説明

肺疾患のmiRNAバイオマーカー

本出願には、患者における肺疾患を特徴づけるための血清バイオマーカーまたは血漿バイオマーカーとして使用することができるmiRNAが記載されている。これらのmiRNAバイオマーカーは、肺がんなどの疾患を診断、予後判定、またはモニターするために、単独で、または、他のマーカーと組み合わせて使用することができる。一実施形態では、肺腫瘍または肺病変を有する患者において肺がんを特徴づけるための方法は、血清試料中のmiRNAのレベルを測定するステップと、試料中のmiRNAのレベルの低下または上昇を決定し、それによって患者における肺がんを特徴づけるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年8月28日に出願された米国仮特許出願61/237,972号への優先権を主張し、この米国仮特許出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本願に記載される研究は、国立癌研究所/NIH助成金番号1R43CA141786−01の下、合衆国政府により一部支援された。したがって、合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
米国では、全てのがんの中で、肺がんの発生率が最も高く、かつ死亡率が最も高い(http://seer.cancer.gov/statistics/)。肺がんは、2種の主要なクラス:小細胞肺がん(SCLC)および非小細胞肺がん(NSCLC)に分けられ、前者は患者の20%、後者は80%が罹患している。NSCLCは3種の主要な亜型:腺癌、扁平上皮癌(SCC)、および大細胞癌からなり、腺癌および扁平上皮癌が大部分を占めている(非特許文献1;非特許文献2)。推定で215,000件の肺がんの新規の症例、およびおよそ162,000件の肺がんによる死が、2008年中に米国で起こった(非特許文献3)。肺がんの高死亡率は、一部は、肺がん患者の75%超が、最初に提示されるときに領域転移または遠隔転移が一緒に診断されるという事実に、および一部は、肺がんに対する高度に有効な療法がないことに起因している。肺がんに対する現在通用している治療の選択肢は限られているが、最も早い段階で診断された患者は、5年生存の見込みが、後期に診断された患者(<10%)よりも良好である(50%)ことが示されている(例えば、http://seer.cancer.gov/statistics;非特許文献4を参照されたい)。したがって、広範囲にわたる取り組みは、医療介入によって生存を改善することができるように、肺がんを初期に検出することを対象としてきた。
【0004】
肺がんの危険因子としては、年齢および喫煙によるタバコの摂取(直接的な、および間接的な)が挙げられる。肺がんの全症例のおよそ90%は喫煙者において発生する。さらに、肺がんの発生率および死亡率の両方で、男性と女性との間に有意差が存在し、これは、2つの性の間の固有の生物学的プロセスの可能性を示唆している。これらの差は、最も一貫して報告されている肺がんにおける重要な危険因子の1つである(非特許文献5)。
【0005】
肺がんをより早い段階で検出するために設計された、いくつかのスクリーニング試験が着手されている。これらの試験の多くでは、2つの主要な画像処理技術:胸部X線およびコンピュータ断層撮影法(CT)が使用されている。胸部X線により、肺がんを検証し、分類するために生検することができる肺の腫瘤が明らかになり得る。画像処理技術における改善、中でも、スパイラルコンピュータ断層撮影法(スパイラルCT)の開発により、臨床医が前駆症状性の個体において小さな肺腫瘍を検出することが可能になった。The Early Lung Cancer Action project(ELCAP)は、症状がない、危険性が高い喫煙者を、胸部X線および低用量CTを使用してスクリーニングするために設計され、それにより、CTによって、小さな、潜在的に治癒できる病変の検出が大きく改善されたことが示された(非特許文献6)。しかし、主要な不都合は、偽陽性率、およびスクリーニングの枠組みでは正当化するのが難しい高費用(平均$600)であった。同文献;非特許文献7も参照されたい。
【0006】
これらの試験は、科学界の内部で、試験の設計、特に無作為化が欠如していることを中心に置いた激しい議論を生み、費用が高いことおよび偽陽性率が高いことの懸念を伴う結論が引き出された(非特許文献6;非特許文献8)。喫煙者および以前喫煙していた者のスパイラルCTスキャンの25〜60パーセントが良性の異常を示す(非特許文献9)。無症候性患者の画像処理スクリーニングでは良性病変と早期悪性病変が区別されない。低用量CTスキャンに繰り返し曝露することにより、患者は潜在的に有害なレベルの放射線に曝露する恐れがあることも報告されている(非特許文献10)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Sekidoら、Biochim Biophys Acta、1378巻:F21〜59頁
【非特許文献2】Forgacsら、Pathol Oncol Res、7巻、6〜13頁(2001年)
【非特許文献3】Jemalら、J Natl Cancer Inst、100巻、1672〜94頁(2008年)
【非特許文献4】Hornerら(編)SEER Cancer Statistics Review、1975年〜2006年、National Cancer Institute. Bethesda、MD
【非特許文献5】Visbalら、Ann Thorac Surg、78巻、209〜15頁(2004年)
【非特許文献6】Henschkeら、Lancet、354巻、99〜105頁(1999年)
【非特許文献7】Henschkeら、N Engl J Med、355巻、1763〜71頁(2006年)
【非特許文献8】Gouldら、N Engl J Med、356巻、743〜747頁(2007年)
【非特許文献9】Swensenら、Am J Respir Crit Care Med、165巻、508〜13頁(2002年)
【非特許文献10】Brennerら、Radiology、231巻、440〜5頁(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在のところ、がんを含めた肺疾患を非侵襲的に検出するため、療法に対する応答をモニターするため、または、肺がんの再発を検出するための、臨床的に関連性のあるマーカーが依然として必要とされている。そのようなアッセイは、妥当な感度を伴って高度に特異的でなければならず、かつ妥当な費用で容易に入手可能でなければならないことも明らかである。循環バイオマーカーにより、以下の有利な点を有する、画像処理に対する代替物が提供される:1)低侵襲的に発見され、基準検体(血液または血液由来の体液)を採取しやすいこと、2)対象においてある期間にわたって頻繁にモニターして正確なベースラインを確立することができ、それによってある期間にわたる変化を検出することが容易になること、3)適度に低い費用で準備することができること、4)高価で潜在的に有害なCTスキャンを繰り返し受ける患者の数を限定することができること、および/または5)CTスキャンとは異なり、バイオマーカーでは無痛性の肺病変と攻撃的な肺病変とを潜在的に区別できること(例えば、GreenbergおよびLee、Opin Pulm Med、13巻、249〜55頁(2007年)を参照されたい)。
【0009】
現存するバイオマーカーアッセイとしては、いくつかの血清タンパク質マーカー、例えば、CEA(Okadaら、Ann Thorac Surg、78巻、216〜21頁(2004年))、CYFRA21−1(Schneider、Adv Clin Chem、42巻、1〜41頁(2006年))、CRP(Siemesら、J Clin Oncol、24巻、5216〜22頁(2006年))、CA−125(Schneider、2006年)など、および神経特異的エノラーゼおよび扁平上皮癌抗原(Siemesら、2006年)が挙げられる。良性の肺疾患に起因して感度および特異度が低く、著しい数の偽陽性の結果が伴うことにより、これらのアッセイの適用は制限されている。
【0010】
DNAおよびmRNAなどの循環核酸も、肺がんに対する可能性のある診断マーカーとして評価されている。これらの試験は、循環核酸が、がんを示唆する示差的な発現を示すという知見に基づく(例えば、Bremnesら、Lung Cancer、49巻、1〜12頁(2005年);Johnsonら、Cell、120巻、635〜47頁(2005年);Yanaiharaら、Cancer Cell、9巻、189〜98頁(2006年);Chenら、Cell Res、18巻、997〜1006頁(2008年);Fabbriら、Cancer J、14巻、1〜6頁(2008年);Garofaloら、Oncogene、27巻、3845〜55頁(2008年);Mitchellら、Proc Natl Acad Sci、105巻、10513〜8頁(2008年);Schickelら、Oncogene、27巻、5959〜74頁(2008年);Weissら、Ann Oncol、19巻、1053〜9頁(2008年);およびYuら、Cancer Cell、13巻、48〜57頁(2008年)を参照されたい)。循環中の遊離DNAの起源は、完全には理解されていないが、損傷を受けた(アポトーシス性の、壊死性の)腫瘍細胞から残った安定な画分を表していると考えられている(Jahrら、Cancer Res、61巻、1659〜65頁(2001年);Bianchi、Placenta、25巻増補A:S93〜S101頁(2004年))。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、本明細書に、血清または血漿からのmiRNAを測定することによって肺疾患を検出、診断、またはモニターするための方法について記載する。
【0012】
一部の実施形態では、本発明は、血清または血漿からmiRNAを検出することによって小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんなどの肺疾患を検出またはモニターすることに関する。本発明の方法は、疾患を診断するため、および/または肺疾患の予後または攻撃性を評価するために使用することができるバイオマーカーを検出することを含む。さらに、この方法は、肺疾患の進行を特徴づけるために使用することができる。ある特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、患者における肺腫瘍または肺病変が癌性であるか、良性であるかを決定することができる。本発明の方法を使用して試験される患者は、当技術分野で公知の他の方法を使用して試験することもできる。
【0013】
本発明のある特定の実施形態では、診断または予後判定は、肺疾患の対象の血清中または血漿中に存在するレベルが上昇または低下しているmiRNAの量を測定することによって実現することができる。ある場合には、肺疾患を特徴づけるために1種の血清miRNAまたは血漿miRNAを検出(例えば、増幅および測定)することができ、一方他の実施形態では、2種以上のmiRNAを血清または血漿から検出する。一部の実施形態は、miRNAの対を検出することを含む。ある場合には、肺疾患または肺がんの患者の血清または血漿において、対の一方のmiRNAは上昇していて、対の他方のmiRNAは低下している。別の状況では、対のmiRNAの両方が上昇していてよい、または両方が低下していてよい。ある特定の実施形態では、タンパク質マーカーなどの非miRNAバイオマーカーも測定することができる。本発明の一部の実施形態は、肺がんを診断または予後判定すること、または患者における肺がんの種類を決定することに関する。一部の実施形態では、患者は、以前に肺疾患についてスクリーニングされたことがある。
【0014】
本発明のさらなる実施形態が本出願全体を通して記載されている。本発明の他の目的、特徴、および有利な点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本発明の1つの態様に関して記載された任意の実施形態は、同様に本発明の他の態様に当てはまり、逆もまた同じである。実施例の節における実施形態は、本発明の全ての態様に適用可能な本発明の実施形態であることが理解される。
【0015】
しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、単に例証として示されており、故に、本出願から、本発明の主旨および範囲内のさまざまな変化および改変が当業者に明らかになるであろうことが理解されるべきである。
【0016】
以下の図は本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、これらの図の1つまたは複数を、本明細書で提示されている特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによってよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、肺がんについてのマウスモデルに対する研究デザインの概略図である。A/Jマウス115匹に、ベンゾ(a)ピレンを指示用量で経口的な胃管栄養によって、時間(0)において、および最初の胃管栄養の10週後に投与した。対照マウス10匹に、週/0日目において発癌物質を伴わない綿実油200μlの経口胃管栄養を受けさせた。各時点で屠殺したマウスの数が、矢印の下に示されている。残りのマウスから、18週までは2週間ごとに、その後は4週間ごとに血を取った。34週目の終わりに、残りのマウス全てを屠殺した。
【図2A】図2Aは、肺腫瘍を発症したマウスおよび対照マウスにおける、血漿miRNA miR−183およびmiR−182の発現の時間的変化を示す。
【図2B】図2Bは、肺腫瘍を発症したマウスおよび対照マウスにおける、血漿miRNA miR−365およびmiR−141の発現の時間的変化を示す。
【図3】図3は、実施例5に記載の、線形判別分析(LDA)分類器についての曲線下面積(AUC)値の分布を、バイオマーカーの数の関数として示す。この手順により、分類器に使用するための最適なバイオマーカーの数が決定する。黒塗りの丸は、訓練セットからの結果を表し;白抜きの三角形は、試験セットからの結果を表す。垂直の破線は、性能が横ばい状態になるところである。平均AUCの最大値は特徴の数=9のところである。
【図4】図4は、実施例5の線形判別分析からの訓練データ、試験データの性能評価を示す。SENは感度であり;SPECは特異度であり、NPVは陰性的中率であり;PPVは陽性的中率である。6種の示差的なmiRNAの対を使用した:miR−142−5pとmiR181d;miR−142−3pとmiR181d;miR−142−3pとmiR−422a;miR−142−5pとmiR−422a;miR−92とmiR−27b;およびmiR−24とmiR−27a。
【図5A】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5B】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5C】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5D】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5E】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5F】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5G】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5H】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5I】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5J】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5K】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5L】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5M】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5N】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5O】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5P】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5Q】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5R】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5S】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5T】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【図5U】図5は、miRBase::Sequences DatabaseのRelease 13.0(http://microrna.sanger.ac.uk;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)によって提供されたヒト前駆体miRNA(プレmiRNA)の配列を示す(掲載順に、それぞれ配列番号1〜323)。表1〜5からの成熟miRNAの名称も提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ある特定の態様では、本発明の方法は、血清試料中または血漿試料中のmiRNAの量を増幅し、測定し、それによって肺疾患を特徴づけるためのアッセイを提供する。
【0019】
本発明を理解することの助けとなるように、ある特定の用語を最初に定義している。追加的な定義が本出願全体を通して提供される。
【0020】
本明細書で使用される、「マイクロRNA」(miRNAまたはmiR)という用語は、天然に存在し得る、ヒトmiRNA、成熟一本鎖miRNA、前駆体miRNA(プレmiR)、およびその変異体を含む。ある場合には、「miRNA」という用語は、一次miRNA転写物および2重鎖miRNAも含む。特に断りのない限り、本明細書で使用される場合、特定のmiRNAの名称は、前駆体miRNAの成熟miRNAを指す。例えば、miR−122aは、プレmiR−122から導かれる成熟miRNA配列を指す。ヒトの成熟配列および前駆体配列を含めた特定のmiRNAの配列は、miRBase::Sequences Database(http://microrna.sanger.ac.uk(2010年4月に公開された第15版);Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2008年、36巻、Database Issue、D154〜D158頁;Griffiths−Jonesら、Nucleic Acids Research、2006年、34巻、Database Issue、D140〜D144頁;Griffiths−Jones、Nucleic Acids Research、2004年、32巻、Database Issue、D109〜D111頁)に報告されている。ある特定のmiRNAに関しては、単一の前駆体が2種以上の成熟miRNA配列を含有する。他の例では、多数の前駆体miRNAが同じ成熟配列を含有する。ある場合には、成熟miRNAは、新しい科学的コンセンサスに基づいて改めて命名されている。例えば、本明細書で使用されるmiR−213は、プレmiR−181a−1からの成熟miRNAを指し、miR−181aとも称される。改めて命名された他のmiRNAとしては、プレmiR−24−1に由来するmiR−189(miR−24とも称される);miR−368(miR−376cとも称される);およびmiR−422b(miR−378とも称される)が挙げられる。当業者は、所与のmiRNAについての、具体的には成熟型のmiRNAについての正確な核酸配列に関する科学的コンセンサスは時間とともに変化し得ることを理解されたい。本出願のアッセイによって検出されるmiRNAは、miRNAの天然に存在する配列を含む。
【0021】
「特徴づけること」という用語は、本明細書では検出および予後判定を包含するために使用され、疾患の診断上または予後判定上の決定または予測を行うためにmiRNAを検出することを含む。ある場合には、特徴づけにより、対象ががんなどの肺疾患を有するかどうかが同定される、または病態が決定される。さらに、本明細書の方法に従ってmiRNAを検出することは、肺がんの患者と他の肺疾患を有する患者とを区別するため、または、肺腫瘍を有する患者ががんを有するかどうかを決定するために使用することができるmiRNAの量を測定することを含む。別の状況では、「特徴づけること」は、肺がんなどの病態の病期または攻撃性を決定するため、または肺疾患に対する適切な治療方法を決定するために、miRNAを検出することを含む。
【0022】
「a(1つの)」、「an(1つの)」または「the(その)」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書において「含む」という用語と同時に使用される場合、「one(1つの)」を意味する場合があるが、「1つまたは複数の」「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という意味とも一致する。
I.試料
血清は、一般には、流動性の、凝固した血液の非細胞部分である。血漿も非細胞の血液試料であるが、血清とは異なり、血漿は凝固因子を含有する。一部の実施形態では、血清試料または血漿試料は以前に肺疾患について別の診断方法を使用してスクリーニングされたヒト患者から得られる。種々の実施形態では、血清試料または血漿試料は、腫瘍または肺病変に対して検査結果が陽性であった患者から得られる。ある特定の実施形態では、患者は、例えば、胸部X線またはCTスキャンによる画像処理検出を受けたことがある。他の実施形態では、方法は、肺疾患についての画像処理結果が陽性である患者においてmiRNAを検出することを含む。一部の場合では、試料は、肺腫瘍または肺病変を有する患者から得られる。腫瘍または病変は、胸部X線もしくはCTスキャンによって、または、当技術分野で公知の他の画像処理方法または検出方法によって検出されたことがあってよい。さらなる実施形態は、肺疾患に対する治療を以前受けた、または現在受けている患者からの試料中のmiRNAを測定することを含む。さらなる実施形態では、試料は、肺がんを有する疑いがある、または肺がんを発症する危険性がある患者からのものである。アッセイのために得、使用する血漿または血清の体積は、臨床的な目的に応じて変動してよい。
【0023】
当業者は、血清試料を得、調製するための多くの方法が存在することを理解されよう。一般に、血液は、標準の方法を使用して採取管中に抜き取り、凝固させる。次いで凝固した血液の細胞部分から血清を分離する。一部の方法では、シリカ粒子などの凝固活性化因子を採血管に加える。他の方法では、血液は凝固を容易にするために処置しない。採血管は、多くの供給源から、さまざまな形式で市販されている(例えば、Becton Dickenson Vacutainer(登録商標)チューブSST(商標)、ガラス血清チューブ、またはプラスティック血清チューブ)。
【0024】
一部の方法では、血液を静脈穿刺によって採取し、抜き取った後3時間以内に処理して溶血を最小限にし、血液中のインタクトな細胞からのmiRNAの放出を最小にする。一部の方法では、血液は、使用するまで氷上で保存する。血液は、遠心分離によって分別して細胞構成成分を除去することができる。一部の実施形態では、血清を調製するための遠心分離は、少なくとも500×G、1000×G、2000×G、3000×G、4000×G、または5000×Gのスピードであってよい。ある特定の実施形態では、血液を少なくとも10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、90分間、120分間、または150分間インキュベートして凝固させることができる。他の実施形態では、血液を最大3時間インキュベートする。血漿を使用する場合、細胞構成成分および無細胞構成成分を分離する前に血液を凝血させない。血清または血漿は、血液の細胞部分から分離した後、さらにアッセイするまで凍結させることができる。
【0025】
分析前に、当技術分野で公知の方法を使用して、RNAを血清または血漿から抽出し、精製することができる。全RNAを単離するための、またはmiRNAを含めた低分子RNAを特異的に抽出するための多くの方法が公知である。RNAは、市販のキット(例えば、Perfect RNA Total RNA Isolation Kit、Five Prime−Three Prime,Inc.;mirVana(商標)キット、Ambion,Inc.)を使用して抽出することができる。あるいは、哺乳動物の細胞内RNAまたはウイルスRNAを抽出するためのRNA抽出方法を、公開された通りに、または改変を伴って、血漿および血清からRNAを抽出するために適合させることができる。RNAは、米国特許出願公開第2008/0057502号に記載の方法または適応において見られるように、シリカ粒子、ガラスビーズ、または珪藻を使用して血漿または血清から抽出することができる。
【0026】
II.肺疾患に対するmiRNAマーカー
本発明のある特定の実施形態は、肺疾患に対するマーカーとしての血清miRNAまたは血漿miRNAを提供する。一部の実施形態では、肺疾患の患者の血清中および/または血漿中に存在するレベルが上昇しているmiRNAを、マーカーとして使用する。他の実施形態では、レベルが低下しているmiRNAをマーカーとして使用する。一部の実施形態では、血清または血漿からの2種以上のmiRNAをマーカーとして使用することになる。2種以上のmiRNAバイオマーカーを使用する場合、全てのmiRNAのレベルが上昇していてよい、全てのmiRNAのレベルが低下していてよい、または、レベルが上昇しているmiRNAとレベルが低下しているmiRNAの混合物を使用することができる。
【0027】
「レベルが低下している」または「レベルが上昇している」という用語は、患者を試験している対象の肺疾患を有さないコホートまたは複数のコホートからの血清中または血漿中のmiRNAの量と比較した、患者からの血清試料中または血漿試料中のmiRNAの量を指す。例えば、肺がん患者の血清においてレベルが低下しているmiRNAは、肺がん患者の血清において、肺がんを有さないドナー(例えば、良性腫瘍を有する患者または正常な患者)からの血清におけるよりも低量で存在している。ある特定のmiRNAに関しては、患者の血清試料または血漿試料においてレベルが上昇していることにより、肺疾患の存在または予後が示される。別のmiRNAは、肺疾患の患者において存在するレベルが低下している。
【0028】
肺疾患は、がんおよび良性の状態を含む。肺がんは、肺の悪性腫瘍を指し、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんに分類することができる。一部の実施形態では、非小細胞肺がんは、さらに腺癌、扁平上皮癌(SCC)、および大細胞癌として特徴づけることができる。さらに、がんは、X線またはCTスキャンの結果、攻撃性、病状、および非miRNAバイオマーカーの測定値、ならびに当技術分野で公知の他の方法に基づいて分類することができる。ある特定の態様では、肺がんは、TNM則(T−原発腫瘍、N−所属リンパ節、M−遠隔転移)および/または病期0期、IA期、IB期、IIA期、IIB期、IIIA期、IIIB期またはIV期によって分類される(例えば、Lababedeら、Chest、115巻、233〜235頁(1999年)を参照されたい)。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、患者における肺疾患を少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の感度で特徴づけることができる。感度の程度は、疾患を有すると陽性に特徴づけられる、疾患の患者の百分率を示す。さらなる実施形態では、方法は、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の特異度(例えば、正確に特徴づけられている非疾患の患者の百分率)を有する。アッセイパラメータを調整して、感度および特異度の両方について最適化することができる。
【0029】
ある場合では、miRNAマーカーのレベルを対照と比較して、レベルが低下したか、または上昇したかどうかを決定する。対照は、外部対照、例えば、肺疾患がないことが既知である対象からの血清試料中または血漿試料中のmiRNAなどであってよい。外部対照は、正常な(非疾患の)対象からの試料または良性の肺疾患の患者からの試料であってよい。別の状況では、外部対照は、組織試料のような非血清試料からのmiRNAまたは既知量の合成RNAであってよい。外部対照は、プールされた試料、平均試料、または個々の試料であってよい;外部対照は、測定されているmiRNAと同じmiRNAまたは異なるmiRNAであってよい。内部対照は、試験されている試料と同じ血清試料または血漿試料からのマーカー、例えば、miRNAの対照などであってよい。例えば、その全体が参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2009/0075258号を参照されたい。
【0030】
表1に肺疾患の患者からの血清においてレベルが上昇または低下しているmiRNAを列挙している。これらのmiRNAは、本発明に従って使用することができる。miRNAのいくつかは、がんの種類を区別すること、および/またはがんと良性の肺疾患とを区別することを含めて、肺がんを特徴づけるために有用である。さらに、一部のmiRNAを使用して、肺がんの攻撃性または転帰を予測することができる。
表1. 肺がんの患者からの血清においてレベルが上昇または低下しているmiRNA。レベルは、良性の腫瘍または病変を有する患者と比較した、肺がん患者におけるmiRNAのレベルである。
【0031】
【表1】

