端部には、支持フレーム116が連結されており、この支持フレーム116の左右の支持脚116aの下端部にアジャスター116bが上下方向に調節可能に取り付けられており、育苗箱受け渡し部5の高さを変更調節できるように構成されている。
【0107】
ローラーコンベア117は、左右のコンベアフレーム123に、複数のローラー124を左右向きの軸心周りで回動自在に支持して構成されており、複数のローラー124により形成される搬送面117Aが少し前方下方に傾斜するように、複数のローラー124が上下に位置をずらして配設されている。左右のコンベアフレーム123には、左右向きの前後の位置決め穴123Aが形成されており、この位置決め穴123Aに後述する搬送台車6の支持部材138の浮き上がり防止部138Aが入り込んで、育苗箱受け渡し部5と搬送台車6の位置決めができ、搬送台車6の浮き上がりを防止できるように構成されている。
【0108】
ローラーコンベア117の前側及び後側には、後述する補助搬送台車150が入り込む前後の補助搬送台車用空間Wが形成されており、この前後の補助搬送台車用空間Wにより、育苗箱Cがローラーコンベア117の上部に搬送された状態で補助搬送台車150を育苗箱受け渡し部5に出し入れできるように構成されている。
【0109】
後側の横フレーム120の後面側には、支持ブラケット125が固定されており、この支持ブラケット125の上部にローラーコンベア4のコンベアフレーム110を締め付け固定することで、育苗箱受け渡し部5の後部がローラーコンベア4の前端部と連結されている。
【0110】
育苗箱ストッパー118は、上下に長いストッパー部126と、このストッパー部126の上下中央部に連結された支持フレーム127と、ストッパー部126と支持フレーム127とに亘って連結された連結フレーム128とを備えて構成されている。
【0111】
ストッパー部126は、育苗箱受け渡し部5に搬送される育苗箱Cの高さ及び左右方向の幅に合わせて、その高さ及び左右方向の幅が設定されており、ストッパー部126の後面側に育苗箱Cが接当する接当面118Aが形成されて、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cがこの育苗箱ストッパー118の接当面118Aに接当して整列されるように構成されている。
【0112】
ストッパー部126の上下中央部に支持フレーム127が連結し、支持フレーム127の上下中央部とストッパー部126の下部とに亘って連結フレーム128が連結することで、ストッパー部126により受け止めた育苗箱Cの荷重を支持フレーム127によって支持できるように構成されている。
【0113】
育苗箱ストッパー118の接当面118Aが少し前方に傾斜するように、育苗箱ストッパー118が構成されており、育苗箱ストッパー118の接当面118Aと、ローラーコンベア117の搬送面117Aとによって形成される角度βが略90°になるように構成されている。
【0114】
なお、ローラーコンベア117の搬送面117Aの傾斜角度は、ローラーコンベア117の複数のローラー124の高さを変更して調節できるように構成されており、育苗箱ストッパー118の傾斜する角度は、支持フレーム127に装備された調節具(図示せず)、及びストッパー部126下部の調節具126aにより変更調節できるように構成されている。
【0115】
図19に示すように、ローラーコンベア4の搬送面4Aの高さが、下流側搬送コンベア13の搬送面13Aより低くなるように、ローラーコンベア4の搬送面4Aと下流側搬送コンベア13の搬送面13Aとの間に段差h1が形成されており、育苗箱受け渡し部5のローラーコンベア117の搬送面117Aの高さがローラーコンベア4の搬送面4Aの高さより低くなるように、ローラーコンベア117の搬送面117Aとローラーコンベア4の搬送面4Aとの間に段差h2が形成されている。
【0116】
これにより、下流側搬送コンベア13の上部に積み重ねられた育苗箱Cが下流側搬送コンベア13を回転駆動させることにより下流側に移動すると、下流側搬送コンベア13の搬送面13Aより低く設定されたローラーコンベア4の搬送面4Aに、下流側搬送コンベア13からの育苗箱Cが無理なく移動し、下流側搬送コンベア13によって育苗箱Cに付加された慣性力によりローラーコンベア4の上を育苗箱Cが移動する。この場合、例えば積み重ねられた育苗箱Cの重さにより育苗箱Cの縁部が下方側に変形したとしても、段差h1により育苗箱Cを無理なくローラーコンベア4側に移動させることができる。
【0117】
また、下流側搬送コンベア13の前端部とローラーコンベア4のローラーコンベア4の後端部とを連結するために、下流側搬送コンベア13の最も下流側に位置する搬送ローラー35とローラーコンベア4の最も上流側に位置するローラー111との距離を、ローラーコンベア4のローラー111のピッチより長い寸法L1に設定したとしても、段差h1により育苗箱Cを無理なくローラーコンベア4側に移動させることができる。
【0118】
ローラーコンベア4の上に移動した育苗箱Cは、ローラーコンベア4の前端部に設けられたストッパー部材113に接当して、ローラーコンベア4の上で停止する(図18参照)。そして、ストッパー部材113を手動で操作し(例えば搬送面4Aより下に位置するようにストッパー部材113を下方へ操作し)、育苗箱Cを少し手で前方へ押すことにより、育苗箱Cが育苗箱受け渡し部5のローラーコンベア117の上に移動する。この場合、例えば積み重ねられた育苗箱Cの重さにより育苗箱Cの縁部が下方側に変形したとしても、段差h2により育苗箱Cを無理なくローラーコンベア117側に移動させることができる。そして、ローラーコンベア117の上に移動した育苗箱Cは、育苗箱ストッパー118に接当して停止し、搬送台車6への受け渡しが可能な状態になる。
【0119】
また、後述する補助搬送台車150の車輪154を受け入れる補助搬送台車用空間Wをローラーコンベア4とローラーコンベア117との間に形成するために、ローラーコンベア4の最も下流側に位置するローラー111とローラーコンベア117の最も上流側に位置するローラー124を、ローラーコンベア4のローラー111のピッチ及びローラーコンベア117のローラー124のピッチより長い寸法L2に設定したとしても、段差h2により育苗箱Cを無理なくローラーコンベア117側に移動させることができる。
【0120】
例えば育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cの一部が前方又は後方にずれた場合であっても、育苗箱Cが育苗箱ストッパー118に接当する際に位置決めされて、育苗箱受け渡し部5に搬送されてローラーコンベア117に支持された状態では、積み重ねられた育苗箱Cが整列されるように構成されている。
【0121】
これにより、育苗箱Cの積み重ね時や育苗箱受け渡し部5までの搬送途中に育苗箱Cに生じた育苗箱Cのずれや傾きを修正することができる。
【0122】
[搬送台車の詳細構造]
