肺癌および乳癌におけるマーカーの同定
乳癌の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法を提供する。同様に、その様な方法において有用な製品およびその様な方法において有用なプライマーおよびプローブを含有する組成物もまた、提供する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、ともに2004年7月9日に出願され、その全体を参考文献として本明細書中に援用される、米国仮出願60/586,599および60/587,019に基づく優先権を主張する。
【0002】
背景
1. 発明の属する分野
リンパ節中の癌細胞を診断するための改良方法、およびその様な方法を行う際に有用な組成物および装置を提供する。
【0003】
2. 関連技術の記載
癌の初期検出は、一般的に生存率の増加をもたらす。転移性病変は一般的に、免疫組織化学的技術を含む組織学的技術により検出される。転移細胞は一般にリンパ節に浸潤し、そしてその結果、ほとんどの場合において、特定の前哨(sentinel)リンパ節(転移細胞が一般に最初に浸潤するリンパ節)または病期診断用(staging)リンパ節(特定タイプの癌細胞の存在について一般的に解析されるリンパ節)は、各癌タイプについて認識され、そして微小転移を含む病変の存在について解析される。訓練を積んだ組織学者は、しばしば、前哨リンパ節または病期診断用(staging)リンパ節由来の組織から切片を作成しそして染色すると、視覚的に転移性病変を検出することができる。高度に訓練を積んだ組織学者は、しばしば、微小転移を視覚化することができるが、その様な病変を視覚化する能力は、組織学者によって異なる。
【0004】
腫瘍を取り除くための多数の外科的処置において、前哨リンパ節のバイオプシーが行われる。その後、外科的処置が中断され、そして切除されたリンパ組織を解析する。いったん腫瘍が転移されたものであると決定されると、2回目のより根本的な外科的処置が行われ、所属リンパ節(regional lymphatics)を取り除く。したがって、より多くのアッセイが所定の時間内に行われ、それにより研究室の所要時間が増大するためだけではなく、2回目の外科的処置を行わずに、正確に術中判定を行うことができるようにするため、腫瘍を同定するための迅速な方法が保証される。リンパ節微小転移の迅速な検出および/またはリンパ節微小転移の術中検出を本質的に可能にする、悪性度についての有用な診断を同定することが望まれている。
【0005】
概要
本発明は、癌細胞の存在の指標である特定のマーカーの発現を同定することにより、患者における癌細胞の存在を検出するための診断方法に関するものである。
【0006】
一態様において、本発明は、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法に関する。この方法は、TACSTD1、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびCK7の1またはそれ以上に特異的なmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。そのmRNA種の過剰は、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である。
【0007】
別の態様において、本発明は、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法に関する。この方法は、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2(SCCA1 +SCCA2)、SFTPBおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的なmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。そのmRNA種の過剰は、リンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、包装材料、およびCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料には、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示す、例えば、文書、説明、ラベル、タグ、本、小冊子および/または添付文書などの(これらには限定されない)、しるしが含まれる。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、包装材料、およびCEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料は、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む。
【0010】
さらにさらなる態様において、本発明は、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAまたはそのRNAに由来する核酸、またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0011】
さらにさらなる態様において、本発明は、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAまたはそのRNAに由来する核酸、またはこれらの類似体、を含む組成物に関する。
【0012】
発明の詳細な説明
リンパ節における微小転移を含む乳癌細胞および肺癌細胞を同定する際に有用な方法および組成物を提供する。転移の初期検出は、一般的に、患者の生存と関連する。非常に小さな転移が、しばしばリンパ節バイオプシーの組織学的研究においてしばしば見逃され、その結果、結果的に患者の生存の可能性を低下させる偽陰性の結果を生じる。本明細書中で記載される核酸検出アッセイは、ほとんどの事例において、組織学的研究よりは、かなり際だったもの(discriminating)であり(わずかな優秀な組織学者しかリンパ節切片において微小転移を同定することができない)、そしてわずかしか訓練を受けていないテクニシャンのいずれの手にも骨の折れそして繰り返されることである。本明細書中で記載される方法および組成物は、必然的に特異的mRNAマーカーの発現を含む方法および組成物を示すが、このことが、特異的マーカーやその他の当該技術分野において既知のマーカーとの組合せを含む方法および組成物を排除するとはみなされないことを理解すべきである。
【0013】
この目的を達成するために、乳癌および肺癌を含む特定の癌型において発現される、多数の分子マーカーを同定する。これらのマーカーは、特定の癌型を生じる組織に特異的なマーカーであり、そして典型的には、リンパ系組織において、少なくとも同一レベルにまでは発現されない。前哨リンパ節組織における1またはそれ以上のこれらのマーカーの発現の存在および/または上昇は、リンパ系組織における転移細胞の指標であり、癌の診断と強力に相関する。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語“発現”および“発現された”は、細胞により遺伝子特異的なmRNAの産生を意味する。本明細書中の開示の文脈において、“マーカー”は、リンパバイオプシー中で異常に発現される遺伝子である。一態様において、本明細書中に記載されるマーカーは、リンパ系細胞中での発現と比較して、顕著に高いレベルで特定の腫瘍源の細胞中で発現されるmRNA種である。
【0015】
mRNAの発現レベルは、多数の方法により定量することができる。伝統的な方法には、ノザンブロット解析が含まれる。より最近では、転写物の定量を容易にする核酸検出方法が開発された。PCR法の例は、米国特許出願No. 10/090,326(US 10/090,326)に記載され、本明細書中に参考文献として全体が援用される。所定のmRNAの発現レベルを決定するためのその他の方法には、例えば以下に記載されるものなど(それらには限定されない)の当該技術分野において既知の、等温増幅アッセイまたは等温検出アッセイ、およびアレイ技術が含まれる。
【0016】
本明細書中およびUS 10/090,326中で記載される改良PCR法、および本明細書中で記載されそして当該技術分野において既知であるその他の核酸検出方法および核酸増幅方法は、リンパ節組織中の癌細胞の迅速な検出を可能にする。これらの迅速な方法を、手術中に(intraoperatively)使用することができ、そしてまた稀な核酸種を検出する際に有用であり、より優勢な対照核酸を同時に検出する多重化PCR反応においても有用である。
【0017】
典型的なPCR反応には、標的核酸種を選択的に増幅する複数の増幅工程またはサイクルが含まれる。転写物の検出が必要であるため、PCR反応を、逆転写工程と組み合わせる(逆転写PCRまたはRT-PCR)。典型的なPCR反応には、3つの工程:標的核酸を変性させる変性工程;1組のPCRプライマー(フォワードプライマーと逆向きプライマー)が相補的なDNA鎖にアニールするアニーリング工程;そして熱安定性のDNAポリメラーゼがプライマーを伸長する伸長工程;が含まれる。このステップを複数回繰り返すことによりDNAフラグメントが増幅され、標的DNA配列に対応するアンプリコンが生成される。典型的なPCR反応には、30回またはそれ以上のサイクルの変性、アニーリングそして伸長が含まれる。多くの場合において、アニーリング工程と伸長工程は、同一の温度で同時的に行うことができ、その場合サイクルは2工程のみを含有する。
【0018】
変性工程、アニーリング工程および伸長工程の長さは、どのような望まれる長さの時間であってもよい。しかしながら、PCR増幅反応を手術中診断のために適した時間にまで短縮することを試みて、これらの工程の長さは、分の範囲ではなく、秒の範囲であってもよい。変性工程は、1秒以下の長さの時間で行うことができる。アニーリング工程および伸長工程は、場合により、それぞれ10秒未満であり、そして同一温度にて行う場合、組合せアニーリング/伸長工程は、10秒未満であってもよい。Rayleigh-Benard対流セル中でPCR反応を行うなどの、最近開発された増幅技術を使用することにより、これらの時間制限を超えてPCR反応時間を劇的に短縮することもできる(Krishnan, My et al., “PCR in a Rayleigh-Benard convection cell.” Science298:793 (2002)およびBraun, D. et al., “Exponential DNA Replication by Lominar Convection,” Physical Review Letters, 91:158103を参照)。
【0019】
US 10/090,326中に記載される様に、アンプリコンの生成を実質的に低下させることなく、各サイクルをかなり短縮することができる。高濃度のプライマーを使用することは、PCRサイクル時間を短縮する際に役に立つ。プライマーの最適な濃度は、アッセイごとにいくらか異なるが、高濃度は、典型的には、約400nMよりも高く、そしてしばしば約800nMよりも高い。RT-PCRアッセイの感度は、感度の高い逆転写酵素(以下に記載する)および/または高濃度の逆転写酵素プライマーを使用して、初期標的PCRテンプレートを生成することにより、向上させることができる。
【0020】
いずれかの所定のPCR反応の特異性は、プライマー組の独自性(identity)に、それだけというわけではないが、かなり依存する。プライマー組は、フォワードオリゴヌクレオチドプライマーとリバースオリゴヌクレオチドプライマーの組合せであり、標的DNA配列にアニールして、標的配列の増幅を可能にし、それにより標的配列特異的なアンプリコンを産生する。PCRプライマー組には、標的配列の内部にある2つのプライマーが含まれていてもよく、あるいは一方のプライマーは標的配列の内部でありそしてもう一方は“ライゲーション-アンカーPCR”として知られる技術(Troutt, A.B., et al. (1992), “Ligation-anchored PCR: A Simple Amplification Technique with Single-sided Specificity,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:9823-9825)を使用してDNAにライゲーションされる標的配列またはcDNA標的に特異的なものであってもよい。
【0021】
本明細書中で使用される場合、特定のオリゴヌクレオチドの“誘導体”は、特定のオリゴヌクレオチドと同一の標的配列に結合し、そして同一の標的配列を増幅して、特定のオリゴヌクレオチドとその誘導体との間の差異以外については特定のオリゴヌクレオチドと本質的に同一のアンプリコンを生成する、オリゴヌクレオチドのことをいう。誘導体は、誘導体が特定の配列と同一の目的のために使用する際に特定の配列の特徴を実質的に残存している限りにおいて、特定の配列のいずれかの残基の付加、欠失および/または置換により、特定のオリゴヌクレオチドとは異なっていてもよい。
【0022】
本明細書中で使用される場合、逆転写およびPCRなどのいずれかのアッセイまたは反応のための“試薬”は、酵素、ヌクレオチドまたはその類似体、プライマーおよびプライマーセット、プローブ、抗体またはその他の結合試薬、検出可能標識またはタグ、バッファー、塩および補因子(co-factors)を含む(これらには限定されない)、反応混合物に対して添加される、いずれかの化合物または組成物である。本明細書中で使用される場合、特に記載しない限り、それらの化合物または組成物が明示されていなくても、所定のアッセイまたは反応のための“反応混合物”には、そのアッセイまたは反応を行うために必要なすべての必要な化合物および/または組成物が含まれる。酵素反応などの多数の一般的なアッセイまたは反応のための試薬は、当該技術分野において既知であり、そして典型的には、アッセイまたは反応キットが販売される場合に、提供されおよび/または示唆される。
【0023】
US 10/090,326にも記載される様に、多重化PCRアッセイを、プライマー濃度を操作することによってではなく、アンプリコンの生成を時間移動させることにより、最適化しまたは平衡化することができる。このことは、2つのプライマーセットを使用することにより、達成することができる。各プライマーセットは、異なるTmを有し、それにより、一方のアンプリコンの生成にとって他方のものより有利に働く、各段階ごとに異なるアニーリング温度および/または伸長温度を用いて、2段階PCRアッセイを行うことができる。この時間移動および温度移動法により、プライマー濃度の操作を使用してこの反応を平衡化する場合に直面する困難性を伴うことなく、多重化反応の最適な平衡化が可能である。この技術は、稀なcDNAを対照cDNAと共に増幅することが好ましい、多重反応において特に有用である。
【0024】
RNA分子集団(例えば、限定的ではないが、全RNAまたはmRNA)中の低量のRNA種を迅速にそして正確に検出する定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(QRT-PCR)には、a)RNAサンプルを、逆転写酵素および高濃度の標的配列特異的逆転写酵素プライマーと共に、cDNAを生成するために適切な条件下でインキュベーションする工程;b)それに引き続き、適切なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を、cDNAに対して特異的な高濃度のPCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含む逆転写酵素反応物に対して添加する工程、そしてc)所望のサイクル数、cDNAに対して特異的なPCR産物(“アンプリコン”)を生成するために適切な条件下、PCR反応を繰り返す工程、が含まれる。逆転写酵素とPCR反応とを時間的に分離することにより、そして逆転写酵素-最適化プライマーおよびPCR-最適化プライマーを使用することにより、優れた特異性を得る。反応を、1本のチューブ内で行うことができ(反応が行われるすべてのチューブ、容器、バイアル、セルなどは、時々、本明細書中で一般的に、“反応容器”と呼ばれる場合がある)、2本のチューブ中で行う反応において典型的に見られるコンタミネーション源が除去される。これらの反応条件により、典型的には、逆転写酵素反応を開始してから40サイクルのPCR反応が終了するまで、20分のオーダーで、非常に迅速なQRT-PCR反応が可能になる。
【0025】
十分な試薬を逆転写酵素(RT)反応物に対して添加することにより、逆転写酵素反応と同一のチューブ内で反応c)を行い、PCR反応が進行するために良好な、あるいはさらに最適な条件を作成する。1本のチューブには、逆転写酵素反応を実行する前に、以下のもの:1)逆転写酵素反応混合物、そして2)逆転写酵素反応が完了した後にcDNA混合物に混合されるべきPCR反応混合物、を装填することができる。逆転写酵素反応混合物およびPCR反応混合物は、逆転写酵素反応のインキュベーション温度以上の温度、しかしPCR反応の変性温度以下の温度で溶解する組成物の固体バリアまたは半固体バリア(アモルファス、ガラス質物質、およびワックスを含む)により、物理的に分離されていてもよい。バリア組成物は、疎水性の性質のものであってもよく、RT反応混合物とPCR反応混合物が液体形状である場合に、それらにより第二相を形成してもよい。その様なバリア組成物の一例は、PCR反応において一般的に使用されているワックスビーズ、例えばApplied Biosystems(Foster City, California)から商業的に入手可能なAMPLIWAX PCR GEM製品、である。
【0026】
あるいは、逆転写酵素およびPCR反応物の分離は、逆転写酵素反応が完了した後、PCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含むPCR試薬を添加することにより達成することができる。好ましくは、PCR試薬は、サンプルコンタミネーションの可能性を低く抑え、そしてヒューマンエラーを除去するため、自動機械手段または流動性手段により機械的に添加する。
【0027】
QRT-PCRプロセスの生成物は、固定数のPCRサイクルの後、所定のリポーター遺伝子と比較して、RNA種の相対量を決定するために比較することができる。QRT-PCRプロセスの生成物の相対量を比較する一つの方法は、ゲル電気泳動によるもの、例えば、サンプルをゲル上で泳動し、そしてサザンブロッティングおよびそれに引き続いて標識プローブによる検出すること、エチジウムブロマイドにより染色すること、およびアンプリコン中に蛍光または放射性タグを導入すること、を含む(これらには限定されない)、多数の既知方法の一つにより、それらのサンプルを検出すること、によるもの、である。
【0028】
しかしながら、定量的PCR反応の進行は、典型的には、各PCRプライマーセットについて、アンプリコン生成の相対速度を決定することによりモニタリングする。アンプリコン生成をモニタリングすることは、蛍光プライマー、蛍光発生プローブ、および蛍光色素(いずれも二本鎖DNAに結合するもの)を含む(これらには限定されない)、多数のプロセスにより達成することができる。一般的な方法は、蛍光5’ヌクレアーゼアッセイである。この方法は、特定の熱安定性のDNAポリメラーゼ(例えば、TaqまたはTflDNAポリメラーゼ)の5’ヌクレアーゼ活性を利用して、PCRプロセスのあいだにオリゴマープローブを切断する。そのオリゴマーは、伸長条件下において増幅された標的配列に対してアニーリングするために選択される。このプローブは、典型的には、その5’末端に蛍光リポーターを、そして3’末端にリポーターの蛍光クエンチャーを有する。オリゴマーが無傷である限りは、リポーターからの蛍光シグナルは消光される。しかしながら、オリゴマーが伸長プロセスのあいだに消化されると、蛍光リポーターはもはやクエンチャーに隣接しない。所定のアンプリコンについての遊離の蛍光リポーターの相対的蓄積を、対照サンプルについての同一アンプリコンの蓄積および/または対照遺伝子(例えばβ-アクチンまたは18S rRNA)の蓄積と比較して、RNA集団中の所定のRNAの所定のcDNA生成物の相対的存在量を決定することができる。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイについての生成物および試薬は、例えばApplied Biosystemsから、容易に商業的に入手可能である。
【0029】
Cepheid(Sunnyvale, California)から商業的に入手可能なSmart Cycler、Applied Biosystemsから商業的に入手可能なABI Prism 7700配列検出システム(TaqMan)を含む、装置およびソフトウェアもまた、PCR中、蛍光5’ヌクレアーゼアッセイに従うQRT-PCR中、およびその他のQPCR/QRT-PCR方法中のアンプリコン蓄積のモニタリングのために、容易に入手可能である。カートリッジベースのサンプル調製システム(GenXpert)は、組織サンプルから特定の核酸を自動的に抽出しその核酸に対してQPCRまたはQRT-PCRを行うことができる、液体回路とプロセッシング要素を伴うSmart Cycler製品の能力を有する、サーマルサイクラーと蛍光検出装置とを組合せる。このシステムは、多数の試薬を事前に装填する様に構成することができる、使い捨てのカートリッジを使用する。その様なシステムを、組織を破壊し、そしてサンプルから全RNAまたはmRNAを抽出する様に構成することができる。逆転写酵素反応構成要素を、RNAに対して自動的に添加することができ、そしてQPCR反応構成要素を逆転写酵素反応の完了に際して自動的に添加することができる。
【0030】
さらに、PCR反応を、反応に由来する特定の蛍光物質の産生(または喪失)についてモニターすることができる。蛍光物質レベルが所望のレベルまで到達(または落ち込む)時、自動化システムがPCR条件を自動的に変化させることもできる。あるサンプルにおいて、このことは、より多量な(対照)標的種が、第一の相対的に低いTmのプライマーセットにより、第二の相対的に高いTmのプライマーセットにより増幅されるより少ない種よりも、より低い温度で増幅される場合に、上述した多重化の態様において特に有用である。PCR増幅の最初の段階において、アニーリング温度は、第一のプライマーセットの有効なTmよりも低い。次いで、アニーリング温度は、第一のプライマーセットにより第一のアンプリコンの生成が検出されると、第一のプライマーセットの有効なTmよりも高くまで自動的に上昇される。GeneXpertシステムなど、カートリッジから複数の試薬を自動的に調合するシステムにおいて、第一のPCR反応を第一のTmで行うことができ、そして第一のPCR反応が閾値レベルを越えるまで進行すると、異なるTmを有する第二のプライマーが添加され、結果的に連続的な多重化反応が生じる。
【0031】
上述した反応において、特定の逆転写酵素およびPCR反応構成要素の量は、典型的には、いくつかのサーマルサイクラーのより迅速な傾斜時間(ramp times)を利用するためのものである。具体的には、プライマー濃度は非常に高い。逆転写酵素反応のための典型的な遺伝子特異的なプライマー濃度は、約20 nM未満である。1〜2分のオーダーでの迅速な逆転写酵素反応を達成するため、逆転写酵素プライマー濃度は、20 nMよりも高く、好ましくは少なくとも約50 nM、そして典型的には約100 nMまで、上昇させた。標準的なPCRプライマー濃度は、100 nM〜300 nMの範囲である。より高い濃度が標準的なPCR反応において使用され、Tmの変動を埋め合わせることができる。しかしながら、参照されたプライマー濃度は、Tm埋め合わせが必要ない場合の状況についてのものである。比例的に(Proportionately)より高いプライマー濃度が経験的に決定され、そしてTm埋め合わせが必要とされる場合にまたは望まれる場合に使用される。迅速なPCR反応を達成するため、PCRプライマー濃度は典型的には、200 nMよりも高く、好ましくは約500 nMよりも高く、そして典型的には約800 nMである。典型的には、PCRプライマーに対する逆転写酵素プライマーの比率は、約1〜8、またはそれ以上である。プライマー濃度の上昇により、40サイクルのPCR実験を20分未満で行うことができるようになる。
【0032】
感度の高い逆転写酵素は、低量のRNAが存在するか、または標的RNAが低量しか存在しないRNAである場合のいずれかである特定の条件において好ましい。用語“感度の高い逆転写酵素”により、低コピー数の転写物からPCRテンプレートとして使用するための適切なPCRテンプレートを生成することができる逆転写酵素を意味する。感度の高い逆転写酵素の感受性は、酵素の物理的性質に由来するか、または感度を上昇させる逆転写酵素反応混合物の具体的な反応条件に由来してもよい。感度の高い逆転写酵素の一例は、Qiagen, Inc.(Valencia, California)から商業的に入手可能なSensiScript RT逆転写酵素である。この逆転写酵素は、<50ngのRNAサンプルからのcDNAの生成に最適化されているが、しかし低コピー数の転写物からPCRテンプレートを生成する能力をも有する。実際には、本明細書において記載するアッセイにおいて、適切な結果が、約400 ngまでおよびそれ以上のRNAについて得られた。低コピー数の転写物を逆転写することができる同様の能力を実質的に有するその他の感度の高い逆転写酵素は、本明細書中で記載する目的のためには、同等の感度の高い逆転写酵素であろう。上記にもかかわらず、感度の高い逆転写酵素が低量のRNAからcDNAを生成する能力は、低コピー数の配列からPCRテンプレートを生成するための酵素または酵素反応システムの能力に対しては二次的なものである。
