説明

肺炎クラミジアのIncA2蛋白質、クラミジアのInc蛋白質群およびその利用方法

【課題】
細胞内寄生細菌であるクラミジアの連続する2回膜貫通領域を有するという特徴を有するInc蛋白質群、とくに肺炎クラミジアのIncA2蛋白質が抗ガン剤のアポトーシス効果を増強することを示すと共に、抗ガン剤によるガン細胞破壊を促進する化合物の開発等に極めて有効であることを示すことが課題である。
【解決手段】
クラミジアは宿主細胞内に感染・増殖もしくは持続感染するために、宿主細胞を制御・利用する巧みな機構を有しており、クラミジアが増殖する場である封入体の形成は特に重要であることに着目した。そこで封入体膜蛋白質が、いずれも2回連続膜貫通領域を有することを見出し、本発明へと至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏性細胞内寄生性細菌 肺炎クラミジアのIncA2蛋白質およびクラミジアのInc蛋白質群、およびIncA2蛋白質およびクラミジアのInc蛋白質群の新規抗ガン剤の開発、既存の抗ガン剤の使用方法改善への利用および抗ガン剤の効果増強等への利用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内寄生細菌であるクラミジアは、宿主である人の細胞動態を制御する豊かな蛋白質酵素群を有しており、いくつかのクラミジア特異的蛋白質が封入体膜上に存在することが知られている。最初に同定された封入体膜上に存在する蛋白質は、Chlamydophila psittaciのIncA蛋白質であった(非特許文献1)。C.psittaciのIncA蛋白質はserine/threonine phosphoproteinであり、感染細胞のサイトプラズムと接触している(非特許文献2)。IncAホモログをコードしている遺伝子が、Chlamydia trachomatis(非特許文献3)やChlamydia pneumoniae(非特許文献4)で同定されており、それぞれの蛋白質は封入体膜上に局在している。これらの蛋白質のアミノ酸配列の類似性は20−22%程度と低いが、これらの蛋白質は50―70アミノ酸の特徴的な疎水性ドメインを有していた。C.trachomatisにおいて、IncA蛋白質は、homotypic vesicle fusionおよび/または封入体膜のseptationに存在していた(非特許文献4)。
【0003】
クラミジアは、ヒトをはじめとするほ乳類や鳥類を宿主とする偏性細胞内寄生性細菌である。ヒトの肺炎クラミジアでは呼吸器感染症、性感染症クラミジアでは性感染症や結膜炎、人獣共通感染症の原因となるオウム病クラミジアやネコクラミジアではヒトや動物で結膜炎や肺炎の原因となる。さしたる毒素も産生せず、その細胞内増殖も穏やかであることなどから、クラミジア感染は不顕性感染や持続感染に陥ることも多く、肺炎クラミジアの持続感染は動脈硬化症や虚血性心疾患への、性感染症クラミジアでは骨盤内炎や不妊症への進展に深く関与している。
【0004】
スタウロスポリンはStreptomyces staurosporeusから1977年に分離されたアルカロイド系化合物で、当初より抗真菌薬から抗高血圧症薬、抗癌治療薬などとして利用が考えられる多彩な生物活性を持つことが知られていた。そのスタウロスポリンの作用機序は蛋白質キナーゼC(PKC)のATP結合部位への強い親和性によるリン酸化活性の阻害であり、細胞プロセスにおけるシグナル伝達を抑制することにある。とくに、PKCやNF‐kBの機能抑制によるG2/M期における細胞周期停止とbcl‐2の活性抑制によるアポトーシスの促進が重要である。
【0005】
一方、抗ガン剤に耐性化したガン細胞は、アポトーシスの抑制に働くbcl‐2、NF‐kB、PKC、cyclinD1やEGFRの過剰発現を特徴とする。たとえば、EGFRを過剰表現する乳ガン細胞においては、抗乳癌抗有糸分裂薬ビノレルビンとスタウロスポリンの併用は極めて有効であることが知られている。無秩序で爆発的な細胞増殖を特徴とするガン細胞に対して、細胞シグナル伝達の阻害活性をもつスタウロスポリンの効果が認められるのは合理的であるが、実際には正常な細胞プロセスをも阻害する事から、抗ガン剤としての応用は困難であった。
【0006】
現在、抗ガン作用を維持し正常細胞への副作用をより少なくした数種類の化学合成スタウロスポリン類似化合物が、抗癌剤として臨床試験の段階にある。たとえば、カルフォルニア大デイビス校においてPhase i臨床試験が行われている化合物UCN01がある。このスタウロスポリン類似化合物は小細胞肺癌には効果が認められなかったが、非小細胞肺癌の増殖阻害には有効であり、シスプラチンとUCN01の混合投与ではシスプラチン単独で期待できる10倍の効果が得られ、臨床の場での効果が期待されている。
【0007】
猫クラミジアの新規核酸及び当該核酸を用いたスクリーニング方法に関する特許が出願されている(特許文献1)。
【特許文献1】特願2004−183135
【非特許文献1】Rockey,D.D.et al.:Cloning and characterization of a Clamydia psittaci gene coding for a protein localized in the inclusion membrane of infected cells.1995 Mol.Microbiol.15:617‐626.