図20〜図23に基づいて、搬送台車6の詳細構造について説明する。図20及び図21は、搬送台車6の全体側面図及び全体平面図をそれぞれ示す。図22は、搬送台車6の背面図を示し、図23は、搬送台車6の前部の縦断側面図を示す。なお、以下の搬送台車6の説明において、図21における紙面左方及び右方をそれぞれ前方及び後方と表示し、図21における紙面上方及び下方をそれぞれ右方及び左方と表示する。
【0123】
図20〜図23に示すように、搬送台車6は、台車フレーム130と、台車フレーム130に装着された前部キャスター131及び後部キャスター132と、左右の手摺133と、台車フレーム130の上部に高さ調節可能に取り付けられた昇降フレーム134とを備えて構成されている。
【0124】
台車フレーム130は、左右に長い下向きに開口したコ字状の前後の横フレーム135と、この前後の横フレーム135の左右両端部に亘って設けられた左右の前後フレーム136とを備えて構成されており、左右の前後フレーム136の前部に固定式の前部キャスター131が締め付け固定され、左右の前後フレーム136の後部に後部キャスター132が締め付け固定されている。後部キャスター132は、上下向きの軸心周りで回動自在な自在式に構成されており、キャスター輪を足の踏み込み操作によりロック及びロック解除可能なロック具132aが装着されている。
【0125】
昇降フレーム134は、前後の横フレーム135に上方から嵌め込まれた縦断面形状が下向きに開口したコ字状の上部横フレーム137と、前後の上部横フレーム137の左右中央部に固定された支持部材138とを備えて構成させている。
【0126】
支持部材138は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状の成形されており、この支持部材138の上面側に、補助搬送台車150により搬送台車6側に移動させた育苗箱Cを支持できるように構成されている。
【0127】
上部横フレーム137の上部の左右両側部には、上下に長い複数の縦フレーム139が固定されており、複数の縦フレーム139の上部に亘って上部ガイドレール140が固定されており、複数の縦フレーム139の下部に亘って下部ガイドレール141が固定されている。上部ガイドレール140の下面側と下部ガイドレール141の上面側との間に、後述する補助搬送台車150の車輪154が入り込んで、上部ガイドレール140及び下部ガイドレール141に沿って補助搬送台車150を搬送台車6に着脱できるように構成されている。
【0128】
前後の横フレーム135の左右両端部と前後の上部横フレーム137の左右両端部とに亘って調節具としての調節ボルト142が設けられており、この調節ボルト142を上部横フレーム137の長穴137aに沿って上下に調節することで、横フレーム135に対する上部横フレーム137の高さ、すなわち昇降フレーム134の高さを変更調節できるように構成されている。
【0129】
支持部材138の前端部には、前方に突出した左右の浮き上がり防止部138Aが一体成形されており、この浮き上がり防止部138Aにより搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に接続した状態における搬送台車6の浮き上がりを防止できる。
【0130】
左右の浮き上がり防止部138Aの先端部は、横外方側に傾斜した形状に成形されており、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5のローラーコンベア117に側方から近づけると、この浮き上がり防止部138Aの先端部に案内されながら浮き上がり防止部138Aがローラーコンベア117のコンベアフレーム123に形成された左右の位置決め穴123Aに入り込んで、育苗箱受け渡し部5に対する搬送台車6の位置を無理なく位置決めできるように構成されている。
【0131】
支持部材138の前端部には、接当部138Bが形成されており、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5のローラーコンベア117に側方から近づけて搬送台車6をローラーコンベア117側に押し込むと、この接当部138Bがローラーコンベア117のコンベアフレーム123の外面に接当して、育苗箱受け渡し部5に対する搬送台車6の位置を無理なく位置決めできるように構成されている。
【0132】
このように、支持部材138は、育苗箱受け渡し部5に搬送台車6を接続する際における位置決め機構としても機能するように構成されており、これにより、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に容易に位置決めすることができる(図29及び図30参照)。
【0133】
左右の下部ガイドレール141の前端部に亘って、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5及び後述する育苗器7に連結する連結機構143が装備されている。連結機構143は、筒状部材144と、左右のロック爪145と、左右の操作具146とを備えて構成されている。
【0134】
左右の下部ガイドレール141には、ボス部が形成されており、このボス部に左右に長い筒状部材144が回動自在に内嵌されている。筒状部材144の左右両側部には、左右のロック爪145及び左右の操作具146が固定されており、右又は左の操作具146を揺動操作して筒状部材144を左右向きの軸心周りで回転させると、右又は左の操作具146の揺動操作に連動して左右のロック爪145が揺動するように構成されている。
【0135】
左右のロック爪145の先端部には、下方側へ突出した係合部145Aと、直線状の接当部145Bが形成されており、この係合部145Aが受け渡し台115のフレーム119に形成された係合孔119Aと係合し、接当部145Bが受け渡し台115のフレーム119の上面に接当することで、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に無理なく固定できる。また、ロック爪145の係合部145Aは、後述する育苗器7の横フレーム167に形成された開口部167Aとも係合するように構成されており、ロック爪145の係合部145Aの先端が横フレーム167の開口部167Aからの内側に入り込んで、ロック爪145の接当部145Bが育苗器7の横フレーム167の上面に接当することで、搬送台車6を育苗器7に固定できる(図27参照)。
【0136】
左右のロック爪145の係合部145Aの形状は、先細り状に形成されており、受け渡し台115のフレーム119又は育苗器7の横フレーム167に固定した状態で、係合部145Aの先端がフレーム119及び横フレーム167の内側に入り込むような形状に成形されている。これにより、ロック爪145の上方への抜けを防止でき、安定して搬送台車6を育苗箱受け渡し部5及び育苗器7に固定できる。
【0137】