【0033】
上述したように、本明細書中で記載される方法はまた、多重化QRT-PCRプロセスにおいても使用することができる。その最も広い意味において、多重化PCRプロセスは、同一反応容器内で2またはそれ以上のアンプリコンの生成を行う。複数のアンプリコンは、ゲル電気泳動、およびエチジウムブロマイド染色、サザンブロッティング、およびプローブに対するハイブリダイゼーションなど(これらには限定されない)の多数の方法の一つによるアンプリコンの検出により、または蛍光性物質または放射性物質をアンプリコン中に取り込ませ、そしてその後連続的にゲル上の生成物を観察することにより、解析することができる。しかしながら、2またはそれ以上のアンプリコンの生成のリアルタイムモニタリングが好ましい。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイは、最も一般的なモニタリング方法である。同一チューブ中での2またはそれ以上の蛍光リポーターの蓄積のリアルタイムモニタリングを可能にする装置(例えば、上述したSmart CyclerおよびTaqMan製品)が、現在利用可能である。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイの多重化モニタリングのため、検出すべき各アンプリコン種に対応してオリゴマーを提供する。各アンプリコン種に対するオリゴマープローブは、それぞれ他のアンプリコン種についての(1または複数の)オリゴマープローブとは異なるピーク放出波長を有する蛍光リポーターを有する。それぞれの消光されていない蛍光リポーターの蓄積を、各アンプリコンに対応する標的配列の相対量を決定するためにモニタリングすることができる。
【0034】
従来からの多重化QPCRおよびQRT-PCR法においては、同様のアニーリング動態および伸長動態を有するPCRプライマーセットを選択すること、そして同様のサイズのアンプリコンを選択することが好ましい。適切なPCRプライマーセットの設計および選択は、a当業者に対して周知なプロセスである。最適なPCRプライマーセットを同定するためのプロセスおよび平衡化された多重反応を行うためのそれぞれのプロセスの速度もまた、既知である。 “平衡化された(balanced)”により、(1または複数の)特定のアンプリコンが、dNTPまたは酵素などの供給源に関して、(1または複数の)その他のアンプリコンを排除(out-compete)しないことを意味する。例えば、RT-PCRにおいてより多量のRNA種に対するPCRプライマーの量を限定することにより、実験では、より量が少ない種の検出が可能になる。すべてのPCRプライマーセットについてのTm(溶融温度)の平準化もまた、奨励される。例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System User Bulletin #5, “Multiplex PCR with TaqMan VIC Probes”, Applied Biosystems (1998/2001)を参照。
【0035】
上述にもかかわらず、非常に低コピー数の転写物の場合には、より多量な対照種に対するPCRプライマーセットを制限することによっても、正確な多重化PCR実験を設計することは困難である。この問題の一つの解決策は、より多量な種についてのPCR反応とは別個のチューブ中で、低量のRNAについてのPCR反応を実行することである。しかしながら、その様なストラテジーは、多重化PCR実験を行うことの利益を利用しない。2チューブのプロセスは、費用、PCRアッセイにおいては重大なより多くの実験過誤の余地の追加およびサンプルコンタミネーションの機会の増加、を含む、いくつかの欠点を有する。
【0036】
1またはそれ以上のより高コピー数の種と共に低コピー数の核酸種を検出することができる、QRT-PCRおよびQPCRを含む、多重化PCRプロセスを行うための方法が、WO 02/070751中に記載された。低コピー数の核酸種と高コピー数の核酸種との間の差異は相対的なものであり、少なくとも約30倍の低(より低)コピー数の種および高(より高)コピー数の種の存在度(prevalence)、しかしより典型的には少なくとも約100倍の存在度の差異として、本明細書中では言及される。本明細書中の目的のため、増幅される2種の核酸種の相対存在度は、所定の核酸サンプル中のその他の核酸種と比較して、2種の核酸種の相対存在度よりも突出したものである。というのも、核酸サンプル中のその他の核酸種は、PCR供給源について、増幅される種と直接的には競合しないからである。
【0037】
本明細書中で使用される場合、所定の核酸サンプル中の所定のいずれかの核酸種の存在度は、試験の前には未知である。したがって、核酸サンプル中の所定の核酸種の“予測される”数のコピーが本明細書中では使用され、そしてそれは核酸サンプル中のその種の存在度についてのこれまでのデータに基づくものである。いずれかの所定の核酸種の組合せに関して、当業者は、サンプル中の2種の相対的存在度を以前に決定したことに基づいて、それぞれの種の存在度がある範囲に落ち着くことを予想することができる。これらの範囲を決定することにより、当業者であれば、それぞれの種についての標的配列の予想数における差異を決定することができる。正常な患者またはリンパ節から得たサンプル中のmRNA種の正常な存在度に対してあるmRNA種が統計的に有意な量で存在する場合に、そのmRNA種は、“過剰量(overabundant)”と同定される。実施例において詳細に説明し、そして筋立てを本明細書中で提供するように、当業者であれば、1またはそれ以上のmRNA種のいずれかについての“過剰量”の正確な定義を決定するための、統計的に有意な範囲またはカットオフを解明することができる。
【0038】
多重化方法には、2種(またはそれ以上の)段階のPCR増幅を行い、それぞれの増幅段階の間の第一のプライマーセットによる第一のアンプリコンの生成と第二のプライマーセットによる第二のアンプリコンの生成の相対速度を修飾することができることが関連する。この方法により、より低量の核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅は、より多量な核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅により、効果的に“平衡化”される。反応を2またはそれ以上の一時的な段階に分離することは、第一の増幅段階において生成されるべきではないいずれかのアンプリコンに対するPCRプライマーセットを排除することにより達成することができる。このことは、上述したGenXpertの原型システムなどの自動化プロセスを使用することを介して、最も良く達成される。2またはそれ以上の別個の増幅段階を使用して、それぞれのプライマーセットの濃度を調整する(tailor)ことと共に、またはそれとは関係なく、多重化アッセイを調整し(tailor)そして平衡化することができる。
【0039】
PCR増幅プロセスを2またはそれ以上の段階に一時的に分離するための第二の方法は、それぞれのTmにおけるバリエーションを持ったPCRプライマーセットを選択することである。一例において、より低コピー数の核酸種についてのプライマーは、より多量な種についてのプライマーのTm(Tm2)と比較して、より高いTm(Tm1)を有しても良い。このプロセスにおいて、PCR増幅の第一の段階は、Tm2よりも十分に高い温度で、予め決定された数のサイクルを行い、それによりより多量な種の増幅を実質的になくす。増幅の第一の段階の後、PCR反応のアニーリング段階および伸長段階をより低温で、典型的には約Tm2で行い、それによりより低量のアンプリマーおよびより多量のアンプリマーの両方ともを増幅する。本明細書において使用される場合そして特に注記しない場合には、Tmは、プライマーの核酸配列および反応混合物中のプライマー濃度を含む(これらには限定されない)種々の因子に依存する、所定の反応混合物中のいずれかの所定のプライマーについてのTmである“有効なTm”を意味することに注目すべきである。
【0040】
PCR増幅は、動的なプロセスであることに注目すべきである。多重化PCR反応におけるそれぞれのPCR反応を修飾するための温度を使用する場合、より高い温度のアニーリング段階は、反応がより高いTmのプライマーセットによりアンプリコンの生成に好ましい限り、典型的にはより低いTmの直上の温度からより高いTmの直下の温度までの範囲であるいずれの温度で行っても良い。同様に、より低温の反応についてのアニーリングは、典型的にはより低温のTmのプライマーセットのそのTm以下のいずれかの温度である。
【0041】
上述した例において、より高温の段階において、低量のRNAについてのアンプリコンは、より多量なRNAについてのアンプリコンよりも早い速度で増幅され(そして第二のアンプリコンの生成を実質的に排除することが好ましい)、それにより、すべてのアンプリコンの増幅が実質的に平衡化された様式で進行することが好ましい第二の増幅段階の前に、より低量のRNAについてのアンプリコンは、より多量のRNAの増幅がより低量のRNAについてのアンプリコンの増幅により妨害されない程度の、十分な量である。増幅の第一の段階において、低量の核酸についてのアンプリコンが優先的に増幅される場合、アニーリング工程および伸長工程を、Tm1以上で行って、効率以上に特異性を得ても良い(増幅の第二段階の間は、比較的多量の低量の核酸アンプリコンが存在するため、選択性はもはや重大な問題ではなく、アンプリコン生成の効率が好まれる)。したがって、多くの事例において有益ではあるが、温度のバリエーションは、必ずしも結果として一つの増幅反応を他の増幅反応から完全に遮断することにはならない可能性があることは、注目すべきである。
【0042】
上述した増幅反応の別のバリエーションにおいて、第一のTmを有する第一のプライマーセットは、より多量なテンプレート配列(例えば、対照テンプレート配列)を標的にすることができ、そしてより高いTmを有する第二のプライマーセットは、より低量のテンプレート配列を標的とすることができる。この場合において、より多量なテンプレートおよびより低量なテンプレートはともに、第一のプライマーセットの(より低い)Tmよりも低い温度で第一段階において増幅することができる。より多量のテンプレートに相当するアンプリコンが閾値量に到達した場合、反応のアニーリング温度および/または伸長温度が、第一のプライマーセットのTmよりも高いがしかし第二のプライマーセットのより高いTm以下まで上昇され、より多量のテンプレートの増幅を効果的に遮断する。
【0043】
3またはそれ以上の異なるTm(例えば、Tm1>Tm2>Tm3)を有する3またはそれ以上のPCRプライマーセットを選択することは、所望される配列の優先的な増幅が、所望されるサイクル数の間、所望されない配列を実質的に排除することができる程度にTm間の相違が十分に大きい限り、段階的な様式で変化する量の配列を増幅するために使用することができる。そのプロセスにおいて、最低量の配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第一段階において増幅される。次に、最低量の配列およびより少ない配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第二段階において増幅される。最後に、すべての配列が、第三段階において増幅される。上述した2段階反応と同様に、それぞれの段階についての最低温度は、多重化反応のそれぞれの単一増幅反応の相対的な効率に依存して、変化しうる。2またはそれ以上のアンプリマーは、いずれかの段階の増幅プロセスにて同様の量の1種以上の増幅を可能にするため、実質的に同一なTmを有する可能性があることが認識されるべきである。2段階反応と同様に、最低アニーリング温度での最大量の核酸種の増幅から最高アニーリング温度での最小量の種の増幅まで、3段階反応を段階的に進行させることもできる。
【0044】
この連続的な増幅方法により、多重化PCR反応の“平衡化(balancing)”のため、Tmのマッチングおよび限定量の1またはそれ以上のPCRプライマーセットの使用に加えて、追加のツールが提供される。特定の状況下において、追加的なプライマーセットの順次的な追加に対して、異なるアンプリコンを連続的に増幅させるための方法として、異なるTmを有するPCRプライマーセットの開発をすることが好ましい可能性がある。しかしながら、多重化PCR反応の温度-依存的な配列決定を使用することは、単一反応混合物に対するプライマーセットの連続的な物理的添加と組み合わせることができる。
【0045】
ネガティブな結果についての特定の増幅反応の操作を確認する内部陽性対照もまた、利用することができる。内部陽性対照(IPC)は、標的遺伝子(CEAまたはチロシナーゼ)と同一のプライマー配列を有するが、異なる内部プローブ配列を有する、DNAオリゴヌクレオチドである。IPCの選択された配列は、場合により、チミンの代わりにウラシルを用いて合成することができ、それにより高度に濃縮された模倣物によるコンタミネーションを必要な場合にはウラシルDNAグリコシダーゼを使用して調節することができる。IPCは、プライマーセットの内在性標的のCt値よりも典型的に高いCt値をもたらすように、経験的に決定される量で、いずれかのPCR反応マスター混合物に対して添加することができる。次いで、PCRアッセイは、標準的なプロトコルにしたがって行われ、そしてプライマーセットに対する内在性標的が存在しない場合であっても、IPCを増幅し、それにより、標的内在性DNAの増幅ができないことがマスター混合物中のPCR試薬の問題ではないことを確認する。この態様において、IPCプローブは、内在性配列に対するプローブとは異なるように、蛍光を発する。RT-PCR反応において使用するためのこれのバリエーションは、IPCがRNAであり、そしてそのRNAにRTプライマー配列が含まれる場合である。この態様において、IPCは、RT反応およびPCR反応の両方の機能を証明する。RNA IPCおよびDNA IPCの両方とも(異なる対応するプローブを有するもの)は、RT反応およびPCR反応における困難性を区別するために利用することもできる。
【0046】
本明細書中で記載する迅速なQRT-PCRプロトコルは、約20分で実行することができる。この短い時間により、アッセイを手術中に実行するが可能になり、それにより、外科医が1回の手術の間に外科的な経過を決定することができ、(典型的には、試験されるサンプルを取得してから手術中アッセイが完了するまでの間に待ち時間がある可能性はあるが、患者に一回の“手術”において、麻酔をかけたままおよび/または鎮静させたままである)、2回目の手術を必要とせず、または外科医が不必要なくらいにあるいは過度に広い予防的な行為を行うことを必要としない。例えば、乳癌、メラノーマ、肺癌、食道癌、および結腸癌を含む、特定の癌の外科的な評価において、腫瘍および前哨リンパ節が最初の手術において除去される。前哨リンパ節を微小転移についてその後評価し、そして患者の前哨リンパ節中に微小転移が検出される場合、患者は2回目の手術を受ける必要があり、それにより、複数回の手術に伴う患者の外科的リスクや患者の不快症状が増加する。本明細書中で記載される、特定の腫瘍特異的マーカーの発現レベルを、30分未満で正確性を高めて決定する能力により、医師は、患者を手術室または付属施設に放置する必要なく、どのように進めるかについて即時の決断を行うことができる。この迅速な試験は、医師の研究室で行われる注射針バイオプシーに対しても適用することができる。患者は、バイオプシー(腫瘍またはリンパ節の注射針バイオプシーなど)の結果を得るまでに何日も待つ必要がなく、しかも今や非常に短時間でより正確な結果を得ることができる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、遺伝子発現解析の文脈において、反応条件下において、プローブがサンプル中のその遺伝子の転写物あるいはそれに相補的な配列に対して特異的にハイブリダイズ可能である場合、そしてその他の転写物に対しては特異的にハイブリダイズしない場合、プローブは、遺伝子あるいは転写物“に対して特異的”である。したがって、診断アッセイにおいて、その他の転写物を実質的に排除する(検出アッセイを実質的には妨害しない)ように、試料から抽出したmRNA中の特異的転写物または転写物の所望のファミリーに対してプローブが結合することができる場合、プローブは遺伝子に対して特異的である。PCRアッセイにおいて、サンプル中のその他の配列を実質的に排除するように、プライマーは、それらがその遺伝子の配列を特異的に増幅する場合、遺伝子に対して特異的である。
【0048】
表Bは、実施例および図面において記載されそして示されるmRNA定量アッセイについてのプライマー配列およびプローブ配列を提供する。図1〜11は、実施例において検出される様々なmRNA種のcDNA配列の限定的ではない事例を提供する。表Bにおいて提供される配列は実施例において記載されたアッセイにおいては効果的であることが見いだされたが、その他のプライマーおよびプローブは、いずれも本明細書中に記載されるかまたは当該技術分野において既知であるQRT-PCRおよびその他のmRNA検出・定量アッセイにおいて使用するために、等しく適しているようである。PCRアッセイ用のおよびその他のmRNA検出アッセイ用の代わりのプライマーおよびプローブセットの設計は、十分に当業者の能力の範囲内の事項である。例えば、限定的ではないが、多数のコンピュータソフトウェアプログラムが、特定されたパラメータにしたがって、cDNA配列からPCRアッセイ用のプライマーおよびプライマーセットを作成することができる。その様なソフトウェアの限定的ではない例には、PREMIER Biosoft International(Palo Alto, California)から商業的に入手可能なNetPrimerやPrimer Premier 5が含まれ、この会社はモレキュラービーコンおよびアレイアッセイ用のプライマーおよびプローブ設計ソフトウェアもまた提供する。2またはそれ以上の異なるmRNA用のプライマーおよび/またはプローブを、例えば限定的ではないが、標準的な方法にしたがって2またはそれ以上の標的配列をアラインメントし、2またはそれ以上のmRNAのあいだでの共通配列を決定し、そして適切なプライマー設計コンピュータプログラム中に共通配列を入力することにより、同定することができる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、特定のmRNA種を検出するための“プライマーまたはプローブ”は、特定のmRNA種を検出しおよび/または定量するために利用することができる、いずれかのプライマー、プライマーセットおよび/またはプローブである。“mRNA種”は、単一の遺伝子の単一のmRNA発現産物に対応する単一のmRNA種であってもよく、あるいは以下に記載されるSCCA1.2およびMAGEA136-plex種などの単一の共通プライマーおよび/またはプローブの組合せにより検出される複数のmRNAであってもよい。
【0050】
本明細書中に記載される方法の商品化において、特定の核酸の検出のための特定のキットが、特に有用であろう。試験には、典型的には、例えば、核酸プライマーまたはプローブなど(これらには限定されない)の1またはそれ以上の試薬が含まれ、それはバイアル、チューブまたはボトルなど(これらには限定されない)の容器中にパッケージされ、さらに箱、シールポーチ、ブリスター包装およびカートンなど(これらには限定されない)の商業的な頒布のために適した包装梱包される。包装は典型的には、パッケージされた試薬を、患者のリンパ節における癌細胞の存在の指標となるマーカーの発現を同定するための方法において使用することができることを示す、書類、挿絵、ラベル、書籍、小冊子、タグおよび/または添付文書など(これらには限定されない)のしるしを含有する。本明細書中で使用される場合、“包装材料”には、キット中の試薬の頒布のためのパッケージング中で使用される如何なる物質も含まれ、容器、バイアル、チューブ、ボトル、ポーチ、ブリスター包装、ラベル、タグ、指示書、および添付文書(これらには限定されない)が含まれる。その様なキットの一例は、上述した1チューブQRT-PCRプロセスについて必要な試薬を含んでいてもよい。一例において、キットには、上述した試薬が含まれていてもよく、逆転写酵素、逆転写酵素プライマー、対応するPCRプライマーセット、熱安定性のDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、そして適切な蛍光レポーター(蛍光5’ヌクレアーゼアッセイ用のプローブ、モレキュラービーコンプローブ、一色素プライマー、または二本鎖DNA特異的な蛍光色素(例えばエチジウムブロマイド)などが含まれるが、これらには限定されない)が含まれる。プライマーは、上述した高濃度を得ることができる量で存在していてもよい。熱安定性のDNAポリメラーゼは、様々な製造者から一般的にそして商業的に入手可能である。キット中の追加の物質には、以下のものが含まれていてもよい:適切な反応チューブまたはバイアル、バリア組成物(典型的にはワックスビーズであり、場合によりマグネシウムを含んでいてもよい);必要なバッファおよびdNTPなどの試薬を含む、逆転写酵素段階およびPCR段階用の反応混合物(典型的には10×);ヌクレアーゼ不含水またはRNase不含水;RNase阻害剤;対照核酸(1または複数)および/またはQRT-PCR反応の逆転写酵素段階および/またはPCR段階において使用することができる、いずれかの追加のバッファ、化合物、補因子(co-factor)、イオン性構成成分、タンパク質、および酵素、ポリマーなど。
【0051】
キットの構成成分は、商業的に実用的ないずれかの方法でパッケージされている。例えば、PCRプライマーおよび逆転写酵素を個別にパッケージし、アッセイを構築する差異の柔軟性を促進し、あるいは同時に、使用の容易性を増加し、そしてコンタミネーションを減少させることができる。同様に、バッファー、塩および補因子を、別個にまたは同時にパッケージしてもよい。
【0052】
キットにはまた、組織サンプルからの核酸の手動抽出または自動抽出のために適した、試薬および機械的構成成分が含まれていてもよい。これらの試薬は、当業者に既知であり、そして典型的には、設計上の選択事項である。例えば、自動化プロセスの一態様において、組織は、キット中に提供される適切な溶解溶液中で超音波を利用して破壊される。次いで、得られた溶解物溶液を濾過し、そしてRNAをやはりキットまたは容器中にて提供するRNA-結合性磁気ビーズに対して結合させる。ビーズに結合したRNAを洗浄し、そしてRNAをビーズから溶出し、そして適切な逆転写酵素反応混合物中に入れ、その後逆転写酵素反応を行う。自動化プロセスにおいて、試薬の選択およびそれらのパッケージング様式(例えば、一回使い捨ての容器中)は、典型的には、特定のRNA抽出システム(例えば、限定的ではないが、GenXpertシステム)のロボット工学および流体工学の物理的な構造により、影響を受ける。国際特許公開公報WO 04/48931、WO 03/77055、WO 03/72253、WO 03/55973、WO 02/52030、WO 02/18902、WO 01/84463、WO 01/57253、WO 01/45845、WO 00/73413、WO 00/73412およびWO 00/72970は、容器ベースのシステムの限定的ではない事例および本明細書中で記載する方法において有用な関連技術を提供する。
【0053】
キットの構成を、一緒にまたは別々にパッケージすることができ、そしてそれぞれの構成成分を1またはそれ以上のチューブまたはバイアル中、あるいは好ましくは、容器形状中に存在させることができる。構成成分は、独立してまたは一緒に、脱水状態、凍結乾燥状態、ガラス化(glassified)状態または溶液状態を含む(これらには限定されない)、いずれかの有用な状態でパッケージすることができる。キットは、自動化プロセスにおいて使用するための容器の、上述した試薬を含む2またはそれ以上の区画を有する物理的な形状を取ることができる。適切な容器は、例えば、米国特許Nos. 6,440,725、6,431,476、6,403,037および6,374,684に記載される。
【0054】
アレイ技術もまた、所望の反応の性能を促進することにより2またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを容易にすることができ、そして複数の平行する反応を同時に実行することにより、それらの解析を容易にすることができる。アレイの一例は、Affymetrix, Inc.(Santa Clara, California)から商業的に入手可能なGeneChip(登録商標)遺伝子発現アレイである。アレイ技術およびそのための使用について記載する特許には、米国特許Nos. 6,040,138、6,245,517、6,251,601、6,261,776、6,306,643、6,309,823、6,346,413、6,406,844および6,416,952が含まれるが、これらには限定されない。有用なアレイを行うことができる多数の物理的形状を示す、多数のその他の“アレイ”特許が存在する。“マイクロアレイ”などの“アレイ”は、1またはそれ以上の結合試薬を、典型的には、別々の物理的な位置に含有する基材であってもよく、サンプルのアレイへの結合のハイスループット解析を可能にする。本明細書中で記載される方法の文脈において、アレイは、基材に固定された、本明細書中で記載される1またはそれ以上の遺伝子の転写物に対して特異的なプローブを含有する。プローブは、核酸または当該技術分野において既知のその類似体であってもよい。アレイはまた、複数の別個の反応チャンバーのことをいってもよく、複数の平行する反応および検出現象を小型スケールで可能にする。.
