説明

胎動の監視および方法

【解決手段】 モニタリングシステムは、ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎児の胎動を感知して、それを示す信号を生成する、加速度計(202)を有する生理学的モニタリング装置(102)と、前記生成された信号から予め定められた胎動に対応する信号を識別する信号識別装置(108)と、前記識別信号を数えるカウンター(112)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、ヒトまたは動物の患者の子宮から例えば胎児キックのような興味の対象となる胎動を識別することに関する。また、これは他の胎動および/または胎児を宿す患者の運動を識別することに関する。
【背景技術】
【0002】
陣痛の間、胎児機能不全(胎児ジストレス)の兆候を識別し、または胎児の状態が良くない若しくは極度に疲労してきていることを警告するため、例えば胎児の心拍数のような生理的パラメタ―を監視する。陣痛の前、母親は1若しくはそれ以上の超音波検査を受けられ、この超音波検査は、妊娠期間の胎児成長のしるしを識別するのに使用される胎児の心拍数および胎児の大きさの情報を提供する。残念なことに、超音波検査は高価であるため、通常は妊娠期間中に1度実施されるのみである。歴史的に、母親は胎動を感じ取り、助産師は母親にそれらの運動を数えさせる。動く胎児は、健康な胎児の証しと考えられている。母親の年齢の増加とともに困難な妊娠が増えてきたが、この検査により恩恵が受けられる。
【0003】
文献では、胎児の健康と胎児キックには相関関係があり、あまり健康でない胎児は、健康な胎児に比べて多くの場合キック数が相対的に少ないことが示されている。1つの例として、母親が胎動を感じて、感じた運動が胎児キックだと信じると、母親はキックチャートに書き入れる。前記キックチャートは、胎児の活動を記録するための、妊娠後期の妊婦によって使用される記入用紙またはグラフである。別の方法は、手動で起動するカウンターを母親に携帯または身に着けてもらう方法である。この方法では、母親は、前記チャートに書き入れるのではなくむしろ前記カウンターの値を増加(インクリメント)させる。
【0004】
いずれの例においても、経時的な胎児キック活動は、記録された情報から決定される。このように、前記記録情報は、一定の時間間隔で起こるキックの変化と傾向を識別するのに使用される。残念なことは、上記方法が、母親にキック出来事を感知しかつ記録することを要求することである。さらに、前記記録情報は、正確に胎児キックを反映していないかもしれない、例えば、母親がキック観測の期間の間全てのキックを感じ取ることができないかもしない、母親が感じたキックの全てを記録しないかもしれない、胎児キックと考えられる感知した運動が、例えば転げまわるなどの異なるタイプの運動であるかもしれない、胎児キックでないと考えられる感知した運動が実際は胎児キックであるかもしれない、さらに母親が胎動を感知しようと活動的に試しているとき胎児は寝ているかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の観点は、上記の問題などに対処するものである。
【0006】
1つの観点において、モニタリングシステムは、ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎動を感知して、それを示す信号を生成する、加速度計を有する生理学的モニタリング装置を含む。このシステムはさらに、前記生成された信号から予め定められた胎動に対応する信号を識別する信号識別装置を含む。このシステムはさらに、前記識別信号を数えるカウンターを含む。
【0007】
別の観点において、方法は、ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎児の胎動を感知する工程と、前記感知された胎動を示す信号を生成する工程と、前記信号が胎児キックに対応しているかを決定する工程と、前記胎児キックに対応する信号を決定する工程に応じて前記信号を数える工程とを含む。
【0008】
別の観点において、モニタリング装置は、ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎動を示す生理的な運動を感知して、それを示す信号を生成する変換器と、前記生成された信号から胎児キックに対応する信号を識別する生理学的信号識別装置と、前記識別された生理学的信号を数える工程とを含む。
【0009】
当業者は、添付の詳細な説明を読んで理解すると、本出願の更なる他の観点についても理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本出願は、実施例を使って説明されているが、添付の図面の形状に限定されるものではなく、図面では類似する要素を同様の参照番号で示してある。
【図1】図1は、例示的なモニタリングシステムを図示する。
【図2】図2は、例示的な動作感知器を図示する。
【図3】図3〜5は、動作感知器を携帯するさまざまなキャリアを図示する。
【図4】図3〜5は、動作感知器を携帯するさまざまなキャリアを図示する。
【図5】図3〜5は、動作感知器を携帯するさまざまなキャリアを図示する。
【図6】図6は、例示的な信号識別装置を図示する。