【非特許文献2】Rockey,D.D.et al.:Clamydia psittaci IncA is phosphoryrated by the host cell and is exposed on the cytoplasmic fase of the developing inclusion.1997 Mol.Micro biol.24:217‐228.
【非特許文献3】Bannantine et al.:Clamydia trachomatis IncA is localized to the inclusion membrane and is recognized by antisera from infected humans and primates.1998 Infect.Immune.66:6017‐6021.
【非特許文献4】Bannantine et al.:A secondary structure motif predictive of protein localization to the chlamydial inclusion membrane.2000 Cell.Microbiol.2:35‐47.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、細胞内寄生細菌であるクラミジアの連続する2回膜貫通領域を有するという特徴を有するInc蛋白質群、とくに肺炎クラミジアのIncA2蛋白質が抗ガン剤のアポトーシス効果を増強することを示すと共に、抗ガン剤によるガン細胞破壊を促進する化合物の開発に、極めて有効であることを示すことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
クラミジアは宿主細胞内に感染・増殖もしくは持続感染するために、宿主細胞を制御・利用する巧みな機構を有しており、クラミジアが増殖する場である封入体の形成は特に重要であることに着目した。そこで封入体膜蛋白質が、いずれも2回連続膜貫通領域を有することを見出し、本発明へと至った。
【0010】
本発明は、偏性細胞内寄生性細菌 肺炎クラミジアのIncA2蛋白質に係わるものであり、肺炎クラミジアについて、情報科学的解析により2回連続膜貫通領域を有するという特徴を有するInc蛋白質群の中から、機能が全く不明であるが、アミノ酸配列の保存性に着目して選択した肺炎クラミジアのIncA2蛋白質に関するものであり、具体例としては、肺炎クラミジアJ138由来のIncA2蛋白質が挙げられる。また、肺炎クラミジアの封入体膜に局在しているIncA2蛋白質に関する。さらに、アポトーシスの促進効果を有する物質を、IncA2蛋白質を産生している細胞に投与することにより、IncA2蛋白質に依存する顕著なアポトーシス誘導の増強が観察されるという特徴を有する請求項1から4に記載のIncA2蛋白質、アポトーシスの促進効果を有する物質がスタウロスポリンまたは腫瘍細胞壊死因子(TNF‐α)のいずれかである請求項1から5に記載のIncA2蛋白質も含まれる。また、請求項1から6に記載のIncA2蛋白質を用いた新規抗ガン剤の開発、既存の抗ガン剤の使用方法改善への利用に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IncA2遺伝子発現の単独では細胞のアポトーシスは全く起こらず、アポトーシス関連プロテアーゼ活性の上昇も見られなかった。また、細胞増殖の阻害や形態変化も確認されなかった。しかし、アポトーシスの促進効果を持つことが知られているスタウロスポリンや腫瘍細胞壊死因子(TNF‐α)をIncA2遺伝子発現細胞に投与したところ、IncA2遺伝子発現に依存する顕著なアポトーシス誘導の増強がスタウロスポリンとTNF‐αの両方で確認されたことにより、クラミジア封入体膜蛋白質の有する生物活性の応用は、新規抗ガン剤の開発や既存の抗ガン剤の使用方法の改善に大きな意義を有することを明らかにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
クラミジアは宿主細胞内に感染・増殖もしくは持続感染するために、宿主細胞を制御・利用する巧みな機構を有する。クラミジアが増殖する場である封入体の形成は特に重要である(図1)。クラミジアが宿主細胞に食作用的に取り込まれたのち、10回程度の二分裂増殖する間、クラミジアは積極的に食胞膜に封入体膜蛋白質を導入して自らの増殖環境として封入体膜を樹立させる。この封入体膜はリソソームの結合を抑制し、宿主側からの物質輸送に重要な機能を担う。
【0013】