ある特定の実施形態では、1種の血清miRNAを使用して肺疾患および/または肺がんを検出する、診断する、特徴づける、またはモニターする。他の実施形態では、2種以上のmiRNAをマーカーとして使用する。さらなる実施形態では、2種以上のmiRNAを使用して肺疾患を特徴づける。ある特定の実施形態では、本発明の方法において少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種のmiRNAを検出する。ある特定の方法では、肺疾患の患者からの血清または血漿においてレベルが低下しているmiRNAを、バイオマーカーとして使用する。他の実施形態では、血清または血漿においてレベルが上昇しているmiRNAを、バイオマーカーとして使用することができる。ある特定の実施形態では、患者は肺腫瘍または肺病変を有する。さらなる実施形態では、患者は、以前に肺疾患についてスクリーニングされたことがある。
【0032】
一部の実施形態では、肺がんを診断するためのmiRNAは、miR−375、miR−499、miR−22、miR−122a、miR−206、miR−103、miR−24、miR−26a、miR−498、miR−205、miR−222、およびlet−7cから選択される。
【0033】
ある特定の実施形態では、miRNAは、let−7a、let−7b、let−7c、let−7d、let−7e、let−7f、let−7g、miR−106a、miR−106b、miR−125a、miR−126、miR−130b、miR−132、miR−133a、miR−133b、miR−140、miR−142−3p、miR−143、miR−146a、miR−150、miR−151、miR−155、miR−15a、miR−15b、miR−16、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−186、miR−18a、miR−190、miR−191、miR−195、miR−197、miR−19b、miR−202、miR−206、miR−20a、miR−210、miR−214、miR−22、miR−221、miR−222、miR−223、miR−23a、miR−24、miR−25、miR−26a、miR−26b、miR−27b、miR−30a−5p、miR−30b、miR−30c、miR−30d、miR−30e−3p、miR−320、miR−324−3p、miR−324−5p、miR−335、miR−342、miR−345、miR−346、miR−361、miR−365、miR−374、miR−378、miR−382、miR−422a、miR−432、miR−485−3p、miR−486、miR−496、miR−502、miR−584、miR−638、miR−660、miR−92、およびmiR−93から選択される。
【0034】
さらなる実施形態では、miRNAは、let−7f、let−7g、let−7i、miR−106b、miR−126、miR−126、miR−140、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−143、miR−145、miR−150、miR−15a、miR−15b、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−202、miR−214、miR−27a、miR−27b、miR−30e−5p、miR−320、miR−324−3p、miR−340、miR−342、miR−345、miR−374、miR−378、miR−422a、miR−486、miR−518b、およびmiR−92から選択される。
【0035】
他の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、let−7b、let−7c、let−7d、let−7e、miR−10a、miR−10b、miR−130b、miR−132、miR−133b、miR−139、miR−143、miR−152、miR−155、miR−15b、miR−17−5p、miR−193、miR−194、miR−195、miR−196b、miR−199a、miR−19b、miR−202、miR−204、miR−205、miR−206、miR−20b、miR−21、miR−210、miR−214、miR−221、miR−27a、miR−27b、miR−296、miR−29a、miR−301、miR−324−3p、miR−324−5p、miR−339、miR−346、miR−365、miR−378、miR−422a、miR−432、miR−485−3p、miR−496、miR−497、miR−505、miR−518b、miR−525、miR−566、miR−605、miR−638、miR−660、およびmiR−93から選択される。
【0036】
さらなる実施形態では、miRNAは、miR−106a、miR−106b、miR−126、miR−142−3p、miR−15b、miR−181c、miR−182、miR−26b、miR−30b、miR−30e−5p、miR−422b、let−7i、およびlet−7gから選択される。
【0037】
別の実施形態では、miRNAは、miR−24、miR−92、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−181d、miR−27a、miR−27b、miR−422a、miR−29b、miR−15a、miR−106b、miR−126、miR−140、およびmiR−202から選択される。一部の実施形態では、これらのmiRのうちの2種、3種、4種、5種、6種、7種、または8種を使用して、肺がんの患者と良性の肺腫瘍または病変を有する患者とを区別することができる。さらなる実施形態では、2種、3種、4種、5種、6種、7種、または8種のmiRNAは、miR−24、miR−92、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−181d、miR−27a、miR−27b、およびmiR−422aから選択される。
【0038】
ある特定の実施形態では、非がん試料と対照して肺がん試料を特徴づけるためのmiRNAは、miR−15b、miR−182、miR−15a、miR−30b、miR−26b、miR−106b、let−7g、miR−142−3p、miR−301、miR−181c、miR−126、miR−346、miR−422b、およびmiR−92から選択される。非がん試料としては、良性の肺腫瘍または病変がある対象からの試料、または正常な対象からの試料が挙げられる。
【0039】
ある特定の実施形態は、患者における肺疾患および/または肺がんを特徴づけるための方法であって、血清試料中のmiRNAのレベルを測定するステップであって、miRNAが、let−7b、let−7c、let−7d、let−7e、miR−10a、miR−10b、miR−130b、miR−132、miR−133b、miR−139、miR−143、miR−152、miR−155、miR−15b、miR−17−5p、miR−193、miR−194、miR−195、miR−196b、miR−199a、miR−19b、miR−202、miR−204、miR−205、miR−206、miR−20b、miR−21、miR−210、miR−214、miR−221、miR−27a、miR−27b、miR−296、miR−29a、miR−301、miR−324−3p、miR−324−5p、miR−339、miR−346、miR−365、miR−378、miR−422a、miR−432、miR−485−3p、miR−496、miR−497、miR−505、miR−518b、miR−525、miR−566、miR−605、miR−638、miR−660、およびmiR−93から選択されるステップと、試料中のmiRNAのレベルの低下または上昇を決定し、それによって肺疾患または肺がんを特徴づけるステップと
を含む方法を含む。
【0040】
表2に、肺疾患の患者からの血漿においてレベルが上昇または低下しているmiRNAを列挙している。これらのmiRNAは、本発明に従って使用することができる。
表2. 肺疾患の患者からの血漿においてレベルが上昇または低下しているmiRNA。レベルは、肺がんでない患者と比較した、肺がん患者におけるmiRNAのレベルである。
【0041】
【表2−1】