左右の下部ガイドレール141の前端部には、前方に突出した左右の位置決め部材147が固定されている。左右の位置決め部材147は、横平板状に形成されており、平面視で斜めに傾斜した案内部147Aと、後述する育苗器7の案内ガイド部材168に接当して位置決めする位置決め部147Bが形成されている。搬送台車6を後述する育苗器7に近づけると、位置決め部材147の案内部147Aによって搬送台車6が育苗器7に対して中央側に案内され、位置決め部材147の位置決め部147Bによって育苗器7に対する搬送台車6の位置が位置決めされる。このように、位置決め部材147は、育苗器7に搬送台車6を接続する際における位置決め機構として機能するように構成されており、これにより、搬送台車6を育苗器7に簡易迅速に位置決めすることができる(図27参照)。
【0138】
昇降フレーム134の前後の横フレーム135の左右両側部には、左右の手摺133が固定されており、後部キャスター132のロック具132aを解除して左右の手摺133を左手及び右手で握って押し引きすることで、搬送台車6を前後に移動させることができるように構成されている。
【0139】
[補助搬送台車の詳細構造]
図24〜図26に基づいて、補助搬送台車150の詳細構造について説明する。図24及び図25は、補助搬送台車150の全体平面図及び全体側面図をそれぞれ示し、図26は、補助搬送台車150の要部の縦断背面図を示す。なお、以下の補助搬送台車150の説明において、図24における紙面左方及び右方をそれぞれ前方及び後方と表示し、図24における紙面上方及び下方をそれぞれ右方及び左方と表示する。
【0140】
図24〜図26に示すように、補助搬送台車150は、キャリアフレーム151と、キャリアフレーム151に昇降自在に装着された昇降部152と、キャリアフレーム151と昇降部152とに亘って設けられた平行四連リンク構造の昇降リンク機構153と、キャリアフレーム151に装着された前後及び左右の車輪154とを備えて、昇降部152が上昇した上昇姿勢と、昇降部152が下降した下降姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0141】
キャリアフレーム151は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状の左右の前後フレーム155と、左右の前後フレーム155に亘って固定されたパイプ製の連結フレーム156とによって構成されている。左右の前後フレーム155の前端部及び後端部には、左右向きの貫通孔が形成された前後のボス部が設けられており、この前後のボス部から外側に左右向きの前部支軸157及び後部支軸158が固定されて、前部支軸157及び後部支軸158に前後及び左右の車輪154が回動自在に支持されている。
【0142】
車輪154には、ツバ部154Aが一体成形されており、このツバ部154Aが受け渡し台115の前後のガイドレール121及び搬送台車6の下部ガイドレール141に接当することで、受け渡し台115及び搬送台車6に対して左右にずれ動くことなく補助搬送台車150を移動できる。
【0143】
昇降部152は、前後に長い左右の昇降フレーム159を備えて構成されている。左右の昇降フレーム159は、縦断面形状が下向きに開口したコ字状に成形されており、その前端部及び後端部に、左右向きの貫通穴が形成されたボス部が形成されている。
【0144】
左右の昇降フレーム159の上面側には、育苗箱載置板161が固定されている。育苗箱載置板161の後部には、斜め後方上方に延出された位置決め部161aが形成されており、育苗箱Cの積み重ねられた育苗箱受け渡し部5に補助搬送台車150を挿入すると、この位置決め部161aが最下部に位置する育苗箱Cに接当して、育苗箱Cに対する補助搬送台車150の位置決めができるように構成されている。
【0145】
昇降フレーム159の前側のボス部と前部支軸157とに亘って前部リンク162が枢支連結され、昇降フレーム159の後側のボス部と後部支軸158とに亘って後部リンク163が枢支連結されて、昇降部152を昇降する昇降リンク機構153が構成されている。左右の後部リンク163の後端部に亘ってパイプ製の昇降操作部160が固定されており、この昇降操作部160により、昇降リンク機構153を操作して昇降部152を昇降できるように構成されている。
【0146】
キャリアフレーム151と昇降フレーム159とに亘って弾性バネによって構成された付勢機構(図示せず)が装備されており、この付勢機構により昇降部152を下降姿勢側に付勢することで、昇降部152を容易に下降させることができ、補助搬送台車150を容易に上昇姿勢から下降姿勢に姿勢変更をできるように構成されている。
【0147】
以上のように補助搬送台車150を構成することで、昇降操作部160を下方側へ押し操作すると、昇降リンク機構153を介して昇降部152が上昇し、補助搬送台車150が上昇姿勢に姿勢変更される。昇降部操作部160の下方側への押し操作を解除すると、昇降部152の自重及び付勢機構により補助搬送台車150が下降姿勢に姿勢変更される。
【0148】
なお、補助搬送台車150の上昇姿勢を保持する上昇姿勢保持装置(図示せず)を装備することで、上昇姿勢に姿勢変更した状態で補助搬送台車150を移動させることができ、昇降操作部160を下方側へ押し操作しながら補助搬送台車150を移動させなくてもよくなって、補助搬送台車150の操作性を向上できる。
【0149】
[育苗器側受け入れ部の詳細構造]
図1,図27及び図28に基づいて、育苗器7における育苗器側受け入れ部165の詳細構造について説明する。図27及び図28は、育苗器側受け入れ部165の縦断側面図及び平面図をそれぞれ示す。
【0150】
図1,図27及び図28に示すように、育苗器7は、上方に積み重ねた育苗箱Cを、育苗箱Cの長手方向が図1における左右向き(図1の紙面上下向き)になり、この左右向きの育苗箱Cを図1における前後方向(図1の紙面左右方向)に並べて配設できるように構成されている。
【0151】
図27及び図28に示すように、育苗器7は、縦フレーム166と、この縦フレーム166に亘って設けられた横フレーム167とを備えて構成されている。縦フレーム166の両側部には、一枚板状の案内ガイド部材168が固定されており(図32参照)、この案内ガイド部材168にガイドレール部168Aが形成され、このガイドレール部168Aに、補助搬送台車150の車輪154が入り込んで、ガイドレール部168Aに沿って補助搬送台車150を育苗器7に着脱できるように構成されている。
【0152】
案内ガイド部材168の上部には、育苗箱載置部168Bが形成されており、前後の縦フレーム166の前後中央部には、支持フレーム169が固定されている。補助搬送台車150により育苗箱Cを育苗器7側に移動させて補助搬送台車150を下降姿勢に姿勢変更すると、育苗箱Cの両端部が育苗箱載置部168Bに接当して支持され、育苗箱Cの中央部が支持フレーム169の上面側に接当して支持されるように構成されている。
【0153】
横フレーム167は、縦断面形状がコ字状に成形されて、コ字状に成形した開口部167Aにより係合穴として機能するように構成されており、ロック爪145の係合部145Aの先端が横フレーム167の開口部167Aからの内側に入り込んで、ロック爪145の接当部145Bが育苗器7の横フレーム167の上面に接当することで、搬送台車6を育苗器7に固定できる。
【0154】
[育苗箱の受け渡し状況]