【図7】図7は、例示的な決定器を図示する。
【図8】図8は、例示的な方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、例示的なモニタリングシステム100を図示する。前記システムは、生理学的モニタリング装置またはモニター102〜102(Nは0以上の整数である)を含み、本明細書ではモニタリング装置102と集合的に呼ぶ。前記モニタリング装置102は、例えば、妊娠したヒトまたは動物の患者の子宮内の胎児キック、胎児の心拍数、胎児の心臓の拍動の1サイクルの動作、および/または他の胎児の活動、ならびに/または前記患者の活動を監視するように構成されている。以下により詳細に論じるように、前記モニター102の少なくとも1つ(図示の実施例ではモニター102)は、活動(例えば、生理的な運動)を感知して、それを示す信号を生成するように構成される変換器のような動作感知器104を含む。
【0012】
処理装置106は、前記モニター102で生成された信号を処理する。前記図示する処理装置106は、前記動作感知器104によって生成された、興味の対象となる特定の活動(例えば、胎児キックおよび/または興味の対象となる他の活動など)に対応する信号を識別する信号識別装置108を含む。以下により詳細に論じるように、1つの実施例として、これは、前記動作感知器104によって生成される前記信号の1若しくはそれ以上の特性、例えば周波数、パワースペクトル、周期性、起源、および/または他の特性などを評価して、予め定められた周波数および/またはパワースペクトル範囲、予め定められた周期性、ならびに/または参照起源(reference origin)を基にして興味の対象となる信号を識別することを含む。興味の対象となる信号の識別を促進するため、例えば胎児の心拍数を示す信号などの他の情報も追加的に使用することができる。
【0013】
興味の対象となる識別信号またはそのような信号に関する情報は、記憶装置110に格納され、および/またはさらに処理できる。興味の対象となる信号またはそのような信号の情報として識別されない信号はまた、前記記憶装置に格納され、および/またはさらに処理されるか、または処分、無視、および/またはその他の方法で処理できる。他の情報もまた、前記記憶装置110に格納することができる。例えば、胎児運動の獲得されたパターンおよび/または他の情報もまた、前記記憶装置110に格納できる。このような情報はまた、感知信号を処理するとき使用することができる。
【0014】
カウンター112は、興味の対象となる識別信号を数え、または興味の対象となる識別信号のカウント値を増加させ、ならびにそれを示す出力信号を生成する。胎児キック計数のとの関連で、これにより、胎児キックの計数が、キックを手動で識別、計数、および記録することを母親に要求することなしに、可能になる。タイミング装置(例えば時計114のような)が、タイムスタンプまたは興味の対象となる個々のおよび/もしくはグループの識別信号のためのタイミングのしるしを生成するのに使用することができる。追加的にまたは代わりに、前記時計114は、1若しくはそれ以上の予め定められた時間間隔の間の識別信号を数えるのに使用することができる。例えば1つの例として、前記時計114は、連続した重複のない時間間隔、重複する時間間隔、および/または例えば、秒、分、時間、日、週、月などの時間で分けられた時間間隔の間に識別信号を数えるのに使用される。
【0015】
メトリック決定器116は、前記処理装置106の出力に基づいて、例えば胎児の健康メトリックなどのメトリックを決定する。以下により詳細に論じるように、これは、一定の時間間隔または複数のそのような時間間隔の識別信号の数、一定の期間の識別信号の合計数、および/または別の方法での変化に基づいてメトリックを生成することを含む。胎児キックを識別するとき、例えば、このようなメトリックは胎児の健康を決定するのに使用することができ、例えば、時間間隔ごとのキック数が増加しているか、およそ同じ状態か若しくは減少しているか、第1の予め定められた閾値より大きいか、第2の予め定められた閾値より小さいか、「獲得された」胎児の活動パターンより小さいかなどを決定するのに使用できる。このような情報は、胎児が苦しんでいる可能性が高いかどうかを決定するのを促進するのに使用することができる。
【0016】
図示の実施例において、前記システム100はさらに、例えば表示部、携帯記憶媒体、ネットワーク通信インターフェース、および/または他の出力装置などの出力装置118を含むまたは連通する。カウント数、時間関数としてのカウント数、生成されたメトリック、および/または他の情報は、音響および/または視覚による(例えば、液晶、7セグメント、または他のディスプレイ上で、発光ダイオードパターンおよび/またはカラーなどを介して)提示、および/または携帯記憶媒体またはネットワーク通信インターフェースを介しての他のシステムへの転送ができる。
【0017】