【0042】
【表2−2】

一部の実施形態では、単一の血漿miRNAを使用して肺がんを特徴づけることができる。他の実施形態では、肺がんを特徴づけるために、表2のmiRNAの1つを単独で、または1つまたは複数の追加的なmiRNAマーカーと組み合わせて使用することができる。
【0043】
ある特定の実施形態では、方法により、肺がんと良性の肺疾患とが区別される。一部の場合では、少なくとも1種の測定されたmiRNAが、良性の状態の患者または疾患がない患者と比較して、肺がん患者の血清または血漿において上昇している。一部の場合では、少なくとも1種の測定されたmiRNAが低下している。ある特定の実施形態では、少なくとも1種の測定されたmiRNAが上昇し、少なくとも1種のmiRNAが低下している。他の実施形態では、少なくとも2種の上昇したmiRNAまたは少なくとも2種の低下したmiRNAが測定される。
【0044】
ある特定の実施形態では、患者が肺がんを有するかどうかを決定するために、以下のmiRNAの1つを少なくとも1種の他のmiRNAバイオマーカーと組み合わせて使用する:let−7a、let−7b、let−7d、let−7f、let−7g、let−7i、miR−101、miR−106a、miR−106b、miR−125a、miR−126、miR−126、miR−130b、miR−132、miR−133b、miR−140、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−145、miR−146a、miR−146b、miR−148b、miR−150、miR−151、miR−15a、miR−15b、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−185、miR−186、miR−190、miR−191、miR−193a、miR−199a、miR−202、miR−210、miR−214、miR−222、miR−23a、miR−24、miR−26a、miR−26b、miR−27a、miR−27b、miR−29b、miR−301、miR−30a−5p、miR−30b、miR−30c、miR−30d、miR−30e−5p、miR−320、miR−324−3p、miR−326、miR−335、miR−340、miR−342、miR−345、miR−346、miR−34a、miR−374、miR−375、miR−378、miR−422a、miR−422b、miR−425、miR−486、miR−496、miR−518b、miR−660、miR−7、miR−92、miR−93、miR−98、miR−99a、またはmiR−99b。
【0045】
他の実施形態では、患者が肺がんを有するかどうかを決定するため、または肺がんと良性の肺疾患とを区別するために、以下のmiRNAの1つを少なくとも1種の他のmiRNAバイオマーカーと組み合わせて使用する:miR−422a;miR−29b;miR−92;miR−142−5p;miR−142−3p;miR−181d;miR−27b;miR−378;miR−27a;miR−30e−5p;miR−181a;miR−126;miR−342;miR−140;miR−15a;miR−324−3p;miR−374;miR−486;miR−518b;miR−106b;miR−145;miR−150;miR−191;miR−345;miR−126;miR−148b;miR−214;miR−320;let−7g;let−7i;miR−146a;miR−15b;miR−185;miR−186;miR−23a;miR−24;miR−30a−5p;miR−340;miR−34a;miR−101;miR−132;miR−181b;miR−199a;miR−202;miR−222;miR−422b;miR−660;miR−7;またはmiR−93。
【0046】
他の実施形態では、患者が肺がんを有するかどうかを決定するために、以下のmiRNAの1つを少なくとも1種の他のmiRNAバイオマーカーと組み合わせて使用する:let−7g、miR−106b、miR−126、miR−126、miR−132、miR−140、miR−142−3p、miR−146a、miR−150、miR−15a、miR−15b、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−214、miR−24、miR−30a−5p、miR−320、miR−342、miR−345、miR−374、miR−422a、miR−422b、miR−486、またはmiR−92。
【0047】
本発明の一部の実施形態は、血清からの少なくとも1組のmiRNAの対を増幅し、測定することに関する。表3は、肺疾患を特徴づけるために使用することができる対を含む。これらの対は、他の肺疾患のバイオマーカーと組み合わせて使用することができる。
【0048】
表3. 血清試料において測定されたmiRNAの対
【0049】
【表3−1】

【0050】
【表3−2】

ある特定の実施形態では、miRNAの対は、miR−202およびmiR−29b;miR−142−5pおよびmiR−422a;miR−24およびmiR−27a;miR−27bおよびmiR−422a;miR−140およびmiR−422a;miR−185およびmiR−93;miR−126およびmiR−181d;miR−142−3pおよびmiR−422a;miR−30e−5pおよびmiR−345;miR−29bおよびmiR−422a;miR−324−5pおよびmiR−422a;miR−374およびmiR−422a;miR−140およびmiR−345;miR−23aおよびmiR−27a;miR−29bおよびmiR−378;miR−30e−5pおよびmiR−422a;miR−30e−5pおよびmiR−92;miR−660およびmiR−92;miR−106bおよびmiR−422a;let−7gおよびmiR−422a;miR−101およびmiR−92;miR−126およびmiR−92;miR−126およびmiR−422a;miR−126およびmiR−92;miR−150およびmiR−29a;miR−15aおよびmiR−92;miR−30e−5pおよびmiR−324−3p;miR−126およびmiR−378;miR−126およびmiR−422a;miR−132およびmiR−29b;miR−142−3pおよびmiR−181a;miR−142−3pおよびmiR−378;miR−148bおよびmiR−92;miR−181bおよびmiR−29b;miR−26aおよびmiR−422a;miR−15aおよびmiR−422a;miR−146aおよびmiR−27b;miR−148bおよびmiR−422a;let−7iおよびmiR−422a;miR−340およびmiR−422a;miR−143およびmiR−150;miR−15aおよびmiR−378;miR−15bおよびmiR−422a;miR−27bおよびmiR−92;miR−30e−3pおよびmiR−422a;miR−30bおよびmiR−422a;miR−142−3pおよびmiR−92;miR−27aおよびmiR−422a;miR−142−5pおよびmiR−342;miR−142−5pおよびmiR−223;miR−27bおよびmiR−378;miR−186およびmiR−27a;miR−106bおよびmiR−324−3p;miR−34aおよびmiR−518b;miR−27aおよびmiR−92;miR−30a−3pおよびmiR−422a;miR−181dおよびmiR−29b;miR−15bおよびmiR−191;miR−192およびmiR−422a;miR−422aおよびmiR−576;miR−30cおよびmiR−422a;miR−142−3pおよびmiR−145;miR−142−3pおよびmiR−181d;miR−181dおよびmiR−27b;miR−142−5pおよびmiR−186;miR−150およびmiR−29c;miR−200cおよびmiR−422a;miR−185およびmiR−92;miR−148aおよびmiR−422a;miR−34aおよびmiR−422a;miR−32およびmiR−422a;miR−214およびmiR−566;miR−206およびmiR−422a;miR−214およびmiR−518b;miR−142−3pおよびmiR−320;miR−331およびmiR−422a;miR−26bおよびmiR−422a;miR−142−5pおよびmiR−345;miR−27bおよびmiR−324−3p;miR−30a−5pおよびmiR−30e−5p;miR−29bおよびmiR−92;miR−191およびmiR−27a;miR−140およびmiR−181d;miR−422aおよびmiR−660;miR−126およびmiR−181a;miR−126およびmiR−378;miR−15aおよびmiR−181d;let−7fおよびmiR−422a;miR−181aおよびmiR−27b;miR−29bおよびmiR−324−3p;miR−132およびmiR−30e−5p;miR−214およびmiR−422b;miR−140およびmiR−378;miR−29bおよびmiR−30a−5p;let−7aおよびmiR−422a;miR−142−5pおよびmiR−191;miR−24およびmiR−27b;miR−126およびmiR−181d;miR−181dおよびmiR−30e−5p;miR−142−3pおよびmiR−191;miR−181cおよびmiR−29b;miR−181dおよびmiR−27a;miR−148bおよびmiR−378;miR−15aおよびmiR−320;miR−199aおよびmiR−422a;miR−146aおよびmiR−27a;miR−142−5pおよびmiR−181a;miR−15aおよびmiR−486;miR−27bおよびmiR−342;miR−181aおよびmiR−27a;let−7gおよびmiR−342;miR−29bおよびmiR−345;let−7eおよびmiR−422a;miR−29bおよびmiR−422b;miR−142−3pおよびmiR−202;miR−214およびmiR−422a;miR−142−5pおよびmiR−145;miR−422aおよびmiR−497;miR−29bおよびmiR−433;miR−140およびmiR−92;miR−142−5pおよびmiR−92;miR−142−3pおよびmiR−181b;miR−30e−5pおよびmiR−486;miR−196bおよびmiR−422a;miR−222およびmiR−29b;miR−142−3pおよびmiR−518b;miR−29bおよびmiR−30d;miR−29bおよびmiR−361;miR−342およびmiR−34a;miR−106bおよびmiR−181d;miR−340およびmiR−92;miR−486およびmiR−7;miR−21およびmiR−422a;miR−106bおよびmiR−92;let−7iおよびmiR−92;miR−101およびmiR−486;miR−181aおよびmiR−29b;miR−142−5pおよびmiR−150;miR−142−3pおよびmiR−342;miR−29bおよびmiR−518b;miR−142−5pおよびmiR−181d;miR−193bおよびmiR−29b;miR−146bおよびmiR−422a;miR−15bおよびmiR−92;miR−142−5pおよびmiR−23a;miR−27aおよびmiR−378;miR−197およびmiR−29b;miR−342およびmiR−374;miR−422aおよびmiR−487b;miR−142−3pおよびmiR−99b;miR−29bおよびmiR−320;miR−340およびmiR−378;miR−29bおよびmiR−486;miR−23aおよびmiR−422a;miR−222およびmiR−27b;miR−142−5pおよびmiR−24;miR−148bおよびmiR−181d;miR−29bおよびmiR−342;miR−152およびmiR−422a;miR−7およびmiR−92;miR−210およびmiR−422a;let−7cおよびmiR−422a;miR−27bおよびmiR−518b;miR−145およびmiR−374;miR−27aおよびmiR−324−3p;miR−140およびmiR−186;miR−185およびmiR−486;miR−422aおよびmiR−496;miR−181aおよびmiR−199a;miR−422aおよびmiR−432;miR−181dおよびmiR−23b;miR−125bおよびmiR−422a;miR−145およびmiR−29b;miR−142−5pおよびmiR−146a;miR−126およびmiR−320;miR−191およびmiR−374;miR−126およびmiR−145;miR−150およびmiR−29b;miR−133bおよびmiR−422a;miR−142−5pおよびmiR−324−3p;miR−27bおよびmiR−345;miR−374およびmiR−378;let−7bおよびmiR−422a;miR−346およびmiR−432;miR−142−5pおよびmiR−518b;miR−142−3pおよびmiR−328;miR−181aおよびmiR−374;let−7gおよびmiR−181d;miR−106bおよびmiR−378;miR−30a−5pおよびmiR−422a;miR−339およびmiR−422a;let−7iおよびmiR−378;miR−142−5pおよびmiR−93;およびmiR−224およびmiR−422aから選択される。
【0051】
ある特定の実施形態では、miRNAの対は、let−7aおよびmiR−181a;let−7aおよびmiR−181d;let−7bおよびmiR−150;let−7bおよびmiR−181d;let−7bおよびmiR−92;let−7cおよびmiR−150;let−7cおよびmiR−181d;let−7cおよびmiR−92;let−7eおよびmiR−378;let−7fおよびmiR−181a;let−7fおよびmiR−181d;let−7fおよびmiR−342;let−7fおよびmiR−92;let−7gおよびmiR−150;let−7gおよびmiR−181a;let−7gおよびmiR−181d;let−7gおよびmiR−342;let−7gおよびmiR−92;let−7iおよびmiR−486;let−7iおよびmiR−92;miR−106bおよびmiR−150;miR−106bおよびmiR−181d;miR−106bおよびmiR−92;miR−125aおよびmiR−142−3p;miR−125aおよびmiR−374;miR−126およびmiR−181d;miR−126およびmiR−30a−5p;miR−126およびmiR−92;miR−126およびmiR−146a;miR−126およびmiR−150;miR−126およびmiR−181a;miR−126およびmiR−181d;miR−126およびmiR−342;miR−126およびmiR−92;miR−130bおよびmiR−142−3p;miR−132およびmiR−142−3p;miR−132およびmiR−214;miR−140およびmiR−150;miR−140およびmiR−30a−5p;miR−140およびmiR−345;miR−140およびmiR−92;miR−142−3pおよびmiR−146a;miR−142−3pおよびmiR−150;miR−142−3pおよびmiR−151;miR−142−3pおよびmiR−181a;miR−142−3pおよびmiR−181b;miR−142−3pおよびmiR−181d;miR−142−3pおよびmiR−186;miR−142−3pおよびmiR−210;miR−142−3pおよびmiR−22;miR−142−3pおよびmiR−23a;miR−142−3pおよびmiR−24;miR−142−3pおよびmiR−30a−5p;miR−142−3pおよびmiR−342;miR−142−3pおよびmiR−345;miR−142−3pおよびmiR−425;miR−142−3pおよびmiR−486;miR−142−3pおよびmiR−92;miR−142−3pおよびmiR−99b;miR−142−5pおよびmiR−30a−5p;miR−143およびmiR−223;miR−143およびmiR−486;miR−150およびmiR−15b;miR−150およびmiR−214;miR−150およびmiR−29b;miR−150およびmiR−374;miR−150およびmiR−576;miR−15aおよびmiR−181a;miR−15aおよびmiR−181b;miR−15aおよびmiR−181d;miR−15aおよびmiR−210;miR−15aおよびmiR−30a−5p;miR−15aおよびmiR−342;miR−15aおよびmiR−345;miR−15aおよびmiR−486;miR−15aおよびmiR−92;miR−15bおよびmiR−17−5p;miR−15bおよびmiR−181a;miR−15bおよびmiR−181d;miR−15bおよびmiR−24;miR−15bおよびmiR−342;miR−15bおよびmiR−92;miR−16およびmiR−486;miR−16およびmiR−92;miR−181aおよびmiR−214;miR−181aおよびmiR−26a;miR−181aおよびmiR−26b;miR−181aおよびmiR−30b;miR−181aおよびmiR−30c;miR−181aおよびmiR−374;miR−181aおよびmiR−98;miR−181bおよびmiR−214;miR−181bおよびmiR−374;miR−181dおよびmiR−214;miR−181dおよびmiR−26b;miR−181dおよびmiR−30b;miR−181dおよびmiR−30c;miR−181dおよびmiR−374;miR−181dおよびmiR−432;miR−181dおよびmiR−496;miR−181dおよびmiR−638;miR−181dおよびmiR−98;miR−193aおよびmiR−422a;miR−195およびmiR−486;miR−199aおよびmiR−92;miR−20aおよびmiR−92;miR−214およびmiR−342;miR−214およびmiR−422b;miR−214およびmiR−92;miR−24およびmiR−374;miR−26aおよびmiR−342;miR−26aおよびmiR−92;miR−26bおよびmiR−342;miR−26bおよびmiR−92;miR−27aおよびmiR−30a−5p;miR−27bおよびmiR−30d;miR−29bおよびmiR−30a−5p;miR−30bおよびmiR−342;miR−30bおよびmiR−92;miR−30cおよびmiR−342;miR−30cおよびmiR−92;miR−320およびmiR−98;miR−342およびmiR−374;miR−346およびmiR−422a;miR−346およびmiR−518b;miR−346およびmiR−566;miR−374およびmiR−92;miR−422aおよびmiR−496;miR−422aおよびmiR−638;miR−422aおよびmiR−98;miR−432およびmiR−92;miR−496およびmiR−92;およびmiR−7およびmiR−92から選択される。
【0052】
他の実施形態では、miRNAの対は、miR−142−5pとmiR181d;miR−142−3pとmiR181d;miR−142−3pとmiR−422a;miR−142−5pとmiR−422a;miR−92とmiR−27b;およびmiR−24とmiR−27aから選択される。さらなる実施形態では、miRNAの対は、miR−106aとmiR−422b;miR−126とmiR−26b;miR−106aとmiR−26b;miR−15bとmiR−30a−5p;let−7aとmiR−26b;let−7gとmiR−106a;miR−126とmiR−15b;miR−126とmiR−30b;およびmiR−106aとmiR−106bから選択される。
【0053】
一部の実施形態では、血清試料において対を測定する。場合によって、1つまたは複数の追加的なmiRNAを測定する。
【0054】
さらなる実施形態では、ある特定のmiRNAの対を使用して、女性患者または男性患者において肺疾患を特徴づけることができる(表4)。ある特定の実施形態では、本方法により、性別特異的なmiRNAバイオマーカーを検出する。
表4: 女性患者または男性患者において肺疾患を特徴づけるためのmiRNAの対
【0055】
【表4−1】