図29〜図32に基づいて、育苗箱Cの受け渡し状況について説明する。図29及び図30は、育苗箱受け渡し部5から搬送台車6への育苗箱Cの受け渡し状況を説明する縦断正面図及び縦断側面図を示し、図31及び図32は、搬送台車6から育苗器7への育苗箱Cの受け渡し状況を説明する正面図及び縦断側面図を示す。
【0155】
図29及び図30に示すように、育苗箱受け渡し部5に育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cが搬送された状態で、補助搬送台車150を載せた搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に近づけて位置決めし、搬送台車6の後部キャスター132のロック具132aをロックし、搬送台車6の連結機構143の操作具146を操作して搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に固定する。
【0156】
この場合、搬送台車6に設けた支持部材138の浮き上がり防止部138Aにより、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に簡易迅速に位置決めすることができ、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に正確に位置決めすることができる。
【0157】
次に、搬送台車6に載せた補助搬送台車150を下降姿勢で育苗箱受け渡し部5側に押して、補助搬送台車150を育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cの下側に挿入し、補助搬送台車150の昇降操作部160を下方側へ押し操作して補助搬送台車150を上昇姿勢に姿勢変更し、補助搬送台車150により育苗箱Cを支持する。そして、補助搬送台車150の昇降操作部160を搬送台車6側に引っ張って、育苗箱Cを支持した補助搬送台車150を上昇姿勢のままで搬送台車6側に移動させる。
【0158】
この場合、育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを補助搬送台車150により搬送台車6に移動させる際に、育苗箱Cの重さが搬送台車6に作用して、搬送台車6の前部を下方へ押し下げる力が作用し(図29の下向きの白矢印)、搬送台車6の後部を上方に浮上させる力が作用しても(図29の上向きの白矢印)、支持部材138の浮き上がり防止部138Aにより、搬送台車6の前部の下方への移動及び搬送台車6の後部の上方への浮き上がりを防止でき、安定して育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを補助搬送台車150により搬送台車6に移動させることができる。
【0159】
また、連結機構143により、搬送台車6を育苗箱受け渡し部5に連結でき、育苗箱受け渡し部5と搬送台車6との間で育苗箱Cを載せた補助搬送台車150を移動させる際に、育苗箱受け渡し部5と搬送台車6が離れることを防止できる。
【0160】
搬送台車6の上に補助搬送台車150が移動して、補助搬送台車150の昇降操作部160の下方側への押し操作を解除すると、補助搬送台車150が下降姿勢に姿勢変更され、育苗箱Cが搬送台車6の支持部材138に支持されて、育苗箱受け渡し部5から搬送台車6への育苗箱Cの移動が完了する。
【0161】
搬送台車6の連結機構143の操作具146を操作して搬送台車6の育苗箱受け渡し部5への固定を解除し、搬送台車6の後部キャスター132のロック具132aを解除することで、育苗箱Cを載せた搬送台車6を移動可能な状態を現出できる。
【0162】
図31及び図32に示すように、育苗箱Cを載せた搬送台車6を育苗器7に近づけて位置決めし、搬送台車6の後部キャスター132のロック具132aをロックし、搬送台車6の連結機構143の操作具146を操作して搬送台車6を育苗器7に固定する。
【0163】
次に、搬送台車6に載せた補助搬送台車150の昇降操作部160を下方側へ押し操作して補助搬送台車150を上昇姿勢に姿勢変更し、補助搬送台車150により育苗箱Cを支持する。上昇姿勢に姿勢変更した補助搬送台車150を育苗器7側に押して、育苗箱Cを載せた補助搬送台車150を上昇姿勢のままで育苗器7側に移動させる。
【0164】
育苗器7の上に補助搬送台車150が移動し、補助搬送台車150の昇降操作部160の下方側への押し操作を解除すると、補助搬送台車150が下降姿勢に姿勢変更され、育苗箱Cが育苗器7に支持されて、搬送台車6から育苗器7への育苗箱Cの移動が完了する。
【0165】
下降姿勢に姿勢変更された補助搬送台車150を搬送台車6側に引っ張って、搬送台車6の上に補助搬送台車150を移動し、搬送台車6の連結機構143の操作具146を操作して搬送台車6の育苗箱受け渡し部5への固定を解除し、搬送台車6の後部キャスター132のロック具132aを解除することで、育苗箱Cを載せた搬送台車6を移動可能な状態を現出できる。
【0166】
[育苗箱の積み重ね状況]
図33及び図34に基づいて、育苗箱Cの積み重ね状況について説明する。図33は、育苗箱Cの積み重ね状況を説明するホルダー85付近の縦断背面図を示し、図34は、直線状の支持爪99を採用した場合の育苗箱Cの積み重ね状況を説明するホルダー85付近の縦断背面図を示す。なお、図34は、育苗箱積み重ね装置3におけるホルダー85の支持爪88の効果を説明するための比較対象として示すものである。なお、図33及び図34においては、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の順に、育苗箱Cが積み重ねられている状態を示し、図34(イ)〜(ホ)は、図33(イ)〜(ホ)のそれぞれに対応するものである。
【0167】
図33(イ)及び(ロ)に示すように、ホルダー85の支持爪88の上面側に育苗箱Cを支持した状態で下降区間を下降し、既に積み上げられた育苗箱Cの上に上方から近づくと、支持爪取付部材87の下面側が既に積み上げられた育苗箱Cの縁部Caの上面側に接当する。
【0168】
図33(ロ)及び(ハ)に示すように、ホルダー85が更に下降すると、支持爪取付部材87は前後向きの軸心P1周りで上方に揺動し、この支持爪取付部材87に固定された支持爪88も前後向きの軸心P1周りで上方に揺動する。この場合、支持爪88に形成された内方側端部88Aの傾斜により、育苗箱Cが左右中央側へ案内されながら徐々に下降する。
【0169】
図33(ハ)及び(ニ)に示すように、支持爪88の内方側端部88Aの形状は、斜め内方下方に傾斜した形状に形成されているため、図33(ハ)の状態での既に積み重ねられた育苗箱Cの角部Cbを支点とする支持爪88の先端の高さhaを低く抑えることができ、ホルダー85により保持した育苗箱Cの浮き上がりが阻止され、支持爪88が徐々に揺動しながら、徐々に既に積み重ねられ育苗箱Cに対して外側に移動し、図33(ニ)に示す支持爪88の内方側端部88Aが略水平になり上下の育苗箱Cに挟まれた状態になる。
【0170】