同定された封入体膜タンパク質はいずれも2回連続膜貫通領域を有する(図2)。発明者らにより全ゲノムDNA配列を決定したヒトの肺炎クラミジアと猫クラミジアについて、情報科学的解析により2回連続膜貫通領域を有するInc蛋白質群の抽出を行ったところ、肺炎クラミジアで約70、猫クラミジアで約60存在していた(図3)。これらInc蛋白質群が封入体膜に存在し、宿主のミトコンドリアや細胞内骨格系と相互作用し、宿主を積極的に制御して一種の細胞内小器官を擬態すると考えられる。
【0014】
実験的に同定されたクラミジアの封入体膜の主要構成蛋白質は2回連続膜貫通領域を有し、情報科学的解析から肺炎クラミジアのInc蛋白質群は複数種類存在することが明らかとなった。これらInc蛋白質群は封入体膜に存在し、宿主のミトコンドリアや細胞内骨格系と相互作用し、宿主を積極的に制御・利用していると考えられる。その実証として、Inc蛋白質群のなかから、機能が全く不明であるがアミノ酸配列が他のクラミジアに多少の保存が確認できるIncA2遺伝子を選択し、その遺伝子産物の生物活性の検討を行った。
【0015】
肺炎クラミジアJ138からIncA2遺伝子をPCRにより増幅した後に単離し、GST蛋白質との融合蛋白質として大量調製した。この蛋白質を用いて、ウサギポリクローナル抗体を作成した。このIncA2蛋白質に対する抗体を用いて、肺炎クラミジアのヒト由来の培養細胞への感染下でのIncA2遺伝子産物の局在を観察した。クラミジアの封入体周辺部をリング状に染色する像が得られたことから、情報解析からの予想通り、IncA2蛋白質はクラミジアの封入体膜に局在することが明らかとなった(図5)。
【0016】
IncA2蛋白質は2回連続して膜を貫通する領域以外に、ロイシンジッパー領域を2カ所、ミオシンと部分的に類似する領域をもつ。さらにアミノ末端の構造情報解析から、その蛋白質をヒトの細胞で作らせた時、ミトコンドリアに局在することが示唆されていた。そこで、IncA2遺伝子発現用ベクターを作成しヒト由来の培養細胞に導入したところ、その局在は予想通りミトコンドリアと重複する領域であった(図6)。ミトコンドリアは500種以上の蛋白質からなる巨大な細胞内小器官であり、エネルギー産生やビタミン合成などに様々な細胞機能を担う。特に最近では、細胞のアポトーシス制御による生物のホメオスタシスにおいて、重要な役割を担うことが分かってきている。
【0017】
肺炎クラミジアのIncA2蛋白質と部分的に類似する、肺炎クラミジアのIncA1蛋白質が酵母細胞中でその酵母の増殖を阻害することから、IncA2蛋白質の機能解析の手がかりとしてアポトーシス促進効果について調べた。IncA2遺伝子発現の単独では細胞のアポトーシスは全く起こらず、アポトーシス関連プロテアーゼ活性の上昇も見られなかった。また、細胞増殖の阻害や形態変化も確認されなかった。しかし、アポトーシスの促進効果を持つことが知られているスタウロスポリンや腫瘍細胞壊死因子(TNF‐α)をIncA2遺伝子発現細胞に投与したところ、IncA2遺伝子発現に依存する顕著なアポトーシス誘導の増強がスタウロスポリン(図7)とTNF‐α(図8)の両方で確認された。これは、肺炎クラミジアのIncA2蛋白質が基本的に細胞にとって無害であるが、潜在的抗ガン剤によるガン細胞破壊を促進することを初めて示した結果である。また、このIncA2蛋白質はクラミジアが有する封入体膜蛋白質の一例にすぎず、肺炎クラミジアやネコクラミジア、性感染症クラミジアなど、これまでゲノム配列が決定されたクラミジアだけでも200種類もの封入体膜蛋白質群が知られている。つまり、クラミジア封入体膜蛋白質の有する生物活性の応用は、新規抗ガン剤の開発や既存の抗ガン剤の使用方法の改善に知見的基盤として大きな意義を有すると考えられる。
【実施例】
【0018】
クラミジアが宿主細胞内に感染・増殖もしくは持続感染するためには、封入体の形成が特に重要であることに着目し、封入体膜タンパク質の同定を行なった。同定されたクラミジアの封入体膜の主要構成蛋白質の構造を調べたところ、封入体膜タンパク質は2回連続膜貫通領域を有していることを見出した。そこで、発明者らが全ゲノムDNA配列を決定したヒトの肺炎クラミジアと猫クラミジアについて、情報科学的解析により2回連続膜貫通領域を有するInc蛋白質群の抽出を行った結果から、肺炎クラミジアのInc蛋白質群は肺炎クラミジアで約70種類、ネコクラミジアで約60種類存在することを明らかにした。これらInc蛋白質群は封入体膜に存在し、宿主のミトコンドリアや細胞内骨格系と相互作用し宿主を積極的に制御・利用している。その実証として、Inc蛋白質群のなかから機能が全く不明であるがアミノ酸配列が他のクラミジアに多少の保存が確認できるIncA2遺伝子を選択し、その遺伝子産物の生物活性の検討を行った。IncA2のアミノ酸配列を、配列表1のIncA2に示した。
【0019】