上述したように、PCRベースの技術を使用して、所定の組織サンプル中におけるmRNAレベルを定量することができる。その他の配列特異的核酸定量法は、程度の差はあるが、適している可能性がある。一態様において、核酸定量法は、ローリングサークル増幅法である。ローリングサークル増幅法の限定的ではない例は、U.S.特許Nos. 5,854,003;6,183,960;6,344,329;および6,210,884に記載されており、そのそれぞれを、RNA種を検出しそして定量するための方法を教示する範囲で参考文献として本明細書中に援用する。一態様において、パドロック(padlock)プローブが、ローリングサークル増幅プロセスを容易にするために利用される(Nilsson, M. et al. (2002), “Making Ends Meet in Genetic Analysis Using Padlock Probes,” Human Mutation 19:410-415およびSchweitzer, B. et al (2001), “Combining Nucleic Acid Amplification and Detection,” Current Opinion in Biotechnology, 12:21-27を参照)。パドロックプローブは、各末端に1つの標的相補的配列を含む様に設計され、そして2つの末端が、標的配列に対してハイブリダイゼーションに際してそれぞれのすぐ隣に来るように設計される、直鎖オリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドである。プローブにはまた、パドロックプローブスペーサー配列を検出するため、ポリメラーゼプライマー部位を含む標的相補的配列とモレキュラービーコンプローブなどのプローブに対して結合するための部位との間に、スペーサーが含まれる。RNAテンプレートに対して適切にハイブリダイゼーションされる場合、プローブ末端は、次いで、酵素的DNAライゲーションにより結合され、相補的プライマーのポリメラーゼ伸長により増幅することができる環状テンプレートを形成することができる。テンプレートのコンカテマーの何千ものコピーを、各プライマーにより生成することができ、もともとのRNAテンプレートの検出および定量が可能になる。例えば、限定的ではないが、モレキュラービーコンプローブまたは標的配列の蓄積を検出することができるその他のプローブを使用することにより、定量を自動化することができる。異なるスペーサーを有するパドロックプローブを使用して、増幅されたスペーサーに結合した際に異なる色の蛍光を発する異なるモレキュラービーコンに結合させることにより、この自動化反応を多重化することができる。パドロックプローブ配列は、交差反応性が限定的かまたはない状態で、特異的な結合を確実にするため、標的RNAの独特な部分を標的する。RCAは、増幅が1つの温度で行われる等温性の方法である。
【0055】
別の等温性の方法は、例えば、限定的ではないが、核酸配列ベースの増幅(NASBA)である。典型的なNASBA反応は、第一のオリゴヌクレオチドプライマーをRNAサンプル中のRNA標的に対してアニーリングすることにより開始する。第一のプライマーの3’末端は、標的分析物に対して相補的である; 5’末端は、T7 RNAポリメラーゼプロモータをコードする。アニーリング後、プライマーを逆転写(例えば、AMV-RT)により伸長し、cDNAを生成する。RNAをRNase Hで消化し、第二のプライマー(センス)をcDNA鎖に対してアニーリングさせ、逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性を保証し、一端に機能的なT7 RNAポリメラーゼプロモータを有するもともとのRNAテンプレートの二本鎖cDNAコピーを生成する。次に、T7ポリメラーゼを使用して、追加のRNAテンプレートを生成し、逆向きではあるが同一の生成物にしたがってそれをさらに増幅する。様々なその他の核酸検出法および/または増幅法は、本明細書中で記載される等温性鎖置換法、PCR法およびRCA法に対する改変を含め、当業者に既知である。
【0056】
実施例1 - 一般的な材料と方法
可能性のあるマーカーの同定:
広範囲の文献および公共データベースの調査を、何らかの可能性のあるマーカーを同定するために行った。この調査のための情報源には、PubMed、OMIM、UniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)、GeneCards(http://bioinfo.weizmann.ac.il/cards)、およびCGAP(http://cgap.nci.nih.gov)が含まれる。調査の基準はいくらかフレキシブルであったが、目的は、腫瘍中で中程度〜高度の発現を伴い、そして正常リンパ節中で低度の発現を伴う遺伝子を同定することであった。さらに、腫瘍中で亢進調節されたことが報告された遺伝子および限定的な分布を有する遺伝子が、有用である可能性があると考えられた。最終的には、癌精巣抗原およびhTERTなどの癌特異的であることが報告された遺伝子を評価した。
【0057】
組織および病理学的評価:
組織試料は、IRBの承認を受けたプロトコルを介して、University of Pittsburgh Medical Centerの組織バンクから取得した。すべての試料を、液体窒素中で急速冷凍し、そしてその後凍結切片用にOCT中に包埋した。20個の5-ミクロンの切片を、RNA単離のために各組織から切り出した。さらに、切片を切り出し、そしてRNA単離用の切片の最初、途中(RNA用に10番目と11番目の切片の間)、そして最後を、H&E解析およびIHC解析用にスライド上においた。各試料から採取した3種類のH&Eスライドすべてを、腫瘍の存在および腫瘍%を確認するため、そして何らかの混入組織の存在を同定するため、病理的検査に供した。非染色スライドのすべては、-20℃で保存した。免疫組織化学的評価を、AE1/AE3抗体カクテル(DAKO, Carpinteria, CA)、およびVector Elite ABCキットおよびVector AEC Chromagen(Vecta Laboratories, Burlingame, CA)を使用して行った。IHCをH&E組織学を確認するために必要とされるように使用した。
【0058】
スクリーニングアプローチ:
スクリーニングを、2段階で行った。すべての可能性のあるマーカーを一次スクリーニング段階に投入し、そして癌を有さない患者から得た6個の原発腫瘍および10個の良性リンパ節において発現を解析した(1プール当たり2個のリンパ節RNAを有する5つのRNAプール)。リンパ節転移検出のための良好な特徴を示したマーカーが、二次スクリーニング段階に移された。二次スクリーニングは、20〜25個の原発腫瘍、20〜25個の組織学的に陽性のリンパ節、そして21個の癌を有さない良性リンパ節についての発現解析から構成される。
【0059】
RNA単離およびcDNA合成:
RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen, Valencia, CA)を本質的に製造者により記載された通りに使用して単離した。唯一の修飾は、溶解試薬の用量を2倍にしそして2工程でカラムに充填した点であった。このことにより、おそらくは組織切片中のOCTから希釈した結果として、より良好なRNA収率および精製度を提供することが見いだされた。表Cに示されるプローブおよびSuperscript II(Invitrogen, Carlsbad, CA)逆転写酵素を使用するランダムヘキサマープライミングによるかまたは配列特異的プライミングによるかのいずれかにより、逆転写を100-μl反応容量中で行った。一次スクリーニング用に、各500ngのRNAを有する3種類の逆転写反応を行った。cDNAを組み合わせて、そしてQPCRを反応あたり20 ng RNA等量を使用して行った。二次スクリーニング用に、原発腫瘍および陽性リンパ節についてのRNA入力は、同様に500 ngであった。しかしながら、良性のリンパ節については、RNA入力は、QPCR反応あたり80 ng RNAに相当する、2000 ngであった。
【0060】
定量的PCR:
すべての定量的PCRを、ABI Prism 7700配列検出装置(Applied Biosystems, Foster City, CA)で行った。マーカー遺伝子の相対発現を、以前に記載されたデルタ-CT法を使用して、そしてβ-グルクロニダーゼを内在性対照遺伝子として、計算した。すべてのアッセイは、5’ヌクレアーゼハイブリダイゼーションプローブを用いた用途のために設計されたが、コストを抑えるため一次スクリーニングをSYBER Green定量を使用して行った。アッセイは、ABI Primer Express Version 2.0ソフトウェアを使用して設計され、そして可能である場合、cDNA特異性を提供するため、アンプリコンはエクソン結合部にかかっていた。すべてのプライマー対を、60、62および64℃のアニーリング温度で、増幅特異性(ゲル上で単一バンドを生成)について試験した。さらに、PCR効率は、一次スクリーニングに使用する前に、SYBER green定量を使用して推定した。効率のさらなる最適化およびより正確な推定を、二次スクリーニングにおいて使用されるすべてのアッセイのため、5’ヌクレアーゼプローブを用いて行った。
【0061】
Universal Human Reference RNA(Stratagene, La Jolla, CA)およびヒト胎盤、甲状腺、心臓、結腸、PCI13細胞株およびSKBR3細胞株に由来するRNAの混合物が、マーカースクリーニングプロセスにおける遺伝子すべてについてのユニバーサル陽性発現対照として機能した。
【0062】
SYBER Green(Primary Screen)を用いた定量:
SYBR Green I-ベースのQPCRに関して、各50μl反応物は、1×TaqManバッファA(Applied Biosystems)、300 nMの各dNTP、3.5 mM MgCl2、0.06 units/μlのAmplitaq Gold(Applied Biosystems)、0.25X SYBR Green I(Molecular Probes, Eugene, OR)および200nMの各プライマーを含有した。増幅プログラムは、最初に95℃のTaq活性化段階を12分間行い、その後95℃の変性を15秒間、60または62または64℃でのアニーリング/伸長を60秒、そして増幅された特異的PCR生成物のTmよりも2〜4℃低い温度で10秒のデータ回収工程を1サイクルとして40サイクル行う、2段階を含む(Tom B. Morrison, et al, 1998)。増幅後、60℃〜95℃まで、20分かけて温度を上昇させながら蛍光データを回収することにより、溶融曲線解析を行った。
【0063】
5’ヌクレアーゼプローブ(Secondary Screen)を用いた定量:
プローブベースのQPCRを以前に記載されたように行った(Godfrey, et al., Clin Cancer Res. 2001 Dec., 7(12):4041-8)。概説すると、200 nMのプローブ濃度および60℃、または62℃、または64℃で60秒のアニーリング/伸長段階により、反応を行った。二次スクリーニングにおいて評価した、遺伝子についてのプライマーおよびプローブの配列(IDT, Coralville, IAより購入)を、以下の表Bに列挙する。
【0064】
データ解析:
一次スクリーニングにおいて、溶融曲線から得たデータを、ABI Prism 7700 Dissociation Curve Analysis 1.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して解析した。溶融曲線の一次導関数を使用して、生成物のTmを決定し、ならびに特異的生成物が各サンプル中に存在することを確認した。一般的には、二重にしたPCR反応中でサンプルを解析し、そして平均Ct値を発現解析において使用した。しかしながら、二次スクリーニングにおいては、各個体の良性リンパ節について三重にした反応を行い、そしてサンプルについてのバックグラウンド発現の最高値を得るため、最低のCt値を相対発現の計算において使用した。
【0065】
癌組織特異的研究を、以下の実施例において記載するように行った。その場合、多様な分子マーカーを、乳癌および肺癌を含む癌における病理学的状態と相関する様に同定した。表Aは、以下の研究において使用した遺伝子を特定する。表Bは、本明細書中で記載される定量的PCR増幅およびRT-PCR増幅において使用されるPCRプライマー配列およびTAQMANプローブ配列を提供する。表Cは、ランダムヘキサマープライマーの代わりに使用したRTプライマー配列を提供する。すべてのPCR反応およびRT-PCR反応は、標準的な方法を使用して行った。すべての図面について、T=原発腫瘍;PN=腫瘍陽性リンパ節(組織学的スクリーニングによる。すなわち、H&E染色組織の検討による。そして必要な場合には上述したIHCによる。);そしてBN=良性リンパ節(組織学的スクリーニングによる)。
【0066】
【表1−1】
【0067】
【表1−2】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
実施例2 - 乳癌
CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIP、およびTACSTD1の発現レベルを、実施例1に記載した方法により決定した。図12は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIP、およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。図13A-Oは、2マーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。表DおよびEは、図12および図13A-Oのグラフを生成した際の生データを提供する。このデータは、前哨リンパ節中でのCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1マーカー単独の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の乳癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
実施例3 - 肺癌
CEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1の発現レベルを、実施例1に記載した方法により決定した。図14は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。図15A〜BBは、2マーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。図16は、別個の組織学的型における肺癌を検出するための、3マーカーの最良の組合せのプロットである。表FおよびGは、図14および15A-BBのグラフを生成した際の生データを提供する。このデータは、前哨リンパ節中でのCEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1マーカー単独の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の肺癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
実施例4 - その後の研究- 乳癌
材料と方法
実施例2において概説したように、広範囲な文献調査およびデータベース調査により、乳癌におけるリンパ節転移の検出のための潜在的なmRNAマーカーを同定した。一次スクリーニングにより、6個の原発性乳房腫瘍および癌を有さない患者から得た10個の良性リンパ節において、43個の潜在的なマーカーの相対発現を解析した。6個のマーカーが、リンパ節転移検出についての良好な特徴を示したため、25個の原発腫瘍、27個の組織学的に陽性のリンパ節、そして癌を有さない患者から得た21個の良性リンパ節(73人の別個の患者)において発現を解析する、二次スクリーニング段階へと進行した。分類特性に基づいて、迅速な多重化リアルタイムPCRアッセイを使用して、乳癌を有する別個の患者に由来する90個のSLNの外部評価研究のために、4個のマーカーを選択した。最終的に、9個の組織学的に陰性のリンパ節および9個の組織学的に陽性なリンパ節を、完全に自動化しそして迅速なRNA単離およびリアルタイムPCRアッセイを使用して、GeneXpert(登録商標)上で解析した。
【0077】
組織の供給源:
マーカースクリーニングおよびGeneXpert(登録商標)研究のための組織は、University of Pittsburgh Medical Centerの組織バンクから取得し、そしてマーカー検証実験のためのSLNは、Medical University of South Carolinaで始められたMinimally Invasive Molecular Staging of Breast Cancer Trial (MIMS)から得た。
【0078】
組織調製および組織学的解析:
すべての組織を、液体窒素中で瞬間凍結し、そして-80℃で使用するまで保存し、使用時に、クリオスタットでの凍結切片作成のため、それらを最適切断温度(OCT)コンパウンド中に包埋した。マーカースクリーニングおよびGeneXpert(登録商標)研究のため、40個の5-ミクロンの切片をRNA単離のために切り出した。RNA単離用の切片の最初、中間、そして最後から得た追加の切片を、H&E解析およびIHC解析のために切り出した。各試料から得た3つのH&Eスライドすべてについて、2人の病理学者により、病理学的検討を行った。すべての非染色スライドを、-20℃で保存し、そしてH&E組織構造を確認するために必要である場合には、IHC評価のために使用した(AE1/AE3汎サイトケラチン抗体カクテルを使用した)。
【0079】
検証実験のため、個別の患者から年代順に得た115個のSLN試料を同定した。5ミクロンの連続切片を各組織から切り出し、そしてH&E染色および汎サイトケラチンIHCを使用した組織学的解析のために、最初および最後の2枚の組織切片をスライド上にマウントした。中間の切片は、4:1:4:1:4などにわけ、そして4枚の切片をRNA単離のためのカオトロピック溶解バッファー中にすぐに入れ、そして5枚ごとの切片を組織学的検討のためにスライド上にマウントした。切り出した切片の総数は、SLNのサイズに依存した(50〜60個の範囲)。すべての試料を、病理学的解析のために組織構造が適切に保存されていることを確認するために検討し、結果的に25個の試料を排除した。残りの90個のSLNについては、3つのレベルの切片(最初、中間、そして最後)を、H&E染色およびIHC染色の両方を用いて病理学的検討を行い、そして残りのスライドは必要に応じて検討した。
【0080】
すべての試料は、乳癌試料を解釈する幅広い経験を有する2人の病理学者により独立して評価された。病理学者は、腫瘍の存在、腫瘍の%、そして何らかの混入組織(例えば、正常乳腺組織)の存在を決定する。試料の解釈が一致しないものを記録し、そして次いで同時に検討しそして意見の一致を見た。
【0081】
RNA単離:
スクリーニングおよび検証実験のため、製造者により記載された様にRNeasyミニキット(Qiagen, Valencia, CA)を使用して、RNAを単離した。唯一の変更点は、溶解試薬の容量を二倍にし、そして2工程でカラム上に充填した点であった。すべてのRNAは、Ambionから入手したDNA不含キットを使用して、DNAse処理された。
【0082】
定量的RT-PCR解析:
マーカースクリーニング研究のため、cDNAをランダムヘキサマーを使用して合成した。定量的リアルタイムPCRを、ABI Prism 7700 Sequence検出装置上で行い、各マーカー遺伝子の発現をΔCt計算を使用して、内在性対照遺伝子β-グルクロニダーゼに対して測定した。コストを抑えるため、一次スクリーニングをSYBR greenを用いた定量を使用して行った。二次スクリーニングにおいて、5’ヌクレアーゼハイブリダイゼーションプローブを使用して、アッセイの特異性を上昇させた。すべてのアッセイを、ABI Primer Express Version 2.0ソフトウェアを使用して設計し、そして可能である場合、cDNA特異性を提供するため、アンプリコンはエクソン結合部にかかっていた。陰性対照を、各PCRプレート中でインキュベートした。Universal Human Reference RNA(Stratagene, La Jolla, CA)とヒト胎盤、甲状腺、心臓、結腸、PCI13細胞株、およびSKBR3細胞株から得たRNAとの混合物が、マーカースクリーニングプロセスにおけるすべての遺伝子についてのユニバーサル陽性発現対照として機能した。
【0083】
マーカー検証実験における4つの遺伝子の解析を、迅速な、多重化(内在性対照遺伝子および標的遺伝子についての)QRT-PCRを使用して、Cepheid SmartCyclerTM(Cepheid, Sunnyvale, CA)上で行った。各リンパ節サンプルについてのRNA入力はQRT-PCR反応あたり50〜200 ngであり、そしてすべての反応は二重にして行った。各反応には、陰性結果の場合に適切なアッセイ感度を示すため、内部陽性対照(IPC)オリゴヌクレオチドを含めた。遺伝子特異的逆転写プライマー配列およびPCRプライマー配列およびプローブ配列は、表Bに示す。
【0084】
GeneXpert解析:
24枚のOCT包埋組織の5-μm切片を、800μlのGeneXpert(登録商標)溶解バッファー(Cepheid, Sunnyvale, CA)中で切断した。溶解バッファーは、0.22-μmシリンジフィルター(Osmonics Inc, West borough, MA)を通して濾過し、そしてGeneXpert(登録商標)カートリッジ中に充填した。RNA単離、逆転写、そしてQRT-PCRの自動化プロセスは、GeneXpert(登録商標)上でおこなった。
【0085】
統計解析:
マーカーを評価するために使用した特徴は、感度、特異性、分類精度、そして陰性適中率および陽性適中率であった。評価には、マーカーの分布を特徴付け、そしてlog-正規分布に対してデータを適合させることを試験することが含まれた。個別のマーカーについては、分類精度を最大にするカットオフ値を決定した。分類精度が100%であった場合、最大に発現する良性のリンパ節と最低に発現する組織学的に陽性のリンパ節との中間点にカットオフ値を設定した。マーカーを対結合(paired combinations)においても評価し、そして各対について線形予測規則(linear prediction rule)を生成した。規則は、線形境界の上および下での近似確率(fitted probabilities)を均一にする線形予測値(linear predictor)に対応していた。すなわち、境界線上の点は、陽性のリンパ節および陰性のリンパ節について割り当てられた数値スコアの中間の予測確率を有した。
【0086】
単一および対のマーカー予測規則の特性はまた、発現レベルの分布特性を調べることにより、そしてパラメトリックブートストラップ検証を適用することにより調べられた。マーカー対間の平均、分散および相関についてのモーメント推定を使用して、対数正規分布および2変数の対数正規分布からデータをシミュレートした。元データの500のパラメータサンプルを得て、そして各ブートストラップサンプルについての予測を、元データに対して適用した。予測誤差についてのEfronの改良型ブートストラップを使用して(Efron B, TR. An Introduction to the Bootstrap. Boca Raton: Chapman and Hall, 1993: 247-252)、観察された分類精度と平均ブートストラップ分類精度との差異を使用して、代替(resubstitution)予測規則におけるオプティミズム(optimism)を推定した。次いで、単一マーカー決定規則および二重マーカー決定規則をマーカー検証実験から得たデータに対して適用し、そして分類特性を決定した。