図33(ニ)及び(ホ)に示すように、ホルダー85が更に下降すると、図33(ニ)に示す状態から支持爪88の内方側端部88Aの先端部が外側に抜けて、既に積み重ねられた育苗箱Cの上に育苗箱Cを無理なく安定して積み重ねることができる。
【0171】
育苗箱Cの保持を解除したホルダー85は、既に積み重ねられた育苗箱Cの側部を支持爪取付部材87及び支持爪88が揺動した状態のままで下降し、最も下側に位置する既に積み重ねられた育苗箱Cの下側にまで達すると、支持爪取付部材87及び支持爪88がその自重により下方に揺動する。そして、再び上昇開始位置において、育苗箱Cを下方側から保持することができる。
【0172】
図34に示すように、例えば支持爪99の内方側端部99Aの形状を直線状に形成すると、図34(ハ)の状態での既に積み重ねられた育苗箱Cの角部Cbを視点とする支持爪99の内方側端部99Aの先端の高さhbが高くなり、既に積み重ねられた育苗箱Cの上に育苗箱Cを積み重ねる際に育苗箱Cがずれ易くなる。
【0173】
また、図34(ロ)〜(ニ)に示す支持爪99の内方側端部99Aが育苗箱C側に入り込んだ状態で、支持爪99の内方側端部99Aの上側角部99Bが育苗箱Cの下面側に接当した状態で横側方に移動する。そのため、積み重ねる育苗箱Cに左右方向の力が作用し易くなって、既に積み重ねられた育苗箱Cに育苗箱Cを積み重ねる際に育苗箱Cがずれ易くなる。
【0174】
図33に示すような支持爪88の内方側端部88Aの形状を採用することにより、育苗箱Cを安定して積み重ねることができ、例えば育苗箱Cに盛られた土のこぼれや育苗箱Cに播種された種(例えば籾)の露出を防止できる。また、育苗箱Cを積み重ねる際のずれを防止でき、既に積み重ねられた育苗箱Cの上に精度よく育苗箱Cを積み重ねることができる。その結果、例えば育苗箱積み重ね機構12の速度を速くして、比較的高速で育苗箱Cを積み重ねることが可能になり、育苗箱積み重ね装置3の処理能力を向上できる。
【0175】
また、育苗箱Cを無理なく積み重ねることができる結果として、ホルダー85や育苗箱Cに無理な力が作用し難くなって、ホルダー85及び育苗箱の破損を防止でき、例えば育苗箱積み重ね装置3を運転中に、ホルダー85の破損等により育苗箱積み重ね装置3が停止する等の不具合が発生し難くなる。
【0176】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cを、補助搬送台車150によって搬送台車6に移動し、搬送台車6によって育苗箱Cを育苗器7に移動するように育苗装置1を構成した例を示したが、図35〜図41に示すように、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cを補助搬送台車150によってパレット173に移動するように育苗装置1を構成してもよい。
【0177】
図35は、育苗箱受け渡し部5及びパレット移動台車180の全体平面図を示し、図36及び図37は、育苗箱受け渡し部5及びパレット移動台車180の全体正面図、及びパレット移動台車180を左側方から見た側面図をそれぞれ示す。図38〜図40は、育苗箱受け渡し部5とパレット移動台車180との接続部を示す平面図、縦断側面図、及び縦断正面図をそれぞれ示し、図41は、遠隔操作具200の操作方法について説明する縦断正面図を示す。なお、後述する以外の他の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様である。
【0178】
図35〜図37に示すように、育苗箱積み重ね装置3の下流側にローラーコンベア4が接続されており、このローラーコンベア4の下流側に育苗箱受け渡し部5が接続されている。
【0179】
育苗箱受け渡し部5は、受け渡し台115と、受け渡し台115を支持する前後及び左右の支持フレーム116と、受け渡し台115の上部に連結されたローラーコンベア117と、育苗箱受け渡し部5に搬送された育苗箱Cを受け止める育苗箱ストッパー118とを備えて構成されている。
【0180】
受け渡し台115の左右両側部の上面側には、縦断面形状が内向きに開口したコ字状の前後のガイドレール170が固定されており、この前後のガイドレール170に補助搬送台車150の車輪154が入り込んで、補助搬送台車150をガイドレール170に沿って左右方向に移動できるように構成されている。なお、この実施形態における補助搬送台車150の車輪154には、ツバ部154Aは形成されておらず、補助搬送台車150の車輪154の外周面がガイドレール170及び後述するパレット173に装着したレール175に沿って移動するように構成されている。
【0181】
受け渡し台115は、ローラーコンベア117から左側方に延出された形状に成形されており、この受け渡し台115の左側方に延出された部分の端部の下側に、ブラケット171を介してレール部材172が固定されている。レール部材172には、後述するパレット移動台車180の車輪182の幅に合わせて成形された前後方向に長いレール本体172aが装備されており、このレール本体172aの前部又は後部から後述するパレット移動台車180の車輪182を位置決めして移動させることで、レール部材172に沿ってパレット移動台車180に載せたパレット173を前後に精度よく移動できるように構成されている。
【0182】
育苗箱受け渡し部5の左側端には、レール部材172に沿って前後方向に移動可能なパレット移動台車180が接続されている。パレット移動台車180は、フレーム部材181と、フレーム部材181の4隅の下部に装着された前後及び左右の車輪182と、フレーム部材181の前部及び後部の左右中央部に装着された操作具183とを備えて構成されている。
【0183】
フレーム部材181は、前後に長い縦断面形状が下向きに開口したコ字状の左右の前後フレーム184と、左右の前後フレーム184に亘って設けられた左右に長い縦断面形状が下向きに開口したコ字状の複数の横フレーム185とを備えて構成されている。横フレーム185には、上側から縦断面形状が下向きに開口したコ字状の可動フレーム186が上下位置調節可能に取り付けられており、横フレーム185に対して可動フレーム186を上下に調節することで、可動フレーム186の上面側に載置するパレット173の高さを変更調節できるように構成されている。
【0184】
フレーム部材181の四隅には、斜め外方側上方に傾斜した案内部187aを備えた複数のガイド部材187が固定されており、パレット173をパレット移動台車180に載置する際に、この複数のガイド部材187によりパレット173の位置決めができるように構成されている。
【0185】
パレット移動台車180の前後フレーム184の前端部及び後端部には、前後及び左右の車輪182が下方側から固定されており、前後の横フレーム185の左右中央部から延出されたフレーム188に、左右の操作具183が装着されている。操作具183の下部中央部には、上下位置調節可能に台車ストッパー183aが装備されており、この台車ストッパー183aの下端部に装着されたゴム部材を床面に接当させることで、パレット移動台車180の前後方向への移動を規制できるように構成されている。
【0186】
