説明

背負い鞄用パッド及びこれを適用した背負い鞄

【課題】洗濯や交換の便を容易にし、更に既存の鞄にも簡単に適用することを可能とした、背負い鞄用パッドおよびこれを適用した背負い鞄を提供する。
【解決手段】ランドセル本体に取り付けられて背当て面に対応する位置に収容部50を有した通気性のある袋体5と、この袋体5の収容部50に対して出し入れ自在な緩衝体6とを具備し、前記袋体5内に収容した緩衝体6の一部を、当該袋体5を貫通して前記ランドセル本体の背当て面に対向する位置に表出することにより当該背当て面との摩擦を増大させる摩擦増大部61としたランドセル用パッドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負い鞄用パッド及びこれを適用した背負い鞄に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ランドセル等の背負い鞄として、種々のものが提案され市場に供されている。このうち、特に背負い鞄を背負った際に背中が当たる位置すなわち背当て面には、肩に掛かる荷重を分散させ、背中に当たるときの感触を和らげつつ、走ったときの横揺れを抑制するために、緩衝作用のある部位が設けられているものが少なくなく、また、背当て面が背中に密着することで蒸れたり汗をかくことを防ぐために、背当て面の上に通気性のある素材や構造が設けられているものも少なくない。
【0003】
例えば、特許文献1の背負いバッグは、袋状の本体と、その本体の背当て部の上端近辺から下端近辺にかけて設けられる左右一対の背負いベルトとを備えた背負いバッグであって、前記本体の背当て部が、柔軟な外生地と、その外生地の上に設けられる粘着弾性を有する連続気泡の発泡体からなる支持層と、その支持層を覆う柔軟で通気性が高いカバーシートとを備えており、前記支持層が、外生地の上端の左右から下端の中央部にかけてT字状を呈するように設けられている。そして、使用者の背中にフィットし、しかも背負いバッグの振動およびそれに基づく衝撃力を緩和し、安定して保持することができるほか、通気性が高く、熱吸収性がよいため装着感が優れ、また肩掛ベルトに粘着弾性の発泡シートを挿入した背負いバッグは、肩にかかる重量を分散し、衝撃を大きく吸収するので、使用者の負担が軽減されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2の背負い鞄は、背負い鞄本体の背当て面や肩に当接することとなる部分に、背中用緩衝体や肩用緩衝体を、緩衝体取付手段により接離自在にして取り付けるようにしている。そして、緩衝体がへたったり折り癖がついたり、あるいは汚れたり破損した場合にも、背負い心地を改善し、清潔な状態で使用することができ、また、使用者の体型に合わせて背負い心地を調整できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3034502号公報
【特許文献2】特開2006−122543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のものは、背当て部が背負いバッグ本体に対して位置ずれしないように、背当て部を縫い付け等によって当該バッグ本体に一体に作り込みをするようにしており、既存のバッグに事後的に適用したり、汚れたときの洗濯やクッションが劣化したときの交換の便が図られないという課題がある。
【0007】
一方、特許文献2のものも、緩衝体が背負い鞄本体に対して位置ずれをしないように、背負い鞄本体側および緩衝体側にそれぞれ面ファスナを縫い付け等によって取り付けるようにしており、この面ファスナの部分で脱着し、面ファスナごと緩衝体の洗濯や交換を行うことになるので、何度も洗濯するにつれて接着性が低下したり、劣化した際には面ファスナごと交換しなければならないという問題がある。また、背負い鞄本体側にも面ファスナを縫いつけ等によって取り付けなければならない点で、上記特許文献1と同様、既存の背負い鞄に簡単に適用できないものである。
【0008】