【0087】
マーカー組合せの予測特性も、等確率等高線を作成することにより決定した。この方法においては、マーカー対の接合分布を、2変数log-正規分布に従うものと仮定した。良性のリンパ節の平均、分散、そして共分散の推定値から、良性リンパ節中での相対発現レベルについて得られた推定平均値周辺で、等確率等高線を構築した。次いで、観察された値をこれらの等確率の楕円に対してプロットし、そして95パーセンタイル値、99パーセンタイル値、および99.9パーセンタイル値、を含む、より極端な分位についての等高線と比較した。このデータ解析方法は、各点に対して、プロットしたリンパ節が良性であるおよその可能性である値をつけた。
【0088】
結果
一次マーカースクリーニング:
原発腫瘍中および良性リンパ節中での中央値相対発現を、一次スクリーニングにおいて含まれた43個の潜在的マーカーのすべてについて計算した(表H)。
【0089】
【表8】
【0090】
さらに、腫瘍における中央値発現と最大に発現する良性リンパ節との間での比率、および最低に発現する腫瘍と最高に発現する良性リンパ節との間の比率を計算した。分子として、腫瘍における中央値発現を使用する場合、4種類の遺伝子、すなわち、TACSTD1、サイトケラチン7(CK7)、サイトケラチン19(CK19)、およびマンモグロビン(mammoglobin)1(MGB1)は、1000よりも高い腫瘍/良性リンパ節比を有するものとして顕著なものとなった。したがって、これらの4個のマーカーを、さらなる評価のために選択した。マンモグロビン2(MGB2)およびプロラクチン誘導性タンパク質(prolactin inducible protein:PIP)もまた、一次スクリーニングデータに基づいてならびにこれらのマーカーについて以前に公開されたデータ((Mitas M, Mikhitarian K, Walters C, Baron PL, Elliott BM, Brothers TE et al. Quantitative real-time RT-PCR detection of breast cancer micrometastasis using a multigene marker panel. Int J Cancer 2001; 93(2):162-171)に基づいて選択された。その他の37個のマーカーは、さらなる評価から排除した。
【0091】
二次マーカースクリーニング:
二次スクリーニングにおいて使用された25個の原発性乳癌試料の組織学的評価から、75%の中央値腫瘍%(5〜95%の範囲)が示された。27個の組織学的に陽性のリンパ節中の中央値腫瘍%は80%であった(5〜95%の範囲)。乳腺腫瘍、陽性リンパ節、および良性リンパ節における二次スクリーニングに含まれた6個のマーカーの相対的発現は、図12に示される。各マーカーの分類特性(病理学的検討と比較した)は、表Iにまとめる。
【0092】
【表9】
【0093】
観察された分類精度は、89.6%(MGB1およびPIP)〜100%(TACSTD1)の範囲にあった。このデータのパラメトリックブートストラップ解析は、表Iにも示され、そして分類バイアスの推定値は、2%(TACSTD1)〜6%(MGB1)の範囲であった。このように、スクリーニングセットにおける各個別のマーカーについて確立した相対的発現レベルのカットオフ値は、実質的に解析されたリンパ節を正確に特徴づける。
【0094】
我々はまた、マーカー対のすべての可能性のある組合せを調べ、1つより多いマーカーを評価するアッセイが、より頑健なリンパ節特性を生成するかどうかを決定した。それぞれの可能性のあるマーカー対の相対的発現を、特性精度を最適化する線形決定規則を使用して解析し、そしてこれらの決定規則をパラメトリックブートストラップ解析を使用して内部でもう一度検証した。このデータは、図17A〜17Hに示され、そして表Iにまとめられる。15組のうち11組は、観察されたデータにおいて100%の分類精度を提供したが、2組は、ブートストラップ解析において100%の予測精度を保持していた。一般的には、マーカー対を使用することにより、結果として分類バイアスが減少し(0〜3.2%)、2マーカーアッセイがアッセイ分類信頼度を向上させることが確認された。
【0095】
線形分類規則は、マーカー組合せ解析におけるリンパ節分類についての必ずしも最良の方法ではないため、所定の対における各マーカーについての発現レベルの観察された分布に基づいて、新規の分類方法を開発した。等確率等高線は、良性リンパ節における相対的発現について得られた平均値付近で計算された(図17E〜17H)。この解析方法は、良性リンパ節から得られた相対的発現値の分布が、陽性リンパ節を分類するための信頼度に影響を与えることを示す。CK19/MGB1は、線形予測規則に基づいて最良の分類を提供したが、一方確率等高線プロットは、良性リンパ節におけるこれらのマーカー両方についての発現の幅広い分布が、陽性のリンパ節を同定することができる信頼性に、マイナスの影響を与えることを明確に示す。この解析により、TACSTD1/PIP、CK19/TACSTD1、TACSTD1/MGB1およびTACSTD1/MGB2の組合せは、>0.99の確率で、そしてほとんどの場合で>0.999の確率で、すべての陽性リンパ節を正確に同定する、最良の分類を提供する。これらの組合せの4種類すべてについて、すべての良性リンパ節は0.99の確率等高線の内側に入り、そして1つ以外はすべて0.95の確率等高線の内側であった。したがって、スクリーニングデータにおいて、4種類のマーカー組は、>99%の特異性を伴って、100%の感度を提供することができた。
【0096】
迅速な多重化フォーマットにおけるQRT-PCR分類の検証:
二次スクリーニングにおいて試験された選択されたマーカーの分類精度をさらに検証するため、90個の乳癌前哨リンパ節の別個の検証用セットを、予め解析した(図19Aおよび19B)。さらに、手術中解析の可能性を示すため、迅速な多重化QRT-PCRを使用して、SmartCycler(登録商標)装置(Cepheid)でこの研究を行った。サーモサイクラープラットフォームにおけるこの変化に由来する、相対発現計算値におけるわずかな差異が観察されたが(データは示さず)、QRT-PCR解析の頑健性を間接的に評価するための努力において、二次スクリーニングからの分類アルゴリズムを補正率(correction factors)なしで検証用セットデータに対して適用した。
【0097】
病理学的検討から、中央値腫瘍%が60%の陽性リンパ節(5%〜95%の範囲)である、73個の転移陰性SLNおよび17個の転移陽性SLNが同定された。4個の選択されたマーカー、およびマーカー組合せのそれぞれについてのこの相対的発現データは、図18A〜Mにおいて示され、そして個別のマーカーおよびすべての潜在的なマーカー対についての予想分類精度は、表Jにおいて報告される。
【0098】
【表10】
【0099】
二次スクリーニングから得られるカットオフ値(個別のマーカー)または線形予測規則(マーカー組合せ)を検証用セットデータに対して適用した場合、全体的な分類精度は、89%(MGB1単独)〜98%(TACSTD1単独、TACSTD1/PIP、PIP/CK19、およびMGB1/CK19)の範囲であった。二次スクリーニングから得られた確率等高線を適用した場合、いくつかのマーカー組合せにより、陽性リンパ節の16/17(94%)が>99.9%の確率で同定されたが、これに対して、すべての陰性のリンパ節は、99%の確率等高線の中に入った。1つの組織学的に陽性のサンプルは、4種類のマーカーすべてを用いた解析により>95%の確率により陰性として特徴づけられた。解析後の検討において、この試料は、2人の病理学者により異なって解釈されたことが分かった。残りの8枚のスライドには存在しなかった最初の2枚の連続切片中の腫瘍の極小病巣に基づいて、一致した意見に到達した。したがって、この試料が、QRT-PCRにより陰性であるとして一貫して分類されてきたという我々の知見は、サンプリング誤差を示している可能性がある。
【0100】
我々のデータから、我々は、リンパ節中の転移性乳癌を正確に検出することができる多数のmRNAマーカーおよびマーカー組合せが存在すると結論づける。しかしながら、ヒトゲノム中には、CK19についての少なくとも3個の偽遺伝子が存在し、これらはイントロン配列を欠損する。したがって、mRNA-特異的プライマーセットを、CK19について設計することができず、そしてサンプル中に混入するゲノムDNAを完全に消化するためのDNAse処理が失敗すると、擬陽性結果が生み出されうる。したがって、その他の潜在的な陰性の寄与もなく、最高精度を生み出す組合せは、TACSTD1とPIPのマーカー対である。
【0101】
GeneXpert(登録商標)を用いた自動化リンパ節解析:
別個の患者から得た18個のリンパ節試料を、マーカーTACSTD1およびPIPについて、完全に自動化されたQRT-PCRアッセイを用いて評価した(図19Aおよび19B)。組織学的検討の結果、9個の陽性リンパ節(60〜95%腫瘍)および9個の陰性リンパ節から構成されたことが確認された。二次スクリーニングセットから得たデータに基づいて、決定規則を使用して線形決定規則または等確率等高線解析のいずれかにより予め解析された場合、多重化GeneXpert(登録商標)アッセイは、18個の試料すべてを、アッセイあたり35分以内に正確に(100%)特徴づけた。完全に自動化された迅速なQRT-PCRアッセイは、転移性乳癌の存在についてリンパ節を正確に特徴づけたと我々は結論づける。
【0102】
上述した方法は、組織学的検討および免疫組織化学的検討を含む完全なSLN解析の現在の方法と比較して、2マーカーQRT-PCRアッセイを使用して乳癌患者のSLN中の転移性疾患を並はずれて正確に検出することを提供すると見られる。同様に、アッセイをGeneXpert(登録商標)装置を使用して完全に自動化した場合に得られた、リンパ節試料の正確な分類を示す。このように、このアッセイは、SLNB試料の現在の凍結切片解析の正確さを上回っており、そして完全な組織学的解析およびIHC解析よりも以下の点で潜在的に優れている:1)完全に自動化され、ヒューマンエラーの可能性を低減する、2)主観的解析を排除しそして標準化を向上させることにより、客観的な基準を使用する、そして3)反応は35分未満で完了され、手術中の使用を容易にし、および患者の不安を低減させる。
【0103】
以前の研究は、リンパ節のRT-PCR解析はIHCよりも感度が高いかどうか、そしてその結果、乳癌患者の臨床段階をさらに改良することができるかどうか、を目的としてきた。本発明の研究は、それらの研究とは以下の点で異なる。すなわち、本発明の目的は、QRT-PCRが最終的に解析された組織学的に陰性のSLNにおいて転移性疾患を同定するかどうかを決定することではなく、タイムリーさ、再現性あるいは客観性、そして自動化という観点で、現在の解析方法を超える、という点にある。しかしながら、QRT-PCR解析の感度、そしてこの自動化アッセイのサンプリングをより高い%のLN(現在のSLNB解析は試料の1.5%未満しか調べない)を評価することにより改良する能力についての文献に基づいて、このアッセイは、この点に関して現在の技術を超えることができることを保証することができると考えられる。
【0104】
このアッセイは、究極的には、試験の客観的性質により、従来からの組織学的解析よりも優れていることを証明する可能性がある。しかしこの利益は暗示され、そして科学的にまだ証明されていない。微小転移疾患についてのリンパ節の正確な組織学的解析は、本質的に客観的な理想的条件のもと、骨の折れることであり、そして腫瘍細胞の件鼻的病巣の解釈は、臨床的結果のデータをしのいだ。AJCC Cancer Staging Manual, 第6版は、これらの材料の解釈における一貫性を促進する定義を確立したが、しかしこれらの定義は、病理学者のリンパ節の主観的解釈をさらに要求する者である。この問題について検討した唯一の刊行された研究において、Roberts, et al.は、10人の病理学者が25例の乳癌SLNB試料を評価した場合、わずか12%の事例だけがすべての病理学者により正確に分類され、そして80%のIHC-陽性事例は、少なくとも1人の病理学者が事例を不正確に特徴づけた(Roberts CA, Beitsch PD, Litz CE, Hilton DS, Ewing GE, Clifford E et al. Interpretive disparity among pathologists in breast sentinel lmph node evaluation. Am J Surg 2003; 186(4):324-329)。対照的に、本明細書中でそして別個に示す様に、完全に自動化されたQRT-PCRアッセイは、頑健で客観的である。したがって、再現性があり完全に自動化された客観的なSLNの解析は、現在の解析方法を超える潜在力を有しており、そしてこの対比を行うために設計された多中心予測試験を現在開発中である。
【0105】
まとめると、完全に自動化されそして35分で完了される2マーカーQRT-PCRアッセイは、転移性乳癌の存在につき、リンパ節を正確に特徴づけることができることが示された。このアッセイは、手術中解析の現行法よりは明らかに優れており、そして免疫組織化学的解析を含む完全な組織学滴加移籍の現在の方補と同じくらい正確である。このようなアッセイについての理論的な利点には、様々な健康管理環境にわたる標準化の改善、リンパ節のサンプリングの増加、そして人的誤差の減少が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、サイトケラチン7(CK7)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 1)の表示である。
【図2】図2は、サイトケラチン19(CK19)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 2)の表示である。
【図3】図3は、マンマグロビン(mammaglobin)1(MGB1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 3)の表示である。
【図4】図4は、マンマグロビン(mammaglobin)2(MGB2)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 4)の表示である。
【図5】図5は、プロラクチン-誘導性タンパク質(PIP)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 5)の表示である。
【図6】図6は、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)(PVA)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 6)の表示である。
【図7】図7は、扁平上皮細胞癌抗原1(SCCA1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 7)の表示である。
【図8】図8は、扁平上皮細胞癌抗原2(SCCA2)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 8)の表示である。
【図9】図9は、界面活性剤肺-関連タンパク質(surfactant, pulmonary-associated protein)b(SFTPB)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 9)の表示である。
【図10】図10は、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質(tumor-associated calcium signal transducer)1(TACSTD1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 10)の表示である。
【図11】図11は、癌胎児性抗原-関連細胞接着分子5(CEA)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 11)の表示である。
【図12】図12は、乳癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節における、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。
【図13】図13 A〜Oは、2-マーカーシステムが乳癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図14】図14は、肺癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、CEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA 1.2、SFTPBおよびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。
【図15】図15 A-BBは、2-マーカーシステムが肺癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 丸;陽性- “+”)。
【図16】図16は、別個の組織学的タイプにおける肺癌を検出するための3マーカーの最適組合せのプロットであり、倍率変化をプロットする-陽性リンパ節PLN vs. 良性リンパ節BN最高値(PVA - アスタリスク;SFTPB - 丸;そしてTACSTD1 - 三角)。
【図17】図17Aは、原発腫瘍、良性リンパ節および陽性リンパ節において見いだされた個々の遺伝子発現について、リンパ節の二次スクリーニングセットから得られたデータを提示する。横軸は、レシーバー-オペレーター特性曲線解析(receiver-operator characteristic curve analysis)により計算された、最も正確なカットオフ値を示す。個々のマーカーの分類特性は、以下の表Iに報告する。図17B-Eは、線形識別(linear discriminator)決定則を使用して、潜在的な2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての二次スクリーニングセットデータを提示する。個々のマーカーと同様に、黒線は、最も正確な特性を生み出す、二次スクリーニングセットデータから作製された決定則を示す。マーカー組合せの分類特性は、表Iにおいて報告する。図17F-Iは、等確率等高線図(equal probability contour)統計解析を適用した、潜在的な2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての二次スクリーニングセットデータを提示する。等確率曲線は、良性リンパ節における2マーカーについて観察された平均発現値周辺で作成した。このことは、CK19とMGB1とのマーカー組合せが、正確にリンパ節を特徴づける(表Iを参照)のに対して、良性リンパ節においてこれらのマーカーについて観察された発現の幅広い分布は、決定則を適用する際のオプティミズム(optimism)を増大させることを示す。この分析方法により、TACSTD1とPIPとのマーカー組合せは、より信頼性高く、リンパ節を特徴づける。
【図18−1】図18Aは、陰性リンパ節および陽性リンパ節において観察された個々の遺伝子発現についての、SLNの検証セットから得たデータを提示する。水平線は、二次スクリーニングセットから得られたデータから計算された決定則を示す。個々のマーカーの分類特性は、表Jにおいて報告する。
【図18−2】図18B-Gは、すべての可能性のあるマーカー対に関して線形識別(linear discriminator)決定則を使用した、2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての検証セットデータを提示する。個々のマーカーの場合と同様に、黒線は、最も正確な特性を生み出す、二次スクリーニングセットデータから生成された決定則を示す。マーカー組合せの分類特性は、表Jにおいて報告される。
【図18−3】図18H-Mは、二次スクリーニングセットデータから作製された等確率等高線図を使用して解析された検証セットデータを提示する。1つの陽性リンパ節を除きすべての陽性リンパ節に関して観察された相対的発現レベルは、0.999信頼性等高線の十分に外側にあった。陽性リンパ節のいくつかは、ただ一つのマーカーについて陽性であり(左上四分円または右下四分円に位置する交点)、2マーカーアッセイが、高い特異性を維持しつつも、感度が向上することを示している。
【図19】図19A-Bは、リンパ節の、完全自動化の2-マーカーQRT-PCR解析の結果を提示する。線形決定則分析(図19A)または等確率等高線図解析のいずれかにより(図19B)、アッセイは、18個のリンパ節すべてを正確に評価した(9個は陰性、9個は陽性)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、ともに2004年7月9日に出願され、その全体を参考文献として本明細書中に援用される、米国仮出願60/586,599および60/587,019に基づく優先権を主張する。
【0002】
背景
1. 発明の属する分野
リンパ節中の癌細胞を診断するための改良方法、およびその様な方法を行う際に有用な組成物および装置を提供する。
【0003】
2. 関連技術の記載
癌の初期検出は、一般的に生存率の増加をもたらす。転移性病変は一般的に、免疫組織化学的技術を含む組織学的技術により検出される。転移細胞は一般にリンパ節に浸潤し、そしてその結果、ほとんどの場合において、特定の前哨(sentinel)リンパ節(転移細胞が一般に最初に浸潤するリンパ節)または病期診断用(staging)リンパ節(特定タイプの癌細胞の存在について一般的に解析されるリンパ節)は、各癌タイプについて認識され、そして微小転移を含む病変の存在について解析される。訓練を積んだ組織学者は、しばしば、前哨リンパ節または病期診断用(staging)リンパ節由来の組織から切片を作成しそして染色すると、視覚的に転移性病変を検出することができる。高度に訓練を積んだ組織学者は、しばしば、微小転移を視覚化することができるが、その様な病変を視覚化する能力は、組織学者によって異なる。
【0004】
腫瘍を取り除くための多数の外科的処置において、前哨リンパ節のバイオプシーが行われる。その後、外科的処置が中断され、そして切除されたリンパ組織を解析する。いったん腫瘍が転移されたものであると決定されると、2回目のより根本的な外科的処置が行われ、所属リンパ節(regional lymphatics)を取り除く。したがって、より多くのアッセイが所定の時間内に行われ、それにより研究室の所要時間が増大するためだけではなく、2回目の外科的処置を行わずに、正確に術中判定を行うことができるようにするため、腫瘍を同定するための迅速な方法が保証される。リンパ節微小転移の迅速な検出および/またはリンパ節微小転移の術中検出を本質的に可能にする、悪性度についての有用な診断を同定することが望まれている。
【0005】
概要
本発明は、癌細胞の存在の指標である特定のマーカーの発現を同定することにより、患者における癌細胞の存在を検出するための診断方法に関するものである。
【0006】
一態様において、本発明は、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法に関する。この方法は、TACSTD1、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびCK7の1またはそれ以上に特異的なmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。そのmRNA種の過剰は、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である。