【0056】
【表4−2】

本発明の一部の実施形態は、血漿からの2種以上のmiRNAを増幅し、測定することに関する。以下のmiRNA血漿バイオマーカーの1つを、少なくとも1種の他のmiRNAと組み合わせて使用することができる:miR−10b、miR−192、miR−206、miR−101、miR−205、miR−16、miR−151、miR−137、miR−215、miR−181a、miR−218、miR−126、miR−125b、miR−326、miR−100、miR−31、miR−197、miR−222、miR−191、miR−200c、miR−186、miR−145、miR−155、miR−29c、let−7c、miR−181c、miR−125a、miR−134、miR−181d、let−7b、miR−127、miR−146a、miR−139、miR−152、miR−190、miR−30e−5p、miR−106b、miR−10a、miR−132、miR−148a、miR−213、miR−29a、miR−375、miR−133b、miR−15a、miR−107、miR−148b、miR−19a、miR−106a、miR−130a、miR−17−3p、miR−18a、miR−195、miR−20b、miR−301、miR−339、miR−410、miR−188、miR−193a、let−7g、let−7i、miR−140、miR−181b、miR−25、miR−328、miR−133a、miR−150、miR−17−5p、miR−21、miR−214、miR−370、miR−383、miR−130b、miR−199a、miR−212、miR−221、miR−27b、miR−30e−3p、miR−338、miR−361、miR−141、miR−142−5p、miR−30a−3p、miR−30a−5p、miR−451、miR−142−3p、miR−146b、miR−15b、miR−18a、miR−210、miR−296、miR−323、miR−362、let−7a、miR−196b、miR−223、miR−29b、miR−324−5p、miR−376a、miR−379、miR−491、let−7d、miR−126、miR−182、miR−185、miR−204、miR−23a、miR−27a、miR−324−3p、miR−342、miR−34c、miR−382、miR−425、miR−432、miR−103、miR−193b、miR−196a、miR−199a、miR−199b、miR−28、miR−30d、miR−330、miR−423、miR−433、miR−485−5p、miR−20a、miR−23b、miR−26a、miR−30b、miR−30c、miR−320、miR−345、miR−422b、miR−335、miR−365、miR−486、miR−24、miR−26b、miR−331、miR−340、miR−34a、miR−374、miR−452、miR−483、miR−512−5p、let−7e、miR−32、miR−422a、miR−424、miR−432、miR−485−3p、miR−487b、miR−496、miR−505、miR−7、miR−202、miR−369−3p、miR−495、miR−502、miR−511、miR−516−3p、miR−517c、miR−92、miR−93、miR−99a、またはmiR−99b。
【0057】
表5は、肺がんを特徴づけるために使用することができる血漿試料からのmiRNAの対を含む。場合によって、1つまたは複数の追加的なmiRNAを測定する。
表5. 血漿試料において測定されるmiRNAの対
【0058】
【表5】