図示の実施例はまた、予め定められた基準、獲得された胎児の動作パターン、および/または別の方法に基づいて通知を選択的に伝送する通知コンポーネント120を含む。前記獲得された胎児の動作パターンは保存して、さらに1時間ごと、1日ごと、1週間ごと、1月ごと、または他の基準で現行情報と比較することができる。胎児キック計数とともに、前記通知コンポーネント120は、時間当たりのキック数が時間とともにある一定の閾値より大きい値で減少するとき通知を送信するように構成することができる。このような通知は、時間関数としてのキック数、キックの減少数、そのような情報を示すしるし、および/または他の情報を含むことができる。前記通知は、ポケットベルに送られる信号、電子メールアカウントに送られる電子メールメッセージ、携帯電話に送られるテキストメッセージ、電話に送られるボイスメッセージ、および/または通知である。別の実施形態では、前記通知コンポーネント120は除かれる。
【0018】
図2は、図1の動作感知器104が加速度計202を含む実施形態を図示している。前記図示の加速度計202は複数軸の加速度計であって、運動の大きさおよび方向を含む運動を感知する。このような加速度計により、胎動の監視、例えば胎児キック、および/または子宮内の胎児のおおよそ三次元空間(3D)の位置の表示が可能になる。前記三次元空間の位置は、2以上の胎児が子宮内にいるとき、胎児の間でキックおよび他の活動を見分けるのを促進する。別の実施例では、単一軸の加速度計が使用される。
【0019】
前記加速度計202は、被験者の上に、例えば子宮内の胎児の上に、選択的に配置される。1つの実施例では、胎児心音を示す信号が、前記加速度計202を前記被験者上に配置するのを促進するのに使用される。例えば、前記信号が音響信号または光度が変化するパターンである場合、相対的に光度が強いまたは音響信号が大きいことによって、子宮内の胎児の位置を特定するのを促進する。別の実施例では、前記信号は、2若しくは3次元のグラフィック表現を生成するのに使用される超音波信号であって、子宮内の胎児の位置を決定するのを促進するのに使用される。更に別の実施形態において、解剖学的モデル、他の患者の過去の情報、および/または他の情報を使用して、前記体に前記加速度計202を適切に配置するのを促進する。
【0020】
1つの実施形態において、前記加速度計202は、例えば、柔軟なベルト、ストラップ、または体の腹部を囲むように構成される同類のもののキャリアによって運ばれまたは被験者上の位置で保持される。この実施例では、前記加速度計202は、前記キャリヤにまたは前記キャリアの一部に着脱可能に付加されている。前記キャリアは、前記被験者のサイズおよび形状に適合するように拡張および収縮が可能である伸縮自在の材料を含む。別の実施例では、前記キャリアは、例えばマジックテープ(登録商標)、ボタン、スナップ、ピン、および/またはファスナーなどの1若しくはそれ以上の締め具を含むものである。このようなキャリアの例として図3に示されているのは、前記動作感知器104が付加されているストラップ302である。電子機器304は、前記加速度計202によって生成された信号をケーブルまたは無線を介して伝送する通信インターフェイスを含む。別の実施形態において、前記電子機器304は、前記ストラップ302上で前記動作感知器104の外側に配置されている。
【0021】
別の実施形態において、前記動作感知器104は、前記被験者の皮膚に前記動作感知器104を一時的に付着させるバイオ粘着性物質を有する表面を含む。
【0022】
更に別の実施例では、前記動作感知器104は、例えば胎児心拍モニターまたは胎児の心拍記録器(tococardiograph)ベルトなどの別の装置の一部としてまたはこれと連動して動く。図5と関連して示すように、このような装置502は、前記胎児の心拍数を示す信号を感知する超音波変換器504と、感知された信号をプロセッサに伝送するケーブル506とを含む。結果として生じる超音波データは、前記加速度計202の患者上の配置および/または前記胎児が動き回る際の前記患者上の適切な配置を保持するのを促進するのに使用される。この様な装置の例は、1995年4月25日付け出願の米国特許第5,509,421号の発明の名称「生体信号を監視するためのセンサー位置決め計測器を有するシステム(System, With Sensor Positioning Indicator,For Moitoring A Biological Signal)」により詳しく記載されており、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0023】
図6は、図1の前記信号識別装置108の限定されない実施形態を図示する。例示的目的により、以下では患者の子宮内の胎児の胎児キックを監視することに関連して前記信号識別装置108を説明する。
【0024】
図示する実施形態において、前記信号識別装置108は、前記動作感知器104からの信号の周波数を決定する周波数決定器602と、前記動作感知器104からの信号のパワースペクトル情報を決定するパワースペクトル決定器604と、前記動作感知器104からの信号が周期的かまたは非周期的か(1つに限定されない実施例において、一定の間隔または期間において値または形状を繰り返さない信号のことをいう)を決定する周期性決定器606と、患者内における前記動作感知器104からの信号のおよその物理的源を推測する信号源決定器608とを含む。
【0025】