【0007】
別の態様において、本発明は、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法に関する。この方法は、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2(SCCA1 +SCCA2)、SFTPBおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的なmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。そのmRNA種の過剰は、リンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、包装材料、およびCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料には、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示す、例えば、文書、説明、ラベル、タグ、本、小冊子および/または添付文書などの(これらには限定されない)、しるしが含まれる。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、包装材料、およびCEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料は、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む。
【0010】
さらにさらなる態様において、本発明は、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAまたはそのRNAに由来する核酸、またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0011】
さらにさらなる態様において、本発明は、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAまたはそのRNAに由来する核酸、またはこれらの類似体、を含む組成物に関する。
【0012】
発明の詳細な説明
リンパ節における微小転移を含む乳癌細胞および肺癌細胞を同定する際に有用な方法および組成物を提供する。転移の初期検出は、一般的に、患者の生存と関連する。非常に小さな転移が、しばしばリンパ節バイオプシーの組織学的研究においてしばしば見逃され、その結果、結果的に患者の生存の可能性を低下させる偽陰性の結果を生じる。本明細書中で記載される核酸検出アッセイは、ほとんどの事例において、組織学的研究よりは、かなり際だったもの(discriminating)であり(わずかな優秀な組織学者しかリンパ節切片において微小転移を同定することができない)、そしてわずかしか訓練を受けていないテクニシャンのいずれの手にも骨の折れそして繰り返されることである。本明細書中で記載される方法および組成物は、必然的に特異的mRNAマーカーの発現を含む方法および組成物を示すが、このことが、特異的マーカーやその他の当該技術分野において既知のマーカーとの組合せを含む方法および組成物を排除するとはみなされないことを理解すべきである。
【0013】
この目的を達成するために、乳癌および肺癌を含む特定の癌型において発現される、多数の分子マーカーを同定する。これらのマーカーは、特定の癌型を生じる組織に特異的なマーカーであり、そして典型的には、リンパ系組織において、少なくとも同一レベルにまでは発現されない。前哨リンパ節組織における1またはそれ以上のこれらのマーカーの発現の存在および/または上昇は、リンパ系組織における転移細胞の指標であり、癌の診断と強力に相関する。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語“発現”および“発現された”は、細胞により遺伝子特異的なmRNAの産生を意味する。本明細書中の開示の文脈において、“マーカー”は、リンパバイオプシー中で異常に発現される遺伝子である。一態様において、本明細書中に記載されるマーカーは、リンパ系細胞中での発現と比較して、顕著に高いレベルで特定の腫瘍源の細胞中で発現されるmRNA種である。
【0015】
mRNAの発現レベルは、多数の方法により定量することができる。伝統的な方法には、ノザンブロット解析が含まれる。より最近では、転写物の定量を容易にする核酸検出方法が開発された。PCR法の例は、米国特許出願No. 10/090,326(US 10/090,326)に記載され、本明細書中に参考文献として全体が援用される。所定のmRNAの発現レベルを決定するためのその他の方法には、例えば以下に記載されるものなど(それらには限定されない)の当該技術分野において既知の、等温増幅アッセイまたは等温検出アッセイ、およびアレイ技術が含まれる。
【0016】
本明細書中およびUS 10/090,326中で記載される改良PCR法、および本明細書中で記載されそして当該技術分野において既知であるその他の核酸検出方法および核酸増幅方法は、リンパ節組織中の癌細胞の迅速な検出を可能にする。これらの迅速な方法を、手術中に(intraoperatively)使用することができ、そしてまた稀な核酸種を検出する際に有用であり、より優勢な対照核酸を同時に検出する多重化PCR反応においても有用である。
【0017】
典型的なPCR反応には、標的核酸種を選択的に増幅する複数の増幅工程またはサイクルが含まれる。転写物の検出が必要であるため、PCR反応を、逆転写工程と組み合わせる(逆転写PCRまたはRT-PCR)。典型的なPCR反応には、3つの工程:標的核酸を変性させる変性工程;1組のPCRプライマー(フォワードプライマーと逆向きプライマー)が相補的なDNA鎖にアニールするアニーリング工程;そして熱安定性のDNAポリメラーゼがプライマーを伸長する伸長工程;が含まれる。このステップを複数回繰り返すことによりDNAフラグメントが増幅され、標的DNA配列に対応するアンプリコンが生成される。典型的なPCR反応には、30回またはそれ以上のサイクルの変性、アニーリングそして伸長が含まれる。多くの場合において、アニーリング工程と伸長工程は、同一の温度で同時的に行うことができ、その場合サイクルは2工程のみを含有する。
【0018】
変性工程、アニーリング工程および伸長工程の長さは、どのような望まれる長さの時間であってもよい。しかしながら、PCR増幅反応を手術中診断のために適した時間にまで短縮することを試みて、これらの工程の長さは、分の範囲ではなく、秒の範囲であってもよい。変性工程は、1秒以下の長さの時間で行うことができる。アニーリング工程および伸長工程は、場合により、それぞれ10秒未満であり、そして同一温度にて行う場合、組合せアニーリング/伸長工程は、10秒未満であってもよい。Rayleigh-Benard対流セル中でPCR反応を行うなどの、最近開発された増幅技術を使用することにより、これらの時間制限を超えてPCR反応時間を劇的に短縮することもできる(Krishnan, My et al., “PCR in a Rayleigh-Benard convection cell.” Science298:793 (2002)およびBraun, D. et al., “Exponential DNA Replication by Lominar Convection,” Physical Review Letters, 91:158103を参照)。
【0019】
US 10/090,326中に記載される様に、アンプリコンの生成を実質的に低下させることなく、各サイクルをかなり短縮することができる。高濃度のプライマーを使用することは、PCRサイクル時間を短縮する際に役に立つ。プライマーの最適な濃度は、アッセイごとにいくらか異なるが、高濃度は、典型的には、約400nMよりも高く、そしてしばしば約800nMよりも高い。RT-PCRアッセイの感度は、感度の高い逆転写酵素(以下に記載する)および/または高濃度の逆転写酵素プライマーを使用して、初期標的PCRテンプレートを生成することにより、向上させることができる。
【0020】
いずれかの所定のPCR反応の特異性は、プライマー組の独自性(identity)に、それだけというわけではないが、かなり依存する。プライマー組は、フォワードオリゴヌクレオチドプライマーとリバースオリゴヌクレオチドプライマーの組合せであり、標的DNA配列にアニールして、標的配列の増幅を可能にし、それにより標的配列特異的なアンプリコンを産生する。PCRプライマー組には、標的配列の内部にある2つのプライマーが含まれていてもよく、あるいは一方のプライマーは標的配列の内部でありそしてもう一方は“ライゲーション-アンカーPCR”として知られる技術(Troutt, A.B., et al. (1992), “Ligation-anchored PCR: A Simple Amplification Technique with Single-sided Specificity,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:9823-9825)を使用してDNAにライゲーションされる標的配列またはcDNA標的に特異的なものであってもよい。
【0021】
本明細書中で使用される場合、特定のオリゴヌクレオチドの“誘導体”は、特定のオリゴヌクレオチドと同一の標的配列に結合し、そして同一の標的配列を増幅して、特定のオリゴヌクレオチドとその誘導体との間の差異以外については特定のオリゴヌクレオチドと本質的に同一のアンプリコンを生成する、オリゴヌクレオチドのことをいう。誘導体は、誘導体が特定の配列と同一の目的のために使用する際に特定の配列の特徴を実質的に残存している限りにおいて、特定の配列のいずれかの残基の付加、欠失および/または置換により、特定のオリゴヌクレオチドとは異なっていてもよい。
【0022】
本明細書中で使用される場合、逆転写およびPCRなどのいずれかのアッセイまたは反応のための“試薬”は、酵素、ヌクレオチドまたはその類似体、プライマーおよびプライマーセット、プローブ、抗体またはその他の結合試薬、検出可能標識またはタグ、バッファー、塩および補因子(co-factors)を含む(これらには限定されない)、反応混合物に対して添加される、いずれかの化合物または組成物である。本明細書中で使用される場合、特に記載しない限り、それらの化合物または組成物が明示されていなくても、所定のアッセイまたは反応のための“反応混合物”には、そのアッセイまたは反応を行うために必要なすべての必要な化合物および/または組成物が含まれる。酵素反応などの多数の一般的なアッセイまたは反応のための試薬は、当該技術分野において既知であり、そして典型的には、アッセイまたは反応キットが販売される場合に、提供されおよび/または示唆される。
【0023】
US 10/090,326にも記載される様に、多重化PCRアッセイを、プライマー濃度を操作することによってではなく、アンプリコンの生成を時間移動させることにより、最適化しまたは平衡化することができる。このことは、2つのプライマーセットを使用することにより、達成することができる。各プライマーセットは、異なるTmを有し、それにより、一方のアンプリコンの生成にとって他方のものより有利に働く、各段階ごとに異なるアニーリング温度および/または伸長温度を用いて、2段階PCRアッセイを行うことができる。この時間移動および温度移動法により、プライマー濃度の操作を使用してこの反応を平衡化する場合に直面する困難性を伴うことなく、多重化反応の最適な平衡化が可能である。この技術は、稀なcDNAを対照cDNAと共に増幅することが好ましい、多重反応において特に有用である。
【0024】
RNA分子集団(例えば、限定的ではないが、全RNAまたはmRNA)中の低量のRNA種を迅速にそして正確に検出する定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(QRT-PCR)には、a)RNAサンプルを、逆転写酵素および高濃度の標的配列特異的逆転写酵素プライマーと共に、cDNAを生成するために適切な条件下でインキュベーションする工程;b)それに引き続き、適切なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を、cDNAに対して特異的な高濃度のPCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含む逆転写酵素反応物に対して添加する工程、そしてc)所望のサイクル数、cDNAに対して特異的なPCR産物(“アンプリコン”)を生成するために適切な条件下、PCR反応を繰り返す工程、が含まれる。逆転写酵素とPCR反応とを時間的に分離することにより、そして逆転写酵素-最適化プライマーおよびPCR-最適化プライマーを使用することにより、優れた特異性を得る。反応を、1本のチューブ内で行うことができ(反応が行われるすべてのチューブ、容器、バイアル、セルなどは、時々、本明細書中で一般的に、“反応容器”と呼ばれる場合がある)、2本のチューブ中で行う反応において典型的に見られるコンタミネーション源が除去される。これらの反応条件により、典型的には、逆転写酵素反応を開始してから40サイクルのPCR反応が終了するまで、20分のオーダーで、非常に迅速なQRT-PCR反応が可能になる。
【0025】
十分な試薬を逆転写酵素(RT)反応物に対して添加することにより、逆転写酵素反応と同一のチューブ内で反応c)を行い、PCR反応が進行するために良好な、あるいはさらに最適な条件を作成する。1本のチューブには、逆転写酵素反応を実行する前に、以下のもの:1)逆転写酵素反応混合物、そして2)逆転写酵素反応が完了した後にcDNA混合物に混合されるべきPCR反応混合物、を装填することができる。逆転写酵素反応混合物およびPCR反応混合物は、逆転写酵素反応のインキュベーション温度以上の温度、しかしPCR反応の変性温度以下の温度で溶解する組成物の固体バリアまたは半固体バリア(アモルファス、ガラス質物質、およびワックスを含む)により、物理的に分離されていてもよい。バリア組成物は、疎水性の性質のものであってもよく、RT反応混合物とPCR反応混合物が液体形状である場合に、それらにより第二相を形成してもよい。その様なバリア組成物の一例は、PCR反応において一般的に使用されているワックスビーズ、例えばApplied Biosystems(Foster City, California)から商業的に入手可能なAMPLIWAX PCR GEM製品、である。
【0026】
あるいは、逆転写酵素およびPCR反応物の分離は、逆転写酵素反応が完了した後、PCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含むPCR試薬を添加することにより達成することができる。好ましくは、PCR試薬は、サンプルコンタミネーションの可能性を低く抑え、そしてヒューマンエラーを除去するため、自動機械手段または流動性手段により機械的に添加する。
【0027】
QRT-PCRプロセスの生成物は、固定数のPCRサイクルの後、所定のリポーター遺伝子と比較して、RNA種の相対量を決定するために比較することができる。QRT-PCRプロセスの生成物の相対量を比較する一つの方法は、ゲル電気泳動によるもの、例えば、サンプルをゲル上で泳動し、そしてサザンブロッティングおよびそれに引き続いて標識プローブによる検出すること、エチジウムブロマイドにより染色すること、およびアンプリコン中に蛍光または放射性タグを導入すること、を含む(これらには限定されない)、多数の既知方法の一つにより、それらのサンプルを検出すること、によるもの、である。
【0028】
しかしながら、定量的PCR反応の進行は、典型的には、各PCRプライマーセットについて、アンプリコン生成の相対速度を決定することによりモニタリングする。アンプリコン生成をモニタリングすることは、蛍光プライマー、蛍光発生プローブ、および蛍光色素(いずれも二本鎖DNAに結合するもの)を含む(これらには限定されない)、多数のプロセスにより達成することができる。一般的な方法は、蛍光5’ヌクレアーゼアッセイである。この方法は、特定の熱安定性のDNAポリメラーゼ(例えば、TaqまたはTflDNAポリメラーゼ)の5’ヌクレアーゼ活性を利用して、PCRプロセスのあいだにオリゴマープローブを切断する。そのオリゴマーは、伸長条件下において増幅された標的配列に対してアニーリングするために選択される。このプローブは、典型的には、その5’末端に蛍光リポーターを、そして3’末端にリポーターの蛍光クエンチャーを有する。オリゴマーが無傷である限りは、リポーターからの蛍光シグナルは消光される。しかしながら、オリゴマーが伸長プロセスのあいだに消化されると、蛍光リポーターはもはやクエンチャーに隣接しない。所定のアンプリコンについての遊離の蛍光リポーターの相対的蓄積を、対照サンプルについての同一アンプリコンの蓄積および/または対照遺伝子(例えばβ-アクチンまたは18S rRNA)の蓄積と比較して、RNA集団中の所定のRNAの所定のcDNA生成物の相対的存在量を決定することができる。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイについての生成物および試薬は、例えばApplied Biosystemsから、容易に商業的に入手可能である。
【0029】
Cepheid(Sunnyvale, California)から商業的に入手可能なSmart Cycler、Applied Biosystemsから商業的に入手可能なABI Prism 7700配列検出システム(TaqMan)を含む、装置およびソフトウェアもまた、PCR中、蛍光5’ヌクレアーゼアッセイに従うQRT-PCR中、およびその他のQPCR/QRT-PCR方法中のアンプリコン蓄積のモニタリングのために、容易に入手可能である。カートリッジベースのサンプル調製システム(GenXpert)は、組織サンプルから特定の核酸を自動的に抽出しその核酸に対してQPCRまたはQRT-PCRを行うことができる、液体回路とプロセッシング要素を伴うSmart Cycler製品の能力を有する、サーマルサイクラーと蛍光検出装置とを組合せる。このシステムは、多数の試薬を事前に装填する様に構成することができる、使い捨てのカートリッジを使用する。その様なシステムを、組織を破壊し、そしてサンプルから全RNAまたはmRNAを抽出する様に構成することができる。逆転写酵素反応構成要素を、RNAに対して自動的に添加することができ、そしてQPCR反応構成要素を逆転写酵素反応の完了に際して自動的に添加することができる。
【0030】
さらに、PCR反応を、反応に由来する特定の蛍光物質の産生(または喪失)についてモニターすることができる。蛍光物質レベルが所望のレベルまで到達(または落ち込む)時、自動化システムがPCR条件を自動的に変化させることもできる。あるサンプルにおいて、このことは、より多量な(対照)標的種が、第一の相対的に低いTmのプライマーセットにより、第二の相対的に高いTmのプライマーセットにより増幅されるより少ない種よりも、より低い温度で増幅される場合に、上述した多重化の態様において特に有用である。PCR増幅の最初の段階において、アニーリング温度は、第一のプライマーセットの有効なTmよりも低い。次いで、アニーリング温度は、第一のプライマーセットにより第一のアンプリコンの生成が検出されると、第一のプライマーセットの有効なTmよりも高くまで自動的に上昇される。GeneXpertシステムなど、カートリッジから複数の試薬を自動的に調合するシステムにおいて、第一のPCR反応を第一のTmで行うことができ、そして第一のPCR反応が閾値レベルを越えるまで進行すると、異なるTmを有する第二のプライマーが添加され、結果的に連続的な多重化反応が生じる。
【0031】
上述した反応において、特定の逆転写酵素およびPCR反応構成要素の量は、典型的には、いくつかのサーマルサイクラーのより迅速な傾斜時間(ramp times)を利用するためのものである。具体的には、プライマー濃度は非常に高い。逆転写酵素反応のための典型的な遺伝子特異的なプライマー濃度は、約20 nM未満である。1〜2分のオーダーでの迅速な逆転写酵素反応を達成するため、逆転写酵素プライマー濃度は、20 nMよりも高く、好ましくは少なくとも約50 nM、そして典型的には約100 nMまで、上昇させた。標準的なPCRプライマー濃度は、100 nM〜300 nMの範囲である。より高い濃度が標準的なPCR反応において使用され、Tmの変動を埋め合わせることができる。しかしながら、参照されたプライマー濃度は、Tm埋め合わせが必要ない場合の状況についてのものである。比例的に(Proportionately)より高いプライマー濃度が経験的に決定され、そしてTm埋め合わせが必要とされる場合にまたは望まれる場合に使用される。迅速なPCR反応を達成するため、PCRプライマー濃度は典型的には、200 nMよりも高く、好ましくは約500 nMよりも高く、そして典型的には約800 nMである。典型的には、PCRプライマーに対する逆転写酵素プライマーの比率は、約1〜8、またはそれ以上である。プライマー濃度の上昇により、40サイクルのPCR実験を20分未満で行うことができるようになる。
【0032】
感度の高い逆転写酵素は、低量のRNAが存在するか、または標的RNAが低量しか存在しないRNAである場合のいずれかである特定の条件において好ましい。用語“感度の高い逆転写酵素”により、低コピー数の転写物からPCRテンプレートとして使用するための適切なPCRテンプレートを生成することができる逆転写酵素を意味する。感度の高い逆転写酵素の感受性は、酵素の物理的性質に由来するか、または感度を上昇させる逆転写酵素反応混合物の具体的な反応条件に由来してもよい。感度の高い逆転写酵素の一例は、Qiagen, Inc.(Valencia, California)から商業的に入手可能なSensiScript RT逆転写酵素である。この逆転写酵素は、<50ngのRNAサンプルからのcDNAの生成に最適化されているが、しかし低コピー数の転写物からPCRテンプレートを生成する能力をも有する。実際には、本明細書において記載するアッセイにおいて、適切な結果が、約400 ngまでおよびそれ以上のRNAについて得られた。低コピー数の転写物を逆転写することができる同様の能力を実質的に有するその他の感度の高い逆転写酵素は、本明細書中で記載する目的のためには、同等の感度の高い逆転写酵素であろう。上記にもかかわらず、感度の高い逆転写酵素が低量のRNAからcDNAを生成する能力は、低コピー数の配列からPCRテンプレートを生成するための酵素または酵素反応システムの能力に対しては二次的なものである。
【0033】
上述したように、本明細書中で記載される方法はまた、多重化QRT-PCRプロセスにおいても使用することができる。その最も広い意味において、多重化PCRプロセスは、同一反応容器内で2またはそれ以上のアンプリコンの生成を行う。複数のアンプリコンは、ゲル電気泳動、およびエチジウムブロマイド染色、サザンブロッティング、およびプローブに対するハイブリダイゼーションなど(これらには限定されない)の多数の方法の一つによるアンプリコンの検出により、または蛍光性物質または放射性物質をアンプリコン中に取り込ませ、そしてその後連続的にゲル上の生成物を観察することにより、解析することができる。しかしながら、2またはそれ以上のアンプリコンの生成のリアルタイムモニタリングが好ましい。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイは、最も一般的なモニタリング方法である。同一チューブ中での2またはそれ以上の蛍光リポーターの蓄積のリアルタイムモニタリングを可能にする装置(例えば、上述したSmart CyclerおよびTaqMan製品)が、現在利用可能である。蛍光5’ヌクレアーゼアッセイの多重化モニタリングのため、検出すべき各アンプリコン種に対応してオリゴマーを提供する。各アンプリコン種に対するオリゴマープローブは、それぞれ他のアンプリコン種についての(1または複数の)オリゴマープローブとは異なるピーク放出波長を有する蛍光リポーターを有する。それぞれの消光されていない蛍光リポーターの蓄積を、各アンプリコンに対応する標的配列の相対量を決定するためにモニタリングすることができる。