本発明の方法において使用することができる他のmiRNAおよびmiRNA群は、本明細書に記載の実施例から明らかになるであろう。
【0059】
III.miRNAのレベルを測定するための方法
miRNAのレベルまたは量を測定する多くの方法が考えられている。信頼でき、感度がよく、特異的な任意の方法を使用することができる。一部の実施形態では、miRNAを、測定する前に増幅する。他の実施形態では、miRNAのレベルを、増幅プロセス中に測定する。さらに他の方法では、miRNAは、測定する前に増幅しない。
【0060】
A.増幅反応
成熟miRNA、前駆体miRNA、および一次miRNAなどのmiRNAの核酸配列を増幅するための多くの方法が存在する。適切な核酸の重合技法および増幅技法としては、逆転写(RT)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムPCR(定量的PCR(q−PCR))、核酸配列に基づく増幅(nucleic acid sequence−base amplification)(NASBA)、リガーゼ連鎖反応、多重ライゲーション可能なプローブ増幅(multiplex ligatable probe amplification)、インベーダー技術(invader technology)(Third Wave)、ローリングサークル増幅、in vitro転写(IVT)、鎖置換増幅、転写媒介性増幅(TMA)、RNA(Eberwine)増幅、および当業者に公知の他の方法が挙げられる。ある特定の実施形態では、逆転写の後にリアルタイム定量的PCR(qRT−PCR)など、2種以上の増幅方法を使用する(Chenら、Nucleic Acids Research、33巻(20号):e179頁(2005年))。
【0061】
典型的なPCR反応は、標的核酸種を選択的に増幅する多数の増幅ステップまたはサイクル:標的核酸を変性させる変性ステップ;PCRプライマーセット(フォワードプライマーおよびリバースプライマー)が相補的なDNA鎖にアニーリングするアニーリングステップ;および熱安定性のDNAポリメラーゼによってプライマーが伸長する伸長ステップを含む。これらのステップを多数回繰り返すことにより、DNA断片が増幅されて、標的DNA配列に対応するアンプリコンが産生される。典型的なPCR反応は、変性、アニーリング、および伸長のサイクルを20回以上含む。多くの場合、アニーリングステップおよび伸長ステップは、同時に実施することができ、その場合、サイクルは2つのステップのみを含有する。成熟miRNAは一本鎖であるので、逆転写反応(相補的なcDNA配列が産生される)は、PCR反応の前に実施することができる。逆転写反応は、例えば、RNAベースのDNAポリメラーゼ(逆転写酵素)およびプライマーの使用を含む。
【0062】
PCR法およびq−PCR法では、例えば、各標的配列に対してプライマーセットを使用する。ある特定の実施形態では、プライマーの長さは、これらに限定されないが、プライマー間の望ましいハイブリダイゼーション温度、標的核酸配列、および増幅される種々の標的核酸配列の複雑さを含めた多くの因子に左右される。ある特定の実施形態では、プライマーは、長さが約15〜約35ヌクレオチドである。他の実施形態では、プライマーは、長さが15ヌクレオチド以下、20ヌクレオチド以下、25ヌクレオチド以下、30ヌクレオチド以下、または35ヌクレオチド以下である。さらなる実施形態では、プライマーは長さが少なくとも35ヌクレオチドである。
【0063】
別の態様では、フォワードプライマーは、miRNAバイオマーカーにアニーリングする少なくとも1種の配列を含んでよく、代わりに追加的な5’の非相補的領域を含んでよい。別の態様では、逆転写されたmiRNAの相補物にアニーリングさせるためにリバースプライマーを設計することができる。リバースプライマーは、miRNAバイオマーカー配列とは独立していてよく、同じリバースプライマーを使用して多数のmiRNAバイオマーカーを増幅することができる。あるいは、リバースプライマーは、miRNAバイオマーカーに特異的であってよい。
【0064】
一部の実施形態では、2種以上のmiRNAを単一の反応容積で増幅する。一態様は、2種以上のプライマー対および/または2種以上のプローブを使用することにより、1つの反応容積で少なくとも2種の対象のmiRNAを同時に増幅し、定量化することを可能にする、qRT−PCRなどの複合q−PCRを含む。プライマー対は、各miRNAにユニークに結合する少なくとも1種の増幅プライマーを含み、プローブは、互いに区別可能になるように標識され、したがって多数のmiRNAを同時に定量化することが可能になる。複合qRT−PCRは、これらに限定されないが、診断、予後判定、および治療に適用するためのmiRNAを検出することを含めた、研究用途および診断用途を有する。
【0065】
qRT−PCR反応は、逆転写酵素およびDNAベースの熱安定性DNAポリメラーゼの両方を含めることによって、逆転写反応とさらに組み合わせることができる。2種のポリメラーゼを使用する場合、「ホットスタート」手法を使用して、アッセイの性能を最大にすることができる(米国特許第5,411,876号および同第5,985,619号)。例えば、逆転写酵素反応およびPCR反応の構成成分を1つまたは複数の熱活性化(thermoactivation)法または化学的変質を使用して隔離して、重合効率を改善することができる(米国特許第5,550,044号、同第5,413,924号および同第6,403,341号)。
【0066】
B.miRNAの検出
ある特定の実施形態では、標識、色素、または標識されたプローブおよび/またはプライマーを使用して、増幅されたmiRNAまたは増幅されなかったmiRNAを検出することができる。当業者は、検出方法の感度および標的の存在量に基づいて、どの検出方法が適切であるかを理解されよう。検出方法の感度および標的の存在量に応じて、検出する前に増幅することが必要な場合がある、または必要でない場合がある。当業者は、miRNAを増幅することが好ましい検出方法を理解されよう。
【0067】
プローブまたはプライマーは、ワトソン−クリック塩基または修飾塩基を含んでよい。修飾塩基としては、これらに限定されないが、例えば、米国特許第5,432,272号、同第5,965,364号および同第6,001,983号に記載されているAEGIS塩基(Eragen Biosciencesより)が挙げられる。ある特定の態様では、塩基は、天然のホスホジエステル結合または別の化学結合によってつながっている。別の化学結合としては、これらに限定されないが、例えば、米国特許第7,060,809号に記載されている、ペプチド結合またはロックド核酸(LNA)結合が挙げられる。
【0068】
別の態様では、増幅反応において存在するオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、時間に応じて産生される増幅産物の量をモニターするために適している。ある特定の態様では、異なる一本鎖対二本鎖特性を有するプローブを使用して核酸を検出することができる。プローブとしては、これらに限定されないが、5’−エキソヌクレアーゼアッセイ(例えば、TaqMan(商標))プローブ(米国特許第5,538,848号を参照されたい)、ステムループ分子ビーコン(例えば、米国特許第6,103,476号および同第5,925,517号を参照されたい)、ステムレスまたは直鎖状のビーコン(例えば、WO9921881、米国特許第6,485,901号および同第6,649,349号を参照されたい)、ペプチド核酸(PNA)分子ビーコン(例えば、米国特許第6,355,421号および同第6,593,091号を参照されたい)、直鎖状のPNAビーコン(例えば、米国特許第6,329,144号を参照されたい)、非FRETプローブ(例えば、米国特許第6,150,097号を参照されたい)、Sunrise(商標)/AmplifluorB(商標)プローブ(例えば、米国特許第6,548,250号を参照されたい)、ステムループおよび2重鎖のScorpion(商標)プローブ(例えば、米国特許第6,589,743号を参照されたい)、バルジループプローブ(例えば、米国特許第6,590,091号を参照されたい)、シュードノットプローブ(例えば、米国特許第6,548,250号を参照されたい)、サイクリコン(cyclicon)(例えば、米国特許第6,383,752号を参照されたい)、MGB Eclipse(商標)プローブ(Epoch Biosciences)、ヘアピンプローブ(例えば、米国特許第6,596,490号を参照されたい)、PNAライトアッププローブ(PNA light−up probe)、アンチプライマークエンチプローブ(antiprimer quench probe)(Liら、Clin. Chem. 53巻:624〜633頁(2006年))、自己組織化ナノ粒子プローブ、および、例えば米国特許第6,485,901号に記載のフェロセン修飾されたプローブが挙げられる。
【0069】
ある特定の実施形態では、増幅反応におけるプライマーの1つまたは複数が標識を含んでよい。さらに別の実施形態では、種々のプローブまたはプライマーが、互いに区別することができる検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、プローブまたはプライマーなどの核酸を、2種以上の、区別することができる標識で標識することができる。
【0070】
一部の態様では、標識は、1つまたは複数のプローブに付着し、以下の性質の1つまたは複数を有する:(i)検出可能なシグナルを提供する;(ii)第2の標識と相互作用して第2の標識によってもたらされる検出可能なシグナル、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を修飾する;(iii)ハイブリダイゼーション、例えば、2重鎖の形成を安定化する;および(iv)結合複合体または親和性のセット、例えば、親和性、抗体−抗原、イオン結合性錯体、ハプテン−リガンド(例えば、ビオチン−アビジン)のメンバーを提供する。さらに他の態様では、標識の使用は、公知の標識、結合、連結基、試薬、反応条件、分析方法および精製方法を利用する多数の公知の技法のいずれか1つを使用して実現することができる。
【0071】
miRNAは、直接的な方法または間接的な方法によって検出することができる。直接的な検出方法では、核酸分子に連結した検出可能な標識によって1つまたは複数のmiRNAを検出する。そのような方法では、miRNAは、プローブに結合させる前に標識することができる。したがって、結合は、プローブに結合している標識されたmiRNAについてスクリーニングすることによって検出する。プローブは、場合によって、反応容積内のビーズに連結される。
【0072】
ある特定の実施形態では、標識したプローブと直接結合させ、その後プローブを検出することによって核酸を検出する。本発明の一実施形態では、所望の核酸を捕捉するためのプローブとコンジュゲートしたFlexMAPミクロスフェア(Luminex)を使用して、増幅されたmiRNAなどの核酸を検出する。いくつかの方法は、例えば、蛍光標識で修飾したポリヌクレオチドプローブを用いた検出、または分岐DNA(bDNA)検出を含む。
【0073】
他の実施形態では、間接的な検出方法によって核酸を検出する。例えば、ビオチン化したプローブを、ストレプトアビジンとコンジュゲートした色素と組み合わせて、結合した核酸を検出する。ストレプトアビジン分子が増幅されたmiRNA上のビオチン標識に結合し、結合したmiRNAを、ストレプトアビジン分子に付着した色素分子を検出することによって検出する。一実施形態では、ストレプトアビジンとコンジュゲートした色素分子は、Phycolink(登録商標)Streptavidin R−Phycoerythrin(PROzyme)を含む。他のコンジュゲートした色素分子は、当業者に公知である。
【0074】
標識としては、これらに限定されないが、検出可能な蛍光シグナル、化学発光シグナル、または生物発光シグナルを生成またはクエンチする光放射性化合物、光散乱性化合物、および光吸収性化合物が挙げられる(例えば、Kricka,L.、Nonisotopic DNA Probe Techniques、Academic Press、San Diego(1992年)およびGarman A.、Non−Radioactive Labeling、Academic Press(1997年)を参照されたい)。標識として有用な蛍光レポーター色素としては、これらに限定されないが、フルオレセイン(例えば、米国特許第5,188,934号、同第6,008,379号および同第6,020,481号を参照されたい)、ローダミン(例えば、米国特許第5,366,860号、同第5,847,162号、同第5,936,087号、同第6,051,719号、および同第6,191,278号を参照されたい)、ベンゾフェノキサジン(例えば、米国特許第6,140,500号を参照されたい)、ドナーとアクセプターの対を含むエネルギー転移蛍光色素(例えば、米国特許第5,863,727号;同第5,800,996号;および同第5,945,526号を参照されたい)、およびシアニン(例えば、WO9745539を参照されたい)、リサミン、フィコエリトリン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、FluorX(Amersham)、Alexa350、Alexa430、AMCA、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、Cascade Blue、Cy3、Cy5、6−FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6−JOE、Oregon Green488、Oregon Green500、Oregon Green514、Pacific Blue、REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Renographin、ROX、SYPRO、TAMRA、テトラメチルローダミン、および/またはTexas Red、ならびに検出可能なシグナルを生成することができる任意の他の蛍光部分が挙げられる。フルオレセイン色素の例としては、これらに限定されないが、6−カルボキシフルオレセイン;2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン;および2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセインが挙げられる。ある特定の態様では、蛍光標識は、SYBR−Green、6−カルボキシフルオレセイン(「FAM」)、TET、ROX、VICTM、およびJOEから選択される。例えば、ある特定の実施形態では、標識は、別の、スペクトル的に分解可能な波長で光を放射することができる別のフルオロフォア(例えば、異なる4色のフルオロフォア)であり;ある特定のそのような標識したプローブは、当技術分野で公知であり、上記されており、また、米国特許第6,140,054号に記載されている。一部の実施形態では、レポーターフルオロフォアおよびクエンチャーフルオロフォアを含む二重標識した蛍光プローブを使用する。フルオロフォアの対は、それらを容易に区別することができるように、別個の発光スペクトルを有するように選択されることが理解されよう。
【0075】
さらに別の態様では、標識は、2重鎖のハイブリダイゼーションを増強する、安定化する、またはそれに影響を及ぼす機能を果たすハイブリダイゼーション安定化部分、例えば、インターカレーターおよびインターカレート色素(これらに限定されないが、臭化エチジウムおよびSYBR−Greenを含む)、副溝結合剤、ならびに架橋官能基である(例えば、Blackburnら編「DNA and RNA Structure」、Nucleic Acids in Chemistry and Biology(1996年)を参照されたい)。
【0076】
別の態様では、オリゴヌクレオチドライゲーション(OLA)法を含めた、miRNAを定量化するためにハイブリダイゼーションおよび/またはライゲーションに頼る方法、および標的核酸配列とハイブリダイズする区別可能なプローブを結合していないプローブから分離することを可能にする方法を使用することができる。例として、米国特許出願公開第2006/0078894号に開示されているようなHARP様プローブを使用して、miRNAの数量を測定することができる。そのような方法では、プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションの後に、ハイブリダイズしたプローブとハイブリダイズしていないプローブとを区別するためにプローブを修飾する。その後、プローブを増幅し、かつ/または検出することができる。一般に、プローブ不活性化領域は、プローブの標的ハイブリダイゼーション領域内にヌクレオチドのサブセットを含む。その標的核酸とハイブリダイズしていないHARPプローブの増幅または検出を低下させるまたは妨げるために、およびこのようにして標的核酸の検出を可能にするために、ハイブリダイゼーションの後にプローブを不活性化するステップを、その標的核酸配列とハイブリダイズしたHARPプローブと、対応するハイブリダイズしていないHARPプローブとを区別することができる作用剤を使用して行う。作用剤は、ハイブリダイズしていないHARPプローブを、それが増幅されないように不活性化または修飾することができる。
【0077】
方法のさらなる実施形態では、プローブライゲーション反応を使用して、miRNAを定量化することができる。多重ライゲーション依存性プローブ増幅(Multiplex Ligation−dependent Probe Amplification)(MLPA)技法(Schoutenら、Nucleic Acids Research、30巻:e57頁(2002年))では、互いにすぐ隣接して標的核酸とハイブリダイズするプローブの対は、標的核酸が存在するときにのみ互いにライゲーションする。一部の態様では、MLPAプローブはフランキングPCRプライマー結合部位を有する。MLPAプローブは、ライゲーションしている場合にのみ増幅することができ、したがって、miRNAバイオマーカーを検出し、定量化することが可能になる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明のさまざまな実施形態を例示し、本発明の範囲を限定するものではない。
【0079】
本明細書に記載の実施例は、PCR産物を、エンドポイント測定によるのではなく、対数期の間にリアルタイムにモニターすることを含む、qRT−PCRの使用を含む。実施例における閾値サイクル数(C)の測定値は、蛍光シグナルの所定のポイントに到達するのにかかるサイクルの数を指す。
【0080】
実施例では、受信者動作特性(ROC)分析の使用についても記載している。受信者動作特性曲線は、識別閾値が変動するような二項分類器システムについての感度対特異度のグラフィカルプロットである。ROC分析により、クラス分布から独立して(かつそれを特定する前に)、おそらく最適であるモデルを選択し、最適以下のモデルを棄却するためのツールがもたらされる。疾患を診断するためのバイオマーカーを選択し、適用することにおける適用を含めた、多数のROC分析の例が文献に存在する(Pepeら、Biometrics 62巻:221〜229頁(2006年);Doddら、Biometrics 59巻:614〜623頁(2003年))。ROC分析では、感度および特異度の連続体を捕捉するが、それは、単一の数量、すなわち、ROCの曲線下面積(AUC)として要約することができる。AUCは、ノンパラメトリックなウィルコクソン検定と密接に関連し、クラスの分離を全閾値にわたって要約している。ROC技法の有利な点としては、(1)ロジスティック回帰法において必要とされるようなクラス確率のパラメトリック形式を仮定しないこと(2)医学研究において広く使用されている結果依存サンプリング、例えば症例対照計画に適応できること、および(3)偽陽性および偽陰性に異なる「コスト」を割り当てるのが比較的簡単であること(Dodd 2003年;Pepe 2006年)が挙げられる。
【0081】
(実施例1)
肺がんを早期検出するためのマウスモデル
A/Jマウスモデルを使用して肺腫瘍を化学的に誘導し、血漿中のmiRNAの発現プロファイルをモニターした。ベンゾ[a]ピレン(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO、USA;カタログ番号48564)が、マウスにおいて肺腫瘍を化学的に誘導するための発癌物質としての機能を果たした。A/Jマウス(雄67匹、雌68匹)をThe Jackson Laboratory(Bar Harbor、Maine、USA;ストック番号 000646)から購入し、6週齢でPerry Scientific Inc.(San Diego、CA、USA)に送付した。発癌物質を投与すること、動物をモニターすること、採血および血漿処理を含めた全ての動物関連実験をPerry Scientificが実施した。
【0082】
ベースラインデータを得るために、発癌物質を投与する2週間前に、125匹のマウスから眼窩静脈叢を介して採血し、10匹のマウスをイソフルラン吸入によって屠殺し、心臓穿刺によって採血した。0日目に、実験群のマウスに、発癌物質を、綿実油(Sigma−Aldrich、カタログ番号C7767)200μl中20μM(体重1kg当たり250mg)に相当する用量で経口胃管栄養によって投薬した。10匹の対照マウス(雄5匹、雌5匹)に、発癌物質を伴わない綿実油200μlの経口胃管栄養を受けさせた。第2の発癌物質用量(体重1kg当たり250mg)を、最初の胃管栄養の10週後に試験群に投与し、対照の動物には上記の綿実油の第2の胃管栄養を受けさせた。マウスを特定の時点(図1)で屠殺し、残りのマウスから2週間ごとに採血した(図1)。終わりに、動物を秤量し、心臓穿刺によって採血し、肺葉を採取した。対照マウスについては、試験全体を通して採血し、発癌物質を投与した34週後に屠殺した。
【0083】
血液試料を個々に処理して血漿にした。血漿を調製するために、血液試料をBD Vacutainer(登録商標)K2EDTAチューブ(Becton,Dickinson and Company;Franklin Lakes,NJ,USA;カタログ番号367841)に採取した。血液を2,000×gで10分間遠心分離し、その後、血漿層を吸引し、新しいチューブに入れ、2,500×gで10分間、遠心分離した。生じた血漿を、mirVana(商標)miRNA Isolation Kit(Ambion Inc.,Austin,TX,USA;カタログ番号AM1560)からの2×の変性緩衝液を加えることによって直ちに安定化して、最終的な濃度1×を実現した。血漿と緩衝液をボルテックスすることによって混合し、Asuragenへ出荷するまでドライアイス上−80℃で直ちに凍結した。細胞ペレットも−80℃で凍結させ、血漿試料と一緒にAsuragenへ出荷した。
【0084】
血漿RNAを、mirVana PARIS(商標)Kit(Ambion,Inc.;品番AM1556)の有機抽出を以下の改変を伴って使用して精製した。酸性フェノール:クロロホルムを加え、ボルテックスした後、試料を氷上で5分間インキュベートし、次いで4℃、13,000×gで10分間遠心分離した。水層を取り出し、クロロホルムで抽出し、再度遠心分離した。水層を第2の抽出物から取り出し、試料に3MのNaOAc(1/10の体積)、グリコーゲン(5mg/ml)および100%エタノール(1.5倍の体積)を加えた。溶解物/エタノールの混合物をmirVana PARIS(商標)フィルターカートリッジに通し、フィルターをWash1緩衝液650μlで1回、Wash2/3緩衝液650μlで2回洗浄した。RNAを、ヌクレアーゼを含まない水の一定分量(50μl)×2を用いて溶出し、−80℃で貯蔵した。
【0085】
各マウスからの肺葉の半分を10%緩衝ホルマリンに一晩固定し、パラフィン(FFPE)に包埋し、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色したスライドとして処理した。あとの半分を−80℃でスナップ凍結した。FFPE肺切片を、5mm間隔で段階的に切片作製した。以下の切片作製のガイドラインを使用した:いずれの肺にも肉眼で見える腫瘍が存在しない場合、各肺から3つのランダムな5×5×5mmの切片をスナップ凍結用、およびFFPE調製用に取得した。肉眼で見える腫瘍が存在した場合、各肺から1つの腫瘍の5×5×5mm切片1つをスナップ凍結し、あとの半分をFFPEとして調製した。1つの肺のみが腫瘍を有した場合、関係していない肺からのランダムな領域をスナップ凍結し、FFPE調製した。病理組織検査のために、ホルマリン中に保存した肺葉をPacific Pathology Inc.(San Diego、CA、USA)に送付し、そこでパラフィンに包埋し、切片作製し、ヘマトキシリン−エオシンで染色し、スライドに調製した。
【0086】
H&E染色したスライドをAsuragenに送付し、それを専門委員会によって認可された病理医が分析し、肺について正常、過形成、腺腫、または腺癌に分類した。表6に、屠殺した動物それぞれにおいて観察された目に見える腫瘍の数、および肺葉のそれぞれにおける病理診断を示している。
【0087】
表6. 実験マウスおよび対照マウスからの肺腫瘍および病理診断。SCCは扁平上皮癌である。
【0088】
【表6−1】