肺炎クラミジアJ138株からIncA2遺伝子をPCRにより増幅したのち単離し、GST蛋白質との融合蛋白質として大量調製した。この蛋白質を用いてウサギポリクローナル抗体を作成した。このIncA2蛋白質に対する抗体を用いて、肺炎クラミジアのヒト由来の培養細胞への感染下でのIncA2遺伝子産物の局在を観察した。クラミジアの封入体周辺部をリング状に染色する像が得られたことから、情報解析からの予想通りIncA2蛋白質はクラミジアの封入体膜に局在することが明らかとなった。
【0020】
肺炎クラミジアのIncA2蛋白質と部分的に類似する肺炎クラミジアのIncA1蛋白質が酵母細胞中でその酵母の増殖を阻害することから、IncA2蛋白質の機能解析の手がかりとしてアポトーシス促進効果について調べた。IncA2遺伝子発現の単独では細胞のアポトーシスは全く起こらず、アポトーシス関連プロテアーゼ活性の上昇も見られなかった。また、細胞増殖の阻害や形態変化も確認されなかった。しかし、アポトーシスの促進効果を持つことが知られているスタウロスポリンや腫瘍細胞壊死因子(TNF‐α)をIncA2遺伝子発現細胞に投与したところ、IncA2遺伝子発現に依存する顕著なアポトーシス誘導の増強がスタウロスポリンとTNF‐αの両方で確認された。これは肺炎クラミジアのIncA2蛋白質が基本的に細胞にとって無害であるが、潜在的抗ガン剤によるガン細胞破壊を促進することを初めて示した結果である。
【0021】
肺炎クラミジアが持つ封入体膜蛋白質遺伝子の同定方法および結果について以下に述べる。アミノ酸配列中の疎水領域および膜貫通領域を予測するソフトウエアであるSOSUIを用いて、膜貫通領域を持つクラミジアの遺伝子産物を抽出したところ、クラミジアの全遺伝子産物の25%が膜貫通領域を持つことが予測された。全遺伝子産物数に対する膜貫通領域をもつ遺伝子産物の割合は他の細菌と同様であるが、その貫通回数の分布ではクラミジアには2回のものと7回のものが他の細菌と比較して多いことが明らかとなった。とくに、2回膜貫通領域をもつ遺伝子産物の割合が顕著に高い。一方、封入体膜に局在することが実験的に証明されているクラミジアの蛋白質(封入体膜蛋白質)の特徴として連続する2回膜貫通領域が知られている。その特徴を情報科学的に演繹することにより、肺炎クラミジアには約80の封入体膜蛋白質をコードする遺伝子の存在が予測された。その約20%が真核生物型遺伝子として分類されていた遺伝子であり、2回膜貫通領域にこだわらず情報科学的に封入体膜蛋白質遺伝子と同定された遺伝子に類似する真核生物型遺伝子をくわえて、最終的に104の遺伝子を情報科学的に予測された封入体膜蛋白質遺伝子と決定した(配列表1)。
【0022】
全く同様の情報科学的な封入体膜蛋白質遺伝子の同定作業を、ヒトに対して低病原性であるが、猫やイヌに置いては主要な結膜炎の原因クラミジアであるクラミジア・フェリスと、日本を含む先進国に置いては性感染症の第一原因であり発展途上国に置いては失明に至る結膜炎の第一原因であるクラミジア・トラコマティスについて行った。さらに、クラミジア・フェリスとクラミジア・トラコマティスの封入体膜蛋白質遺伝子とされなかった遺伝子の内、肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質遺伝子と類似性の高い遺伝子も封入体膜蛋白質遺伝子として決定した。結果、クラミジア・フェリスとクラミジア・トラコマティスの封入体膜蛋白質遺伝子数はそれぞれ72(配列表2)、49(配列表3)であった。
【0023】
宿主の相互作用因子の同定方法および結果について、以下に述べる。肺炎クラミジアの1070のORFのうち、約100は真核生物のORFに類似している。そのうち約30のORFは転写や複製の制御、細胞内骨格系の再構築などの機能を担うと考えられる。それら肺炎クラミジアの真核生物様遺伝子に相互作用する宿主遺伝子の探索には、宿主と同様に真核生物である酵母を用い、宿主側からは大動脈由来のcDNAライブラリーを使用した。肺炎クラミジアset遺伝子やmpg1遺伝子は、肺炎クラミジア自身か宿主のクロマチン構造に関連すると考えられていた。しかし、2ーハイブリッドスクリーニングの結果からは、それらは同一の細胞外マトリックス蛋白質の持つある種のドメインと相互作用することが示された。この場合、SETやMpg1蛋白質の機能はクラミジアの細胞表面に存在し、感染時の定着や細胞からの放出の際に細胞外マトリックスの構造変化を起こすことが考えられる。これはまさにクラミジアによる動脈硬化の進展を理解する上で重要な手がかりを提供するものと考え、研究を進めている。肺炎クラミジアのキネシン/ミオシン類似因子であるKhcタンパク質、さらにキネシン/ミオシン類似因子で封入体膜と構成するタンパク質であるIncA2は、ミトコンドリアに局在するタンパク質と相互作用する可能性が示された。本来クラミジアはエネルギー合成を宿主に依存し、その封入体の周囲に多数のミトコンドリアを集合させる。KhcやIncA2蛋白質が、ミトコンドリアと封入体を結ぶアンカー蛋白質もしくは物質輸送に関わる因子の1つである可能性がある。さらに、クラミジアの細胞内小器官擬態の中心的な役割を担う可能性もある。