パレット移動台車180の右側端部における前端部及び後端部には、前後のブラケット189が固定されており、この前後のブラケット189に前後の位置決めストッパー190が装備されて、パレット移動台車180をレール部材172に沿って移動させると、位置決めストッパー190の接当部190aが育苗箱受け渡し部5の受け渡し台115の側面に接当して、育苗箱受け渡し部5に対するパレット移動台車180(パレット移動台車180に載置したパレット173)の前後方向の位置決めができるように構成されている。
【0187】
位置決めストッパー190には、2つのハンドル190bがそれぞれ装着されており、ブラケット189側のハンドル190bを緩めて外側のハンドル190bを操作することにより、ブラケット189に対する位置決めストッパー190の位置を変更調節して、位置決めストッパー190により位置決めするパレット移動台車180(パレット移動台車180に載置したパレット173)の前後方向の位置を変更調節できるように構成されている。
【0188】
パレット移動台車180の可動フレーム186の上面側にパレット173を載置することで、パレット移動台車180と共に、パレット173を移動させることができるように構成されている。パレット173には、左右方向に貫通する開口部173aが形成されており、この開口部173aにフォークリフト等の運搬装置(図示せず)のリフト爪(図示せず)を挿入することで、フォークリフト等の運搬装置によりパレット173を移動できるように構成されている。
【0189】
図35に示すように、パレット173の前側に位置する前部育苗箱載置部173Fに育苗箱Cの長手方向が前後向きになるように4つの育苗箱Cを左右に並設できるように構成されており、パレット173の後側に位置する後部育苗箱載置部173Rに育苗箱Cの長手方向が前後向きになるように、4つの育苗箱Cを左右に並設できるように構成されている。
【0190】
図35〜図37に示すように、パレット173の上面側には、左右方向に長い複数の支持部材174が固定されており、この支持部材174の上部に育苗箱Cを載置することで、支持部材174により育苗箱Cの前後両端部及び前後中央部を支持できるように構成されている。
【0191】
育苗箱Cの前端部及び後端部を支持する支持部材174には、左右に長い縦断面形状がL字状のレール175が固定されており(図39参照)、このレール175に沿って補助搬送台車150の車輪154が移動し、育苗箱Cを支持した補助搬送台車150をパレット173の上で無理なく移動できるように構成されている。補助搬送台車150にレール175を取り付けることにより、例えばパレット173の表面に凹凸がある場合であっても、補助搬送台車150の車輪154をレール175に沿って無理なく移動させることができる。
【0192】
図35及び図36に示すように、育苗箱受け渡し部5の受け渡し台115の左側端部には、育苗箱受け渡し部5のガイドレール170に対する支持部材174の前後方向の位置を位置決めする位置決め機構191が装着されている。
【0193】
図38〜図40に示すように、位置決め機構191は、受け渡し台115の左側端部に固定された前後向きの前後の支軸192と、この前後の支軸192に回動自在に支持された位置決め部材193と、前後の位置決め部材193に亘って設けられた連結操作部194とを備えて構成されており、図40(イ)に示す位置決め部材193が前後向きの軸心周りで下方へ揺動し倒伏した倒伏姿勢と、図40(ロ)に示す位置決め部材193が前後向きの軸心周りで上方へ揺動し起立した起立姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0194】
位置決め部材193は、支軸192に連結する連結部193aと、支持部材174の側部に固定されたレール175に上方から接当する案内部193bと、この案内部193bから折り曲げ成形されたレール位置決め部193cとを備えて構成されている。
【0195】
位置決め部材193の案内部193bの上面は、倒伏姿勢で、育苗箱受け渡し部5のガイドレール170における補助搬送台車150の車輪154が通過する面と略面一になるように(又は、補助搬送台車150の車輪154が通過する面より少し低くなるように)設定されており、位置決め部材193の案内部193bが、育苗箱受け渡し部5側のガイドレール170とパレット移動台車180側のレール174との間を補助搬送台車150が移動する際の、ガイドレール170とレール174との間の隙間を埋める架け渡し部材として機能するように構成されている。これにより、育苗箱受け渡し部5からパレット移動台車180のパレット173に無理なく育苗箱Cを支持した補助搬送台車150を移動させることができる。
【0196】
前後のレール位置決め部193bの幅は、前後のレール175のレール幅より少し狭く設定されており、位置決め部材193を無理なく姿勢変更でき、レール175と位置決め部材193のレール位置決め部193cが少しの隙間を開けて配設されるように構成されている(図39参照)。
【0197】
前後の位置決め部材193の上面側に亘って一枚板状の連結操作部194が固定されており、この連結操作部194により前側の位置決め部材193と後側の位置決め部材193を連動させることができるように構成されている。連結操作部194の前後中央部には、持ち手部194aが一体成形されており、この持ち手部194aを操作することにより、位置決め部材193を姿勢変更できるように構成されている。
【0198】
以上により、パレット173の前部育苗箱載置部173Fに育苗箱Cを移動する第1状態と、パレット173の後部育苗箱載置部173Rに育苗箱Cを移動する第2状態とを切り替える場合には、位置決め部材193を起立姿勢に姿勢変更した状態で、レール部材172に沿ってパレット173を載置したパレット移動台車180を前方又は後方に移動させる。
【0199】
そして、パレット移動台車180に装着した位置決めストッパー190を育苗箱受け渡し部5の受け渡し台115に接当させて、育苗箱受け渡し部5の受け渡し台115に対するパレット移動台車180の位置決めをし、位置決め部材193を倒伏姿勢に姿勢変更することで、育苗箱受け渡し部5の受け渡し台115に対するパレット移動台車180の位置の正確な位置決めができる。この場合、位置決め部材193がパレット移動台車180の前後方向の移動を規制することになるため、位置決め部材193をパレット移動台車180の前後方向への移動を規制する手段として機能させることができる。
【0200】
図41に示すように、育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを、補助搬送台車150でパレット移動台車180側に移動させる場合には、遠隔操作具200を用いる。遠隔操作具200は、長尺状のパイプ材により軽量かつ高強度に構成されており、一端部に操作部200aが設けられ、他端部に引っ掛け金具200bが設けられている。
【0201】
遠隔操作具200の引っ掛け金具200bを補助搬送台車150の昇降操作部160の金具160aに引っ掛けて、遠隔操作具200の操作部200aを下方へ少し押し操作することで、テコの原理により小さな力で補助搬送台車150の昇降操作部160を下方に揺動操作することができ、積み重ねられた育苗箱Cを補助搬送台車150により支持することができる。