【0089】
【表6−2】

【0090】
【表6−3】

肺腺癌が病理学的に確認されたマウスからの血漿試料および発癌物質を受けなかった対照マウスからの血漿試料においてmiRNAの発現を評価した。対照マウスは、腺癌のマウスと年齢を釣り合わせた。329種のmiRNAの発現レベルを、各miRNAに特異的なTaqMan(登録商標)MicroRNA Assay(Applied Biosystems)を使用したqRT−PCRによって決定した。miRNAのサブセット(170種)が、マウスおよびヒトの両方において同一の成熟配列を有し、残りは対応するヒトmiRNAのマウス相同体である。逆転写(RT)反応の構成成分(表7)を、RNA鋳型を加える前に氷上に集め、各10μlの反応物当たり約1ngの血漿RNAを含めた。RT反応物を、384ウェルのGeneAmp(登録商業)PCR System 9700(Applied Biosystems)において、16℃で30分間、次いで42℃で30分間、次いで85℃で5分間インキュベートした。次いで、RT反応物を−20℃で凍結させた。
【0091】
表7. 逆転写反応の構成成分
【0092】
【表7】

PCRの構成成分(表8)を、RT反応物からのcDNA(2μl)を加える前に氷上に集めた。反応物を、ABI PRISM(商標)7900HT Fast Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)において、95℃で1分間、次いで、95℃で5秒間および60℃で30秒間の50サイクル、インキュベートした。結果を、7900HT Fast Real−Time PCRシステムSDS V2.3ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて解析した。
【0093】
表8. PCRの構成成分
【0094】
【表8】

表9に、qRT−PCR実験からのがんマウス対対照マウスについての平均Ctのデータ、ddCt値を示している。p値が0.1以下のmiRNAが示されている。
【0095】
表9. 肺腺癌が病理学的に確認されたマウスからの血漿試料および発癌物質を受けなかった対照マウスからの血漿試料におけるmiRNAの発現
【0096】
【表9】

さらに、肺腺癌と診断された動物におけるmiRNAの発現を検査するために時間的研究を実施した。図2Aおよび図2Bに、選択されたmiRNAの、腫瘍を検出する前のある期間にわたる発現の変化を示している。この図により、早ければ発癌物質を投与した10週間後−少なくとも腫瘍を検出する6週間前に、miRNAの示差的な発現を検出することができることが示されている。これらの結果により、miRNAは、早い段階で肺がんを検出するために使用することができ、肺がんについてのスクリーニングのために適していることが実証されている。
【0097】
(実施例2)
肺がんを検出するためのmiRNAバイオマーカーの、qRT−PCRによる同定
12種のmiRNAの発現を、8人の肺がん患者および8人の正常な患者からの血清試料において評価した。肺がん患者および正常なドナーから、血液をBD Vacutainer(登録商標)Plus Plastic Serum Tubeに採取した。全ての血液を診断時、しかし、腫瘍の切除または治療などのあらゆる医療介入の前に、採取した。血液を1,000×gで10分間遠心分離し、血清を新しいチューブに移し、−80℃で直ちに凍結させた。血清RNAを、mirVana PARIS(商標)Kit(Ambion,Inc.、Austin、TX、USA;品番AM1556)の有機抽出を以下の改変を伴って使用して抽出した。酸性フェノール:クロロホルムを加え、ボルテックスした後、試料を氷上で5分間インキュベートし、次いで4℃、13,000×gで10分間遠心分離した。水層を取り出し、クロロホルムで抽出し、再度遠心分離した。水層を第2の抽出物から取り出し、試料に3MのNaOAc(1/10の体積)、グリコーゲン(5mg/ml)、および100%エタノール(1.5倍の体積)を加えた。溶解物/エタノールの混合物をmirVana PARIS(商標)フィルターカートリッジに通し、フィルターをWash1緩衝液650μlで1回、Wash2/3緩衝液650μlで2回洗浄した。RNAを、ヌクレアーゼを含まない水の一定分量(50μl)×2を用いて溶出し、−80℃で貯蔵した。
【0098】
miRNAの発現レベルを、各miRNAに特異的なTaqMan(登録商標)MicroRNA Assay(Applied Biosystems;Foster City、CA、USA)を使用したqRT−PCRによって決定した。逆転写(RT)反応を、TaqMan(登録商標)MicroRNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA;カタログ番号4366597)を使用して実施した。表10に列挙されている反応の構成成分を、RNA鋳型を加える前に氷上に集めた。反応の構成成分は全て、製造者(Applied Biosystems;Foster City、CA、USA)から多数の構成成分を伴うキットとして提供された。血清RNA(反応当たり1ngの全RNA)を加え、混合した。RT反応物を、384ウェルのGeneAmp(登録商標)PCR System 9700(Applied Biosystems)において、16℃で30分間、次いで42℃で30分間、次いで85℃で5分間インキュベートした。次いで、RT反応物を−20℃で凍結させた。
【0099】
表10. 逆転写反応の構成成分
【0100】
【表10】

PCRの構成成分(表11)を、RT反応物からのcDNA(4μl)を加える前に氷上に集めた。反応物を、ABI PRISM(商標)7900HT Fast Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)において、95℃で1分間、次いで、95℃で5秒間および60℃で30秒間の50サイクル、インキュベートした。結果を、7900HT Fast Real−Time PCRシステムSDS V2.3ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて解析した。
【0101】
表11. PCRの構成成分
【0102】
【表11】

表12に、がん試料および正常試料についての各miRNAの平均dCt値を提供する。さらに、ddCt値は、がん試料と正常試料との間の発現の差を表す。
【0103】
表12: 肺がんの患者からの血清および肺がんでない患者からの血清におけるmiRNAの発現
【0104】
【表12】

拡大したパネルにおいて、180種のmiRNAの発現を、肺がん患者16人からの血清試料および良性の肺の状態のある12人からの血清試料おいて評価した(表13)。表13において、Diffは、腫瘍の分化の状況を表し;MODは、中程度を表し;ACは腺癌を表し;SCCは扁平上皮癌を表し;Rは右側を表し;RULは右上葉を表し;RMLは右中葉を表し;RLLは右下葉を表し;LULは左上葉を表し;LLLは左下葉を表す。
【0105】
表13. 肺がんの検体および良性の検体についての病理組織学的な情報および患者の情報
【0106】
【表13】

肺がん患者および比較器ドナーから、血液をBD Vacutainer(登録商標)Plus Plastic Serum Tubeに採取し、最初のヒト試料について上記している通り処理した。
【0107】
表14に、がん試料および良性試料についてのmiRNAの示差的な発現のデータを、平均dCt値の形で提供する。さらに、ddCt値は、がん試料と良性試料との間の発現の差を表す。
【0108】
表14. 肺がんの患者または良性の肺の状態の患者からの血清におけるmiRNAの発現
【0109】
【表14−1】

【0110】
【表14−2】

【0111】
【表14−3】

miRNAバイオマーカーの対も、これらの試料について、患者からの血清を区別するそれらの能力について評価した。正規化していないqRT−PCRデータを使用して、評価した各miRNAの対についてdCt値を算出した。さまざまなmiRNAの対のdCt値を、受信者動作特性(ROC)分析を使用して分析して、肺がんに対する診断用のmiRNAの対を同定した。本実施例では、ROC曲線を使用して、個々のバイオマーカー候補およびバイオマーカー候補の組合せの、患者のクラスを区別する力を評価した。バイオマーカー候補の存在量を測定し、測定値を使用して、その真陽性率および偽陽性率がROC曲線にプロットされた分類器を開発した。次いで、各分類器についてAUCを算出した。理想的な分類器のROCのAUC値は1であり、各分類器のROCのAUCがどのくらい1に近いかに基づいて分類器を順位づけた。
【0112】
表15は、肺がんの患者と良性の肺の状態の患者とを区別するmiRNAの対を含む。表15のmiRNAの対は、ROCのAUCが減少する順に列挙されている。良性の肺の状態の患者と対照してがんの患者を分類するための血清miRNAバイオマーカーの対が提示されている。平均値は、対の2種のmiRNA間のCt値の差の平均を表す。表15において、「良性の平均」は、良性の肺の状態の対象12人からのデータの平均を表し;「がんの平均」は、肺がん患者16人からのデータの平均を表し;「良性のSD」は、良性の肺の状態の患者からのデータの標準偏差であり;「がんのSD」は、肺がん患者からのデータの標準偏差であり;「良性対がんの関連」は、良性/肺がんの診断に関連するp値を指し;ROCは、受信者動作特性を表し;AUCは曲線下面積である。
【0113】
表15. マイクロRNAバイオマーカーの対−良性の肺および肺がん患者の血清
【0114】
【表15−1】