【0024】
クラミジアが持つ封入体膜蛋白質の抗体作成方法および結果を、以下に示す。IncA2蛋白質に対する特異的抗体の作成方法は、GST融合したIncA2蛋白質が発現するように構築したベクターを大腸菌の中に導入し、大腸菌にIncA2蛋白質を作らせた。グルタチオンビーズを用いてGST融合したIncA2蛋白質を精製し、2羽のウサギに5回にわけて免役し、その後、それらのウサギの全血液を採取して、その血清を抗体として用いた(図9)。抗原として用いた蛋白質は、約100kDaのGSTと融合したIncA2蛋白質である。作製した抗体を用いて、IncA2蛋白質の発現解析を、クラミジア感染細胞を用いて行なった。図10のレーン1および2は、抗原として用いたGST融合IncA2蛋白質を検出している。図10のレーン1および2のAとBのバンドは、それぞれ100kDaと75kDaの位置にあり、ウサギの血清中にIncA2蛋白質を検出できるだけの抗体が作成されていることが確認できた。図10のレーン3−7には、クラミジア感染後0時間、12時間、36時間、48時間、72時間の細胞をそれぞれ回収し、その抽出液を用いた。36時間後(図10のレーン5参照)から、IncA2蛋白質のバンドはIncA2蛋白質全長の75kDaと同じ高さにバンドが出現した。図10のウエスタンブロットの結果から、感染後36時間以降では、感染細胞中のIncA2蛋白質の確認が可能であった。また、同様の発現解析として、作製した抗体を用いたクラミジア感染細胞の時間ごとの細胞免役染色では、12時間後の感染細胞でIncA2蛋白質の確認ができた。つまり、IncA2蛋白質はクラミジア感染後の細胞内で、12時間後には検出が可能であることが判明した。IncA2蛋白質は、何か宿主細胞の蛋白質と相互作用している可能性が考えられる。
【0025】
IncA2蛋白質の発現の時間的パターンはわかったので、次に、IncA2蛋白質がクラミジア感染細胞内でどこに局在しているかを調べるため、クラミジア感染後48時間目の細胞を用いて、細胞の免疫染色を行なった。DAPIを用いて核酸染色を行い、大きくて辺縁がクリアな細胞核、および小さくて辺縁がクリアでないクラミジアの封入体を同定した。抗IncA2抗体を用いて細胞免疫染色すると、リング状の形が見えた。リング状に見えたものは典型的な球状体の辺縁で、クラミジアの封入体の膜表面を染めているものであることがわかった。この結果から、IncA2蛋白質は封入体の膜表面に存在していることが明らかになった。
【0026】
クラミジアが持つ封入体膜蛋白質遺伝子のヒト癌細胞での発現方法、および結果を以下に示す。FuGENE 6(Roche,Germany)を用いて、pIND‐IncA‐GFPとpVgRXR(Invitrogene,CA)およびpIND‐GFPとpVgRXRとのそれぞれの組み合わせで、HeLa229細胞の形質転換により、HeLa+IncA2およびHeLa+GFP細胞を作製した。IncA2遺伝子のインダクションのためには、500μg/ml geneticinと250μg/ml zeocinを含む培養液を用いて37℃、50%COの条件下で培養し、1日当たり3μMのponasteroneで処理した。培養後の細胞の粗抽出液を、PBSで1:2000に希釈した抗IncAウサギ血清を用いて、イムノブロッティングにより分析した。CDP‐starでのインキュベーションに続いて、2次抗体をコンジュゲートしたalkalin‐phosphataseで処理した後、X線フィルム上のIncA2蛋白質を検出した。
【0027】
癌細胞中での遺伝子発現の確認方法および結果を、以下に示す。IncA2遺伝子のインダクションのために、3μMのponasteroneで1日間のインダクションを行なった細胞から調製した細胞粗抽出液を、PBSで1:2000に希釈した抗IncAウサギ血清を用いたイミュノブロッティングにより分析した。alkalin‐phosphataseをコンジュゲートさせた2次抗体(Roche,Germany)で処理した後に、IncA2proteinをX線フィルム上に検出させた。感染細胞中にIncA2蛋白質が発現しているか否かを決定するため、ウエスタンブロット解析を行なった。図10に示したように、IncA2蛋白質は接種後36時間で検出可能となり、接種後48−72時間で最高値に到達した。従ってIncA2蛋白質は、クラミジアの発生サイクルの後期において蓄積することが明らかとなった。免疫蛍光顕微鏡を用いて、感染細胞中のIncA2蛋白質の細胞内局在部位を同定した。他のInc蛋白質と同様に、IncA2蛋白質は封入体の境界領域および封入体の近辺のミトコンドリアに局在していた(図5)。これらの結果から、IncA2蛋白質は、肺炎クラミジアがミトコンドリアと相互作用する際のアンカー用蛋白質として機能していることが示された。さらにIncA2蛋白質は、two‐hybrid studyの結果から、ミトコンドリアの膜中のNADH dehydrogenase‐1と直接的に相互作用していると推定された。この結果は、肺炎クラミジアがホスト細胞の代謝システムを利用する際のメカニズムを示している。