前記信号識別装置108はさらに、決定コンポーネント610を含む。図示する決定コンポーネント610は、予め定められた周波数およびエネルギー範囲内の周波数およびエネルギーを有する信号のみを実質的に通過させるように構成されるフィルタと、興味の対象となる予め定められた周期性と実質的に同様の周期性と、近似参照源と実質的に合致する起源とを含む。別の実施形態において、前記フィルタは、前記周波数、エネルギー、周期性、または起源情報のサブコンビネーション(1若しくはそれ以上、ただし全てを含まない)に基づいて信号を実質的に通過させるように構成される。例えば、別の実施形態において、前記フィルタは、周波数およびエネルギーに基づいて、信号を識別して通過させる。この実施例では、周期性および/または起源情報が興味の対象となる信号の識別を確認、認証、または検証するために使用することができる。他の組み合わせもまた、本明細書で考えられる。前記フィルタは、アナログ、デジタル、および/または他の適切な信号処理技術を用いることができる。
【0026】
別の実施形態において、前記決定コンポーネント610は、信号を通過させるかどうかを、一連の規則、ならびに周波数、エネルギー、周期性、起源、および/または他の情報に基づいて決定する。これは、(これらに限定されるものではないが)ファジー論理、ニューラルネットワーク、確率、推論、費用関数、(暗黙におよび/または明示的に訓練された)分類器(classifiers)、および同類のものを含む。他の方法もまた本明細書では考えられる。前記決定コンポーネント610はまた、例えば胎児の心拍数または他の胎児の生理的信号の感知信号と相互に関連することもできる。この様な情報はまた、前記決定コンポーネント610によって信号を識別するのに使用できる。
【0027】
雑音防止装置612は、背景雑音、非生物の機能信号、反復信号、胎児ではなくむしろ被検者に対応する信号、および/または識別されない信号を示す他の既知の信号を相殺する。前記雑音防止装置612は、様々な実施形態において除外することもできる。
【0028】
前記周波数決定器602、前記パワースペクトル決定器604、前記周期性決定器606、または前記起源決定器608は、他の実施形態において除外されることは理解されるであろう。
【0029】
一般に、胎児キックの周波数は、生体機能および身体活動の周波数より低い。例えば、文献で示されているのは、健康な胎児は、子宮内で起きて動いているとき1時間に平均約5回キックをし、約0.0014Hzの周波数に相当するに対して、心臓の拍動サイクルおよび呼吸サイクルの周波数は、それぞれ約0.5〜5.0Hzおよび0.05〜2.5Hzの範囲であり、歩行の周波数は約2Hzである。このような周波数の相違により、周波数に基づいて、他の胎児若しくは母親の心臓若しくは呼吸活動、歩行する母親、および/または他の非胎児キック活動を示す信号から胎児キックを示す信号を区別することを可能にする。これにより、適切な排除がなされた周波数に基づいて、興味の対象となる周波数帯域(例えば、胎児キックに対応する帯域)に対応する予め定められた範囲に基づいて前記決定コンポーネント610を設定することが可能となる。このようにして、前記決定コンポーネント610は、信号周波数に基づいて、興味の対象となる信号および/または興味の対象でない信号を識別することができる。
【0030】
更に、胎児キックを示す信号のエネルギーは、一般に生体機能(例えば、心拍、呼吸など)および身体活動(例えば、歩行など)を示す信号に対して相対的に高い。これにより、エネルギーに基づいて、そのようなおよび/または他の生体機能および身体活動を示す信号から胎児キックを示す信号を区別することが可能となる。このようにして、1つの実施形態において、前記決定コンポーネント610は、決定されたエネルギーおよび、興味の対象となるエネルギー(例えば、胎児キックに対応するエネルギー)に対応する予め定められたエネルギー範囲に基づいて決定する。このようにして、1つの実施形態において、前記決定コンポーネント610は、信号エネルギーに基づいて、興味の対象となる信号および/または他の信号を識別する。
【0031】
更に、前記胎児キックを示す信号のエネルギーピークが一般に不規則に起こる一方で、周期的な生体機能(例えば、心拍、呼吸など)および身体活動(例えば、歩行など)のエネルギーピークはある周期性で起こる。これにより、周期性に基づいて、胎児キックを示す信号を規則的な生体機能および身体活動を示す信号から区別することが可能となる。このようにして、1つの実施形態において、前記決定コンポーネント610は、前記信号の決定された周期性に基づいて、興味の対象となる1つの予め定められた周期性(例えば、胎児キックを示す周期性)を決定するように設定される。このようにして、前記決定コンポーネント610は、信号の周期性に基づいて、興味の対象となる信号および/または興味の対象でない信号を識別するように設定することができる。1若しくはそれ以上のエネルギーピークがある周期で起こるとき、信号識別装置108は、前記周期性情報を、前記周波数決定器602および/または前記パワースペクトル決定器604によって興味の対象となる信号の識別を認証するための補助的情報として用いるように設定できる。
【0032】