【0202】
遠隔操作具200の操作部200aを下方へ押し操作した図41の実線で示す状態で、遠隔操作具200の操作部200aをパレット移動台車180側に押すことで、育苗箱Cを支持した補助搬送台車150をパレット移動台車180側に移動させることができる。パレット移動台車180の所定の位置に育苗箱Cを支持した補助搬送台車150が移動すると、遠隔操作具200の操作部200aを少し上方に持ち上げて、パレット173の支持部材174により育苗箱Cを支持させて、遠隔操作具200を手前側に引くことで、補助搬送台車150を育苗箱受け渡し部5に移動させることができる。その結果、パレット移動台車180の近くに移動しなくても、育苗箱受け渡し部5の右側からの操作で、育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cをパレット移動台車180に移動させることができ、パレット173への積み替え作業の作業性を向上できる。
【0203】
上述の順序で、遠隔操作具200を用いて補助搬送台車150によりパレット173の前部育苗箱載置部173Fの奥側から手前側へ順に育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを補助搬送台車150により移動させ、パレット173の前部育苗箱載置部173Fへ育苗箱Cを移動させる。前部育苗箱載置部173Fへの育苗箱Cの移動が完了すると、レール部材172に沿ってパレット移動台車180を前方に移動させて位置決めし、遠隔操作具200を用いて補助搬送台車150によりパレット173の後部育苗箱載置部173Rの奥側から手前側へ順に育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cを補助搬送台車150により移動させる。
【0204】
パレット173(前部及び後部育苗箱載置部173F,173R)への育苗箱Cの移動が完了すると、フォークリフト等の運搬装置のリフト爪をパレット173の開口部173aに挿入し、育苗箱Cを載せたパレット173をフォークリフト等の運搬装置で上昇させて、例えば育苗器(図示せず)や育苗場所等に移動させる。なお、図示しないが、フォークリフト等の運搬装置を使用しないで、育苗箱C及びパレット173を載せたパレット移動台車180を育苗器や育苗場所等に移動させるように構成してもよい。
【0205】
フォークリフト等の運搬装置によるパレット173の移動が完了すると、新たな支持部材174等を装着した空のパレット173をフォークリフト等の運搬装置又は人力でパレット移動台車180の上にセットする。そして、再び上述した順序で、育苗箱受け渡し部5からの育苗箱Cをパレット移動台車180に載せたパレット173に移動させる。
【0206】
上記のように、育苗箱受け渡し部5、補助搬送台車150及びパレット移動台車180を構成することにより、例えば育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cを人力でパレット173に移し替える場合に比べ、育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cを簡易迅速にパレット173に移し替えることができる。また、例えば人力で育苗箱Cを移し替える場合には、人の手が届く範囲の高さでしか育苗箱Cを移し替えることができないが、補助搬送台車150を用いて育苗箱Cを移動させることにより、人の手が届き難い高さに積み重ねられた育苗箱Cであっても、育苗箱Cの積み重ねられた高さに制限されること無く、そのままパレット173に移し替えることができる。その結果、育苗箱積み重ね装置3により積み重ねられた育苗箱Cのパレット173への移し替え作業の作業性を向上できる。
【0207】
また、例えば補助搬送台車150の移動やパレット移動台車180の移動等に人力を有効に活用できるように構成することにより、補助搬送台車150やパレット移動台車180等を移動させる駆動源等が必要なくなって、育苗箱Cをパレット173に移動させる機構を簡素化することができ、コンパクトでかつ低コストな育苗装置1を実現できる。
【0208】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、支持爪88の内方側端部88Aの形状を、育苗箱載置面と内方側端部88Aとに亘って滑らかに湾曲し、この湾曲した端部から斜め内方下方に直線状に延出された形状になるように設定した例を示したが、例えば図42に示すような支持爪88の内方側端部88Aの形状を採用してもよい。
【0209】
図42(イ)に示すように、支持爪88の内方側端部88Aの形状を、湾曲部のみによって構成してもよく、図42(ロ)に示すように、直線部のみによって構成してもよい。
【0210】
図42(ハ)に示すように、支持爪88の内方側端部88Aの先端88Dの形状を、斜め内方下方に傾斜した形状に構成してもよく、図示しないが、支持爪88の内方側端部88Aの先端88Dの形状を、湾曲した形状や球状に構成してもよい。これにより、更に安定して精度よく育苗箱Cを積み重ねることができる。
【0211】
図42(ニ)に示すように、支持爪取付部材87と支持爪88とを一体成形してもよく、このように構成することにより、上下方向のホルダー85の厚み薄く構成することができ、更に精度よく育苗箱Cを積み重ねることができる。この場合、ストッパー部87Aは、図42(ニ)に示すように支持爪取付部材87に別部品として取り付けてもよく、支持爪取付部材87に一体成形してもよい(図示せず)。
【0212】
また、図示しないが、支持爪88の育苗箱Cを載置する育苗箱載置面と内方側端部88Aにより形成される角度αを異なる角度に設定してもよく、支持爪88の内方側端部88Aの長さを異なる長さに設定してもよい。
【0213】
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、支持爪88の切り欠き部88Cの形状を、直線状に形成した例を示したが、例えば図43に示すような支持爪88の切り欠き部88Cの形状を採用してもよい。
【0214】
図43(イ)に示すように、支持爪88の切り欠き部88Cの形状を、湾曲した形状に構成してもよく、図43(ロ)に示すように、段階的に切り欠いた形状に構成してもよい。
【0215】
また、図示しないが、支持爪88の切り欠き部88Cにおける支持爪88を切り欠く大きさや長さは、異なる大きさや長さを採用してもよい。
【0216】
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、支持爪88の前端部及び後端部に切り欠き部88Cを備えた例を示したが、後端部のみ(下流側搬送コンベア13による搬送方向とは反対側の端部のみ)に切り欠き部88Cを備える構成を採用してもよい。