本発明は、このような課題に着目したものであって、先ず洗濯や交換の便を容易にし、更に既存の鞄にも簡単に適用可能とした、使い勝手のよい背負い鞄用パッドおよびこれを適用した背負い鞄を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、背負い鞄本体に取り付けられて背当て面に対応する位置に収容部を有した通気性のある袋体と、この袋体の収容部に対して出し入れ自在な緩衝体とを具備し、前記袋体内に収容した緩衝体の一部を、当該袋体を貫通して前記背負い鞄本体の背当て面に対向する位置に表出することにより当該背当て面との摩擦を増大させる摩擦増大部としたことを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、背負った際に背中が当たる位置すなわち背当て面に緩衝体が配置されて背負い鞄本体が背中に当たるときの感触を和らげつつ、肩にかかる荷重を腰部分にも分散させることで肩の負担を軽減させ、摩擦増大部によって走ったときの背負い鞄本体の横揺れを抑制し、また袋体の通気性によって背当て面が背中に密着することで蒸れたり汗をかくことを防ぐことができる。しかも、緩衝体と袋体が分離しているので、汚れたときの袋体の洗濯や緩衝体が劣化したときの交換を平易に行うことができ、さらに緩衝体の一部を袋体から表出させて摩擦増大部としているので、この背負い鞄用パッドを背当て面に対して必ずしも直接的に固定せずとも、この背負い鞄を背負った際の鞄の荷重で摩擦増大部が背当て面に押し付けられてより滑りにくい状態が得られることになり、この背負い鞄用パッドの特段の取付構造を不要若しくは簡素化することができる。更に、必要に応じて収容部に収容する緩衝体の形状や厚み等を変更することができるので、背負い鞄本体の形状や利用者の個々の体型等に合った利用の形態が容易に実現可能となる。
【0012】
緩衝体を簡易に構成するためには、袋体内に収容される軟質樹脂層と、袋体を貫通する前記摩擦増大部とを樹脂により形成し、摩擦増大部を袋体内の軟質樹脂層よりも相対的に硬質としていることが好適である。
【0013】
背負い鞄本体に対して後付で背負い鞄用パッドを簡単に適用可能とするためには、袋体が、背負い鞄本体の背当て面の上部周辺に対して縛り付け若しくは引っ掛け可能な上パッド取付部と、背負い鞄本体の背当て面の下部周辺に対して縛り付け若しくは引っ掛け可能な下パッド取付部とを有していることが好ましい。
【0014】
また、前記背負い鞄用パッドが適用される背負い鞄本体が、背当て面の縁部に沿って隆起部を有している場合に、この隆起部よりも中央側の背当て面に緩衝体を位置づけて背負い鞄を構成すれば、背負い鞄用パッドがずれにくい状態を有効に実現することができる。
【0015】
特に、隆起部が、左右の側縁部及び下縁部に沿った上向きコ字状に形成されている場合に、これらの隆起部によって部分的に囲まれる位置に緩衝体を位置づければ、背負い鞄用パッドの位置ずれをより効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明した構成であるから、背負い鞄を背負った際に背中が当たる位置すなわち背当て面に緩衝体が配置されて背負い鞄本体が背中に当たるときの感触を和らげつつ、肩にかかる荷重を腰部分にも分散させることで肩の負担を軽減させ、摩擦増大部によって背負い鞄を背負った者が走ったときの背負い鞄本体の横揺れを抑制し、また袋体の通気性によって背当て面が背中に密着することで蒸れたり汗をかくことを防ぐことができる上に、緩衝体と袋体が分離しているので、汚れたときの袋体の洗濯や緩衝体が劣化したときの交換を平易に行うことができる、使い勝手に優れた背負い鞄用パッド及びこれを適用した背負い鞄を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態のランドセル本体を示す斜視図。
【図2】ランドセル本体に背負い鞄用パッドを取付けた本実施形態のランドセルを示す斜視図。
【図3】本実施形態のランドセル用パッドを示す斜視図。
【図4】ランドセルを背負った状態を示す側面図。
【図5】緩衝体を袋体の収容部に収容する工程を示す斜視図。
【図6】背負い鞄用パッドをランドセルに取り付ける工程を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の背負い鞄本体であるランドセル本体Aを示す斜視図、図2はこのランドセル本体Aに背負い鞄用パッドたるランドセル用パッドBを取付けた背負い鞄たるランドセルRAの斜視図である。
【0020】
このランドセル本体Aは、皮革若しくは合成皮革を縫い合わせて構成されるもので、背当て部31と反背当て部32の間を、まちとなる左右の側縁部33および底部34(図6参照)によって接続することで上方に開口する収容空間を有する筐体3を構成し、この筐体3を開閉すべく、前記背当て部31の上縁に一体的に蓋部35を連設して、この蓋部35の先端に係合窓36aを有する蓋取付具36(図6参照)を取り付けている。そして、図1に示すように蓋部35を反背当て部32に重合させて収容空間を閉止し、その状態で図6(a)→(b)のように蓋取付具36の係合窓36aを筐体3の底部34に設けた受座37に取り付けてある回転摘み37aに挿し通した後、回転摘み37aを回転させて蓋部35を係止させるようにしている。