更に、前記信号の起源は、前記信号が胎児あるいは別のソースのいずれかに対応しているのかを決定するのを促進する情報を提供する。例として、前記胎児の位置でまたは近くの起源の信号は当該胎児に対応する可能性が高いのに対して、前記胎児の位置から比較的遠い起源の信号は当該胎児から来る可能性は少ない。このようにして、1つの実施形態において、前記決定コンポーネント610は、決定された信号源に基づいて、前記胎児の位置を決定するように設定することができ、これは、胎児の心拍、超音波信号および/または前記子宮内の胎児の位置を示す他の信号に基づいて推測するとができる。
【0033】
図7は、前記メトリック決定器116の限定されない実施形態を図示する。図示するメトリック決定器116は、パターン決定器702と、分類器704とを含む。胎児キックモニタリングに関して、前記パターン決定器702は、キックパターンを図1の処理コンポーネント106の出力に基づいて時間関数として決定する。例えば、1つの実施例では、前記パターン決定器702は、時間的な隔たりあがる複数の異なる時間間隔においてある一定の時間間隔で多数のキックを決定する。
【0034】
前記分類器704は、1若しくはそれ以上の既知および/または獲得したパターン(例えば、パターンバンク706にあるパターン)に基づいて、パターンを分類する。1つの実施例では、前記パターンバンク706は、胎児機能不全(胎児ジストレス)に対応する既知のキックパターンと、胎児機能不全パターンのないことに対応する既知のキックパターンとを含む。この実施例では、前記分類器704は、前記既知のパターンに基づいて、前記決定されたパターンを分類する。追加的にまたは代わりとして、前記分類器704は、予め定められたパターンに基づいて前記決定されたパターンを分類するため、規則、ファジー論理、ニューラルネットワーク、閾値、確率、費用関数、推論、および/または同類のものを使用することができる。前記メトリック決定器116の出力は、胎児健康メトリックを提供する。
【0035】
別の実施形態において、前記メトリック決定器116は、時間関数としての前記キックパターンと予め定められた閾値とを比較し、その結果により前記胎児健康メトリックを提供する。
【0036】
図8は、胎児キックのような動作を監視する方法を図示する。
【0037】
802で、胎児動作感知器104が、子宮の上で胎児の上となる適切な位置に配置される。胎児の心拍数、超音波データ、および/または他の情報を使用して、前記子宮の上への前記感知器の適切な配置を促進する。1つの実施形態において、前記感知器は、本明細書で記載されているように加速度計202である。
【0038】
804で、興味の対象となる胎動が選択される。本明細書で記載されているように、1つの実施形態において、前記胎動は胎児キックに相当する。
【0039】
806で、胎動が前記胎児動作感知器104で感知される。
【0040】
808で、前記感知された胎動が興味の対象となる胎動に対応しているかどうかが決定される。本明細書に記載されているように、これは、前記感知された胎動の周波数、パワースペクトル、周期性、および/または起源、前記感知された胎動についての他の情報(例えば、胎児の心臓の心拍サイクル、胎児の心拍数など)、および/または他の情報を分析することを含む。
【0041】
前記感知された胎動が興味の対象となる胎動に相当する場合、次に810で、1つのカウント値が増加される。さもなければ、前記カウント値は増加されない。
【0042】
工程806および810は、1若しくはそれ以上のかかる時間間隔において一定の時間間隔で繰り返すことができる。
【0043】
812で、胎児健康メトリックが前記カウント値に基づいて生成される。
【0044】
上記は、コンピュータ可読命令によって実施されるようにすることができ、コンピュータプロセッサによって実行されるとき、記載された方法を当該プロセッサに実行させる。この様な場合、前記命令は、関連のコンピュータに付随するあるいはアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体に格納できる。更に、前記処理コンポーネント106および前記メトリック決定器116は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを介して実施することができる。
【0045】
本出願は、様々な実施形態を参照して説明してきた。本出願を読めば、修正および変更がその者の心に浮かぶであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で行われる限りにおいて全てのかかる修正および変更を含むように解釈されることが意図されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタリングシステムであって、
加速度計(202)を有する生理学的モニタリング装置(102)であって、ヒトまたは動物の母親の子宮内の胎児の胎動を感知して、それを示す信号を生成するものである、前記生理学的モニタリング装置と、
前記生成された信号から予め定められた胎動に対応する信号を識別する信号識別装置(108)と、
前記識別信号を数えるカウンター(112)と
を有する装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記予め定められた胎動は胎児キックである装置。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかの装置において、前記加速度計(202)は、前記胎動に対応する母親の生理的な運動を感知するものである装置。