【0115】
【表15−2】

【0116】
【表15−3】

【0117】
【表15−4】

【0118】
【表15−5】

【0119】
【表15−6】

【0120】
【表15−7】

【0121】
【表15−8】

【0122】
【表15−9】

【0123】
【表15−10】

【0124】
【表15−11】

【0125】
【表15−12】

【0126】
【表15−13】

【0127】
【表15−14】

【0128】
【表15−15】

【0129】
【表15−16】

【0130】
【表15−17】

【0131】
【表15−18】

表15からの対解析における血清バイオマーカーの分布率が表16に示されている。
【0132】
表16: 血清バイオマーカーの対での分布率
【0133】
【表16】

表15および表16のデータは、血清試料において、患者の性別またはがんの種類に関係なく、良性の状態の肺の患者と肺がんの患者とを区別することができるmiRNAおよびmiRNAバイオマーカーの対を示している。これらのmiRNAは、肺がんを診断するために有用である。がん患者からの血清試料は、肺がんの初期I期から病期III期までの患者由来である。これらの結果により、miRNAが早い段階で肺がんを検出するのに適し、かつ患者をスクリーニングし、良性の肺の状態の患者と肺がんの患者とを区別するために有効であることが示されている。
【0134】
(実施例3)
男性の肺がん患者および女性の肺がん患者からの血清において示差的に発現されるmiRNA
表15および表16の血清miRNAにより良性の肺の状態の患者と肺がんの患者とを区別することができるが、実施例2からのデータをさらに解析することにより、ある特定のmiRNAの対が、特定の性別の中でこれらの患者群を区別するために優れていることが明らかになった。具体的には、いくつものmiRNAの対のAUC ROCが1.00であった(表17)。これらの対は、女性の良性の肺の状態の患者と女性の肺がん患者とを区別する場合にROCのAUCに有意な改善を示した。同様に、男性の良性の肺の状態の患者と男性の肺がんの患者とを区別する場合にも特定のmiRNAの対についてAUCの改善が観察された(表18)。表17および表18のmiRNAおよびmiRNAの対は、それぞれ女性の患者および男性の患者において肺がんを診断するために有用である。これらのmiRNAは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0135】
表17. 女性の肺がん患者と比較して、女性の良性の肺の状態の患者の血清において示差的に発現されたマイクロRNAの対
【0136】
【表17−1】

【0137】
【表17−2】

【0138】
【表17−3】

表18. 男性の肺がん患者と比較して、男性の良性の肺の状態の患者の血清において示差的に発現されたマイクロRNAの対
【0139】
【表18】

(実施例4)
肺がんの対象と、良性の状態を有する、または良性の状態を有さない、がんのない対象とを区別するmiRNAマーカー
追加的な試験において、肺がん患者と、良性の状態を有する、または良性の状態を有さない、がんのないヒト対象とを区別する血清miRNAを同定する。良性の状態の患者、正常な患者、および肺がん患者から血清試料を得た(表19)。全ての手順およびデータ解析を上記の通り実施した。
【0140】
表19. 肺がんの検体および良性の検体についての病理組織学的な情報および患者の情報
【0141】
【表19−1】

【0142】
【表19−2】

表20に、がん試料およびその他の試料(その他=良性および正常)についてのmiRNAの示差的な発現のデータを、平均dCt値の形で提供する。表21に、肺がん患者からの試料と正常な患者および良性腫瘍を有する患者からの試料とを区別する、示差的に発現されたmiRNAバイオマーカーの対を示している。そのようなmiRNAおよびバイオマーカーの対は、肺がんをスクリーニングし、診断するために使用することができる。
表20. 肺がんの患者からの血清または良性の状態もしくは正常な状態の患者からの血清におけるmiRNAの発現。その他=良性の症例および正常の症例である。
【0143】
【表20−1】

【0144】
【表20−2】

【0145】
【表20−3】

表21. 肺がん患者と、肺腫瘍のない正常な患者および良性の肺腫瘍を有する患者とを区別する、示差的に発現されたmiRNAバイオマーカーの対。その他=良性の症例および正常の症例である。
【0146】
【表21−1】

【0147】
【表21−2】

【0148】
【表21−3】

【0149】
【表21−4】

【0150】
【表21−5】

【0151】
【表21−6】

【0152】
【表21−7】

表22に、肺疾患を特徴づけるために他のmiRNAバイオマーカーと組み合わせて使用することができるmiRNA、ならびにこれらのバイオマーカーの、表21からの対での分布率を示している。
【0153】
表22: がん患者対(正常な、および良性の)患者の対解析における血清バイオマーカーの分布率
【0154】
【表22】

(実施例5)
肺がん分類器の開発
表15の対から14種のmiRNAの最初の訓練セットを選択して、それらの診断的な潜在力をさらに検証した。これらのmiRNAは、これらのmiRNAを含むmiRNAバイオマーカーの対についてのAUC ROCスコアが高いことによって証明されるように、良性の肺の状態の患者と肺がんの患者とを区別するための診断的な潜在力を有することが上で示された。年齢および性別を釣り合わせた患者から、20個の良性の肺試料および34個の肺がん試料の一群(表23)、訓練試料のセット(良性12個、肺がん16個)を選択した。実施例2において上記の通りqRT−PCRを実施した。
【0155】
表23.肺がんの検体および良性の検体についての病理組織学的な情報および患者の情報
【0156】
【表23−1】

【0157】
【表23−2】

訓練セット内の14種のmiRNAのサブセットを検証するために、8個の良性試料および18個のLuCa試料で構成される別々の試験試料セットを表23から選択した。miRNAバイオマーカーの選択および分類器の評価を、訓練試料に対する5倍交差検証を25回繰り返し実施し、AUC ROC値をmiRNAバイオマーカーの数(特徴)の関数として測定することによって作成した。分類するための特徴の最適な数を決定するために、さまざまなバイオマーカーを使用した。5倍交差検証は、訓練セットを80%の試料セットと20%の試料セットに細分し、80%の訓練試料に対して特徴の選択および分類器の訓練を実施するプロセスである。特徴の選択および分類器の訓練に使用しない残りの20%の試料を分類することによって、性能を測定する。全ての試料が20%の試験セットの中に1回ずつ入るように、このプロセスを5回繰り返した。5倍交差検証を1回反復することにより、単一のAUC値がもたらされた。80%のセットと20%セットの組合せのよりよいサンプリングを実現するため、および分類器内の所与のバイオマーカーの数についてのAUC値の経験的な分布を同定するために、5倍交差検証を25回繰り返した。訓練のための線形判別分析(LDA)分類器への入力として、単純なウエルチのt検定による最上位のバイオマーカーを使用した。バイオマーカーを、1種のmiRNAの発現値を別のmiRNAの発現値から引いたところのmiRNAの対(2種のmiRNAの示差的な発現)として定義した。可能性のある対の全てを調査した。図3に、LDA分類器についてのAUC値の分布をバイオマーカーの数の関数として示している。この手順により、分類器に使用するために最適なバイオマーカーの数が決定され、性能の予想が前進し続ける。本実験では、示差的に発現された6種のmiRNAの対(miR−142−5pとmiR181d;miR−142−3pとmiR181d;miR−142−3pとmiR−422a;miR−142−5pとmiR−422a;miR−92とmiR−27b;miR−24とmiR−27a)の分類器を、肺がんを診断するために最適な分類器として同定した。この分類器は、図3において垂直の点線で印がつけられている。連続的に値をつけた分類確率が、患者が肺がん(分類器陽性)または良性の(分類器陰性)腫瘍を有すると診断するコールに変換されるように、LDA分類器に対するカットオフを設定した。簡単にするために、0.5のカットポイントを閾値として選択した。この値により、最大に近い感度および特異度がもたらされた。6種のバイオマーカーの対に対して訓練したLDA分類器の、0.5のカットオフを使用した訓練データおよび試験データの性能評価が図4で提供されている。感度(SENS)、特異度(SPEC)、陰性的中率(NPV)および陽性的中率(PPV)は、示されている通りである。
【0158】
この実験において分類器の一部として同定された6種の対はいずれも、肺がんを診断するために使用することができる。最適な分類器セットからの2種以上の対を使用することによって予測の正確度を増加させることができる。
【0159】
(実施例6)
ヒト肺がん患者の血漿RNAにおけるマイクロRNAの発現を評価するためのqRT−PCR
ヒト血漿中の、肺がんについてのmiRNAバイオマーカーを同定するために、qRT−PCRを使用して、肺がんの患者(n=14)の血漿中に存在するmiRNAのレベルと、肺がんのない患者(n=12)におけるレベルを比較した。表24に患者の情報および肺がんの病理の情報が示されている。
【0160】
表24. ヒトの肺がん患者および正常な患者の情報および腫瘍病理。TNM病期(SobinおよびWittekind、2002年)
【0161】
【表24】

血漿を調製するために、各ドナーから全血(10ml)をBD Vacutainer(登録商標)K2EDTAチューブ(Becton、Dickinson and Company;Franklin Lakes、NJ、USA)に採取した。血液採取後直ちにチューブを8〜10回ひっくり返し、次いで採取の2時間以内に2,000×gで10分間、遠心分離した。血清用ピペットを使用して血漿を新しいチューブに移し、RNA単離に供すまで−80℃で凍結させた。
【0162】
血漿RNAを、mirVana PARIS(商標)Kit(品番 AM1556;Applied Biosystems/Ambion;Austin、TX、USA)の有機抽出を以下の改変を伴って使用して精製した。血漿を氷上で解凍した後、mirVana PARIS(商標)Kitからの2×変性溶液を等体積加え、混合物を氷上で5分間インキュベートした。等体積の酸性フェノール:クロロホルムを加え、次いで混合物を1分間ボルテックスし、氷上で5分間インキュベートした。チューブを4℃、13,000×gで15分間遠心分離し、水相を新しいチューブに取り出した。試料にグリコーゲン(5mg/ml)、3MのNaOAc(1/10の体積)、および100%エタノール(1.5倍の体積)を加えた。試料を、ひっくり返すことによって混合し、室温でインキュベートした。溶解物/エタノールの混合物をmirVana PARIS(商標)フィルターカートリッジに通し、フィルターを、Wash1緩衝液650μlで1回、Wash2/3緩衝液650μlで2回洗浄した。RNAをヌクレアーゼを含まない水(50μl、95℃に加熱した)を用いて10,000×gで1分間遠心分離することによって溶出した。
【0163】
qRT−PCR反応を、個々のmiRNAに特異的なTaqMan(登録商標)MicroRNA Assay(Applied Biosystems;Foster City、CA、USA)を使用して実施した。逆転写反応物を、RNA鋳型を加える前に氷上に集めた(表25)。次に、反応当たり0.25μlの血漿RNA鋳型を加え、混合した。RT反応物を、384ウェルのGeneAmp(登録商業)PCR System 9700(Applied Biosystems)において、16℃で30分間、次いで42℃で30分間、次いで85℃で5分間インキュベートし、次いで、−20℃の冷凍装置内で凍結させた。
【0164】
表25. 逆転写反応の構成成分
【0165】
【表25】

PCRの構成成分を、RT反応物からのcDNAを加える前に氷上に集めた(表26)。PCRを、ABI PRISM(商標)7900HT Fast Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)において、95℃で1分間、次いで95℃で5秒間を50サイクル、次いで60℃で30秒間、インキュベートした。最初のデータ解析を、7500 Fast System SDS V2.3ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して行った。
【0166】
表26. リアルタイムPCRの構成成分
【0167】
【表26】

qRT−PCRデータを、最初に外れ値について査定した。所与の試料中の、生のCt値が50であるmiRNAの全てをさらなる解析から排除した。50未満の生のCt値を有するmiRNAが150種未満である試料からのデータを全て排除した。各血漿試料において検出された50種のmiRNAについての生のCtの平均を、個々の試料について算出した。所与の試料についての平均Ctを、対応する試料中の各miRNAについての生のCt値から引いて、検出された各miRNAについてのdCtを生じさせた。これらの正規化された測定値を使用して、正常なドナーからの血漿試料および肺がん患者からの血漿試料に有意に異なるレベルで存在するmiRNAを同定した。
【0168】
正常なドナーの試料中および肺がん患者の試料中の各miRNAに対する平均dCt値を算出した。肺がん患者の試料についての平均dCt値を、正常なドナーについての平均dCt値から引いて、2種の患者セット間のさまざまなmiRNAのレベルの分散を決定した。次いで、スチューデントt検定を使用して、さまざまなmiRNAの、肺がん患者の血漿と正常なドナーの血漿とを区別する力を評価した。
【0169】
表27に、がん試料および正常試料についてのmiRNAの示差的な発現のデータを、平均dCt値の形で提供する。さらに、ddCt値は、がん試料と正常試料との間の発現の差を表す。
表27. 肺がん患者の血漿試料と正常な患者の血漿試料との間で示差的に発現されたmiRNAバイオマーカ
【0170】
【表27−1】

【0171】
【表27−2】

【0172】
【表27−3】

【0173】
【表27−4】

【0174】
【表27−5】

【0175】
【表27−6】

【0176】
【表27−7】

(実施例7)
ヒト肺がん患者の血漿RNAにおけるマイクロRNAの発現を評価するためのqRT−PCR
肺がん患者および正常な患者の別個のセットから単離した血漿試料の第2のセット(表28)を使用して、肺がん患者および正常な患者において発現されるmiRNAのさらなる比較を実施した。表28におけるTNM(腫瘍、節、転移)病期は、SobinおよびWittekind、New Jersey:John Wiley & Sons、2002年に記載されている。表28では以下の略語が使用されている:腺癌(ADCA);気管支肺胞の(BA)、扁平上皮癌(SCC)、および該当なし(NA)。
【0177】
表28. ヒトの肺がん患者および正常な患者の情報および腫瘍病理
【0178】
【表28】

miRNAの発現を査定するために、TaqMan(登録商標)MicroRNA Assay(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)を用いたリアルタイムRT−PCRによる検出を使用して、7個の正常なヒトの血漿試料および9個の肺がん患者の血漿試料から単離したRNAをスクリーニングした。
【0179】
実施例6において上記の通り血漿RNAを単離した。qRT−PCR反応を、個々のmiRNAに特異的なTaqMan(登録商標)MicroRNA Assay(Applied Biosystems;Foster City、CA、USA)を使用して実施した。逆転写反応物を、RNA鋳型を加える前に氷上に集めた(表29)。次に、反応当たり0.25μlの血漿RNA鋳型を加え、混合した。RT反応物を、384ウェルのGeneAmp(登録商標)PCR System 9700(Applied Biosystems)において、16℃で30分間、次いで42℃で30分間、次いで85℃で5分間インキュベートし、次いで、−20℃の冷凍装置内で凍結させた。
【0180】
表29.逆転写反応の構成成分
【0181】
【表29】