【0021】
図1に示すように、筐体3には左右一対の肩ベルト1が取り付けられている。肩ベルト1は上下に分解できるように上ベルト部11及び下ベルト部12から構成されており、上ベルト部11の上端と下ベルト部12の下端には図1及び図6に示すようなD杆等のベルト取付具11a、12aが取り付けられて、上端側のベルト取付具11aが筐体3の背蓋境界部に設けた上ベルト受座30aに取り付けられ、下端側のベルト取付具12aが前記筐体3の底部34に設けた軸状の下ベルト受座30bに取り付けられている。
【0022】
図1に示すように背当て部31には、左右の側縁部及び下縁部に沿って背当て面31aから盛り上がるような隆起部31bが上向きコ字状に設けてあり、当該隆起部31bが、このランドセルRAを背負った使用者の背中の両脇および腰に当たって、ランドセルRAを安定的に背負うことができるようにしてある。
【0023】
背当て部31の上方の背蓋境界部には、このランドセル本体Aを手提げ状態で持つための逆U字状の把手4が取り付けられている。
【0024】
このような構成において、本実施形態は、このランドセル本体Aを背負った際に背中が当たる位置すなわち背当て面31aに、背中に当たるときの感触を和らげつつ、走ったときの横揺れを抑制し、さらに背当て面31aが背中に密着することで蒸れたり汗をかくことを防ぐために、図2に示すようなランドセル用パッドBを簡単に取り付けることができるようにしている。
【0025】
このランドセル用パッドBは、図2及び図3に示すように、ランドセル本体Aの背当て面31aをほぼ覆う位置に取り付けられて利用者の腰に対応する位置に収容部50を有した通気性のある袋体5と、この袋体5の収容部50に対して出し入れ自在な緩衝体6とを具備している。
【0026】
緩衝体6は、図3に一部破砕して示すように、板状の軟質樹脂層60と、前記軟質樹脂層60よりも相対的に硬質であって当該軟質樹脂層60の一部から突出させた略直方体状の摩擦増大部61とを具備するもので、これら軟質樹脂層60および摩擦増大部61の素材に例えばウレタンを用い当該ウレタンを発泡倍率を異ならせて一体に形成している。前記軟質樹脂層60に対し、背中が当たる表面側に隣接する位置にはより軟らかい素材かならなるクッション層62が設けてあり、このクッション層62も前記緩衝体6の一部を構成している。この緩衝体6は摩擦増大部61以外の表面を防水性の表面材63で被覆されていてもよい。摩擦増大部61は、本実施形態においては正面視、ほぼ逆台形状をなしているが、ランドセルRAの背当て面31aの形状に沿っていればどのような形状であっても構わない。
【0027】
袋体5は、吸水性、通気性のあるメッシュ素材で構成されており、背当て面31a側に配置される生地(裏面)51と背中側に配置される生地(表面)52の3辺を縫い合わせることで前記緩衝体6の大きさに対応したポケット状の収容部50を形成している。背中側の生地52は、図2に示すように背蓋境界部付近から底部付近に亘って配置され、上部から中間部に向かって漸次幅広となる上部領域52aと、中間部から下部に亘って等幅をなす下部領域52bとによって構成されたもので、上部には図3に示すように上パッド取付部となる紐部材52cが両端を縫い付けてあり、下部にはパッド固定用ベルト7を挿し通してこのランドセル用パッドBをランドセル本体Aに取付けるための下パッド取付部たる通し孔52dが紐部材を用いて形成してある。パッド固定用ベルト7は、図6(a)に示すように肩ベルト1の下ベルト部12に挿し通すべく基端側に設けられたスリット71及びこのスリット71の一端側にあって軸状の下ベルト受座2に係合可能な丸孔72と、先端側に設けられて前記袋体5の通し孔52dに挿通可能な挿通片73とを有したもので、挿通片73には折り返した状態を保持する面ファスナ74が設けてある。一方、背当て面側の生地51は、図3に示すように前記背中側の生地52よりも小さく当該背中側の生地52と3辺で縫い合わせられた部分よりも上方に折り込み領域51aを有したもので、上部領域51aは図5に矢印で示すように折り返して収容部50の中に差し込むことができるようにしてある。この背当て面側の生地51には、収容部50に緩衝体6を収容した位置で前記緩衝体6の摩擦増大部61を貫通させて表出させることのできる貫通窓51bが設けてある。
【0028】