【請求項4】
請求項1〜3記載のいずれかの装置において、前記加速度計(202)は、ベルト(302)、ストラップ(202)、接着性のもの、または心臓活動モニタリング装置(502)を介して前記患者に付着されるものである装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、前記加速度計(202)は、胎児の心拍数に基づく子宮内の胎児の位置の推定に基づいて子宮の上に位置付けされるものである装置。
【請求項6】
請求項1〜5記載のいずれかの装置において、前記信号識別装置(108)は、1若しくはそれ以上の予め定められた信号特性に基づいて信号を識別するものである装置。
【請求項7】
請求項1〜6記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
前記生成された信号の周波数を決定する周波数決定器(602)を有し、前記信号識別装置(108)が、興味の対象となる前記胎動の周波数に対応すると予め定められた周波数範囲内の周波数を有する信号を識別するものである装置。
【請求項8】
請求項1〜6記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
前記信号に関するパワースペクトル情報を識別するパワースペクトル決定器(604)を有し、前記信号識別装置(108)が、興味の対象となる前記胎動のパワースペクトルに対応すると予め定められたパワースペクトル範囲内のパワースペクトルを有する信号を識別するものである装置。
【請求項9】
請求項7〜8記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
前記生成された信号の周期性を決定する周期性決定器(606)を有し、前記信号識別装置(108)が、前記決定された周期性に基づいて識別信号を認証するものである装置。
【請求項10】
請求項7〜9記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
前記生成された信号に基づいて前記患者の胎動源を決定する信号源決定器(608)を有し、前記信号識別装置(108)が、前記決定された起源に基づいて識別信号を認証するものである装置。
【請求項11】
請求項1〜10記載のいずれかの装置において、前記信号識別装置(108)は、1若しくはそれ以上の予め定められた規則に基づいて信号を識別するものである装置。
【請求項12】
請求項1〜11記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
識別信号のタイムスタンプまたは前記カウンター(112)が当該識別信号を数える時間間隔のうちの少なくとも1つを提供するタイミング装置(114)を含む装置。
【請求項13】
請求項1〜12記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
出力装置(118)であって、カウント値がこの出力装置(118)を介して提供される当該出力装置(118)を含むものである装置。
【請求項14】
請求項1〜12記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
カウント値に基づいて胎児の健康メトリックを決定するメトリック決定器(116)を含むものである装置。
【請求項15】
請求項1〜12記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
カウント値の経時的な変化に基づいて胎児の健康メトリックを決定するメトリック決定器(116)を含むものである装置。
【請求項16】
請求項1〜12記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
予め定められた基準または獲得された胎児の運動パターンのうちの少なくも1つに基づいて、胎児の健康メトリックを決定するメトリック決定器(116)を含むものである装置。
【請求項17】
請求項1〜16記載のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
前記胎児の健康を示す信号を選択的に伝達する通知コンポーネント(120)を含むものである装置。
【請求項18】
請求項17記載の装置において、前記信号は、ある一定の時間間隔の間の多数の胎児キックまたは異なる時間間隔の多数の胎児キックの変化のうちの1若しくはそれ以上を示すものである装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかの装置において、この装置は、さらに、
胎児キックパターンを決定するパターン決定器(702)と、
前記胎児キックパターンを分類する分類器(704)とを含むものである装置。
【請求項20】
請求項19記載の装置において、前記分類器(704)は、胎児機能不全(胎児ジストレス)を示すような前記キックパターンを分類するものである装置。
【請求項21】
方法であって、
ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎児の胎動を感知する工程と、
前記感知胎動を示す信号を生成する工程と、
胎動キックに対応する信号を決定する工程と、