【0034】
従来からの多重化QPCRおよびQRT-PCR法においては、同様のアニーリング動態および伸長動態を有するPCRプライマーセットを選択すること、そして同様のサイズのアンプリコンを選択することが好ましい。適切なPCRプライマーセットの設計および選択は、a当業者に対して周知なプロセスである。最適なPCRプライマーセットを同定するためのプロセスおよび平衡化された多重反応を行うためのそれぞれのプロセスの速度もまた、既知である。 “平衡化された(balanced)”により、(1または複数の)特定のアンプリコンが、dNTPまたは酵素などの供給源に関して、(1または複数の)その他のアンプリコンを排除(out-compete)しないことを意味する。例えば、RT-PCRにおいてより多量のRNA種に対するPCRプライマーの量を限定することにより、実験では、より量が少ない種の検出が可能になる。すべてのPCRプライマーセットについてのTm(溶融温度)の平準化もまた、奨励される。例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System User Bulletin #5, “Multiplex PCR with TaqMan VIC Probes”, Applied Biosystems (1998/2001)を参照。
【0035】
上述にもかかわらず、非常に低コピー数の転写物の場合には、より多量な対照種に対するPCRプライマーセットを制限することによっても、正確な多重化PCR実験を設計することは困難である。この問題の一つの解決策は、より多量な種についてのPCR反応とは別個のチューブ中で、低量のRNAについてのPCR反応を実行することである。しかしながら、その様なストラテジーは、多重化PCR実験を行うことの利益を利用しない。2チューブのプロセスは、費用、PCRアッセイにおいては重大なより多くの実験過誤の余地の追加およびサンプルコンタミネーションの機会の増加、を含む、いくつかの欠点を有する。
【0036】
1またはそれ以上のより高コピー数の種と共に低コピー数の核酸種を検出することができる、QRT-PCRおよびQPCRを含む、多重化PCRプロセスを行うための方法が、WO 02/070751中に記載された。低コピー数の核酸種と高コピー数の核酸種との間の差異は相対的なものであり、少なくとも約30倍の低(より低)コピー数の種および高(より高)コピー数の種の存在度(prevalence)、しかしより典型的には少なくとも約100倍の存在度の差異として、本明細書中では言及される。本明細書中の目的のため、増幅される2種の核酸種の相対存在度は、所定の核酸サンプル中のその他の核酸種と比較して、2種の核酸種の相対存在度よりも突出したものである。というのも、核酸サンプル中のその他の核酸種は、PCR供給源について、増幅される種と直接的には競合しないからである。
【0037】
本明細書中で使用される場合、所定の核酸サンプル中の所定のいずれかの核酸種の存在度は、試験の前には未知である。したがって、核酸サンプル中の所定の核酸種の“予測される”数のコピーが本明細書中では使用され、そしてそれは核酸サンプル中のその種の存在度についてのこれまでのデータに基づくものである。いずれかの所定の核酸種の組合せに関して、当業者は、サンプル中の2種の相対的存在度を以前に決定したことに基づいて、それぞれの種の存在度がある範囲に落ち着くことを予想することができる。これらの範囲を決定することにより、当業者であれば、それぞれの種についての標的配列の予想数における差異を決定することができる。正常な患者またはリンパ節から得たサンプル中のmRNA種の正常な存在度に対してあるmRNA種が統計的に有意な量で存在する場合に、そのmRNA種は、“過剰量(overabundant)”と同定される。実施例において詳細に説明し、そして筋立てを本明細書中で提供するように、当業者であれば、1またはそれ以上のmRNA種のいずれかについての“過剰量”の正確な定義を決定するための、統計的に有意な範囲またはカットオフを解明することができる。
【0038】
多重化方法には、2種(またはそれ以上の)段階のPCR増幅を行い、それぞれの増幅段階の間の第一のプライマーセットによる第一のアンプリコンの生成と第二のプライマーセットによる第二のアンプリコンの生成の相対速度を修飾することができることが関連する。この方法により、より低量の核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅は、より多量な核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅により、効果的に“平衡化”される。反応を2またはそれ以上の一時的な段階に分離することは、第一の増幅段階において生成されるべきではないいずれかのアンプリコンに対するPCRプライマーセットを排除することにより達成することができる。このことは、上述したGenXpertの原型システムなどの自動化プロセスを使用することを介して、最も良く達成される。2またはそれ以上の別個の増幅段階を使用して、それぞれのプライマーセットの濃度を調整する(tailor)ことと共に、またはそれとは関係なく、多重化アッセイを調整し(tailor)そして平衡化することができる。
【0039】
PCR増幅プロセスを2またはそれ以上の段階に一時的に分離するための第二の方法は、それぞれのTmにおけるバリエーションを持ったPCRプライマーセットを選択することである。一例において、より低コピー数の核酸種についてのプライマーは、より多量な種についてのプライマーのTm(Tm2)と比較して、より高いTm(Tm1)を有しても良い。このプロセスにおいて、PCR増幅の第一の段階は、Tm2よりも十分に高い温度で、予め決定された数のサイクルを行い、それによりより多量な種の増幅を実質的になくす。増幅の第一の段階の後、PCR反応のアニーリング段階および伸長段階をより低温で、典型的には約Tm2で行い、それによりより低量のアンプリマーおよびより多量のアンプリマーの両方ともを増幅する。本明細書において使用される場合そして特に注記しない場合には、Tmは、プライマーの核酸配列および反応混合物中のプライマー濃度を含む(これらには限定されない)種々の因子に依存する、所定の反応混合物中のいずれかの所定のプライマーについてのTmである“有効なTm”を意味することに注目すべきである。
【0040】
PCR増幅は、動的なプロセスであることに注目すべきである。多重化PCR反応におけるそれぞれのPCR反応を修飾するための温度を使用する場合、より高い温度のアニーリング段階は、反応がより高いTmのプライマーセットによりアンプリコンの生成に好ましい限り、典型的にはより低いTmの直上の温度からより高いTmの直下の温度までの範囲であるいずれの温度で行っても良い。同様に、より低温の反応についてのアニーリングは、典型的にはより低温のTmのプライマーセットのそのTm以下のいずれかの温度である。
【0041】
上述した例において、より高温の段階において、低量のRNAについてのアンプリコンは、より多量なRNAについてのアンプリコンよりも早い速度で増幅され(そして第二のアンプリコンの生成を実質的に排除することが好ましい)、それにより、すべてのアンプリコンの増幅が実質的に平衡化された様式で進行することが好ましい第二の増幅段階の前に、より低量のRNAについてのアンプリコンは、より多量のRNAの増幅がより低量のRNAについてのアンプリコンの増幅により妨害されない程度の、十分な量である。増幅の第一の段階において、低量の核酸についてのアンプリコンが優先的に増幅される場合、アニーリング工程および伸長工程を、Tm1以上で行って、効率以上に特異性を得ても良い(増幅の第二段階の間は、比較的多量の低量の核酸アンプリコンが存在するため、選択性はもはや重大な問題ではなく、アンプリコン生成の効率が好まれる)。したがって、多くの事例において有益ではあるが、温度のバリエーションは、必ずしも結果として一つの増幅反応を他の増幅反応から完全に遮断することにはならない可能性があることは、注目すべきである。
【0042】
上述した増幅反応の別のバリエーションにおいて、第一のTmを有する第一のプライマーセットは、より多量なテンプレート配列(例えば、対照テンプレート配列)を標的にすることができ、そしてより高いTmを有する第二のプライマーセットは、より低量のテンプレート配列を標的とすることができる。この場合において、より多量なテンプレートおよびより低量なテンプレートはともに、第一のプライマーセットの(より低い)Tmよりも低い温度で第一段階において増幅することができる。より多量のテンプレートに相当するアンプリコンが閾値量に到達した場合、反応のアニーリング温度および/または伸長温度が、第一のプライマーセットのTmよりも高いがしかし第二のプライマーセットのより高いTm以下まで上昇され、より多量のテンプレートの増幅を効果的に遮断する。
【0043】
3またはそれ以上の異なるTm(例えば、Tm1>Tm2>Tm3)を有する3またはそれ以上のPCRプライマーセットを選択することは、所望される配列の優先的な増幅が、所望されるサイクル数の間、所望されない配列を実質的に排除することができる程度にTm間の相違が十分に大きい限り、段階的な様式で変化する量の配列を増幅するために使用することができる。そのプロセスにおいて、最低量の配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第一段階において増幅される。次に、最低量の配列およびより少ない配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第二段階において増幅される。最後に、すべての配列が、第三段階において増幅される。上述した2段階反応と同様に、それぞれの段階についての最低温度は、多重化反応のそれぞれの単一増幅反応の相対的な効率に依存して、変化しうる。2またはそれ以上のアンプリマーは、いずれかの段階の増幅プロセスにて同様の量の1種以上の増幅を可能にするため、実質的に同一なTmを有する可能性があることが認識されるべきである。2段階反応と同様に、最低アニーリング温度での最大量の核酸種の増幅から最高アニーリング温度での最小量の種の増幅まで、3段階反応を段階的に進行させることもできる。
【0044】
この連続的な増幅方法により、多重化PCR反応の“平衡化(balancing)”のため、Tmのマッチングおよび限定量の1またはそれ以上のPCRプライマーセットの使用に加えて、追加のツールが提供される。特定の状況下において、追加的なプライマーセットの順次的な追加に対して、異なるアンプリコンを連続的に増幅させるための方法として、異なるTmを有するPCRプライマーセットの開発をすることが好ましい可能性がある。しかしながら、多重化PCR反応の温度-依存的な配列決定を使用することは、単一反応混合物に対するプライマーセットの連続的な物理的添加と組み合わせることができる。
【0045】
ネガティブな結果についての特定の増幅反応の操作を確認する内部陽性対照もまた、利用することができる。内部陽性対照(IPC)は、標的遺伝子(CEAまたはチロシナーゼ)と同一のプライマー配列を有するが、異なる内部プローブ配列を有する、DNAオリゴヌクレオチドである。IPCの選択された配列は、場合により、チミンの代わりにウラシルを用いて合成することができ、それにより高度に濃縮された模倣物によるコンタミネーションを必要な場合にはウラシルDNAグリコシダーゼを使用して調節することができる。IPCは、プライマーセットの内在性標的のCt値よりも典型的に高いCt値をもたらすように、経験的に決定される量で、いずれかのPCR反応マスター混合物に対して添加することができる。次いで、PCRアッセイは、標準的なプロトコルにしたがって行われ、そしてプライマーセットに対する内在性標的が存在しない場合であっても、IPCを増幅し、それにより、標的内在性DNAの増幅ができないことがマスター混合物中のPCR試薬の問題ではないことを確認する。この態様において、IPCプローブは、内在性配列に対するプローブとは異なるように、蛍光を発する。RT-PCR反応において使用するためのこれのバリエーションは、IPCがRNAであり、そしてそのRNAにRTプライマー配列が含まれる場合である。この態様において、IPCは、RT反応およびPCR反応の両方の機能を証明する。RNA IPCおよびDNA IPCの両方とも(異なる対応するプローブを有するもの)は、RT反応およびPCR反応における困難性を区別するために利用することもできる。
【0046】
本明細書中で記載する迅速なQRT-PCRプロトコルは、約20分で実行することができる。この短い時間により、アッセイを手術中に実行するが可能になり、それにより、外科医が1回の手術の間に外科的な経過を決定することができ、(典型的には、試験されるサンプルを取得してから手術中アッセイが完了するまでの間に待ち時間がある可能性はあるが、患者に一回の“手術”において、麻酔をかけたままおよび/または鎮静させたままである)、2回目の手術を必要とせず、または外科医が不必要なくらいにあるいは過度に広い予防的な行為を行うことを必要としない。例えば、乳癌、メラノーマ、肺癌、食道癌、および結腸癌を含む、特定の癌の外科的な評価において、腫瘍および前哨リンパ節が最初の手術において除去される。前哨リンパ節を微小転移についてその後評価し、そして患者の前哨リンパ節中に微小転移が検出される場合、患者は2回目の手術を受ける必要があり、それにより、複数回の手術に伴う患者の外科的リスクや患者の不快症状が増加する。本明細書中で記載される、特定の腫瘍特異的マーカーの発現レベルを、30分未満で正確性を高めて決定する能力により、医師は、患者を手術室または付属施設に放置する必要なく、どのように進めるかについて即時の決断を行うことができる。この迅速な試験は、医師の研究室で行われる注射針バイオプシーに対しても適用することができる。患者は、バイオプシー(腫瘍またはリンパ節の注射針バイオプシーなど)の結果を得るまでに何日も待つ必要がなく、しかも今や非常に短時間でより正確な結果を得ることができる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、遺伝子発現解析の文脈において、反応条件下において、プローブがサンプル中のその遺伝子の転写物あるいはそれに相補的な配列に対して特異的にハイブリダイズ可能である場合、そしてその他の転写物に対しては特異的にハイブリダイズしない場合、プローブは、遺伝子あるいは転写物“に対して特異的”である。したがって、診断アッセイにおいて、その他の転写物を実質的に排除する(検出アッセイを実質的には妨害しない)ように、試料から抽出したmRNA中の特異的転写物または転写物の所望のファミリーに対してプローブが結合することができる場合、プローブは遺伝子に対して特異的である。PCRアッセイにおいて、サンプル中のその他の配列を実質的に排除するように、プライマーは、それらがその遺伝子の配列を特異的に増幅する場合、遺伝子に対して特異的である。
【0048】
表Bは、実施例および図面において記載されそして示されるmRNA定量アッセイについてのプライマー配列およびプローブ配列を提供する。図1〜11は、実施例において検出される様々なmRNA種のcDNA配列の限定的ではない事例を提供する。表Bにおいて提供される配列は実施例において記載されたアッセイにおいては効果的であることが見いだされたが、その他のプライマーおよびプローブは、いずれも本明細書中に記載されるかまたは当該技術分野において既知であるQRT-PCRおよびその他のmRNA検出・定量アッセイにおいて使用するために、等しく適しているようである。PCRアッセイ用のおよびその他のmRNA検出アッセイ用の代わりのプライマーおよびプローブセットの設計は、十分に当業者の能力の範囲内の事項である。例えば、限定的ではないが、多数のコンピュータソフトウェアプログラムが、特定されたパラメータにしたがって、cDNA配列からPCRアッセイ用のプライマーおよびプライマーセットを作成することができる。その様なソフトウェアの限定的ではない例には、PREMIER Biosoft International(Palo Alto, California)から商業的に入手可能なNetPrimerやPrimer Premier 5が含まれ、この会社はモレキュラービーコンおよびアレイアッセイ用のプライマーおよびプローブ設計ソフトウェアもまた提供する。2またはそれ以上の異なるmRNA用のプライマーおよび/またはプローブを、例えば限定的ではないが、標準的な方法にしたがって2またはそれ以上の標的配列をアラインメントし、2またはそれ以上のmRNAのあいだでの共通配列を決定し、そして適切なプライマー設計コンピュータプログラム中に共通配列を入力することにより、同定することができる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、特定のmRNA種を検出するための“プライマーまたはプローブ”は、特定のmRNA種を検出しおよび/または定量するために利用することができる、いずれかのプライマー、プライマーセットおよび/またはプローブである。“mRNA種”は、単一の遺伝子の単一のmRNA発現産物に対応する単一のmRNA種であってもよく、あるいは以下に記載されるSCCA1.2およびMAGEA136-plex種などの単一の共通プライマーおよび/またはプローブの組合せにより検出される複数のmRNAであってもよい。
【0050】
本明細書中に記載される方法の商品化において、特定の核酸の検出のための特定のキットが、特に有用であろう。試験には、典型的には、例えば、核酸プライマーまたはプローブなど(これらには限定されない)の1またはそれ以上の試薬が含まれ、それはバイアル、チューブまたはボトルなど(これらには限定されない)の容器中にパッケージされ、さらに箱、シールポーチ、ブリスター包装およびカートンなど(これらには限定されない)の商業的な頒布のために適した包装梱包される。包装は典型的には、パッケージされた試薬を、患者のリンパ節における癌細胞の存在の指標となるマーカーの発現を同定するための方法において使用することができることを示す、書類、挿絵、ラベル、書籍、小冊子、タグおよび/または添付文書など(これらには限定されない)のしるしを含有する。本明細書中で使用される場合、“包装材料”には、キット中の試薬の頒布のためのパッケージング中で使用される如何なる物質も含まれ、容器、バイアル、チューブ、ボトル、ポーチ、ブリスター包装、ラベル、タグ、指示書、および添付文書(これらには限定されない)が含まれる。その様なキットの一例は、上述した1チューブQRT-PCRプロセスについて必要な試薬を含んでいてもよい。一例において、キットには、上述した試薬が含まれていてもよく、逆転写酵素、逆転写酵素プライマー、対応するPCRプライマーセット、熱安定性のDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、そして適切な蛍光レポーター(蛍光5’ヌクレアーゼアッセイ用のプローブ、モレキュラービーコンプローブ、一色素プライマー、または二本鎖DNA特異的な蛍光色素(例えばエチジウムブロマイド)などが含まれるが、これらには限定されない)が含まれる。プライマーは、上述した高濃度を得ることができる量で存在していてもよい。熱安定性のDNAポリメラーゼは、様々な製造者から一般的にそして商業的に入手可能である。キット中の追加の物質には、以下のものが含まれていてもよい:適切な反応チューブまたはバイアル、バリア組成物(典型的にはワックスビーズであり、場合によりマグネシウムを含んでいてもよい);必要なバッファおよびdNTPなどの試薬を含む、逆転写酵素段階およびPCR段階用の反応混合物(典型的には10×);ヌクレアーゼ不含水またはRNase不含水;RNase阻害剤;対照核酸(1または複数)および/またはQRT-PCR反応の逆転写酵素段階および/またはPCR段階において使用することができる、いずれかの追加のバッファ、化合物、補因子(co-factor)、イオン性構成成分、タンパク質、および酵素、ポリマーなど。
【0051】
キットの構成成分は、商業的に実用的ないずれかの方法でパッケージされている。例えば、PCRプライマーおよび逆転写酵素を個別にパッケージし、アッセイを構築する差異の柔軟性を促進し、あるいは同時に、使用の容易性を増加し、そしてコンタミネーションを減少させることができる。同様に、バッファー、塩および補因子を、別個にまたは同時にパッケージしてもよい。
【0052】
キットにはまた、組織サンプルからの核酸の手動抽出または自動抽出のために適した、試薬および機械的構成成分が含まれていてもよい。これらの試薬は、当業者に既知であり、そして典型的には、設計上の選択事項である。例えば、自動化プロセスの一態様において、組織は、キット中に提供される適切な溶解溶液中で超音波を利用して破壊される。次いで、得られた溶解物溶液を濾過し、そしてRNAをやはりキットまたは容器中にて提供するRNA-結合性磁気ビーズに対して結合させる。ビーズに結合したRNAを洗浄し、そしてRNAをビーズから溶出し、そして適切な逆転写酵素反応混合物中に入れ、その後逆転写酵素反応を行う。自動化プロセスにおいて、試薬の選択およびそれらのパッケージング様式(例えば、一回使い捨ての容器中)は、典型的には、特定のRNA抽出システム(例えば、限定的ではないが、GenXpertシステム)のロボット工学および流体工学の物理的な構造により、影響を受ける。国際特許公開公報WO 04/48931、WO 03/77055、WO 03/72253、WO 03/55973、WO 02/52030、WO 02/18902、WO 01/84463、WO 01/57253、WO 01/45845、WO 00/73413、WO 00/73412およびWO 00/72970は、容器ベースのシステムの限定的ではない事例および本明細書中で記載する方法において有用な関連技術を提供する。
【0053】
キットの構成を、一緒にまたは別々にパッケージすることができ、そしてそれぞれの構成成分を1またはそれ以上のチューブまたはバイアル中、あるいは好ましくは、容器形状中に存在させることができる。構成成分は、独立してまたは一緒に、脱水状態、凍結乾燥状態、ガラス化(glassified)状態または溶液状態を含む(これらには限定されない)、いずれかの有用な状態でパッケージすることができる。キットは、自動化プロセスにおいて使用するための容器の、上述した試薬を含む2またはそれ以上の区画を有する物理的な形状を取ることができる。適切な容器は、例えば、米国特許Nos. 6,440,725、6,431,476、6,403,037および6,374,684に記載される。
【0054】
アレイ技術もまた、所望の反応の性能を促進することにより2またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを決定することを容易にすることができ、そして複数の平行する反応を同時に実行することにより、それらの解析を容易にすることができる。アレイの一例は、Affymetrix, Inc.(Santa Clara, California)から商業的に入手可能なGeneChip(登録商標)遺伝子発現アレイである。アレイ技術およびそのための使用について記載する特許には、米国特許Nos. 6,040,138、6,245,517、6,251,601、6,261,776、6,306,643、6,309,823、6,346,413、6,406,844および6,416,952が含まれるが、これらには限定されない。有用なアレイを行うことができる多数の物理的形状を示す、多数のその他の“アレイ”特許が存在する。“マイクロアレイ”などの“アレイ”は、1またはそれ以上の結合試薬を、典型的には、別々の物理的な位置に含有する基材であってもよく、サンプルのアレイへの結合のハイスループット解析を可能にする。本明細書中で記載される方法の文脈において、アレイは、基材に固定された、本明細書中で記載される1またはそれ以上の遺伝子の転写物に対して特異的なプローブを含有する。プローブは、核酸または当該技術分野において既知のその類似体であってもよい。アレイはまた、複数の別個の反応チャンバーのことをいってもよく、複数の平行する反応および検出現象を小型スケールで可能にする。.