【0028】
方法1による、クラミジア封入体膜蛋白質による癌細胞の細胞死の誘導方法、および結果を以下に示した。3μMのponasterone Aを添加して、IncA2遺伝子のインダクションを20時間おこなった後、HeLa+IncA2細胞およびHeLa+GFP細胞(5×10/well)を、スタウロスポリンで4時間処理して、細胞のアポトーシスを促進させた。アポトーシスを起こした核を染色するため、2μMのHoechst 33258を含むPBSを細胞に添加して4℃で45分間反応させた。アポトーシス細胞の計数は、蛍光顕微鏡(BX50,Olympus,Japan)を用いた。ランダムに選択した5箇所の領域に対して、200倍の倍率でアポトーシス細胞の計数を行ない、カウントした細胞総数に対するパーセンテイジで表記した。IncA2はミトコンドリアと共存しているため(図6)、宿主細胞におけるIncA2の効果を分析することにした。分析すべき機能の一つは、アポトーシスにおけるIncA2の効果である。なぜならば、宿主細胞中でのクラミジアの生存および増殖のためには、クラミジアは宿主細胞のアポトーシスを自らのアドバンテイジにしなければならない。すなわち、クラミジアの成長期における死滅を防御し、成長後には宿主細胞から脱出するために、宿主細胞の細胞死を誘導しなければならない。本発明においては、GFPまたはIncA2‐GFPをトランスフェクョンしたHeLa細胞を、スタウロスポリンまたはTNF‐αにより刺激した。4−6時間後に、細胞核の染色剤Hoechst 33258で染色し、クロマチン凝集を測定した。IncA2‐GFPを形質転換された細胞は、スタウロスポリンまたはTNF‐αによりアポトーシスが誘導された時に、コントロールのGFP形質転換細胞よりも高いアポトーシス速度を示した(図7または図8)。この結果は、HeLa細胞において、IncA2蛋白質がスタウロスポリンまたはTNF‐αにより誘導されたアポトーシスを増進させていることを示している。
【0029】
方法2による、クラミジア封入体膜蛋白質による癌細胞の細胞死の誘導方法、および結果を以下に示した。アポトーシス誘導の最後に、stimulated細胞とコントロール細胞の両方を、4℃で60分以上の間、70%ethanolで固定した。固定した細胞をPBSで洗浄した後、抗チトクロームcモノクローナル抗体(R&D systems Inc.,MN)で1時間インキュベーションし、その後、Alexa Fluor 594 goat anti‐mouse IgG Ab (Molecular Probe,OR)により染色した。2回洗浄後、2μM Hoechst 33258 dyeにより4℃、45分間細胞を染色した。蛍光ラベルしたサンプルは、蛍光顕微鏡により調べた。アポトーシスによるクロマチン凝集および細胞質内へのチトクロームcのリリースを、400倍の倍率で計数した。ミトコンドリアからのチトクロームcのリリースは、アポトーシスのオンとオフを切り替えるセントラルゲートであって、プロアポトーティック蛋白質と特定のクラスのアポトーシス阻害蛋白質の相互作用により調節されている。IncA2蛋白質の発現によるアポトーシス増強メカニズムを評価するため、スタウロスポリン処理したGFPおよびIncA2‐GFPをトランスフェクトしたHeLa細胞を分析した。IncA2‐GFPトランスフェクタントの方が、GFPトランスフェクタントよりもアポトーシスを起こしやすい事がこの条件下でも示されたが、スタウロスポリンにより誘導されたチトクロームcのリリースはIncA2‐GFPトランスフェクタントおよびGFPトランスフェクタントの間で意味のある違いはなかった(図12A)。これらの知見から、IncA2蛋白質はチトクロームcリリースの下流においてアポトーシスのパスウェイを昂進させているか、あるいはチトクロームcリリースとは独立してアポトーシスのパスウェイを昂進させている。
【0030】