前記袋体5内に緩衝体6を収容するには、図3に示すように、収容部50を上方に開放した状態で当該緩衝体6を収容部50に投入し、投入位置でその一部に設けた前記摩擦増大部61を図5に示すように袋体5に設けた前記貫通窓11を貫通させて、表出させ、袋体5の裏面側の生地51の上部領域51aを緩衝体6と表面側の生地52との間に差し込むことで、緩衝体6を飛び出さないように包み込む。
【0029】
このランドセル用パッドBをランドセル本体Aに取り付けるには、図2に示すようにランドセル用パッドBの紐部材52cをランドセル本体Aの逆U字状の把手4に引っ掛け、これと前後して、図6(a)に示すように、分解した状態の下ベルト部12を、パッド固定用ベルト7の丸孔72及びスリット71に挿し通して移動させ、その丸孔92をランドセル本体Aの底部34に設けてある軸状の受座30bに嵌める。そして、図6(b)に示すように、パッド固定用ベルト7の先端をランドセル用パッドBの取付孔52bに挿し通して折り返し、面ファスナ74、74同士を接着し、最後に分解した上下肩ベルト11、12を接続する。
【0030】
この段階で、緩衝体6は図1に示す上向きコ字状の隆起部31bによって囲まれる位置に配置され(図2参照)、袋体の窓51bを貫通した摩擦増大部61が図4に示すようにランドセル本体Aの背当て面31aに対向する位置に表出して、当該背当て面31aとの摩擦抵抗によってランドセル用パッドBのずれにくい状態を維持することとなる。
【0031】
また、上パッド取付部である紐部材52cや下パッド取付部である通し孔52dに引っ掛けてあるパッド固定用ベルト7をランドセル本体Aから外すだけでランドセル用パッドBを分離できるので、袋体5の洗濯や緩衝体6の交換も容易に行うことができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係るランドセル用パッドBは、ランドセル本体Aに取り付けられて背当て面31aに対応する位置に収容部50を有した通気性のある袋体5と、この袋体5の収容部50に対して出し入れ自在な緩衝体6とを具備し、前記袋体5内に収容した緩衝体6の一部を、当該袋体5の窓51bを貫通して前記ランドセル本体Aの背当て面31aに対向する位置に表出することにより当該背当て面31aとの摩擦を増大させる摩擦増大部61としたものである。
【0033】
このように構成すれば、図4に示すごとくに背負った際に、背中が当たる位置すなわち背当て面31aに緩衝体6が配置されてランドセル本体Aが背中に当たるときの感触を和らげつつ、肩にかかる荷重を腰部分にも分散させることで肩の負担を軽減させるのは勿論のこと、摩擦増大部61が背当て面31aに設けた隆起部31bの内側に嵌まった状態となるので、このランドセルRAを背負った子どもが走ったときのランドセル本体Aの横揺れを抑制し、また袋体5の通気性によって背当て面31aが背中に密着することで蒸れたり汗をかくことを防ぐことができる。しかも、緩衝体6と袋体5が分離しているので、汚れたときの袋体5の洗濯や緩衝体6が劣化したときの交換を平易に行うことができ、さらに緩衝体6の一部を袋体5から表出させて摩擦増大部61としているので、このランドセル用パッドBを背当て面31aに対して必ずしも直接的に固定せずとも、このランドセルRAを背負った際の当該ランドセルRAの荷重で摩擦増大部61が背当て面31aに押し付けられてより滑りにくい状態が得られることになり、このランドセル用パッドBの特段の取付構造を不要若しくは簡素化することができる。更に、必要に応じて収容部50に収容する緩衝体6の形状や厚み等を変更することもできるので、個々の体型に合った利用の形態が容易に実現可能となる。
【0034】
また、緩衝体6が、袋体5内に収容される軟質樹脂層60と、袋体5を貫通する摩擦増大部61とを樹脂により一体的に形成したものであり、摩擦増大部61が袋体5内の軟質樹脂層60よりも相対的に硬質に形成されているので、樹脂の発砲倍率を異ならせて軟質樹脂層6と摩擦増大部61とを一体に作るほか、硬度の異なる樹脂を貼り合わせること等により容易に成形することができる。勿論、突出した摩擦増大部61が動かないようにサポートされていれば、必ずしも摩擦増大部61は軟質樹脂層60と接着等によって一体的に形成されていることを要しない。
【0035】
特に、緩衝体6のうち摩擦増大部61以外の表面を防水性の表面材63で被覆し、袋体5を吸水性の素材で構成しているので、緩衝体6の軟質樹脂層60やクッション層62に汗が染み込むことがなく、袋体5が汚れた場合や緩衝体6が傷んだ場合には、個別に洗濯や交換を行うで簡単に対応することができる。勿論、使用上問題がなければ、緩衝体6を被覆しない利用の形態も可能である。