上述したように、PCRベースの技術を使用して、所定の組織サンプル中におけるmRNAレベルを定量することができる。その他の配列特異的核酸定量法は、程度の差はあるが、適している可能性がある。一態様において、核酸定量法は、ローリングサークル増幅法である。ローリングサークル増幅法の限定的ではない例は、U.S.特許Nos. 5,854,003;6,183,960;6,344,329;および6,210,884に記載されており、そのそれぞれを、RNA種を検出しそして定量するための方法を教示する範囲で参考文献として本明細書中に援用する。一態様において、パドロック(padlock)プローブが、ローリングサークル増幅プロセスを容易にするために利用される(Nilsson, M. et al. (2002), “Making Ends Meet in Genetic Analysis Using Padlock Probes,” Human Mutation 19:410-415およびSchweitzer, B. et al (2001), “Combining Nucleic Acid Amplification and Detection,” Current Opinion in Biotechnology, 12:21-27を参照)。パドロックプローブは、各末端に1つの標的相補的配列を含む様に設計され、そして2つの末端が、標的配列に対してハイブリダイゼーションに際してそれぞれのすぐ隣に来るように設計される、直鎖オリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドである。プローブにはまた、パドロックプローブスペーサー配列を検出するため、ポリメラーゼプライマー部位を含む標的相補的配列とモレキュラービーコンプローブなどのプローブに対して結合するための部位との間に、スペーサーが含まれる。RNAテンプレートに対して適切にハイブリダイゼーションされる場合、プローブ末端は、次いで、酵素的DNAライゲーションにより結合され、相補的プライマーのポリメラーゼ伸長により増幅することができる環状テンプレートを形成することができる。テンプレートのコンカテマーの何千ものコピーを、各プライマーにより生成することができ、もともとのRNAテンプレートの検出および定量が可能になる。例えば、限定的ではないが、モレキュラービーコンプローブまたは標的配列の蓄積を検出することができるその他のプローブを使用することにより、定量を自動化することができる。異なるスペーサーを有するパドロックプローブを使用して、増幅されたスペーサーに結合した際に異なる色の蛍光を発する異なるモレキュラービーコンに結合させることにより、この自動化反応を多重化することができる。パドロックプローブ配列は、交差反応性が限定的かまたはない状態で、特異的な結合を確実にするため、標的RNAの独特な部分を標的する。RCAは、増幅が1つの温度で行われる等温性の方法である。
【0055】
別の等温性の方法は、例えば、限定的ではないが、核酸配列ベースの増幅(NASBA)である。典型的なNASBA反応は、第一のオリゴヌクレオチドプライマーをRNAサンプル中のRNA標的に対してアニーリングすることにより開始する。第一のプライマーの3’末端は、標的分析物に対して相補的である; 5’末端は、T7 RNAポリメラーゼプロモータをコードする。アニーリング後、プライマーを逆転写(例えば、AMV-RT)により伸長し、cDNAを生成する。RNAをRNase Hで消化し、第二のプライマー(センス)をcDNA鎖に対してアニーリングさせ、逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性を保証し、一端に機能的なT7 RNAポリメラーゼプロモータを有するもともとのRNAテンプレートの二本鎖cDNAコピーを生成する。次に、T7ポリメラーゼを使用して、追加のRNAテンプレートを生成し、逆向きではあるが同一の生成物にしたがってそれをさらに増幅する。様々なその他の核酸検出法および/または増幅法は、本明細書中で記載される等温性鎖置換法、PCR法およびRCA法に対する改変を含め、当業者に既知である。
【0056】
実施例1 - 一般的な材料と方法
可能性のあるマーカーの同定:
広範囲の文献および公共データベースの調査を、何らかの可能性のあるマーカーを同定するために行った。この調査のための情報源には、PubMed、OMIM、UniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)、GeneCards(http://bioinfo.weizmann.ac.il/cards)、およびCGAP(http://cgap.nci.nih.gov)が含まれる。調査の基準はいくらかフレキシブルであったが、目的は、腫瘍中で中程度〜高度の発現を伴い、そして正常リンパ節中で低度の発現を伴う遺伝子を同定することであった。さらに、腫瘍中で亢進調節されたことが報告された遺伝子および限定的な分布を有する遺伝子が、有用である可能性があると考えられた。最終的には、癌精巣抗原およびhTERTなどの癌特異的であることが報告された遺伝子を評価した。
【0057】
組織および病理学的評価:
組織試料は、IRBの承認を受けたプロトコルを介して、University of Pittsburgh Medical Centerの組織バンクから取得した。すべての試料を、液体窒素中で急速冷凍し、そしてその後凍結切片用にOCT中に包埋した。20個の5-ミクロンの切片を、RNA単離のために各組織から切り出した。さらに、切片を切り出し、そしてRNA単離用の切片の最初、途中(RNA用に10番目と11番目の切片の間)、そして最後を、H&E解析およびIHC解析用にスライド上においた。各試料から採取した3種類のH&Eスライドすべてを、腫瘍の存在および腫瘍%を確認するため、そして何らかの混入組織の存在を同定するため、病理的検査に供した。非染色スライドのすべては、-20℃で保存した。免疫組織化学的評価を、AE1/AE3抗体カクテル(DAKO, Carpinteria, CA)、およびVector Elite ABCキットおよびVector AEC Chromagen(Vecta Laboratories, Burlingame, CA)を使用して行った。IHCをH&E組織学を確認するために必要とされるように使用した。
【0058】
スクリーニングアプローチ:
スクリーニングを、2段階で行った。すべての可能性のあるマーカーを一次スクリーニング段階に投入し、そして癌を有さない患者から得た6個の原発腫瘍および10個の良性リンパ節において発現を解析した(1プール当たり2個のリンパ節RNAを有する5つのRNAプール)。リンパ節転移検出のための良好な特徴を示したマーカーが、二次スクリーニング段階に移された。二次スクリーニングは、20〜25個の原発腫瘍、20〜25個の組織学的に陽性のリンパ節、そして21個の癌を有さない良性リンパ節についての発現解析から構成される。
【0059】
RNA単離およびcDNA合成:
RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen, Valencia, CA)を本質的に製造者により記載された通りに使用して単離した。唯一の修飾は、溶解試薬の用量を2倍にしそして2工程でカラムに充填した点であった。このことにより、おそらくは組織切片中のOCTから希釈した結果として、より良好なRNA収率および精製度を提供することが見いだされた。表Cに示されるプローブおよびSuperscript II(Invitrogen, Carlsbad, CA)逆転写酵素を使用するランダムヘキサマープライミングによるかまたは配列特異的プライミングによるかのいずれかにより、逆転写を100-μl反応容量中で行った。一次スクリーニング用に、各500ngのRNAを有する3種類の逆転写反応を行った。cDNAを組み合わせて、そしてQPCRを反応あたり20 ng RNA等量を使用して行った。二次スクリーニング用に、原発腫瘍および陽性リンパ節についてのRNA入力は、同様に500 ngであった。しかしながら、良性のリンパ節については、RNA入力は、QPCR反応あたり80 ng RNAに相当する、2000 ngであった。
【0060】
定量的PCR:
すべての定量的PCRを、ABI Prism 7700配列検出装置(Applied Biosystems, Foster City, CA)で行った。マーカー遺伝子の相対発現を、以前に記載されたデルタ-CT法を使用して、そしてβ-グルクロニダーゼを内在性対照遺伝子として、計算した。すべてのアッセイは、5’ヌクレアーゼハイブリダイゼーションプローブを用いた用途のために設計されたが、コストを抑えるため一次スクリーニングをSYBER Green定量を使用して行った。アッセイは、ABI Primer Express Version 2.0ソフトウェアを使用して設計され、そして可能である場合、cDNA特異性を提供するため、アンプリコンはエクソン結合部にかかっていた。すべてのプライマー対を、60、62および64℃のアニーリング温度で、増幅特異性(ゲル上で単一バンドを生成)について試験した。さらに、PCR効率は、一次スクリーニングに使用する前に、SYBER green定量を使用して推定した。効率のさらなる最適化およびより正確な推定を、二次スクリーニングにおいて使用されるすべてのアッセイのため、5’ヌクレアーゼプローブを用いて行った。
【0061】
Universal Human Reference RNA(Stratagene, La Jolla, CA)およびヒト胎盤、甲状腺、心臓、結腸、PCI13細胞株およびSKBR3細胞株に由来するRNAの混合物が、マーカースクリーニングプロセスにおける遺伝子すべてについてのユニバーサル陽性発現対照として機能した。
【0062】
SYBER Green(Primary Screen)を用いた定量:
SYBR Green I-ベースのQPCRに関して、各50μl反応物は、1×TaqManバッファA(Applied Biosystems)、300 nMの各dNTP、3.5 mM MgCl2、0.06 units/μlのAmplitaq Gold(Applied Biosystems)、0.25X SYBR Green I(Molecular Probes, Eugene, OR)および200nMの各プライマーを含有した。増幅プログラムは、最初に95℃のTaq活性化段階を12分間行い、その後95℃の変性を15秒間、60または62または64℃でのアニーリング/伸長を60秒、そして増幅された特異的PCR生成物のTmよりも2〜4℃低い温度で10秒のデータ回収工程を1サイクルとして40サイクル行う、2段階を含む(Tom B. Morrison, et al, 1998)。増幅後、60℃〜95℃まで、20分かけて温度を上昇させながら蛍光データを回収することにより、溶融曲線解析を行った。
【0063】
5’ヌクレアーゼプローブ(Secondary Screen)を用いた定量:
プローブベースのQPCRを以前に記載されたように行った(Godfrey, et al., Clin Cancer Res. 2001 Dec., 7(12):4041-8)。概説すると、200 nMのプローブ濃度および60℃、または62℃、または64℃で60秒のアニーリング/伸長段階により、反応を行った。二次スクリーニングにおいて評価した、遺伝子についてのプライマーおよびプローブの配列(IDT, Coralville, IAより購入)を、以下の表Bに列挙する。
【0064】
データ解析:
一次スクリーニングにおいて、溶融曲線から得たデータを、ABI Prism 7700 Dissociation Curve Analysis 1.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して解析した。溶融曲線の一次導関数を使用して、生成物のTmを決定し、ならびに特異的生成物が各サンプル中に存在することを確認した。一般的には、二重にしたPCR反応中でサンプルを解析し、そして平均Ct値を発現解析において使用した。しかしながら、二次スクリーニングにおいては、各個体の良性リンパ節について三重にした反応を行い、そしてサンプルについてのバックグラウンド発現の最高値を得るため、最低のCt値を相対発現の計算において使用した。
【0065】
癌組織特異的研究を、以下の実施例において記載するように行った。その場合、多様な分子マーカーを、乳癌および肺癌を含む癌における病理学的状態と相関する様に同定した。表Aは、以下の研究において使用した遺伝子を特定する。表Bは、本明細書中で記載される定量的PCR増幅およびRT-PCR増幅において使用されるPCRプライマー配列およびTAQMANプローブ配列を提供する。表Cは、ランダムヘキサマープライマーの代わりに使用したRTプライマー配列を提供する。すべてのPCR反応およびRT-PCR反応は、標準的な方法を使用して行った。すべての図面について、T=原発腫瘍;PN=腫瘍陽性リンパ節(組織学的スクリーニングによる。すなわち、H&E染色組織の検討による。そして必要な場合には上述したIHCによる。);そしてBN=良性リンパ節(組織学的スクリーニングによる)。
【0066】
【表1−1】
【0067】
【表1−2】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
実施例2 - 乳癌
CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIP、およびTACSTD1の発現レベルを、実施例1に記載した方法により決定した。図12は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIP、およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。図13A-Oは、2マーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。表DおよびEは、図12および図13A-Oのグラフを生成した際の生データを提供する。このデータは、前哨リンパ節中でのCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1マーカー単独の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の乳癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
実施例3 - 肺癌
CEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1の発現レベルを、実施例1に記載した方法により決定した。図14は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。図15A〜BBは、2マーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。図16は、別個の組織学的型における肺癌を検出するための、3マーカーの最良の組合せのプロットである。表FおよびGは、図14および15A-BBのグラフを生成した際の生データを提供する。このデータは、前哨リンパ節中でのCEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPB、およびTACSTD1マーカー単独の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の肺癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
実施例4 - その後の研究- 乳癌
材料と方法
実施例2において概説したように、広範囲な文献調査およびデータベース調査により、乳癌におけるリンパ節転移の検出のための潜在的なmRNAマーカーを同定した。一次スクリーニングにより、6個の原発性乳房腫瘍および癌を有さない患者から得た10個の良性リンパ節において、43個の潜在的なマーカーの相対発現を解析した。6個のマーカーが、リンパ節転移検出についての良好な特徴を示したため、25個の原発腫瘍、27個の組織学的に陽性のリンパ節、そして癌を有さない患者から得た21個の良性リンパ節(73人の別個の患者)において発現を解析する、二次スクリーニング段階へと進行した。分類特性に基づいて、迅速な多重化リアルタイムPCRアッセイを使用して、乳癌を有する別個の患者に由来する90個のSLNの外部評価研究のために、4個のマーカーを選択した。最終的に、9個の組織学的に陰性のリンパ節および9個の組織学的に陽性なリンパ節を、完全に自動化しそして迅速なRNA単離およびリアルタイムPCRアッセイを使用して、GeneXpert(登録商標)上で解析した。
【0077】
組織の供給源:
マーカースクリーニングおよびGeneXpert(登録商標)研究のための組織は、University of Pittsburgh Medical Centerの組織バンクから取得し、そしてマーカー検証実験のためのSLNは、Medical University of South Carolinaで始められたMinimally Invasive Molecular Staging of Breast Cancer Trial (MIMS)から得た。
【0078】
組織調製および組織学的解析:
すべての組織を、液体窒素中で瞬間凍結し、そして-80℃で使用するまで保存し、使用時に、クリオスタットでの凍結切片作成のため、それらを最適切断温度(OCT)コンパウンド中に包埋した。マーカースクリーニングおよびGeneXpert(登録商標)研究のため、40個の5-ミクロンの切片をRNA単離のために切り出した。RNA単離用の切片の最初、中間、そして最後から得た追加の切片を、H&E解析およびIHC解析のために切り出した。各試料から得た3つのH&Eスライドすべてについて、2人の病理学者により、病理学的検討を行った。すべての非染色スライドを、-20℃で保存し、そしてH&E組織構造を確認するために必要である場合には、IHC評価のために使用した(AE1/AE3汎サイトケラチン抗体カクテルを使用した)。
【0079】
検証実験のため、個別の患者から年代順に得た115個のSLN試料を同定した。5ミクロンの連続切片を各組織から切り出し、そしてH&E染色および汎サイトケラチンIHCを使用した組織学的解析のために、最初および最後の2枚の組織切片をスライド上にマウントした。中間の切片は、4:1:4:1:4などにわけ、そして4枚の切片をRNA単離のためのカオトロピック溶解バッファー中にすぐに入れ、そして5枚ごとの切片を組織学的検討のためにスライド上にマウントした。切り出した切片の総数は、SLNのサイズに依存した(50〜60個の範囲)。すべての試料を、病理学的解析のために組織構造が適切に保存されていることを確認するために検討し、結果的に25個の試料を排除した。残りの90個のSLNについては、3つのレベルの切片(最初、中間、そして最後)を、H&E染色およびIHC染色の両方を用いて病理学的検討を行い、そして残りのスライドは必要に応じて検討した。
【0080】
すべての試料は、乳癌試料を解釈する幅広い経験を有する2人の病理学者により独立して評価された。病理学者は、腫瘍の存在、腫瘍の%、そして何らかの混入組織(例えば、正常乳腺組織)の存在を決定する。試料の解釈が一致しないものを記録し、そして次いで同時に検討しそして意見の一致を見た。
【0081】
RNA単離:
スクリーニングおよび検証実験のため、製造者により記載された様にRNeasyミニキット(Qiagen, Valencia, CA)を使用して、RNAを単離した。唯一の変更点は、溶解試薬の容量を二倍にし、そして2工程でカラム上に充填した点であった。すべてのRNAは、Ambionから入手したDNA不含キットを使用して、DNAse処理された。
【0082】
定量的RT-PCR解析:
マーカースクリーニング研究のため、cDNAをランダムヘキサマーを使用して合成した。定量的リアルタイムPCRを、ABI Prism 7700 Sequence検出装置上で行い、各マーカー遺伝子の発現をΔCt計算を使用して、内在性対照遺伝子β-グルクロニダーゼに対して測定した。コストを抑えるため、一次スクリーニングをSYBR greenを用いた定量を使用して行った。二次スクリーニングにおいて、5’ヌクレアーゼハイブリダイゼーションプローブを使用して、アッセイの特異性を上昇させた。すべてのアッセイを、ABI Primer Express Version 2.0ソフトウェアを使用して設計し、そして可能である場合、cDNA特異性を提供するため、アンプリコンはエクソン結合部にかかっていた。陰性対照を、各PCRプレート中でインキュベートした。Universal Human Reference RNA(Stratagene, La Jolla, CA)とヒト胎盤、甲状腺、心臓、結腸、PCI13細胞株、およびSKBR3細胞株から得たRNAとの混合物が、マーカースクリーニングプロセスにおけるすべての遺伝子についてのユニバーサル陽性発現対照として機能した。
【0083】
マーカー検証実験における4つの遺伝子の解析を、迅速な、多重化(内在性対照遺伝子および標的遺伝子についての)QRT-PCRを使用して、Cepheid SmartCyclerTM(Cepheid, Sunnyvale, CA)上で行った。各リンパ節サンプルについてのRNA入力はQRT-PCR反応あたり50〜200 ngであり、そしてすべての反応は二重にして行った。各反応には、陰性結果の場合に適切なアッセイ感度を示すため、内部陽性対照(IPC)オリゴヌクレオチドを含めた。遺伝子特異的逆転写プライマー配列およびPCRプライマー配列およびプローブ配列は、表Bに示す。
【0084】
GeneXpert解析:
24枚のOCT包埋組織の5-μm切片を、800μlのGeneXpert(登録商標)溶解バッファー(Cepheid, Sunnyvale, CA)中で切断した。溶解バッファーは、0.22-μmシリンジフィルター(Osmonics Inc, West borough, MA)を通して濾過し、そしてGeneXpert(登録商標)カートリッジ中に充填した。RNA単離、逆転写、そしてQRT-PCRの自動化プロセスは、GeneXpert(登録商標)上でおこなった。
【0085】
統計解析:
マーカーを評価するために使用した特徴は、感度、特異性、分類精度、そして陰性適中率および陽性適中率であった。評価には、マーカーの分布を特徴付け、そしてlog-正規分布に対してデータを適合させることを試験することが含まれた。個別のマーカーについては、分類精度を最大にするカットオフ値を決定した。分類精度が100%であった場合、最大に発現する良性のリンパ節と最低に発現する組織学的に陽性のリンパ節との中間点にカットオフ値を設定した。マーカーを対結合(paired combinations)においても評価し、そして各対について線形予測規則(linear prediction rule)を生成した。規則は、線形境界の上および下での近似確率(fitted probabilities)を均一にする線形予測値(linear predictor)に対応していた。すなわち、境界線上の点は、陽性のリンパ節および陰性のリンパ節について割り当てられた数値スコアの中間の予測確率を有した。
【0086】
単一および対のマーカー予測規則の特性はまた、発現レベルの分布特性を調べることにより、そしてパラメトリックブートストラップ検証を適用することにより調べられた。マーカー対間の平均、分散および相関についてのモーメント推定を使用して、対数正規分布および2変数の対数正規分布からデータをシミュレートした。元データの500のパラメータサンプルを得て、そして各ブートストラップサンプルについての予測を、元データに対して適用した。予測誤差についてのEfronの改良型ブートストラップを使用して(Efron B, TR. An Introduction to the Bootstrap. Boca Raton: Chapman and Hall, 1993: 247-252)、観察された分類精度と平均ブートストラップ分類精度との差異を使用して、代替(resubstitution)予測規則におけるオプティミズム(optimism)を推定した。次いで、単一マーカー決定規則および二重マーカー決定規則をマーカー検証実験から得たデータに対して適用し、そして分類特性を決定した。
【0087】
マーカー組合せの予測特性も、等確率等高線を作成することにより決定した。この方法においては、マーカー対の接合分布を、2変数log-正規分布に従うものと仮定した。良性のリンパ節の平均、分散、そして共分散の推定値から、良性リンパ節中での相対発現レベルについて得られた推定平均値周辺で、等確率等高線を構築した。次いで、観察された値をこれらの等確率の楕円に対してプロットし、そして95パーセンタイル値、99パーセンタイル値、および99.9パーセンタイル値、を含む、より極端な分位についての等高線と比較した。このデータ解析方法は、各点に対して、プロットしたリンパ節が良性であるおよその可能性である値をつけた。
【0088】
結果
一次マーカースクリーニング:
原発腫瘍中および良性リンパ節中での中央値相対発現を、一次スクリーニングにおいて含まれた43個の潜在的マーカーのすべてについて計算した(表H)。
【0089】
【表8】
【0090】
さらに、腫瘍における中央値発現と最大に発現する良性リンパ節との間での比率、および最低に発現する腫瘍と最高に発現する良性リンパ節との間の比率を計算した。分子として、腫瘍における中央値発現を使用する場合、4種類の遺伝子、すなわち、TACSTD1、サイトケラチン7(CK7)、サイトケラチン19(CK19)、およびマンモグロビン(mammoglobin)1(MGB1)は、1000よりも高い腫瘍/良性リンパ節比を有するものとして顕著なものとなった。したがって、これらの4個のマーカーを、さらなる評価のために選択した。マンモグロビン2(MGB2)およびプロラクチン誘導性タンパク質(prolactin inducible protein:PIP)もまた、一次スクリーニングデータに基づいてならびにこれらのマーカーについて以前に公開されたデータ((Mitas M, Mikhitarian K, Walters C, Baron PL, Elliott BM, Brothers TE et al. Quantitative real-time RT-PCR detection of breast cancer micrometastasis using a multigene marker panel. Int J Cancer 2001; 93(2):162-171)に基づいて選択された。その他の37個のマーカーは、さらなる評価から排除した。
【0091】
二次マーカースクリーニング:
二次スクリーニングにおいて使用された25個の原発性乳癌試料の組織学的評価から、75%の中央値腫瘍%(5〜95%の範囲)が示された。27個の組織学的に陽性のリンパ節中の中央値腫瘍%は80%であった(5〜95%の範囲)。乳腺腫瘍、陽性リンパ節、および良性リンパ節における二次スクリーニングに含まれた6個のマーカーの相対的発現は、図12に示される。各マーカーの分類特性(病理学的検討と比較した)は、表Iにまとめる。
【0092】
【表9】
【0093】
観察された分類精度は、89.6%(MGB1およびPIP)〜100%(TACSTD1)の範囲にあった。このデータのパラメトリックブートストラップ解析は、表Iにも示され、そして分類バイアスの推定値は、2%(TACSTD1)〜6%(MGB1)の範囲であった。このように、スクリーニングセットにおける各個別のマーカーについて確立した相対的発現レベルのカットオフ値は、実質的に解析されたリンパ節を正確に特徴づける。
【0094】
我々はまた、マーカー対のすべての可能性のある組合せを調べ、1つより多いマーカーを評価するアッセイが、より頑健なリンパ節特性を生成するかどうかを決定した。それぞれの可能性のあるマーカー対の相対的発現を、特性精度を最適化する線形決定規則を使用して解析し、そしてこれらの決定規則をパラメトリックブートストラップ解析を使用して内部でもう一度検証した。このデータは、図17A〜17Hに示され、そして表Iにまとめられる。15組のうち11組は、観察されたデータにおいて100%の分類精度を提供したが、2組は、ブートストラップ解析において100%の予測精度を保持していた。一般的には、マーカー対を使用することにより、結果として分類バイアスが減少し(0〜3.2%)、2マーカーアッセイがアッセイ分類信頼度を向上させることが確認された。
【0095】
線形分類規則は、マーカー組合せ解析におけるリンパ節分類についての必ずしも最良の方法ではないため、所定の対における各マーカーについての発現レベルの観察された分布に基づいて、新規の分類方法を開発した。等確率等高線は、良性リンパ節における相対的発現について得られた平均値付近で計算された(図17E〜17H)。この解析方法は、良性リンパ節から得られた相対的発現値の分布が、陽性リンパ節を分類するための信頼度に影響を与えることを示す。CK19/MGB1は、線形予測規則に基づいて最良の分類を提供したが、一方確率等高線プロットは、良性リンパ節におけるこれらのマーカー両方についての発現の幅広い分布が、陽性のリンパ節を同定することができる信頼性に、マイナスの影響を与えることを明確に示す。この解析により、TACSTD1/PIP、CK19/TACSTD1、TACSTD1/MGB1およびTACSTD1/MGB2の組合せは、>0.99の確率で、そしてほとんどの場合で>0.999の確率で、すべての陽性リンパ節を正確に同定する、最良の分類を提供する。これらの組合せの4種類すべてについて、すべての良性リンパ節は0.99の確率等高線の内側に入り、そして1つ以外はすべて0.95の確率等高線の内側であった。したがって、スクリーニングデータにおいて、4種類のマーカー組は、>99%の特異性を伴って、100%の感度を提供することができた。
【0096】
迅速な多重化フォーマットにおけるQRT-PCR分類の検証:
二次スクリーニングにおいて試験された選択されたマーカーの分類精度をさらに検証するため、90個の乳癌前哨リンパ節の別個の検証用セットを、予め解析した(図19Aおよび19B)。さらに、手術中解析の可能性を示すため、迅速な多重化QRT-PCRを使用して、SmartCycler(登録商標)装置(Cepheid)でこの研究を行った。サーモサイクラープラットフォームにおけるこの変化に由来する、相対発現計算値におけるわずかな差異が観察されたが(データは示さず)、QRT-PCR解析の頑健性を間接的に評価するための努力において、二次スクリーニングからの分類アルゴリズムを補正率(correction factors)なしで検証用セットデータに対して適用した。
【0097】
病理学的検討から、中央値腫瘍%が60%の陽性リンパ節(5%〜95%の範囲)である、73個の転移陰性SLNおよび17個の転移陽性SLNが同定された。4個の選択されたマーカー、およびマーカー組合せのそれぞれについてのこの相対的発現データは、図18A〜Mにおいて示され、そして個別のマーカーおよびすべての潜在的なマーカー対についての予想分類精度は、表Jにおいて報告される。
【0098】
【表10】
【0099】
二次スクリーニングから得られるカットオフ値(個別のマーカー)または線形予測規則(マーカー組合せ)を検証用セットデータに対して適用した場合、全体的な分類精度は、89%(MGB1単独)〜98%(TACSTD1単独、TACSTD1/PIP、PIP/CK19、およびMGB1/CK19)の範囲であった。二次スクリーニングから得られた確率等高線を適用した場合、いくつかのマーカー組合せにより、陽性リンパ節の16/17(94%)が>99.9%の確率で同定されたが、これに対して、すべての陰性のリンパ節は、99%の確率等高線の中に入った。1つの組織学的に陽性のサンプルは、4種類のマーカーすべてを用いた解析により>95%の確率により陰性として特徴づけられた。解析後の検討において、この試料は、2人の病理学者により異なって解釈されたことが分かった。残りの8枚のスライドには存在しなかった最初の2枚の連続切片中の腫瘍の極小病巣に基づいて、一致した意見に到達した。したがって、この試料が、QRT-PCRにより陰性であるとして一貫して分類されてきたという我々の知見は、サンプリング誤差を示している可能性がある。
【0100】
我々のデータから、我々は、リンパ節中の転移性乳癌を正確に検出することができる多数のmRNAマーカーおよびマーカー組合せが存在すると結論づける。しかしながら、ヒトゲノム中には、CK19についての少なくとも3個の偽遺伝子が存在し、これらはイントロン配列を欠損する。したがって、mRNA-特異的プライマーセットを、CK19について設計することができず、そしてサンプル中に混入するゲノムDNAを完全に消化するためのDNAse処理が失敗すると、擬陽性結果が生み出されうる。したがって、その他の潜在的な陰性の寄与もなく、最高精度を生み出す組合せは、TACSTD1とPIPのマーカー対である。
【0101】
GeneXpert(登録商標)を用いた自動化リンパ節解析:
別個の患者から得た18個のリンパ節試料を、マーカーTACSTD1およびPIPについて、完全に自動化されたQRT-PCRアッセイを用いて評価した(図19Aおよび19B)。組織学的検討の結果、9個の陽性リンパ節(60〜95%腫瘍)および9個の陰性リンパ節から構成されたことが確認された。二次スクリーニングセットから得たデータに基づいて、決定規則を使用して線形決定規則または等確率等高線解析のいずれかにより予め解析された場合、多重化GeneXpert(登録商標)アッセイは、18個の試料すべてを、アッセイあたり35分以内に正確に(100%)特徴づけた。完全に自動化された迅速なQRT-PCRアッセイは、転移性乳癌の存在についてリンパ節を正確に特徴づけたと我々は結論づける。
【0102】
上述した方法は、組織学的検討および免疫組織化学的検討を含む完全なSLN解析の現在の方法と比較して、2マーカーQRT-PCRアッセイを使用して乳癌患者のSLN中の転移性疾患を並はずれて正確に検出することを提供すると見られる。同様に、アッセイをGeneXpert(登録商標)装置を使用して完全に自動化した場合に得られた、リンパ節試料の正確な分類を示す。このように、このアッセイは、SLNB試料の現在の凍結切片解析の正確さを上回っており、そして完全な組織学的解析およびIHC解析よりも以下の点で潜在的に優れている:1)完全に自動化され、ヒューマンエラーの可能性を低減する、2)主観的解析を排除しそして標準化を向上させることにより、客観的な基準を使用する、そして3)反応は35分未満で完了され、手術中の使用を容易にし、および患者の不安を低減させる。
【0103】
以前の研究は、リンパ節のRT-PCR解析はIHCよりも感度が高いかどうか、そしてその結果、乳癌患者の臨床段階をさらに改良することができるかどうか、を目的としてきた。本発明の研究は、それらの研究とは以下の点で異なる。すなわち、本発明の目的は、QRT-PCRが最終的に解析された組織学的に陰性のSLNにおいて転移性疾患を同定するかどうかを決定することではなく、タイムリーさ、再現性あるいは客観性、そして自動化という観点で、現在の解析方法を超える、という点にある。しかしながら、QRT-PCR解析の感度、そしてこの自動化アッセイのサンプリングをより高い%のLN(現在のSLNB解析は試料の1.5%未満しか調べない)を評価することにより改良する能力についての文献に基づいて、このアッセイは、この点に関して現在の技術を超えることができることを保証することができると考えられる。
【0104】