方法3による、クラミジア封入体膜蛋白質による癌細胞の細胞死の誘導方法、および結果を以下に示した。pIND‐GFPプラスミドまたはpIND‐IncA2‐GFPプラスミドのどちらか一方とpVgRXRプラスミドで形質転換したHeLa細胞を、6ウェル(3×10/well)中にプレーティングし、5%CO雰囲気中で、37℃、1時間培養した後、MEM‐GZ中で、3μMのponasterone Aにより刺激を行なった。20時間の刺激の後、3μMのponasterone Aを含むMEM‐GZ中で4時間の間スタウロスポリンで処理し、その後に、caspase‐3およびcaspase‐9の活性をColormetric Activity assay kit(Chemicon International,CA)により測定した。caspase‐3およびcaspase‐9活性の測定は、標識された基質Ac‐DEVD‐pNAまたはAc‐LEHD‐pNAから切断されたchromophore p‐nitroaniline(pNA)のspectrophotometricな検出に基づいている。フリーなpNAの定量は、吸光度計(UV‐2400PC,Shimadzu,Japan)を用いて405nmで行なった。チトクロームcのリリースは、dATPの存在下において、procaspase‐9、Apaf‐1およびチトクロームcからなるapoptosomesの形成によって開始され、caspase‐9およびcaspase‐3の活性化の結果、アポトーシスへと導かれる。従って、caspase‐3およびcaspase‐9の活性化において、IncA2蛋白質によりスタウロスポリン誘導性のアポトーシスの効果を調べてみた。その結果、IncA2‐GFP形質転換細胞におけるスタウロスポリン刺激により誘導されたcaspase活性は、GFP形質転換細胞に比較して、約2倍も大きい事が示された(図12B)。これらの結果は、スタウロスポリン誘導性のアポトーシスの間に、IncA2蛋白質がcaspase‐9およびcaspase‐3活性を昂進させていることを示しており、さらにcaspaseによる増強効果がアポトーシスへと導いている。さらにIncA2の発現は、サイトゾルから核内へのBax局在のトランスファーを伴っていた。この知見は、IncA2蛋白質がBaxを刺激し、caspase活性化とアポトーシスのトリガーになっていることを示している。以上の結果から、IncA2蛋白質は、スタウロスポリン誘導アポトーシスの間に、caspase‐3およびcaspase‐9活性を昂進させていることが明らかとなった。
【0031】
クラミジア封入体膜蛋白質の癌細胞死誘導領域の決定方法および結果について述べる。IncA2のアポトーシス誘導に寄与する領域を決定するために、IncA2の全長651アミノ酸のうちN末から231アミノ酸の領域とN末から481アミノ酸の領域を、IncA2の全長と同様にpINDベクターに組み込み、pIND‐IncA2(N1‐231)‐GFPとpIND‐IncA2(N1‐481)‐GFPを構築した。このベクターをpVgRXRと同時にHeLa細胞に形質導入して、IncA2(N1‐231)とIncA2(N1‐481)のアポトーシス、特にcaspase‐9の活性への影響を調べた。形質転換細胞細胞に対するスタウロスポリンの刺激により、IncA2(N1‐231)とIncA2(N1‐481)はcaspase‐9の活性をコントロールと比べ有意に上昇させることがわかった(図13)。このことから、IncA2の全長651アミノ酸のうちN末から231アミノ酸の領域が、スタウロスポリンの刺激に対してアポトーシス誘導を促進することが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】クラミジアの増殖サイクルを示す図である。
【図2】封入体膜タンパク質(Inc蛋白質群)に特徴的な2回連続膜貫通領域を示す図である。
【図3】封入体膜タンパク質の情報科学的定義の模式図である。
【図4】IncA2タンパク質および類似タンパク質を示す図である。
【図5】感染細胞でのIncA2蛋白質の局在を示す図である。
【図6】培養細胞中の組換えIncA2蛋白質の局在を示す図である。
【図7】スタウロスポリン投与時の、IncA2に依存したアポトーシス動態を示す図である。
【図8】TNF−α投与時の、IncA2に依存したアポトーシス動態を示す図である。
【図9】抗体の作成方法を示す図である。
【図10】作成した抗体を用いた、ウエスタンブロッティングによる感染細胞中のIncA2蛋白質の確認を示す図である。
【図11】作成した抗体を用いた、ウエスタンブロッティングによるIncA2遺伝子導入細胞中の感染細胞中のIncA2蛋白質の確認を示す図である。
【図12】IncA2タンパク質によるスタウロスポリン依存性アポトーシスの促進における分子機能マッピングにおいて、(A)の図はチトクロームcのリリースは変化しないことを示す図であり、(B)の図はcaspase‐3およびcaspase‐9活性は有意に上昇することを示す図である。