【0217】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、上昇区間と、上部横移動区間と、下降区間とを備えた育苗箱積み重ね機構12を採用した例を示したが、上部横移動区間及び下降区間を備えた育苗箱積み重ね機構12、又は下降区間のみを備えた育苗箱積み重ね機構12を採用した場合においても同様に適用できる。
【0218】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、育苗箱積み重ね装置3からの育苗箱Cを下流側搬送コンベア13によって自動的に前方に搬出するように構成した例を示したが、下流側搬送コンベア13に代えて、ローラーコンベア4のような駆動しないコンベア(図示せず)を採用して、人力で育苗箱Cを搬出するように構成してもよい。
【0219】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]及び[発明の実施の第3別形態]においては、育苗箱Cの長手方向が搬送方向と一致するように育苗装置1を構成した例を示したが、育苗箱Cの短手方向が搬送方向と一致するように育苗装置1を構成してもよく、また、育苗箱Cの短手方向の両端部を支持するように育苗箱積み重ね装置3を構成した例を示したが、育苗箱Cの長手方向の両端部を支持するように育苗箱積み重ね装置3を構成してもよい。
【0220】
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]及び[発明の実施の第3別形態]においては、播種機2により播種した育苗箱Cを積み重ねる育苗箱積み重ね装置3を例に示したが、播種していない空の育苗箱を積み重ねる育苗箱積み重ね装置においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】育苗装置の全体レイアウト平面図
【図2】育苗装置の全体側面図
【図3】育苗装置の全体平面図
【図4】育苗箱積み重ね装置の全体側面図
【図5】育苗箱積み重ね装置の構造を示す図4のX−Xの位置での横断平面図
【図6】育苗箱積み重ね装置の構造を示す図4のY−Yの位置での横断平面図
【図7】育苗箱積み重ね装置の構造を示す図4のY−Yの位置での横断平面図
【図8】育苗箱積み重ね装置の前部下部の側面図
【図9】上流側搬送コンベアの後部の縦断背面図
【図10】上流側搬送コンベアの前部の縦断背面図
【図11】育苗箱積み重ね機構周辺の構造を示す概略側面図
【図12】育苗箱積み重ね機構の伝動構造を示す概略側面図
【図13】ホルダー付近の構造を示す図11のZ−Zの位置での縦断正面図
【図14】右側のホルダーの構造を示す縦断正面図
【図15】右側のホルダーの構造を示す図11のV−Vの位置での横断平面図
【図16】育苗箱受け渡し部の全体側面図
【図17】育苗箱受け渡し部の全体平面図
【図18】育苗箱受け渡し部の要部の側面図
【図19】育苗箱受け渡し部の上流側の高さ関係を説明する側面図
【図20】搬送台車の全体側面図
【図21】搬送台車の全体平面図
【図22】搬送台車の背面図
【図23】搬送台車の前部の縦断側面図
【図24】補助搬送台車の全体平面図
【図25】補助搬送台車の全体側面図
【図26】補助搬送台車の要部の背面図
【図27】育苗器側受け入れ部の縦断正面図
【図28】育苗器側受け入れ部の平面図
【図29】搬送台車への育苗箱の受け渡し状況を説明する縦断正面図
【図30】搬送台車への育苗箱の受け渡し状況を説明する縦断側面図
【図31】育苗器への育苗箱の受け渡し状況を説明する縦断正面図
【図32】育苗器への育苗箱の受け渡し状況を説明する縦断側面図
【図33】育苗箱の積み重ね状況を説明するホルダー付近の縦断背面図
【図34】直線状の支持爪を採用した場合の育苗箱の積み重ね状況を説明するホルダー付近の縦断背面図
【図35】発明の実施の第1別形態での育苗箱受け渡し部及びパレット移動台車の全体平面図
【図36】発明の実施の第1別形態での育苗箱受け渡し部及びパレット移動台車の全体正面図
【図37】発明の実施の第1別形態でのパレット移動台車の全体側面図
【図38】発明の実施の第1別形態での育苗箱受け渡し部とパレット移動台車との接続部を示す平面図
【図39】発明の実施の第1別形態での育苗箱受け渡し部とパレット移動台車との接続部を示す縦断側面図
【図40】発明の実施の第1別形態での育苗箱受け渡し部とパレット移動台車との接続部を示す縦断正面図
【図41】発明の実施の第1別形態での遠隔操作具の操作方法について説明する縦断正面図
【図42】発明の実施の第2別形態での支持爪の形状を説明する縦断背面図
【図43】発明の実施の第2別形態での左側の支持爪の形状を説明する平面図
【符号の説明】
【0222】
3 育苗箱積み重ね装置
12 育苗箱積み重ね機構
88 支持爪
88A 内方側端部
88C 切り欠き部
100 前部位置決め規制部材(規制部材)
101 前部側部規制部材(規制部材)
104 後部側部規制部材(規制部材)
107 後部位置決め規制部材(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に下降させて積み重ねる育苗箱積み重ね機構を備え、
前記育苗箱積み重ね機構に、内方側に倒伏した作用姿勢と、上方に揺動した非作用姿勢とに姿勢変更可能な支持爪を備えて、
前記作用姿勢での支持爪で育苗箱の両端部を下方から支持し、前記育苗箱積み重ね部に育苗箱を下降させて積み重ねると、前記支持爪が非作用姿勢に姿勢変更されるように、前記育苗箱積み重ね機構を構成するとともに、
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部の形状を、育苗箱の底面から下方に離れた形状に構成してある育苗箱積み重ね装置。
【請求項2】
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部の形状を、内方下方へ湾曲又は屈曲した形状に構成してある請求項1記載の育苗箱積み重ね装置。
【請求項3】
育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に下降させて積み重ねる育苗箱積み重ね機構を備え、
前記育苗箱積み重ね機構に、内方側に倒伏した作用姿勢と、上方に揺動した非作用姿勢とに姿勢変更可能な支持爪を備えて、
前記作用姿勢での支持爪で育苗箱の両端部を下方から支持し、育苗箱積み重ね部に育苗箱を下降させて積み重ねると、前記支持爪が非作用姿勢に姿勢変更されるように、前記育苗箱積み重ね機構を構成するとともに、前記育苗箱積み重ね部に積み重ねられた育苗箱を外方に搬送可能に構成し、
前記作用姿勢での支持爪の内方側端部における外方への搬送方向とは反対側の端部に、平面視で外側に切り欠かれた切り欠き部を形成してある育苗箱積み重ね装置。
【請求項4】
前記育苗箱積み重ね機構による下降時の育苗箱の横方向での移動を規制する規制部材を備えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の育苗箱積み重ね装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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