このアッセイは、究極的には、試験の客観的性質により、従来からの組織学的解析よりも優れていることを証明する可能性がある。しかしこの利益は暗示され、そして科学的にまだ証明されていない。微小転移疾患についてのリンパ節の正確な組織学的解析は、本質的に客観的な理想的条件のもと、骨の折れることであり、そして腫瘍細胞の件鼻的病巣の解釈は、臨床的結果のデータをしのいだ。AJCC Cancer Staging Manual, 第6版は、これらの材料の解釈における一貫性を促進する定義を確立したが、しかしこれらの定義は、病理学者のリンパ節の主観的解釈をさらに要求する者である。この問題について検討した唯一の刊行された研究において、Roberts, et al.は、10人の病理学者が25例の乳癌SLNB試料を評価した場合、わずか12%の事例だけがすべての病理学者により正確に分類され、そして80%のIHC-陽性事例は、少なくとも1人の病理学者が事例を不正確に特徴づけた(Roberts CA, Beitsch PD, Litz CE, Hilton DS, Ewing GE, Clifford E et al. Interpretive disparity among pathologists in breast sentinel lmph node evaluation. Am J Surg 2003; 186(4):324-329)。対照的に、本明細書中でそして別個に示す様に、完全に自動化されたQRT-PCRアッセイは、頑健で客観的である。したがって、再現性があり完全に自動化された客観的なSLNの解析は、現在の解析方法を超える潜在力を有しており、そしてこの対比を行うために設計された多中心予測試験を現在開発中である。
【0105】
まとめると、完全に自動化されそして35分で完了される2マーカーQRT-PCRアッセイは、転移性乳癌の存在につき、リンパ節を正確に特徴づけることができることが示された。このアッセイは、手術中解析の現行法よりは明らかに優れており、そして免疫組織化学的解析を含む完全な組織学滴加移籍の現在の方補と同じくらい正確である。このようなアッセイについての理論的な利点には、様々な健康管理環境にわたる標準化の改善、リンパ節のサンプリングの増加、そして人的誤差の減少が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、サイトケラチン7(CK7)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 1)の表示である。
【図2】図2は、サイトケラチン19(CK19)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 2)の表示である。
【図3】図3は、マンマグロビン(mammaglobin)1(MGB1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 3)の表示である。
【図4】図4は、マンマグロビン(mammaglobin)2(MGB2)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 4)の表示である。
【図5】図5は、プロラクチン-誘導性タンパク質(PIP)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 5)の表示である。
【図6】図6は、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)(PVA)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 6)の表示である。
【図7】図7は、扁平上皮細胞癌抗原1(SCCA1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 7)の表示である。
【図8】図8は、扁平上皮細胞癌抗原2(SCCA2)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 8)の表示である。
【図9】図9は、界面活性剤肺-関連タンパク質(surfactant, pulmonary-associated protein)b(SFTPB)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 9)の表示である。
【図10】図10は、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質(tumor-associated calcium signal transducer)1(TACSTD1)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 10)の表示である。
【図11】図11は、癌胎児性抗原-関連細胞接着分子5(CEA)マーカーのcDNA配列(SEQ ID NO: 11)の表示である。
【図12】図12は、乳癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節における、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。
【図13】図13 A〜Oは、2-マーカーシステムが乳癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図14】図14は、肺癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、CEA、CK7、CK19、LUNX、PVA、SCCA 1.2、SFTPBおよびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。
【図15】図15 A-BBは、2-マーカーシステムが肺癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 丸;陽性- “+”)。
【図16】図16は、別個の組織学的タイプにおける肺癌を検出するための3マーカーの最適組合せのプロットであり、倍率変化をプロットする-陽性リンパ節PLN vs. 良性リンパ節BN最高値(PVA - アスタリスク;SFTPB - 丸;そしてTACSTD1 - 三角)。
【図17】図17Aは、原発腫瘍、良性リンパ節および陽性リンパ節において見いだされた個々の遺伝子発現について、リンパ節の二次スクリーニングセットから得られたデータを提示する。横軸は、レシーバー-オペレーター特性曲線解析(receiver-operator characteristic curve analysis)により計算された、最も正確なカットオフ値を示す。個々のマーカーの分類特性は、以下の表Iに報告する。図17B-Eは、線形識別(linear discriminator)決定則を使用して、潜在的な2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての二次スクリーニングセットデータを提示する。個々のマーカーと同様に、黒線は、最も正確な特性を生み出す、二次スクリーニングセットデータから作製された決定則を示す。マーカー組合せの分類特性は、表Iにおいて報告する。図17F-Iは、等確率等高線図(equal probability contour)統計解析を適用した、潜在的な2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての二次スクリーニングセットデータを提示する。等確率曲線は、良性リンパ節における2マーカーについて観察された平均発現値周辺で作成した。このことは、CK19とMGB1とのマーカー組合せが、正確にリンパ節を特徴づける(表Iを参照)のに対して、良性リンパ節においてこれらのマーカーについて観察された発現の幅広い分布は、決定則を適用する際のオプティミズム(optimism)を増大させることを示す。この分析方法により、TACSTD1とPIPとのマーカー組合せは、より信頼性高く、リンパ節を特徴づける。
【図18−1】図18Aは、陰性リンパ節および陽性リンパ節において観察された個々の遺伝子発現についての、SLNの検証セットから得たデータを提示する。水平線は、二次スクリーニングセットから得られたデータから計算された決定則を示す。個々のマーカーの分類特性は、表Jにおいて報告する。
【図18−2】図18B-Gは、すべての可能性のあるマーカー対に関して線形識別(linear discriminator)決定則を使用した、2-マーカーの組合せに関する遺伝子発現についての検証セットデータを提示する。個々のマーカーの場合と同様に、黒線は、最も正確な特性を生み出す、二次スクリーニングセットデータから生成された決定則を示す。マーカー組合せの分類特性は、表Jにおいて報告される。
【図18−3】図18H-Mは、二次スクリーニングセットデータから作製された等確率等高線図を使用して解析された検証セットデータを提示する。1つの陽性リンパ節を除きすべての陽性リンパ節に関して観察された相対的発現レベルは、0.999信頼性等高線の十分に外側にあった。陽性リンパ節のいくつかは、ただ一つのマーカーについて陽性であり(左上四分円または右下四分円に位置する交点)、2マーカーアッセイが、高い特異性を維持しつつも、感度が向上することを示している。
【図19】図19A-Bは、リンパ節の、完全自動化の2-マーカーQRT-PCR解析の結果を提示する。線形決定則分析(図19A)または等確率等高線図解析のいずれかにより(図19B)、アッセイは、18個のリンパ節すべてを正確に評価した(9個は陰性、9個は陽性)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか;
(b) CK19に特異的な第一のmRNA種およびPIPおよびMGB1の一方に特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか;または
(c) CK7に特異的な第一のmRNA種およびPIP、MGB1およびMGB2の1つに特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか、
を決定することを含む、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標となるマーカーの発現を同定する方法であって、mRNA種の過剰が、リンパ節中での転移性の乳腺細胞の指標である、前記方法。
【請求項2】
TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CK19に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
MGB1に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
MGB2に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
PIPに特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
CK7に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
CK19に特異的な第一のmRNA種およびPIPおよびMGB1の一方に特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、それらのmRNA種の過剰が、リンパ節の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第二のmRNA種がPIPに特異的なものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第二のmRNA種がMGB1に特異的なものである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
CK7に特異的な第一のmRNA種、およびPIP、MGB1およびMGB2の1つに特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第二のmRNA種がPIPに特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第二のmRNA種がMGB1に特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第二のmRNA種がMGB2に特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
RNAサンプル中のmRNA種のレベルを定量すること、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温式増幅アッセイの一つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅アッセイ、および核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アッセイが、RT-PCRアッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
RT-PCRアッセイが、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プライマー対が、表Bに開示されたCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1プライマーの1またはそれ以上の少なくとも約10個の連続した核酸から本質的になる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アッセイが多重化アッセイである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の一つに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法。
【請求項24】
CK7に特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
CK19に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
PVAに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
SCCA1.2に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
SFTPBに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
SFTPBに特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
PVAに特異的な第三のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
SCCA1.2に特異的な第三のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
PVAに特異的な第二のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
SCCA1.2に特異的なmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な第一のmRNA種とは異なる1またはそれそれ以上の追加のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、第一のmRNA種の過剰および1またはそれそれ以上の追加のmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
RNAサンプル中のmRNA種のレベルを定量し、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温式増幅アッセイの一つである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅アッセイおよび核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アッセイがRT-PCRアッセイである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
RT-PCRアッセイが、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
プライマー対が、表B中に開示した、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1プライマーの1またはそれ以上の少なくとも約10個の連続した核酸から本質的になる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
アッセイが多重化アッセイである、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
包装材料、および:
(a) CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸(ここで、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);または
(b) CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸(ここで、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);
を含む、製品。
【請求項45】
CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含み、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項44に記載の製品。
【請求項46】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含み、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項44に記載の製品。
【請求項47】
1またはそれ以上の核酸が、配列特異的核酸検出アッセイまたは配列特異的核酸増幅アッセイにおいて使用するための1またはそれ以上のプライマーである、請求項44に記載の製品。
【請求項48】
プライマーが、PCRプライマーセット、NASBAプライマーおよびRCAプライマーの一つである、請求項47に記載の製品。
【請求項49】
プライマーが、PCRプライマーセットである、請求項47に記載の製品。
【請求項50】
1またはそれ以上の核酸が、基材に接着されている、請求項44に記載の製品。
【請求項51】
基材が、1またはそれ以上の核酸の2またはそれ以上についてのアレイである、請求項50に記載の製品。
【請求項52】
1またはそれ以上の核酸がプローブである、請求項44に記載の製品。
【請求項53】
1またはそれ以上のプライマーを使用する配列特異的核酸検出アッセイまたは配列特異的核酸増幅アッセイの生成物の蓄積を検出する際に使用するための検出可能プローブをさらに含む、請求項44に記載の製品。
【請求項54】
1またはそれ以上の核酸が、カートリッジ中に含有される、請求項44に記載の製品。
【請求項55】
(a) CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;または
(b) CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
を含む、組成物。
【請求項56】
CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA、を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項58】
1またはそれ以上のプライマーまたはプローブが、基材に接着される、請求項55に記載の組成物。
【請求項59】
基材が、1またはそれ以上のプライマーまたはプローブの2またはそれ以上のアレイである、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
ポリメラーゼ;リボ核酸またはデオキシリボ核酸またはその類似体;および対照核酸;の1またはそれ以上をさらに含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項1】
(a) TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか;
(b) CK19に特異的な第一のmRNA種およびPIPおよびMGB1の一方に特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか;または
(c) CK7に特異的な第一のmRNA種およびPIP、MGB1およびMGB2の1つに特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるか、
を決定することを含む、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標となるマーカーの発現を同定する方法であって、mRNA種の過剰が、リンパ節中での転移性の乳腺細胞の指標である、前記方法。
【請求項2】
TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CK19に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
MGB1に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
MGB2に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
PIPに特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節中の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
CK7に特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰が、リンパ節の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
CK19に特異的な第一のmRNA種およびPIPおよびMGB1の一方に特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、それらのmRNA種の過剰が、リンパ節の転移性の乳腺細胞の存在の指標である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第二のmRNA種がPIPに特異的なものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第二のmRNA種がMGB1に特異的なものである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
CK7に特異的な第一のmRNA種、およびPIP、MGB1およびMGB2の1つに特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第二のmRNA種がPIPに特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第二のmRNA種がMGB1に特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第二のmRNA種がMGB2に特異的なものである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
RNAサンプル中のmRNA種のレベルを定量すること、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温式増幅アッセイの一つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅アッセイ、および核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アッセイが、RT-PCRアッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
RT-PCRアッセイが、CK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1またはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プライマー対が、表Bに開示されたCK7、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1プライマーの1またはそれ以上の少なくとも約10個の連続した核酸から本質的になる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アッセイが多重化アッセイである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の一つに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法。
【請求項24】
CK7に特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
CK19に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
PVAに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
SCCA1.2に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
SFTPBに特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
TACSTD1に特異的な第一のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
SFTPBに特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
PVAに特異的な第三のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
SCCA1.2に特異的な第三のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
PVAに特異的な第二のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
SCCA1.2に特異的なmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な第一のmRNA種とは異なる1またはそれそれ以上の追加のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、第一のmRNA種の過剰および1またはそれそれ以上の追加のmRNA種の過剰がリンパ節中の肺細胞の存在の指標である、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
RNAサンプル中のmRNA種のレベルを定量し、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種が、RNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温式増幅アッセイの一つである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅アッセイおよび核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アッセイがRT-PCRアッセイである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
RT-PCRアッセイが、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
プライマー対が、表B中に開示した、CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1プライマーの1またはそれ以上の少なくとも約10個の連続した核酸から本質的になる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
アッセイが多重化アッセイである、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
包装材料、および:
(a) CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸(ここで、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);または
(b) CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸(ここで、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);
を含む、製品。
【請求項45】
CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含み、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の乳癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項44に記載の製品。
【請求項46】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上の核酸を含み、包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の肺癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項44に記載の製品。
【請求項47】
1またはそれ以上の核酸が、配列特異的核酸検出アッセイまたは配列特異的核酸増幅アッセイにおいて使用するための1またはそれ以上のプライマーである、請求項44に記載の製品。
【請求項48】
プライマーが、PCRプライマーセット、NASBAプライマーおよびRCAプライマーの一つである、請求項47に記載の製品。
【請求項49】
プライマーが、PCRプライマーセットである、請求項47に記載の製品。
【請求項50】
1またはそれ以上の核酸が、基材に接着されている、請求項44に記載の製品。
【請求項51】
基材が、1またはそれ以上の核酸の2またはそれ以上についてのアレイである、請求項50に記載の製品。
【請求項52】
1またはそれ以上の核酸がプローブである、請求項44に記載の製品。
【請求項53】
1またはそれ以上のプライマーを使用する配列特異的核酸検出アッセイまたは配列特異的核酸増幅アッセイの生成物の蓄積を検出する際に使用するための検出可能プローブをさらに含む、請求項44に記載の製品。
【請求項54】
1またはそれ以上の核酸が、カートリッジ中に含有される、請求項44に記載の製品。
【請求項55】
(a) CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;または
(b) CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
を含む、組成物。
【請求項56】
CEA、CK19、MGB1、MGB2、PIPおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および乳癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA、を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
CEA、CK7、CK19、PVA、SCCA1.2、SFTPBおよびTACSTD1の1つまたはそれ以上に特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および肺癌を有すると診断されたかまたは有することが疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAを含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項58】
1またはそれ以上のプライマーまたはプローブが、基材に接着される、請求項55に記載の組成物。
【請求項59】
基材が、1またはそれ以上のプライマーまたはプローブの2またはそれ以上のアレイである、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
ポリメラーゼ;リボ核酸またはデオキシリボ核酸またはその類似体;および対照核酸;の1またはそれ以上をさらに含む、請求項55に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11−1】
【図11−2】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図13J】
【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図13N】
【図13O】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図15P】
【図15Q】
【図15R】
【図15S】
【図15T】
【図15U】
【図15V】
【図15W】
【図15X】
【図15Y】
【図15Z】
【図15AA】
【図15BB】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図18−1】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図18J】
【図18K】
【図18L】
【図18M】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11−1】
【図11−2】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図13J】
【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図13N】
【図13O】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図15P】
【図15Q】
【図15R】
【図15S】
【図15T】
【図15U】
【図15V】
【図15W】
【図15X】
【図15Y】
【図15Z】
【図15AA】
【図15BB】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図18−1】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図18J】
【図18K】
【図18L】
【図18M】
【図19A】
【図19B】
【公表番号】特表2008−510454(P2008−510454A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520519(P2007−520519)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024193
【国際公開番号】WO2006/017150
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024193
【国際公開番号】WO2006/017150
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】
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