【0036】
さらに、袋体5が、ランドセル本体Aの背当て面31aの上部周辺に対して引っ掛け可能な上パッド取付部たる紐部材52cと、ランドセル本体Aの背当て面31aの下部周辺に対してパッド固定用ベルト7を介して縛り付け可能な下パッド取付部たる通し孔52dとを有してるので、既存のランドセル本体Aにも後付で容易に取り付けることができ、不要な場合や洗濯を要する場合には簡単に取り外すことが可能となり、何度洗濯しても面ファスナのように接着力が低下するといった不都合が生じることも回避することができる。しかも、これらの紐部材52cと通し孔52dとを利用して袋体5を引っ張った状態でランドセル本体Aに取り付けているので、ランドセル用パッドBが極力好ましい位置から動かないようにすることができ、さらに摩擦増大部61がランドセル本体Aの背当て面31aに設けた隆起部31bの内側に嵌まった状態となるため、なお一層動きにくい状態を実現することができる。
【0037】
すなわち、このようなランドセル用パッドBを適用するランドセル本体Aが、背当て面31aの縁部に沿って隆起部31bを有し、この隆起部31bよりも中央側の背当て面31aに緩衝体6を位置づけるようにしているので、ランドセル用パッドBがずれ難い状態を有効に実現することができる。
【0038】
特に、隆起部31bを、左右の縁部部及び下縁部に沿って上向きコ字状に形成し、これらの隆起部31bによって部分的に囲まれる位置に緩衝体6を位置づけているので、ランドセル用パッドBがよりずれ難い状態をより簡単、的確に実現することが可能となる。
【0039】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、緩衝体や袋体の大きさ・形状・構造、摩擦増大部の具体的な構成等を始めとして、袋体の取付構造等も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば、ランドセル本体Aの背当て面31aの膨らみに合させて摩擦増大部61の形状を変えたランドセル用パッドBを用意しておけば、本発明を種々のランドセル本体Aに容易に対応することができるようになる。
【符号の説明】
【0040】
5…袋体
6…緩衝体
31a…背当て面
31b…隆起部
50…集要部
52c…上パッド取付部(紐部材)
52d…下パッド取付部(通し孔)
60…軟質樹脂層
61…摩擦増大部
63…表面材
A…背負い鞄本体(ランドセル本体)
B…ランドセル用パッド
RA…背負い鞄(ランドセル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背負い鞄本体に取り付けられて背当て面に対応する位置に収容部を有した通気性のある袋体と、この袋体の収容部に対して出し入れ自在な緩衝体とを具備し、前記袋体内に収容した緩衝体の一部を、当該袋体を貫通して前記背負い鞄本体の背当て面に対向する位置に表出することにより当該背当て面との摩擦を増大させる摩擦増大部としたことを特徴とする背負い鞄用パッド。
【請求項2】
緩衝体が、袋体内に収容される軟質樹脂層と、袋体を貫通する前記摩擦増大部とを樹脂により形成し、摩擦増大部を袋体内の軟質樹脂層よりも相対的に硬質としている請求項1記載の背負い鞄用パッド。
【請求項3】
袋体が、背負い鞄本体の背当て面の上部周辺に対して縛り付け若しくは引っ掛け可能な上パッド取付部と、背負い鞄本体の背当て面の下部周辺に対して縛り付け若しくは引っ掛け可能な下パッド取付部とを有している請求項1又は2に記載の背負い鞄用パッド
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の背負い鞄用パッドを適用したものであって、背負い鞄本体の背当て面の縁部に沿って隆起部を有しており、この隆起部よりも中央側の背当て面に緩衝体を位置づけていることを特徴とする背負い鞄。
【請求項5】
隆起部が、左右の側縁部及び下縁部に沿った上向きコ字状に形成され、これらの隆起部によって部分的に囲まれる位置に緩衝体を位置づけている請求項4記載の背負い鞄。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−39182(P2013−39182A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176802(P2011−176802)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】