【図13】形質転換細胞細胞に対するスタウロスポリンの刺激により、IncA2(N1‐231)とIncA2(N1‐481)はcaspase‐9の活性をコントロールと比べ有意に上昇させることを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリアに局在しえる、肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列。
【請求項2】
ミトコンドリアに局在しえる、肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列の局在に関与する部分配列。
【請求項3】
細胞死の誘導剤の効果を亢進する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質。
【請求項4】
細胞死の誘導剤の効果を亢進する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列の細胞死の誘導剤の効果を亢進する機能に関与する部分配列。
【請求項5】
抗ガン剤によるガン細胞の消滅を亢進する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質。
【請求項6】
抗ガン剤によるガン細胞の消滅を亢進する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列の抗ガン剤によるガン細胞の消滅を亢進する機能に関与する部分配列。
【請求項7】
本来のミトコンドリア機能を阻害する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列の細胞死の誘導剤の効果を亢進する機能に関与する部分配列。
【請求項8】
本来のミトコンドリア機能を阻害する機能を有する、請求項1に記載の肺炎クラミジアの封入体膜蛋白質の1つ、IncA2蛋白質およびアミノ酸配列の本来のミトコンドリア機能を阻害する機能に関与する部分配列。
【請求項9】
肺炎クラミジアのゲノムDNA配列にコードされているアミノ酸配列のうち、情報科学的解析によりIncA2と同様に2回連続膜貫通領域を有することが明らかとなった蛋白質で、肺炎クラミジアの封入体に存在し宿主との相互作用に置いて機能することが強く示唆される肺炎クラミジアのInc蛋白質群。
【請求項10】
ヒトや動物の細胞内骨格蛋白質であるミオシンやカイネシンに類似した構造を持ち、ヒトや動物の細胞内骨格構造の再構成や破壊に関与する、請求項9に記載の肺炎クラミジアのInc蛋白質群。
【請求項11】
高い抗原性を持つことが示されている蛋白質を含み、抗原として有用である、請求項9に記載の肺炎クラミジアのInc蛋白質群。
【請求項12】
性行為感染症クラミジアまたはネコの結膜炎クラミジアのゲノムDNA配列にコードされているアミノ酸配列のうち、情報科学的解析により肺炎クラミジアのIncA2と同様に2回連続膜貫通領域を有することが明らかとなった蛋白質で、それぞれのクラミジアの封入体に存在し宿主との相互作用に置いて機能することが強く示唆されるクラミジアのInc蛋白質群。
【請求項13】
ヒトや動物の細胞内骨格蛋白質であるミオシンやカイネシンに類似した構造を持ち、ヒトや動物の細胞内骨格構造の再構成や破壊に関与する、請求項12に記載の性行為感染症クラミジアまたはネコの結膜炎クラミジアのInc蛋白質群。
【請求項14】
高い抗原性を持つことが示されている蛋白質を含み、抗原として有用である可能性が高い、請求項12に記載の性行為感染症クラミジアまたはネコの結膜炎クラミジアのInc蛋白質群。
【請求項15】
アポトーシスの促進効果を有する物質を細胞に投与する時、その発現によって顕著なアポトーシス誘導の増強が観察されるという特徴を有する、請求項1から2、請求項9、請求項12に記載のInc蛋白質群およびその機能アミノ酸配列。
【請求項16】
細胞のアポトーシスを主な抗癌機序とする抗ガン剤の投与に置いて、その発現によって顕著なアポトーシス誘導の増強が観察されるという特徴を有する請求項1から2、請求項2、請求項12に記載のInc蛋白質群及びその機能アミノ酸配列。
【請求項17】
請求項1から2、請求項9、請求項12に記載のInc蛋白質群およびその機能アミノ酸配列を用いた新規抗ガン剤の開発、既存の抗ガン剤の使用方法改善への利用方法。
【請求項18】
請求項1から2、請求項9、請求項12に記載のInc蛋白質群およびその機能アミノ酸配列を用いた新規薬理活性剤の開発への利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−273805(P2006−273805A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99818(P2005−99818)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】