前記胎動キックに対応する信号を決定する工程に応じて前記信号を数える工程と
を有する方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記胎動は、前記患者に配置される加速度計(202)によって感知されるものである方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、この方法は、さらに、
前記胎児に関する胎児の心拍数信号に基づいて前記患者に前記加速度計(202)を位置付けする工程を含むものである方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記加速度計(202)は、前記胎児の心拍数信号の強度に基づいて前記患者に位置付けされるものである方法。
【請求項25】
請求項21〜24記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
胎児の心拍数を感知する工程と、
前記感知された胎動と前記感知された胎児の心拍数とを相互に関連付ける工程と
を含むものである方法。
【請求項26】
請求項21〜25記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
前記信号の周波数を決定する工程と、
前記決定された周波数が胎児キックに対応すると予め定められた周波数範囲内であるとき、前記信号を胎児キックとして識別する工程と
を有するものである方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、この方法は、さらに、
前記信号のパワースペクトルを決定する工程と、
前記決定されたパワースペクトルが胎児キックに対応すると予め定められたパワースペクトル範囲内であるとき、前記信号を胎児キックとして識別する工程と
を有するものである方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、この方法は、さらに、
前記決定された周波数が前記予め定められた周波数範囲であり、かつ、前記決定されたパワースペクトルが前記予め定められたパワースペクトル範囲内であるとき、前記信号を胎児キックとして識別する工程を有するものである方法。
【請求項29】
請求項26〜28記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
前記信号の周期性を決定する工程と、
前記決定された周期性に基づいて識別信号を胎児キックとして認証する工程と
を有するものである方法。
【請求項30】
請求項26〜29記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
前記子宮内で前記信号の起源を決定する工程と、
前記子宮内で前記胎児の位置を決定する工程と、
前記起源が前記決定された位置と対応するとき、前記識別信号を胎児キックとして認証する工程と
を有するものである方法。
【請求項31】
請求項21〜30記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
1若しくはそれ以上の予め定められた規則に基づいて、前記信号が胎児キックに対応するかを決定する工程を含むものである方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法において、この方法は、さらに、
胎動パターンを獲得する工程と、
前記獲得された胎動パターンに基づいて、前記信号が胎児キックに対応するかを決定する工程と
を含むものである方法。
【請求項33】
請求項21〜32記載のいずれかの方法において、この方法は、さらに、
一定の時間間隔の間で時間関数としての多数の識別信号を示すカウント値を決定する工程を含むものである方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、この方法は、さらに、
前記カウント値に基づいて胎児の健康メトリックを決定する工程を含むものである方法。
【請求項35】
モニタリング装置であって、
ヒトまたは動物の患者の子宮内の胎動を示す生理的な運動を感知して、それを示す信号を生成する変換器と、
前記生成された信号から胎動キックに対応する信号を識別する信号識別装置(108)と、
前記識別信号を数えるカウンター(112)と
を有する装置。
【請求項36】
請求項25記載の装置において、前記変換器は加速度計(202)である装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−519022(P2012−519022A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552009(P2011−552009)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/035457
【国際公開番号】WO2010/098767
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(592009111)アナロジック コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】