PCRの構成成分を、RT反応物からのcDNAを加える前に氷上に集めた(表30)。PCRを、ABI PRISM(商標)7900HT Fast Real−Time PCRシステム(Applied Biosystems)において、95℃で1分間、次いで95℃で5秒間を50サイクル、次いで60℃で30秒間、インキュベートした。最初のデータ解析を、7500 Fast System SDS V2.3ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して行った。
【0182】
表30. リアルタイムPCRの構成成分
【0183】
【表30】

qRT−PCRデータを、最初に外れ値について査定した。所与の試料中の、生のCt値が50であるmiRNAの全てをさらなる解析から排除した。50未満の生のCt値を有するmiRNAが150種未満である試料からのデータを全て排除した。各血漿試料において検出された50種のmiRNAについての生のCtの平均を、個々の試料について算出した。所与の試料についての平均Ctを、対応する試料中の各miRNAについての生のCt値からから引いて、検出された各miRNAについてのdCtを生じさせた。これらの正規化された測定値を使用して、正常なドナーからの血漿試料および肺がん患者からの血漿試料に有意に異なるレベルで存在するmiRNAを同定した。
【0184】
正常なドナーの試料中および肺がん患者の試料中の各miRNAに対する平均dCt値を算出した。肺がん患者の試料についての平均dCt値を、正常なドナーについての平均dCt値からから引いて、2種の患者セット間のさまざまなmiRNAのレベルの分散を決定した。次いで、スチューデントt検定を使用して、さまざまなmiRNAの、肺がん患者の血漿と正常なドナーの血漿とを区別する力を評価した。
【0185】
表31に、正常な患者およびがん患者についてのdCt値、ならびにがん試料対正常試料についての各miRNAのddCt値を提供する。
【0186】
表31. 肺がん患者の血漿試料と正常な患者の血漿試料との間で示差的に発現されたmiRNAバイオマーカー
【0187】
【表31−1】

【0188】
【表31−2】

【0189】
【表31−3】

【0190】
【表31−4】

【0191】
【表31−5】

(実施例8)
肺がん患者からの血漿と正常な患者からの血漿とを区別するmiRNAの組合せ
実施例6に記載の通り生成した正規化していないqRT−PCRデータを使用して、定量化されたmiRNAの対のそれぞれについてのdCt値を算出した。肺がんのドナーの血漿試料および正常なドナーの血漿試料におけるさまざまなmiRNAの対についてのdCt結果を、どのmiRNAの対が肺がん患者からの血漿試料と正常な患者からの血漿試料とを区別する力を有するかを決定するために、受信者動作特性(ROC)分析を使用して分析した。1組のmiRNAの対(let−7c:miR−326)により、分析した14個の肺がん患者の試料および12個の正常なドナーの試料が正確に分類された(表32)。20組の追加的なmiRNAの対により、26個の試料のうち1つを除く全てが正確に分類され(ROC AUC >0.98)、221組のmiRNAの対が少なくとも0.93のROCのAUCスコアを有した(表32)。表32の221組のmiRNAの対に、166種の独立したmiRNAが少なくとも1回含まれた(表33)。多数のmiRNAを多数のバイオマーカーの対に使用し、肺がん患者の血漿と正常なドナーの血漿におけるそれらの可変レベルの強度が示されている。
【0192】
表32. 肺がん患者からの血漿を同定するために使用することができるバイオマーカーの対
【0193】
【表32−1】

【0194】
【表32−2】

【0195】
【表32−3】

【0196】
【表32−4】

【0197】
【表32−5】

【0198】
【表32−6】

【0199】
【表32−7】

表33.肺がん患者からの血漿を同定するために組合せで使用することができるバイオマーカー、および各miRNAの分布率
【0200】
【表33−1】

【0201】
【表33−2】

(実施例9)
ヒト肺がん患者の血清RNAにおけるマイクロRNAの発現を評価するためのqRT−PCR
ある特定のmiRNAおよびmiRNAの組合せの選択性および感度をさらに査定するために、肺がん患者および正常な対象の別個のセットから単離した血清試料の追加的なセット(表34)を使用して、肺がん患者からの血清および正常な対象からの血清において発現されるmiRNAを比較した。病理診断を決定するために、専門委員会によって認可された病理医によるがん患者からの肺葉切片および正常な対象からの肺葉切片の病理組織学的分析を実施した。
【0202】
表34. 血清試料についての病理組織学的な情報および患者の情報。ADCAは腺癌であり;SCCAは扁平上皮癌である。
【0203】
【表34−1】

【0204】
【表34−2】

まず、30人の肺がん患者および20人の正常な対象(表34)からの血清RNAにおける180種のmiRNAの発現を評価した。血液採取、血清RNAの抽出、およびqRT−PCRを、上の実施例2に記載の通り実施した。表35に、血清試料からのmiRNAをPCR増幅した後の平均dCt値およびddCt値を示している。dCt値を、特定のmiRNAのCtと、正規化群としての、発現されたmiRNAの最上位50種についての平均Ctとの間の差として算出した。miRNAを、t検定のp値が大きくなるように並べた。
【0205】
表35. 肺がんを有する患者からの血清および正常な対象からの血清におけるmiRNAの発現
【0206】
【表35−1】

【0207】
【表35−2】

【0208】
【表35−3】

【0209】
【表35−4】

示差的に発現されたmiRNAの対の分析に基づいて、追加的な55人の肺がん患者からの血清試料および75人のがんのない、推定の正常な個体からの血清試料におけるさらなる検証のために、27種のmiRNAを選択した(表36)。
【0210】
表36. 肺がん患者、腫瘍病理、および正常な対象の情報。TNM病期(SobinおよびWittekind、2002年);AJCC病期(Greene、2002年);ADCAは腺癌であり;ADCA/BAは気管支肺胞の腺癌であり;SCCAは扁平上皮癌であり;NAは該当なしである。
【0211】
【表36−1】

【0212】
【表36−2】

【0213】
【表36−3】

27種のmiRNAを、表36に示されている肺がん患者の試料と正常な対象の試料とを区別するそれらの能力について評価した。表37に、がん群および正常群についての各miRNAの平均Ct値および標準偏差を示している。dCt値は、がん群と正常群との間のCtの差を表す。miRNAは、t検定のp値が大きくなるように並べた。27種のmiRNAのうち24種が、高い統計的有意なレベルで示差的に発現され、0.001未満のt検定のp値を有した。これら24種のmiRNAを、肺がんを診断するために使用することができる。
【0214】
表37. 肺がんを有する患者からの血清または正常な対象からの血清におけるmiRNAの発現
【0215】
【表37】

受信者動作特性(ROC)分析を使用して、肺がん患者の血清試料と正常な患者の血清試料とを区別する力を有するmiRNAの対を同定した。正常な患者とがん患者を区別した示差的に発現された対の選択が表38に示され、0.99〜0.74にわたるAUCが減少するように並べられている。
【0216】
表38. 肺がん患者からの血清を同定するために使用することができるmiRNAバイオマーカーの対
【0217】
【表38−1】

【0218】
【表38−2】

【0219】
【表38−3】

miRNAの示差的な対解析(表38)に加えて、肺がんの対照と正常な(がんのない)対象を識別したいくつかのmiRNAバイオマーカーに基づく分類器モデルを評価した。表34に記載の試料から得られたデータを用いて分類器モデルを設計した。表36に示されている無関係な試料に適用した際、このモデルの、肺がん患者と正常な対象を識別することにおける良い性能が実証された。
【0220】
詳細には、単純なウエルチのt検定およびRelief法(KiraおよびRendel、Proc 10th Natl Conf on Artificial Intelligence、MIT Press、129〜134頁(1992年))を使用して、入力として特徴(すなわち、miRNA)を選択し、線形判別分析(LDA)および線形サポートベクターマシン(LSVM)を、訓練中の分類器として使用した(Burges、Data Mining and Drug Discovery 2巻:121〜167頁(1998年))。表39に、訓練セットおよび試験セットの両方において肺がんの対象とがんのない対象を区別した代表的な分類器モデルの例を示している。
【0221】
表39. 正常な対象および肺がん患者の訓練セットおよび試験セットにおける分類モデルの性能および特徴の選択
【0222】
【表39】

モデルの性能を、実施例5において前記されている通り、訓練試料に対する5倍交差検証を25回繰り返し実施し、ROCのAUC値を測定することによって、訓練データに対して推定した。分類モデルのそれぞれにおけるmiRNAの対の出現頻度が表40に示されている。
【0223】
表40. 分類器生成における対でのバイオマーカーの分布率。分類モデルは、示されている通りである。
【0224】
【表40】

表40からの分類器モデルに最も頻繁に関連したユニークなmiRNAおよび肺がんの対象とがんのない対象を区別したユニークなmiRNAが表41に示されている。これらのmiRNAは、肺がんの患者とがんのない対象とを区別するために使用することができ、したがって、肺がんを特徴づけること、または診断することにおいて使用することができる。
表41: 肺がんの患者とがんのない対象とを区別するために使用することができるmiRNA
【0225】
【表41】

本明細書を考察し、本明細書に開示されている本発明を実行することにより、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書および実施例は単に例示的なものとみなし、本発明の真の範囲および主旨は以下の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【0226】
本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれている刊行物および特許または特許出願が本明細書に含有されている本発明と矛盾する場合には、矛盾する材料のいずれに対しても本明細書が取って代わる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺腫瘍または肺病変を有する患者において肺がんを特徴づける方法であって、
a.血清試料中のmiRNAのレベルを測定するステップであって、前記miRNAが、let−7b、let−7c、let−7d、let−7e、miR−10a、miR−10b、miR−130b、miR−132、miR−133b、miR−139、miR−143、miR−152、miR−155、miR−15b、miR−17−5p、miR−193、miR−194、miR−195、miR−196b、miR−199a、miR−19b、miR−202、miR−204、miR−205、miR−206、miR−20b、miR−21、miR−210、miR−214、miR−221、miR−27a、miR−27b、miR−296、miR−29a、miR−301、miR−324−3p、miR−324−5p、miR−339、miR−346、miR−365、miR−378、miR−422a、miR−432、miR−485−3p、miR−496、miR−497、miR−505、miR−518b、miR−525、miR−566、miR−605、miR−638、miR−660、およびmiR−93から選択されるステップと、
b.前記試料中の前記miRNAのレベルの低下または上昇を決定し、それによって前記患者における肺がんを特徴づけるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記肺がんが小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、以前に肺疾患についてスクリーニングされたことがある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者が、肺がんを有する疑いがある、または肺がんを発症する危険性がある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スクリーニングが、CTスキャンまたは胸部X線によるものであった、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記miRNAを増幅するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記増幅が、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応によるものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2のmiRNAを増幅し、測定し、そのレベルの低下または上昇を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者における肺疾患を特徴づける方法であって、
a.血清試料中の第1のmiRNAおよび第2のmiRNAのレベルを測定するステップであって、前記第1のmiRNAが、let−7a、let−7b、let−7d、let−7f、let−7g、let−7i、miR−101、miR−106a、miR−106b、miR−125a、miR−126、miR−126、miR−130b、miR−132、miR−133b、miR−140、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−145、miR−146a、miR−146b、miR−148b、miR−150、miR−151、miR−15a、miR−15b、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−185、miR−186、miR−190、miR−191、miR−193a、miR−199a、miR−202、miR−210、miR−214、miR−222、miR−23a、miR−24、miR−26a、miR−26b、miR−27a、miR−27b、miR−29b、miR−301、miR−30a−5p、miR−30b、miR−30c、miR−30d、miR−30e−5p、miR−320、miR−324−3p、miR−326、miR−335、miR−340、miR−342、miR−345、miR−346、miR−34a、miR−374、miR−375、miR−378、miR−422a、miR−422b、miR−425、miR−486、miR−496、miR−518b、miR−660、miR−7、miR−92、miR−93、miR−98、miR−99a、およびmiR−99bから選択されるステップと、
b.前記試料中の前記第1のmiRNAおよび前記第2のmiRNAのレベルの低下または上昇を検出し、それによって前記患者における肺疾患を特徴づけるステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記第1のmiRNAが、let−7g、miR−106b、miR−126、miR−126、miR−132、miR−140、miR−142−3p、miR−146a、miR−150、miR−15a、miR−15b、miR−181a、miR−181b、miR−181d、miR−214、miR−24、miR−30a−5p、miR−320、miR−342、miR−345、miR−374、miR−422a、miR−422b、miR−486、およびmiR−92から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のmiRNAおよび前記第2のmiRNAが、表3から選択される対である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記肺疾患ががんである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が肺腫瘍または肺病変を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が、以前に肺疾患についてスクリーニングされたことがある、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のmiRNAおよび前記第2のmiRNAを増幅するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅が、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応によるものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記患者が男性である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が女性である、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図5M】
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【図5N】
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【図5O】
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【図5P】
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【図5Q】
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【図5R】
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【図5S】
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【図5T】
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【図5U】
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【公表番号】特表2013−502931(P2013−502931A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527011(P2012−527011)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/046916
【国際公開番号】WO2011/025919
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(509067555)アスラジェン, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】